21. 古都(1963)
《ネタバレ》 一人二役ってのが、あまり好きじゃない。 双子だから理にはかなっているが。 岩下志麻の美しさは、やはり凄い。 凄いの一言。 京都の暗い側面が描かれている。 武満徹の音楽と相まって、ますます暗ったい。 本来、爽やかなキャラのはずの吉田輝雄までもが、影があるように感じられるから凄い。 双子の内、片方が捨てられて裕福に育ち、捨てられなかった方が生活に苦しんでいたらどうなるか? 生みの親に育てられたら幸せなのか? 捨て子だったら、不幸なのか? 実に深遠なテーマを扱っている。 テーマ自体は興味深いが、ベクトルが「暗さ」に向かっている分、いまいち心が晴れず。 この作品が描く京都には、魅力を感じることはできなかった。 [DVD(邦画)] 5点(2023-05-04 17:15:04) |
22. カラビニエ
《ネタバレ》 ゴダールのこの貴重な作品は『ヒューマントラストシネマ渋谷』という映画館にて鑑賞に漕ぎ着けた。 仕事での疲れが抜けない中、渋谷まで足を伸ばすか直前まで迷ったが、行けて良かった。 ゴダールによる戦争への皮肉が散りばめられた内容。 勝てば何でも許される、だけど負けたら全てを失う。 いかに残酷で愚かな行為であろうとも、戦争に勝てば何でも許されてしまう。 しかし何で男ってのは、戦場で若い女性を見つけると、性的で馬鹿な行為に走るのか。 この作品でもその馬鹿さ加減を示すシーンが何度か映されていた。 男として非常に恥ずかしい気持ちになった。 これを女性が見た時、どんな感想を持つのだろうか。 [映画館(字幕)] 6点(2023-04-30 17:15:11) |
23. バニー・レークは行方不明
《ネタバレ》 娯楽作品として十分楽しめたものの、途中までまともな雰囲気だった兄が、途中から急におかしな人になるのは不自然かな。 それにしてもあの大家のジジイ、非常に変態的で鬱陶しかった。 [インターネット(字幕)] 7点(2023-04-19 10:14:18) |
24. 吹けば飛ぶよな男だが
《ネタバレ》 最初から最後まで全力疾走な内容で少々疲れるも、ギュッと濃縮されたてんこ盛りの内容に十分満足できた。 最後まで飽きさせないその作りは、さすがの山田洋次監督。 他の方もおっしゃっている様に、なべおさみがこんなに巧い役者とは思わなんだ。 なべやかんを裏口入学させただけのオッサンかと思っていたが、これは大変失礼しました。 緑魔子は時代を問わない、普遍的な魅力を持った人だ。 何より服装がとても素敵。 不思議でいて、唯一無二の魅力がある。 ただ、死なす展開には不満だ。 二人で幸せになってほしかった。 山田洋次がここまで露骨で下品な作品を撮っていたのが意外。 家族モノ、人畜無害な人情モノしか撮らないイメージを勝手に持っていたが、これまた大変失礼しました。 トルコ風呂街の景色は今見るととても貴重で、思わず一時停止して見入ってしまった。 [インターネット(邦画)] 7点(2023-03-29 07:53:53) |
25. 上意討ち 拝領妻始末
《ネタバレ》 ストーリー自体分かりやすいし見応えもあるが、何しろ理屈っぽいし展開がだるかったりで長い。 最後の対決はしびれたが、その後は要らない。 江戸に行かせてあげてくれよ。 [インターネット(邦画)] 6点(2023-02-26 19:56:44) |
26. 華氏451
《ネタバレ》 フランソワ・トリュフォー作品の中で唯一未見だった作品で、ようやく見ることができた。 これでフランソワ・トリュフォーをコンプリート。 活字や本が違法とされた近未来を舞台としたSF。 もちろんトリュフォーの作風からすれば異端の内容で、それが原因で今まで見るのをためらってきた。 おそらくつまらないんじゃないか? 地下鉄のザジみたいに気色の悪い内容なんじゃないか? ジャック・タチ作品みたいに奇妙なだけでつまらないんじゃないか? そうした憶測を勝手に自分の中で持っていて、この作品を敬遠してきた。 だけど、かの蓮實重彦氏が推薦している作品だ、見ない訳にはいかない。 というわけで、土曜日の暇な時間に意を決して鑑賞開始。 これが独特の世界観を構築していて、意外と完成度が高い。 奥さんも綺麗。 主人公も存在感抜群。 ところがその主人公、最後は奥さんに逃げられ、上司を火炎放射器で焼き殺してしまう。 なかなかのショッキングな展開だったが、ラストは本大好き人間の桃源郷に逃げ込み、難を逃れた。 奇妙な作品であり、決してトリュフォーの得意分野とは思えないが、そこが逆にこの作品の独創性に貢献しており、飽きずに最後まで見ることができた。 [インターネット(字幕)] 7点(2023-02-25 12:19:53)(良:2票) |
27. 007/ロシアより愛をこめて
《ネタバレ》 ボンドの無敵ぶりに最後は辟易。 しつこいテーマ曲も、もう沢山だ! ボンドガールはスタイル抜群! [インターネット(字幕)] 6点(2023-01-28 10:51:32) |
28. 007/ドクター・ノオ
《ネタバレ》 あんな島に突然現れる美女! 都合良すぎるだろ! 全体的に連続ドラマのようなレベル。 暇な時に見る娯楽映画としては合格点。 [インターネット(字幕)] 5点(2023-01-22 10:10:08) |
29. メリー・ポピンズ
《ネタバレ》 絵の中に入ってアニメーションバリバリの時間帯はきつかった。 終盤で父親が拝金主義から脱却するシーンは気分がスッキリしたが、その後の重役復帰はさすがに都合が良すぎて蛇足。 [インターネット(字幕)] 3点(2023-01-04 12:32:07) |
30. ナバロンの要塞
《ネタバレ》 普通に楽しめる冒険活劇だが、そもそも人間の命に敵も味方もない訳で、ナバロンの要塞をぶち壊した事が正義ではなく、素直には喜びを共感できなかった。 [インターネット(字幕)] 4点(2022-12-29 22:08:37) |
31. 明日に向って撃て!
《ネタバレ》 破滅の美学。 途中、しつこく追われる場面は緊張感があって面白かったものの、最後の方は伸び悩んだ印象。 女にも見放されて、最後は実に虚しさがあふれる。 [インターネット(字幕)] 6点(2022-12-17 17:48:16) |
32. バルタザールどこへ行く
《ネタバレ》 これほどまでに美しいモノクロ映像は滅多に出会えない。 1960年代だからこその完成されたモノクロ映像と自然な美しさ。 そしてそういった技術的な意味だけでなく、本作の寓話的でどこか現世離れした雰囲気が、本作をより一層、神秘的な美しさへと押し上げている。 主演の女優は当時17歳であったらしいが、単なる美人ということではなく、儚げで世を憂うような不思議な魅力を発揮している。 薄幸の美人、いや、少女というか感じだろうか。 カメラは執拗なまでに少女のスラリとした脚を映し出す。 これが何ともエロティック。 そんな映像を見せ付けられていると、見てはいけないものをじっと見せられている感じがしてきて、なんか気まずくなってくる。 しかし、じっと見てしまう。 眼が釘付けになる。 画面いっぱいに発散される厳粛な雰囲気、そして、少女の危うい魅力。 ブレッソンのカトリック的な表現手腕が遺憾なく発揮されている。 少女の可愛がるロバも、また印象的。 特に最後の息を引き取るシーン。 なんとも切ない。 涙が出そうだ。 欧州独特の優美な雰囲気が画面に現れ、そこにカトリック的な厳粛さと悲劇、人間が持つ残忍性、そして何より少女の肢体が放つ自然の美たるものが複雑に絡み合い、本作を奏で上げている。 本作はそういう意味で、完成された総合芸術品だといえるだろう。 とにかく何度も観てみたいと思わせる、息をのむ美しさを持つ作品である。 [DVD(字幕)] 9点(2022-12-15 20:39:06)(良:1票) |
33. 少女ムシェット
《ネタバレ》 ううむ・・・これほどまでレビューを書くのが難しい作品は久しぶりに観た気がする。 言葉で表現するのが至極困難だ。まず、本作は間違いなくロベール・ブレッソンの最高傑作であろう。 淡々と繰り広げられる薄幸な少女の生涯。そこには、少女ムシェットにとっては日常的でありながら、普通に恵まれた人間からみれば、極めて非日常的な日常が横たわる。それをブレッソンは感傷に浸ることなく、冷徹なまでに静かに淡々と描写する・・・少女ムシェットの日常を描いただけの内容だが、そこには生まれもって不幸な境遇に置かれた少女の、静かな心の叫びがビシビシと伝わってくる。静謐でいて、荘厳さも伴った映像の数々。実に映画的な美しさと残酷さ、そして魅力にあふれた作品である。雨で濡れたソックスを履き直す少女、少女の前でズボンを下ろす少年、ミニスカートを履いて逆上がりをする少女たち。そこには、何気ないエロスが横たわり、少女にこれから起るであろう出来事を観る者に予感させる。又、ワナにはまり苦しみもがく野鳥や、猟銃で撃たれのた打ち回る野うさぎなどをじっくりと映し出すことにより、生命のもつ根源的な虚しさと残酷さを演出してみせるブレッソン。過剰な演出を嫌ったといわれるブレッソンだが、本作ではその演出技法がいかんなく発揮されていた。「不幸な少女はこうもつめたく世をみつめているのか。」「不幸な少女から見たら、周囲の大人というのはこう映っているのか。」「こうした思春期を送っている少女は、いかに大人になっていくのか。」観ているうちに色々な興味が湧いてくるが、それらの興味の一切は、情け容赦のないラストシーンにより吹き飛ばされてしまった。少女は命を断ちさえしなければ、不幸なりにもそれなりの大人にはなれただろうに。それを思うと、何とも哀しくて虚しい気分に襲われた。ほんとの意味で、こうした苦しみにもがく少女を助けることのできる大人って、どれくらいいるのだろうか?いや、いないと悟ったからこそ、少女は自殺の道を選択したのではないだろうか。そう考えると、この世は無常で、どうにも救い難い。こうしていくら書いても、本作を観て感じたことの全てをうまく表現できないし、実際に自分の中でも咀嚼できていない気がする。本作は、そういう意味でも、何度も鑑賞すべき作品であり、何度の鑑賞にも堪えうる魅力と深さをもった作品である。 [DVD(字幕)] 9点(2022-12-15 20:38:31)(良:3票) |
34. その場所に女ありて
司葉子の「三種の神器」ってご存知ですか?? え??ご存知ない?! 仕方ない、お教えします。 それは、スーツ、スカート、そして腕時計です! なんと本作では、その三種の神器が見事登場! しかも、司葉子はクールでシャープな役柄を演じており、とにかくカッコいい! そして、司葉子の撮り方が、またイヤらしくて良い。 酔いつぶれてソファーで居眠りする司葉子。 そう、もちろんスーツでスカート姿のままで! それを鈴木英夫監督がどう撮ったかと言えば、アッパレ、こちらが期待した通りの、ツボを見事に捉えた撮り方! 司葉子の脚を下からなめ回すようにして、上へと移動していく。 これには参った! 鈴木英夫という監督は、当時の司葉子の魅力を完全に理解していたのだ。 スーツ、スカート、そして腕時計。 これらを身に纏わせ、クールなキャラで、酔いつぶれの司葉子。 それを観られただけで、もぅ満足なんですね、私。 また、もう一つ見所なのが、昭和30年代の銀座の風景。 そして、当時の広告代理店の社内風景が興味深く映し出されている。 木のデスクに、仕事中プカプカと机でタバコをくゆらす仕事風景。 こんなの、平成の世の中じゃ考えられない! このタバコシーンだけで言えば、まるで別の国の労働風景を観ているかのようだ。 そして、あの頃の自由だった世の中を思い出す。 そういえば、昔は仕事中に平気でタバコをふかしていたっけ。 あぁー、あの頃は自由で良かったな、と古き良き昭和を懐かしみ、楽しむことができる。 そういう点でも本作は優れている。 ただし、ストーリー運びはいたって単調。 そこが本作の欠点でもあり、また、クールさを追究したという意味においては長所でもある。 いずれにしても、また観直してみたい作品であるし、再評価されるべき作品である。 そして何より、この鈴木英夫監督の、司葉子の魅力を引き出し切ったセンスに脱帽である。 ちなみに、本作は東京は御茶ノ水のアテネ・フランセ文化センターにて鑑賞した。 貴重な作品を上映してくれたことに感謝したい。 [映画館(邦画)] 9点(2022-12-15 20:36:20)(良:1票) |
35. ウイークエンド(1967)
自身のゴダール作品鑑賞数も本作で30本を数え、ついにゴダール30本を達成することができた。 その記念すべきゴダール30本目は、やっと観れましたの『ウイークエンド』だ。 60年代ゴダール作品としては、唯一未見として残っていたのが、大物の本作。 まあ、観られただけでも嬉しいかな。 ストーリーは当たり前の様に無視ということで。 印象的なシーンは、やはり中盤の長回しによる渋滞シーン。 耳をつんざく様なクラクションの雨あられ。 その渋滞の先にあったものは・・・ 何となくサスペンスな雰囲気に満ち溢れ、退屈なのに何故か目を離せない魅力に満ちている。 だけど、どこか退屈。 だけど刺激的でもある。 そんな不思議な魅力を持った作品だ。 しかしフランス映画は、やっぱり体を張った危険なシーンが無意味に出てくるなぁ。 本作でもその特徴は散見された。 一歩間違えたら撮影中に事故が起りそうなシーンの数々は、フランス映画のスパイスとしてどれだけの役割を果たしているのだろうか。 これだけのフランス映画、ゴダール映画を観てきた現在においても、それは判然としないのである。 さて、ゴダール30本達成に安堵の想いをはべらせつつ、本作のレビューを閉じたいと思う。 [映画館(字幕)] 5点(2022-12-04 21:02:46) |
36. 無理心中 日本の夏
《ネタバレ》 かなり大島渚らしさが出ている奇妙な作品。 これって無理心中ではなくて、合意の上での心中じゃなかろうか。 一番死にたがっていた佐藤慶が、最後まで生き残るが面白い。 ついでに、ネジ子はとにかく色気がない。 小松方正の服装は意味が分からない。 あのフンドシルックは一体なんなんだ?? この作品最大の謎。 [インターネット(邦画)] 6点(2022-12-02 20:00:16) |
37. 悦楽
《ネタバレ》 中村賀津雄をはじめとして、出演陣に全く魅力を感じない。 幻想シーンも多く興ざめ。 大島渚作品の中でみて、間違いなく失敗作。 [インターネット(邦画)] 3点(2022-11-29 21:51:29) |
38. 緋牡丹博徒
《ネタバレ》 短い尺の中で物語がギッシリと詰まっている。 藤純子が実に美しい。 着物がとにかく似合う。 今作の後にシリーズが続いたのが納得の出来栄え。 [インターネット(邦画)] 7点(2022-11-13 23:43:31) |
39. 白い巨塔
《ネタバレ》 ストーリーは知っていたので、役者の演技を堪能した。 田宮二郎の迫真の演技もさることながら、滝沢修の迫力も段違いだった。 東野英治郎はミスキャストかも。 小沢栄太郎はハマり役。 [インターネット(邦画)] 6点(2022-11-08 02:19:49) |
40. とむらい師たち
《ネタバレ》 前半はコメディ調に飛ばしまくるも、後半は破滅的ストーリーで失速。 結構なカルト映画だと思われる。 特に無数のデスマスクに囲まれた部屋は不気味。 [インターネット(邦画)] 6点(2022-11-06 14:06:37) |