3481. オーシャンズ12
《ネタバレ》 前作は「これはお祭りなんだから」ということで自分を納得させましたが、これはさすがに駄目でしょう。作品としての体をなしていなくて、崩壊しかかっています。ヴァンサン・カッセルの自己陶酔ダンスに4点。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2007-08-13 01:35:27) |
3482. 七人の侍
《ネタバレ》 一番強烈だったのは、五郎兵衛の「はは、ご冗談を」のシーン。間髪入れず、平然と「ご無礼」と返す勘兵衛。両者の腕の立ち具合が一瞬で表現されている。それに匹敵する場面がどれくらいあるのかと期待して見ていたが、結局なかった。菊千代のキャラがしつこすぎて浮いているのと、勝四郎が最後まで邪魔なだけなのと、死に場面がみんな似たような感じなのが難点。 [DVD(邦画)] 5点(2007-08-12 03:03:28) |
3483. ランボー
《ネタバレ》 存在を知って以来ずっと、ベトナム帰りをダシにした単純アクション作品と勝手に思いこんでいたため、意外に真面目で落ち着いた作りにびっくり。絶壁のシーンや洞窟脱出のシーンなど、変な小細工を入れずに地道に主人公の横について撮りきっているのが、かえって実感を出している。●(追記)改めて見てみると、脚本も細部まで丁寧であることがよく分かる。敵役の保安官は、単に底意地の悪いアホではなく、猟犬の状況からランボーに弾がないことを見抜く・トラウトマンの無線を利用してランボーの位置を割り出す、など、一定の能力はあるように描写されている(結果、それを一蹴するランボーの強さが引き立っている)。また、最初は見る側にとっても謎の男だったランボーの背景が徐々に明らかにされていく構成、ほとんど無言だったランボーが最後に爆発する長台詞といった絶妙な調整も、作品に余韻を与えている。 [映画館(字幕)] 7点(2007-08-11 00:07:07)(良:1票) |
3484. サンセット大通り
《ネタバレ》 サイレント映画の終焉に捧げられた壮絶な鎮魂歌(タイトルからして皮肉がこもっている)。作中でノーマの口を借りて、来るべきトーキー時代への考え方が示されているが、全体的に発狂しているノーマがここだけほとんど唯一正常な状態での発言をしているのが怖い。なんだけど、キャスティングなども含めたその辺の本来は「裏のテーマ」の部分が存在として勝ちすぎていて、肝心の本体のストーリーは単純に過ぎており、映画として極端に高い評価をすることはできない。 [DVD(字幕)] 7点(2007-08-09 02:45:25) |
3485. 薄れゆく記憶のなかで
《ネタバレ》 最初の説明的なナレーションとわざとらしい高校生活描写に、これはハズレ作品決定かなと思っていたのです。途中では、字幕翻訳が必要じゃないかと思うくらい聞き取りづらい台詞回し(ほとんど全員)に苛々していたのです。しかーし、それまでの伏線をふんだんに使った上に容赦なく切なさの底に叩き込んでくれるラスト20分で、一気に印象が変わりました。加えて、相当下調べをしたであろう気合の入ったロケーション撮影と効果十分な音楽をあれだけ全編にかぶせられたら、低い点はつけられません。ううっ。 [DVD(邦画)] 7点(2007-08-08 01:49:53) |
3486. アイ・ラブ・トラブル
《ネタバレ》 中盤までの「出し抜こう合戦」はそれなりに面白かったのですが、後半、サスペンスの要素が変に重くなりすぎて、かえって平凡になってしまいました。この作品は2人の人間関係だけで十分笑いがとれるのですから、悪との対決の要素など必要最低限だけでよかったと思うのですが。ラストの部分も、肉弾戦や銃ではなくて、頓知と機転で乗り切ってほしかった。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2007-08-07 01:51:44) |
3487. レジェンド・オブ・アロー<TVM>
《ネタバレ》 キーラ・ナイトレイの凜とした美しさを満喫できる作品。これだけで目的は達しました。また、あらすじからは、主人公が奮起して頑張って攻め込んで大勝利、みたいな単純な内容を想像していたのですが、意外にも尺が短い中にもいろいろな立場の登場人物のいろんな意識が交錯していて、そこそこ見応えがありました。主人公の幼なじみの修道士なんて、最初の登場時点からその恋慕の行く末が見えてしまうのが泣けるじゃないですか。剣劇や弓術のシーンがあからさまにしょぼいのは、ご愛敬ということで。 [DVD(字幕)] 6点(2007-08-06 23:56:18)(良:1票) |
3488. シルクウッド
《ネタバレ》 この主人公は、余計なことを考えずに単純明快に行動したが故に重要な真相に肉薄できたのではないかと思うのだが、そういう役に、風格のありすぎるメリル・ストリープは合わんよなあ・・・(ヘアメイクや衣装ももう少し考えてほしかった。あれではとても28歳には見えんぞ)。肝心の工場とのやりとりが深く突っ込まれず、ポイントとなるべき部分もあっさりと流れ、逆にどうでもいいような恋人とか友人とのやりとりに延々と時間を使っているのもマイナスです。似た系統の「チャイナ・シンドローム」とか「ノーマ・レイ」と比べると、違いがよく分かります。 [DVD(字幕)] 5点(2007-08-04 23:09:48) |
3489. 心の旅路
《ネタバレ》 事故にあって元の記憶が戻り、代わりにそれまでの記憶がなくなるところまでは筋を知っていて見たのです。ところが、それから先に大河級の人生ドラマがしっかり準備されていたのでびっくり(しかもそれが約2時間できっちり収まっている)。メロドラマでありながら、安易な解決に走らない(途中、さまざまなアイテムで記憶の復活を期待させておいて、全部挫折させている)ところが、ラストの感動を高めています。ラブロマンスの切なさを描出するだけでなく、その先にある登場人物の人生への讃美にまで作品を持っていっているところが素晴らしい。 [DVD(字幕)] 8点(2007-08-01 23:55:47) |
3490. デトロイト・ロック・シティ
《ネタバレ》 たった1枚のチケットが神のような至高の輝きと重みを放つ、その感覚を知っている人であれば、この作品のすべてに共感できるはずです。ラスト、コンサートホールへの扉を、ドアマンがまるでタイタニックの一等客室のように重々しく開いてくれますが、もうそれだけで、どんなに登場人物が馬鹿だろうが、下ネタが炸裂していようが、演出が単純であろうが、低い点はつけられません。ところで、ディスコ軍団の車とのやりとりで、相手の女の子が吐く一言に「キッスもそのうちディスコに手を出すんじゃない?」とありますが、監督がキッスの大ファンであることは、この一言で分かります。 [DVD(字幕)] 7点(2007-08-01 00:24:01) |
3491. マグノリアの花たち
終始思っていたのは「すごく作り物っぽい」ということ。決めの場面では不自然なほど全員が1か所に集合し、しかも必ず一言ずつ交代で台詞を口にする。舞台劇から引っ張ってきてそうなったのかもしれませんが、映画ならきちんとアレンジすべきです。また、変に仲良し子良しな会話が延々と続くのも、やはり作り物っぽい、というかはっきり言って気持ちが悪い。多少の対立的描写はあっても、後ですぐに仲直りするであろうことがミエミエなのです。というわけで、これだけの登場人物を揃えながら、ドラマらしきドラマがないままに終わってしまいました。 [DVD(字幕)] 4点(2007-07-31 00:51:32) |
3492. ホワイト・バレンタイン
冒頭の文通にしろ鳩のやりとりにしろ、そのエピソードがそのまんま映像化されているだけであって、なぜそうなっているのかも描写されてなければ、前後にもまったくつながっていない。つまり、魅力的な設定や魅力的なシーンをいろいろ考えついてそのまま並べただけであって、その中で登場人物が「動いていない」のです。それでは、作品として楽しむことはできません。タイトルの意味も、大分無理矢理ですね。 [DVD(字幕)] 5点(2007-07-30 01:03:30) |
3493. ダイ・ハード4.0
《ネタバレ》 最大の難点は、コンピュータを駆使したサイバー犯罪という明らかな頭脳戦でありながら、そのディテールをまったく省略してしまっていること。こういう犯罪とその防止戦は、これでもかというくらい専門用語をぶち込み、オタク同士にオタク魂を尽くして戦わせてこそその凄味を表現できるはずなのですが(そして、それを肉体派の極致ともいうべきマクレーンが破ってこそ設定の意味があるはずなのですが)、その辺のことが何もなく、結局はお定まりの銃撃戦&肉弾戦へ。これでは、せっかくの相棒も光るところがありません。オタクの帝王の役がはまりすぎのケビン・スミスに4点。彼が画面に出てきただけで笑いが出ました。あれ以上登場時間が長かったら、この作品は完全なコメディになっていたことでしょう。 [映画館(字幕)] 4点(2007-07-29 22:46:11)(良:1票) |
3494. 魚影の群れ
《ネタバレ》 この美しいタイトルからして期待してたんですが・・・。まず、夏目雅子がまったく似合わない天真爛漫元気娘路線の演技を強要されているのにがっかり。あの娘は、ひっそりと、凜と、楚々とした役に設定してこそ、海の男たちも引き立つというものでしょう。また、3つのパートがほとんど相互に影響していないのも、よく分かりませんでした(十朱幸代の役はこの話の中でどういう意味があるんでしょうか)。どきっとしたのは、佐藤浩市の負傷をいったん認識していながら、まるっきりそれを忘れてマグロの釣り上げに集中する緒形拳のシーン。漁師の凄みと気合を大いに感じさせてくれましたし、ここだけは長回しが成功していました。 [DVD(邦画)] 5点(2007-07-29 03:20:32) |
3495. 彩り河
《ネタバレ》 もともと、主題のはっきりしない話ではあるのだが、全体を見通しても、やっぱり何が言いたいのかはよく分からない。主人公の背景はかなり適当だし(言葉で説明されているだけ)、いろいろな登場人物がいるわりには事件の発生経緯はありがちだし、二人が結びつく過程も不明確である。それと、平幹二朗と夏八木勲の配役は、どうみても逆であるべきだったと思うけどな・・・。真田広之の若々しさに4点、今ではすっかりいい人になってしまった石橋蓮司の毒々しい不気味さに1点。 [DVD(邦画)] 5点(2007-07-25 00:53:55) |
3496. もしも昨日が選べたら
《ネタバレ》 もっと面白くなる設定かと期待したんですが・・・。前半は、コメディチックな部分が驚くほど笑えないし、未知の機器が日常生活に入ってくることによるギャップも表現されていない。そもそも、アダム・サンドラーだったら、もともと家族をほっといてばりばり仕事しそうなタイプにはとても見えないわけで、自分で主演してるのがまず問題でしょう。後半は、無茶な展開とはいえ、その無茶ゆえにかえってそれなりに盛り上がりますが、あそこまでやったのであれば、それ以上いじらずにそのまま閉じた方が感動が残ったと思う。あと、早送りができるなら巻き戻しもできるはずで、そのあたりの「他人の時間を自由に操作できてしまうことへの恐怖」みたいなものが物語を解く鍵になるかと予想していたのですが、結局は早送り機能とそれによる「自分の時間が失われること」だけに解決の原動力が矮小化されてしまったのも少々残念。 [DVD(字幕)] 5点(2007-07-23 00:02:54)(良:2票) |
3497. ダニー・ザ・ドッグ
《ネタバレ》 もう少し生々しい内容(少年時代の飼育ぶりが延々と描写されたりとか、娘が巧妙に人質に取られたり脅されたりとか、最後は娘をかばって主人公が死んだりとか)を予想していたので、意外に古典的というかむしろ牧歌的な展開がかえって新鮮でした。難点は、悪のボスがあまり悪そうに見えない、もっといえば何となく間が抜けていて笑いすらとれそうなところ。わざわざ「犬」なんて設定をしているのですから、ここはもっと徹底した極悪人であるべきでした。 [DVD(字幕)] 6点(2007-07-17 03:03:09)(良:1票) |
3498. オネーギンの恋文
この脚本って、原作の適当なダイジェスト版じゃないのか?と疑ってしまうくらい、起伏に欠ける中途半端なやりとりが延々と繰り広げられるだけの作品。レイフ・ファインズは、製作総指揮まで買って出て一体何がやりたかったんだろう・・・。そもそも、こういう上品・優雅系の作品でヒロインがリヴ・タイラーという時点で、センスなさすぎでしょ。 [DVD(字幕)] 4点(2007-07-16 03:04:24) |
3499. ボルベール/帰郷
ペネロペ・クルスの実力全開の作品。まさかここまで存在感と表現力のある人とは思いませんでした。決して大袈裟にならず、日常生活の中にさりげなく主人公の「業」と「性」をにじみ出させる、かなり難易度の高い演技をクリアしています。それぞれの登場人物がいろいろな背景を内心に秘めて行動しているので、決して分かりやすい話ではないのですが、見終わった後でもあの家に潜む「空気」のようなものがじっと心に残る作品です。 [映画館(字幕)] 7点(2007-07-16 00:27:35) |
3500. 恋しくて(1987)
《ネタバレ》 「モテナイ君と高嶺の美女」「友人関係に秘められた恋愛感情」なんて、切なくなる要素ビシバシなのですが、それが無駄なく手際よくまとめられています。主役の3人が3人とも、いろいろ考えていながらそれを全然うまく表現できず、もどかしさに満ちています。青春というのはそういうものです。中でも、「練習キス」のシーンがベタだと分かっていても特に好きです。ただし、ラストはもうちょっと引っ張ってほしかった。一番大きな感情の変化が起こるところなのですから。 [DVD(字幕)] 8点(2007-07-15 02:59:50) |