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S&Sさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2385
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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321.  回転 《ネタバレ》 
子供のころTV放映で観たときはスッゲー怖かった記憶がありますが、改めて見直してみますと違った意味でこれは怖い映画だなとしみじみと感じました。とにかくデボラ・カーの恐怖に取りつかれてゆく演技が凄すぎ、『シャイニング』のジャック・ニコルソンに匹敵するという意見には全面的に賛成です。後半、自分だけに見えている霊と対決するうちにエクソシストと化してゆく過程は迫力あります。この演技が、オスカー演技賞にノミネートすらされなかったというのはちょっと信じがたいです。またマイルスとフローラの二人の子供が全然かわいらしくないところもよく練られています。フローラ役のパメラ・フランクリンなんて後年の面影(ちょっと変な表現かな)が微塵も見られず、女子ってホントに変わってゆくものなんですね。屋敷にまた独特な雰囲気があって、だいたいあの庭は石像がありすぎでしょう、それだけで怖いです。 英文学の歴史では心理小説の金字塔である『ねじの回転』ですが、それに真っ向から取り組んだトルーマン・カポーティの脚本とジャック・クレイトンの演出は評価されるべきでしょうね。ラストのデボラ・カーとマイルスとの対決で、二人の顔に汗がだんだん滲んできます。これは温室の中でのシーンだというわけですが、緊張感が高まる効果的な演出です。ラストがハッピー・エンドかと思わせておいての絶望感、これは渋い終わり方だと思います。 最近はグロい・イタいホラーが全盛ですがこういう渋い心理ホラーもいいもんです。
[DVD(字幕)] 8点(2016-11-04 23:54:21)(良:2票)
322.  オー!ラッキーマン 《ネタバレ》 
脚本家はルソーの『カンディード』をイメージしてストーリーを書いたみたいですが、どちらかと言えばディケンズやフィールディングのピカレスク・ロマンに近いテイストがあります。10分先はどういう展開になっているか全く予測不能な物語ですけど、節々で挿入される元アニマルズのアラン・プライスの曲と演奏風景が絶妙なアクセントになっています。 ほとんどの出演俳優たちが、マルコム・マクダウェルを含めて二役か三役をこなす演出は戸惑いを感じますが、「世界には自分と瓜二つの人間が三人はいる」という都市伝説があるぐらいですから、まあいいんじゃないですか(笑)。後半マルコム・マクダウェルが刑務所を出所してから妙に信心深い好青年に変貌しちゃうんですが、なんせ『時計仕掛けのオレンジ』のアレックスを知っているだけになんかウラがあるんじゃないかと最後まで落ち着きませんでした(笑)。 最後はリンゼイ・アンダーソンが本人役で出てきてメタな展開、そしてカーテン・コールよろしく出演者一同が踊り狂って終わります(なぜかその中にラルフ・リチャードソンの姿はありませんでしたが)。こうやって振り返ると三時間という尺もほとんど気にならず、個人的には『if もしも…』よりもずっと面白かったと感じました。 やっぱマルコム・マクダウェルはリンゼイ・アンダーソンと組んでこそ輝きます。
[ビデオ(字幕)] 8点(2016-10-11 20:48:40)
323.  男の顔は履歴書 《ネタバレ》 
もと本職の安藤昇がやくざ以外の役柄で出演している映画は初めて見るような気がします、もっとも医者役といっても安藤昇そのまんまんで実にどすの効いたお医者さんですけどね(笑)。いちおう松竹配給の映画だったみたいですけど、まるで東映の実録やくざ映画を先取りしたようなお話です。というか、特筆すべきなのは超豪華な出演陣で、アラカンや香山美子まで出てくるというきらびやかさ、香山は特別出演となっていますけどなんでこの映画に出る気になったのか不思議。これも監督である加藤泰の人徳だったんでしょうか。 ストーリーは安藤の体験をもとにしたような終戦直後の三国人と闇市マーケットの抗争なんですが、もうまるっきり任侠映画と思っていれば間違いなしです。でも脚本の切り口がなかなか鋭くて、時系列をシャッフルさせた語り口はその手の映画としてはかなり斬新だと思います。また脇を固めている助演陣がツボにはまっているのも嬉しいところです。朝鮮人チンピラの菅原文太がかなりの存在感があったし、なんといっても参ったのは三国人のボス役の内田良平で、あのなぜか眉毛がない顔はスッゲッー怖かったです。 ラストは瀕死の重傷を負った因縁の中谷一郎の命を助けるべく成功率の低い手術を始めるところで終わるんですが、このストップモーションがかっこいいんです。これはなかなかの掘り出し物だったと思います。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2016-09-27 23:30:04)
324.  モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル 《ネタバレ》 
確かに『人生狂想曲』のえげつなさには及ばないんですが、本作こそがもっとも洗練された(?)モンティ・パイソン映画じゃないでしょうか。低予算を逆手にとったパイソン・メンバーたちのひとり何役は彼らのお家芸でして、ここが笑えないとパイソン映画はしんどいでしょうね。でも「三頭の騎士」「ニッの騎士」「殺人ウサちゃん」などのわけのわからないキャラ群のインパクトは強烈ですし、なんといってもあのメタフィクショナルなエンディングはこの手の手法で撮られた映画の先駆けじゃないでしょうか。まあ日本じゃウディ・アレンかモンティ・パイソンかというぐらい一般受けしませんけど、こういう「頭のイイ奴が考えるギャグ」というのはわが国では存在しないジャンルですからねえ。だいたいからして『古事記』や『日本書紀』を徹底的にパロッたようなようなものですから、いろいろとその手のタブーが存在する邦画界では絶対に出てこない発想です。でも生きているうちに一度は観ておくべき価値のある一編だと思います。
[DVD(字幕)] 8点(2016-09-09 22:10:31)
325.  グレート・ウォリアーズ/欲望の剣 《ネタバレ》 
ポール・ヴァーホーヴェンを語る上では、やっぱ本作は外せないでしょう。子供のころTV放映を見逃してからずいぶん長いこと観る機会がなかったんですど、カットされたところは当然あったでしょうがよくこんな映画をゴールデンタイムに地上波で放映したもんだと感心してしまいます。 見通して感嘆したのはルトガー・ハウアーのほれぼれするアンチ・ヒーローぶりです。この人はアンチ・ヒーローを演じるためだけにこの世に生を受けたんじゃないかと真剣に考えてしまいます。ハウアーは劇中で掘り出された聖マーチン像を皆が自分に投影するように仕向けたりするずる賢い面も持ち合わせていますが、そのマーチンを手玉に取るのがお姫様ジェニファー・ジェイソン・リーというわけです。この人、登場してからはそれこそ頻繁に脱ぎシーンが続きますけど、とうに二十歳を過ぎているとは思えない幼児体型はその手の趣味がある人にはもう堪らんでしょう。また彼女の表情がまた悪女丸出しなんですよ、もっともこの人はもとからこういう顔つきなんだからしょうがないんですけどね。宴会のシーンでこのお姫様がテーブルの陰でハウアーの股間を挑発するところは、もろ『トム・ジョーンズの華麗な冒険』の有名なシーンのまんまだったので笑ってしまいました。 原題が『肉プラス血(直訳)』というぐらいですから、ヴァーホーヴェン趣味が全開でそのグロさは『スターシップ・トゥルーパーズ』といい勝負してます。でもけっこうセットやらにはおカネがかかっているみたいだし、活躍するかどうかは別にしてわき役たちもキャラが上手くたっています。やっぱこれは傑作ですね。
[DVD(字幕)] 8点(2016-08-27 23:31:04)
326.  ボディ・スナッチャー/恐怖の街 《ネタバレ》 
現代の感覚からではSF映画としてはプロットなどに突っ込みどころ満載ですけど、ポリティカル・スリラーという視点で観るとこれほど不安心をかきたててくれる映画は滅多にないと思います。また何度もリメイクされているし、何よりこの映画のフォロワーとして位置付けられる作品に至っては数知れずで、映画史に残るB級映画の金字塔です。 全体主義体制・共産主義社会の恐ろしさを描いた文学作品としてはオーウェルの『1984』が有名ですが、こんな低予算のB級SFでも匹敵するような影響を与えることができたというところが映画の面白いところです。劇中で乗っ取られた者とそうでない者との会話は、もう暗喩にすらなっていなくて当時の全米に蔓延していた共産主義アレルギーをストレートにセリフにしているかのようです。低予算にしてはカメラワークが実にシャープなのも見どころの一つです。たとえば町の広場にさやを受け取るために住民が集まっているシーン、診療所の二階から広場を見下ろす固定された視点で見せますが、ロングスパンで見せられるその風景にはゾクゾクさせられるような恐怖を感じてしまいます。また夜の映像が鮮明でメリハリがあり、夜間シーンになると何が映ってるかわからなくなる最近のヘボ監督たちは見習ってほしいです。 ラストのハッピーエンド(?)だけは夢オチ並みに鼻白まされますけど、ここは50年代の映画ということで許してやってください。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2016-08-18 22:08:46)(良:1票)
327.  原子人間 《ネタバレ》 
“クォーターマス”という名前は“クェイタマス”と読むのが発音に近いみたいです。まあそんなことはどうでも良いとして、このクェイタマス教授はなかなか興味深いキャラでもあります。もとが大人気TVシリーズの映画化だけあって、クェイタマス教授のことは知ってて当然というスタンスだからこの人の情報量は極端に不足しています。どうも英国の月探査プロジェクトの責任者みたいです。演じる俳優が科学者というよりも鬼警部か将軍みたいな風貌のせいもありますが、彼の行動は終始ハードボイルドです。科学の進歩のためなら宇宙飛行士が何人犠牲になっても意に介さないという非情な男で、あんな大参事が起こっても「もう一度やり直すぞ」と部下を叱咤して立ち去ってゆくラスト・シーンは、なんか虚無感すら漂っていました。 冒頭のロケットが墜落してくるシークエンスからSF映画とは思えないミステリー・タッチで思わず引き込まれてしまいます。劇中いっさいセリフを発することなく怪物化してゆく宇宙飛行士カルーンですが、これまた演じる俳優の形相が怖くてこりゃ子供のころに観ていたらきっとトラウマになってたでしょう。このキャラ造形や少女と遭遇するシーンなどには『フランケンシュタイン』へのオマージュも感じられ、そこはさすがハマーフィルムと感じました。この怪物化した宇宙飛行士は、生きるために動物や人間を吸収するぐらいで他には大したこともせず割とあっさり焼き殺されてしまうのですが、そこにはクェイタマス教授の実験の犠牲となった男の悲哀が込められているような気がします。 本作こそウルトラマンに登場するジャミラの元ネタに違いないと思います。
[ビデオ(字幕)] 8点(2016-08-09 21:34:36)
328.  ミッション:インポッシブル 《ネタバレ》 
『アンタッチャブル』に続いてのデ・パルマの名作リメイクです。彼は今回は脚本に参加していないみたいですが、『アンタッチャブル』以上に原作の再構築化が激しいですね。なんせあのフェルプスくんがまさかの黒幕・ラスボスとは、驚きました。TVではマーチン・ランドーが演じていたイーサン・ハントというキャラも本来は脇キャラだったことを考えると、まったく独自の世界感で撮られているわけです。デ・パルマも堂々とした監督ぶりで、彼もビッグ・バジェットの作品でもそつなく撮れる人なんだと見なおしたんですけどねえ、結局その後はご存知のような現状です。トム・クルーズが主演でプロデュースしたんですからそれなりの苦労をデ・パルマもしたんでしょうけど、たぶんこれがデ・パルマのキャリアで最大の大作だったということになりそうです。 そのトム・クルーズは逆に本作からは本格的に大作出演とプロデュース路線が軌道に乗ってきたというのも皮肉な感じです。あの怒涛のラスト10分でのアクションはもちろん合成ですけど、彼はきっとこれで危険に身をさらすと快感を感じる自分の本性に気づいて、ついには『ローグ・ネーション』の正気とは思えないアクションまでエスカレートしたんじゃないでしょうか。 CIA潜入のシークエンスは何度観ても「さすがデ・パルマ!」と唸らせられますし、テンポやキレもあって名作と呼んであげてもいいんじゃないかと思います。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2016-07-23 20:09:48)
329.   《ネタバレ》 
このスタッフとキャストを見てください。ショーン・コネリー以下バリバリの英国くせ者俳優を揃えた純粋な英国映画なんですけど、なぜか監督は若き日のシドニー・ルメットなんです。これは米国人が監督するとしたらジョゼフ・ロージーなんかがやりそうな題材だと思います、しかし傑作『未知への飛行』を撮った直後だけあってルメットの演出手腕は冴えわたっています。まったく劇中で音楽を使わないのは『未知への飛行』と共通していますし、とくに後半になってからの対話劇的な展開とその緊張感は『未知への飛行』ほどじゃないにしてもかなり来てます。 第二次大戦中の北アフリカが舞台設定ですけど、きほんこの映画は戦争映画じゃなくて刑務所ものです。英国陸軍刑務所という特異な舞台がなかなか興味深いです。受刑者たちは民間とは違って懲役囚として作業するわけではなく、昼間はただひたすら体操したり行進したりとふつうの訓練と変わらない感じもします。きっとこれは、出所後はまた兵隊として再利用するからでしょうね。でもこの刑務所には人工の丘(というか砂丘みたいなものです)があって、懲罰として延々と丘の登り降りをやらされます。所内は古参の特務曹長が仕切っていて、将校である所長は街の娼家に入り浸りでたまにやってくるだけ。さすが民主国家の軍刑務所だけあって、日ごろ凄まじい虐待をしていても受刑者が死亡すれば大問題になるみたいで、そこは同時期の日本やドイツそしてソ連とはえらい違いです。もとは舞台劇の映像化らしいんですが、この受刑者たちや看守と所長の描かれ方は良く考えると階級社会である大英帝国のカリカチュアになっているような気がします。 演技陣ではやはり特筆すべきは特務曹長のハリー・アンドリュースです。受刑者たちが暴動を起こしかけたときに彼らをヒートダウンさせる特務曹長の気合いの入った演説は、憎たらしいキャラでは有るけど観る者を納得させる迫力に満ちていました。コネリーも007全盛期にこんな地味な映画に出演するとは、やはりこの人はただ者じゃ有りません。他の同房の受刑者たちもそれぞれキャラ分けがきっちりしており、中でもやはりくせ者ロイ・キニアが目立ってましたね。まっ平らな砂漠の中の刑務所ですが、クレーン撮影を縦横に駆使して見せるカメラは熟練の技を感じさせられましたし、人物のアップ映像の多用も明暗がくっきりしているので効果的です。 後味の悪い結末でしたが、さすがシドニー・ルメット、と言っておきたい佳作です。
[DVD(字幕)] 8点(2016-06-03 22:03:01)
330.  がんばれ!ベアーズ 《ネタバレ》 
今となってはベタとなってしまってますけど、野球コメディの新境地を切り拓いた画期的な映画だと思います。この後に撮られた野球コメディは、大なり小なり本作の影響を受けていると言っても過言ではないでしょう。コメディとしては小ネタが色々効いているのが愉しいところで、たとえばバターメイカーの愛車のフロント・ウィンドウがずっと割れたままだったり(割ったエンゲルバーグの親に弁償させるはずだったのに)、ベアーズのスポンサーが保釈金融屋だったり(たとえば少年野球のユニフォームに消費者金融のロゴが入っているところを想像してみてください)、面白いです。また大人の世界は汚いけど子供たちは純粋ですと言った邦画で良く観られる偽善はいっさいなく、どう見たってベアーズの連中は躾のなってない悪ガキそのものという感じが私は好きです。もちろん大人同士となるとまた凄くて、ちょっと希望が見えてくるとバターメイカーの采配がどんどん非情になってくるところなんか、名優ウォルター・マッソーの名演も有ってリアルですよ。テータム・オニールは今から思えばこれが彼女のキャリアでの最後の輝きだったんですよね。彼女こそ、史上最強の子役バイ・プレイヤー女優だったんじゃないでしょうか。 バターメイカーが「お前はベンチを温めるために生まれ来たんじゃないだろ?」と声をかけるシーンのルーパスは、もう抱きしめたくなるほど可愛らしいくて切ないんです。でもこの少年俳優の現在の現在のお姿を知ってしまったんですけど、もうビックリ仰天でした。現在は俳優から足は洗ってハリウッド界隈のエージェントをやってるみたいですけど、まさかあの愛らしかった少年がこんなおっさんになってしまうとは、人生とはなんと残酷なんでしょうか。
[映画館(字幕)] 8点(2016-05-02 22:12:50)(良:1票)
331.  レッド・アフガン 《ネタバレ》 
ソ連軍戦車隊がアフガンの部落を襲撃する冒頭から、もう禍々しさに満ちた映像に圧倒されちゃいます。ゲリラに反撃されて一両だけ残った戦車が焼け焦げた地図を頼って撤収する過程は、ボギーが出てた懐かしの『サハラ戦車隊』を彷彿させるところも有ります。でもその五人の戦車兵たちの人間関係は険悪で、中でも狂信的な戦車長のおっさんは職場でも時折出くわす「こいつについて行ったらトンデモない目にあわされる」上司そのものです。まあ会社ではこの戦車長みたいに部下を殺すところまでは滅多にいかないものですけど、軍隊ですから辞表出して逃げることも出来ません。 中盤からはこの戦車から追放されたインテリ風のクルーと拾ってくれたゲリラの交流が描かれるのですが、このロシア兵とアフガン人が最後まで言葉が通じあわないところが両国の政治情勢を象徴している感じがしました。でもハリウッド映画なんで当たり前ですけど、アフガン人がパシュトゥーン語で喋るのにロシア人が英語と言うのは何とかならないもんでしょうか。 アフガンで出来るはずはないのでどこでロケしたのかと思ったら、イスラエルで撮ったみたいですね。でも岩山と砂漠が続く荒涼とした風景は印象的で『眼には眼を』の有名なラストシーンみたいなショットが延々と続くと言った感じです。まあ主役はT-62戦車みたいなもので、この戦車のメカニックが良く判ります。全体的な雰囲気はどこか北野武の映画に通じるところがある気がしました。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2016-04-20 23:18:00)
332.  リンカーン 《ネタバレ》 
この演技を観たら、アカデミー会員なら誰もがダニエル・デイ=ルイスに一票を投じざるを得なかったんじゃないでしょうか。もちろんデータは公表されるわけないですけど、この三度目のオスカー主演男優賞を獲ったときのデイ=ルイスの得票率はさぞや高かったのでは。彼に歴史上の人物を演じることを禁止するルールを制定することを、今後ハリウッドは真剣に考えないといけないでしょう、そうしないと今後何個オスカーをかっさらわれるか想像もできません(笑)。 彼の演じるエイブラハム・リンカーンは、自分がタイムスリップして生のリンカーンを観ている様な錯覚さえ覚えるほどの説得力があります。そして特に自分が感じたのは、信念を持った政治家というのはこれほどカッコ良いものなのか、ということです。彼も決して聖人君子ではなくて、憲法修正13条を下院で通すためにはほとんど買収すれすれの裏工作まで行うし、国務長官など身内にも平然とウソをつきます。双方の兵士たちに犠牲が増えることも構わず、その為には南北戦争の終結を遅らせようとまで画策します。そう言ったある意味汚い政治家としての一面も含めて、スピルバーグは極めて冷徹なタッチでこの映画を撮っています。ラストの劇場もてっきり有名なリンカーンの暗殺を見せるのかと思いきや、観る方の緊迫感が十分に高まったところで「フォード劇場で大統領が撃たれた!」という叫びがあがりここは違う場所なのだと判らせるくだり、スピルバーグの円熟の技巧が冴えわたっていました。 急進派の共和党重鎮議員を演じたトミー・リーもデイ=ルイスに決して引けを取らない好演だったと思います。ラストで修正案が成立して家に帰りズラを外して黒人メイドとベッドをともにする、「あんたは最高の男だよ!」と思わず声をかけたくなるほどでした。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2016-04-16 23:31:28)
333.  地平線がぎらぎらっ 《ネタバレ》 
同年についに倒産してしまった新東宝が、まるでいたちの最後っ屁みたいに放ったピカレスクムーヴィーの傑作です。それまでカスみたいな映画ばっかり撮ってた土井通芳が、まるで別人みたいにキレのいい映画を撮ったなんて信じられないことです。人間、やれば何でも出来るもんですね。 殺人や詐欺そして婦女暴行などで服役している5人がある刑務所に収監されている。彼らの雑居房に生意気を絵に描いた様な若者が加わる。この男は牢名主にも仁義を通さず挑発して好き勝手、5人は共謀してこの若造を自殺に見せかけて殺そうとするも、直前にこいつがダイヤ強奪の共犯で捕まり、どこにダイヤを隠匿したか喋らないまま懲役4年の刑に服していることが判る。この若造役がジェリー藤尾で、この演技が彼の生涯のベストアクトだと評価する人もいるぐらいです。無鉄砲でぎらぎらした男ですけど、なんか心の奥に隠し事を持った様な陰も有って魅力的なキャラです。主題歌もジェリー藤尾が歌っていまして、♪ぎらぎら、ぎらぎらっ、あの地平線が光ってる、そこにはオイラの夢がある、というパワフルな曲調で印象的です。 ダイヤを山分けする計画でみんなで脱獄してからの展開もけっこう面白いんです。お約束の仲間割れで一人また一人と脱獄犯は消えてゆくのですが、肝心のジェリー藤尾はどこか超然としています。ここで当然のごとく“ダイヤは本当にあるのか?”というサスペンスになるわけで、ここら辺の脚本も上手いなと思いました。 そして脱獄犯の女房の実家に立ち寄るシークエンスは特筆すべきで、いろいろ新東宝の映画は観ましたがこんな秀逸な映像は初めて体験しました。ジェリー藤尾が飛び入りで祭りの太鼓をたたきだし、それと同時に脱獄犯がすでに違う男と出来ている女房を追いかけ回す。この辺りはまるで同時代の増村保造みたいな撮り方で、新東宝映画でこんなモンタージュが観れるとは驚きました。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2016-04-09 01:04:54)
334.  誰よりも狙われた男 《ネタバレ》 
スパイというか対テロ活動がテーマなのに劇中で銃の発砲は一回もない、登場人物が誰も死なないし殺されないというある意味変わった作品です。それでいて緊張感が溢れるストーリーテリングは、監督は無名ながらけっこういい腕してるとお見受けいたします。最近ジョン・ル・カレ原作小説の映画化で秀作が続いていますが、あの超地味なル・カレのスパイ小説が欧米では再評価されてきているのでしょうか、いまやすっかり忘れられた存在となったハッタリ屋フレデリック・フォーサイスとは好対照です。とくに映画の前半はこの先どういう展開になるんだろうとハラハラさせられどおしで、これもフィリップ・シーモア・ホフマンの好演のなせる業でしょう。これが彼の遺作とは、ハリウッド映画界にとっても実に痛い損失です。ラストの彼がタクシーの運ちゃんに化けるシークエンスでは、彼の見せる怒りと憔悴が入り交じった表情は70年代のマーロン・ブランドを思い起こさせてくれました。もし長生きしていたら、きっとマーロン・ブランドを超える名優にまで進化していたんじゃないかと思うと、残念でなりません。 最後まで判らなかったのは、“誰よりも狙われた男”とは誰のことだったのかということで、シーモア・ホフマンが演じるギュンターのことなんでしょうか?なんか違う気がしますけど。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2016-04-02 21:29:54)
335.  黒の試走車(テストカー) 《ネタバレ》 
モダニスト増村保造の面目躍如といった感じのキレキレのサスペンスです。映像も当時としてはかなりモダンで、増村らしい才気が感じられます。たとえば前半にあるバーのシークエンス、近景というかカメラのまん前でホステスが客を接待しているところを半身で捉えている、そして遠景では奥の席でヤマト自動車の馬渡が密談をしています、これが両者にきっちりピントが合っていて実にシャープです。タイガー自動車の企画課は倉庫みたいなところの二階にあって、そのロケーションを活かして上から下から観せるショットも多用されていて、こういうところもいかにも増村らしい。ストーリーも梶山季之の原作がしっかりしているから、タイガーVSヤマトのスパイ合戦のあの手この手を飽きさずに見せてくれます。まあ確かに、この映画の主役は田宮二郎ではなく高松英郎なんだと納得するしかないわけで、いくら高度成長期のモーレツ社員だと言ってもここまでくれば立派な犯罪者ですよ。当時はこういう生き方が肯定されていたわけなので、脱落してゆく田宮二郎の姿やラストの虚無的なセリフは世相に対する強烈なアンチテーゼだったろうと思いました。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2016-03-23 23:21:48)
336.  百円の恋 《ネタバレ》 
予備知識なくこの映画を観たら、最初はこのヒロインらしき女がボクサーになるなんておそらく想像だにできなかったでしょう。この映画ではとても感情移入できないどうしようもない登場人物ばかり出てきて、見続けるのがイヤになりそうなぐらい。そしてあの100円ショップの店、とても商売が成り立つとは到底思えないけど、店内に引っ切り無しに流れているお店のテーマソングだけは妙に頭に残ります。前半は安藤サクラのぶよぶよの肉体に合わせた様なグダグダな人間模様を、音楽も使わないでダラダラと見せられている様な感じが強烈。ところが男に逃げられボクシングに打ち込みだしてどんどん身体がスリムになってくると、それに合わせるように撮り方も引き締まって来て効果的に音楽も使われてきます。これはなかなかの手腕を持っている監督だと思います。もちろん安藤サクラあってのこの映画なわけですけど、それにしてもデ・ニーロばりの肉体改造と機敏なボクサーぶりは凄いの一言しかありません。会場に向かって通路を進むときの彼女のあの表情、こんな演技が出来るのは邦画界では彼女しかいません。「安藤サクラの顔つきは、ほんとに人を殺しかねない表情だ」という本作の映画評を見た記憶がありますが、まさにその通りです。 唯一残念だったのは、新井浩文は良いとしても両親や妹まで試合を観に来させたところで、これで一気にこの映画が持っているクールさが減じられてしまった気がします。そこは1点マイナスとさせていただきます。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2016-02-26 23:41:37)
337.  ジャッジ! 《ネタバレ》 
あのキツネうどんのCMの破壊力、もう半端じゃないです(笑)コンコン、コシコシ♪っていうあのメロディが、まだ強烈に頭の中で共鳴してます。冒頭からの脱力系の展開は、なんか私にとってどストライクの剛速球でした。クライアント訪問するときまで膝小僧出した半ズボン姿のトヨエツが大傑作で、「無茶と書いてチャンスと読む」は私も使わせて頂きたい名セリフです。そう言えばかつて代理店のサラリーマンだった筒井康隆の小説に出てくる「士農工商・代理店」というフレーズを思い出してしまいました。それにしてもトヨタ・エースコック・丸井と実在企業の名を出してのパロディとは日本映画らしからぬ大胆さ、エースコックの宣伝室長なんて完全にコケにしている様な気がしますけど、怒られなかったんでしょうかね。でも鈴木京香が創ったトヨタのCMに関してはディスってる様な気がして、これがグランプリを獲るのは一種の皮肉なんでしょうかね。 監督も脚本家もCM業界の人たちなので、業界の内情はきっとリアルなんでしょう。パロっているけど広告祭の審査の内情も、実際あんなもんなんでしょうね。後半からラストに至るベタな展開はクサいんですが、コメディとしてはなかなか愉しめると思いますよ。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2016-02-23 00:20:46)
338.  アメリカン・スナイパー 《ネタバレ》 
ブラッドリー・クーパーの役作りのレベルが凄いですね。肩幅や胸板なんて今までの倍ぐらいの様な気がするぐらいです。しかもそれが脂肪太りじゃなくてしっかり筋肉つけているわけで、まさかCG使ってるわけじゃないんでしょうけど骨格まで変えてしまったかのように見える凄まじい肉体改造です。 『許されざる者』ですっかり悟りの境地に達したイーストウッド、この映画で訴えたかったのはただひとつ「人殺しは地獄だ」ということです。どう考えてみてもアメリカには「殺人には善い人殺しと悪い人殺しがある」という深層心理的な価値観が西部開拓時代から存在している様に思えてなりません。国の為だろうが正当防衛だろうが人の生命を奪うことには変わりはなく、人はその現実と折り合いをつけないとやっていけないものなんだと思います。戦争の勝者や強者に属する軍人は得てしてその折り合いに無頓着なことが多く、とくにアメリカにはその傾向が強い様な気がします。その辺りにも本作ではイーストウッドは鋭く切り込んでいて、スクリーン上で数え切れないほど人を殺めてきた彼らしい感じがします。 いくら伝説の男と言っても実在のクリス・カイルという人は娑婆にいたときはごく平凡な人間だったわけで、戦場以外では大したエピソードもない淡々とした描かれ方です。彼が軍に志願するに至る経緯も日本人にはピンと来ないところがありますが、まあアメリカ人には理解できるんでしょうね、あまりに単純すぎると自分は感じてしまいますけど。しかし子供にまで武器を持たせて戦わせて死に追いやってしまうという現実、世界は決して平和じゃないし綺麗ごとが通用しないということは思い知らされました。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2016-01-22 23:41:12)
339.  プリデスティネーション 《ネタバレ》 
いやー、自分が今まで観てきた中でも「?」がトップクラスで多かった映画でしたね。でもこの「?」は良い意味での「?」であるのも確かです。タイムパラドックスを扱った作品としてはかなりのハイレベルで、間違いなく『バタフライ・エフェクト』を超えていると思います。自分の中では「タイムトリップでその当時の自分と出逢ったらどうなるのか」という疑問がずうっとあって、これはある意味哲学的な思考実験でもありますが過去のタイムトラベル映画では「そのような邂逅はしてはいけない、もしくは起こり得ない」というスタンスで撮られていて、自分としてはまあ納得していたわけです。ところがこの映画にいたっては出逢うどころか過去の自分とアレまでしちゃうし、いやさすがにネタばれありとしてもこれ以上書けませんけど、自分の常識をぶっとばしてくれる衝撃的なプロットです。ここではいわゆるパラレル・ワールド理論はまったく無視されていて、この映画の世界は時間が完全にループしているだけで完結している宇宙だと考えるしかないんでしょうね。 イーサン・ホークはSF映画ではほんとに輝く役者で、素晴らしい演技だったと思います。でも衆人の一致するところだと思いますけど、サラ・スヌークの高度な演技も驚愕ものです。何と言いますか、“オーストラリアのジョディ・フォスター”と呼んであげるのが相応しいんじゃないですか。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2016-01-13 23:19:54)
340.  赤線地帯 《ネタバレ》 
巨匠・溝口健二が赤線をテーマにするなんてまるで新東宝のエログロ路線の踏襲かよと思ったりしましたが、良く考えると本家はこっちで新東宝の“地帯(ライン)”シリーズは題名からして溝口をパクってるんですね。まあそのころには溝口健二はこの世の人ではなかったので、文句は言われなかったでしょうけど。 でもこの映画は新東宝なんて引き合いに出すのは大失礼なほど完成度は高いです。5人の女優のアンサンブルはそれは見事なもので、さすが「女を撮らせたら溝口」と言われただけあります。その娼婦たちをウエットになり過ぎない冷徹な視点で撮っています。娼婦と赤線経営者夫妻そして客も、みんな欠点だらけのしょうもない人物ばかりで、中でも若尾文子はとても畳の上で往生出来そうもない様な嫌な娼婦を好演していました。唯一、小暮実千代が演じる通いの娼婦だけは良い人というか感情移入出来るキャラでしたね、普段は眼鏡をかけていてまるで女教師みたいだけど凄い色気を感じました。 でもそんな小暮実千代を出し抜いて最後に美味しいところを持って行ってしまったのが、あのしず子という娘です。店屋物の丼を「わたしこんな美味しいもん生まれて初めて食べた」なんて言ってた下働きの娘が親の借金のために吉原デビューする、おしろいを塗りたくられてプロ娼婦に変貌してゆくカットは胸が痛みます。そしてラストでおどおどしながら客に声をかける姿には、思わず心を鷲掴みにされてホロリとしてしまいました。本作が溝口健二の遺作になったことを考えると、黛敏郎のまるでホラー映画の様な音楽も相まって、このラスト・カットには不気味さすら感じられました。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2016-01-06 22:03:02)
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