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もっつぁれらさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 542
性別 男性

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21.  禁じられた遊び(1952) 《ネタバレ》 
どこかで前にも書きましたが、良い映画は最初の10分でわかる。 まず、冒頭の爆弾投下の資料映像と逃げまとい阿鼻叫喚する人々のカットバックが凄い。全く違った二つの映像が何の違和感もなしに一つのフィルムとなってストーリーを形成している。また、それとは対照して、女の子の純真無垢な表情が収められ、さらに、犬や馬や牛などの動物までもが完璧に監督の思い通りに動いている。ルネ・クレマンの手にかかれば動物までもが役者と化す、とまで思うのです。 ところで、この映画って幼い男女の恋愛を描いたという風に捉えることも出来るようですが、私がこの映画の二人から感じたのは、異性に対する恋心と言うよりも兄と妹の関係で生まれる感情の方が強いような気がするのです。自分に妹がいるからかもしれませんが、自分の小さい頃ってよく妹と一緒に遊んだりして、今思えば、この映画のミシェルの様に妹のわがままをよく聞いていたような気がします(今は喧嘩ばかりですけど・・・)。だから、何となくですが、教会の十字架を取ろうとしたりっていう気持ちはわかるような感じがするし、それだけに、終盤近くの、水車小屋での少年の涙、そして、少年を暖かく見守るフクロウの瞳が強烈に印象付けられてしまいました。あれはラストシーンよりも心に焼き付いています。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2006-02-22 00:03:48)
22.  メトロポリス(1926) 《ネタバレ》 
この映画こそがクラシック映画の醍醐味を堪能できる映画なのではないでしょうか。 クラシック映画の最大の魅力は“国籍人種及び時代を問わず、いかなる環境の下で鑑賞しても楽しむことの出来る普遍性を有する”ところにある、と私は考えているのですが、本作品はそれが見事なまでに表現されていると言えるのです。21世紀のこの時代に観ても十分に説得力のある先見性ではありませんか。 “手と頭脳を結ぶのは心”この決め台詞にシビレました。 どんなに時代が進んで機械化が進もうと、それを作って動かしているのは必ず人間であり、また、その人間同士の間においても、気持ちの通うことのないやりとり(現代社会に当てはめてみれば、メールやFAXのみでの伝達など)ばかりでは駄目なのだというメッセージを既にこの時代から訴えているのです。 また、会社勤めをしている自分にとって、この映画は現代社会の企業の縮図であるような気がします。会社の上層部の人間と現場で働く人間とが上手く連携をとっていかないと企業としての成長が見込めないということは、仕事をしたことのある人にとってはごく当たり前のことですよね。 映画序盤にいきなり登場する巨大なセットで観客の心を一気に掴み、ラストのクライマックスに向けてテンションを上げていくといった、明らかに観客を楽しませようと意識した作りに仕上がっているところもフリッツ・ラングのエンターテイナーとしてのプロ意識のようなものが感じられ、好印象なのであります。 〔追記〕後日、DVD(淀川長治100選のヤツ)で鑑賞したら、劇場で観たオリジナル版(122分)に対してDVD版92分と、30分も削られているではありませんか。確か、日本の歓楽街“ヨシワラ”という言葉が出ていました。しかも、オープニングのタイトルも滲んでいて“Metropolis”の文字が見えず、序盤の巨大なモニュメントも目の部分より上が画面からはみ出ているし、それに、劇場で見たときの荘厳なオーケストラの音楽もなく、終始単調なピアノの音がただ流れていただけで、かなり物足りなかったです。DVD版だと8点です。
[映画館(字幕)] 9点(2006-01-21 00:17:07)(良:2票)
23.  思ひ出 《ネタバレ》 
「逆流」(1924)との二本立てで、澤登翠さんの活弁&生演奏付きで鑑賞することができました。 エルンスト・ルビッチ。私はここにまた偉大な映画作家を発見することが出来たようです。 まず、邦題が素晴らしい。そして全体的なラブストーリーに加え、至るところに笑いを散りばめたストーリーがとても面白かったです。ラブシーンの粋な見せ方といい、細かな笑いといい“面白かった”のひと言ではとても片付けられない素晴らしい作品です。 カティーと出会い、彼女に心魅かれていく王子の心情もとても上手く描かれていたり、学生仲間で青春を謳歌したりと、それだけでも十分に満足なのですが、それよりも、王子が国のために政策結婚を迫られ、最後にもう一度だけ会いに行く、というのが堪らなく心打たれるのです。 「最後にもう一度だけ会いたい・・」「もう一度だけ彼女に会うことが出来れば覚悟を決められる・・」男の私にとってはこの気持ちが痛いほど解ります。お互いに自分の命運には逆らえないことを知っているだけに、本当に辛いです。意を決したかのように馬車に飛び乗るシーンはもう、涙なくしては観れません。 そして、ラストのパレードのシーンで見せた、王子のちょっと寂しそうな表情。人間誰でも、思い出すと切なさがこみ上げてきてしまうような「思ひ出」を胸に抱きながら歳をとっていくんだなぁと、心にジーンと染み入る感慨深いラストシーンでした。
[映画館(字幕)] 9点(2006-01-06 22:23:24)
24.  ドクトル・マブゼ
運良く、ピアノ&ヴァイオリンの生演奏付きでの上映で鑑賞することが出来ました。 この映画は前編・後編の2部から構成される、合計の上映時間が4時間にも及ぶ長編にもかかわらず、全くスキが見当たらない。無駄なシーンがほとんど存在しないのだ。 この映画といい「メトロポリス」といい、この監督は観客を楽しませるのが実に上手い。 序盤の株価不正操作劇で、スピード感溢れるシーンで観客の度肝を抜いたと思ったら、今度は静かに念力を集中させて静かに獲物を仕留める。終盤にかけて徐々に盛り上がりを増していくようなストーリーの組み立て方は、程良く緩急があり見る側を意識した作り方で、とても良く出来ていると思う。 中盤のドクトル・マブゼとフォン・ヴェンク検事との駆け引きもスリリングで見応えがあるし、マブゼとその手下、ヴェンク検事とトルド伯爵夫人、フルとカロッツァの人間関係の描き方にも抜かりがない。 また、スポークンタイトルのほとんどが画面をフルに使い、単語の数までも計算したかのようにピッタリと画面に収まっている。要するに、字幕を1,2行で終わらすか、もしくは、画面一杯に文字を埋め尽くすかのどちらかに限定している。中途半端に3,4行の字幕を出すということが一切ないのである。こんなところにも作り手の美意識が出ているようでとても興味深い。(後日、ビデオを借りて観てみたら中途半端な字幕もあったので、恐らくドイツ語ver.のみの話です) 全体の構成も良く、そして、どんなシーンでも細部に至るまで非常に上手く描かれていてすごく気持ちがいい。傑作というのはこういう映画のことを言うのだと思った。
[映画館(字幕)] 9点(2005-10-06 23:42:47)
25.  知られぬ人
兎にも角にもロン・チェイニー扮するアロンゾの迫力。これに尽きます。劇場の舞台で再会したときの“あの表情”はもう鳥肌モノ!圧巻です。これだけでもこの映画を観る価値あります。 そして、ラストのショーもこれがまた凄い。これはもう、実際に見た人しかわかりませんが、ハッキリ言ってこんなスリリングなシーンそう滅多にお目にかかれません。 間違えて日本語字幕なしver.を観に行ってしまったのですが、そこはサイレント映画。言葉のハンデもなんのその。言葉は伝わらなくとも映像だけで十二分にその緊迫感を味わえる!これこそサイレント映画の真骨頂!ストーリーを完全に把握しないままレビューするのは反則気味ですが、これは書かずにはいられない!終始ロン・チェイニーに圧倒されっぱなしの65分。必見!!!
[映画館(字幕なし「原語」)] 9点(2005-09-26 23:46:08)
26.  ライムライト 《ネタバレ》 
1952年公開の、チャップリンが60過ぎに撮ったかなり後期の映画、という程度の予備知識しかない状態で観てみました。 序盤からギャグがつまらない。寒いネタばかり。ノミだのイワシだの、ハッキリ言ってどうでもいいネタが多すぎて、カルヴェロを演じてるのは本当にチャップリンなのかという疑問すら浮かんできてしまい、半分呆れたままボーっと観ていたのですが、どうも様子がおかしい。やけに臭いセリフがたくさん出てきている・・・。どこかで聞いたことのあるセリフなんだけど・・・。そうだ!そう言えば、この臭いセリフって、チャップリンがこれまでの数々の作品の中で言わんとしてきたことばかりだ!と気づいてからは、どんどんストーリーに引きこまれていってしまいました。そうか、これはチャップリン映画の集大成なんだ!とわかると前半の寒いギャグにも十分頷けます。ここまでわかってくるとこの映画が作られたのが1952年ということも、この映画をより深く理解できる要因になってきます。 時代はサイレントからトーキーに移行していき、自分の持ち味であるパントマイムを駆使した作品は廃れていってしまい、まさにこれは劇中のカルヴェロの寒いギャグのよう。当時の観客は時代の先端を行くトーキー映画にどんどん客を奪われ、実際のチャップリンもかつての人気もどこへやらという状況だったのかもしれません。だからこそ泣けてくる。テリーが舞台の上を華麗に舞う姿も美しすぎて泣けてくる。舞台の上を華麗に舞うテリーとそれを見守るカルヴェロ。それは、新時代をいくトーキーと、トーキーに映画の未来を託しさらなる発展を願うサイレント時代を駆け抜けてきたチャップリンの姿を描いたものだったのかもしれません。 最後の、カルヴェロに布をかぶせるシーンはもう、チャップリンならではの完全なサイレントのワンシーンです。テリーが華やかな音楽にあわせて華麗に踊っている背後で、医者の動きだけでカルヴェロの状態を知らしめるというサイレント映画ならではの表現方法。やっぱり、映画の基本はサイレントなんだなぁと実感した瞬間でした。傑作!
[映画館(字幕)] 9点(2005-05-13 22:18:13)
27.  モダン・タイムス 《ネタバレ》 
「街の灯」との2本立てで鑑賞しました(2本立てはキツい)。 まだ、1回しか見ていないので大まかなレビューになってしまいますが、チャップリンが目隠しをしてローラースケートをするところが凄かった!本当にこの人はいろいろと凄い人だ。 そして、この映画の最大の見せ場であるティティナを唄うシーンがこれまた凄い。踊っている間に袖が取れてしまい、笑いと不安が入り混じった状態でドキドキしながら見ていると、見事すぎるくらい見事な唄いっぷりを披露してくれるではありませんか。何が凄いかって、このシーンが映画のクライマックスとしてしっかりと機能を果たしているということ!途中までサイレントと思わせておいて、いきなり本当に唄い始めてしまうので、度肝を抜かれます。このシーンはマジでビックリした!本当に格好良すぎる!!映画のクライマックスとしてこれほどインパクトのあるクライマックスはそう簡単にはお目にかかれないでしょう。映画の途中でも機械の音とかがたまに聞こえてきたりしていたから、完全なサイレントじゃないんだなぁと思っていたので、生声で唄うことはある程度予測できていた部分はありますけども、それでも十分過ぎるくらいの衝撃でした。 こういう映画の作り方をするチャップリンって、本当に凄い人だなぁと改めて(もう何回目かワカラン)実感しました。 また、このクライマックスの衝撃を味わえるのは、チャップリンの過去のサイレント作品を既に何作か見たことがある人だけだと思うので、そういう意味では本作が自分にとってのチャップリンデビュー作でなくて本当に良かったです。 他にもいろいろと面白い場面がいくつもあるので、近々書き直したいと思います。それまでは、点数アップの可能性を込めて9点とさせて頂きます。※
[映画館(字幕)] 9点(2005-05-03 00:00:53)(良:1票)
28.  キッド(1921) 《ネタバレ》 
「犬の生活」がキング・オブ・ドッグムービーとするならば、本作は間違いなくキング・オブ・チャイルドムービーと言えるでしょう。 「今日の歩く道はわかってるね?」のシークエンスで「おおっ!この餓鬼デキるな」と思って見ていると、そのすぐ後に予想以上の見事な演技っぷりをカマしてくれます。石を投げる時の腕の回し方が逆なのは狙ってのことなのかどうかわかりませんが、後ろに警察がいることに気づかずに石を投げようとする時のアクションは、まさにチャップリンコメディの基本中の基本!遠くを指差してそのスキを狙ってダッシュで逃げるというアクションまでもがそのまま遺伝(?)しているのは、何とも微笑ましいではありませんか。 ワイヤーアクションも見れたことですし、全体的なストーリー構成も大変素晴らしく、何といっても、最後の余韻を残した後味の良い締めくくり方がとてもよかったです。
[ビデオ(字幕)] 9点(2005-03-03 23:39:31)
29.  もののけ姫 《ネタバレ》 
自分が今まで観てきた宮崎アニメの中でダントツのナンバーワンです。 宮崎駿はついに神を描いた。非常に美しく荘厳な作品で、自分でもどう表現していいか正直言葉に迷います。 皆さんのレビューを見ると「ナウシカ」と比較したレビューが目立ちますが、ストーリー構成・人物描写・美術面・音楽etc.どれをとっても本作のほうがクオリティが高いと思います。 「ナウシカ」では一方的に人間からの視点で描いていますが、本作の場合、サンの他にモロや乙事主達にもキャラクター性を持たせることによって作品により一層の深みが出ており、それらの神々達のセリフ一つ一つが非常に重く(No.18のバカ王子さんのレビュー参照)、痛切に響くところに本作の傑作たる所以があります。 映像面についてですが、真正面からのカットが多くてややメリハリに欠けるのが残念でしたが、 それを考慮しても十分に素晴らしく見事な作品でした。
[DVD(邦画)] 9点(2004-11-29 14:48:44)
30.  未知への飛行 《ネタバレ》 
特にこの映画が見たかったという訳ではないのですが、自分がこないだ買った5枚組DVDボックスの中にこの作品があったので見てみました。 私もこの映画は前評判通り必見の映画だと思います。人に薦めることのできる一作ですね。S.ルメットの隠れた名作ではないでしょうか。 私はモノクロ映画が好きでよく見るのですが、モノクロで撮って大正解ですね。映像面での技巧さは本当に素晴らしい。カメラの角度や光の当て方、カットやズームのしかたなど、非常にメリハリのあるセンスの良い映し方で画面に引き込まれてしまいそうになります。 キャスト陣もみんな迫真の演技でどの人もいいのですが、一人挙げるとしたらやはりH.フォンダでしょう。さすが4回も大統領役をこなしてきただけあってとても味のある貫禄たっぷりの振る舞いを見せてくれます。ファンからH.フォンダを大統領にとの声が上がるのもよくわかります。 また、個人的にはグロテシェル教授役のW.マッソーが好きですね。彼はこの映画を面白くさせるのに大変重要な役割を果たしています。こういうキャラがいなければこの映画はここまで面白くならなかったはず。このグロテシェル教授と周りの人とのやり取りが見ていて本当に面白いです。映画の序盤で限定戦について語っているところなどは、何気なく聞いているとたいした内容ではないように聞こえるかもしれませんが、結構ドキッとするところがあります。 ストーリーの前半はやや退屈気味で余計なシーンも混じっているような気がしますが、後半あたりからの緊迫感は見事としか言いようがありません。爆撃機が目標に刻一刻と迫っている中、水爆を落とすまいとする両国の懸命の努力とその努力のために自国の軍事機密を提供してしまうことに自問自答する切迫感とが重なり合い、巧妙な駆け引きを繰り広げています。また、大統領の最後の命令を学友ブラッキーに指示するところなどは、皮肉というか何と言うか・・・。 副音声の監督の解説では、低予算だったことを繰り返し喋ってそれを自分で笑ったりしていますが、そんなことは全く気にならない優れた作品であると言えます。 あえて欠点を挙げるとすれば、あまりのリアルな緊迫感のため気軽に見れないといったところでしょうか。  私は「博士の異常な愛情」をまだ見てないのですが、見たらこのレビューを更新をします。
9点(2004-06-18 19:45:03)
31.  華麗なる大泥棒 《ネタバレ》 
中盤辺りでのカーチェイスはもちろん凄いのだけど、自分が引き込まれたのは、追い込まれたベルモンドに迫り寄るオマー・シャリフ警察の足元のみを映すカメラ。 「地下室のメロディー」同様、アンリ・ヴェルヌイユ監督は緩急の“緩”の部分を魅せることに関して右に出る者はいないのでは。 その“緩”の極みともいえるのがこの映画最大のハイライト、冒頭の強盗シークエンスでしょう。 金庫の前で淡々と仕事をこなすベルモンド扮するアザドの鮮やかな所作には安心感すら感じさせるにもかかわらず、ドキドキして見入ってしまうのは何故なんだろう。 パトカーが行ってしまったと見せかけといて戻ってきたり、立ち去ろうとした瞬間に金魚鉢の割れる音で再び屋敷に戻ってくる“一度落として上げる”テクニックは、ヴェルヌイユならお手のものといったところでしょうか。 また、この映画のテーマ曲を口笛で吹きながら登場させるユーモラスな演出も大好きです。 おもちゃ倉庫や埠頭での再三にわたる警察との駆け引きも見ごたえがありますし、ベルモンドの体を張ったアクションも必見ですが、ラストが玉にキズ。 犯罪は成功せず、警察も殺さずで、道義的には悪くはない結末ですが、鶏のアップで締めくくるラストショットはちょっとビミョーかと。 しかし、前半の見ごたえのある映像はやはりインパクト大ですし、レストランのシーンではギリシャ料理の説明がさりげなくなされていたり、アテネの観光名所のアナウンスなども挿入されていたりと、異国情緒溢れる雰囲気も感じられ楽しく観ることができたと思います。
[映画館(字幕)] 8点(2022-09-22 14:59:05)
32.  地下水道 《ネタバレ》 
オープニングクレジットの背後で何気なく行われている建物の爆破シーンから早くもインパクト絶大で(というか、終盤のクライマックスで使えそうなくらいの迫力ある映像を冒頭から使うって、何とも贅沢!)、更に、そのすぐ後に出てくる長回しの移動撮影を見ても、力の入った作品だという事は容易に見てとれると思います。 タイトル通り、後半の地下水道のシーンが見どころで、薄暗い陰湿な雰囲気の中、疲弊し泥にまみれながら彷徨う人々、特に何かに憑りつかれたようにオカリナを吹きながら歩く音楽家が出てくるシーンでは戦慄を覚えました。 また音の表現が特徴的で、壁に文字が書いてあると思いきやただの落書きだったというシーンでの笑い声や、銃をカチャッとやる音、オカリナの音色などは遠くまで鳴り響かせている一方で、普通の会話の音などは響かせずに撮る手の込みようは唸らせるものがあります。 終盤の頃になると出口を見つけ出す者がいるのですが、ここで見えてくる光がダイレクトに希望の象徴として描かれるところに映画ならではの面白さが出ていると思います。 この映画の前半は地下水道に潜る前の話が展開されており、周囲の状況や人物描写などが描かれているのですが、どの人物も若干描き方が不十分であるため(特に、隊長はラストシーンで見せ場が用意されているだけにもう少し深く掘り下げてほしかった)、せっかくの後半の3つのグループの同時並列的なストーリー展開が上手く機能していないように感じてしまいました。 最後、隊長が再び地下に潜るシーンは、自分が今まで観てきた映画では感じられなかったような衝撃的でかつ余韻を残す締め方で、凄く印象に残るラストでした。
[映画館(字幕)] 8点(2015-11-17 23:37:44)
33.  わたしの名前は... 《ネタバレ》 
ストーリーは、ざっくり言うと少女の家出物語。 人生が厭になって、家出とか失踪とか放浪願望を少しでも抱いたことのある人ならきっと共感できる内容だと思います。 自分は独身で子供もいないので、親の気持ちになるというよりも少女の方に肩入れして観ていたのでとても開放的で楽しく観ることが出来ました。 自分は、まぁ、放浪という程ではないですが、フランス旅行に行ってレンタカーを借りて自由気ままに走ったりしたことがあるので、ラウンドアバウトとか道路標識とかに懐かしさを感じてしまったり、後半辺りで出てきた近代的な教会が最高に素敵だったりと、自分個人的にいろいろとツボな作品でした。 序盤は陰鬱な雰囲気の中で物語が進んでいくのですが、そこを耐え凌げば少女とトラックの運ちゃんとの間で心が通じ合ってゆく様を描いたロードムービーです。 家出の話だから、ストーリーは勿論自由。 カメラや演出もそれに追従するかのようにとにかく自由。 画面作りはゴダールのようであり、個人的にはアンゲロプロスを彷彿とさせるシーンもあったように思えます。 ストーリーの大半を占める二人の交流を描く場面ですが、運ちゃんがよそ者だという設定が良い。 二人の間に言葉の壁があり、必然的にコミュニケーションが凄くシンプルになっているところがとても映画的で面白く感じられました。 惜しむらくはラスト。 性的暴行を匂わせる描写などは皆無の良いストーリーだっただけに自殺する意味は全くなく、それぞれがそれまで通りの日常に帰っていってほしかったです。 蛇足ですが、この映画を見た後でコンビニに寄るとハムとチーズのバゲットサンドを見つけたので思わず買ってしまいました。
[映画館(字幕)] 8点(2015-11-08 13:41:43)
34.  花嫁人形 《ネタバレ》 
これはとても楽しいファンタジー映画。 まるで絵本のよう、紙芝居のよう、お遊戯のような、どこかとても懐かしい気持ちにさせられてしまう作品なのです。 太陽や月の表情、雲や動物の造形、人形に扮した女優のアクションなどなど、どれをとっても楽しくそして暖かみが感じられ、ファンタジーの世界を彩るのにどれも皆一役買っていると言えるでしょう。 特に自分にとっては馬のキャラクターが大好きで、よっこらせといった感じで腰を上げ、最後の方になると「もう疲れた」などと言ったりして会話をしたりと、本物の馬を使うよりも“らしさ”が出ていたように感じました。 オープニングでジオラマを作る段階から物語に入っていったのが奏功しており、それによって背景のチープな印象を180度転換させ、かえって味わいのある雰囲気に仕上げていたところに非常に好感が持て、駆け出しの映画監督の作る作品としてお手本となるような、コスパ(?)に優れた良作と言えると思います。★通算500レビュー★
[映画館(字幕)] 8点(2015-03-22 23:20:13)
35.  ドラえもん のび太の宇宙小戦争 《ネタバレ》 
これはたぶん、公開当時リアルタイムで観た時の記憶が一番ハッキリ残っている作品。 一番印象に残っていたのが、建物の肖像画の中の動く目玉。 チーターローションの効果が落ちてバテバテになっているのび太をボスに睨まれながらジャイアンがおぶって助けるシーンなんですが、あの時のギリギリハラハラドキドキ感を30年ぶりに体感できたのが嬉しかった。 それと、倉庫の中でおびえているスネ夫を尻目にしずかちゃんが「私だって怖いんだから」と言って戦車に乗り込むシーンに、オイ!スネ夫~何やってんだ~!と歯軋りする思いで見ていた記憶が舞い戻ってきたり、もし壁紙秘密基地があったらどこに貼ろうかなぁと自分の部屋を見渡して空想を膨らませていたりするなど、毎年のように観ていた長編ドラえもん映画の中では特に印象深い作品なのです。 久しぶりに観てみて、今回も凝りに凝ったオープニングも楽しかったし、一人で牛乳風呂に入るしずかちゃんに迫る危機感もなかなかのものだったし、ただ笑わせるシーンが他の作品と比べて少なかったのが残念ではありましたが、やはり今回も楽しく懐かしく観る事が出来ました。 本作に出てきた一番好きなアイテムは、勿論チーターローションと壁紙秘密基地でしょう。これは文句なし。
[映画館(邦画)] 8点(2015-02-07 13:51:57)
36.  ドラえもん のび太の海底鬼岩城 《ネタバレ》 
劇場公開から30年以上経っていても、部分的にではありますが観たという事だけは思い出すことが出来ました。 記憶が蘇ったのは、しゃべるバギーが登場したところ。 特徴ある声とちょっと生意気な態度が心のどこかに留まっていたみたいです。 ラストのポセイドンを倒すシーンは意外と記憶には残っておらず、むしろ本作のポイントは、しずかちゃんの大活躍ぶりだと思います。 旅に出る前はのび太に勉強を教えてあげてたし、鬼岩城を探している時は自ら囮を買って出たり、そして最後のバギーちゃんの捨て身の攻撃も彼女のやさしさが奏功した形であったし、ここは紅一点のしずかちゃんに拍手を差し上げたい訳なのであります。 それと、本作で特に良かったのが、テントアパートを海底に建てた時にトイレの説明をしていたシーンなのですが、こういった別世界で起こりうるナルホドなぁ~という現象が子供心をグイグイ引き込む事は容易に想像でき、物語の本線から外れた所においても仕事の丁寧さを感じることができたと思います。 他にも、エルに捕えられた時にのび太たちの夢の中で生物の進化の過程を学習するシーンがあったり、5人を死刑にするかどうかの裁判の中で地球の環境問題を争点にするシーンが出てきた所にも驚かされたりして、シリーズを重ねるごとに物語が少しずつ精錬されていく印象を受けました。 本作で出てきたアイテムで一番好きなのは、カメレオン帽子。 初めて観た当時、天井が地面の形状に応じて変化するのがスゲーって思い、そのまま歩いて移動するシーンにワクワクしましたし、上から睨まれるシーンではハラハラドキドキしたのを思い出して懐かしさが込み上げてきました。
[映画館(邦画)] 8点(2015-02-05 00:32:38)
37.  バグダッドの盗賊(1924) 《ネタバレ》 
ストーリーに込み入った所がないので、頭を空にして観ることが出来る痛快冒険活劇と言えるでしょう。 空飛ぶ絨毯や怪獣とのバトルなどファンタジーの要素満載で、非常に楽しめる作品だと思います。 ダグラスが冒険に出たプロットで、海底で導かれるように岩の隙間に入ってみると豪華絢爛な部屋に綺麗な女性がいたという場面ですが、澤登翠さんの活弁によると竜宮城にたとえられておられましたが、日本の浦島太郎の物語に類似した話が外国にも存在するという事なのでしょうか。興味深い所であります。
[映画館(吹替)] 8点(2014-12-30 00:06:50)
38.  西部は俺に任せろ 《ネタバレ》 
監督のアルフレッド・L・ワーカーという人は全く初めて聞く名前で、それどころかこのレビューを書いている現在も本サイトで人物登録すらされていないほどの無名な存在。おまけに「Three Hours to Kill」を「西部は俺に任せろ」って邦題をつけた奴は何ちゅうテキトーな仕事してんだと思い(ラングの「復讐は~」を意識したとしてもこれはいただけない)全く期待せずに臨みましたが、意外や意外予想に反してこれが面白かったです。 冒頭で、水辺で休んでいるところに馬に乗ってやって来た二人と顔を合わすシーン。主人公のジムが銃をやや手前に動かすほんのわずかな動作で、彼がどんな人物なのか大まかに想像できる(少なくとも慕われている人物ではない)と思うのですが、こういった細やかなアクションに意味を持たすことが出来る人はそれだけで無条件で好きになってしまい、最初の5分で早くも鑑賞前の予想を良い意味で裏切ってくれるという期待感を持つことができたと思います。 また、床屋の入り口に立った時の窓に映った人影の描写だったり、後半、町の酒場でジムを待っていた4人の背後で不自然に扉が開いてジムが現れるのかと思いきや、一旦扉が閉まってアレっと思っているとカウンターから頭が出てきて4人を睨みつける登場の仕方などのような面白い演出にも唸らされます。 一方で、上映時間がやや短めになっていたのがどういう意図なのかはわかりませんが、その4人との会話で保安官ベンに疑惑が向く流れになった場面がやや急ぎ足で分かり辛いところがあったのと、牧場を経営するマイルズとの取っ組み合いも会話がやや中途半端で終わってしまっていたところに若干の描写不足な印象を感じました。 しかし、何と言っても最後の幕の下ろし方が実に良く、保安官をしっかりと始末してそれまで着せられていた濡れ衣を拭い取り、牧場一家も元の生活に戻れてハッピーエンドですし、そして、最後にジムが格好良く町を去って行く後ろ姿で完結かなぁと思っていると、後ろから女が後を追いかけてくれるというこれまた素敵なラストに不覚にも感動してしまいました。 近づきつつある馬上の二人をロングで捉えたこの最後のワンショットを見て、この人の作品は是非他にも観ておかねばと心に誓ったのでした。
[映画館(字幕)] 8点(2014-03-02 15:30:27)
39.  燈台守 《ネタバレ》 
これはもう、映画そのものと言える程の神懸かり的な作品のように思えますが、スタートダッシュでやや遅れをとったのが非常に勿体無い感じがします。 丘の上で恋人と語らう回想シーンで、マッタリとした雰囲気の中で犬に噛まれるという非常に切迫感を欠いた描写がどうにも腑に落ちず、後半を知った後で考えると、この辺りでもう少し工夫が出来なかったのかと悔やまれます。 見どころは後半全部! 息子に狂犬病の症状が発症する辺りからのスリルはもう、ヒッチコックを凌ぐほど。 まず、舞台となる灯台が岬の先端ではなく、離れ小島にポツンと建っているというのがミソ。密室殺人の舞台をイメージさせるロケーションが実に良く、早い段階で灯台の上端から下を見下ろすショットを出したのも後々の切迫感をより増幅させることに一役買っていると言えます。 面白いのは、灯台から発せられる光が命の象徴として描かれているというストーリー設定。 “映画は、光と影が織り成す物語”という言葉を聞いたことがありますが、映画における光と命の象徴としての光。このオーバーラップが非常に面白い。 陸地で待つ女たちが光が消えたのを見て危機を察知する。救護船で灯台へ向かう乗組員が光を失った途端に混乱に陥る。全面漆黒の画面の中、一か所だけが白く映るほんのわずかな光に、とてつもなく偉大な力を感じずにはいられませんでした。 そして、灯台の中での親子のせめぎ合いのスリルも素晴らしい。 息子のいる上階へ向け階段を昇る父親が、途中で歩みを遅くする。たったこれだけの物凄くシンプルなアクションがグッと緊張感を増すような印象を与えるなんて、今まで何本も映画を観てきたのに、こんな簡単な事をこの今になって初めて知ったような気がしました。 更に、月明かりに照らされる息子の表情が弱い光で陰影が出て恐怖感が増幅される中での親子の格闘。そこに、救護に向かう船と岸壁に打ちつける波しぶきのショットとを重ねたトリプルクロスは、扉を狂ったようにはためかす風や荒波を起こす風の援護射撃も加わり、どのように表現してよいのか分からないほどの壮絶なシーンとして強烈に印象に残りました。 灯台という題材をもって光を描き、また扉を動かしてコマ送りのような演出をするなど、まさに“映画そのもの”を体感したような気分になりました。
[映画館(字幕)] 8点(2014-02-15 19:26:39)
40.  パンドラ 《ネタバレ》 
もう、お話がロマンティックすぎてどう書いていいのかわからず、新規登録してから時間だけが過ぎ去っていってしまった・・・というのは冗談。 ドラマはドラマなのですが凄くファンタジーな要素が満載な、とっても素敵なストーリーです。 主演女優の名前はパンドラ。決して名前負けしていないことは観ればおわかりで、自身に惚れた男に対し「何を犠牲にするかで愛の深さがわかる」と、愛車を崖から落とすよう迫ることができるのも、もちろん彼女の美貌があるからこそ言えた台詞ですし、夜更けの海岸で裸になって、泳いで船まで辿り着くなり帆を身に纏って男の前に参上・・・って、こちらもまた“水も滴るイイ女”を地で行く美しさを堪能できます。 対する男も男で、肖像画をダメにされると「怒りという感情はとうの昔に置いてきた」と、こちらも負けず劣らずのロマンティックな台詞で応戦したりと、何か今までに経験したことがないようなとっても神秘的な雰囲気が感じられます。 また、車のタイムアタックや闘牛のシーンもスリル満点で非常に見応えがありますし、ナイフで刺されて殺されるシーンや、船の帆が上がるシーンのような夢か現かを煙に巻く表現も、こちらもまた何ともミステリアスな印象があり、あらゆる場面においてぐいぐい引き込まれるような感覚を受けました。 そして忘れてはならないのが、ただでさえ素敵な物語を一層引き立てるジャック・カーディフのカメラ。 宵の場面の月明かりや明け方の赤みがかった光で照らされる海面のきらめきは言うまでもなく綺麗ですし、どのショットにおいても、時間の経過とともに色合いが少しずつ変化していく映像がとても魅惑的で、彼の色彩の世界は本作でも健在と言っていいでしょう。 邦題がやや物足りない気がしますが、このストーリーだけに、下手にいじって壊してしまうのも怖かったのではないかと容易に想像ができ、原題の「フライング・ダッチマン」は、今までてっきりクライフの事とばかり思っていましたが、それよりも前に元ネタがあり、ご本家に触れることができて嬉しかったです。
[映画館(字幕)] 8点(2014-02-15 16:46:49)
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