301. 8 Mile
デトロイトの貧困地区で白人だてらラップのMCバトルに挑むエミネム、かっけえなぁ。それでも家庭環境や今後の事でちゃんと等身大の悩みも抱え、あがいている。滅多に弱みは見せないけど、珍しくダチに向かって「いつ夢に諦めをつければいい?高望みを捨てて地に足をつけるのはいつだ?」と自虐を吐く。するとそいつは「まだ朝の7時半だぜ」と答えるこいつもかっけえ。兄のように父親のように弟のように、みんな仲間がいい奴だ。ただ女運が悪過ぎ。それもエミネムなんだろう。そしてミュージシャンなのになんで演技うまいんだろう。うまいと言うか、オーラがある。いい役者だったと思う。最後のMCバトルの決勝は役のラビットではなく、演技抜きのエミネムだ。そりゃあアンソニーマッキーが勝てるわけない。あの、ビートより微妙ぅに遅れたテンポで刻むフロウは天才の所業。久々にがっつり聴きたくなった。 [地上波(字幕)] 7点(2008-09-26 22:03:51) |
302. 黙秘
《ネタバレ》 娘のために夫を殺害せねばならなかった女、悪態をつき性悪を演じ自分を防御しなければならなかった女、なり振り構わず娘のことを一番に考え続ける女、そんな“ドロレス・クレイボーン”の生き方を描いた作品。女の幸せとは、母親とは、というヒューマンドラマであるはずなのに、この「黙秘」という法律用語のような邦題は何なんだろう。本題を逸脱する程のセンスの無さには呆れるが、悲しくも強い母を演じるキャシーベイツは最初から最後まで素晴らしかった。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2008-09-25 22:09:47) |
303. 20世紀少年
娯楽として「映画」が好きか「漫画」が好きかによって評価が分かれると思う。原作を読んでいるか否かも重要だが、読んでいても原作(漫画)に対する思い入れが高ければ高いほど、それに反比例して本作(映画)の評価は低くなってしまうものだろう。私の場合「映画」も「漫画」も好きで、原作もそこそこな感じで読んだのだが、漫画原作の映画化にしてはかなり良かったと思う。現存する天才の内の一人である(と私は思う)浦沢直樹の超大作を、本人が大いに携わって作られた本作だけに、まんがの1コマ1コマがそのまま映像化されていて、二次元で見たお話の世界が現実になってしまったような恐怖を感じた。全く読んでいないと置いていかれそうな展開の速さ、一つの作品として楽しめるかと問えば、当たりはずれに関わらず最初から三部作と謳ってしまっている時点で端からそんなつもりも無い。一作としての完成度だけを測ると確かに完璧とは言えないが、原作が持つ謎めいた独特な雰囲気、ノスタルジーと記憶の矛盾のような歯がゆさは十分伝わってくる。三作全てを見終わってからでないと評価は出来ないのではないか。スタッフの皆さん、気を抜かずに最後まで頑張って作ってください。 [映画館(邦画)] 8点(2008-09-21 18:23:42) |
304. ハムナプトラ/失われた砂漠の都
《ネタバレ》 B級と言われながらも大ヒットしたらしいですが、やっぱりB級でした。 [地上波(字幕)] 5点(2008-09-11 21:00:35) |
305. ミスティック・リバー
《ネタバレ》 幼なじみのアンハッピーエンド。そう表現すると何て気が重くなるストーリーだろう。 彼らはお互いに「あいつは友達なんかじゃない」と言い合う。友達であった頃のことを忘れたくて、否定して、それぞれの今を消化するしかないというような生き方が切ない。それにしても完全に縁を切ったわけでなく、互いの家族のことや近況を把握しているのは、付かず離れず無二の存在だったことに間違いない。25年前の事件がどんな事件だったかは具体的に伝えられていないが(テレビ放送だから?)、変態おやじによる強制変態事件によって、その後の三人と家族たちの運命が変わってしまうという、人間の運命の「たられば」「if」を描いている。考えようによっては重厚というより、人生のはかなさや運命の軽さを表現しているのではないだろうか。人生の酸いも甘いも噛み分けたイーストウッドの皮肉な人生観なのか。私にはそう見えてならない。演技派の三俳優の競演は嬉しい限りだったが、大好きなケビンベーコン(ショーン)が普通の刑事で物足りなかった。大人ジミー(ショーンペン)の髪型が少年ショーン(名前が紛らわしい)と同じだったのがまた紛らわしい。どうでもよいが。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2008-09-05 22:53:53) |
306. アリスの恋
《ネタバレ》 作者は男性性悪説論者なのかと思うくらい、出てくる男がみんなワル。ワルい男を描くのは既に得意だったのだろうかスコセッシ。元夫もハーベイカイテルも農場のテッドも自己中だし、十二歳の息子ですらかなりの曲者。ウエイトレス仲間の父親までもがちょっと変。そんな男共に何度も泣かされつつ、それをバネに逆に頑張る未亡人アリスが不憫だが面白かった。そう、泣いても怒っても、何だか可笑しく深刻にならない。夫が死んで主婦友との涙の別れのシーンで互いの息子はあきれ顔。運転中怒っていても息子は馬鹿話で茶化す。馬鹿話にはムカついても憎めない。トイレで泣いてウエイトレス仲間に相談しているときに、店で気弱な同僚ウエイトレスが奮闘する場面を挟む所などは面白くて大好きなシーン。結構悲惨な状況なはずなのにほのぼのしたロードムービーに仕上がっているのはやっぱり監督の手腕だろうし、その方向性はセンスがいい。間違ってないなと思う。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2008-08-26 14:49:56) |
307. カンフー・パンダ
《ネタバレ》 ジャックブラックやダスティンホフマンの字幕版を見たかったのですが、近所の劇場は吹き替え版しかやってなかったので、子連れで鑑賞。ポニョとの観客動員数は比べものにもならず、期待度は下降する一方。で、こちらの主人公ポーは、可愛いと言うより肉可愛い?つーか憎可愛い?身体はポニョよりぽにょぽにょしていて、たまに表情が悪い顔になるところがナイスです。悪役タイランとヒーロー役マスターファイブのつり橋での戦いは凄かった。タイラン早!強!で、ポーと戦ったときのタイランは…?あれ?弱いぞ。スケールがぜんぜん違う。ポーそれで勝ってもねぇ。爽快なカンフーよりギャグに徹してしまいましたね。でも数少ない観客の中の子供たちが時折無邪気に笑っているのを聞き、幸せなひと時を感じました。うん面白かったよー。マスターファイブがタイガー以外弱そうな動物揃いなのも面白い。カマキリって…。 [映画館(吹替)] 7点(2008-08-05 16:28:50)(良:1票) |
308. 崖の上のポニョ
《ネタバレ》 子供向けであるという前触れだけで、何の予備知識も無いまま「ポニョ」に会いに行きました。「ポニョ」いう不思議な魚が海を泳ぎ陸に上がり、少年と出会う。巨大な海中世界の美しさ、地上を襲う大波の荒々しさ、少年宗介とポニョのやり取りの可愛らしさは、子供が楽しめる子供向けのおとぎ話として高得点をたたき出していると思います。で更に、私達大人の心をも捉える話の奥行きもちゃんと備わっています。宗介は五歳の子供でありながら立派な海の男で、でっかいロマンと希望に満ち溢れています。ポニョは元気で純粋な女の子で、宗介に一目惚れした人魚姫です。二人は大恋愛の末結ばれる、まさに大人顔負けのハッピーエンドです。不思議がいっぱい残る気もしますが、子供はこの不思議を受け入れるし、大人が突っ込む部分でもたぶん受け流して見れるのでしょう。子供向け映画のプロが作った大人も楽しめるスゴい作品でした。同じく海のお話でも「ニモ」とは表現方法が全く違い、どちらが素晴らしいというわけではないし、私ごときが言うまでもないが、ピクサーのスタッフには見てほしい。ジャパンアニメの原点です。 [映画館(邦画)] 8点(2008-08-02 15:43:19)(良:1票) |
309. キル・ビル Vol.1(日本版)
想像を絶する。とにかく何が何だか、の連続。超現実=シュールを超えた超シュールとでも言おうか。突然のアニメーション、ヤクザの会合での同時通訳、ユマサーマンとルーシーリューの変な日本語、日本刀を機内に普通に持ち込んでるし。違和感だらけの展開で、タランティーノの才能と趣味に付いて来いやという感じがちょっとイヤ。カメラワークと音楽はかっこいいが、それだけな作品。血も出過ぎ。ただ栗山千明は変な役だったけど演技が光っていたような気がする。 [地上波(字幕)] 4点(2008-07-11 09:05:28) |
310. 抱擁(2002)
《ネタバレ》 グイネスパルトロウは中世の貴族みたいな雰囲気で、お相手の少々粗野な感じのアーロンエッカートとは違和感を感じた。見詰め合っていても別次元にいるみたいな二人は、19世紀の恋愛と現在の恋愛が同時進行することを示唆しているのか。単に子孫だからということなのか。とにかく二人がお似合いとは思えなかったのだが、19世紀の恋愛のほうは悲しい結末だった。最後、実は子供の存在を知る事が出来ていたんだー良かったー手紙も渡せて良かったーと思っていたら、なんと手紙ポロッ…って!おいっ!子供!しっかりしろよ!と突っ込みつつ、なんて悲しいラストだろうとため息をついた。 [地上波(字幕)] 6点(2008-06-30 17:28:03) |
311. デッド・カーム/戦慄の航海
結構怖かった。勇敢な妻VS爽やかなゾンビ 馬鹿犬は最後まで馬鹿だった。 [地上波(字幕)] 6点(2008-06-26 15:02:32)(笑:1票) |
312. インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国
《ネタバレ》 インディ・ジョーンズのシリーズはそもそも魔宮とか秘境の伝説とか新興宗教的非現実的な世界を追求?する話なので、ツッコミどころ、あり得ない事満載だからと言って批判したくはないです。更に、ジョーンズ博士は考古学博士なので、その見地から反れる事無くナスカの地上絵とそれにまつわる宇宙人説が浮上しても不思議は無いと理解します。そのロマン溢れる地上絵と宇宙人の関係が、凄すぎるアクションによってかき消され、曖昧なSFオチになってしまったのは少々残念な感もあります。ルーカスとスピルバーグという双頭がもしもナスカの地上絵に対してもっともっと斬新な仮説を立ててしまったならば、私達はそれを甘んじて楽しむことが出来たかもしれません。アクションはこれ以上無い程素晴らしかったが、最終的なSFの部分で「宇宙と宇宙の間の世界」とか、自信の無さげな部分が垣間見れてしまい、中途半端な感じになってしまったことが残念なのです。ルーカスとスピルバーグによるSFファンタジーとしてはパーフェクトだと思いますが、アクションムービー・インディジョーンズの枠をはみ出す事無く表現するにはこれが限界だったのでしょう。シリーズの続編を期待すると同時に、二人の更なるSFモノを渇望してしまいます。 [映画館(字幕)] 9点(2008-06-25 21:48:37)(良:1票) |
313. ALWAYS 三丁目の夕日
懐かしアイテムと小エピソードの羅列みたいな作りだが、そこがうけたのだろうか。難しいこと考えずに、日本が一番元気だった時代とその時代に生きる元気な日本人を羨ましく思う。そんな作品。 [地上波(邦画)] 6点(2008-06-23 09:21:20) |
314. ザ・マジックアワー
いや~、笑いました。こんなに笑った映画は今まで無いくらい。密室群像劇が得意な三谷監督の作品は、主人公が誰なのか判断しにくいことが多かったけど、今回は圧倒的に佐藤浩市でした。彼を中心にそれぞれの思惑を持った登場人物が動き回る。中心にいる佐藤扮する村田はとてもピュアでタフでチャーミング。とにかく魅力的な主人公だった。ナイフ舐めなんかも宣伝で飽きるほど観たのに、それでも爆笑してしまうのは何なんだろう。二回目三回目はもうやめてというくらい大爆笑だった。無理のある設定に説得力を持たせる脚本の力にも感動する。守加護の町は美しく、そこだけが隔離されたおとぎ話の世界のようで、やはり密室的に仕上がっているところは監督らしい。ラストも爽やかで監督らしい。期待通り裏切られない作品だったが予想外だったのはやはり佐藤浩市の大きな存在感。他キャストも妻夫木、寺島、小日向をはじめ、それぞれみな良かった。それぞれの「マジックアワー」がそこにあった。 [映画館(邦画)] 10点(2008-06-17 08:54:03) |
315. グリーン・カード
グリーンカードが欲しい男とグリーンハウスが欲しい女で、偽装結婚から芽生える恋愛ものを作ろうという思い付きから出来たのだろうか。いかにもな分かりやすい安易な展開。でもそこそこ楽しめたのはキャスティングと設定が良かったからでしょうか。見た目ゴツくてお世辞にもイケメンとは言えない野獣系だけど、案外繊細で心優しい芸術家の男と、見た目何処にでもいそうなごく普通な女性だけど、緑化運動とかデモとかやったりベジタリアンだったりするちょっと可愛くない女っていう設定にこのキャスティングがぴったりでしょう。徐々にブロンテを好きになっていくジョージが妙に可愛らしく思えた。 [地上波(字幕)] 7点(2008-06-12 14:34:12) |
316. 老人と海(1958)
《ネタバレ》 原作は恥ずかしながら未読。しかし文学的に素晴らしいものを映像化した時、必ずしも面白くなるとは限らないという典型なのだろう。海を女性に例え、風を友達に例え、獲物を兄弟に例える老人。過酷で孤独な四日間の戦いに勝ち、サメに襲撃され無駄と分かっていても果敢に抵抗し、遠出しすぎたと反省し、自分の運の無さを嘆き、そもそも運とは何だと自問する老人。そんな文学的作品を荒い映像技術で汚してしまった感じ。スペンサートレイシーの熱演だけでは立ち向かえない、技術の壁があったのは明らか。原作読みます。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2008-06-11 16:37:41) |
317. ニューヨーク・ストーリー
ニューヨークとそこの監督を集合させたオムニバスで、三作にリンクするものはない。皆さんはどの監督が好き?というプロモーションかプレゼンといった感じ。当然好みは分かれる。で私はアレン>スコセッシ>コッポラ でした。 [地上波(字幕)] 4点(2008-06-10 16:30:41) |
318. スコルピオンの恋まじない
《ネタバレ》 良くも悪くも舞台劇である。舞台映画の職人である。まず、「催眠術にかけられて無意識に泥棒しちゃう男」の話を作ろうと思い立ったのだろう。「ある男」役ウッディアレン、「相手方・才女」役ヘレンハント、「美女」役シャーリーズセロン。もはや誰でも良く彼にしてみれば漠然とした象徴にすぎないのだろう。リアリティは求めず、盗んだ宝石がいかにもおもちゃでも、それは「盗んだ宝石」という小道具でしかない。防犯システムも、これが「防犯システム」なんだよという説明だけで全くリアリティが無い。催眠術にかかったときの演技も、んなバカなという演技だがこれが「催眠術」なんだよというゴリ押し演技。そもそもあんなゴージャス美女がねずみ男に一目惚れするわけないし、天敵だった鉄女が催眠術無しで寝返るわけも無い。で何が言いたいかというと、彼の作品にリアリティは無く、その代わりにロマンチックが満ち満ちているということ。それが彼のスタイル。職人なのである。 [地上波(字幕)] 6点(2008-06-08 13:42:04) |
319. 白銀に燃えて
雪景色に機関車の白煙、そして犬ぞりの力強い走りの映像はなかなか芸術的。少年が悪いオヤジたちに囲まれ人間不信になったり、悪そうな面構えのボス犬ガスと信頼関係が生まれたりしながらゴールを目指す。単純な話だけど実話に基づいていることもあり、最後まで応援しながら見てしまった。ゴールインのシーン、スローモーションがスロー過ぎて、もういいって!って若干冷めてしまったのが難点。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2008-06-06 18:04:40) |
320. ロッキー3
《ネタバレ》 Ⅰ、Ⅱの感動は何処へ?バイエルン、イッツァスーパースターなロッキー、ハルクホーガンとプロレスするロッキー、アポロと海辺で戯れるロッキー、銅像ロッキー、どれを取ってもさむい。リベンジで強すぎるロッキーとアイオブザタイガーはかっこいいがそれ以外に良いところは無い。これではミッキーの死も報われない。 [地上波(字幕)] 4点(2008-06-02 16:35:06) |