341. ベリー・バッド・ウェディング
ラスト・シーンは比類がないほど黒い。これが受け入れられるかどうかで評価が決まってくるでしょう。私的には全然OKだったんですけど、このラストの割には、ここへ至るまでにもう一つパンチと勢いが足りなかった気がする。それは、肝心の主人公が最後までキレなかった所為。ここは主人公自身の感覚が麻痺してシリアル・キラーになっちゃうとか、最後も事故じゃなくて、自分からどっかに車で突っ込んでく位の勢いが欲しかったです。脇役であるキャメロン・ディアスの「絶望」はその後でも遅くありません。という訳で、アジアン・“AV”・ビューティ・コーベ・タイ嬢の艶姿に、5点献上。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2006-05-03 00:03:00) |
342. グレイスランド
突然現れた頭のおかしいらしい男が、人の心の傷を癒して去って行く…という、全くお決まりのパターンのファンタジー映画ながら、これは感動しました。それは一にも二にもハーヴェイ・カイテルの「味」のお陰。どっからどー見てもエルヴィス・プレスリーとは似ても似つかない怪しいおっさんが、もの凄くカッコ良い。唯のだらしないイカサマ師ではなく、ちゃんと「器の大きさ」を感じさせてくれる。しかも「サスピシャス・マインド」を振り付きで熱唱するシーンは、確かに「エルビス・オン・ステージ」に見えてくるから不思議…。エルヴィスと名乗る男を「家」に送り届ける主人公は、その男に導かれて彼自身のグレイスランドへと辿り着くことになる。“grace”を受けられる場所を知る者こそ、本物のエルヴィス・プレスリーなのです、7点献上。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2006-05-03 00:02:37) |
343. 奇蹟の輝き
正にアメリカ版「大霊界/死んだらどうなる」。VFXレベルは本家(?)と比べるまでもなく高度ですけど、話の内容やヴィジュアル・イメージは同様にチープ×3(チープの三乗)。それに良く考えてみれば、これは相当救い様の無い話ですよ。大切にしていた二人の息子を交通事故で一度に亡くし、その数年後、今度は夫が交通事故で帰らぬ人となる。一人取り残された妻は人生に絶望して自殺。何も悪いことをしてない女に、現世でこんな酷い仕打ちをしたにも関わらず、神は死んだ後も地獄へ堕として苦しめ続ける。この世には神も仏もいないのか? あの世にもいないじゃん! 物語は無理矢理ハッピー・エンドっぽくしてますけど、こんなの全然ハッピーじゃない。生ある者は生を謳歌して、初めてハッピーなんです、3点献上。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2006-05-03 00:02:07) |
344. マイティ・ジョー
確かにベタな話でしたけど、想像してたよりはずっと楽しめました(「猿人ジョー・ヤング」は未見)。何故なら、ジョーの躍動感溢れる映像が凄く良く出来てたから。エイプ・スーツに一生を捧げたリック・ベイカーの着ぐるみとアニマトロニクス、そしてCGの組み合わせはベストな手法だったと思います。CG一辺倒では、今現在に至っても本作のクォリティは出せません(ジョーはジャクソン版のコングより出来が良いと思う、マジで…)。シャーリーズ・セロンは、とても野生に暮らしてる人間には見えませんでしたけど、そもそもこんな美人にリアリティは求めてません(それにショートカットが一番似合う!)。逆に最も足を引っ張ってたのは、ビル・パクストンのパッとしないルックスだったと思います。そういうことで、私的には充分6点献上。 [DVD(字幕)] 6点(2006-05-03 00:01:41) |
345. パッチ・アダムス
典型的なロビン・ウィリアムス映画。ハンター・“パッチ”・アダムスの大局的な理念には賛同しても、ウイリアムス演じる「この映画の」主人公の近視眼的な人間性と行動には賛同しかねる。そしてまた、本作には描くべき三つのエピソードが決定的に欠けている。それは①パッチの自殺癖の原因、②パッチが成績の良い理由、③「無料診療所」の経済的運営指針。だから全てが絵空事にしか見えない。それにラスト近く、死にかけた婆さんの“‘fucking’quality of life”の為に、飢えた子供が何十人も助かりそうな程の量のパスタを、文字通り「無駄」にしたのが信じられない。こんな本末転倒なことを平気で出来てしまう人間は信用できません。私は保険を使用してフィリップ・シーモア・ホフマンに診て貰います、4点献上。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2006-05-03 00:01:02) |
346. LIMIT OF LOVE 海猿
序盤は「タイタニック」、中盤は「ポセイドン・アドベンチャー」、終盤は「炎のメモリアル」という、一粒で三度美味しい海難事故映画。前作と本作の間にあるらしいTVドラマは一話たりとも見てません。従って主人公カップル以外の人間関係は判りませんでしたけど、問題なく楽しむことが出来ました。そして何より、これだけスケール感のある映画を、映像的に説得力を持って作ってあることに驚きました(その代わり、今回はエンド・ロール後の「サプライズ」は無し)。確かにベタな話だし、ハリウッド映画の真似でしかないのは判りますけど、我が国ではつい最近まで、ベタな話をマトモに脚本化することも、ハリウッドを「単純に」真似することも出来なかったのを考えれば、充分満足できるレベルの「娯楽大作」に仕上がってると思います(少なくとも、昨年の福井晴敏三部作なんか問題にならない完成度)。という訳で、予想を裏切る出来の良さについつい1点おまけして、7点献上。 [試写会(邦画)] 7点(2006-04-25 00:06:45) |
347. 小さき勇者たち ガメラ
日本SF大賞を受賞する程の本格ハードSF・軍事アクションとして、また、「ゴジラ」シリーズでさえ成し得なかった怪獣映画のエポック・メイキング・フィルムとして平成の世に蘇った「ガメラ」を、再び子供達に返す目的で作られた(と思われる)新・平成ガメラ(松竹にとっては「宇宙大怪獣ギララ」以来の怪獣映画?)。冒頭の30年前のシーンは旧・平成ガメラのイメージで作られてますが、それ以外は全くの別物。母親を亡くしたばかりの少年、難病を患う少女、子供達の冒険、そして「のび太の恐竜」的ストーリー、etc.…と、お膳立ては凄く陳腐になってます。ガメラのデザインも可愛いぬいぐるみ。敵怪獣(元ネタはジラースか?)や政府関係等の設定にもほとんど気を遣ってません。これで果たして、メイン・ターゲットである子供が満足するかどうかは判りませんが、劇中の子供達がパニックの中、ガメラに向かってリレーするシーンは流石にグッと来るものがありました、5点献上。 [試写会(邦画)] 5点(2006-04-25 00:06:22) |
348. ヴィタール
これまで塚本晋也が一貫して描いてきたテーマは「何かに取り憑かれることによって外部へと開放される魂」だったと思いますが、今回はそのテーマが非常に判り辛い。記憶を無くした男が取り憑かれたのは自身の過去なのか、恋人との思い出なのか、恋人の死体なのか、解剖という行為なのか、それとも死そのものなのかが不鮮明。また物語自体も、外ではなく、内へ内へと向かっていく。基本的な物語構造は塚本映画らしくても、元々テンションの低い浅野忠信を主人公に据えてることで、テーマや作劇の方向転換を試みたのは明白。しかし結局、主人公(の心)の変化が最後まで伝わってこない。二人の女のキャラの立ち方も少し控え目。塚本監督にとって本作は、新たな段階への「助走」なのかもしれません、5点献上。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2006-04-25 00:05:58) |
349. 完全なる飼育 赤い殺意
≪完全なる飼育完全制覇・その5/獲物=伊東美華≫ すっかり「完全なる飼育」じゃなくなってる。物語のモチーフも「女子高生誘拐飼育事件」から「新潟少女監禁事件」へと移行。序盤はどーしょーもないほど陳腐なサスペンス・ドラマとして進み、大沢樹生が余りにも説明的な台詞をベラベラ喋る為、かなりの不安が過ぎりましたが、佐野史郎が登場してからは緊迫感溢れる変態映画へと変貌。クライマックスも結構衝撃的です。しかし、話のモチーフがモチーフなだけに、素直にエロを楽しむことも出来ません。また、伊東美華は確かに熱演でしたけど(演技力は歴代ヒロインNo.1かも)、明らかに詰め物のしてあるバストが、「10年間監禁されていた少女」という雰囲気には相応しくありませんでした。そういったことで、4点献上。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2006-04-25 00:05:28) |
350. きょうのできごと a day on the planet
物語がいり込み始める後半になって少しは見れる様になりましたが、前半が兎にも角にも退屈。例えば居酒屋へ行って、馬鹿丸出しの大学生が飲み会でくっちゃべってるのを傍から眺めてても、果たして面白いか? 「これが等身大の若者かぁ」なんて考えもしませんよね? つまり、そーゆーことです。日常のちょっとした出来事を描く群像劇、若しくはオムニバスとして、副題からも判る通り「ミステリー・トレイン」か「ナイト・オン・ザ・プラネット」風の作品を目指したのかもしれませんが、ジム・ジャームッシュの作劇とは雲泥の差。比較的高評価なのが理解できません。それにしても「柏原崇、演技巧くなったなぁ」と思って観てたら、弟さんだったんですねぇ。全く気づきませんでした…。そんな訳で、柏原収史と池脇千鶴に3点献上。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2006-04-25 00:05:03) |
351. スカイハイ[劇場版](2003)
原作もTVドラマ版も知りませんが、この劇場版に限って言えば北村龍平は悪くない。彼はちゃんと自分の仕事をしてる。ハリウッドの真似だろうが何とかの一つ覚えだろうが、こういうアクション映像を現在の日本でクールに撮れるのは北村監督しかいない(釈ちゃんの前に現れた魚谷佳苗が、得体の知れない刃物を持っていきなりポーズを決めた瞬間に「あ~あ、またやっちゃった…」って感じ。それに、無理矢理にでも北村一輝を出さんと気が済まんのか?)。諸悪の根源は、オカルト・ホラーみたいな題材の作品に、SFチックな馬鹿アクションしか撮れない監督を起用した会社。って、また東映かよ…。ホントにプロダクション編成能力ゼロ。…ようこそ、駄作の門へ。東映よ、お前には三つの選択肢がある。一、転生してVシネマ専門の会社になる。二、これまでの版権を管理するだけの会社になり現世を彷徨う。三、倒産して地獄に堕ちる。さあ、お逝きなさい…、3点献上。 [地上波(邦画)] 3点(2006-04-25 00:04:37) |
352. 凶気の桜
「義理と人情」を「イデオロギー」に置き換え、演出も現代の若者向けにアレンジされてはいますが、向こう見ずで一本気な若い衆が、やがてより大きな力のしがらみに囚われて悲劇に突き進んで行くというのは、超典型的なチンピラ映画です(ヤクザ映画の東映としては的を射た企画だったと思う。渋谷の街のロケーションも頑張ってた)。しかし、映画の中には磨くべきイデオロギーが見当たらず(だからヤクザ映画特有の「共感」が得られない)、主人公達以外の面々は全くお馴染みのヤクザでしかないので、私としてはもう少し「右翼系暴力団」という特殊性を見たい気がしました。あと、確かに江口洋介の消し屋は印象的(且つ上手い!)だったので、彼の暗殺者映画をスピンオフで作ってみても良いかもしれませんね、5点献上。 [地上波(邦画)] 5点(2006-04-25 00:04:11) |
353. 問題のない私たち
とにかく脚本が稚拙。映画が完全に前半と後半に分かれてしまってる。それぞれの話はそこそこ観れたのに(沢尻エリカが本当に意地の悪そうな転校生を好演)、一つのストーリーだと思って観てたこっちは、映画の分割が最後まで違和感として残ってしまう。こんな脚本なら、最初からオムニバスの二話構成として明確化しておけば良かった。で、まず第一話の感想。いじめってこんなにあからさまなの? もっと陰湿に隠れてやるもんじゃないのかなぁ…。第二話は中々興味深かった。これは学校に於ける新たな問題を提示してる。それは、大人である教師が子供である生徒のレベルにまで落ちてしまってる実情。今更「教師は聖職」等と言うつもりは毛頭ありませんが、最低限「大人」ではあって欲しいと思います、5点献上。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2006-04-25 00:03:40) |
354. 卍(1964)
原作・谷崎潤一郎、監督・増村保造ということで、「痴人の愛」位パワフルな倒錯映画を期待しましたけど、これは勢い不足の印象。話が後半へ進むに連れて登場人物達の滑稽さは増していきますが、各キャラクターが今一つ弾けない。要所要所で挿入される岸田今日子の告白も、映画の流れをせき止めてる様に感じました(原作未読なんですが、これは誰に告白してるんでしょう?)。また、男も女も狂わせてしまう若尾文子の容姿は納得ですけど、「天然の悪女」振りの描写は弱い。おまけに背中のヌードまで吹替え。そんなことで、私的には少し残念な仕上がりでした、5点献上。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2006-04-25 00:03:16) |
355. 黒い十人の女
これは面白かった。そうそうたる女優人の泥仕合も、「影」を基調としたモノクロ映像も見応えがありますけど、私には船越英二のキャラクターが最高。根はとてつもなく優しい善人の、飄々としたC調男。絶倫でも、征服欲がある訳でもなく、どっちかと言えば「情けない男」の部類に入る筈なのに、妻の他に9人もの愛人と「同時に」関係を持ってしまう。その女達もピンキリ。若いギャル(死語?)もいれば疲れたおばさんもいる。美女もいればブスもいる。彼には分け隔てが無く(しかも下心も無いみたい)、来る者を絶対拒まない上、自分からは別れない。こうなると女達にとっては「好き嫌い」でなく、「勝ち負け」の問題になってくる。やがて船越英二は蟻地獄に囚われてしまう。でもこの蟻地獄なら、私もハマってみたいです、7点献上。 [地上波(邦画)] 7点(2006-04-25 00:02:44) |
356. Vフォー・ヴェンデッタ
原作の背景はサッチャー時代のイギリスをモデルにしてるらしいんですけど、映画は明らかに現在のアメリカをモデルにしてる。議長の演説や弾圧の指針はジョージ・W・ブッシュその人のもの。となると、差し詰め「V」はマイケル・ムーアかウサマ・ビン・ラーディンって所か。「人民が政府を恐れるのではない、政府が人民を恐れるのだ」というスローガンももっともですが、民主国家で有権者を恐れてない政治家も余り見当たらないと思うので(少なくとも選挙前は)、これも北朝鮮の頭が爆発した眼鏡デブ位にしか通用しない。そしてヴィジュアル・イメージはお定まりのナチス(&「1984」)。要するに、物語やイメージに新味が無い上、私にはしっくりこないのです。「問題作」としても底が浅い。もっと「V」の個人的な復讐寄りで物語が組み立ててあれば、もう少し楽しめたかもしれません。あと、脚本構成がまんま「マトリックス・リローデッド」と同じだったことも気になりました、6点献上。 [試写会(字幕)] 6点(2006-04-22 00:05:21) |
357. ブラウン・バニー
前半(つーか、ほとんどの部分)の退屈さと、(クロエちゃんが元来「汚れ」好みだったとしても)「わざわざ」映画女優に男根をしゃぶらせた映像を大写しにしたことへの不快感と、最後の最後に経緯が明かされる物語的納得(と言っても、大して面白い話でもない)を秤にかければ、どう考えてもプラスには転じ得ない。固定カメラによるクローズ・アップの連続や、特別美しくもない映像はインディーズAVを思い起こさせる(要するに「ハメ撮り」ってヤツね)。こんな「安易」な出来損ないをアートと評してしまったら、本物の芸術家やアートに申し訳ない。ヴィンセント・ギャロは何故か日本で売れるからか、こんな映画に我が国の金が出資されてるのも気に食わん。そういった訳で、クロエちゃんの舌技(巧い!)に免じて+1点の、3点献上。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2006-04-22 00:04:49) |
358. クルーレス
女子高生の当時の最新言語と風俗を散りばめた、言ってみればアメリカ版コギャル映画(日本の「コギャル」とは違って、こちらのファッション・リーダーはハイクラスのお嬢様)。中身自体は、至って代わり映えのしない単なる学園ラヴ・コメディなので、今となっては風俗的価値だけで語られる作品となってます。外見だけを気にしてた主人公が徐々に中身の価値を見出していくという、当たり障りの無い展開もかなり保守的(これを打開するには、6年後の「キューティ・ブロンド」の登場まで待たされる)。アリシア・シルバーストーンにとっては最初で最後の打ち上げ花火でした、5点献上。 [ビデオ(字幕)] 5点(2006-04-22 00:04:17) |
359. 何かが道をやってくる
レイ・ブラッドベリの代表作の一つを自身が脚色した、ディズニー製作のダーク・ファンタジー映画。想像してたよりもダークな仕上がりだったので少し驚きました(たぶん現在のディズニーでは、ここまでダークに出来ないんじゃないかな)。子供が感じる、移動遊園地とかサーカス等の持つ異世界の怪しさを、当時のSFXを駆使して巧く再現してあります。特に、図書館でジェイソン・ロバーツが心理的に追いつめられていくシーンは、ヴィジュアル的に派手でも怖くもないんですけど、非常に残酷に映りました。子供には少し怖いかもしれませんが、充分楽しめる作品だと思います、6点献上。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2006-04-22 00:03:44) |
360. ケンタッキー・フライド・ムービー
公開当時(もちろん30年前の)から気にはなってましたが、「金出さなくて良かった…」という安堵が第一の感想。みうらじゅんみたいに「面白くないものを面白がれる感性」(つまり、みうら氏が面白がってるものは、正確には面白くないものということです)を備えてれば面白いのかもしれませんけど、普通に観てたらとてもつまらない。パロディも長々と続く「ドラゴン」とポルノネタばっかりで、「毒」がほとんど感じられないし、ノリも学生映画レベル(「絶叫計画」シリーズの方がまだマシ)。これは決して現在の視点で鑑賞した所為ではなく、当時観てても同じ感想だったと思います、3点献上。 [地上波(字幕)] 3点(2006-04-22 00:03:06) |