Menu
 > レビュワー
 > ミスター・グレイ さんの口コミ一覧。2ページ目
ミスター・グレイさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 565
性別 男性
自己紹介 三度の飯より映画好きです。どうぞよろしく。
※匿名性ゆえの傲慢さに気を付けながらも、思った事、感じた事を率直に書いていますので、レビューによって矛盾が生じていたり、無知による残念な勘違いや独善的で訳分らん事を書いているかもしれませんが、大きな心でお許し下され。
※管理人様、お世話になっております。
※レビュワーの皆様、楽しく読ませて頂いております。

-------------------------



表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
【製作年 : 1940年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
評価順123
投稿日付順123
変更日付順123
>> カレンダー表示
>> 通常表示
21.  壮烈第七騎兵隊 《ネタバレ》 
カスター将軍についてほとんど何も知らないのですが〝悪名高き〟という印象を持っていたので、このヒーロー然とした姿はおそらくかなり美化されており、自伝的な部分は嘘っぱちもいいところだと思います。…がしかし、虚構の映画としての部分は見事な出来栄えです。  カスターを演じるエロール・フリンは根っからの陽性なので勝手放題しても憎めず、そのヤンチャっぷりに好意を抱きたくなってしまいますし、妻となるオリヴィア・デ・ハヴィランドもとても美しく撮られています。 また特に後半部分が素晴らしく、自分を酒で陥れた相手に酒でお返しをくれてやるカスターの鬼気迫る姿や、リトル・ビッグ・ホーンでの戦闘シーンの凄さは圧倒的です。  でも、やはり記憶に残るのはカスター夫妻の別れのシーンです。最後の戦が致命的なものになるとお互いに悟っており、カスターは形見として時計を残し夫人は日記を綴っている、その時を告げるラッパの合図で感動的な別れの口付けをすると、カスターは覚悟が決まり振り返りもせず出陣し、見送る夫人をとらえたカメラが引いていき彼女がパタリとくずれ倒れる姿をとらえている…歴史的事実など知らなくともこの美しいシーンを見れば、もう二度と二人の幸せな時間は訪れないのだと察せられ、目頭が熱くなってきてしまうのです。
[DVD(字幕)] 8点(2009-10-13 18:23:28)(良:2票)
22.  潜行者 《ネタバレ》 
登場人物はそれぞれ個性的で強烈ですし、意外な犯人の意外な落下シーンは巧みで〝アッ〟と言わせてくれます。・・・しかし、ボギーは整形後の顔という設定なので始まってしばらくの間は彼の顔を映せず、多くの場面を彼の主観映像で見せるという試みがなされており、画面に彼の腕がにゅっと出てきたりするのですが…この部分がえらく退屈で早いとこボギーを出せよと思ってしまいます。  そして、最後にボギーが逃げ切ってバコールと再会してしまうのも明かに嘘っぽく見えます(夢オチかと思った)。それは逃走劇をもっとしっかり見せてほしいとか、物語的に不自然に見えるとか様々な問題もありますが、何よりバコールとの別れのシーンが問題なのです。というのもあの別れのシーン自体は胸に迫ってくるように素晴らしいのですが、迫り過ぎていて完全に今生の別れに見えてしまい再会はありえないと思わせるものなのです。
[DVD(字幕)] 6点(2009-09-15 18:36:32)
23.  カサブランカ 《ネタバレ》 
最初の方のボギーの酒場の見せ方など、あまり上手い具合にいっていない部分があると思っていたのですが、バーグマンの登場で一変します。彼女は個人的に趣味ではないですし、このキャラクターの心情は男の私には良く分からんのですが、そんな問題を差し引いても多額のお釣りがくるぐらい本作では魅力的に見えます。 例えばボギーと予期せぬ再会を果たし目がウルウルしてくるところとか、夜中に酒場に訪ねて来てドアを開けると光が彼女を照らし出すところとか、こういった綺麗に撮ろうという配慮がなされているからこそ二股状態の曖昧なキャラクターにもかかわらずバーグマンが完全無欠のヒロインになっているのだと思います。 そんな彼女を見送るボギーも格好良くて、キザったらしくて聞いているこっちまで赤面してしまうような台詞をサラリと言ってのけてしまうところがボギーならではでしょう。  それからピアノ弾きが歌う「As Time Goes By」は言わずもがなですが、国家を歌い合うシーンもパワフルです。
[DVD(字幕)] 8点(2009-09-11 18:52:01)(良:1票)
24.  追跡(1947)
運命的で因果な物語はギリシャ神話のような悲劇ですので、全編を通して暗い映像が基調であり、孤独感や陰鬱な空気が漂っています(家族がオルゴールで歌う楽しいシーンですらどこか暗い)。自身の出生について悩み続けるロバート・ミッチャムも決して笑顔を見せず精神的な屈折を感じさせますし、例えば出征の際に義兄弟とハグをしないところなどからも、完全に兄弟になりきれず一線が引かれているようで重いものがあります。しかしそんな籠った世界の一方で、ディーン・ジャガー演じるグラント一味(グラントの不気味さも良い)がミッチャムを追って来るシーンの切り立った岩山の高さであるとか、義兄弟の銃撃戦で見せる奥行きの深さであるとかは非常に開けており、ウォルシュ監督のまさに縦横無尽の働きっぷりがうかがえます。
[DVD(字幕)] 9点(2009-06-05 18:38:17)(良:1票)
25.  市民ケーン
まず作品を観てビックリ、オーソン・ウェルズ二十代半ばで撮ったデビュー作という事実を知って二度ビックリ。写真に収められた他社の新聞記者たちが自社の記者として動き出した頃にはすっかり楽しくなり夢中になってしまいました。オーソン・ウェルズについて彼はおそらく天才なのであろうと思える作品。
[ビデオ(字幕)] 9点(2009-04-14 18:19:51)
26.  ハイ・シエラ 《ネタバレ》 
己の身より約束を優先するボガードの男っぷり。高みへ高みへと上りまっ逆さまに落下する呆気ない無惨さ…というこれは男の映画であるのですが、同時に女の映画でもあります。純情な娘とあばずれ女との対比。求婚されれば恋人がいると泣き出し、脚が完治すれば踊りまわる娘は残酷なまでに無垢。対して一度は頼った男を殴れないという女には不幸なまでの献身さを感じさせます。娘の脚が治った後、ボガードとこの女二人が対面するシーンが良いです。怪しげな恋人と踊りはしゃぐ娘は今までの純朴な描写と異なるからか、その喜ぶ姿は当然であるのにどこか退廃的なものを感じさせます。そしていけ好かない恋人に凄むボガードの怖さと幻想が立ち消えた失望の姿。さらにそこへ乗り込まずにはいられない恋する女…。男と女と、その繊細な恋愛模様がこの一幕でバッチリ描かれています。 それから凄いのは犬の使い方、抜群です。
[DVD(字幕)] 9点(2009-04-14 18:14:55)
27.  密告(1943) 《ネタバレ》 
現在でも十分に通用するような入り組んだ物語はサスペンスとして一級ですが、そういうのに限って活字媒体での方が断然面白いという事が往々にしてあります。しかし本作は、全編にわたって流れている怪しい雰囲気であるとか、主人公の疲れ切った様であるとか、クセのある登場人物たちであるとか、犯人をミスリードするような演出であるとかが実に巧みです。  (完全ネタバレなので注意)犯人が分かった後、振り返って見てみれば、あの剃刀が初登場した時の印象深いショットがちゃんと伏線になっていたのですね。私などはお金をせびってきた小さな眼鏡の女の子まで疑ってしまう始末でした。何せああいう状況でのあのボール遊びなどは神経を逆なでし、とても不穏な心持ちにさせるものです。
[DVD(字幕)] 8点(2009-03-27 18:14:37)
28.  荒野の決闘 《ネタバレ》 
末弟が殺されている雨のシーンから保安官を引き受け、クラントン一家に宣戦布告し去って行くシーンまでが圧倒的なのに対して、その後の弟のペンダントが見つかるまでの緩い時間が流れるのに違和感があります。そこはシェイクスピアをそらんずるドク・ホリデイの人物的面白さや、クレメンタインとの恋模様でカバーしているわけですが、どうも盛りあがりに欠けています。また最後の決闘シーンは、馬車が走ってきてケムるであるとか、ドク・ホリデイの白いハンケチ?だとかはとても印象的なのですが、互いの位置関係や距離感はあまり巧い事いっていません。ただ、アープとクレメンタインやドクとの日常的シーンの描写は優れていますし、ヘンリー・フォンダが椅子に座る姿は最高にカッコいいと思います。
[ビデオ(字幕)] 7点(2009-03-17 18:24:05)
29.  都会の叫び 《ネタバレ》 
旧知の間柄の犯人と刑事という設定はいかにも男のドラマですが、登場する女たちが、ことごとく良いのです。リチャード・コンテ演じるロームを愛する女は、夢の世界から抜け出てきたようにポツンと現われる登場シーンからして神秘的で、ロームに近づけば十字架の形が影となって表われていますし、最後に彼女と落ち合うのは教会であり、その存在はまるで聖女のように見えます。これに対して女の悪役は悪魔的で凄い。遠くからいくつも電気をつけて登場するシーンからして象徴的なのですが、なぜにマッサージ師なのかという疑問も不気味な形ですぐに解消されます。朝飯を食わないロームに対してモリモリ食べているところなんかも豪胆な感じが出ていて圧倒的です。さらにロームの母親の造型も素晴らしいですし(刑事とのやり取りが特に良い)、登場シーンは僅かながらロームを手助けする情婦と看護婦(彼女の母親もまた強烈)の存在も光ります。  もちろん男のドラマだってありまして、旧知の二人が教会から出た後からラストシーンまでも良いです。
[DVD(字幕)] 8点(2009-03-13 18:16:35)
30.  晩春 《ネタバレ》 
この娘の父に対する強烈すぎる気持ちを理解しかねる私が言っても説得力に欠けますが、父と娘を題材とした映画の中で本作は最高傑作の一つだと思います。能を見物するシーンであるとか、旅館での娘の告白シーンであるとか、父親が再婚すると一世一代の嘘をついたと告白するシーンから寂しげなラストカットであるとか…父と娘の別れの寂寥が胸にジーンと響きます。 〝そうかね、そうかね〟等々、確認するかのように繰り返し繰り返し言う台詞が何とも奇妙でもあるのですが、そのリズムがどこか心地良く、さらに登場人物の簡単な説明さえしておけばサイレントでも十分に伝わってしまうであろうほど一場面一場面も完璧です。  しかし何と言っても圧巻なのは原節子さんの表情から笑顔が消える瞬間であり、それはそれは震えるほどに素晴らしいです。 
[ビデオ(邦画)] 10点(2009-03-09 18:34:49)
31.  飾窓の女
エドワード・G・ロビンソンという俳優さんのイメージはどうしたってギャングな印象が強く、それはあのオーソン・ウェルズが善玉として撮った時でさえ(46年「The Stranger」)、彼にはどこか相手をささくれ立たせるような雰囲気がありました。しかし本作では、そんな雰囲気が皆無に近く360度見まわしたって紳士であり人の良いオヤジであり見事に観客を迷宮へといざなっているのです。なぜにそういう風に見えたのか分かりませんが、一つにはあの何気なく掛ける眼鏡などで素朴さを演出した事が大きいと思います。本作ではそういった道具の使い方が非常に巧みであり、他にも対象の姿が映る鏡や暗闇でのガラス、女の家にある外に出るまで三重にもなっているドアなどの装置がサスペンスを盛り上げ、質を一層高めています。最たるシーンは飾窓の女が実際に現われる場面であり、それこそまさに非日常か幻想のように窓に映るキラキラした服の美女は迷宮の入り口に相応しいのです。
[DVD(字幕)] 8点(2009-02-16 18:17:05)(良:1票)
32.  キー・ラーゴ 《ネタバレ》 
それぞれのキャラクターの初登場シーンからして的確。ラウンジにたむろする個々のギャングたちの配置に、バーカウンターで競馬の話しをする女、バコールはせっせと働いており、彼女の義理の父親である車椅子のホテル主人はその様子を見守り、ギャングの親玉は当然の如くエラそうに風呂につかっています。これだけでも人物の性格付けが済んでしまったようなものです。さらに密室に充満した緊張感もあります。バコールを挑発するようにエドワード・G・ロビンソンが耳元でささやくのですが、その時のバコールのアップと影のように黒ずんだロビンソンの横顔が不穏な空気感をかもし出しています。そんな中で特に私のお気に入りのキャラクターは新聞を見てヘラヘラ笑っているギャングでして、彼の銃だけがピカピカ光っているのも印象的。  ラストの銃撃戦はやや物足りない感じがしますが、ここでも活躍?するのは例によってお気に入りのギャングで、彼がポケットに手を突っ込んでズドンとやるのが良い味を出しています。ジョン・ヒューストン監督とボガードのコンビなら「マルタの鷹」よりも本作をオススメしたいです。
[DVD(字幕)] 8点(2009-02-09 18:15:05)(良:1票)
33.  鉄腕ジム 《ネタバレ》 
いくつものユーモア溢れるシーンと、ジムを演じるエロール・フリンの底抜けの爽やかさで楽しい感じの作品に仕上がっています。ジムが〝何故かボクシングが巧い〟と判明した後、自宅でジムとその兄たちが幼稚な喧嘩を始め〝表へ出ろ!〟となるわけですが、〝兄弟喧嘩が始まるぞ〟と声をあげれば大勢の野次馬が駆け込んで来ます。つまり地元ではすっかり名物になっていて、ジムのボクシングは兄弟喧嘩で鍛え上げられたものだと分かるのです。この意外性にして火事場のように集まって来る人々の面白さ(兄貴たちもプロになれば儲かるのに)。 ヴィクトリアとの痴話喧嘩にしても、兄弟喧嘩が日常のコーベット家にしてもとにかく賑やかですが清々しさがあります。  肝心のボクシングシーンはと言いますと、王者サリバンとの対決よりも水上の試合が一番の見所となっていまして、空から映されたリングの周りのキラキラ光る水面と大挙して押し寄せた興奮する観客たちのざわめきが、試合するリング内よりも明かに動きが激しく、〝内〟より〝外〟を動かすことによって臨場感をだすという工夫がなされています。  しかし、そんな賑やかな本作中で最も印象的なのは、唯一しんみりとさせてくれる王者サリバンの退場シーンだったりします。常に周りは人だかりのサリバンが正装して一人でやって来る姿が、ジムの見る鏡ごしに写ります。あれは敗れてしまった強くて孤独な王者の悲哀がよく出ていてホロリとさせられ、見逃せぬシーンとなっているのです。 
[DVD(字幕)] 8点(2009-01-22 18:07:33)(良:1票)
34.  廃墟の群盗 《ネタバレ》 
銀行を襲撃する前に酒場のカウンターに強盗一味がずらっと並び、端にいるグレゴリー・ペックがウイスキーグラスを滑らせ回すと、数人は手元を見ずにキャッチします。こういうのがカッコイイですし、彼らの強盗家業の長さがうかがえます。さらに騎兵隊に追われるシーンの迫力や砂漠を越えて行く過酷なシーンがしっかりと続き、始めの方は特に見せ場の連続となっています。しかし最も印象的なのはラストの3人の決闘シーンで、実際に撃ち合う映像はないものの、仕掛ける前の静けさのなかにある緊張感や、銃声、馬のいななき、ペックを心配して駆け込んで来た女が目にする見事な死体の演出などで素晴らしいシーンになっています。・・・ただ惜しむらくは、一貫して小ズルイ感じが良く出ているリチャード・ウィドマークに対して、グレゴリー・ペックは正義漢か無頼漢かよく分からないのはともかくとしても、まったく強そうに見えないのは残念です。
[DVD(字幕)] 8点(2009-01-07 18:20:11)(良:1票)
35.  七月のクリスマス
このコメディは言葉によるところの方が大きいと思いますが、例えば主人公たちのアパートに品物を取り返しに来た時のドタバタシーンなどはとてもパワフルだと思います。あの狭さを感じさせる空間に詰めこまれたような住人たちの元気さ、それに仲の良さに何とも言えない温かさを感じます。しかし、何より忘れてはならないのは勘違いコメディが始まる前の冒頭の屋上シーンです。若い貧乏カップルが街の光が輝く屋上で語り合いケンカし、帰り際、階下の住人が〝うるさい〟と言えば植木鉢を落すお決まりのギャグをかまし、〝おやすみ、おやすみ〟言いながら二人の距離が近付き、ウサギ小屋のショットをはさんで二人が仲直りのキスをする…ちょっと甘過ぎるくらいですが、こんなにも愛らしく美しいシーンは他にはそうないと思います。この場面を見るだけでも価値ありと言いますか、この場面が全てと言っても過言ではないくらいのシーンなのです。
[DVD(字幕)] 8点(2008-10-15 18:18:15)
36.  オーソン・ウェルズINストレンジャー 《ネタバレ》 
ウェルズが死体を見つけた奥さんの飼い犬を殺す場面で、異変を感じたように飛び起きるエドワード・G・ロビンソンに切り返されるのですが、この手法というのは今では2時間ドラマでも当たり前で、むしろ下手をすれば安っぽさすら感じさせるのですが、ウェルズがやれば全くもって効果的で強い緊張感を生み出しています。一見のところ良き教師でありながら実はナチであるという人物像も、ウェルズの巨体と神経質そうな雰囲気が説得力を持たせておりサスペンスとして一級の出来栄えなのです。・・・ただ、一つ気になるのは善玉の方を演じたロビンソンで、これは私に「犯罪王リコ」での彼のイメージが強烈に残っているせいかもしれませんが、ロビンソンのアクの強さというものはただの善人にしてはどうも気に障る不自然さがあるのです。例えば父親に娘の危機を伝えながらも冷静に状況を分析し、それを利用しつつも余裕しゃくしゃくの行動でドッカリとした感じを受けるその物腰は、何とも図々しい感じが出過ぎているように思えます。家政婦さんなどは心労でぶっ倒れてしまうのですから、その平然たる態度は鼻についてしまうほどなのです。
[DVD(字幕)] 7点(2008-10-01 18:18:24)
37.  裸の町(1948) 《ネタバレ》 
ドキュメンタリー調でいわゆる〝警察のお仕事〟を追うように描かれているのですが、セットを使わなかったという、この現実の街並みが大変効果的な作りになっています。街の人々をたびたび映したり、一人の刑事の家庭をちょっぴり垣間見せることによって生活感をプンプン漂わせ生き生きとしたものにしています。キビキビした演出で進みますし、最後の捕り物シーンがこれまた素晴らしいのです。ナレーションが犯人に話しかけたりするのも斬新で面白いですし、大都会の真ん中でドンドンドンドン高いところへ登って行く犯人の姿は「キングコング」さながらで、そこから映し出される徐々に小さくなっていく街の姿が印象的です。そしてラストは人々を賑わわせた事件の新聞記事が紙くずとして処理されるシーンで締め、大都会の時間の流れの早さと変わらぬ日常を感じさせます。
[DVD(字幕)] 8点(2008-06-27 18:33:18)
38.  らせん階段(1945)
オープニング、タンスに掛かった服が揺れ奥に潜む犯人の目が映り、その眼球に被害者となる女性が映り、殺害は被害者の手のみで表現されるのですが、この恐怖の演出は秀逸です。教科書のようですが何も派手な事はせずとも十分に怖さを出せるということを見事に証明していますし、さらに驚くべきはそれが全編に渡って持続しているということです。それぞれのキャラクターも簡潔である上に物語を豊かにしていますし、不安の煽り方もテンポも抜群であり、光と影が際立つ一つ一つの画面もよくよく練られています。雨に濡れ光り輝く外套、開け放たれた窓に、吹き込む風、口の利けない主人公の声にその代わりともいえる音楽、ベッドに沈む老夫人、そしてらせん階段と素晴らしいところを挙げればきりがないくらいで、あらゆるサスペンス・スリラーは〝斯くあるべき〟と思ってしまうような作品です。
[DVD(字幕)] 10点(2008-05-02 18:10:54)(良:2票)
39.  三つ数えろ 《ネタバレ》 
聞くとろこによると、運転手を誰が殺したのか原作者でさえ分からないという伝説的な逸話が残っているらしいのですが、ほとんど主人公マーロウの一人称で展開しているため何が起こってもおかしくない混沌世界で謎は謎のままということなのでしょう。入れ替わり立ち替わり登場してくる人物たちが物語を複雑にしますが実に軽妙ですし、マースの女房がマーロウに水をブチまけるためだけに?現われたり、マーロウが銃殺するシーンなどなど、それぞれ見せ場を盛り込みながら巧みに処理していく展開はさすがとしか言い様がありません。 ・・・しかし、これは極めて個人的な問題なのですが、どうもバコールが魅力的に見えなかったのはマイナスです。もちろんそれは全く撮り方のせいではなく(車内でのシーンなどはとてもセクシーだと思う)好みの問題であるのですが、ここで言いたいのは私のくだらない趣味の話ではなく、それぐらい本作はヒロインの映画になっているということです。ボギー視点のロマンチック世界でバコールに惹かれない場合は楽しさ半減…とは言い過ぎかもしれませんが。
[DVD(字幕)] 8点(2008-04-11 18:27:44)
40.  死の谷 《ネタバレ》 
筋から見るとウォルシュ監督が41年に撮った「ハイ・シエラ」を西部劇に置き換えてセルフリメイクしたもののようです。「ハイ・シエラ」の方がボギーの魅力も手伝って男女の関係や危うさみたいなものを感じさせますが、本作は西部劇ならではの見所があります。駅馬車襲撃から列車強盗シーンでの馬の躍動感、死の谷の素晴らしい景観での銃撃戦と要所をおさえているのです。そういったあたり「ハイ・シエラ」よりも娯楽要素が強く、死を覚悟で渦中に見を投じていく女が主人公と心中してしまう結末に変えられており、さらに二人の握り合う手が映り教会の鐘へと繋がっていくラストは神話的とすら思えます。
[DVD(字幕)] 8点(2008-03-28 18:07:50)
全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS