301. 赤い風船
《ネタバレ》 絶賛の嵐の中、書きにくいのですが・・・。私には、この映画はかなり怖いです。映像や音楽の美しさはナルホド素晴らしいと思うのですが、あの赤い風船に心が宿ったかのような(というか、宿ったということなんでしょうね)物語の運び、しかも最後、心配しながら見ていた通り、風船たちにどこかへ連れて行かれてしまった少年・・・。あの後、あの少年はハッピーなんでしょうか? 私にはそうは思えないのです。風船が人形だったらホラーじゃないでしょうか? 子どものころ見ていたら、また違う感想だったんでしょう。恐らく、こんな風にしか感じられない私の感性がおかしいのでしょう。でも、あそこまで少年に執着する赤い風船も、あのラストも、やっぱり私には「ファンタジー」で片付けられない「何か」を感じてしまって、感動などできませんでした。 [ビデオ(字幕)] 6点(2008-11-04 15:01:13) |
302. マグダレンの祈り
《ネタバレ》 なんともはや憤懣やるかたない映画。アイルランドの恥部と言われているらしいこの収容所の話、映像化するだけでも意味があったと思う。先日見た『4ヶ月、3週と2日』もそうだが、性的問題において、性交渉の結果妊娠する側の女性は、本当に不条理な扱いを受ける。オトコは放出して終わり。そして、一緒になって糾弾する側にまわる。お気楽で羨ましい限りだ。常々、妊娠する確率が男女50/50だったらどんなに世の中真っ当になってたろう・・・、と思う。この映画は決して前時代の話じゃない。映画ではカトリックの修道院が舞台だけど、性的な被害に遭う女性に「お前に落ち度があった」と責める構造はゼ~ンゼン変わっていないもの、日本でも。宗教という媒体があろうがなかろうが同じこと。たまたまカトリック修道院というコンバーターを通してそれがデフォルメされた形で表出しただけ。不謹慎かもしれないけれど、妊娠させた男やレイプした男たちを収容し、「避妊の仕方」とか「性欲の抑え方」を不条理なやり方で徹底的に教育する、というパロディー映画作ったらいいのに、などと思った。 [DVD(字幕)] 7点(2008-10-29 15:07:36) |
303. チャーリーとチョコレート工場
説教臭い映画で、嫌味この上ない。こういうのはブラックとは言わない。笑えない。サイケな色彩とCGで斬新な映像を作りながら、中身はチョー保守的道徳教科書並み。ジョニー・デップも何だかキモイ。子ども向けに作ったのかもしれないが、子どもに対する仕打ちがコワ過ぎる。面白みもなく、悪趣味。不愉快。 [DVD(字幕)] 3点(2008-10-27 14:21:42) |
304. ライフ・イズ・ミラクル
《ネタバレ》 動物、音楽、空飛ぶベッド、戦争、愛、エゴ・・・などなど、やっぱりクストリッツァワールド全開でした。ロバちゃんは、きっと最後に何か意味のあることをするはずだ、と思ってみていたら、案の定、ラストにご登場! でした。珍しく、音声に吹き替えの日本語版があり、オドロキ。思わず、日本語版で一部見てみたけれど、な~んか、違和感ありました。あの世界観を音声だけで再現するのは、いかな手練の日本の声優さん方でも難しかったのでしょうな・・・。ご苦労様です。 [DVD(字幕)] 8点(2008-10-27 13:57:19) |
305. 機械じかけの小児病棟
それほど怖くはないのだが、ハラハラドキドキはします。ストーリー的にはよく出来ているし、映像も音楽もgood。イマイチなのは邦題。子どもの悲しいお話がベースのホラーは切ないです。 [DVD(字幕)] 7点(2008-10-24 16:16:38) |
306. ゆれる
《ネタバレ》 所々、セリフが聞き取りにくく、演出のぎこちなさを感じる部分もあるけれど、それぞれの心理描写が過剰でないセリフと巧みな映像、演技でなされ、見応えがある。・・・が! これはタケルの究極ナルシシズムに周囲が翻弄される、いわば、大迷惑野郎タケルの自己陶酔映画、とも言えるんじゃない? そもそも個人的嗜好として、私はタケルの様なオトコが大ッ嫌いなので、ああいう優男と簡単に寝るチエコに同性として全く共感できないのだ。とはいえ、チエコが激しくミノルを拒絶する心理は非常によく分かる。女性は、生理的に受け付けないオトコに、どこまでも残酷になれる生き物なんだよね・・・。こういう感覚、男性にはあまりないらしく、理解しがたいもののようだけれど。また、キモさを香川照之が実に上手く出している。あの髪型、猫背加減、上目遣い、卑屈なニヤニヤ笑い、ボソボソ喋り・・・etc。うーん、昔から憎からず思っているオトコとの情事の翌日に、あんなキモ男があんな近くに寄ってきたら払い除けたくもなるわな。それにしても、証言を翻すのも、ラストでバカっぽく叫ぶのも、ちょっと??・・・まぁ、「ゆれる」タケルの心、ってことなのかしらん。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2008-10-24 13:51:12) |
307. フラガール
役者さんたち、よくフラを踊りきりましたね~。お見事! 感心しました。少し前に、NHKアーカイブスでこのハワイアンセンターの開業に至るまでを記録したものを見ました。あれを見ていたせいか、この作品は、あまりに作り込みすぎていて白けました。展開は極めてありがちなもので、見ている方が恥ずかしくなる・・・。でも、一番驚いたのは、先生が帰ってしまうシーン。一旦電車が発進した後、止まって、先生が降りてくる。バスとかタクシーならよく使われる手法ですが、電車止めちゃうんだもん。スゲェー。しかも、止まったまま再発車しないの。田舎だからダイヤなんかどーでもいい、ってか? とにかく、イロイロ恥ずかしい映画でした。 [地上波(邦画)] 4点(2008-10-16 13:49:01) |
308. キサラギ
よく考えられた展開だとは思うが、よく出来たシナリオとまでは思えない。これは、「結」を先に考えれば、いくらでも作りこめてしまうネタばかりだからだと思う。ストーリーありきで、各人物の印象が押並べて薄い。全て、ストーリーを展開させるための「駒」扱いなんだよなあ。そこがこの作品の奥行きのなさの理由だと思う。もとが舞台の戯曲だったせいもあるだろうが、映画を見ていると言うより、やっぱり舞台を見ている印象で役者の演技も過剰気味。同じ戯曲なら、『笑ひの大学』の方が比べ物にならないくらい優れていると思うし(あちらも映画は失敗だったと思うが)、映画としてみたら尚更、底が浅い。こういう密室劇は、ネタバレしていても面白くなければ作品としてはダメだと思う。本作は、一度見てしまえばそれで十分。ラストシーンは完全に蛇足。 [DVD(邦画)] 4点(2008-10-16 12:00:43) |
309. つぐない
こういう作品を題して「雰囲気映画」と、私は呼んでいる。雰囲気美人の映画版・・・、ともちょっと違うか。美しく見せて高尚な文芸作品ぽいけど、実は中身はスカスカで。キーラ・ナイトレイはそもそもあまり色気のある女優ではないと思うのだが、なんだかこの作品では美しさが激減しており衝撃的。おまけにジェームズ・マカヴォイなる俳優も個人的に趣味じゃないので、2人の恋にもあんまり「感じ」なかった。『つぐない』という邦題はいただけない・・・。原題どおり『贖罪』でしょう、この内容は。 [DVD(字幕)] 5点(2008-10-15 16:07:59) |
310. ハウルの動く城
この度のTVオンエアにて初見。あまり評判のよろしくない本作のようですが、割とすんなり見ることが出来ました。と言っても、ストーリー的にはよく分かりません。ソフィーとハウルは出会うことが約束されていた「運命の2人」だった、んでもって、ソフィーの愛の力でハウルはまともな心を取り戻した、ってな感じですかね。え? ゼンゼン違う? まあ、子ども向けに作ってないことは確かでしょう。だってこれ、恋愛映画だもんね。で、宮崎氏は、図らずも恋愛描写ベタを露呈してしまったんだね。本作でよ~く分かったのは、宮崎氏にとって、女性というのは、母のように全てを受け入れてくれる聖女か、100%悪女の2種類しかいないんだね、ってこと。そもそも、愛がテーマなら、何より「プロセス」をきっちり描かないと。途中、ハウルはソフィーに母性を求めているとしか思えない描写が延々と続くけれど、これが2人の愛のプロセスだと言うのなら、この監督は、本当に「エロスの伴う男女の愛」を直視するのを避けているとしか思えない(不純異性愛とでも思ってんじゃないのかね?)。男女の愛は、母の愛のような「無償の愛」じゃないんだよ。独占欲が支配する結構ドロドロした世界なの。愛されなければ、愛するだけじゃ成立しないわけ。だからこそカブはあえなく自ら身を引いたんでないの? ホント、この人、自己矛盾に鈍いよなぁ。・・・などと、ほとんどどうでもいいことを感じていたのでした。 [地上波(邦画)] 5点(2008-10-08 11:05:23)(良:1票) |
311. リトル・ミス・サンシャイン
《ネタバレ》 変人揃いの家族の中で、母親だけは比較的まともで、娘はまだ純真さを残す。この家族が決定的にバラバラにならないのは、母親の性格に負うところが大だと思います。何より、子どもたちの「ありのまま」を受け入れているところが素晴らしい。これだけで、この家族がひどく病むことはないだろうと思えます。旅に出てからも、まあ、起きる起きる、トラブルの数々。極めつけは、愛するおじいちゃんの突然死。小さな描写の数々が全て意味を持っていて、細やかな作品だと思いました。最後のミスコンの舞台でオリーヴが踊るシーンは印象的。子どもがない色気をムリに身にまとって大人に媚を売りまくるミスコンを、あのおじいちゃん仕込みのお下品ダンスで蹴散らすのは爽快です。嫌味のない素敵な小品でした。 [DVD(字幕)] 8点(2008-09-29 16:06:52)(良:1票) |
312. 4ヶ月、3週と2日
《ネタバレ》 独裁国家=一部指導者たちの欲望を満たすがために、その他大勢の民の人権を平気で蹂躙する、という構図は、避妊もせずにSEXを女性に強要する男獣と同じに見える。この映画に描かれている当時のルーマニアは、人工妊娠中絶だけでなく避妊も違法だったと言うのだから、もう何をかいわんやである。作品を見ながら終始「なぜそこまで・・・」という思いが頭の中に渦巻いた。堕胎のためにホテルの部屋を手配し、医師を連れてくるまでは、まだ理解できる。私でもそれくらいは出来たかもしれない。でもその後の一連の行動は、身内でも躊躇しそうなものだ。ルームメイトとの関係の深さが今ひとつ作品からは図り切れず、ひたすらオティリアが痛々しい。おまけに、恋人の男性も不甲斐ないことこの上ない。挙句、心配して戻ってくれば「お腹ペコペコ」とレストランで食事しているルームメイト。これじゃ、オティリアは救われない。いるんだよな、こういう、自分の浅はかさで他人を物凄い大変な状況に巻き込んでも罪悪感の薄い人間。当時のルーマニアの現実を描いているという点では評価されるべきなんだろうが、見ている方は、ひたすら虚しさに襲われる。あえて救いがあるとすれば、女学生たちが彼女たちなりの楽しみを寮生活で見出していたり、食卓を囲んで楽しく会話したり、ホテルのロビーで結婚式を祝っているなどの、生きる喜びを感じられるシーンが少ないながらも織り込まれていたところだろう。良い作品だとは思うが、もう二度と見たくない。 [DVD(字幕)] 6点(2008-09-29 15:44:59)(良:1票) |
313. 大いなる陰謀
《ネタバレ》 まず、これは「吹き替え」で見るべし、と言いたい。字幕スーパーで見ると、字幕を追うことに終始し、俳優たちの顔さえ拝めない。もちろん、内容を理解するヒマもない。吹き替えで見ると、ようやく、何を論争しているのかが見えてくる。監督の抱く憂国感や、意図すること(アメリカ国民よ、立ち上がれ!ってか)は分かるが、教授が生徒に「Bをやるから云々」と2つの条件を提示する意味が、私にはよく分からなかった。「Bをやる」にどういう意味があるのか? 戦場に行った教え子たちは「B+だった」から? 教授は教え子2人が戦場に行ったことを悔いているのに、トッドに「無関心であるな」と言ってるのは、結局「行動しろ」と言っているのと同義になってない? おまけのあのラスト。この辺、理解力不足なんだろうけど、よく分からなかった。どっちにしても、教授&生徒、政治家&ジャーナリストいずれも、安全圏で机上の空論を交わしているわけで、現地指揮官の「1万5000キロ離れた所で考えてるほど現場はたやすくない」という台詞が一番真実味があって重い。トム・クルーズは野心に満ちながらも浅薄な政治家にピッタリではあるが、お世辞にも知的とはいえない品のないルックスなので、却って逆効果かなー、とも感じた。「イラク・アフガン問題を扱っている」こと以外、何の予備知識もなく見たのだが、途中から、この邦題のマズさを感じさせられる。これなら原題のままの方が100倍ベター。 [DVD(吹替)] 5点(2008-09-25 15:27:17)(良:1票) |
314. 黒猫・白猫
これぞ、「ザ・クストリッツァ」というべき作品でしょう。このガチャガチャ感がタマラナイ・・・。そして、音楽! 素晴らしい!! 100%コメディーで、動物が今度もたくさん出てくるなどイロイロと楽しい要素満載なんだが、個人的には、この映画は「ダダンに始まり、ダダンに終わる」と言ってもよいくらい、ダダンがイイ!! あの顔、ノリ、踊り、歌・・・、彼のキャラに拠るところ大だと思うんですけど・・・。結婚式でコサックダンスしながらオイルですっ転ぶ際のあの顔! 何度も見直しちゃいました。ダダン万歳! あ、あと、忘れてならないのは、男の子がチェスをしているオジサンのハゲ頭を後ろからおもむろに引っ叩くシーン。ああいうのがイイんだよね。彼の映画は基本的に1シーンが長いのだけれど、その長さが決して冗長でなく、無駄な描写でなく、隅々までエネルギーが行き渡っていて「人生は素晴らしい!」を地で行く大好きな映画の一つです。 [映画館(字幕)] 9点(2008-09-24 16:06:17)(良:1票) |
315. ユナイテッド93
まあ、ドキュメンタリーと見紛う危うい映画。綿密に取材を重ねて丁寧に作られた作品であることはよく分かる。一般乗客にとっては、あまりにも不条理な死。でも、これが「記録映画」的に「真実」として大勢の人間の印象に残ることは、ある意味危険かも。製作者たちは誰も現場を見ていない。これが「まんま」あの時起きたことかどうかは分からない。事実をアメリカ側に有利に歪曲していない可能性もゼロじゃない。といって、私はこの映画を根本的に否定する気にもなれないのだが、これを見せられても、正直なところ、緊張感と虚無感だけが伝わってきて、それ以外に感じるものがほとんどなかったのも事実。勇敢に戦った市民たちがいたのだ、という記録のため? 特典映像に各遺族を追ったものが入っていたが、遺族にとっては慰めにもなっていたようだから、それだけでも意義はあったのだろうか。こういう生々しい大事件を後から映像化(TVドラマも含め)する意義って、一体何なのだろう、といつも思う。記録映像ならば分かるが、商業ベースに乗せる意味が、やっぱり分からない。悲劇に群がるハイエナ、と言っては言い過ぎなんだろうし、自分も見ているわけだから同類であることも自覚しているが、何かこう、引っ掛かる。いっそ「事実をもとにしたフィクションだ」と明言してくれれば、見る方もすんなり見られるのだが・・・。この作品に対する感想というより、ほとんど愚痴になってしまった。 [DVD(字幕)] 4点(2008-09-19 16:39:32) |
316. フランドル
3カ月くらい前に見た。見終わって何ともドヨ~ンとした感じで、感想を書く気になれず放置していたのだが・・・。最近のテレビ映像を見て何となく頭が鮮明になった気がした。というのも、今年も、9.11からウン年というのが例によって報じられていたが、それら報じられる映像が、この映画の映像と見事にダブることに驚愕したからだ。もちろん映画での設定は不明、というより仮想戦場でしかないのだが。荒涼とした乾燥地帯を土地勘のない米兵がおっかなびっくり機関銃を構えつつ隊をなして移動していく様は、そのまんま、この映画の映像である。そして、唐突に訪れる爆死。映画ではさらに現地のゲリラによる凄惨なリンチ(もちろん、原因はリンチされる側にある)も克明に描かれるが、恐らく、アフガンやイラクでも似たようなことはあったのだろうと容易に想像できる。だが、この映画のイヤなところは、それらを、何の感情もないかのごとく、無味乾燥に描写しているところだ。セリフはほとんどなく、音楽は全くなく、淡々と、なんてものじゃない。無機質な感じが貫かれ、一層凄惨さを増す。そこにあるのは絶望だけ。いわゆるサンドイッチ構成で、最初と最後の寒村での、これまた無機質な、しかし生臭い男と女のやりとりとの対比が、死と生を象徴するかのように際立ち、何ともいえない寒々しさである。感動はしない、けれど、ゾワゾワさせられる。決して後味は良くない。全体的に抽象的で、恐らくは反戦がテーマなのだろうが、そんな深読みも無用だと思う。 [DVD(字幕)] 5点(2008-09-19 11:52:53) |
317. 隠された記憶
《ネタバレ》 ビデオを送ってきたのは誰か、に囚われて見てしまうと、最後に怒りを覚える映画。でも、凡人は、やっぱりそこに囚われるよなー。でも、よく考えれば、これはハネケの映画であった。まあ、結局、明快な答えは提示されません、もちろん。そして、どういう結論を見た者が出したにしろ、後味はかなり悪いことに違いはない。場面がブツ切りなので、ヘタするとワケ分からんことになりそうだけれど、それをギリギリのところで収拾つけてるところが、やっぱりハネケだねー、と思う。しかし、いきなり首カットで血飛沫! は勘弁してよ。思わず「ギャッ!」って叫んじゃったじゃない。あと、ジュリエット・ビノシュ、見事なオバサン体型になってしまって・・・。若いころは独特の「男を惑わせるオンナ」のオーラを纏っていたのに、すごい脱皮の仕方に唖然。彼女が出てくるたびにそれが気になって、何度かプレビューするはめになったことも特筆事項だ(でもないか)。 [DVD(字幕)] 7点(2008-09-11 15:43:16) |
318. チェンジリング(1980)
《ネタバレ》 血がドバーッとかはなく、静かで切ない映画でした。演技と小道具と撮り方だけで十分、上質なホラー映画は出来ることが、この映画を見れば分かります。じんわりと怖いです。ラストでカーマイケル氏があっけなく葬られたのがちょっと納得いかず。じわじわと極限の恐怖を味わわせてほしかったなぁ・・・。でも、良い作品でした。 [ビデオ(字幕)] 7点(2008-09-11 14:56:01) |
319. 忘れられた人々
《ネタバレ》 まったくもって、救いのない映画。見た後、心が重たくなった。あまりに悲惨なラストシーンゆえかも知れないが・・・。主に、2人の少年にスポットが当てられているのだが、どちらも「彼の人生は、一体、何だったのだろうか?」という虚無感に襲われる。生まれてきた意味は? 誰にも(親にさえ)愛されず、社会からも排斥され、心安らげる場所もない。挙句、人のぬくもりを知ることなく絶命。「人間、生きているだけで意味がある」なんていう安っぽい自己啓発本など、この映画の前に、喝破されるだろう。50年前のメキシコのお話じゃなくて、いつの時代にもどの世界にもある現実なのだと思う。「だから何だ?」と言われそうだが、実際、だからと言って、これで何かが自分の中で変わるわけじゃない。ただ、ほんの少し心を痛め、そして数日、いやそれどころか数時間もすれば、またそんなことには無頓着な自分がいるんだろう。この世も、人生も、無常であることだけが真理だと、改めて実感。 [DVD(字幕)] 7点(2008-09-09 16:47:44) |
320. 女はみんな生きている
なんか、笑っちゃう。あ、もちろん、良い意味でです。ここまで「男のおバカさ」と「女のタフさ」を戯画化して描いてくれちゃうと、笑うしかない、って感じです。一番面白いのは、エレーヌが怪しげな男を背後からでっかい木材でぶっ叩くところかな。なんというか、問答無用! という感じが爽快です。途中、ノエミの独白シーンは長過ぎるのがいただけない。ノエミの回復ぶりが非現実的ではあるけど、所詮、これは、「女はタフである」ことのカリカチュア。男は人格と下半身は別な生き物などとよく言うけれど、この映画に出てくるオトコどもは、みんな揃いも揃って、下半身に人格が支配されたオマヌケばかり。まあ、これもカリカチュアなんだよね、所詮。邦題も、まあまあ良いんではない? オンナの、オンナによる、オンナのための映画、ってとこでしょうか。 [DVD(字幕)] 7点(2008-09-08 15:20:48) |