421. 4デイズ
《ネタバレ》 犯人から自供を得ないと百万千万が死に至る。辛さから「こんなやり方をするくらいなら吹き飛んだほうがマシ」とのたまうブロディと辛さを呑みこんで「こんなやり方」をしてでも百万千万を守ろうとするH。唾棄すべき人物はどちらか。二人が事あるごとに対立しながら、拷問を加え妻を切り裂き子供を引っ張ってきてようやく自供を引き出す。一件落着かと思いきやここからの展開に驚愕。子供を連れたブロディのナルシスト面に言いようのない憎悪と尻切れトンボな終わり方に唐突さを覚えました。観終わってアメリカ公開版がやり切れないラストシーンをカットした事を知りました。自ら捕まった点を除いてはリアルさが気味悪い作品です。 [DVD(字幕)] 7点(2013-02-02 00:51:22) |
422. 裏切りのサーカス
《ネタバレ》 人物の分かり辛さ、テンポの悪さ、抑え過ぎる演出にしんどくなりながらも「もぐら」の正体知りたさに最後まで鑑賞。鑑賞後はしんどいと思った点が本作の味わいに思えました。原作があるそうで、もぐらになった動機やもぐらと同性愛者の関係、一度も顔を見せなかったカーラとアンなど掘り下げて欲しかった点を確かめたくなりました。 【2018.2.14追記】 原作を読みました。500㌻超、映画同様解り辛い内容で心踊らされる事のない文章を行きつ戻りつしながらで3日かかるも、先に映画を観ていたおかげで読み切れた。 内容が把握出来た状態で再度鑑賞。 エンドロール冒頭で撮影開始直前に他界したという脚本家ブリジット・オコナーに捧ぐとあるのが頷ける極限まで削ぎ落とし、新たに肉付けした脚本が実に見事。 諜報機関に身を置く者の生き様を見せられる。 全編を覆う忠誠心と裏切り プリドーが愛するヘイドンに落とし前をつける姿は前回鑑賞時で最も印章深かったが、状況が呑み込めた今回はプリドーの胸中がこの上なく切ない。 この二人を上回るのがスマイリーとカーラであって、スマイリーがギラムに語るカーラを西側へ寝返るよう説得した昔話が圧巻。 愛する人に「行かないで」と懇願するようでもあり、一言も発せずに「裏切るくらいなら死を選ぶ」と帰国したのを狂信者呼ばわりするものの己の浅はかさ小賢しさを恥じているようでもある大写しの表情に息を呑む。 いぶし銀英国男優ここにあり。ゲイリー・オールドマン、ジョン・ハート、マーク・ストロング、コリン・ファース、ベネディクト・カンバーバッチ、トビー・ジョーンズ・トム・ハーディ。 私が一番惹かれたのは顔を見せなかったカーラ。演じられるのはポール・スコフィールドあたりなのだろうか。 クリスマス・パーティを回想する女々しさ溢れるスマイリーがラ・メールをバックに気骨ある亡きコントロールの席に就いたラストに拍手を送りたい。 一度の鑑賞で解らなかったので10点とは言えないが、手間暇かけて素晴らしさが解った稀有な作品に敬意を表して前回より3点を上積み。 [DVD(字幕)] 9点(2013-01-19 23:27:24)(良:1票) |
423. 007/スカイフォール
《ネタバレ》 前2作のダニエル・クレイグ版ボンドは駆け出し諜報員の粗野で荒削りな所に好感を持ちました。今作に頭が混乱しています。スパイは時代遅れと語られているので現代の話のようですが、彼は洗練されていない。おまけに衰えている(老いなのか、心身のダメージなのか?)007の魅力が皆無なのはいけません。悪役の目的がMへの意趣返しでMのお命頂戴!なのもいけません。そのクールビューティのMの焼きが回った姿(再試験不合格を黙認)が最もいけません。スカイフォールの攻防は気持ちはすっかり醒め、長尺の疲れを感じながら眺めていました。期待外れでした。 [映画館(字幕)] 5点(2013-01-04 18:28:45)(良:1票) |
424. ブラック・スワン
神経を逆なでされる映像と相まって描かれる「黒鳥になれない」というニナの葛藤が、下劣・阿婆擦れを「妖艶」と思ってなさる演出家とリリーの薄っぺらさに掻き消されているように感じました。 [DVD(字幕)] 5点(2012-12-27 22:03:15) |
425. ものすごくうるさくて、ありえないほど近い
マックス・フォン・シドー演ずる間借り人に釘付けで、一枚一枚のコメントが沁み入りました。 [DVD(字幕)] 6点(2012-12-24 03:48:21) |
426. アンストッパブル(2010)
《ネタバレ》 アリの一穴から大惨事へと。多くの命が失われるであろう惨状が想像出来る列車の凶暴さがひしひしと伝わってきました。めでたいラストですが、見ていてこっぱずかしくなりました。 [DVD(字幕)] 7点(2012-12-24 03:26:24) |
427. スリーデイズ
試行錯誤の末決行した脱獄の成否、妻が罪を犯したか否か。相乗効果で見応えのある作品でした。 [DVD(字幕)] 7点(2012-12-19 22:03:30) |
428. キラー・エリート(2011)
ど突き合い、撃ち合いの渋さはなかなかのものですが、ストーリーは2日経過して忘れました。お目当てのデ・ニーロの健在ぶりにホッとし、彼に歳相応のアクションをさせている製作者に好感が持てました。 [DVD(字幕)] 5点(2012-11-03 23:21:33) |
429. 幸せの教室
当初の目的を考えると、教える側と教わる側双方に学ぶ事への真摯さを微塵も感じないお気楽に過ぎる展開と結末に脱力感で一杯。期待外れにも程がある一品。 [DVD(字幕)] 2点(2012-10-15 21:32:03) |
430. サラの鍵
《ネタバレ》 フランスにおいて実際に起こった悲劇を初めて知りました。子供を引き剥がされるシーンの何と酷い事か。数多のナチス絡みの作品に見られる、世情はどうあれ良心を捨てない人が本作にも登場し、彼等のお蔭で生き延びたサラが鍵を開けるに至る展開は手に汗握るもので、彼女の澄んだ瞳に焼き付けられた数々の光景を思うと胸が詰まります。しかし、そこから先が退屈で退屈で。 産む、産まないの葛藤から始まり娘にサラと名付けるとは、あまりのあざとさに白け返りました。サラが存命してても同様に思うのではないでしょうか。観終わった後の興醒め感が残念な作品。 [DVD(字幕)] 5点(2012-10-03 00:41:02) |
431. 探偵はBARにいる
大泉洋と松田龍平のコンビは刺身と刺身のツマの様で絶妙。脇を固める面々も高嶋政伸をはじめいい味を出しています。ギラギラしていて雪を融かすかのようなエネルギッシュな街を舞台に彼らが織りなす物語は見応え十二分で惹き込まれました。けたたましい男性及び大泉洋は苦手なのに魅力を感じるなど・・・我ながら不思議であります。黒電話とマスターの昭和テイストも素敵でした。 [DVD(邦画)] 9点(2012-10-01 23:47:05) |
432. ドラゴン・タトゥーの女
覗き見を生業とするリスベット。エキセントリックな出で立ちや言動から苛烈な環境の中で生きてきた事は想像出来るも、深みのないキャラに魅力を感じず。ミカエルに至ってはモザイクシーンぐらいしか存在を感じず。謎解きは机上でサクサク進んで何の緊迫感もなく「はいっ、一丁上がり」という製作者の声が聞こえてきそうな結末に、「はいっ、終わった終わった」という思いしか湧かず。オープニングロールに点数を。 [DVD(字幕)] 4点(2012-09-27 18:39:07) |
433. コンテイジョン
医化学対ウイルス、文明対ウイルス、人の心対ウイルス。豪華俳優陣でありながら抑えた演出で色々な恐ろしさに現実味を感じました。我が身並びに我が一族可愛さに猿に先祖返りする暴徒どもを目にし、活躍は出来ずともせめて猿にはならず人間の誇りを放り出さない自身でありたいと思いました。ずっと喉にひっかかっていた魚の小骨が取れたかのようなラストが秀逸です。 [DVD(字幕)] 7点(2012-06-14 23:12:48)(良:2票) |
434. ジョニー・イングリッシュ 気休めの報酬
前作のように爆笑に次ぐ爆笑ではなかったものの、スパイものとして見応え十二分の展開とアクションに笑いを織り交ぜ、尚且つ007のパロディも効かせてくれる、考え抜かれた実に見事な作品に大満足。サイドヘッドロックからのお盆攻撃のラストはアッパレ。そのユーモア精神及び英国の度量の大きさに脱帽。ブラボー。 [DVD(字幕)] 9点(2012-06-01 20:11:37) |
435. ル・アーヴルの靴みがき
《ネタバレ》 密入国者の少年を助けようと奮闘するマルセル。考えると義は密告者にあるのですが、奥さん、ベトナム人、パン屋さん、八百屋さん、パブの主人、犬のライカといった損得抜きの思いやりに満ちた面々との関わり合いを見ると、密告者の何とも寂しい姿が強烈な印象を残します。警視の胸中にも同じような寂しさがあったのかと想像します。結末はお伽噺のようでした。毎年季節が来れば桜は咲き、毎年二人で眺めるのでしょう。心地良いラストショットです。 [映画館(字幕)] 7点(2012-05-13 23:03:09) |
436. マージン・コール
「誠実」「信頼」という言葉を知らない、金の為なら何でもする、面々の行動原理が明快でした。ただ、「大変(であろう)な危機」が思わせぶりで全然真に迫って来なくて、全く盛り上がれませんでした。お目当てのジェレミー・アイアンズの健在ぶりに加点。 [DVD(字幕)] 3点(2012-04-30 19:08:57) |
437. インセプション
《ネタバレ》 意欲的なアイデア、小綺麗な映像、耳触りのよい音楽、立ち居振る舞いが小洒落ている登場人物を演ずる豪華俳優陣。それらが活かされていない脚本と編集のせいで面白くもなんともなく、ダラダラ長時間退屈さに耐えてグッタリした企画倒れの作品でした。ミッション(失笑もののショボさ)だけならまだしも、欲張ってくっつけた妻子の陳腐な話が頻繁にこれ見よがしに現れるのがどうにもこうにも不快でした。ハッピーな結末ですが、ミッションは成功ですか?父の愛情を知り更に発展させようとするんじゃないのですか??? 見てくれのみの作品にこんなツッコミは野暮ですか? [DVD(字幕)] 1点(2012-03-24 16:49:52) |
438. ゴーストライター
《ネタバレ》 職分をわきまえない行動はハートを重視する所以か。勝ち目のない組織に対する優男の孤独な戦いを魅せるのはポランスキー監督の十八番。真綿で首を絞めるが如きの全編を覆う不穏な空気を堪能し、マカラのゴーストであってそもそもこの世に存在しなかったゴーストであったのかと思わせる無情なラストに痺れます。加えて「米国以外で引き渡し協定が無いのはイラク・リビア・北朝鮮・・・」との眼差しに御大の健在ぶりを見ました。いただけなかったググるシーンを差し引いても十分満足出来た作品です。 [DVD(字幕)] 7点(2012-02-13 17:50:11) |
439. 蜂蜜
その場に立ち、風を感じたくなる「透明感」溢れる映像に、淡々とした日々の営みの中からにじみ出る家族の絆に、「この家は僕が守る」幼きユスフの心意気に。全編を覆う静謐さに心洗われ、姿勢が正される作品です。 [DVD(字幕)] 7点(2012-01-22 12:34:36) |
440. 灼熱の魂
内戦での憎悪の連鎖が生み出す残虐なシーンが満載。更に、テロ行為の報いであっても、これ以上の出来事はこの世には無いと思うあまりにも残酷な真相に言葉がありません。宗派の対立が端を発しているならば神とは一体何なのかとの思いが募りました。ストーリー展開の巧みさが見事な作品でした。 [映画館(字幕)] 8点(2012-01-18 21:51:44)(良:1票) |