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tottokoさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2012
性別 女性
自己紹介 周りに映画好きな人があまりいない環境で、先日はメリル・ストリープって誰?と聞かれてしまったりなのでこのサイトはとても楽しいです。
映画の中身を深く読み解いている方のレビューには感嘆しています。ワタシのは単なる感想です。稚拙な文にはどうかご容赦を。  

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21.  ウエストワールド 《ネタバレ》 
すんごく先進的な、逆に50年経った現在の方がより身近な恐怖に感じるテーマですね。 AIの暴走といえば1968年のSF金字塔キューブリックの「2001年宇宙の旅」を思い起こしますが、本作はテーマパークで起こる殺人事件という気楽さですので、件の名作が提起していた哲学的命題の解釈に悩むことは一切無く、見やすいです。 アメリカって73年当時で「テーマパーク」という娯楽施設のコンセプトがこうも進んでいたんですね。日本の地方都市に住んでいた子どものワタシにとって、当時娯楽施設は動物園に併設された遊園地かせいぜいデパートの屋上くらいのもの。ディズニー・ランドの情報を少女雑誌で読んでまさに夢の国だと圧倒されていた、そんな時代に今でも実現すれば大当たりしそうな過去世界体験型のテーマパークを(映画の中にしろ)創り上げ、それだけに留まらずコンピュータが人間の手を離れる恐怖をも織り込んだとはこりゃすごい。 やりっぱなしで後片付けせず、なラストもオチの無い怪談を聞かされたような恐さの余韻が残ります。 ユル・ブリンナーがターミネーターの原型だったとは知らなかったなあ。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-05-22 23:18:42)(良:1票)
22.  ラスト・ワルツ 《ネタバレ》 
ちょっと勘違いしていました。‶ジャージー・ボーイズ”のような、一バンドの解散に至るドラマかと思っていたのですが。 完全なるファイナル・コンサートの記録でした。合間にインタビューを挟んではいるものの、これはザ・バンドに思い入れのある層にのみ向けた映像作品です。 残念ながらこのバンドについては(耳なじみのある曲はちらほらあるものの)ほぼ一見さんに近い立場で鑑賞しましたから「ああ、間違ったなあ」と途中からずっと思ってました。 スコセッシの名前にもミスリードされてしまったというのもあるな。 点のつけようもないのですが、若い頃のE・クラプトンやロン・ウッドを見られたということで中間点を。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2021-05-20 22:57:59)
23.  こわれゆく女 《ネタバレ》 
G・ローランズの神経症演技が鬼気迫るコワさなので世間は大いにどよめいたわけですが。わたしはメイベルを見ている間、既視感でいっぱいでした。この手の女の人は50年前に限らず、いつでもどこにでもけっこう居ますよね。ざっと思い出してみても、法事の場で突然小学生レベルの発言をして場を冷やす親戚のオバサン、役員会で反対意見を出されたら忽ち興奮して絶叫調になる園ママ、スーパーでカートを押しながらずっと自らの信条を大きめの声で独り言ちている中年女性、等々平均からズレている人にはけっこう遭遇してきました。だからメイベルは普遍的な社会の1ピース。そんなに特殊ではないと思うけれど、まあ周囲を困惑はさせますよね。 P・フォーク演じる夫は一般的あるいはそれ以上の「嫁には普通であってほしい」という願望の強い性格であったので、この二人ベストマッチではないと思います。もっと彼女に心を寄せて物事を見ていれば、子どもが裸で走っているのを見てもカッとならずに事態を正しく把握することもできたのです。実際子どもらは扮装ごっこの最中で楽しそうでしたよね?相手の親御さんはメイベルのノリについてゆけず迷惑してましたけど・・。 「なんでそんなに尻が大きいの?」などと言って人間社会を困惑させる人格。でも子どもらはママが好き。メイベルは生き辛さを抱えていても虐待親じゃないし、反社会的でもない。ゆるりと一息つけるラストが象徴するのは、メイベル「たち」のことを生暖かく見守る社会であれかし、という監督のメッセージにも思えました。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-09-21 23:50:37)
24.  ワンダラーズ 《ネタバレ》 
つるんでケンカして馬鹿をやる。いつの時代も共通の、男の子たちの青春が眩しく描かれます。一人一人皆キャラが立っているのでとても見やすい。女好きで仲間想いのリッチー、腕っぷしの強い正義感ペリー、口だけ達者の逃げ切りタイプのジョーイ。裏切者のターキーは最後まで惨めなまま。敵対チームもスキンヘッド系、チャイナ系、黒人グループとまあ色彩豊か。たくさんいるけどちゃんと見分けつきますね。ユニフォームがあるし、そんなものないアイリッシュ系は顔つきがすでに殺人者ぽくて、他グループとは次元の違うヤバさがあったり。 ケンカとパーティ、女の子へのイタズラ、彼女をめぐる諍い。若くて青くて、日々勢いで元気に生息しているように見える彼らにも複雑な家庭事情があったりとビターな差し味が効いています。 映画の終わりは青春の終わり。アメリカ社会はこの先ベトナム戦争が泥沼化して行くのです。ほとんど騙されて兵隊にとられたボールディーズの連中のこれからも、家から逃れて独立を目指すペリーとジョーイの将来も明るい展望を抱けそうにありません。リッチーは間違いなく嫁の尻に敷かれる人生が待ってるし。さらば青春。 フォーシーズンズの歌がぴったりハマる60年代の息吹がリアルに伝わりました。彼らがもっと不良化すると「ウォリアーズ」になるのね。(こちらも好き)対で印象に残る二作品です。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-09-14 23:25:49)
25.  フリック・ストーリー 《ネタバレ》 
70年代の映画の良いところが全部詰まってる一本。生活感と建築美の合わさったパリの小路がくすんだ色味に沈み、その中に置かれた演者らの陰影深い佇まい。80年バブルに入って一掃されてしまうこれらの情感が隅々まで漂っていて、陶然とします。 男たちが渋いもんね。モスグリーンのトレンチを着たアラン・ドロンはヘビー・スモーカー。官僚的な上司に意見しつつ参考人らには硬軟取り混ぜて証言を引き出す、絵になる男。やっぱりかっこいいなー。ところがジャン・ルイ・トランティニヤンの露出が多くなるにつれ、さしものドロンが食われてゆくのです。 ジャン・ルイ・トランティニヤン!「男と女」での印象薄とは打って変わって、映画史に残る冷酷な殺人者ぶりでした。 薄青の瞳は常に座っていて、一切躊躇せず引き金を引き、出過ぎた小娘は横っ面を張り倒す。彼とドロンがついに邂逅する食堂のクライマックスの緊張感ときたら。何度もトランティニヤンの目線をカメラが捉えるんですよね。考えが読めないその瞳に、バレたのかしら?と冷や冷やさせられる名場面です。 この頃の映画は煙草が本当に粋な小道具として機能しているなあ、と強く思わされる作品でもあります。格好良い俳優は皆タバコを手にしていた。火を点ける仕草も口にくわえた姿も素敵に超がつくほどで、彼らのタバコの吸い方は世の男性諸氏のお手本だったのですけどねえ。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2020-07-03 22:29:10)
26.  砂漠の流れ者 《ネタバレ》 
まさか「暴力監督」サム・ペキンパーにこんなトボケた一作があるとは思いもしませんでした。なにしろペキンパー作ということで中盤くらいまでずっと、いつケーブル・ホーグが血の雨を降らせるのかと待ってましたよ。あれ、でもこのオッサン復讐だなんだと口にしててもさして怨念の熱量は高くなく、標的の一人にはなんかぐだぐだと情にほだされ(というか復讐が面倒になったみたい)、せっかく築いた自分の事業もくれてやる始末。おい。 惚れた女に再会したと思ったらあっけなく天に召されて、その最期すらどこかへらへらとお気楽で。なんとまあ。好きなことやってぽっくり死ぬ、これもペキンパー流の「漢の美学」なのかも。 ホーグの死の元になったのが次の時代の主役であるクルマだ、というのもね。彼らの時代の終焉を告げる象徴にも見えます。道なき荒野を馬と共に往き、自由に生き方を選べた時代はケーブル・ホーグと共に終わりを迎えました。 生も死も自己責任で、その分生命力も強くスケベ心も隠さず、「おっかなくない」本作のペキンパーの男たちはとりわけ魅力的でした。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-06-03 23:34:42)(良:1票)
27.  日曜日は別れの時 《ネタバレ》 
苦い。中年側に身を置くと、その痛さは激痛に近いものがあります。二十代の男に惚れる三十女と初老男。相手よりはるかに培ってきたはずの人生経験も役に立たず、気まぐれなアーティストくんに翻弄されっぱなし。痛いなあ。 恋愛話っていうのは、やっぱり種の存続に必要なホルモンがさかんに分泌されている二十代のものなんですかね。気力・体力とも衰えた大人は、静かに諦めるのですね。ダニエルもアレックスも、それぞれがオトナの分別と諦念を表情に滲ませて恋愛劇の幕を下ろすのでした。うーん渋い。 愛憎劇と呼べるような激しい情動はなく、それぞれの日常である子守りの一日とか、ユダヤの成人式のもようとか本筋と直接関係のない描写ばかりなので多分20代の頃に観ていたら退屈に感じたかもしれない。ダニエルやアレックス側に到達した人たちにおすすめです。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-04-22 17:01:46)
28.  マラソン マン 《ネタバレ》 
うーん怖い。70年代の映画ってほんと怖い。80年代に入るとホラーも派手に血しぶきをげたりとちょっと明るい(?)んだけど、70’sのなんか暗いむっつりと非情な感じっていつもぞーっとさせられます。大学生にしては老けた顔のD・ホフマンですらなんか怖い。 ロイ・シャイダーの前半は怖がらせの演出が冴えに冴えてキレッキレです。義眼の殺し屋がカーテンの後ろに現れたり、暗がりに仲間の女が消えて行ったり、その後に転がるサッカーボール!意味はわかんないけど怖い。 ローレンス・オリビエの後半は「白い天使」歯科医のマッドネスが炸裂する、また一味違った恐ろしさ。「安全か?」とひたすら何度も問うて精神を追い詰めるって新しい拷問のやり口だなあ。やめてほしい。訳が分からない。 恐怖印象が強烈な本作、ところがお話はかなり構成が粗いというか、細部を雑にほったらかしな感があって、なんでロイ・シャイダーがしつこく命を狙われていたのかとか反マッカーシズムの父親の関わり具合とかはもうさっぱり。 演出は10点満点、構成は3点、というとてもアンバランスな不思議な一本です。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-04-22 00:17:21)(良:1票)
29.  白い家の少女 《ネタバレ》 
独特の美的センスと体感温度の低さを感じる本作、ジャンルはサイコ・スリラーになるのだそう。スリラーという言葉から連想される冷たさやミステリアスなイメージは、全てヒロインの弱冠13歳のジョディ・フォスターによって醸されていると言って過言ではないでしょう。13歳というのはロリータぎりぎり最終の年齢。幼いのか理性的なのか、どちらにも揺れる不安定さ。時には「魔性の」と称されてきたこの年頃の少女らの危うい魅力。素なのか天才的演技なのか、判別不可なほど凄い仕事をしているジョディ・フォスターです。 いろんな作品で愛でられてきたロリータたちと並んで、ジョディもあまり笑顔を見せません。意志の強そうな瞳だけど、かと思えばふにゃ、と崩れるもろさも見せて、リン・ジェイコブスもまた正統派のロリータと認定されるでありましょう。(誰に) 惨劇の舞台でありながら、家具の配置や配色が居心地よく考え抜かれた白い家の佇まいも魅惑的でした。 ああそれと、意地悪おばさんもロリコンM・シーンも、いかんなく小物ぶりを発揮してジョディとの格の違いを際立たせてくれました。ある意味グッジョブな人たちでした。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2020-02-12 00:01:52)(良:1票)
30.  ブラジルから来た少年 《ネタバレ》 
これは、大変戦慄を覚えました。序盤のうちにポリス・アカデミー出身S・グッテンバーグが早々と死んでしまう。彼が主役となって話を回してゆくのだろうと思っていた私は度肝を抜かれました。世界中の94人の公務員の男を殺せという指令の意味不明なことや、世界のあちこちに見つけられたそっくりの男の子等、謎の提示とその解明が予測もつかないし、判って震えるしでサスペンスの一級品と思います。 個人の感想ですけどこの年代の作品て、共通して淡々としたところがあって、今作は人の死ぬ場面がどれも恐ろしい。「ああー、逃げないと殺されちゃうよ!」と思っていたら本当に殺されちゃう。カメラはあまり動かず騒がず、すっ、と殺っちゃうんだ。あまりの生々しさにいちいち「ひっ」とビビります。ダムなんかトラウマになりそうだ。 整形かメイクか、顔に違和感のG・ペックの怪演や、クローンアドルフの男の子ともに不気味でいっぱい。遺伝子と環境の二つを揃えてやればもしかして、と思えなくもない現状も怖い。特に21世紀の今なんか欧州各国で極右政党が台頭してますから、メンゲレ博士の狙いも実現しやすい土壌は十分ですし。怖い。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2020-01-15 00:11:38)
31.  フリービーとビーン/大乱戦 《ネタバレ》 
荒っぽい刑事コンビがカークラッシュを誘発させながらのカーチェイス、法規無視の銃乱射がお約束の”バディ・ムービー”のハシリなんだそうで、なるほどこれは当時リアルタイムで観たかったなあ。 時代ズレを起こしてしまうのはどの先駆作品にとっても宿命で、その当時の空気を共有していないとノレない。ほんと不公平と思うけど、後発作品を何十本と観てからだと今作も野暮ったさが気になってしまいました。 カーチェイスのスピードは普通運転並みだし、パレードのチアが車を囲んで抗議する場面がとても記号的だったり、刑事のヨメの浮気嫌疑が晴れるシーンもくどくてテンポ悪い。なにしろスピードがどんどん上がっているのですよね何事も現代は。 ユーモアのセンスは今でも通用するキレの良さでした。高級シャツを買うときのへりくつとか、ヨメの浮気を疑って落ち込む相方にかけるヒドイ台詞とかは笑えましたし。つくづく封切り時に楽しく観たかった作品です。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2019-12-14 16:08:23)
32.  トラベラー 《ネタバレ》 
イラン版「手を焼く小僧」の冒険譚。この場合はテヘランまで夜行バスの旅。大人から見ればさしてどうってことない旅程だけど、10歳の子供にとっては、旅費集めからそれはそれは大変難儀なタスクなのである。 ごく普通で非力な人間のささやかな日常の起伏を映画一本分のストーリーにして見せる、いかにもキアロスタミらしい視点。ハリウッドでは商売にならないかもだけど、これがとても面白くできている。 まーとにかくこの子の生命力の強いこと。かなりの強引さで目的を果たそうとする貪欲さ。大人に叱責されるとそこはすぐ泣いて降参、でも大事な物は手放さない。この手のガキは日本にも戦後の混乱期にはいっぱいいたんだろうなあ。生きるために最大限知恵を絞って世の中を渡るような。 ああ、この子どうするんだろうと大人の心配をしながら見守ること70分。なんともキビシイ旅の結末となりました。勉強代だな、坊主。嘘ついて人からお金を集めてはイカンのだよ。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-08-30 00:44:10)(良:1票)
33.  ファンタズム(1979) 《ネタバレ》 
心理系オカルトかと思いきや、肉体的苦痛のスプラッタ要素もあるし、SF風味もぶっこんでるしでジャンル分け不可のごった煮ホラーですな。なかなか独特の味わいはありますが監督が思うところの「怖い画」をずらずらと並べて喜んでいる感じで、今の時代ではシュールという表現がもっとも当てはまるのでは。 序盤の墓地までは不気味な雰囲気に多いに期待したんだけど、そこからがねえ。友人の祖母が占い師やってる館では箱が現われたり消えたり(何の意味が?)、フォーク内蔵の銀球がひゅーと飛んできたり(普通に危ない)、古い写真の男がこっち見たり(誰)、なんのこっちゃ、と思います。 ラストもなあ。監督のどや顔が見えるようなまさかの夢オチ。うーん怖くない。古くても73年のエクソシストは今でもちゃんと怖いんだけどねえ。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2019-08-13 23:24:36)
34.  エマニエル夫人
描きたいコトはひとつなので、ストーリー上の必然性がほぼ無くとも事に及ぶ女主人公。もうめちゃくちゃ。まあポルノてのはそんなもんですが。ただ、そこらの下心をカムフラージュすべく映像を美しく仕上げ、音楽にも手を抜かないフランス人てスケベ心も芸術科卒なのだなあと感心してしまう。 なかなかしょーもない歌詞にこんなに美しい旋律をつけるのですね。米を研ぎながらうっかり口ずさんでいることもありますわ。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2019-08-08 16:22:25)
35.  アンドロメダ・・・ 《ネタバレ》 
終始一貫してソリッドな作り。まるでNHK特集の生真面目な再現ドラマを見ているようです。 ちょっと色気のある制作者なら、未知のウィルスにパニックになる市井の人々だとか、スクープを抜こうとする記者とかの描写を入れそうなものですが、もう頑固なまで科学者サイドべったりの目線。たまにホワイトハウス側の「どうなってるんだよ」という外野の声も入るには入りますが。  スター不在の地味なめんつが地味に(そして必死に)原因を探すのに付き合わされる130分。全身消毒を繰り返すくだりはさすがに飽きますが、派手さは無くともこれが意外にサスペンスフル。特に冒頭の”死の町”描写は淡々としてるが故にぞっとする光景が現実味ありでとても怖いですし、赤ん坊の泣き続ける声というのもこちらの気持ちをざわざわさせます。 そして本作は71年の作品ながら、コンピュータ等の機器に古臭い感性が少ないのも観やすかったです。66年の「ミクロの決死圏」のメカは正直「未来風な」デザインを目指しすぎてヘンテコになった感がありましたから。テレビ電話やタッチ画面など、やけに正確に技術予見してるなあ、と驚きました。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-05-29 16:46:52)(良:1票)
36.  戦争のはらわた 《ネタバレ》 
ペキンパー監督って真理を突いてくるんだけど毎度毎度えげつない人だ。本作は”たまたま”敗色濃厚のナチスドイツ軍が舞台だけれども、描かれていることは組織にはクソ上司がいて、その取り巻きがいて、上司にも仕事にもうんざりしている中間管理職のおじさんがキレる、という社会組織に普遍な図式なのだった。総統にも第三帝国にも心酔なんかちっともしていない負け戦の現場では、一平卒は犬死したくない一心で機銃を掃射するし、プロイセン貴族とやらの俗物上官は勲章欲しさに、部下の一個部隊を見殺しにするのだった。 あまりにリアルな人間臭さ。銃弾飛び交う前線のカメラアングルは土埃がかかってきそうな臨場感。えげつなさがさらにヒートアップするのが、戦場に女を投入する場面。しかも一人なんて風呂まで入ってる・・。当然ながら続く阿鼻叫喚な展開はまさにザ・サム・ペキンパーなのだった。 並みの監督ならば、上官が撃たれるラストを用意するだろう。しかしペキンパーはそんなことでは飽き足らず、上官の現場での無能ぶりをさらけ出させたうえに、嘲笑を浴びせるのだった。いやー、ほんとペキンパー半端ない。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-01-24 18:12:01)
37.  スラップ・ショット
けっこうお下品な描写やハダカが多いんですね。家族そろって観るには不向きですね。 そもそも乱闘沙汰で客を呼ぼうという発想が無茶に感じる。マイナーアイスホッケーってプロレス的な位置付けだったの? 氷上の選手としては老け過ぎ感のあるP・ニューマン、粗野でがさつなコーチも兼任。こんな役もできるんですね。 スピードにのったプレー中のカメラなんかは迫力があってすごいなあとは思いましたが、リンク上での男性ストリップとかは笑えるツボとまではいかなかったのでこの点数で。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2018-12-11 00:28:36)
38.  ミーン・ストリート 《ネタバレ》 
”ダメ”なロバート・デニーロが凄い。恐いくらい上手い。70年代の汚ったない街角の画もそれなりに情感たっぷりで引き込まれます。 ダメな奴はダメなまま。借金を返せないレストランは人手に渡る。ある晩は抗争の一端で人が撃たれて死ぬ。そんなミーン・ストリートをゆらゆら漂うデニーロとカイテル。 冒頭の8ミリとか全編のすすけた雰囲気とかはまさにスコセッシ節が全開。散文詩のように苦い時代を切り取っているけれど、これがほんとに「散文」で、時に冗長でおさまりが悪く(長いケンカのシーンとか)感じます。物語の中心となる大筋を一本びしっと決めてほしかったな。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2018-12-04 17:05:35)
39.  木靴の樹
ほんの100年ほど前の、イタリアの寒村での名も無き人々の暮らし。土地を耕し家畜を世話し、子供を育て、祈りながら肩寄せ合って日々を送る。車も電気の恩恵も無縁の時代に生きた人たちを見ていると、歴史というのは大きな事件だけで作られているのではないのだなあとつくづく思う。無数の、彼らのような庶民・農民たちによって育まれた生活を受け継いで今の我々は生きている。 働くだけで一杯の日常だけど、人は恋をするし年に一度は華やかなカーニバルもやってくる。より貧しい恵まれぬ人には祈りと共に施しをし、物売りの行商人との丁々発止の掛け合いは生活者のたくましさも感じる。 先人の生きた足跡をあふれる情操で再現したパルムドール受賞作。全体通してシビアなタッチなので、心楽しくはならないのですが、苦く辛いラストを含め”人間が生きること”に圧倒された180分でありました。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2018-11-15 20:18:10)(良:1票)
40.  ゲッタウェイ(1972)
とてもペキンパーらしい一本。といっても、ペキンパーの代名詞”暴力要素”はさほど強くないです。この監督さんは人物の描き込みが丹念な作り手でもあるのです。彼の手により立ち上がる人間ドラマの濃密なこと。”追っ手”である殺し屋側のディテールをこんなに細かく撮るバイオレンス映画はあまり見かけません。崩壊する獣医夫婦の顛末は悪趣味で残酷で、ペキンパー臭が強烈に漂います。 もちろんメインで描かれるのはマックイーン演じるドク・マッコイとその妻。マックイーン起用で目くらまし効果になってるけど、ドクのキャラはそれほど理想のヒーロー型じゃない。妻の(戦略)不貞をいつまでも引きずり、水鉄砲をイタズラしてくるガキにキレ、荷物を上げてくれという婆ちゃんには舌打ち気味。(ちなみにここで披露されるマックイーンの腕力がまたかっこいいんだ) むしろ「竹を割ったよう」なのは奥さんの方で、「あんたを助けるためならテキサス中の役人とだって寝るわ」と言い放つ。対してドクは「テキサスは広い」とかへんてこな防戦一方で、埒の明かない口論の末「別れる」とかってヤケになる。二人ゴミまみれになりながら、「何なのいつまでもうじうじして」と嫁に一喝され、「もう忘れる。約束する」とちょっとしゅんとなるマックイーンはほんとにキュートで、いやショットガンを構える姿はもちろん満点のかっこ良さなんだけども、”ダメな部分”もちゃんと見せるその愛嬌が彼の魅力だよなあ、と改めて思ったりしました。
[DVD(字幕)] 8点(2018-08-07 00:54:00)
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