21. マルホランド・ドライブ
一言で、観る映画というより感じる映画ではないでしょうか。夢やデジャヴュの中に眠る深層心理が点から線になるという納得があります。感想は十人十色と思いますが、むきにならず、受け身で観ましょう。感動すると思います。「あなたを好きな16の理由」という挿入歌が何ともオールディーズで良かったです。 9点(2004-06-07 00:48:26)(良:1票) |
22. HERO(2002)
《ネタバレ》 秦王が無名の言葉の裏を読み取り、その都度画面が回想場面へと飛びながら進行して行くのは好きになれました。 ワイヤーアクションは不自然な点も多いのですが、想念をぶつけ合うという気と気の闘いを、映像美の中で表現しようというのがよく伝わってきます。 全編謎解きっぽいですが難解ではありません。 例えの中に凝縮させる手法は中国独特でもありますが、書の道と剣の道を同次元に乗せたことに別段無理は無く、それほど理屈っぽい仕上がりにはならなかったからでしょうか。 衣装はワダ・エミらしく画面に溶け込む芸術性の高いものでした。 ジェット・リーは「少林寺」関係の時のほうが一生懸命だったようにおもうんですよね。 なんか段々無機質な演技になってくみたいに思うんですが。 7点(2004-06-05 15:48:51) |
23. 二重スパイ
80年代の韓国は全斗煥政権全盛の時代で、言わば民主化の直前の時代ですね。 この時期まで韓国は密告社会であり、そこで身の潔白を通して生きることは、命がけだったと言って良いでしょう。 70年代中頃まではスパイ容疑は拷問死もあったんですねえ。 その時代を背景に脚本を書く事は、歴史の暗部、否、タブーにメスを入れるようなもの。 「シュリ」「JSA」に続き、大胆な作品として発表されました。が、それを超えてはいませんね。 上記の映画では「分断の歴史」がスッと入ってくる面がありましたが、この作品では時代背景など少しの予備知識が必要でしょうか。そしたらまた違う見方が出来るかも知れません。 しかし韓国映画はこの二十年、数々の制約を打破し、表現、技術共に、恐ろしいぐらいの速度で発展しました。 この類の実話がゴロゴロあると言う韓国で高い評価を得ただけに、隣国が歩んだ分断の後遺症が今も尚未解決だという題材は、観終わってまた深刻なものが残像として残る想いです。 7点(2004-06-05 15:34:16) |
24. トロイ(2004)
ペーターゼン監督にしては路線が変わったような印象で、その点は期待外れでしたが、あえて抑え目の仕上がりはマル。 しかし愛を語りすぎ、貫きすぎた感もあり、もうちょっと冒険活劇を強調して欲しかったかなとも。 更なるマッチョに進化したブラピは見事。 殺陣に使用した武具は実際に相当な重さであったとTVでも紹介されていました。 ピーター・オトゥールを活かし切れていないが、彼の存在感が辛うじて作品を救っているかも知れない。女優陣にオーラが少ないのも残念。 6点(2004-06-05 15:29:19) |
25. 黄泉がえり
《ネタバレ》 酷評とボロ泣き、こんなに感想が両極端な映画も珍しい。 私の点数は辛目です。 草彅君の演技はもう見ちゃおれん状態、RUI(柴咲コウ)のコンサートシーンは15分ぐらいあって長すぎでしょうあれは。 事情はあると思いますが(笑)我慢の限界に迫る方々は早送りをお薦めします。 それに哀川翔の、あの倒れるときの演技、、、なんすかあれ。 ブレイクダンスかドリフのコントみたいですね。 あれはやり直しさせないほうが悪いですね。 しかし裏点数なるものを点けるなら、これは8点としたいのです。 死んだ人にもう一度会いたいという願望は、身内や愛する人を失った人ならだれでも多少はあるはず。その気持ちを増幅させてくれるような気がします。 哀川翔のキョトンとした表情、すぐ把握できてないという感覚は表現されてましたしね。 要するに題材そのものが高得点ということになりました。 監督が違えば、或いは主役級を一新してリメイクすれば、こんなものでは終わらないでしょう。 そういう意味ではもったいないので、是非パート2的なもので挽回してもらいたいと思います。 田中邦衛や伊藤美咲の自然な演技で何とかなったかなという気はします。 そこで私のリメイク案は・・・ 主演はどうしてもスマップを使いたいなら稲垣吾郎君、ちゃんとした俳優なら、中井貴一とか。 脇は黒木瞳や鈴木京香、永島暎子など演技派や正統派で本編より年齢層を僅かに上げたほうが良いかもしれません。 ただ「サトラレ」には完敗した作品だと思います。 4点(2004-06-03 19:00:26)(良:1票) |
26. AIKI/アイキ
《ネタバレ》 自分はならないというのは保障されない話で、いつ自分が身体障害を負うか誰にも予期できません。 主人公は自殺まで計画しますが、小さな波紋が彼を勇気付け現実を受け入れて立ち直る過程を面白く、且つ感動的に描きました。 デンマーク人身障者の実話で、日々感じる劣等感や性機能の喪失などの描写も本人の希望だったそうです。 今まで感じることの無かった差別の中で合気道と出会い、心の平穏と豊かさを結実させるプロセスを真実味豊かに描写しています。 僕は脇役・ともさかりえがあまり好きでは無かったのですが、認識が一変しました。上手です。 コミックタッチな部分はありますが許せる範囲で仕上げられています。 途中から登場するG・リトリーバーの仔犬が太一のパートナーとして成犬に至る過程も微笑ましく、愛くるしいショットが多数織り込まれてます。 石橋凌演じる合気道師範代は、大変頼り甲斐があり野に眠る達人の存在感や人間愛に溢れています。 7点(2004-06-03 18:55:18)(良:1票) |
27. 壬生義士伝
《ネタバレ》 武士道とは何ぞや。武士道とは死ぬ事と見つけたりを地で行く物語。 しかしやはり肉体的な死を恐れぬとは言っても、愛する家族を考えると、それは常に非業の死であったであろう事は否めません。 そんな気骨など無いだろうと思われていた男が、実は在野に咲く武士の華だと気付いたとき、彼は藩史に残る武士として、新撰組隊士として壮絶に散ったという展開が悲しいです。 画面のこちら側からはまるで自分が物陰から見守るような気持ちで鑑賞してしまいました。 中井貴一の朴訥とした中に剣の達人像を押し込めた演技が光っていると思います。 8点(2004-06-03 18:52:42) |
28. コーリング
シックス・センスを思い出させる展開でホラーの要素もありますが、夫婦の絆とは時空を越える事を訴えるラブロマンスでもあり。 やはりケビン・コスナーはタフガイよりも感動作で勝負する方が光ると思います。 弁護士役で登場するジョーの友人は名女優キャシー・ベイツ。 他を喰わないように控えめにコントロールした存在感がたまりません。彼女に免じて7点。 7点(2004-06-03 18:48:15) |
29. 白い犬とワルツを(2002)
御夫婦でゆっくり鑑賞されたらどうでしょう。 観終わった後、僕は家内の顔を見るのが照れくさくなってしまいました。 お互いちょっと文句を言いたい時は、こういう映画で大人になりましょう。(^^) 静かにエンディングまで付き合わせてくれる秀作だと思います。 僕は妻を亡くしかけた事があるので言いたいことはよく伝わってきた映画でした。 8点(2004-06-03 18:41:32) |
30. イナフ
《ネタバレ》 とにかく男が異常性格者。プロポーズから実生活の全てが嘘で、逃げるヒロインに先回りし、嫌がらせ、キャッシュカード停止など、執拗にいたぶります。 しかしそれに屈せず、肉体改造、精神覚醒を武器に、元夫に立ち向かう姿は立派。 手厳しい感想の方々もみえますが、ドメスティック・バイオレンスを考えたら非現実的なストーリーなどと馬鹿に出来ないものがあるかも知れません。 男に恨みのある女性が観たら、スカッとするでしょう。 反面男の立場から観ると、「ああいう事の無いように気をつけよう」と思うでしょうか。(笑) 5点(2004-06-03 18:33:53) |
31. パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち
若手の為にジョニー・デップを噛ませ役にした映画なのに、完全に彼の作品になってしまったと思います。 多少無理のあるストーリー展開もジョニー・デップの演技によって救われています。 CGによるガイコツ軍団は、カルト宗教の武装集団でも良かったと思いますが、子供も含めて楽しめる映画に仕上げるにはあれで良かったかも知れません。 音楽も素晴らしくどこかで耳にしたぞと思ったら「タイムマシン」(2002)のクラウス・バデルトと、「バック・ドラフト」「グラディエーター」のハンス・ジマーでした。 BGM挿入のタイミングの良さは作品を更に煌びやかに援護しています。 映画館で観なければもったいない作品でもありますが、DVDやシアターサウンドシステムで鑑賞するにも最適な作品かと思います。 8点(2004-06-03 18:20:51) |
32. シービスケット
3人の男に共通している人生の挫折。この主要人物を個別に紹介しながら、シービスケットによってやがて点が線になる過程を人間味豊かに描いていました。 実話をもとに脚色されているが、途中何度も来る中だるみは、鑑賞し辛い面も。 トビー・マグワイアは今後「スパイダーマン2」も公開されますが、この映画で捻挫したことを理由に「2」を渋ったそうです。では代役を立てる、と言われて慌てて「2」を引き受けたとか。 5点(2004-06-03 18:16:38) |
33. オーシャン・オブ・ファイヤー
《ネタバレ》 ヴィゴはキャリア20年でありながら意外にも初主演だそうです。私自身はこの映画に中だるみは無く最後まで楽しめたと思います。同じ「馬関係」でも「シービス」は眠る一歩手前でしたから。太陽をいっぱい浴びた草花のような(どんなんだか)ヴィゴの演技は文句の付けようが無かったと思います。 ヒダルゴ役の馬は全部で五頭使われたのですが、その内一頭は、実際にヴィゴの愛馬になりました。多少の脚色はありますが、この映画が実話に基づくという点は感情移入しやすいと思います。最後のデッドヒートを前に意識朦朧の人馬が立ち上がる場面、また鼻血を流しながら目を剥いて駆け抜けるヒダルゴに胸が熱くなりました。全てはあのラストシーンの為の導入部であったと思え、素直に感動出来ます。 8点(2004-05-19 18:38:26) |
34. クイール
《ネタバレ》 私も犬を二頭飼っています。ゴールデンと柴です。 水を注すようですが5点という評価の通り、可も無く不可も無くと言ったところです。 椎名桔平と小林薫は良かったです。特に小林薫は実在の渡辺さん(故人)を演じ、生前の彼を知る人々からは絶賛だったそうです。 しかし「省略された年月」のウェイトの大きさに遺憾さが残ります。 犬好きの方達や原作を読まれた方々にはスッと入り込めるストーリーですが、宣伝にだけ惚れこんで観に行った人達に物足りなさが残るのは否めません。 みのもんたの「動物奇想天外」の中の特集コーナーのほうがより身近な感動が沸くと思えます。 クイールに関わった人々の存在や気持ちを思えば、盲導犬育成の為の一大社会現象、プロパガンダとなって然るべき題材であっただけに手放しで賞賛は出来ません。 でも自然さや可愛さはよく工夫されていました。クイール最後のシーンがアニマトリックスによる精巧なダミーという点も、評価すべき点だと思います。 総じてみて犬好き、動物好き、またその生死に問題意識のある方々には理解しやすいのですが、そうでない方々が感動できるかという点ではどうでしょう。幼い子供さんがみえるお宅ではビデオでゆっくり鑑賞されるに充分ではないかと思えます。 犬好きの私自身は大変感動致しましたが。 [映画館(字幕)] 5点(2004-03-15 04:53:41) |
35. ラスト サムライ
《ネタバレ》 トム・クルーズは本来日本の武士道に関心があったと言いますがこの映画で一段と造詣を深め、更に傾倒したであろうことが窺えます。 無理な展開もあるにはありますが、映画ですからああなるのは大目に見たいところです。 今まで世界に紹介されてきたサムライ像を踏襲するものではなく武士道を外国人が分かりやすいようにした作品と言えないでしょうか。 この点は評価されるべきだと思います。 他に飛源役の池松宗助、信忠役の小山田シン、二万回斬られた男として有名な福本清三の演技も見逃せません。 また特筆すべきは音楽がハンス・ジマーという事でしょうか。 和太鼓の効果的な使い方や男性コーラスのシャウトなどかなり鳥肌モンでした。 ただ生かされるだけの凡庸な人であるより、自分を貫いて生きることの価値を問いただしているかのようでもあります。 [映画館(字幕)] 7点(2004-01-03 05:34:13) |