3101. 幸せのちから
《ネタバレ》 この主人公の出だしは確かに不幸なのだが、それは、金がないから不幸なのではなく、旦那の収入がないのを面と向かって平気で罵倒するような配慮のない家族がいるのが不幸なのです。その辺がごっちゃにされているので、出発点に説得力がありません。また、その後努力して採用に至る過程がこの作品の焦点なのでしょうが、知識や技術を取得する中で存在するはずのディテールや専門概念を省略しているため、その部分にも現実味がありません。それと、全財産21ドルから立ち上がるとかキャッチにあったような気がするけど、これって全財産が21ドルになるまでの方が大半を占めてない? [CS・衛星(字幕)] 4点(2009-03-09 02:31:26) |
3102. シェルブールの雨傘
《ネタバレ》 台詞が全部歌なのはよいのですが、肝心のその歌自体が、すでにある台詞にただ音程をつけただけであって、歌としてきちんと独立していません。なので、見ていて(聞いていて)苛々しましたし、せっかくの前半のハッピーなラブロマンス部分も、リズム感を大きく削がれています。ただし、終盤の突然のメロドラマ部分は強烈だったのと、原色強調の色彩感覚は作品にマッチしていたので、そこに各+1点。 [映画館(字幕)] 6点(2009-03-09 02:01:24) |
3103. グレイスランド
《ネタバレ》 エルビス云々を除けば、出先で起こる出来事やその描写のパターンはとてもありがちです。つまり、設定によりかかりすぎているということです。それによって主人公がどのように成長して変化していったのかという着眼点こそがほしいところでした。ブリジット・フォンダ様のナイスなステージに5点。モンローメイクでの登場にはこりゃしまったと思いましたが、やはり可愛らしいですね。 [DVD(字幕)] 5点(2009-03-05 02:42:10) |
3104. ペーパー・チェイス
《ネタバレ》 ひたすら勉強し続ける学生、そしてそれに精神的スパルタともいうべき試練を与え続ける教授(もっとも、彼にとっては「それが当然」で、特に厳しくしているつもりはないのだろうが)というだけの構成で映画を一本作ってしまっているのが凄い。こんな作品はほかにあるんでしょうか。いろいろな場面で、さりげない一言ですべてを表している教授の造形が見事。学生たちは描き分けができているとはいえないし、進行も平坦なようにも思えるが、この壮絶な世界を何もひねらずにそのまま対象としてしまった制作者の根性の前には許す。 [DVD(字幕)] 7点(2009-03-05 02:27:11) |
3105. プリシラ(1994)
ロード・ムービーの一番悪い部分がそのまま出てしまった感じ。途中で起こる出来事が、単にその場をつないでいるだけであって、あってもなくても結論を左右しない、つまり必然性がないのです。3人のオカマとという設定と、やたら派手なだけの衣装に寄りかかってしまった感じ。選曲も有名曲ばかりで面白みがない。 [DVD(字幕)] 4点(2009-03-04 02:06:38) |
3106. 大統領の陰謀
《ネタバレ》 素材としては面白いものになるはずなのですが・・・一番見ていて困ったのは、主役の2人がほとんど同じような描写しかされていないということ。これではこの2人をあえて投入する意味がありません(演技の相性もあまりよくない感じ)。実在人物だから難しいのかもしれませんが、もう少しキャラクターを作り込んでほしいところでした。また、全体の流れも、似たようなシーンの繰り返しが多く、主人公たちがどこで何を考えたのか、どのような困難に立ち向かったのかがあまり掘り下げられていません。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-03-04 01:53:12) |
3107. わが谷は緑なりき
あれもこれも手を拡げたあげく、いつの間にか勝手に完結してしまった感じ。家族生活上のいろんな問題点や障壁が出てくるのですが、どれも顔見せ程度ですぐに次にいってしまう。なので、制作者に都合の良い進行にしか見えません。大体、タイトルからして自分に浸りすぎですよね。とても退屈でした。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2009-02-28 02:07:34) |
3108. サンダカン八番娼館 望郷
《ネタバレ》 事実の持つ圧倒的な説得力に言葉を失う。近代日本の黒歴史の陰で辛酸を嘗め続け、そして誰からも気づかれることなく忘れ去られた名もなき一般の民に誠実に光を当てた監督の(そしてもちろん原作者の)姿勢にまず敬意を表したい。現在、取材時点、そして回想の3つの時系列が巧妙に交錯し、その中で、現在に生きる私たちにも、重みを持って歴史を振り返ることができる仕掛けになっている。娼館の描写は、必要以上に湿っぽくせずにポイントを絞っているが、それでも元娼婦たちの苦難は伝わってくる。それは、最初に彼女の居宅であるあばら家を映すだけで、すべてが表現されているからである。そしてもう一つ、このドキュメントの重要な点は、内容はもちろんだが、それが明らかになった過程にある。当時はもはや誰もが忘れていた、もちろん当事者たちも決して語りたがらない、普通に聞きに行くだけでは誰も答えないであろう対象事実について、原作者は、誰もが躊躇するであろうあばら家(原作では、ムカデが畳の上を平気で這い回っていたとあった)に腰を下ろし、横になり、生活をともにすることによって信頼され、話を聞くことができた。その辺の経緯がきちんと描写されているのも素晴らしい。そして、このような事実の重みに真摯に向き合っていった俳優陣の頑張りについても讃えたい。 [DVD(邦画)] 8点(2009-02-28 02:02:40) |
3109. ランブルフィッシュ
《ネタバレ》 ミッキー・ロークとマット・ディロンの憂いをたたえた横顔がたっぷり見られるだけでOK。この存在感はそれだけで芸術品ですね。兄弟関係の描写についても、言葉が少ないだけ、かえっていろんな感情や思いやりが伝わってきます。また、ダイアン・レイン扮する彼女と途中で破綻していて、普通の青春映画ならどこかで和解してめでたしめでたしなのですが、それを容赦なくそのまんまにしているのも凄い。 [DVD(字幕)] 6点(2009-02-27 03:17:47) |
3110. 怒りの葡萄
この作品の登場人物が体験しているドラマはかなりのものがあると思うのだが、画面上の表現としては何とも地味な感じで、与えられたシーンをそれぞれが順々に喋っているようにしか受け取れない。この理不尽な環境からいえば、もっと絶望や激情、そしてそこからの再生があるはずでは?見ていてあまり気持ちが盛り上がりませんでした。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2009-02-27 03:00:36) |
3111. ジェヴォーダンの獣
前半部分でスリーピー・ホロウの出来損ないっぽいなあと思っていたら、途中では筋が引っかき回されてごちゃごちゃになり、さらにインチキカンフーまで堂々と登場するのに失笑。誰が何を作りたくてできた作品なのか、さっぱり分かりません。衣装関係の無意味な頑張りに3点。 [DVD(字幕)] 3点(2009-02-23 02:02:13) |
3112. 麦の穂をゆらす風
《ネタバレ》 激動の時代背景、主人公の闘争に満ちた人生の割には、作品の描写範囲はこじんまりとまとまってしまっている気がしなくもない。ただし、この作品で一番優れているのは、英愛条約成立後に賛成派と反対派でディスカッションを行うシーン。ここで手を抜かなかったことにより、一本の筋が通り、ドラマとして完結することに成功している。 [DVD(字幕)] 7点(2009-02-22 03:16:31) |
3113. ファニー・ガール
《ネタバレ》 前半のサクセスストーリーチックな部分と、後半の恋愛譚とが今ひとつ適合していません。したがって、テンポも合わなくなり、必要以上に長くなってしまった感じ。バーブラは、歌の上手さはともかくとしても、歌っているときに歌に集中してしまって、あまり演技とか動きのことを考えてないですね。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-02-19 22:47:42) |
3114. 女相続人
《ネタバレ》 「単純なものほどインパクトは大きい」を地で行くラストが実に強烈です。暗黒の地底から地上に戻ってくるかのような階段のカット(中盤の同様のアングルとの対比も)、そこに浮かぶヒロインの悪魔の笑み、扉をたたく男に容赦なく被さるエンドマーク。よく見ると、ヒロインは最後の会話で愛しているとも結婚するとも言っていません。恋愛前の行き遅れの表現も含め、オリヴィア・デ・ハヴィランドの功績によるところが大きいですね。また、それに至るさりげない心理戦の連続の描写も見事。 [DVD(字幕)] 7点(2009-02-18 01:15:30) |
3115. ザ・インターネット
《ネタバレ》 非力な女性がネット技術を利用して巨大な敵に挑む頭脳戦!・・・かと思っていたのですが、ネットでどうこうするシーンは案外少ないですね。むしろ、追いかけっこで引っ張っている部分がやたら多いです。遊園地のシークエンスなんて全部いらないんじゃない?最後が結局定跡通りの銃弾&肉弾戦というのも、こだわりが感じられません。 [DVD(字幕)] 5点(2009-02-17 02:39:29)(良:1票) |
3116. あの夏、いちばん静かな海。
静寂の極みに挑んだかのような実験的手法はなかなか新鮮なのですが、そればっかり最初から最後まで繰り返されると、途中で飽きてきます。画面の構図が似たような感じのものが執拗なほど多いのも気になります。 [DVD(邦画)] 5点(2009-02-17 02:27:11) |
3117. バットマン ビギンズ
《ネタバレ》 ビギンズなんだから説明の部分が多いんだろうなあとは予測していましたが、やっぱりそのとおりでした。前半前置き、中盤バットマンの誕生、終盤アクションと考えれば、当然一番面白いのは中盤なのですが、ここにもっと時間を取って見たかったですね。 [DVD(字幕)] 6点(2009-02-16 00:55:04) |
3118. さらば愛しき女よ
《ネタバレ》 ナレーションの異様な多さに辟易しました。せっかく寡黙で達観した主人公の人格を作っているはずなのに、これでは意味がないのでは?あと、無意味なほどたくさんの死体が登場する内容なのですから、それを無理なく支えるほどの作品世界を構成してくれないと、自然に心に入っては来ないですね。原作を単純になぞっただけのように見えてしまいます。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-02-14 00:36:07) |
3119. マイ・ライフ(1993)
もっと感動できる作品になり得たと思いますが・・・。全体的に、同じようなトーンの同じようなシーンが多く、主人公が人生についてどのように迷い、どのように決断していったのかという点があまり表れていません。ビデオという一本で最後まで引っ張るのではなく、それを通じて主人公の心理の何を表したいのかという視点こそが必要だったのではないでしょうか。なお、「可憐で控えめで慎み深いニコール・キッドマン」というものが見られるという点については、貴重かもしれません。 [DVD(字幕)] 5点(2009-02-14 00:34:46) |
3120. マイ・ガール
《ネタバレ》 内容的にはあらすじからほとんど予想できる範囲内のものなのですが、やりすぎない落ち着いた描写の積み重ねで、少女の日常をきちんと作り出しています。みんながいい人たちばかりで、あまりにも破綻がなさすぎなのが少々物足りないかな。定番っぽい演出とはいえキスシーンのところがやはり良いです。 [DVD(字幕)] 6点(2009-02-12 00:29:19) |