21. ラ・ブーム2
もちろんオリジナルがあってこその作品だけど、全体の雰囲気は全く損なわれる事がない安定感抜群の続編。よって採点は同じ。前作でも書いたけどこの頃のソフィーって、デビュー直後の広末とイメージダダ被り。お二人とも色々あったけど、2024年現在でも当時の面影は健在ですもんね。ここでの作品は未登録ですが、フランソワ・オゾン監督作品、ソフィーの最新主演映画をつい先日鑑賞しましたが、親しみやすい美貌は相変わらず、人生の苦み痛みを感じさせる演技力も備わった、素敵なパリジェンヌになっておりました。生まれて初めてドキドキで購入した映画雑誌『ロードショー』、ファン投票第一位男優がジャッキー・チェン、女優は『ラ・ブーム』公開直後のソフィー、んでもって表紙はそれはそれは美しかった『キャットピープル』ナスターシャ・キンスキ―、全てが懐かしい・・・。 [地上波(吹替)] 7点(2024-05-11 07:57:21) |
22. 生徒諸君!
庄司陽子の原作マンガは姉貴が持ってたんで途中まで熱心に読んでました。連ドラもアニメ化も欠かさず観てて、主題歌のワンフレーズ、今でもソラで歌えます。♪ハッピー、ナッキー、プリティ~、ハイ!はい!はーい、せいーと諸君ッ~♪と。原作ファンもそれなりに満足させ、KYON2ファンの期待をも裏切らない「アイドル映画」としては極めて優秀な出来栄え。が、それ以上でもそれ以下でもない。デビュー当時のまだ猫被ってた、断髪前のコイズミさんの方が好きだった私は少数派でした。 [映画館(邦画)] 6点(2024-05-09 22:37:18) |
23. たそがれ酒場
《ネタバレ》 面白かったですね~、これ。たそがれ時から酒場に集ってくる多種多様な人間たちを最初は俯瞰でスケッチのように映し出す。来ては飲み、そして去っていく客たち。きっと連日連夜こんな夜が繰り返されているのだろう、何が店内で起こってもたいして驚かない客や従業員。徐々に特定の何人かの人物にフォーカスしていく。モヤモヤと得体の知れない混沌としたエネルギーが湧き上がってくるような、戦後十年目、大衆酒場の雰囲気、最高です。ほんのチョイ役でも、役者それぞれの個性を引き出す演出の妙。中でも加東大介、東野英治郎は別格。若き日の丹波大先生、殆どワンシーンのみの登場だけどやっぱり光っていました。生活に疲れた津島恵子の踊り子(ストリッパー?)役、意外な配役だがこれもなかなかの適役。天知茂はどこに出てたのか見つけられず。下戸だが食いしん坊万歳!な自分は、途中から壁にデカい文字でベタベタと貼り付けてある、どれもこれも旨そうなツマミのメニューとお値段が気になって仕方なかった。今なら幾らくらいでオーダーできるのかなぁなんて。 [DVD(字幕)] 8点(2024-05-08 07:54:16) |
24. 私を野球につれてって
製作年度から言えば、この作品は「踊る海賊」(1948)と「踊る大紐育」(1950)の狭間にあたる時期。「海賊」とこれを観れば、より洗練させ、よりダイナミックにヴァージョンアップさせたのが「踊る大紐育」(8点)って事が非常にわかりやすく理解できる、と思う。自分はF・アステアより断然ジーン・ケリー派なので、太平楽且つノーテンキ極まりないこの映画も愉しめました。来たる1950年代にキャリア黄金期を迎えるジーン・ケリー物語の、ある意味前奏曲映画ともいえる。ちゃんとお召し物を羽織って台詞を言う「水着の女王」エスター・ウィリアムズ嬢も私は初見参、お綺麗です。 [DVD(字幕)] 7点(2024-05-04 08:15:54) |
25. チャンピオン(1949)
《ネタバレ》 成り上がる欲望に取り憑かれた、ギラギラしたミッジというアンチヒーローを演じた若き日のカーク・ダグラスにとにかく圧倒されました。初主演作にして最高の適役に出逢ってしまったせいで、結局アカデミー賞主演男優賞を取れず仕舞いだったのはホント惜しまれる。80年代にマイケルがのしてきた時期も、カークのイミテーションが出てきたようにしか見えなかった(笑)改めてモノクロ映画の深みあるカッティングショットにも随所で唸らされましたね。足が不自由なお兄さん役のアーサー・ケネディ、放っておかれる妻役、ヒッチコックの「見知らぬ乗客」ではてんで冴えなかったルース・ローマンもここではそれぞれ適役適演。 [DVD(字幕)] 8点(2024-05-03 08:21:21) |
26. ベティ・ブルー/愛と激情の日々
《ネタバレ》 当時10代のドーテー少年には刺戟が強すぎましたね、この映画。それまで深夜のテレビでやってるエロ映画の存在は知ってたけど(年忘れ「エマニエル夫人」大会とか「窓からローマが見える」とか)あくまであれはエロの為のエロであって、真の情愛を伴っての濃密な性愛行為の描写にはまだ巡り会っていなかった。こういう互いに傷つけ傷つけあいながらも成り立つ愛もあるんだって。フランス映画の、恋愛性愛徹底至上主義を認識したのもこの映画が最初。外壁ペンキ塗立て海辺のコテージの佇まい、ヒロインの厚めの唇を半開きにした亡き顔のショットなんかを、30年以上経った今でもはっきりと覚えているのは、おそらく自分の中でこういう「愛と激情の日々」的恋愛に、どこかで憧れを抱いていたからかもしれません。ついぞこの歳までこの手の中途半端に手を出したら火傷する的な、恋の対象に遭遇する事は叶いませんでしたが。・・・いや、でもまだ間に合うかなぁ・・・。 [映画館(字幕)] 9点(2024-01-11 08:21:09) |
27. オール・アバウト・マイ・マザー
もう25年前の映画なんですね~これ。当時評価がえらく高かったので、封切後かなり経ってから早稲田松竹で観ました。鑑賞後素直に、ああ、広い世界、いろんな事情を抱えた、いろんな人が、まぎれもなく生きてるんだなぁって清々しい気持ちに。映画の中身自体は結構ドロドロしてたはずなのに。三十路に入るか入らないかくらいの時期この映画を観た事で、人間の多様性というか側面というか、一見フツ―に見えてフツ―に暮らしている人のそれぞれの「人生」の在り方を認識出来て良かったと思います。ちなみに同監督の「トーク・トゥ・ハー」「ボルベール(帰郷)」を観た後にも自分は同じような感想を持ちました。 [映画館(字幕)] 8点(2024-01-10 08:26:36) |
28. マックィーンの絶対の危機(ピンチ)
この手の50年代の手造り問屋制家内工業感満載のB級SF映画大好きです!『蠅男の恐怖』とか『ボディスナッチャー/恐怖の街』『惑星アドベンチャー』とか。その諸作と比べても、これは明らかに低予算でお手軽にこしらえた一篇。マックィーンが出てなかったらおそらく日本公開はされてなかったと思われるレベル。突然空から降ってきた、謎の人喰いスライム?アメ―バ?(どっちでも良いけど)に、街中総出でわちゃわちゃ右往左往する登場人物の中、彼だけは既にスターのオーラを放っていたのは流石。 [DVD(字幕)] 6点(2024-01-09 08:30:07) |
29. 老人と海(1958)
《ネタバレ》 ヘミングウェイ原作の映画化って「キリマンジャロの雪」や「陽はまた昇る」「誰が為に~」といい、「豪華キャストを揃えて無難に映像化しました」的な作品がホント多いですよね・・・。これは当時新鋭だった、秀作「日本人の勲章」(9点)をこしらえたJ・スタージェス監督作、しかも登場人物が非常に少ない点で、何か野心的実験的な試みの作品になっているのかと思いきや・・・残念ながら、やはり他作品と同じ轍を踏んだ極めて「無難な」原作映画化作品に。大体↑のスタッフ一覧の監督欄、ノンクレジットとはいえ、ヘンリー・キングやフレッド・ジンネマンという大監督のお名前が連なっているのは一体何なんでしょう?撮影中、何かしらのトラブルがあって、降板やら色々ゴタゴタがあったんでしょうか?上映時間、製作規模から言えばこれは小品なのに。僕は逆にそっちの方が興味があります。スペンサー・トレイシーの老境に達した孤高の存在感にプラス1点。 [DVD(字幕)] 6点(2024-01-08 08:36:03) |
30. ティーン・ウルフ
観ている間はそれなりに面白かったけれど、後には全く何も残らなかった映画。そういう意味では「ポリスアカデミー」とどっこいどっこい(←死語?)かも。地方都市じゃMy FAVORITE MOVIE NO.1「ファンダンゴ」(10点満点)とニ本立てだったのも分が悪かった。おそらく観客の大半は『「BTTF」に続いて全米興行成績1位2位独占!!』と派手に宣伝されていたこっちが目的だったはず。事実自分もそうだった。ルックスからして万人からの好感度抜群だった当時のマイケルが、スクリーンの中で縦横無尽に駆け回っていた事・・・、くらいしかホント記憶にない。ゴメンなさい。 [映画館(字幕)] 5点(2024-01-07 08:55:28) |
31. サンダーボルト(1974)
『日曜洋画劇場』で良く放映されていたというイメージがあります。イーストウッドの映画って、ホントこの枠で頻繁に放映されてましたよね。淀川さんが余程お好きだったのか、イーストウッドものはよっぽど視聴率を稼げていたのか。しかしこの映画に関しては、軽佻浮薄なJ・ブリッジスの方が役得で目立ってました。この脚本なら読めばそうなるはずで、敢えて若者に花を持たせた的イーストウッドの懐の深さにも感服。日曜日の夜、明日から始まる学校への憂鬱な気分を紛らわせてくれたこの番組そのものにも改めて感謝。両親に守られ育った少年時代の懐かしい日常は、遥か遠い昔の事となりました。 [地上波(吹替)] 7点(2024-01-06 20:32:12) |
32. 妻(1953)
《ネタバレ》 成瀬巳喜男監督「めし」「夫婦」そしてこの「妻」、「夫婦もの三部作」の一本。鑑賞は一番最後になったが、製作順序的にも「めし」⇒「夫婦」⇒「妻」の順との事。大阪が舞台で色々とゴチャゴチャ動きがあった「めし」は別格として、後の二作はとにかく類似性が高い。煮え切らない夫役がどれも上原謙、訳アリ同居人がどっちも三國連太郎。解る方には解って頂けると思うが、ハワード・ホークス監督「リオ・ブラボー」と「エル・ドラド」を連チャンで観た時の感覚になんだか似てる。しかし相手役は替われども、上原謙さんっていっつも同じ演技、同じ表情しかしていないように見える。同じ成瀬映画の常連森雅之氏と比べ、この方の演技についての評価は聞いたことが殆どないが、妻役が誰であれ、それを受けて立つ度量の深さ、もしやこの方は稀代の「女優輝かせ名優」だったのではないかと思えてきた。妻役原節子、杉葉子、高峰三枝子は、それぞれ自身のキャリアの中でも特に深い爪痕を残した好演技。そう考えると成瀬監督がこの方を繰り返し起用し続けた理由が何となく解る。それにしても若き日の三國連太郎が間借り人の自宅に、奥さん一人っきりで残して外出なんて危険極まりないってつい思ってしまうのは自分だけでしょうか(笑)? [インターネット(邦画)] 7点(2024-01-06 08:41:32) |
33. 不死身の保安官
「コメディウエスタン」なんてジャンル、あるのかどうかは定かではないですが(すぐ思いつくのは「テキサスの五人の仲間」とか?)面白かったですね~、これ。冒頭からして最早ウエスタンらしからぬ展開。ヒロインJ・マンスフィールドもデビュー作「女はそれを我慢できない」より更に活躍の余地を与えられ、伸び伸びとコメディセンスを披露してすこぶる好調。ただし唄は吹き替えっぽい。当時、演技派路線に徐々にシフトしはじめたマリリン・モンローの後釜に彼女を据えようと、20世紀FOX社としても彼女の売り出しに必死だったんでしょうね、きっと。『不死身の保安官』たるケネス・モア氏も、その英国的地味キャラが巧く生かされていました。ヒーローとは到底思えない、彼のアンバランスな体型が一番おかしかったです。2023年は紅白も観ず、この映画で年越しを迎えました。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2024-01-04 22:58:03)(良:1票) |
34. 無頼の谷
「砂塵」「大砂塵」「白昼の決闘」しかり、たとえ伝説の大スター、ディートリッヒ姐御が主演だとしても、全面的にヒロインがやたらしゃしゃり出てくるウエスタンに傑作なし!という持論はやはり覆りませんでした。監督がフリッツ・ラングという事で、一風変わった作品なのかなと期待したんですが。私が観たのは地上波の吹替版でしたが、↓評価が高い方のレビューを拝見すると、どうやら本編89分が更にカットされたバージョンだったと思われます。えっ、そんな面白いハナシだったっけ?みたいな。 [地上波(吹替)] 6点(2023-08-28 21:40:59) |
35. ミッドナイトクロス
《ネタバレ》 公開当時「後味悪すぎ」と、批評等でやたらと連呼されていたので、一体観た後、どんな暗鬱な気分になるんだろうと覚悟して「月曜ロードショー」にて観た記憶があります。後味自体はやいやい云われてるほど悪くなかったけれど、すんでのところでヒロインを救えなかった、ヒーローたるトラボルタの体型が明らかに崩れ始めていた事のほうが、少々哀しかったかなあ・・・と。「グリース」の頃の、パッキパキダンサー体型だったら、敏捷に易々と立ち回って大団円のハッピーエンドだったろうに。次作「ステインアライブ」でスタローンに叱咤されダイエットに無事成功したのはまた別のハナシ。 [地上波(吹替)] 6点(2023-08-27 22:36:59) |
36. 浮草
大映専属だった山本富士子に「彼岸花」(10点)へ出演してもらった返礼として、翌年小津監督が大映に赴き撮った唯一の作品及び唯一の自作リメイク。妖艶になる、あと一歩手前時期の若尾文子がなんとも可愛らしい。いや、京マチ子にせよ野添ひとみにせよ、女優陣みんなそれぞれにいい。大映現代劇特有の、あのねっとりしたカラーが小津監督タッチによって若干浄化されたようなイメージ。小津監督の他社作品「小早川家の秋」(宝塚映画)「宗方姉妹」(新東宝)を観ると、松竹作品全般に感じられる、窮屈な「縛り」みたいなものから、ほんの束の間解放されたかのような自由な空気感を感じます。もちろんその「縛り」が21世紀になっても評価が全く衰えない小津作品の真骨頂だとは思いますが、この作品とか観ちゃうと、息抜き的に他社でこしらえた作品をもっと観たかったなあとも思います。流石に東映とは合わなかっただろうけど。 [DVD(字幕)] 7点(2023-08-26 07:53:34) |
37. 暗黒街の顔役(1932)
《ネタバレ》 破滅型の主人公より、相方の優男ジョージ・ラフト氏の方が断然カッコいい!!彼がこの映画でコインを指先で投げる仕草が大いに受けて、当時のニッポン国の若者の間で大流行したとの事だが実物を観るに及んでさもありなんと思わせる。鑑賞後、自分も早速真似してはみましたが・・・なかなか難しいんだな、これが。キャストは皆適役適演だけど、妹役の女優だけが弱い。アバズレ風の濃ゆいメイクアップのせいかもしれないが、主人公が己の命を賭けても守り抜きたいと思わせる魅力が決定的に欠けている。後年の秀作群では、女性キャストの選択眼が非常に優れていたホークス監督なのに。 [DVD(字幕)] 8点(2023-08-24 21:55:01) |
38. パリ警視J
僕が住んでた地方都市では、高尚っぽいイメージがあるフランス映画がロードショーされることなど滅多になかった為、ちょいとオトナになった気分で封切時観に行きました。トリュフォー監督の遺作「日曜日が待ち遠しい!」との二本立て。この時点でアラン・ドロン氏の名前は知ってたけど、ベルモント氏の事は全く存じ上げず。榊原郁恵さんが「アル・パシーノ+アランドロン≦あなた」?とかいう曲歌ってたし。観慣れたアメリカ映画のアクション映画とは、少々肌合いが異なる展開だと思った記憶が。特に可もなく不可もない出来。高尚でも何でもなかった。超イケメンというわけじゃない、色黒のお洒落で粋なオッサンが身体張ってとにかく頑張ってるなあと。後々この御仁が名高いジャン・ポール・ベルモント氏だと知り、へえぇ~とそれなりに納得。 [映画館(字幕)] 6点(2023-08-22 16:50:28) |
39. 白夜(1957)
《ネタバレ》 自分の中でヴィスコンティ監督が「世界名作全集御用達監督」のイメージを決定づけたのは、暇と時間だけはあった大学時代、懐かしの名画座「三鷹オスカー」三本立て(ニーノ・ロータ特集)で観た、この作品の印象が強く影響していると思います。恋人をひたすら待ち続けるヒロインを見守る主人公という、ストーリーそのものはどうという事もなかったかなあと。でも、今でも記憶ありありと浮かぶのは橋に降り積もる吹雪描写の凄さ。若き日のマストロヤンニもカッコ良かったなあ・・・。 [映画館(字幕)] 7点(2023-08-22 16:05:54) |
40. 評決
《ネタバレ》 ラストシーンの秀逸さゆえ、他の凡百の法廷映画とは一線を画す作品になっていますね。欲を言えば、敵役J・メイスンとガップリ四つに組んだ丁々発止的攻防が、法廷内でもっと大掛かりに繰り広げられるのかと思いきや、意外にあっさり片が付いてしまったのが少々惜しまれる。メイスン自身、彼らしい演技のしどころがなく困っているようなもったいない役どころ。うーん・・・、でも「ハスラー2」なんかより、こっちでアカデミー賞獲得した方が、ニューマン自身も絶対嬉しかっただろうに・・・。「熱いトタン屋根」「ハスラー」「暴力脱獄」あたりの、ギラついてた若かりし頃はともかく、銀髪のオッサンになってもこんなカッコいいオーラを放ってたスターって、なかなかいるもんじゃない。 [DVD(字幕)] 8点(2023-08-13 21:41:06) |