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鱗歌さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 3957
性別 男性
年齢 53歳

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3021.  エル・シド 《ネタバレ》 
子供の頃、親父の「映画史上ベストテン級の面白い映画」という心無い一言(?)に乗せられ、テレビ放送で観て、実は結構ハマってしまったのが、この映画。事前に聞いた一言で映画の面白さは確かに変わる(笑)。とは言え、細かい部分はだいぶ忘れていたもんで、観直してみたのですが、いやあ、昔心躍らせた決闘シーンや合戦シーン、またワクワクしてしまいました。恐るべし刷り込み効果。ヘストンに矢が刺さるシーンは、子供の頃はもうびっくり仰天して、撮影中の事故ではなかろうかとまで思ったのですが(あはは)、これは今見たらそれほどでもない(いひひ)。アクション、友情、恋愛、陰謀、などなど何でもアリ、波乱万丈の物語で、しかも意外によく纏まっているので、見ごたえ充分。アンソニー・マン監督は『シマロン』に引き続きここでも大作らしい大味さを発揮、例えば・・・カラホラを賭けた決闘のシーンでは、例によってカットにより空模様が異なるし(ドンヨリ曇った日本晴れ、とでも言いますかね)、バレンシア出陣直前のシーンではソフィア・ローレンの写るカットだけナゼか夜?、はたまた海岸での合戦シーンでは撮影車両のタイヤ痕が砂浜にくっきりと。こんなチョンボは、もっとよく観ればきっと、出演してるエキストラの人数に匹敵するくらい沢山あるのかもしれませんな。史劇でありながら、「オイオイ、最後はホントは結局どうなったんだよ!?」という、大変後味の「良い」ラストも印象的であります。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2005-09-10 14:02:27)
3022.  ピアニストを撃て
不条理劇のようなサスペンスのような音楽劇のような恋愛ドラマ(しかも若干アキバ系?)のような。当然計算して作られるべき所を時々メチャクチャやっっちゃってる一方、普通は計算しないような所をしっかり計算して作っている、といった感じの作品、一見散漫でパッチワーク的、なのにどこかミョーなまとまりがあります。名セリフの一歩半くらい手前の微妙な会話と、耳に残る(いやでも残っちゃう)ピアノの音色が、ちょっとした毒消しになってて、イヤミのない作品に仕上がっております。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2005-09-08 23:48:07)
3023.  シマロン(1960)
まさに超大作。荒野を再現した巨大なスタジオセットも無駄にスゴいけど、なんと言っても、土地争奪大レースのこの非常識なまでの規模。圧巻です。大作たるもの、細かいことにはこだわらない。例えばソールがならず者に瓶を持たされ銃の的にされるシーン、撃たれる直前まで空は曇っているが、撃たれた後のシーンはカンカン照りで影の向きも逆。このくらいのおおらかさは他の映画も見習って欲し・・・くはないけど。さてさて、何も無い荒野に築きあげられていくオーセイジの町、そこで新聞社を開く正義の男、ヤンシー・クラバット。しかし彼が先住民になぜそこまで肩入れするのやら、少々ピンと来ません。これが「アメリカ人らしい正義感」だと言うのなら、まさに絵に描いた餅・・・ところでどうでもいいことだけど、中盤で先住民の少女が小学校を追い出されるシーン、おさげ髪に結った彼女の後ろの校舎には“OSAGE SCHOOL”との文字が。これは言動不一致だ(←本当にどうでもいい)。それはともかく、この映画は、夢と実行力にあふれ(過ぎ)た男と結婚しちゃった女性の、喜びとユーウツを描いた映画、とでも言った方がよいかもしれません。私の個人的な意見としては、奥さんがこんな女性では疲れるなあ、まさに悪妻は百年の不作!と思わないでもないのですが、まあ、そういうスッタモンダが大河ドラマとしての本作に厚みを加えているわけで、ラストの静かに手紙を読むシーンにも味わいを加えているのだなあ、と。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2005-09-06 23:23:00)
3024.  眠狂四郎無頼控 魔性の肌
ウヒャー成田三樹夫がエライことになってるぅ~。必見です。さて本作、もしも濡れ場をイチイチ丁寧に描いていたらほとんどポルノになってしまいそうな、アヤしい展開。そしてアブノーマルな雰囲気。狂四郎の出生の秘密が描かれる冒頭の黒ミサ儀式からすでに、ショッカーの秘密基地かなにかのよう。ストーリーは、金のマリア像を狙う黒指党と、彼らの襲撃から像を守る狂四郎の活躍!のハズだけど、実際にはマリア像なんかそっちのけで狂四郎は単独行動、そしてバレバレの罠を狂四郎にかけてくる黒指党。狂四郎がマリア像を持ってないことは知ってるくせになぜ狂四郎を斬ろうとするのか?この中盤が、ほとんどショートコント集にしか思えませんでした、ははは。この映画、狂四郎の「心の成長」を描いているのがヘンと言えばヘン、見所と言えば見所。最初は(というか前々から?)女性をまるでモノのように扱う狂四郎。そのくせイジメの仲裁に入ったりするのがまたまたヘン。いいところだったのに止めるなっての(←アホか)。その、まるで女性の敵であった狂四郎が、後半、意外な(?)優しさに目覚めて行く。そしてラストの怒りの表情。しびれる~。映画全体に惜しげもなくちりばめられた名セリフ&迷セリフの数々も聞き逃せない。「血を流すには美しすぎる・・・」などなど、これまたシビレまくり~。狂四郎の宗教観も聞かせてもらえます。
[地上波(字幕)] 8点(2005-09-06 22:38:54)
3025.  ミラノの奇蹟
楽しい楽しいファンタジー。これは心洗われる映画です。まあ汚れきったワタシの心がこの映画だけでキレイになるとは思えませんがね、うひょひょ。カメラも、なんだかまるで踊っているかのように、ウキウキ溌剌と動き回っております。雲間から漏れるスポットライトみたいな日の光に押し合いへし合い暖をとるシーンなんて、ほとんどアホみたいですが、そんなの序の口、後半にはトンデモナイ展開に! ちなみに私が印象に残ったシーンは、ジジイがクジ引きで当てたチキンをむさぼり食うシーン、そして、風船で飛び上がりそうになったジジイがパンをむさぼり食うシーンですかね。はははは。ところで↓オオカミ様が、ラストシーンを自転車に乗って飛ぶと記憶されていた、とのこと、何だか感激してしまいました。私もラストシーンを見て「こりゃE.T.だナ」と思いました。でも、たくさんの映画の想い出がそうやってリンクしていくなんて、素敵な事だと思います、正直、うらやましいとすら、思いましたよ。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2005-09-05 22:01:57)(良:1票)
3026.  レッド・サン
「男は黙って、うーんマンダム」という凸凹コンビの珍道中。西部劇にサムライを出したらさぞ面白かろう、と思ったのかどうか。やはり映画始まって早々、「意外と盛り上がってない・・・こりゃ企画倒れか?」という予感がムラムラ。オネーチャンがコマンチに誘拐されるくだりも、「まあ無理矢理盛り上げるためにこういう意味のないシーンを入れてるんだろうなあ」などと思えてしまう。が!実は後の展開に、ほどほどに重要な伏線となっているのでありました。これは驚き、でもそんな当然のことで驚くのもどうかと思うぞ。この映画、アクションシーンはなかなかキマっております。特にアラン・ドロンのガンさばき、「ホラホラ、撮影前にめっちゃ練習してんでェ。しっかり見たってや」という気持ちがよく伝わってきます(そういえば彼自身もまた『サムライ』であったのダ)。さて一方、モーリス・ジャールの音楽、これがまたなかなかの聴きモノ。前半の珍道中での、何とも表現しがたいような、のんびりほんわか超マヌケな音楽から、後半は一転、特殊奏法フル回転のアヴァンギャルド系。いや、実際には、どうもこのテの音楽作りが得意ではないのか、どうにも不器用な感じが否めないヘンテコな音楽なのですが、これが不思議と、この映画にマッチしちゃったりしております。映画音楽、実に深い世界だなあ。あっはっは。
[地上波(吹替)] 7点(2005-08-31 23:33:30)
3027.  マダム・グルニエのパリ解放大作戦
ストレンジラブ博士も真っ青、ピーター・セラーズ大量発生中。こりゃまさに、「マルコヴィッチの穴」ならぬ「クルーゾーの穴」、ですぜ。で、映画の中身は、と言いますと、シマリの無い話が掴み所の無いギャグとともにショボショボと続いて行くという、これがまあ考えようによってはなかなか油断のならない映画でして、この淡々とした進行を観ていると、気付かぬうちにセラーズ中毒になってしまっており、しばらく彼が登場しないと「か、彼を早く出せ、もっと登場させろ~」と禁断症状を発症すること請け合い。いや別に請け負わないけどさ。まあそういう訳で、これも彼無しではありえない映画、彼の魅力があふれた映画、彼が嫌いな人にとってはなーんにも面白くない映画、でありましょう。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2005-08-30 23:50:06)
3028.  バルカン超特急(1938) 《ネタバレ》 
おバカなやり取りあり、ミステリあり、マジックあり、恋あり、アクションあり、という実に贅沢な(個人的に)、いくらホメてもホメ足りない映画。前半のホテルでの、出来そこないの喜劇みたいなグダグダ~ッとした感じが、もータマリマセン、完全にツボ。邦題が『バルカン超特急』っつうんだから、どうせこの後舞台は列車に移るんだろうけど、もうこのまま列車なんかのらずにグダグダ続けてくれればいいのに、と思う。しかしそんなワガママは通用するはずもなく、グダグダな人たちを乗せて列車は発進。しかし当然ながら、ここがらがさらに面白い(それまで一体ワシャ何に喜んでいたのやら)。列車という密閉空間で、忽然と消失したフロイとい女性。主人公はフロイを探し求めるが、ナゼか他の乗客たちはフロイの存在自体を認めない。このあたりの謎の提出の仕方が、ミステリとして第一級のワクワク感。窓ガラスに現れる「フロイ」の文字にゾクゾク。しかも主人公が気付く直前のシーンで、ちゃんとこの文字を何気なく(本当に何気なく、気付かないように)我々に見せてくれるのが心憎い。ところで、この文字、もっと前のシーンでフロイ夫人自身が指で書いたものだけど(この伏線の張り方がグー!)、オヤオヤ、さっきのシーンとちょっと筆跡が違うんでないかい?と細かいツッコミも入れておこう。そして謎は突然、全貌を現し、ストーリーは一気にテンポアップ、後半の銃撃戦へ! またこの銃撃戦が、どうしてなかなか、いやワタシ、こういうの好きだなア。と言うわけで、大方予想通りのオチまで含めて、大満足のオモシロ映画でした(・・・個人的に)。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2005-08-29 22:31:46)(良:1票)
3029.  ザ・ミッション 非情の掟
ストーリーはあって無きに等しいこの映画。骨格だけの映画、というのともチト違いますね。むしろ骨格が無いと言うべきか。実態の無い「何か」の周りをただ廻り続ける脆さ、それが独特の緊迫感に結びついています。そうだ、昔から、ドーナツは穴が一番美味い、と言うじゃないか(←言わないよ)。映画全体を覆う虚無感、そしてそれを冷たく彩る銃撃戦。この銃撃戦には立体感がある。「向こうにいる敵」と撃ち合うこの感覚は、壮絶でもあればドライでもあります。また、5人が食卓を囲むシーンでの、銃をテーブルに置くときの、ガツンという銃の質感も忘れがたい。そう、シュワとかスタとかが映画でピストル振り回すと何だかピストルって軽~いものみたいに錯覚してしまうけど、実際にはこんなに重いものなんだな。映画の中には、緊張を緩和させるシーンがいくつかあります。プールサイドでの喫煙シーン、紙くずサッカーのシーン・・・だが、この食卓いのシーンは、銃の質感の前に、もはや「緩和」ではありえない・・・。いささか映画らしい肉付けに欠けているのが、(たとえ製作側の意図通りであれ)気にならなくもないのですが、特異な魅力を放った映画には違いありません。それにしても・・・宍戸錠に似てるなあ。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2005-08-28 23:52:42)
3030.  大酔侠
これは面白い! ほとんど流麗とも言える、舞踏のごときスピーディーなアクション。人間ワザを超越した「んなアホな」と言いたくなるギミックの数々、まさに「グリーン・デスティニー」「HERO」等の作品の先駆けと呼ぶに相応しいです。美人ネーチャンと、玉面虎とか言うバカ殿(?)との対決も楽しければ、竹ザオ争奪兄弟弟子対決の妖術合戦もまた楽し。舞台転換もうまく、飽きさせないゴキゲンな一本でありました。しかし、毒矢が刺さってすでに何時間も経ってるのに「治すには毒を吸い出さねば!」と言うのは、どういうこっちゃ??
[CS・衛星(字幕)] 8点(2005-08-28 23:09:03)(良:1票)
3031.  逃走迷路 《ネタバレ》 
とにかく冒頭からやたらテンポがいいです。開始早々、あっという間に主人公は濡れ衣を着せられ警察に追われる身に。ここまでテンポがよいと、ちょっとイヤな予感がしてくるのですが、案の定で、大した伏線を張ることもなく、スイスイとお話が進んで行く。テンポが良すぎて、シーン前後の繋がりの悪い、説明不足の部分も散見されます。それにこの映画における主人公の立場が曖昧なのがどうにもイタい点、テロ組織は彼をどうしたいのやら、よくワカランし(ロクな確認も行わないヌルい組織だ)、主人公自身も脚本家も、警察に追われているという立場を後半忘れてしまったんじゃないか?という迷走ぶり(「警察と組織の両方から狙われる」というルールを提示した以上、最後まで通してもらわないと・・・)。ビルの窓からメッセージを落とすシーンも、さほど有効に機能しておらず、場当たり的との印象を強める。「サービス過剰は必ずしも大サービスならず」と言ったところでしょうか(我ながら名言だ・・・?)。さてしかし、やはり数々の見所はやっぱり忘れ難いものがあるわけで、例えば冒頭の火災シーン、なかなかにスタイリッシュ。あるいは中盤、ダンスしつつイチャイチャする二人に、しっかり追随していくカメラ。そしてお馴染み、ラストの自由の女神。実に迫力あるシーンに仕上がっています。フライが落ちて行くときの悲鳴、文字では何とも書き表せないような絶叫で、なかなか心がこもっておりました。ははは。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2005-08-27 22:41:13)(良:1票)
3032.  えびボクサー
これがホントの異「種」格闘技戦! と言いたいところだけど、試合らしい試合は無し。それどころか、途中、違う意味の「格闘技」が始まっちゃう始末。とほほほ。観ていても勿論こんな世界についていけるハズもないし、実際そういう意図で作られております。映画を観るものの意識は、時に呆れ、苦笑し、時にイライラもし、そして時には誤ってホロリと来たりもする。映画と意識とがシンクロしつつも微妙なズレを生じる、いわばそのヘテロフォニーこそが、本作の魅力なのですね(←意味不明)。ちなみに亀田兄弟のピンポン球練習法は、この映画に触発されたもの・・・んなワケないですね。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2005-08-27 12:47:17)
3033.  眠狂四郎 円月斬り
雷蔵の狂四郎メイクには正直、絶句してしまうこともあるのですが、この映画の雷蔵、ホントにカッチョいい。セクシー! しかし、この映画の見所はむしろ、狂四郎を取り巻く人たちの人間模様。そう、これは、各々が暗い背景を持ち、各々が狂四郎に複雑な想いを抱く人々の、壮大かつ重厚な人間ドラマである。と、そこまで言うとウソになるが、しかし実際、この映画にはそういう、本来感じてはイケナイ「厚み」を感じましたよ、いひひひ。そしてストーリー進行の合間に一応挟まるアクションが映画をビミョーに引き締める。石階段での死闘は必見です。何しろ、ワケがワカラン(あはは)。ラストは、むさ苦しい男に「おら、おめえさんのことが好きダ」と告白され、少し焦りの表情を見せつつも、死地に赴く雷蔵の姿、実にシビレました。ちびっこハウスを後にする伊達直人をつい思い出しちゃいましたよ。そうか、狂四郎はタイガーマスクだったのか。これでエロくなければいい人なんですけどね。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2005-08-27 01:16:15)(笑:1票)
3034.  猫の恩返し
ハイ、先程の金ロー、ワタシもつい観ちゃいました。いや~いいじゃないですか。イマドキの女子高生なんて、もし猫がしゃべるのを目撃したら、「なにこれ~超キモーイ」とか言ってオシマイでしょう。しかしそんな事は言わないハルちゃん。実に爽やか。おいおい、もっと驚けよ、とは思うけど、これはこれで話が早くてよいです、うふふ。ストーリーは、特に後半、シッチャカメッチャカでしたが、不思議で楽しい世界でありました。最後の落下シーンなんて、本家宮崎アニメに負けないほどの鮮やかさ、まことに天晴れ。あと、丹波哲郎は、明らかに地で演じてましたね。
[地上波(字幕)] 7点(2005-08-27 00:50:17)(良:1票)
3035.  大いなる勇者
レッドフォード演じる主人公、(歌詞を信じれば)「抱えてきた悲しみをすべて忘れるために」山へと入って行く。山でいきなり出会ったのは炭素冷凍されたハン・ソロ船長。違うっての。その後も次々に奇妙な人とめぐり合う彼。そして奇妙な共同生活。やがて山での生活は残酷な一面をのぞかせる・・・。厳しい自然の中に自由はあるのか。結局そこに待ち受けているのも、厳しい「運命」ではないのか。しかし男は運命と戦い続ける。その寂寥に閉ざされた姿はあまりにも孤独だ。しかし我々は、その姿に静かなる憧れを抱かずにはいられないのである。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2005-08-25 22:13:11)(笑:1票)
3036.  続・少林寺三十六房
あの噂に聞いていた、名作『少林寺三十六房』の続編がコレ! なのか? まあ、このタイトルだし、チャーフィ師匠は出てるし・・・と半信半疑に思いつつ観てみると。あはは。なんじゃこりゃ。この作品のテーマは「門前の小僧 習わぬ経を読む」ですかね。いや、いい話です。主人公の向上心の無さにイライラさせられつつも結構夢中になって観てしまいました。イヤ恐るべし、少林寺映画。「1年経った」だの「3年経った」だのと軽々しく言う、このリアリティの無さ。時間感覚を完璧に破壊してくれます。しかし、この映画の根底には、搾取される労働者の身悶えするような怒りが、沸々と滾っている。まさにプロレタリアート映画と呼ぶに相応しい傑作である。ってどこがやねん。ま、ケチな雇い主をトッチめるだけの、何ともスケール感に乏しい映画ですが、クライマックスの大立ち回りは見ごたえあり、です。ではどうぞ。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2005-08-24 23:55:48)
3037.  無問題(モウマンタイ)
これはすばらしい! この陰影に富んだ映像! 華やかな映画スタントの世界を一歩離れれば、パッとしない薄暗い日常、しかしそこには必ず微かな光が射している。この陰影に溢れた世界、そこには男の孤独があり、男の哀しいサガがある。まさに一大映像叙事詩と呼ぶに相応しい映画ではなかろうか。オカムラサンの明らかに不必要で過剰と思われたセリフ、これだって実は、ここでは必然性を得ているのだ。そう、このダサさこそが本作の命。モテなくったっていい、オクテだっていい、ダサくドン臭く、しぶとく生きて行こうじゃないか。ほろ苦く、切なく、そして闇の中でキラリと光芒を放つ、愛すべき作品である。え?そんなに褒めちゃっていいのかって? 無問題、無問題!
[地上波(字幕)] 8点(2005-08-23 23:23:16)
3038.  3人のゴースト
ディケンズの「クリスマス・カロル」、昔読んだときにも、正直、もひとつピンと来なかったんですけど、コレを現代に置き換え、ドタバタと特撮を絡めてみました、という、さらにピンと来ない映画。主演がビル・マーレーにカレン・アレンっちゅうのが、どうも脇役臭がただよう原因か。で、ですね。この映画、どうやって楽しむのがいいか、と言いますと、主演がビル・マーレーだと思って観ちゃ、いけませんね。頭の中で、主演を、日本の某放送局のアノ社長やコノ会長、あるいはアノ放送局系野球チームの元オーナー、はたまた放送局の買収をしかけて社会問題にもなったあのIT系社長、などなどに、置き換えて、楽しんでみましょう。ホラ、なんだか楽しくなってくるではないですか・・・。
[地上波(吹替)] 6点(2005-08-23 00:07:47)
3039.  第七天国(1927)
まあ、とりあえずエエ話ですな。ツボにはまったメロドラマなもんで、無声映画であることを観てて忘れてしまうほど。ディアーヌが姉に追われるシーンや、階段を上るシーンの撮影、こういった場面でのカメラの遊び心、まずは唸らされるが、それにとどまらず、この立体感、コレが本作では重要。「第七天国(←チト誤訳っぽい気もするが)」であるアパートの一室から見下ろす、「社会」の俯瞰図の透明感。これを見てしまうと、ラストは当然、ディアーヌが足を踏み外して転落死するという悲劇的ラストを予感してしまうわけだが、当然またも私の予想は全く当たらない(笑)。くそ~。それはともかく、自由に階段を上って7階から地表を見下ろすカメラ、はたまた二人のママゴトみたいな擬似新婚生活を出歯亀するカメラ(いやあ。観てて、何か、気恥ずかしい・・・)、この、アラユル障害を乗り越え、空間を超越したカメラが、後半、戦場とパリに別れた二人を、しっかり結び付けてくれているのですね、ニコニコ。よってメロドラマがさらにいっそう燃え上がるのでありました。それにしても。ワタシも生まれてこの方、「好きだ」なんて言葉、言ったこと、一度もないですなあ。ぶはははは。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2005-08-22 23:57:34)
3040.  直撃地獄拳 大逆転
先日、関西の某放送局が、自局主催のイベントに合わせて「なぜか」コレを放送しておりました。ので! 堪能させていただきました。いや、実にアホで、すばらしいです。ちなみに、放送後の解説では、本作と『キル・ビル』との関連が指摘されておりましたが、具体的にどこが引用されていたのか、ちとわかりませんでした。しかし、本作のセスナ機のシーンは、スピルバーグが複数の作品に引用している、ということだけはわかりました(そんな訳ないか)。あと、しつこいようですが、金庫破りの方法は、『エントラップメント』より百倍は優れていると思いマス。というわけで、日本映画が世界に誇れるような、はたまた世界から隠したいような、そんな作品です。少なくとも、人に勧められて見るような映画、ではないですな、これは。
[地上波(字幕)] 8点(2005-08-20 14:29:58)
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