3641. 蜘蛛巣城
後に『乱』でもシェイクスピアを取り上げた黒澤監督ですが、『乱』の元ネタである『リア王』が壮大この上無い戯曲であるのに対して、こちらは、緊迫感がこの上ない『マクベス』が元ネタ。例によって、舞台作品を思わせるカメラではあるのですが、動と静の対比など、映画らしい演出がキマってます。劇ではバーナムの森が動くシーンなんて表現できないしね。昔NHK教育でやってた、BBC製作の「シェイクスピア劇場」での『マクベス』よりも、この『蜘蛛巣城』の方がむしろ、原作の臭いがよく出てるんじゃないの、と思えた程。ま、そのくらい、強烈なイメージで編み上げられた映画です。『乱』もこの頃のパワーで作られてたらなあ、という気はします。それにしても山田五十鈴は怖い。 9点(2003-08-23 22:15:06) |
3642. 華麗なるヒコーキ野郎
おい石原裕次郎はどこに出てるんだ!ってキミそれは違う映画だよ。紛らわしい邦題だねえ。空への憧れをとことん追求した、飛行機バカ一代という感じの映画。クライマックスの撃墜王との対決シーンは、よくぞこんなシチュエーションを準備してくれた、と喝采をおくりたくなるワクワクもの。 7点(2003-08-17 14:43:13) |
3643. ジーザス・クライスト・スーパースター
うーん。私はロックンロールというものをまともに聴いたことがなく、全然知らないのですが、コレはやっぱり魅力的な曲なんですか?変にわざとらしいような7拍子みたいな曲が出てきて、文字通り拍子抜けしてしまったもんで、どっちかというと映像を中心に楽しんでしまって。オマエなんか観るんじゃねーとか怒られそうなのでこの辺で退散します。 6点(2003-08-17 14:30:21) |
3644. U・ボート
連合軍を震え上がらせた神出鬼没のUボートも、その内部では、若者達が、潜航時には艦内を駆け回ったり、駆逐艦をやり過ごすために息を潜めて怯えてたりしてた、という話。航行不能で海底に沈んだ絶望的な艦内で、酸素の消費を減らすために眠るんですが、人間、眠ってる間だけは幸せなんですね。で、目が覚めたらやっぱり非常灯の下に沈鬱な艦長の横顔。何も状況が改善していない元の現実に引き戻される絶望感。誰しも似た経験ある生々しいシーンじゃないでしょうか。その他、印象的なシーンやセリフの数々が、どうにも忘れ難い映画です。 10点(2003-08-17 14:08:57)(良:1票) |
3645. ボルケーノ
「『ダンテズ・ピーク』を観た以上、コイツも観ないとバランスが取れないわい」、観に行った理由はこれだけなんですが。往年のパニック映画の雰囲気が味わえて、テキトーに自らを犠牲にする人が出てくるあたり、懐かしいと言えば懐かしいが、いささかサービス過剰ですな。その一方じゃ「アチチ~」程度で済んじゃう能天気ぶり。しかし街のまん中が溶岩で埋め尽くされるシーンはやっぱり圧巻。溶岩に水かけて戦うのって、昔、エトナ火山かどっかでも実際にやってませんでしたっけ? 7点(2003-08-17 13:50:15) |
3646. ダンテズ・ピーク
ある日映画館の前を通りかかったら、オカルト映画やら何やら判らぬ、不気味な山の映ったポスターが。これは気になる。観に行ったキッカケはコレだけなんですが、観てみたらこりゃスゴイ、特撮がもう出来過ぎてて、どうにも不気味でキモチ悪い。ストーリーは正直言ってあまり魅力ないし、ブロスナンの配役に至っては、悪意すら感じられるキャスティングですが、それでも何でも、他の映画で余り感じたことのないエグさがあって、何だか忘れられません。 8点(2003-08-17 13:31:50) |
3647. 裏窓(1954)
映画の「見せる」面白さをフル活用してます。小道具も効果的だし、クライマックスはドキドキもの、オチにはニヤリとさせられ、嬉しくなります。後日原作を読んでビックリ、短編小説として最高級の面白さで、オチも秀逸。この完成された短編を元に、これだけの長篇に組み立て直してしまい、別のオチまで準備してたとは、オドロキ。こりゃ小説も映画も両方楽しめる訳ですなあ。 8点(2003-08-17 13:17:44) |
3648. 夜の大捜査線
大筋では白人と黒人が一緒に難事件を解決しちゃう、というエンターテインメント作品なんですが、そこに差別問題が絡む紆余曲折が何やかんやとあって、そういう丁寧な作りに好感が持てます。最後のロッド・スタイガーの笑顔が、いいですね。 8点(2003-08-17 11:49:55) |
3649. 推定無罪
嫌な薄暗いようなモヤモヤした感じで、どういう風に話が落ち着くのかと思ってたら、このラストなもんで、なかなか衝撃的。意外なオチに、「真実味の乏しい場当たり的ドンデン返し」タイプと、「それまで信じて疑わなかった物が一気に突き崩される恐怖」タイプがあるとしたら、本作は後者の方と言えるのでは?ジョン・ウィリアムスの音楽がかなりカッコいいですね。雰囲気作りに一役も二役も貢献。 7点(2003-08-17 11:34:49) |
3650. コレクター(1997)
犯人がおマヌケなもんでガッカリ。乱歩の『蜘蛛男』を思い出しちゃったよ。犯人はとことん無気味で怖い存在であって欲しかった。で、それに対するのがせっかくモーガン・フリーマンってんだから、ゼヒこれは、徹底的にホノボノ系イイ味のオヤジに設定して欲しかった。そしたら事件の雰囲気と対照的で面白いんじゃないの(カー作品におけるフェル博士とか、横溝作品の金田一みたいに)。以上、ワガママな希望でした。 5点(2003-08-17 11:13:21) |
3651. コブラ
ポーラ・ゴズリング『逃げるアヒル』が元になっているだなんて、言われなければ絶対わからないけど、言われたらもっとわからない。独自の抽出方法により、原作の面白い所をすべて分離し去ってます。勿論それでも別の面白さがあればいいんですけど、いかんせんこれでは。そうそう、アクションはいいじゃないですか。これってきっと、西部劇をイメージして馬の代わりにバイク使ってるんだと思うんですけど。というわけで潔い程中身の無い映画でした(昔TBSの火ローの解説してた小堺一機にまで言われてなかったっけ?) 4点(2003-08-17 10:52:51) |
3652. ナチュラル・ボーン・キラーズ
虚構につぐ虚構、とうとう虚構が勝利をおさめちゃう話。っていうか、話ですらないですね。殺人事件もマスコミの向こうなら、犯人逮捕も裁判も刑執行もみんなマスコミの向こう。厳然と暴力は存在しているのに、実体の無い狂気だけが蔓延してる世の中。マスコミだけじゃない、映画だってそう。映画沢山見ただけで色んなこと判った気になってるのを嘲笑うかのように、グッチャグチャの世界を突き付けてきてます。で、そんな映画が面白いのかと言えば、これはもう私はたまたまのめり込んで観ちゃったというだけなんですけどね。それに、『JFK』を作った人が一方でこんなのも作ったんだと思えば、こりゃ相当キモチ悪い。 8点(2003-08-16 21:03:32) |
3653. マイノリティ・リポート
こういうの大好きですね。未来都市、自動車工場、キタナイ路地裏、その他その他、一本の映画でどこまで色んなもん見せてくれんねん、と、嬉しくなってきます。ん?しかし、プリコグはどうやら視覚的に未来を予知するようですが、名前や時刻まで判るの? え?じゃあこの話は成立するの?難しすぎて頭痛が。 9点(2003-08-16 13:35:42)(良:1票) |
3654. ダブル・チーム
何だこのロッドマンとかいう見たことも聞いたこともない奴は。こんなの出さないでいいよ。大体こんな奴がプロレスのリングに上がったのが許せないもんでそれ以来記憶が欠落してるんだ。こりゃ映画と関係ないな。ダブルチーム、面白かったよ。ちゃんと香港映画テイストになってますね。惰性で作ったような映画とはひと味違います。ミッキー・ロークはどうして例の必殺ネコパンチを出さないのかな。だから負けるんだ、出すんならココだよ。せっかくプロボクサーの彼が悪役なのに最後の決闘シーンはどうやら吹替えっぽかったですね。 7点(2003-08-16 13:04:57) |
3655. スポーン
アメコミは全然馴染みがなくて。スポーンって何?それより何なの、この妙チキリンな締まりの無いデブのワルモノは。辟易しちゃう!と思ってたら、おお、こいつなかなか強いぞ。やるじゃないの。あ~慌ただしい映画だった。面白いぞ。私は続きが観たい。こんなマント欲しいよね。あと、マーチン・シーンもこれにめげずにガンバレよ(大きなお世話だ)。 7点(2003-08-16 12:40:03) |
3656. アルマゲドン(1998)
冒頭の隕石落下シーンはかっこいい、すごくかっこいい(今となってはちょっと心が痛むけど)。でも後がねえ。次々に起る危機が、何だかいかにも「作った脚本」っぽくて、「ハイハイ、わかったから次サクサク行ってよ」とか無責任なこと思ってしまいました。大体、あんなポンコツどもが地球を救うなんて幾ら何でも、なあ。最後だからって、街に繰り出してたけど、そんなことして伝染病でも拾ってきたら、シャトル内全滅するよ。地球救う気あるの? あ、この手の映画にそういうツッコミは、キリが無いですね。 6点(2003-08-15 23:19:27) |
3657. ザ・ファーム/法律事務所
この映画については、「原作がめっちゃ面白かったのに、映画はサッパリ」という声をよく聞くのですが、私は実は原作読んだ方が後で、「映画がまあまあ面白かったんで、原作はこれより面白いのかと期待して読んだらガッカリ」というパターンです。まあ要するにどんな場合でも、過剰に期待しちゃあいかんのでしょうなあ。 7点(2003-08-15 22:56:32) |
3658. 7月4日に生まれて
実話だと言われるとやっぱり弱いんです。主人公は国を愛し、そのために大きな犠牲を払ったのに、国は主人公を愛してくれなかった。孤独が沁みます。オリバー・ストーン作品と思って観れば何だかキナ臭くなりますけどね、一人の人間の魂の軌跡として、普遍的なテーマも含んだ映画だと思います。ところでウィレム・デフォーとトム・ベレンジャーが出て来たのは、何かのシャレですかいな。 8点(2003-08-15 22:46:14) |
3659. 父の祈りを
実話の映画化と言われるとそれだけでもう弱いんですよね~。ダニエル・デイ・ルイスは最初の方、年齢的にさすがに無理があるんでちょっと戸惑うんですが、ピート・ポスルスウェイトが、もう、反則スレスレのはまり役。その顔でその役は、タマリマセンよ。不自然に金かけたっぽいシーンがあるのは、アメリカ資本が入ってるから?その辺のサービスも抜かり無し。 8点(2003-08-15 22:20:57) |
3660. 戦艦ポチョムキン
1925年でコレですから、撮影技術自体は欧米よりは低かったのかもしれませんが、この驚くべき演出! ダイ・ハード観てるのかと思ったよ。ごめんそれはウソ。しかしこの時代にすでにこんな事までやってたのかと思うと、少し薄気味悪くすらなります。逆に言うと、これまで音楽や美術の表現方法のトレンドが激しく移り変わってきた事に比べたら、映画って、実は膠着してるのかも??? 8点(2003-08-15 22:07:51) |