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かたゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1922
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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21.  グランツーリスモ 《ネタバレ》 
世界的な人気を誇るレーシングシミュレータゲーム『グランツーリスモ』。徹底的にリサーチを重ねたそのリアルで細かい車の動きはもはや本物と変わらないほどで、いまでも世界中の愛好家がネットでそのドライビングテクニックを競い合っている。そんな中、日本の大手自動車メーカー日産が驚きのプロジェクトを発表し、世界に衝撃を与えるのだった。なんと、ゲームのトッププレーヤーたちをスカウトし、厳しい訓練を受けさせたうえで本物のプロレーサーとして実際のレースに出場させようというのだ――。イギリスの小さな田舎町でゲーマーとして冴えない日々を送っていた青年ヤン・マーデンボローは、家族の反対を押し切り、そんなプロジェクトに参加することを決意する。見事予選を突破し選抜メンバーへと選ばれた彼は自分の人生を変えるため、毎日厳しい訓練に励むのだった。たが、現実のレースはやはりゲームとは違っていて……。監督はかつて、『第9地区』で華々しいデビューを飾ったニール・ブロムカンプ。この人って、デビュー作こそ素晴らしい仕上がりだったもののその後はいまいちパッとしない印象だったのですが、いやはやどうして、久しぶりの大作となる本作はなかなか良い出来だったんじゃないでしょうか。まぁ相変わらずの大味演出は仕方ないとは言え(前半の予選レース参加から選抜メンバーに選ばれる過程がいまいち分かりづらいところや父親との確執があっさりし過ぎなところなど)、後半からの盛り上げはさすが!一年以内に予選4位内に入らないとライセンスが貰えない中、主人公が徐々に自信をつけ少しずつ順位を上げてゆくとこなんてもはや少年漫画のノリ。ベタベタだけど、これはやぱテンション上がりますわ~~。と思ったら、物語の後半、主人公が事故を起こし巻き添えとなった観客が死亡するという重いエピソードも差し挟んできます。ここも重くなり過ぎずかといってあっさり流すわけでもない、絶妙にリアルな描き方で、ここらへん、監督のセンスが光ってますね。んで最後、何もかもを掛けてル・マン耐久レースに雪崩れ込んでゆく展開はもうテンション爆上がり。普通に手に汗握って見入っちゃってる自分が居ました。こんな少年ジャンプみたいな王道ストーリーがまさか実話だなんて!ソニーが全精力を注ぎ込んだであろう映像もスタイリッシュでかっこ良かったし、なにより実際に車を走らせて撮ったというレースシーンは言わずもがなの大迫力。いやー、けっこう面白かった。ブロムカンプ監督、なかなかやるじゃん!
[DVD(字幕)] 7点(2024-08-08 12:01:12)
22.  ドラキュラ デメテル号最期の航海 《ネタバレ》 
1897年、とある帆船が50個の謎の木箱を積んで、ルーマニアから英国へと出発する。だが一か月後、英国の海岸で座礁したその船には誰も乗っていなかった。船の名は、デメテル号。残されていたものは、船長が記した数週間にも及ぶ航海日誌。これはその日誌を基に描かれた物語である――。これまで映画や小説、漫画やアニメ、果てはゲームにまで様々な影響を与えてきた怪奇ホラー小説の古典、ブラム・ストーカーの『吸血鬼ドラキュラ』。もはや説明の必要のない超有名なこの小説の第7章「デメテル号船長の航海日誌」にのみ焦点を絞って映画化したのが本作。監督は、『スケアリーストーリーズ/怖い本』や『ジェーン・ドウの解剖』などでスマッシュヒットを飛ばしてきた新進気鋭のホラー監督アンドレ・ウーヴレダル。題材からも分かる通り、もう超が何個もつきそうなくらい超超超オーソドックスなホラー映画なので、もちろん新しい部分は一切ありません。が、そこはセンスでならしてきたエンタメ映画界の俊英、ツボを押さえた演出がバッチリ決まっているなかなかの佳品でございました。一から丸ごと一隻造ったという木造の小さな帆船の中で繰り広げられる、おどろおどろしいストーリーはやはり楽しい。まぁベタっちゃベタですけど、ここまでベタを貫き通してくれたらもはや清々しいですわ(笑)。コンプラやポリコレなんてゆう窮屈で退屈な代物なんて存在しなかった時代の古典だけあって、その容赦のない展開はさすがですね。今の時代、9歳の子供が全身火だるまになって焼死するシーンなんて誰もやりたがらないだろうけど、それを敢えて逃げず、ここまでちゃんと映像化してくれたウーヴレダル監督に素直に拍手!黒焦げになった子供の遺体が海に沈んでいくシーンは最近じゃ観られない暗鬱な美しさに満ちた名シーンでした。途中で意識を取り戻すドラキュラの食料用に詰まれていた女性もミステリアスな魅力に満ちていて大変グッド。徐々に狂ってゆく船長の不気味さも印象的。ただ、それ以外のキャラ(主人公含む)がいまいち魅力的でなかったのが残念だったかな。あと、後半に姿を現したドラキュラがいかにもなコウモリ怪人だったのも評価が分かれるところ。自分はもう少し見せない恐怖を貫いてほしかったような気がしなくもない。とは言え、ほとんどCGで描かれたうねるような海面描写もキレイだったし、いかにも年季の入った木造船の美術もリアルだったし、なかなか面白かった!6点!
[DVD(字幕)] 6点(2024-08-08 10:43:56)
23.  スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース 《ネタバレ》 
世界どころか、こことは違う多元宇宙を股にかけて大活躍するスーパーヒーロー、スパイダーマンの戦いをスタイリッシュな映像で描いたアニメーション。アカデミー賞の栄誉に輝いた前作は観たのだけど、ストーリー自体はさっぱり分からずただただその独創的な映像だけはとにかく印象的でした。という訳で、今回もとにかく映像のみを楽しむ目的で鑑賞。なのだけど、前作以上のさっぱり意味不明なストーリーはもはやノイズ。こんな独り善がりでつまんないストーリーが2時間20分もひたすら垂れ流されるというのは、いくらそこには期待してないとは言え自分にとってはもう苦行以外の何者でもありませんでした。これで前作同様、映像が凄かったらまだ観ていられたたのだろうけど、映像面のクオリティもけっこうレベルが下がってるような気がしたのは自分だけ?特に印象に残るシーンもないし、前作のようなオタク心をくすぐる魅力的なキャラクターも出てこないし、ずっと同じような画ばかりが繰り返されるので自分は開始30分で早々に飽きちゃいました。好きな人には申し訳ないですけど、自分には何が良いのかさっぱり分からなかったです。4点!
[DVD(字幕)] 4点(2024-08-05 08:29:01)
24.  The Son/息子 《ネタバレ》 
彼の名は、ピーター。大手法律事務所で様々な企業案件をこなすエリート弁護士だ。経営陣からの信頼も篤く、最近では有力政治家から選挙対策の責任者として働いてほしいというオファーまで舞い込むほど。再婚した現在の妻との間にはまだ生まれたばかりの赤ん坊もいる。そんな公私ともに順風満帆な彼だったが、ただ一つ気になることがあった。それは別れた前妻と暮らしている息子ニコラスのこと。息子はもう長いこと高校に行っておらず、その理由も一切語らないらしいのだ。直接息子に会ったピーターは、彼の願いによりしばらく今の家で一緒に暮らすことに――。幼子を抱え最初は戸惑っていた今の妻もピーターのためにと精一杯の優しさで迎え入れ、ニコラスもまた人が変わったように学校に通い始める。当初の懸念も忘れ、次第に息子との生活に喜びを見出すようになっていたピーター。たが、息子が抱えている心の闇は思った以上に深く……。監督は、前作『ファーザー』でアカデミー賞を受賞した劇作家でもあるフロリアン・ゼレール。前作同様、この監督の丁寧な演出と気品に満ちた美しい映像、なにより全ての登場人物に対する深い洞察力は素晴らしいですね。決して楽しい物語ではないし、最後まで暗い展開が続くので人によってはあからさまな拒否反応を示すことも多いと思う。でも、自分は最後まで惹き込まれて見入ってしまったし、最後は涙が止まらなかった。これは家族愛という幻想を全て取り払った後に残る、永遠に分かり合うことの出来ない人間の切なさを冷徹なまでに見つめた哀切極まりない物語なんだと思う。物語の終盤、息子を診察した精神科医が語る「愛だけでは力不足だ」という言葉を聞いて、自分は昔読んだ、夜回り先生として名高い水谷修氏の著書を思い出してしまった。定時制高校の教師として様々な問題を抱える生徒たちと向き合ってきた氏が、重度の薬物依存に苦しむ生徒がまた薬に手を出したとき、「俺はお前を絶対見捨てない。何があろうとお前と一緒に頑張るつもりだ。なのにお前はまだ甘えてる」と叱咤した直後、その生徒が自殺してしまったのです。このことに深く傷ついた氏は、「薬物依存や精神疾患はれっきとした病気なのです。それなのに自分が愛してるから治れというのは、風邪や肺炎で苦しむ人に周りが愛してるのだから自力で治れと言うようなもの」と述べておられました。本作の哀しい結末はまさにそれ。この親子には愛があった。それも深い深い愛が。愛は人を救うこともあるし、傷つけることもある。そして人を殺すことも。きっと最後、息子は「今が死ぬのに最適な時だ」と思ったのだろう。両親が昔のように愛情を取り戻し、自分も親から深い愛情を感じ、そして自分も両親に「愛してる」と心から伝えた。人生で一番幸せな瞬間、このまま終わればきっとこの時間は永遠になる――。愛に傷つき愛に裏切られボロボロになりながらも、それでも人は愛に縋りついて生きてゆく。そんな人間の切なさと美しさを冷酷なまでに見つめた傑作だと自分は思う。
[DVD(字幕)] 9点(2024-07-28 15:01:07)
25.  ワース 命の値段 《ネタバレ》 
世界を震撼させた米中枢同時多発テロ。世界中が大混乱へと陥るさなか、アメリカ政府は水面下である重大な問題に直面していた。テロの被害者や遺族が皆、損害賠償を求め航空会社や国を訴えたらアメリカ経済は大変なことになる――。経済の停滞を恐れた政府は、すぐさま被害者救済を目的とする専門機関を立ち上げる。被害者の年齢や年収、社会的地位などを基に独自の計算式で算出した賠償金を支払うことで集団訴訟を阻止しようというのだ。機関の特別管理人に就任した法律学者のケネス・ファインバーグは、被害者たちの8割以上のサインを求め日々奔走するのだが……。911直後、米経済の混乱を避けるために立ち上げられた「911被害者補償基金プログラム」の内情を実話を基に描いたヒューマンドラマ。日本でも近年話題となった、交通事故の被害者となった女の子が耳に障碍があったことを理由に慰謝料を減額された事案――健常者に比べ働ける職種に差が出ることから損害賠償額の基となる推定生涯賃金が減額された――を髣髴とさせる本作、いたく興味を惹かれ今回鑑賞。実在した法律家を演じるのは名優マイケル・キートン。この人と言えば、世界的企業マクドナルドの内幕を生々しく描いた『ファウンダー/ハンバーガー帝国の秘密』で演じた世の中金が全ての守銭奴成金が強烈な印象を残してくれたのだが、本作ではあくまでリアルに徹してそんな法律家を演じている。確かに、あの歴史的大事件の裏側で地味ながらこんな悩ましい問題があったのだと問題提起する点ではなかなか意義深いものがあったと思う。遺族の方が淡々と亡くなった人々の思い出を語る姿には、見ていてどれも胸が締め付けられそうになる。「息子は消防士だったの。それがあのビルの上層にいた株屋の命より安いというの?」という遺族の言葉は重い。ただそのように事実の重みは充分伝わってきたのだが、映画として率直に面白かったかと問われれば正直「否」と言わざるを得ない。あまりにも淡々と事実だけがただ羅列されていくので、長い再現VTRを見せられているような感覚になってしまうのだ。事実を面白おかしく捻じ曲げろとまでは言わないが、映画としてもう少し観客の興味を惹き込むための脚色や演出を心掛けてほしい。そうかと思えば最後、余りにもきれいごとに纏めようとしてくるのも何か鼻白むものがある。これでは、「人間の命に優劣をつけることの是非」という本作の重要なテーマが霞んでしまっていると言われても仕方ないだろう。物語の題材自体は大変興味深いものだっただけに残念だ。
[DVD(字幕)] 5点(2024-07-28 13:07:58)(良:1票)
26.  コカイン・ベア 《ネタバレ》 
ある日、へまを犯した麻薬の運び屋がヘリコプターから森に巻き散らしたもの。それは、大量のコカインだった――。たまたま森を歩いていた何も知らないクマがそんなコカインを食べてしまったからさあ大変。普段は大人しいはずのクマが突如として狂暴化!その日、偶然森にやってきていた人々を襲い始めるのだった。学校をさぼり幻の滝を見に行こうとしていた少年少女、大自然が大好きなネイチャーカップル、地方に出張へ向かっていた刑事、森の警備を担当する森林パトロール、そして麻薬の元締めである地元の大物マフィア……。果たして彼らは殺人ラリックマの脅威から無事に逃れることが出来るのか?というお話。それ以上でもそれ以下でもありません。シンプルイズベストにもほどがあるほどシンプルな、まぁ一言で言うとバカ映画なのですが、それでもクマのCGが予想以上に高クオリティでぼちぼち楽しめたかな。よだれを滴らせながら襲い掛かってくるこのクマ、もちろん怖いんですけど、それでも時たまなんか変に可愛く見える瞬間があるのが本作のミソ。大量のヘロインに全身をこすりつけて寝転がる姿なんてなんともキュートで、ここらへん、女性監督ならではかもですね。物語の後半、さらに可愛い2匹の子熊が出てきたのも嬉しいサプライズでした。まさかの母親やったんかーい(笑)。ただ、そんなキャラ立ちしまくったクマ親子に比べ、対する人間キャラがいまいち魅力的でなかったのが残念。唯一印象に残ったのが森の保安官であるおばさんくらいであとはみんな、何処かで何度も見たようなステレオタイプの平凡な人たちだったのが惜しい。ここはもっとぶっ壊れた、一度見たら忘れられないくらい強烈なキャラが一人くらい欲しかった。また、肝心のお話自体もそんなにはじけ切れていない印象。クライマックスとかもっとむちゃくちゃしてくれても良かったような気がしなくもない。と、そこら辺に物足りなさは残るものの、コカインでラリッたクマが大暴れというぶっ飛び設定とそのクマちゃんの意外な可愛さに最後まで楽しんで観ることが出来ました。真夏の熱帯夜にビール片手に観る分にはそこそこ面白い、いいおつまみムービーであったと思います。
[DVD(字幕)] 6点(2024-07-28 11:38:45)
27.  ヒンターラント 《ネタバレ》 
第一次大戦後のヨーロッパ、まだ戦争の傷跡が深々と残るオーストリアを舞台に、猟奇的な連続殺人事件に巻き込まれたとある帰還兵を悪夢のような映像で描いたサスペンス・ミステリー。セットやロケなどは一切使わず、全編ブルーバックで撮影したというのが売りの本作、なんとなく興味を惹かれ今回鑑賞。全編CGで描かれたという映像はまるでヨーロッパの陰鬱な絵画の世界に入り込んだかのような感覚で、この重厚な世界観はなかなかのものだった。戦争の影響が生々しく残っていたこの時代と、おどろおどろしいこのストーリーも見事にマッチしている。ただ、肝心の脚本の方はいまいち。主人公である心に傷を負ったこの帰還兵の過去を巡る物語かと思いきや、何故かこのおじさんがいつの間にか刑事になって街を騒がす連続殺人事件を捜査し始める。元刑事という肩書があったとはいえ、友人の計らいで主任刑事にいきなり復帰とかさすがに無理がある。ここは要所要所で助言を行うアドバイザー的な立ち位置で良かったんじゃなかろうか。また、主人公の妻を巡る友人との三角関係を無駄に差し挟んでくるのもお話のテンポを悪くしている要因。中盤辺り、自分はかなり退屈してしまった。肝心のことの真相もけっこう無理があるうえにいまいち分かりづらい。全編ブルーバックで撮影したという映像も最初こそ「おお」と思わせるものの、それ以降はずっと同じような画ばかりが続くので早々に飽きてしまった。この手法を使うなら、もっとシュールでグロテスクで一度見たら忘れられないような悪夢のような世界で観客を魅了してほしい。なんだか全てに於いて中途半端な作品と言うのが自分の率直な感想だ。
[DVD(字幕)] 4点(2024-07-26 10:45:37)
28.  ザ・ホエール 《ネタバレ》 
彼の名は、チャーリー。過去、ボーイフレンドを亡くしてしまったショックから鬱と過食に苛まれ、いまや体重270キロ、一人で歩くこともままならない極度の肥満症に陥ってしまった中年男性だ。当然、家の外に出ることも出来ず、食事はもっぱらデリバリーで済まし、仕事はオンラインでできる大学のエッセイ講座の講師、毎日訪れてくれる看護師の献身的なサポートに頼り切った生活を送っている。自分に会いに来てくれる人などほとんどいない。ときたま訪れるのは、終末論を説く新興宗教の勧誘ぐらい。そんなどうしようもない孤独な毎日を送る彼だったが、ある日、大きな心不全の発作を起こしてしまうのだった。明らかに死期が近いことを悟った彼は、とある決断をくだす。「昔、ボーイフレンドと付き合うために捨ててしまった家族、自分の一人娘であるエリーともう一度心から向き合いたい」――。16歳になったエリーとなんとか連絡をとったチャーリーは、8年ぶりに会う娘にただただ感情を揺さぶられるばかり。だが、父に捨てられた過去をいまだ許していない娘は、ブクブクと太った醜い父親に嫌悪感をあらわにする……。僕の敬愛してやまない現代を代表する優れた映画監督の一人ダーレン・アロノフスキー、彼の最新作にして主演を務めたブレンダン・フレイザーがアカデミー主演男優賞を受賞したという本作、期待して今回鑑賞。冒頭、270キロにまでなってしまった主人公がネットでゲイポルノを見ながら自慰行為をするシーンから始まる。直後、発作を起こし命の危険を感じながらも落としてしまったスマホを拾うことが出来ず、救急車を呼ぶことすら出来ない。生きることの醜さや人間の愚かさ、目を背けたくなるような現実を容赦なく突きつけてくるこのシーン、監督の冷徹な視線にただただ圧倒されるばかりだった。その後、彼の孤独な生活に介入してくる同じく心に様々な葛藤を抱えた人々と繰り広げられる会話劇は、役者陣の鬼気迫るような熱演も相俟って、非常に見応えのある深いものだった。舞台劇を映画化しただけあって、自分は『ゴドーを待ちながら』を思い出してしまった。あの古典的舞台で登場人物たちが待っていたのはゴドー(≒神)だったが、本作で登場人物がただ待ち続けているものはなんだろう。いや、彼らはもはや何も待っていない。そう、神なき時代を生きる我々にはもはや待つことすら許されないのだ。自分は最後に救われた、自分の人生に意味はあったのだというもはや自己満足に過ぎない救済のみが、自らの縋りつくすべて。最後、まるで陸に上がった鯨のようにその巨体をうねらせながら飛び上がった時、果たして彼の魂に救済は齎されたのだろうか。それは鑑賞者の心に委ねられている。主人公がキリスト教で否定されてきた同性愛者であることも本作の見逃せないテーマの一つだろう。毎日何時間もかかる特殊メイクを受け、自身の半生をも髣髴とさせる熱演でそんな孤独な男を見事に演じたブレンダン・フレイザーも忘れてはならない。この監督は相変わらず、役者の力を極限まで引き出させるのが本当に巧い。神なき時代を生きる現代人の苦悩と救済を美しい映像でもって描いた、アロノフスキー監督のあらたなる傑作と言っていい。
[DVD(字幕)] 9点(2024-07-10 09:31:04)(良:1票)
29.  スクール・フォー・グッド・アンド・イービル 《ネタバレ》 
ここは、昔々のおとぎ話を生みだす様々な人たちを育て上げ、立派な物語を後世に残すことを目的に創られた全寮制学園。その名も、「善と悪の魔法学院」――。そこはお姫様や王子様と言った「善」側の人間を育て上げる善の学院と、魔女や妖術使いと言った「悪」側の人間を育て上げる悪の学院とに分かれていた。田舎の小さな村で暮らす幼馴染の少女ソフィーとアガサは、赤い月が照らす夜、異形の鳥にさらわれ、そんな学院へと連れてこられてしまう。だが、幼い頃からお姫様を夢見るソフィーは何故か悪の学院へ、そして昔から魔女に憧れ不気味なものが大好きなアガサは善の学院へと振り分けられてしまうのだった。キレイなドレスの着こなし方や上品な笑顔の作り方、人を殺す毒薬の作り方や恐ろしいモンスターを召喚する方法など、それぞれ求めてきたものとは正反対の教育を受けさせられるアガサとソフィー。「違う!これはあたしたちの求めていた世界じゃない!」。それぞれの教官にそう訴えるも、学園は何も間違いはないの一点張り。だが、その裏には学園を揺るがす恐ろしい陰謀が隠されていたのだった……。おとぎ話の登場人物を養成するという謎の学校を舞台に、そんな2人の少女の波乱万丈の冒険を描いたファンタジー。と、かなりぶっ飛んだ設定のそんな本作、これがなんともはや、もう女子受け要素しか入ってない乙女純度100%のガールズ・ムービーでした。善側のキラキラ輝くようなカラフルでゴージャスなプリンセス衣装も悪側の怪しい魅力に満ち満ちたゴシックロリータな衣装も、どちらもまさに少女たちが夢見る理想世界。自分はいい歳したおっさんですが、心のどこかに乙女な部分が2割くらいあるので、そんな世界観をここまで映像化してくれただけでただただ眼福。特に主人公の一人、プリンセスを夢見る少女ソフィ―が悪側に目覚めゴスロリファッションに身を包んで現れるシーンは、息を吞むほどの美しさ。何もかもを見下すような切れ長の瞳も今にも折れてしまいそうな華奢な体つきも、もう色んな意味でヤバかった(笑)。それにファンタジー映画としてもけっこう頑張ってましたよ、これ。次々登場する異形のモンスターの映像がどれもセンスを感じさせるものばかりで、特に龍のタトゥーを本物のドラゴンに変えてしまう少女や全身に蜂をまとったラスボスの映像なんか普通にクオリティが凄い。お花畑のキレイな花が突然牙を剥き出して襲ってくるところなんて夢に出そうなほどグロメルヘンで、若干病み気味な女の子にはけっこう刺さるんじゃないですかね?とは言え、肝心のお話の方はしっちゃかめっちゃか過ぎて意味不明でしたけど。最初からよく分からんまま始まって中盤からもはやカオス、クライマックスなんて完全に破綻しまくってました。いやー、まさに内容なんてなし、映像と世界観を楽しむだけの映画でしたね、これ。とは言え、ここまでの世界観を構築してくれたらもはや自分は称賛しかありません!超個人的採点で、7点!
[インターネット(字幕)] 7点(2024-07-04 09:41:59)
30.  ノーウェア 漂流 《ネタバレ》 
そう遠くない近未来。逼迫する食糧事情に業を煮やした政府が発動した政策。それは貧しい者や女性や子供といった社会的弱者の権利を大幅に制限しようというものだった――。自由を求め、他の国へと亡命しようとしたとある夫婦は、違法業者に多額の現金を払い、なんとか港まで辿り着く。だが、いいかげんな業者により引き離されてしまった夫婦は別々のコンテナに乗せられてしまうのだった。しかも妊娠中の妻ミアを乗せたコンテナは、軍の強襲に遭い、彼女以外の密航者が皆殺しにされてしまう。荷物に紛れてたった一人、難を逃れたミアをさらなる悲劇が襲う。なんと激しい嵐に遭遇した船から、彼女の隠れていたコンテナが広大な大海原に投げ出されてしまったのだ。狭いコンテナに役に立つような荷物は何もなく、食料すらほとんどない。銃によって空いた穴からは徐々に海水が入り込んでくる。しかもミアは、そんな絶望的な状況で急に産気ついてしまい……。果たして彼女は無事に陸上へと戻ることが出来るのか?昔からホントよくあるタイプのいわゆるソリッドシチュエーションスリラーというやつで、今回主人公が閉じ込められるのはなんと海に投げ出されたコンテナの中。謎の立方体だったり、地中の棺桶だったり、きっちゃないバスルームだったり、営業終了後のスキーリフトだったり……、よくもまぁこんなに人を色んな場所に閉じ込めてきたもんだ(笑)。さて本作、さすがに突っ込みどころ満載だけど、そこら辺に目をつむればそこそこ観ていられる感じにはなってたんじゃないでしょうか。荷物を開けてみてもそこにはタッパーやテレビなどこの状況に役に立つものは一つもなかったりだとか、海水がじわじわと水嵩を増してくるとことか、この小さなコンテナの中に一人だけという絶望感はなかなかよく表現できてたしね。あと、主人公が妊婦で途中で出産してしまうというのも捻りが効いてて大変グッド。まぁ後半、親子愛でひたすら泣かそうとしてくるのがあからさま過ぎて、自分は若干苦笑い気味で観てましたけど。あとこれ、近未来設定いったのかな。普通に不法入国しようとした難民設定でも充分成立したし、その方がリアリティもあって社会的テーマも明確になったしそっちの方が良かったと思う。とは言え、ほぼ独り芝居となるミア役の役者さんはけっこう頑張ってたし、ワンシチュエーションながらあの手この手で物語を上手く盛り上げてたし、ボチボチ面白かったんじゃないでしょうか。まぁ最大の突っ込みどころである、「さすがにこれだけ穴の開いた鋼鉄のコンテナはすぐ沈むやろ!!」という部分を許容できればですけど(笑)。
[インターネット(字幕)] 6点(2024-06-27 09:04:16)
31.  屋根裏のアーネスト 《ネタバレ》 
夢見がちで色んな事業に手を出しては失敗ばかりする父親に振り回され、ずっとギクシャクしてきたプレスリー家。心機一転とばかりに彼らは郊外の古い館を格安で手に入れ、さっそく引っ越してくる。かなりリフォームが必要なものの、市場価格よりもだいぶ安く手に入れたその物件。それもそのはず、館の屋根裏には誰も知らない秘密が隠されていたのだった――。そこにはずっと、何年前に死んだかも分からない中年男の霊が住み着いていたのだ。彼を最初に見つけた次男ケヴィンは、必死になって怖がらそうとしてくる彼に何故か恐怖よりも親近感を抱く。言葉を発することが出来ない霊は、「アーネスト」という名札のついた服を着ており、ケヴィンは彼のことをアーネストと呼んで暇さえあれば屋根裏部屋へとやってくるのだった。ところがそれを知った父親が、「こいつは金になる」とばかりに動画に撮ってネットにアップ。すると案の定、動画は大バズリ。瞬く間に拡散されてテレビの取材も殺到、家の周りはミーハーファンが取り囲み、著名な心霊研究家までやってくる。まさに時の人となった家族。だが、次男ケヴィンはそれよりもアーネストの過去や何故死んだのかが気になって仕方がない。隣に住むアジア系の少女ジョイとともにアーネストの過去を探り始めた彼は、やがて驚きの真実を知ることに……。監督は、『ゾンビ―ワールドへようこそ』や『ハッピー・デス・デイ』など、肩の凝らないエンタメ映画を幾つも撮ってきたクリストファー・ランドン。とにかく、この監督らしい小気味いいストーリー展開が最高に楽しかった!!なにより登場人物誰もがみな魅力的なのが良いですね~。特にこのアーネストという幽霊が、普通にどこにでも居そうなバーコードハゲの冴えないおっさんなのが大変グッド。このおっさん、壁をすり抜けたり顔をドロドロに溶かしたりは出来るけど、基本は「うーうー」言って変な踊りを踊ってるだけですもん。全然怖くないし、なんならこのくたびれ具合が哀愁漂いまくりですごく良い味だしてました。それに隣に住む日系人少女ジョイのはおてんば娘感がなんともキュート。彼女と童貞主人公ケヴィンが良い感じになりそうになったら、余計な気遣いを見せてくれるアーネストの空気読めなさ感に自分は思わずニヤニヤ。ランドン監督、童貞主人公のモサい青春を撮らせたらやぱ巧いですね~~。終盤、政府の役人たちと繰り広げるカーチェイスも躍動感があって素直にハラハラドキドキ。そして明かされるアーネストの過去……。まぁベタっちゃベタですけど、これくらいが安定感抜群で自分は気持ちよく観終えることが出来ました。うん、7点!
[インターネット(字幕)] 7点(2024-06-27 08:14:04)
32.  レジェンド・オブ・フォール/果てしなき想い 《ネタバレ》 
雄大な大自然に囲まれたモンタナを舞台に、同じ女性を愛してしまったラドロー家の3兄弟の愛憎渦巻く確執をドラマティックに描いた大河ドラマ。若き日のブラッド・ピットとアンソニー・ホプキンスが主演を務め、監督がけっこう好きなエドワード・ズウィックだったので昔から気にはなってたんだけど何となく未見のまま放置していた本作、たまたまネットの観放題にあったので今回鑑賞。いやー、もんのすごくメロドラマでしたね、これ。しかもけっこう低レベル(苦笑)。とにかく登場人物が全員そろいもそろって魅力なし!世の中にはもっとえー男や女がいっぱいおんのになんでそんな近場の相手ばっか選ぶねん!!ってくらい面倒臭い恋愛を繰り返すこいつらには全くもって感情移入できませんでした。末っ子は婚約した彼女と結婚もエッチもしないまま何故か他の国の戦争に志願して出発しちゃうし、そんな弟の彼女を寝取っちゃった次男はもう抱いたら面倒臭くなったのか「俺は自由が好きなんだ」とばかりに世界に旅立っちゃうし、金も名声も手に入れた長男は何故かそんな尻軽女にひたすら執着してて気持ち悪いし、ヒロインである彼女もそんな3兄弟に言い寄られたらその時その場の空気に流されてエッチしちゃうし、父親は単なる頑固者の偏屈ジジイだったし、母親はひたすら空気だったし……。まぁ欲求不満気味のマダムにとっては、「とにかく色んな男前に言い寄られて、最初の童貞彼氏とは手を繋ぐこともドキドキなプラトニックな恋愛を楽しみたいし、次のブラッド・ピットみたいなワイルドで危険な男とはさんざん情熱的なエッチをしまくって、でも最終的には安定した生活を保障してくれる無難な男と結婚したいわぁ」という願望を叶えてくれるからこれでいいんでしょうけど。女性向けメロドラマを撮ろうという目的で作ってるんだから、ズウィック監督の狙いは成功してるのかな。とにかく自分の求めているものとは違った内容でございました。映像はキレイだったし、ブラッド・ピットやアンソニー・ホプキンスの脂の乗り切った演技は見応えあったしで、5点!
[インターネット(字幕)] 5点(2024-06-23 12:36:58)《更新》
33.  ニモーナ 《ネタバレ》 
中世の騎士や最新鋭のテクノロジーが同居する近未来都市を舞台に、女王殺しの汚名を着せられたとある騎士となんにでも姿を変えられる謎の少女ニモーナの闘いを独創的な映像で描いたアニメーション。とにかく唯一無二のこのマジカルでポップな世界観が大変グッド!恐らくCGで描かれた、流れるように動く流麗な映像がすこぶる良かった。特にリスやゴリラ、犬やクジラにまで自由自在に姿を変えられる少女ニモーナが画面狭しと大暴れするシーンは単純に楽しい。『スパイダーマン/スパイダーバース』と画的にけっこう被っちゃてるのが玉に瑕でしたけど、魅力的なキャラクターと躍動的な映像美で最後までぐいぐい引っ張った所はなかなか見応えありました。ただ肝心のお話の方が弱い。主人公であるこのニモーナという少女がいったいどういう存在なのかいまいち分かりにくいんですよね。なんか人類と敵対する古代の怪物みたいな感じなのかと思いきや最後は人々の為に戦っちゃてるし。ラストもけっこうグダグダで自分はいまいちカタルシスを得られませんでした。総じて、映像面は文句なしだけど、お話の方があと一歩って感じですかね。あと……、これは完全なる個人的意見なんですけど、主人公である騎士バリスターのゲイ設定って果たして必要だったんでしょうか。物語的に活かされているわけでもないし、ゲイであることがストーリーの主要テーマとなっているわけでもない。主人公がゲイであってもいいじゃないか!という主張はもちろん分かるんですけど、この映画に関しては自分はなんだか取ってつけたような安易なものを感じてしまいました。「自分たちはこんなにも社会の多様性に理解のある、進歩的な映画人なんだよ」という主張があからさま&あざと過ぎて、なんかイヤ。昨今のポリコレ至上主義に安易に媚びてる感じが自分は物凄くハナにつくんですよね~~。よって、-1点!
[インターネット(字幕)] 5点(2024-06-21 12:43:08)
34.  ナイトブック 《ネタバレ》 
ホラー映画や不気味なキャラクターが大好きな10歳の少年アレックス。好きが高じて自分でも怖い話や絵をノートにたくさん描いて友達に読み聞かせるほど。ある日、アレックスは恐ろしい魔女にさらわれ、彼女が支配する不気味な館へと連れてこられてしまう。そこはたくさんの不気味なものや古今東西から集められた大量の本が溢れかえっていた。そして、館には先にこの魔女にさらわれた少女ヤズミンがいて、彼に恐ろしい事実を教えてくるのだった。「もうこの館から出ることは出来ない。死にたくなければ何か魔女の役に立つことをしなくちゃいけないの」――。魔女は夜な夜な怖い話を聴くことが大好きらしい。幸い家から唯一持ってきたナイトブックには、アレックスがこれまでに書き溜めてきた怖い話がたくさんある。アレックスは一話ずつこれまで自分が書いてきた怖い話を魔女に読み聞かせることに。ところが、魔女はハッピーエンドが大嫌い。仕方なくアレックスは全てのお話を悲惨な終わり方ばかりにして夜な夜な語って聴かせるのだが……。ある日突然、恐ろしい魔女に囚われてしまった少年少女の運命を独創的な映像で描いたダーク・ファンタジー。とにかくこの細部まで緻密に造り込まれた美術は見事というしかありません。台所や書庫、リビングに置かれた小さな置物がどれも拘りを感じさせる美しい代物ばかりで観ているだけで楽しい。特に怪しい植物がたくさん育てられた魔女の菜園は、ブラックライトを効果的に使った唯一無二の造形美。そこに現れる害虫シュレッダーもどくろの顔をしたかなり不気味で生き物で、こいつがそこらじゅうをうじゃうじゃ蠢きながら襲い掛かってくるシーンはなんとも気持ち悪くて大変グッド。ただ……、肝心のお話の方があまりにもお粗末。こーゆー異世界を描くファンタジーにもっとも重要な要素って、幻想世界と現実との距離感をいかに観客に分かりやすく理解させるかということだと自分は思うのです。まったくの別世界なのか、現実から迷い込んでしまったのか、それとも昔々のお話なのか。本作、その前提が物凄く曖昧過ぎて、この世界に上手く入り込むことが出来ませんでした。主人公の少年がどういう家庭環境で学校ではどんな生活を送っていたのか何の説明もなされないまま、気づいたら魔女にさらわれてましたってさすがに雑すぎる!なんだかテキトーに思いついたそれっぽい設定を、これまたテキトーに脚本化してみましたって印象。とにかく全てに於いてツメが甘いんです。主人公が魔女に語って聞かせるバッドエンド物語もどれもこれもテキトーに考えたようなものばかりで、単純につまらない。なんだか全てに於いてテキトー過ぎって感じ。美術だけはすこぶる良かったんですけどね~~。
[インターネット(字幕)] 4点(2024-06-20 12:10:56)
35.  FALL/フォール 《ネタバレ》 
人気ユーチューバーである女性2人が再生数を稼ぐために、今にも壊れそうな地上600mの古い鉄塔に登って行ったら、あら大変、頂上でおどけて動画を撮っていた時に地上に帰るための梯子が落ちちゃった!見渡す限り何もない地上600m、電波も届かないし、水も落としちゃったし、ハゲワシもそこら辺に飛んでるし、あたしたち、これからどーなっちゃうの?!というお話。それ以上でもそれ以下でもありません。シンプルイズベストにも程があるほどシンプルな内容なのに、いやー、これがめちゃくちゃ面白かった!!正直、観る前は「どうせオープンウォーターや海底47mを地上にしただけなんでしょ」と舐めて掛かってたんだけど、そんな自分の先入観をいい意味で裏切ってくれましたわ。何がいいかってまず、この主人公2人が思いっ切りおバカで自業自得なせいで一切同情する必要がないところ。死んだ恋人を弔うというよく分からん理由もあったけど、基本はただ目立ちたいってだけでこの危険な鉄塔に登ってますもん。だから2人がとにかく危険なことをやらかしても「ひえぇぇ!もうええて!お前ら、アホや!落ちても知らんで!」ととにかくスリル満点な映像を楽しむことが出来るんです。んで、この危険極まりない超高所という設定の見せ方も抜群に巧い!梯子を登るたびにボルトが外れたり風がびゅうびゅう吹きまくってたり頂上が2人ようやく乗れるだけのちっさな足場しかなかったりと、もー高所恐怖症の自分としては何度かおしっこちびりそうになっちゃいました。こんな、良い意味で早く終わってくれと思えた映画は久しぶりですわ。まぁ完全なる出オチ映画なのできっと中盤から先行作品と同じく中弛みするんだろうなと思ってたんですけど、意外や意外、脚本もけっこう良く出来てましたよ、これ。アンテナに引っかかったリュックを取りに行くときのハラハラ感や、偶然通りかかった男どもが超クソ野郎だと分かった時の絶望感だとか、けっこう見応えあったしね。特に自分、後半のあの相棒の真相が分かった瞬間は思わずゾクッとしちゃいました。いや、、、普通に怖いって、あれ。んでラストは普通に感動している自分が居ました。自業自得のバカ2人だったけど、最後はなんか生きることの大切さ、友情の素晴らしさを教えてくれたような気がします(マジで!笑)。ここまでハラハラドキドキした映画は久しぶりでした。うん、8点!
[インターネット(字幕)] 8点(2024-06-08 10:36:07)
36.  オリオンと暗闇 《ネタバレ》 
何処にでもいるような10歳の大人しい少年、オリオン。地味で目立たず、内気な性格の彼はクラスでも少し浮いた存在だ。そんなオリオンの性格を一言で表すと、「とっても怖がり」。彼の見えている世界には、恐ろしいことがいっぱい。ハチに刺されたらどうしよう、犬に嚙まれたら痛いし、携帯電話はガンになるし、道端の排水溝には殺人ピエロが潜んでるし、トイレで水が詰まったら大洪水になってみんな死んでしまう。そんな怖いものだらけのオリオンがもっとも恐れているのが、〝暗闇〟。日が暮れてベッドに潜り込むと毎晩、何が隠れているか分からない真っ暗な世界がオリオンを取り囲むのだ。それでもベッドの中で恐怖に耐えながら眠りに就いたオリオンにある夜、彼がやってくるのだった。何千年ものあいだ、人々に忌み嫌われてきた〝暗闇〟が――。不安神経症に悩む少年がある夜出会った暗闇、彼とともに体験する不思議な一夜をファンタジックに描いたCGアニメーション。脚本はかつて、『エターナル・サンシャイン』などで天才の名をほしいままにした脚本家チャーリー・カウフマン。絵本を基にしたということもあって、ビジュアルやお話は物凄くベタベタな子供向けアニメなのに、そこはやはりカウフマン、一筋縄ではいかない内容に仕上がっておりました。とにかくテーマがすこぶる哲学的!人間が闇を恐れる理由、それは死が無であるということを否応なく見せつけてくるから。でもそれは思い込みだと教えるために擬人化された暗闇と、彼の仲間である「眠れず」「静寂」「睡眠」「不思議な雑音」「いい夢」とともに冒険の旅に出る。その過程でなぜ人が暗闇を恐れるのか、それはそこに何もないという事実が根源的な恐怖を与えてくるからということを掘り下げてゆく。なんとも実存主義的で多くの哲学者がずっと考えても答えがでないテーマをここまで分かりやすく子供向けに描いたところは特筆に値します。さすが!また、暗闇の仲間たちがどれも良い感じでキャラ立ちしているのもナイス!特にハンマーで殴ったり枕で窒息させたりして人々を眠りに落ちさせる睡眠と、可愛い見た目なのになにかと怒りっぽい静寂が僕のお気に入り。お話の方も、途中から大人になったオリオンが娘に話してきかせていたというメタフィクション構造が明らかになるのだけど、途中からその娘が子供オリオンの世界に入ってきたり、彼女を救うために今度はお爺ちゃんオリオンの世界から孫がタイムマシンでやってきたりとかなり複雑怪奇。それなのにここまで分かりやすく、かつシュールで笑える世界観で表わしちゃうなんて凄いと思う。最後、暗闇を救うために主人公が自らの記憶の中に飛び込むシーンは、観念的世界を独創的な映像で描いた唯一無二のもの。名作『エターナル・サンシャイン』をも髣髴させるその映像に自分はハート鷲掴みでした。いかに恐怖を克服して生きることが大切かを問うた秀作だと自分は思う。
[インターネット(字幕)] 7点(2024-06-07 12:01:21)
37.  マエストロ:その音楽と愛と 《ネタバレ》 
『ウェストサイド・ストーリー』の音楽などで有名な、世界的作曲家で指揮者でもあるレナード・バーンスタイン。彼の波乱に満ちた生涯を実話を基に描いた伝記映画。監督と主演を務めるのは、俳優として長年第一線で活躍してきたブラッドリー・クーパー。観終わってすぐの率直な感想を述べさせてもらうと、「ザ・普通」。決してつまらなくはないんだけど、さして面白くもないという。バイセクシャルでもあった彼と、長年彼の浮気に悩まされてきた妻との愛憎渦巻く関係を軸に描かれるんだけど、これがすんごく浅い。なんだかどちらの思いにも表面的なアプローチしかされてないので、自分は全く感情移入できませんでした。よく分からない理由で喧嘩していつの間にか仲直りしてまた喧嘩して、最後はガンになった妻に愛情を取り戻して大団円……。子供たちもこの親に怒ってんだか許してんだかもよく分からないし。うーん、これ、なんか内容薄すぎじゃないですか?もっとドラマティックに描くことも出来ただろうに。まぁ、前半2人がラブラブだった時代を白黒のノスタルジックな映像で描いて、後半夫婦の関係がギクシャクしてゆく過程はカラーで生々しく描くというのは対比が効いていて良かったのと画面が次々と切り替わってゆくミュージカルタッチの前半部は普通に見応えあったので、5点。
[インターネット(字幕)] 5点(2024-06-07 11:40:52)
38.  バーバリアン 《ネタバレ》 
ある夜、仕事の面接を受けるため、デトロイトへとやって来たテス。少しでも予算を浮かそうと彼女は、ネットで見つけた民泊に予約を入れていた。だが、教えてもらった郊外の一軒家へとやって来たテスはすぐ異変に気づく。業者の手違いからそこにはキースと名乗る青年がすでに滞在していたのだ。担当者に連絡するもすでに夜も遅く、話すことも出来ない。近くのホテルも予約でいっぱい。途方に暮れたテスは、仕方なくその青年とともにこの家で夜を明かすことに――。当初は警戒していた彼女だったが、キースの誠実な人柄にいつしか心を許し、ともに酒を飲みながら身の上話を打ち明けるまでになっていた。とんだハプニングだったけど、良い人に出会えて良かったと寝室へと向かうテス。だが、彼女はまだ知らない。この家の地下室には恐るべき秘密が隠されていることを……。ある民泊を利用した女性が体験する恐ろしい事態を終始ノンストップで描いたサスペンスホラー。序盤はすんごく良かったと思うんですよ、これ。業者の手違いからとある一軒家に見ず知らずの男と泊まることになってしまった主人公。見た目も誠実そうで話し方も丁寧、一見すごく好青年の彼に警戒しながらも心を許してゆく。ところが、自分の考え過ぎなのか、彼の言動にところどころ怪しい部分が……。なんて不安になる描写があまりにも丁寧で、見ているこっちもぞわぞわさせてくれます。2人でシーツを直してるシーンなんて、この青年がいつ豹変するのかとハラハラドキドキ!そして登場する怪しい地下室。薄暗い部屋の中にはビデオカメラと薄汚いベッド、恐らくトイレに使っていたのだろうバケツ、壁には生々しい血痕が。ここまではベタながら演出がキレキレで素直に楽しんで観ることが出来ました。ただ……、真相が徐々に明らかになる後半があまりにもお粗末。突っ込みどころが満載過ぎて、自分はもはや苦笑しながら観てました。途中からこの民泊のオーナーであるテレビプロデューサーの物語になるんですが、これがちっとも面白くない。中途半端にMeToo運動を取り入れてるわりには、それが物語として活かされているわけでもなく、このオーナーのクズっぷりがただただ不愉快なだけ。せっかくここまでサスペンスを盛り上げてきたのに、なんでこんな自ら台無しにしちゃうような展開にしたんでしょう。地下室に登場する肝心のあいつとか、ホラー映画だとしてもあまりに荒唐無稽でなんか普通に冷めちゃいました。ようやくやって来た警察官2人も有り得ないくらい役立たずで自分はずっとイライラ。こんな職務怠慢にも程があるテキトーな警官なんて居ないっちゅーの!挙句、塔から落ちた主人公を追いかけて後から身を投げたモンスターが何故か自分の身を挺して助けるという、物理法則を無視しまくったラスト。どんなけテキトーに映画作っとんねん!前半はすこぶる良かったんですけどね~。
[インターネット(字幕)] 5点(2024-06-05 09:18:54)
39.  TAR/ター 《ネタバレ》 
ヒステリックで高慢ちきな女指揮者が自業自得な案件でひたすら転落してゆくお話。大して面白くも深くもない話を無駄にダラダラ長く描いていて、もー序盤から退屈で退屈で仕方なかったです。アカデミー作品賞にノミネートされてましたが、自分には何が良いのかさっっっぱり分かりませんでした。ただ、いかにも更年期真っ只中って感じのケイト・ブランシェットの演技はすごく嵌まっていて、そこだけはさすが女優!と思いました。
[DVD(字幕)] 4点(2024-05-31 11:01:51)
40.  ナイアド その決意は海を越える 《ネタバレ》 
彼女の名は、ダイアナ・ナイアド。60歳を迎えたばかりのごく普通の初老の女性だ。これまで独身を通し、子供もおらず、唯一の家族は一匹の犬。それでもたくさんの友人たちに囲まれ、それなりに充実した毎日を過ごしていた。特に知り合って何十年にもなるボニーはお互いのことならなんでも知ってる親友同士。そんな彼女は最近、自分の人生に疑問を感じるようになる。「私、このまま普通のおばさんとして平凡に死んでいくのかな」――。そんな時にダイアナが思い出したのが、過去、自分が挑戦したものの失敗に終わってしまったある競技だった。キューバの海岸から一度も陸に上がらず対岸のフロリダまで泳いで渡るというマラソンスイム。そう、彼女は若かりし日、そんな無謀な挑戦を世界各国で行い成功させてきた有名なアスリートだったのだ。だが、60歳を迎えた今、そんな強い海流が行き交いサメや毒クラゲがうじゃうじゃいる海を2日以上かけて泳いで渡るというのは自殺行為に近いものだった。それでも後悔したくない。若き日の自分との約束を果たすため、彼女は大の親友であるボニーとともにそんな無謀な競技に挑むのだったが……。何の予備知識もないまま、ただ名女優アネット・ベニングとジョディ・フォスターが豪華共演ということで今回鑑賞。マラソンスイムなる競技を今回初めて知りましたが、世界にはこんな過酷なスポーツがあるんですね~。何日間も海の波に揺られ続け、食事も排泄も海に浮いたまま、ただひたすら対岸を目指して泳ぎ続けるというもはや常人には理解しがたい競技。いったい何のためにそんなことを?という疑問は言っちゃダメなんですよね(笑)。正直、序盤はそんな思いが強くて主人公に感情移入も出来ず、少し引いた目で観てしまいました。でも、最初の挑戦が失敗し、二度目、三度目と4年もかけてそれでも海へ出ようとする主人公。この狂気とも言える執念、ここまでいくともはや一周廻って応援している自分がいました。アネット・ベニングの鬼気迫るような熱演がそんな彼女の姿に説得力を与えている。クライマックスなんて、この人、ホントに何十時間も泳いできたんじゃないのと思えるような痛々しさでさすが名女優!時に辛辣な言葉をかけながらも彼女を献身的に支える親友ボニーを好演したジョディ・フォスターも素晴らしかったです。この二人のシスターフッド的友情もあくまでさりげなく描いていて好印象。最後、ようやくフロリダの海岸に辿り着いた主人公が周りの大観衆に見守られながらちょっとずつ歩いてゆくシーンはこちらも手に汗握って見守っちゃったよ。「手を触れないで!失格になるから」と周りの観衆に必死に訴えながら長年の親友を待ち受けるジョディ・フォスターがもう泣かせる。いやー、期待せずに観たらこれがなかなかの掘り出し物でした。8点!
[インターネット(字幕)] 8点(2024-05-25 07:15:27)
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