381. 戒厳令(1972)
コスタ=ガヴラス作品らしい、重量感ある映像とカメラワーク、そして作品に賭けた沸々とした意志の力を堪能できる内容。ただし、同じところを強調したいがための未整理な部分もあり、そのためにラストが持つ意味も弱まってしまった感がある。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2009-12-06 13:32:35) |
382. 新幹線大爆破
当時にこのアイディアを思いついて、実際にそれを撮影して完成しちゃったというだけで表彰ものです。スリルの維持にひたすら気を遣っているので、今見てもその迫力は色あせていません。登場人物がことごとくステレオタイプで、さほどの個性が感じられないのが難点なのですが、それを凌駕する映画としてのパワーがあります。また、山本圭扮する古賀が実に格好良く、彼の醸し出す「陰」の雰囲気が作品に厚みを与えています。 [DVD(邦画)] 7点(2009-11-09 01:41:05) |
383. 君よ憤怒の河を渉れ
《ネタバレ》 西村寿行原作ということで期待したのですが、これはいただけません。全体の進行は、逃げる→追いつかれる→何だかんだでまた逃げる→追いつかれるの繰り返しで、そのうち、「あ、また何とかして逃げるんだね」と思ってしまいます。また、西村原作の主人公は、言語に絶する壮絶な体験、それを乗り越える超強靱な意志というのが必須の要素なのですが、高倉健にそれをやらせると、どんな場面もごく淡々と乗り切ってしまうので、シチュエーションの苛酷性が浮かび上がってきません。ラストはほとんどその辺の刑事ドラマですね。原田芳雄のやりすぎな時代錯誤いでたちに5点。 [DVD(邦画)] 5点(2009-10-10 02:37:36) |
384. 激突!<TVM>
《ネタバレ》 カメラワークの教科書のような作品だと思います。ただ2台の車が走っているだけなのに、アップ/ミドル/ロングを使い分け、また車の中から/前から/横から/ミラー越しなど自然に視点を移動させることだけで、大きな緊張感を作り出しています。最後の転落後の、少しずつ各部品の動きが止まっていくところを嘗めるように撮っていくカットも印象的ですね。背景の説明ほとんどなしなのも、潔くて良い。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2009-10-06 02:02:41)(良:1票) |
385. アメリカン・グラフィティ
前半は話が未整理でごちゃごちゃしていたのですが、後半は美しく収束していました。見ているときは、眼鏡の子のアホな言動にいらいらしたり、登場人物ほぼ全員のなーんにも考えてない行動様式に呆れたりしていたのですが、終わってみるとなぜか爽快な印象が残っています。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2009-09-23 01:30:24) |
386. 黄金の犬
《ネタバレ》 前半は、少々詰めが甘いながらも古き良きサスペンスとして順調に進んでいたのですが・・・菅原文太と三田佳子の各登場シーンが、どうみても客寄せのために余計な時間をとっていて、ここで一気にトーンダウン。そして終盤はダラダラつないでいるだけで緊張感なし。これにはがっかりでした。ところで、西村寿行の作品は、スケールからいってもインパクトからいっても映像化に適した作品が多いと思いますが、そんなに映画化はされてないですね。今からでも遅くないと思うのですが。 [DVD(邦画)] 6点(2009-09-22 03:17:18) |
387. ノーマ・レイ
《ネタバレ》 労働運動の尊さ、団結することの価値を高らかに讃美してみせたという志の高さだけで、低い点はつけられない。ストライキの発生原理についてまで話に即してさりげなく見せてくれるのだから、さらに好印象です。ノーマが「UNION」の札(それもただの手書き)を掲げて立ち上がり、延々と続く機械音の中、1人ずつ労働者が機械を止めていくシーンは、映画史上屈指の名場面だと思います。ただし、終盤までは少数の協力者で頑張っていたのに、最後はいきなりみんなで大喜びしていたのは、若干違和感がありました。 [DVD(字幕)] 7点(2009-09-13 00:03:14) |
388. ブラック・サンデー
もっといろいろひねりがあるのかと思っていたのですが、単調で長く感じてしまいました。今だったら110分くらいでまとまるのではないかと思います。テロリストのお姉さんは色気抜きで任務に徹するのですが、そこにかえって色気があります。 [DVD(字幕)] 5点(2009-08-30 00:43:22) |
389. バリー・リンドン
しつこいナレーション、説明台詞、起伏も必然性もない展開、役作りのされてない演技と、負のポイントばかりが目につくのですが、ラストまで見るうちに強引に納得させられました。というか、キューブリックに体力負けしました。ダラダラしているところが後から思い出すと何となくいい感じで印象に残っているという、困った作品。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2009-07-20 23:32:49) |
390. 帰らざる日々
《ネタバレ》 終盤の入口くらいまで、描写に工夫のないありがち青春ものと思いながら見ていたのです。ところが、すべてを裏返す最後の現代パートが秀逸で、主人公がそもそも帰省することになった裏事情のオチを含め、一気に全体をもう戻らないセピア色の過去に封じ込めています。特に、根岸季衣の「何でこんなところ走るのよお」の一言とともに、あのときの道を走り続ける主人公にクレジットがかぶさってくるエンディングが実に格好良い。こんな締め方は反則です。 [DVD(邦画)] 7点(2009-07-20 23:11:07) |
391. 愛と喝采の日々
マクレーンとバンクロフトという二大女優の激突が堪能できるかと思いきや、意外なほどドラマ部分は見せ場がありません。バレエを引退して家庭に入った側と、バレエを続けてトップスターになった側の対比という設定だけで止まってしまって、その先のキャラクターや人物背景の掘り下げがないからです。時折目を引くシーンはすべてバレエのシーンであり、バレエそのものに作品が寄りかかってしまったのも痛い。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-07-06 00:26:43) |
392. 都会のアリス
この監督の他の作品もあまり合わなかったので、そもそも見るのが間違っていたのかもしれないが、それにしても起伏がなさすぎて辛かった。いくつかはおっと思うようなシーンもあったりするのですが、あちこちで雰囲気だけで流れている部分が目について、のめり込めないのです。 [DVD(字幕)] 5点(2009-06-01 04:35:58) |
393. ニューヨーク・ニューヨーク
《ネタバレ》 最初のナンパシーンだけで、エキストラの異常に贅沢な使い方と2人のこってり会話ぶりにお腹いっぱい状態。その後も、2人のやりとりが大半を占めているのに、やたらと濃い世界が長時間にわたって維持されています。豪華セットや大盤振る舞いの音楽が全部2人の関係描写の背景として奉仕しているという、稀有な世界です。ただ、妊娠云々の場面以降は、急に歌唱シーンに頼りまくって別の映画のようになってしまったのがちょっと残念でした。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2009-05-08 01:46:58) |
394. チャンス(1979)
《ネタバレ》 ほんとはこれって、もっとコメディ色の濃い作品になるはずだったんじゃないだろうか?いくつか、明らかにここは笑わせるポイントだろうと思しき箇所があるのですが、全体のトーンがとても静かで一様に淡々と進んでいくため、妙な教訓臭が漂ってしまっているのです。我々もこのチャンスのあり方に学ばなければならない、みたいな感じで。それだと、作中でチャンスの一言をありがたがっていた人たちと同じになってしまいます。あと、家を出た後に庭師としての主人公を感じられる部分が(言葉以外で)ほとんどないのが残念。それまでの人生の重みにリアリティを欠く結果となっています。 [DVD(字幕)] 6点(2009-05-05 02:41:45)(良:1票) |
395. 告白的女優論
《ネタバレ》 タイトルと設定からして作品の実験性がありありなのですが、筋は何とかつかめたものの、それによって何が表現したいのかは分かりませんでした。登場人物に人格性が感じられなかったので、俳優陣も、極端に言えば、与えられた脚本通りに台詞を読んでおしまいという感じ。ただし、最後のインタビューからラストショットに至る流れは、構図的にも内容的にもなかなか新鮮だったので、点数はそこに対して。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2009-04-28 02:01:58) |
396. エイリアン
《ネタバレ》 音楽はほとんどなし、効果音も必要最小限。じっと息をひそめて自らも船内に潜んでいるかのような描写。このような手法が、奇妙な地に足の着いた生々しさを醸し出しています。また、最も印象的だったのは、最後、生き残ったリプリーが孤独のままに飛び続けるところ。生還してみんなで大喜びとか、通信が復活して希望が甦るとか、そういう陳腐な盛り上がりのない気怠さと疲労感に満ちた締め方が、何ともいえない余韻を残しています(2への絶妙なつなぎにもなったわけですが)。 [DVD(字幕)] 6点(2009-04-11 02:42:09) |
397. 小さな恋のメロディ
《ネタバレ》 昔見たときには、何か盛り上がりなくあっさり終わってしまったなあという感想を持っていたものです。しかし、今見ると、少年少女の日常生活を地道に描写しているのが、作品に地に足の着いた雰囲気を与えていますね。むしろ、主人公2人の直接的な会話は必要最小限であり、オシャレなフレーズも気の利いたやりとりもないのが良い。また、だからこそ、決めの「僕たち結婚します」という一言の原始性・初期衝動性が、この上なくストレートなインパクトを発しています。ただ、最後はドタバタになってしまったというのは前から思っていましたが、再見してもやはりそうでした。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2009-03-22 03:21:58) |
398. ダーティハリー
《ネタバレ》 よくまとまった刑事物なのだが、犯人を明確に発見していながら出口も封鎖せずにあっさり取り逃がしたりとか、身代金の要求に即座に屈したりなど、捜査機関そのものがまったくオマヌケであるのがどうにも気になった(なので、せっかくの悪役が光っていません)。ただし、今に至るまで語り継がれる主人公のキャラクターに関する創造力については、称賛されるべき。 [DVD(字幕)] 6点(2009-03-09 02:11:32) |
399. フレンチ・コネクション
カーアクションもなかなかだったが、それよりも駅での乗ったり降りたりとか、車を解体して麻薬を調べるとかいうような単純な設定を引っ張っての緊迫感の方が印象的だった。全体的に、無駄な装飾を一切排したことで、逆に制作者のテンションの高さを感じることができる。ラストのあっけなさも潔い。 [DVD(字幕)] 6点(2009-03-08 02:00:17) |
400. 大統領の陰謀
《ネタバレ》 素材としては面白いものになるはずなのですが・・・一番見ていて困ったのは、主役の2人がほとんど同じような描写しかされていないということ。これではこの2人をあえて投入する意味がありません(演技の相性もあまりよくない感じ)。実在人物だから難しいのかもしれませんが、もう少しキャラクターを作り込んでほしいところでした。また、全体の流れも、似たようなシーンの繰り返しが多く、主人公たちがどこで何を考えたのか、どのような困難に立ち向かったのかがあまり掘り下げられていません。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-03-04 01:53:12) |