381. ザ・ドリフターズの極楽はどこだ!!
「ドリフで育った世代」というのは、「ドリフを見て」ではなくまさに「ドリフで」育ったのであって、もう絶対に逆らえないというか、なんというか。ドリフというのはあくまで「テレビ番組のドリフ」であって、ドリフ映画が好きなわけではないんだけど、それでもドリフ映画にあの懐かしいメンバーの顔が登場し、そして何よりもあの懐かしい声を聞くと、何だか細胞の隅々までしみ通ってくるような。 こればかりはもう、どうしようもないのよ。 面白いか面白くないかはさておき、ドリフの姿を記録してくれたという点だけでも、やはりドリフ映画には感謝せねばなりません。 で、この作品ですが。通例であれば、いかりや長さんが他のメンバー、特にカトちゃんをイジメて、逆襲されたりされなかったりするところですが、この作品では、憎まれ役の面は後退しており、むしろ、長さんが周りから邪険にされてる状況。頑固オヤジの孤独と悲哀、といったものが、あのゴリラ面と相俟って、何とも言えない味わいを出してます。 出征体験を持つという役どころは、長さんの実年齢とちょっと合わないのですが、しかし合わないと言っても、あとホンの数年、早く生まれていたら、、、という、それが、あの戦争。 ドリフはメンバーの年齢差が大きかったからうまくいった、という話もありますが、年齢差がこの映画ではうまく活かされてます。 でもやっぱり、うまく活かされてるのは、やっぱり、このゴリラ顔、かな。 なかなかイイお話でした。 [インターネット(邦画)] 7点(2022-02-24 23:09:45)(良:1票) |
382. ビリケン
最近の通天閣では、別料金払ったら展望台の上のテラスみたいなところに上がらせてくれるんですが(前に行ったときはお土産にレトルトカレーくれた) 、なんとこの映画では、そのさらに上、テッペン中のテッペンのトンデモないところに人が立ってます。それを空撮でぐるりと周りから撮影して。いやはやホントにトンデモないシーンに、度胆を抜かれます。 最近でこそ注目の観光スポットに返り咲いている通天閣ですが、この頃はよほど閑古鳥が鳴いててロケし放題だったのか(?)、なかなか臨場感、コテコテ感が溢れる作品になってます。 大阪のユルユルでダメダメなところが、通天閣のグダグダなところと重なり、さらには、大阪人のセコさがそのまんま神様であるはずのビリケンさんのセコさにも投影されていて。もうこの時点でこの映画、何が起きてもおかしくない(笑)。物語の中心はオリンピック誘致に向けた地上げ騒動、だけど、そこにはさらに、笑いを呼ぶエピソードがたっぷり盛り込まれていて、個人的には大満足の作品です。ラストは雑踏に消えていく、何と庶民的な神様であることか。なぜか感動してしまいます。 それにしても、登場する光景はすべて新世界の近くなんですかね?ちょっと意表をつく光景も登場しますが。 [インターネット(邦画)] 8点(2022-02-23 20:46:03) |
383. デッド寿司
元ネタは、キラートマトですかね。キラートマトの日本版、寿司版、残酷版。モーレツにクダラない点は、同じ。 それにしても井口カントクは、武田梨奈の起用法を熟知してますね。そして彼女の一番ブサイクな、じゃなかった、一番イイ表情が、ワカッテますねえ。 襲い来る寿司との、果てしなき戦い。←意味不明だけど、実際そうなんだから仕方がない。 という、グルメパニックホラーアクション映画の決定版です。 [インターネット(邦画)] 7点(2022-02-22 22:52:51) |
384. 噛む女(1988)
《ネタバレ》 永島敏行演じる主人公はアダルトビデオ会社を経営してて、ちょいと女性の扱いに荒いところがある。言ってみれば趣味と実益の境界が曖昧になってる、職業的エロオヤジ。 そうなると何となく、ロマンポルノの巨匠・神代辰巳監督にこの主人公の姿を重ねてみたくなったりもするのですが、多分そういう見方は適切じゃない気もする。しかしそれにしては、ラストの不思議な情緒は、一体何なのか。 ラストでこの不倫サスペンスの事件の真相が明らかにされ、こういう「真相の暴露」はしばしば映画を味気ないものにしがちなんですが、この作品はそうはなってません。事件の意外性よりも、人間の意外性、とでも言いますか。だからこその、余韻。 しかししかし、タイトルが『噛む女』で、実際、主人公が女性に噛みつかれるんですが、一体どういうワケで噛みつくんだか、よくワカラン。ははは。このワカラナサが、いい。 [インターネット(邦画)] 8点(2022-02-21 22:46:40) |
385. 愛のむきだし
タランティーノが『パルプ・フィクション』で取り上げたように、アメリカを代表するサブカルチャーがパルプマガジンの三文小説であるならば、日本を代表するサブカルチャーと言えば?マンガ?アニメ? いや、サブカルを名乗る以上は、もっと「サブ」で無いといけない、どからそれはやっぱり、「エロ本」でしょう、と。そこには間違いなく欲望と才能とエネルギーが渦巻き、クダラなくもスバラしい何かが生み出され続けてきたワケで。今やpanchiraは世界共通語。かどうかは知らんけど。かつてエロ本界を代表する雑誌の一つであった「投稿写真」の最終号には、社会学者の宮台センセのインタビューも載ってたっけ。などと思い返しながら観てたら、この映画にも一瞬、宮台センセ本人が登場して、ビックリした(笑)。 家族「愛」とか、男女の「愛」とか、作品のテーマは極めて一般的、普遍的なのに、どうしてここまでネジクレ返ってしまっているのか、壮大な、誠に壮大な廻り道。対極にある「孤独」をも描くからこその、廻り道でしょうけれども。 このネジクレてブッ飛んだ世界を、4時間やり切ったことがまず、素晴らしいです。4時間、退屈させないということがすでに、作品の動機の一つになってるような。 最後のThe Endで、映画が無事に終わったこと自体に笑いが込み上げてしまう。稀有の経験です。 [インターネット(邦画)] 8点(2022-02-20 21:53:08) |
386. オマールの壁
《ネタバレ》 分離壁によって生活が分断されたパレスチナが舞台。主人公の青年が、反イスラエル活動に加わるも当局に逮捕され、拷問の末、仲間に対するスパイとなることを命じられ・・・というオハナシ。 ですが、単に抑圧の悲惨さを訴えるのではない「何か」が、この作品にはあります。 銃撃を受けようとも壁を乗り越えていた主人公。自由を求め、抑圧に反抗していた主人公が、スパイとなることを強要された末、当局に、あるいは状況に、呑み込まれ支配される存在となっていってしまう。 ついに自力では壁に登れなくなってしまう主人公の姿が、それを象徴しています。 いわば、人間の持つ弱さというものが、この理不尽な環境によって、残酷なまでに露呈されていて。 それでも人は、運命に抗うことができるのか、というラスト。 [インターネット(字幕)] 8点(2022-02-20 15:46:47) |
387. マッキー
荒唐無稽の極みのアホらしい設定ですが、それなりにヒドい事もしてて、ちょっとしたホラーかも(?)。 悪いヤツに命を奪われた主人公が、愛する女性を守るべく、転生するのだけど、よりによって生まれ変わった生き物ってのが、ハエ。 と言うと、「何だ、蝿人間の話か」と思うところですが、さにあらず。何と、本当にただの蝿として生まれ変わってしまう。だもんで、そこからの主人公はセリフ無し。CGで描かれる仕草のみ。 さすがにちょっと、アイデア倒れというか、キビしいものが無いでは無いのですが、それでもこの設定の枠内で可能な最善の作品には仕上がってるんじゃないでしょうか。ハエの仕草で物語を描写するという、サイレント映画でもまだ誰もやったことのない世界。 見ていると、色々と伏線が張られていたことに気付きます。伏線というのもこれ見よがしにやってしまうと白けるもんですが、本作では、後に伏線となるモチーフの初出のシーンが、それ自体印象的な描写として映画の中で機能しているので、イヤミになっておらず、効果的で良かったです。 [インターネット(字幕)] 7点(2022-02-19 21:57:25)(良:2票) |
388. 映画 みんな!エスパーだよ!
ドス黒く渦巻く自意識、その滑稽さをそのまま映画にしました、という感じの作品で、気持ちはよくワカル。 だけど、そもそもこの映画の主人公が、そこからの脱却をヒーローらしく目指していたように、我々だって、いつまでもそこに留まってるワケじゃない。 結局、「約束の女性」などというものが、この世にただ一人存在するのではない、というアタリマエのこと。そこに留まるのではなく、その先歩みを進めねばならない、焦り。この映画で描かれている自意識というもの自体、この映画で足踏みすることを拒絶する。 だから、やっぱり、物足りない。 でも、人生において、この映画がドンピシャ当て嵌まる時期、ってのは、誰しもあるんじゃなかろうか。私が素直に楽しむには、いささか遅すぎた。んでしょう。 [インターネット(邦画)] 6点(2022-02-19 21:39:18) |
389. 結婚案内ミステリー
某御曹司の婚約者のフリをして欲しい、というよくわからん依頼を受けた渡辺典子が、よくわからん事件に巻き込まれる。というオハナシで、ストーリーだけみるとだいぶ強引で無理矢理な感じがアリアリと見て取れるのですが、そのまま開き直って突っ走っているのは悪くないです。ストーリーがツマラナイからといって、映画自体が面白くないとは限らない。 ガランとした洋館の雰囲気。その中で繰り広げられる、若干グダグダで強引だけど意外性アリと言って言えなくもない展開。 ちょっとゾンビ映画、入ってます(?)。 [インターネット(邦画)] 7点(2022-02-16 23:17:33) |
390. 月光仮面(1981)
いきなり主題歌な中でオジサン呼ばわりされている月光仮面ですが、確かに、ヘルメットを含めた全身白ずくめにゴーグル姿というこの風貌、どうにもオッサン臭い。だけど声は意外なほど若々しくって。一体、正体は、誰でしょね。正体は劇中でほぼ明かされている、と思わせて、真の正体は実はフジタクさんだったりして。普段はやたら関西弁を強調してるのが、ますますアヤシい・・・って、まさかね。 今回の敵は、ニューラブカントリーとかいう新興宗教やら秘密結社やらよく判らない連中。メンバーにガッツ石松がいる時点で、どちらでも無いような気がする。 銀座の歩行者天国で一騒動巻き起こるシーンの臨場感が素晴らしく、夜の球場に現れるラジコンヘリの意外性が素晴らしく、何と言ってもラストの本物のヘリコプターを使ったアクションの素晴らしさに度胆を抜かれます。 が、それ以外は、あんまり、まとまりが無いなあ、と。 [インターネット(邦画)] 6点(2022-02-15 22:52:38) |
391. フラッシュ・ゴードン
フラッシュ・ゴードンのテーマが、クィーンの代表作の一つのように言われる(?)のも、楽曲と映画とのあまりの落差がそこには大きく影響してるんじゃないだろうか。なまじ映画の方がちゃんとしてたら、果たして・・・。 そりゃまあ、私もこの作品を最初に見たのはいつだったのか、「なんじゃこりゃ!これはヒドイ」と怒りを感じたのは確か、なんですが、今となっては目くじら立てることもなく、苦笑しながら見てる訳で。もちろんこんな見方をするのは堕落でこそあれ、自慢になる訳でもなんでもないのでしょうけれど。 とにもかくにも、この作品の、テキトーさ、矜持の無さ。志の低さ。かのエド・ウッドだって、他人には理解できなくとも何がしかの志(みたいなもの)はあったと思うのですが。 で、その結果が、コレ。いや、確かにある種のインパクトはあって、世の中、無責任を貫かないとたどり着けない領域ってのもあるんだなあ、とは思わされます。 別にこの作品を憎んでる訳でも見下している訳でも何でもなく、その無責任さ、テキトーさの極致に対し敬意を表して、1点。ということで。 [CS・衛星(字幕)] 1点(2022-02-13 15:27:10) |
392. スペシャリスト(1969)
主人公が一匹狼的なガンマン、規格外の存在、世俗のゴタゴタからは一線を画した男、異邦人・・・ ってのはいいんですけど、それを象徴するクライマックスが「大量のケツ」って。 気持ちはワカランでもないけど、イマイチ見栄えがしない・・・。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2022-02-13 15:05:08) |
393. ピッチブラック
私がこのサイトにお世話になるようになってからそこそこ経つのですが、参加し始めて間もない頃に投稿したいくつかの感想文が、行方不明になっちゃってる気がして仕方がない。この作品もその一本でして。それとも気のせいなんだろうか? アシモフの「夜来たる」がどうしたこうした、みたいなコトを書いた記憶がかすかにあるのですが、う~ん、まあどうせ大したコトは書いてないに決まってるので、どうでもいいんですけどね。 設定の上では「夜来たる」と関連があるにしても、あくまでモンスター映画の部類。この映画、激安作品とは言わないまでも、決して潤沢に製作費をかけた大作の部類ではないだろうし、ましてや2000年製作と言うと、CG技術もだいぶ向上してきているとは言えまだまだ発展途上。そんな中で、色彩を落とした映像、あるいは暗闇、あるいは光が滲んだリディック視線の映像、といったものを利用し、なかなかうまくCGモンスターを表現してます。リディックのビー玉のような瞳が、あの独特の映像を支えているような、そんな印象。 不時着した宇宙船の後ろに、地表がえぐられた跡がどこまでも延びている光景。こんなのも、不時着の衝撃に対する間接的な描写になってて目を引くし。ヒロインが上を見上げるとモンスターの群れ、なんていう場面でも、わざわざリディックに「上を見るな」という一言を直前に言わせて、我々の注目を引いたり。 小技とアイデアで勝負、の一本。面白い。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2022-02-13 14:45:03) |
394. 宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟
せいぜい、テレビシリーズで挿入される1エピソードの拡大版、といった感じ、その分しっかりと中身を描こうというのは、できそうでなかなかできなかった賢明な取り組みだと思います。いや、「新たなる旅立ち」がOKだとか言うつもりは無いですけど。 どうしても物語を肥大化させ、とても一本の映画に収まらないもんだから上っ面だけ撫でて行く、という宇宙戦艦ヤマト映画の宿命、それとは一線を画しており、中盤はほとんど幻想譚ともいうべき異色の(いささかこじんまりとした)作品になってます。こういうヤマトもアリなんだ、という大らかな気持ちを持たずに見ると、肩透かしかも。 かつての手描きで表現された立体感、あのビミョーな感じが、「宇宙戦艦ヤマト」というアニメの驚きでもありスリリングなところでもあったのですが、それがCG化されて、より精密な立体表現となり、これはこれで、見ててカッコよかったりして。そりゃま、いくらケチョンケチョンに言ってる『SPACE BATTLESHIP ヤマト』だって、別に一瞬たりともカッコよさを感じなかったという訳でも無し。 ただ、このアニメ、宇宙艦の描写にCGを使うのは良いけれど、より立体感を出そうというのか視点を闇雲に動かし、さしずめ実写なら「そんなにカメラが高速に動く訳ないだろ」というぐらい視点が移動するもんで、何だか、ミニチュア撮影よりもさらにミニチュアに見えてしまったりして。せっかくのCGなんだから、例えば艦の巨大さといったものを、もう少しうまく表現できなかったんでしょうか。どうも、質感が乏しくて。 『スター・ウォーズ』冒頭のスター・デストロイヤーは、間違いなくデカかった...。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2022-02-13 07:29:20) |
395. 讃歌
新藤兼人監督ご本人が登場し、オレはマジなんだぞ、という顔をすればするほど、冗談としか思えなくなってくる、そんな映画です。 谷崎潤一郎の「春琴抄」の映画化。 春琴と佐助の二人だけの世界、もはや句読点すらも、その流れを留まらせることは出来ない、ということなのかどうなのか、とにかく、独特すぎる文体で描かれる、独特すぎる世界。 それを映画化するんだから、相当、独特のコトをしなきゃ、ってことなんだとしても、いやはや、随分と気色のワルい映画にしたもんです。 それともこれこそが新藤兼人スタンダードなのかも知れんけど。 白塗り顔のオバチャン(乙羽信子)が語る春琴の姿は、さらに白塗りで、綺麗だとか神秘的だとか言う以前に、ただ不気味。昔話として語られていた二人の世界が、ラストのオバチャンの三味線の演奏によって現代とリンクする、と言いたいところだけど、イマイチこのシーンが効果を上げているような気がしません。 映画全体を通じ、描写がエキセントリックな方向に走りすぎて、かえって起伏が乏しいような。 [インターネット(邦画)] 5点(2022-02-08 22:37:40) |
396. レクイエム 最後の銃弾
潜入捜査ものにハズレ無し!かどうかは知りませんが、割と打率が良いジャンルだと思ってます。例えば、本作。 えらく盛り沢山の内容で、細かいエピソードまで拾っていくと、三部作くらいに仕上げられそうな内容が詰まってます。 それも、一作品ごとに監督が交代して前作をブチ壊しにしちゃうような、そんなタイプの三部作を、彷彿とさせます。ちょっと、「え~!?」という展開もありますが、ガンバって、ついていくべし。 物語の中心となる三人の俳優さんが、それぞれ個性的な顔立ちで、ちゃんと色分けされている。ちょうど、『男たちの挽歌』の三人の顔立ちが明らかに異なっていたように。こういうキャスティングからすでに、映画の魅力というものは始まっています。 上述のように、ストーリーはちょっとトンでるところもあるのですが、これを一本の映画に惜しげも無く押し込んでみせたのもアッパレと言えばアッパレ、中盤にはかなりド派手なアクションもあったりして、なかなかのサービスぶりだと思います。どうでしょうか?ダメですか?やっぱり? [インターネット(字幕)] 7点(2022-02-07 23:12:19) |
397. 原子力戦争 Lost Love
マスコミが、カメラさえ持ってりゃ市民は自分の味方、何でも許されるとばかりに、非常識な取材して、わざわざ相手を怒らせてはその映像を正義ぶって垂れ流す。というのは、どうも好きになれないのだけど(というかキライなんだけど)、そういうシーンが、フィクションの映画の中に、突然ドキュメンタリー風に挿入されると、これはかなりのインパクトで、さすがに驚いてしまう。 警備員に撮影を止められる中で、飄々と演技を続ける(いや、もはや演技かどうかもわからんけど、自らの役割を体を張って、しかしあくまで飄々とこなす)原田芳雄が、頼もしいというか何というか。スゴいなあ。 音楽は、大御所の松村禎三。ライブエレクトロニクス風に、電子音と楽器演奏が絡み合う、不安を誘う音楽の一方で、シューマンの「子供の情景」を引用したと思われる素朴な音楽が流れる場面もあり、それ以外の場面では虫の声、波の音、風の音といった自然音が音楽の代わりに取り入れられて。 ラストシーンではこの3つの音楽の要素が重ねられるも、不安な電子音だけが、最後に残る。この不気味さ。 [インターネット(邦画)] 7点(2022-02-07 22:40:10) |
398. 天使の恍惚
低予算のあまり、まるでヤケクソになっちゃってるような映画、ってのはたまにありますが、この作品は、まあ言ってみれば、ヤケクソと言うモノそのものを正面から描いたような映画。 いわゆる「活動家」の集まりが、闘争を企て米軍基地に侵入するも、色々と犠牲が発生し、その後も内ゲバみたいな展開でリンチがあったり、さらにそこにポルノ映画風の濡れ場が再三挟み込まれて、混沌の世界。 終盤はひたすら爆破、これぞヤケクソの世界。パワフルで、そしてどこか虚しい。 山下洋輔トリオの前衛ジャズが、ヤケクソ感をこれでもかと、いや増します。 [インターネット(邦画)] 7点(2022-02-07 22:18:46) |
399. ガンズ&ゴールド
なかなかオモムキのある作品で、期待以上にオモムキがあるもんだから(笑)、大味な作品だろうと思ってるとちょっと戸惑うかも。 刑務所に収監された一人の若者が、札付きのワルに見込まれて、彼の脱獄、さらには金塊強奪に手を貸すことになる、というワケですが、二人の関係の微妙な揺らぎが、オモムキの所以。 二人の出会いの場面における、椅子に座る座らないのくだりから、関係の揺らぎが始まっていて。劇中で描かれる一連の犯罪に加え、ヒロインの存在が、さらに物語に起伏を与えます。 主人公が泳げない、という設定は、「こんなにガタイいい癖に、マジかよ」と思わんでもないけれど(筋肉質は水に浮かない?)、これも二人の関係性を描くための重要な(そこそこに、ですが)設定となってます。 今一つツキヌけた感はなく、微妙な揺らぎのまめ終わるような印象もある作品ですが、ラストの余韻は、悪くないと思います。 [インターネット(字幕)] 7点(2022-02-06 13:26:02) |
400. 太平洋奇跡の作戦 キスカ
アリューシャン戦線についてはアッツ島玉砕ばかりが語られている印象で、私もこの英語が無ければキスカ島なんて、知らなかったかも。 戦争映画とは言え、撤退作戦を描いた作品。爆撃シーンが随所に挟まれるけれど、引き込まれるのはやっぱり、撤退作戦の行方。しかしまず、こんな極寒の地にも日本兵が送られてアメリカ軍と戦ってたんだなあ、という感慨こそ、この作品の映像がもたらす最大のインパクトかも知れません。 もちろん、大がかりなロケ撮影だけでなく、ミニチュアによる特撮もまた見せ場。というか、ミニチュアとの合成映像の巧みさが、とてつもなく効果を上げてます。 タイトルからして、作戦はどうせうまくいったんでしょ、という想像はつくものの、作戦の困難さにはヤキモキさせられて。その中で下される「決断」、これが映画を動かし、我々の心を動かす。 この後も泥沼のような戦局が続くとは言え、いったんは大団円。兵士たちの笑顔。たまにはこういう笑顔で終わる戦争映画があったって、いいじゃないですか。三船敏郎はハッキリとした笑顔を見せないものの、まるで笑みがこぼれるのをこらえるような、イイ表情で映画を締めくくってます。 [インターネット(邦画)] 8点(2022-02-06 12:58:37) |