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イニシャルKさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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421.  けものみち 《ネタバレ》 
数年前に放送された米倉涼子主演の連続ドラマ(未見)が有名な松本清張サスペンスの映画化作品。いわゆる悪女を描いた映画で、主演は池内淳子。庶民的で地味な印象がある女優なだけにどんなものかと思っていたが、この頃の東宝の喜劇映画や後年のテレビドラマの脇役、そして「男はつらいよ 寅次郎恋歌」のマドンナ役で見せる姿とは全く違う演技でこの民子という悪女を熱演していて、表情もきつくて怖い。増村保造監督作品の若尾文子・・・とまではいかないものの、(ちなみに本作の脚本家は増村作品常連の白坂依志夫だったりする。)見ていて違和感はないし、印象にも残り、この民子という役は池内淳子の数少ない映画で代表作と言ってしまってもいいのではないだろうか。この民子をあくまでクールに傍観的に描く須川栄三監督の演出がよく、独特のカメラワークも印象的だ。「寒流」でもそうだったが、本作でも金と色と欲に執着する人間が描かれているのが松本清張原作作品らしいところで、何か裏の考えを持った登場人物たちが次々と出て来て、人間の本質を見せていくが、それを演じるのが池部良や小林桂樹など普段は実直な役柄の多い俳優という見る人の裏をかいたキャスティングなのも見事。中でも池部良がこういう卑劣な役柄を演じているのが本当に珍しく、ラストの燃え盛る風呂場を見ながらの高笑いは本当に怖かった。そんな中、病気で寝たきりでありながら色欲エロ爺なフィクサーを演じる小沢栄太郎はイメージ通りのキャスティング。見ていてものすごくいやらしい爺で、この人がこういう役を演じると本当に怖いくらいにハマる。それに大塚道子。「上意討ち 拝領妻始末」の三船の妻役も怖かったが、この女中頭の役も存在感がありやっぱり怖い。そうそう、先週まで「黒い画集」シリーズを見ていたのだが、三部作それぞれに主要人物として出演していた小林桂樹、池部良、土屋嘉男の三人が共演しているのも見どころの一つだ。
[DVD(邦画)] 8点(2014-05-08 18:40:43)(良:2票)
422.  眠狂四郎 魔性剣 《ネタバレ》 
シリーズ第6作。6作目ともなるとこの前見た1作目と比べるまでもなく雷蔵の狂四郎はさすがにかなり板についている。今回は自分の余計な一言が原因で夜鷹が自殺したことに責任を感じた狂四郎がその夜鷹が母親代わりに育てていた子供と関わったことから藩のお家騒動に巻き込まれていくという時代劇では定番ともいえるストーリーで、そこに狂四郎を兄の敵と狙う女・おりんが絡んでくるという展開。だが、狂四郎と子供という組み合わせがなんかミスマッチに感じるし、今回の狂四郎はその子供に対してどこまでも「いい人」というキャラ立ちに加え、そのくせ、いつまでも夜鷹の自殺を引きずっていて、狂四郎ってこういうキャラだっけと違和感を感じた。狂四郎を狙う敵の策略もすべて狂四郎の行動頼みなので見ていてつい突っ込んでしまった。(とくに川に投げ込まれた毒蛇使いの女、もし狂四郎が助ける前に溺死してしまったらどうするんだよ。)それからおりんを演じる嵯峨三智子が魅力に乏しく、はっきり言ってほかの女優でも良かったのではと思えるほどだったのは残念。(この3年ほど前の内田吐夢監督の「恋や恋なすな恋」では魅力も感じられていたのだが。)チャンバラシーンで血がドバドバと出たりするのはリアルだし、延々と続く怪しげな黒ミサのシーンの独特な雰囲気とか印象に残る部分もあるのでまあ全体的に見て普通に楽しめないことはないのだが、でも出来としてはイマイチパッとしない凡作という印象は強い。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2014-05-06 14:45:43)
423.  ボクたちの交換日記 《ネタバレ》 
ウンナン内村が監督(二作目)というのがいちばん不安な面であったが、思ったよりずっと良かった。売れない漫才コンビを主役にしているが、やはり実際にお笑い芸人が監督をすることによって本職の映画監督では出せないようなリアルさが出ているのだと思うし、テレビに出てバカなことしかやってないように見えるお笑い芸人も舞台裏ではいろいろあり、生き残りをかけた競争は想像以上に過酷なのだろうということがひしひしと伝わってくる。それにそんなお笑いに対する内村の思いの熱さも感じることができた。ストーリーはベタながらツボをきちんと抑えていて素直な作りになっていて、見終わった後に爽やかに感動できるのもいいし、もちろん、主演の二人である伊藤淳史と小出恵介もハマっている。しかし、17年後が舞台となる終盤はみんな昔の若いままの姿で、年輪を全く感じさせていないのはマイナスで、とくに小出恵介・長澤まさみ夫妻と川口春奈が親子という設定に無理がありすぎて違和感を感じる。演じる役者を代えるなり特殊メイクで老けさせるなり方法はあったはずなのに残念で、そこだけが気になってしまった。主題歌であるファンモンの「サヨナラじゃない」はけっこう好きなのだが、この映画の雰囲気にはよく合っていたと思う。
[DVD(邦画)] 6点(2014-05-03 18:18:52)
424.  黒い画集 ある遭難 《ネタバレ》 
山岳遭難事故を題材に、その事故で三人のパーティーのうちたった一人死んだ山慣れしているのに今回の登山では最初から疲れ切っていた男(児玉清)の死の真相をめぐるミステリーとなっている。前半は三人が山に入り、遭難して、児玉清演じる男が転落死するまでを回想形式で丁寧に描いている。そしてそれを受けた後半の展開という構成。前半もゾクゾク緊張感があるのだが、再び遭難のあった山へ行く後半、主人公の伊藤久哉と真相に迫る土屋嘉男の二人きりになってからはもう目が離せなくなり、クライマックスの数分間の急展開は鳥肌もので、思わず見入ってしまった。この二人の死によって真相は結局闇に葬られ、すべては山だけが知っているというラストがなんとも切なく、いちばん最後の香川京子の独白がいつまでも耳に残りやりきれない気持ちにさせられる。そんな本作の監督は三人娘シリーズや社長シリーズで東宝プログラムピクチャーの喜劇の印象が強い杉江敏男監督というのが驚き。もともとサスペンス映画の監督を目指していたという杉江監督だが、本作ではその手腕も発揮され、喜劇とはまた違う一面やうまさが感じられる。石井輝男監督が担当した脚本も巧みで面白く、松本清張原作らしさもちゃんと出ていて、「網走番外地」シリーズや世間で言われているようなカルト映画だけではなく、こういうちゃんとした脚本も書けるというところに石井監督の職人としてのうまさを感じる。山岳遭難を題材にしているためか、見る前は「あるサラリーマンの証言」や「寒流」とは少し毛色の違う印象もあったが、結局根本には同じテーマがある映画で、やはりこれもじゅうぶんに面白かった。これで東宝の松本清張「黒い画集」シリーズはすべて見終わったことになるが、どれも人間の身勝手さや欲といった本質的なところを鋭くついた内容で3作とも水準が高い見ごたえのあるシリーズだったと思う。
[DVD(邦画)] 7点(2014-04-29 17:34:17)(良:1票)
425.  刑事コロンボ/黒のエチュード<TVM> 《ネタバレ》 
犯人が犯行時に落としたタキシードにつけていた花(しっかりおおうつしになる。)が決め手になるという結末が弱い。今回の犯人は交響楽団の指揮者という設定なのだが、その指揮ぶりは素人目に見てもあまりにも下手くそとしか言いようがなく、これで高名な指揮者なのかという疑問を感じてしまうのも致命的だった。映画監督としても有名なジョン・カサベテスが犯人役を演じていることで知られるエピソードだが、正直出来はイマイチなように思う。しかし、このエピソードでは疑いを持ちながらも夫を信じようとする妻の描き方や、被害者の友人である少女が目撃証言をするシーンのドキドキ感、ラストで犯人が妻の耳元で愛を囁くシーンなど印象に残る部分もなくはなく、それによってだいぶ救われているような気もする。コロンボの名無しの愛犬が初登場するエピソードでもあり、この時点ではコロンボはあれこれ犬の名前を考えているが、結局後々のエピソードでもちゃんとした名前はつけてもらえていないのがなんかかわいそう。
[CS・衛星(吹替)] 6点(2014-04-26 17:02:05)
426.  黒い画集 第二話 寒流 《ネタバレ》 
松本清張の連作「黒い画集」シリーズを東宝が同じく連作ものとして映画化したうちの一本。このシリーズを見るのは堀川弘通監督の「黒い画集 あるサラリーマンの証言」に続いて二本目だったのだが、鈴木英夫監督による本作も非常に面白かった。ストーリーは不倫関係に陥った銀行支店長(池部良)と得意先の女将(新珠三千代)に、女将に横恋慕した常務(平田昭彦)が絡んでくるというものだが、この三人の色と欲にまみれたドロドロの人間模様が実にうまく描かれていて見ごたえがあるのはもちろん、金や地位と言ったものを前にした人間の醜さがこれでもかと言わんばかりにリアルに描かれているところが本作の凄いところで、人物描写も見事。展開が二転三転する脚本もうまく、飽きさせない構成も良かった。ラストがバッドエンドなのもリアルで、社会派映画として銀行の暗部をもしっかりと描いていて単なる娯楽作にしていないところに本作の肝があるような気がする。主人公を演じる池部良は不倫に走ったばっかりに社会の寒流に飲み込まれるという役柄を演じていて、「青い山脈」などで見せる爽やかなイメージとは少し違う印象もあるが、なかなかのハマリ役だった。そんな主人公と一度は結婚をしたいと言いながら後に本心をむき出しにしてあっさりと主人公を捨ててしまう女を演じる新珠三千代。「人間の条件」の美千子のような献身的な役柄もハマる人だが、こういう二面性のある役をやらせてもピッタリとハマるところがこの女優の魅力だと思う。そして、平田昭彦扮する常務のいやらしいこと。この俳優は怪獣映画などで子供のころから見ているが、ここまでいやらしい悪役を見るのは初めてかもしれない。そんなキャスト陣の演技もさることながら、やはり本作を見ていちばん感じるのは人間というもののだらしなさと怖さが痛いほど伝わってくる映画であること。事件らしい事件は描かれず、人死にもないのにここがしっかりと描かれていることによって、サスペンスとしての面白さがじゅうぶんにあるだけでなく、人間ドラマとしても一級のものになっていて、まさに傑作と言える、自信を持って他人に薦めることのできる映画だ。 本当に見て良かったと思う。
[DVD(邦画)] 8点(2014-04-24 23:41:46)(良:1票)
427.  ルパン三世 princess of the breeze 〜隠された空中都市〜<TVM>
ルパンが敵に撃たれるシーンや、空から予告状をばら撒くシーンなど「カリオストロの城」を意識した展開やシーンが多く、主題歌までもが「炎のたからもの」の英訳という徹底ぶりだが、印象としてはいつもと変わらないレベルで可もなく不可もなくという感じ。今回は「名探偵コナン」とのコラボ劇場版があったためか、いつもとキャラクターデザインが大幅に違い、そこがちょっと違和感があるし、また、CGの多用もアニメの絵とあまり馴染んでおらず、カーチェイスのシーンもCGで描かれているが、手描きのほうがもう少し迫力を出せたんじゃねーのというほどへぼい。CGの多用が悪いというわけではないが、それによってスタッフの手抜きが感じられた。今回の悪役キャラであるシオンはイケメン王子風のデザインでいかにも今時のアニメという感じだが、もう少しこのキャラに貫ろくが欲しかった。ルパンと旧知のガンマンを演じている千葉繁のハイテンションな演技はやはりいつ見ても強烈な印象を残す。
[地上波(邦画)] 5点(2014-04-20 15:29:42)
428.  にっぽん泥棒物語 《ネタバレ》 
山本薩夫監督が実際に起きた冤罪事件をもとにフィクションとして手がけた社会派喜劇。三國連太郎扮する主人公 林田儀助の泥棒時代のエピソードがかなりコミカルに描かれていて思った以上に喜劇要素が強く、どこかすっとぼけた味わいがあり、山本監督の社会派監督としてだけではない一面が感じられた。でもやはり、この主人公が列車転覆事件が起きる直前に線路を歩いていて怪しい9人の男とすれ違ったあたりからが山本監督の本領発揮といえる社会派ドラマになる。この事件で捕まった人たちの冤罪を証明するように周りから言われても、今は泥棒稼業を辞め、結婚して子供もできて、泥棒だった過去を隠して平穏な生活を手に入れている身では家族のことを思うととてもできないという林田の心の葛藤が胸を打つ。そんな林田が証言を決意するシーンはとても感動してしまった。ここまででもじゅうぶんドラマとして見ごたえあるのだが、ラストの証言シーンもみどころで、ここはもう三國連太郎の独演会といってよく、皮肉めいたことを次々と言うのだが、それが物凄く笑える。中でも「警察は自分よりも嘘をつく。嘘つきは泥棒の始まりというが。」というセリフ。元泥棒である主人公が言うからこその皮肉がこめられていて、笑えると同時にこのセリフにはそれ以上の底知れぬ凄さを感じた。喜劇映画のなかに冤罪という重いテーマを入れてしまうといつの間にかシリアスになりすぎ、喜劇的な部分がおなざりになってしまうのではと心配だった面もあったが、この証言シーンのおかげで最後まで喜劇映画であることを忘れない映画になっているのがいい。林田と腐れ縁の刑事を演じる伊藤雄之助のネチネチとした演技もやはり印象に残るし、妻を演じる佐久間良子や、冤罪被害者の一人を演じる鈴木瑞穂も良かった。でもこの映画はやはりなんといっても主演の三國連太郎に尽きる映画で、出演作の中ではあまり知られていないようではあるが、間違いなく本作も代表作の一本だろう。三國連太郎の喜劇といえば「釣りバカ日誌」シリーズをどうしても思い浮かべてしまいがちだが、やはりそれだけではないということを本作を見ると感じることができる。
[DVD(邦画)] 8点(2014-04-17 17:50:24)(良:1票)
429.  刑事コロンボ/殺人処方箋<TVM> 《ネタバレ》 
「刑事コロンボ」の第一話で、ほかの作品と違ってサブタイトルと同名の舞台劇をドラマ化したもの。いちばん最初とあってまだコロンボのキャラクターはそこまで確立されておらず、風貌も演じるピーター・フォークが若いせいもあってか、少しイケメンなおじさんという感じで、髪形もきっちりとしていて、なによりいつも着ているコートのほかに普通に背広姿でいるシーンがけっこう多かったのには驚いた。(初登場シーンも背広姿だし。)でも、初作である本作からコロンボのしつこさはよく出ていて、細かいところに気がついて犯人を追及し、翻弄していくキャラクターは本作で既に確立されており、対する今回の犯人である精神分析医や事実上の共犯者であるその愛人のキャラクターもしっかりと描かれている。とくに犯人の愛人で、患者でもある女優は冒頭からいかにも気弱で不安そうに描かれていて、見ている自分にも気弱な部分があるからか、コロンボのような刑事にこれだけ追及されたら自分だったら自殺してしまうだろうと思いながら見ていたものだから、ラストのコロンボの仕掛けには見事にこちらもハマってしまった。シリーズこの後の作品と違ってやや真面目になりすぎていて、このままシリーズ化していたらそこまで長くもたなかったかもしれない(この次の「死者の身代金」ではこのあたりがだいぶ改善されている。)が、こんなコロンボもいいなあと思える作品だった。オープニング映像がカッコいいのも印象に残る。
[CS・衛星(吹替)] 7点(2014-04-15 18:03:06)
430.  刑事コロンボ/死者の身代金<TVM> 《ネタバレ》 
本格的なシリーズ化を前に単発ドラマとして作られた第2話である今回はシリーズ初の女性犯人となるが、上のあらすじにもあるように自分の成功のためだけに結婚した夫を殺害し、その後誘拐を偽装して身代金まで用意するなどかなり周到でいやらしい犯人像が描かれている。でも、こういういやらしい犯人だとコロンボとの対決は盛り上がるので面白い。わずかな証拠から疑いをかけ、犯人を追いつめるコロンボだが、その追及を余裕でかわしていく犯人との対決は見ごたえじゅうぶんで、解決シーンにもさほど強引さはなく、犯人がその性格があだとなって逮捕されるというオチも皮肉めいていて印象的。それに既にこのシリーズらしいユーモアがよく出ていて、中でもコロンボの高所恐怖症。犯人と一緒にヘリに乗っていて操縦桿を握らされてあたふたするコロンボには思わず爆笑させられたし、ラストの空港の喫茶店で札束を前にして支払いのために財布を探すシーンも笑えた。しかし、今回はやや間延びした部分があり、この後の作品に比べて本格的にコロンボと犯人が絡みだすのが遅く、そこが残念といえば残念。とはいえ、このシリーズの魅力はこれ一本でじゅうぶん伝わってくる、本格的なシリーズ化を前提とした単発作品としてはかなり上出来な作品だと思う。
[CS・衛星(吹替)] 6点(2014-04-15 10:27:17)
431.  刑事コロンボ/ホリスター将軍のコレクション<TVM> 《ネタバレ》 
今回の犯人は朝鮮戦争で活躍した軍人 ホリスター将軍。殺しを第三者の女性に目撃されてしまうという展開がこのシリーズでは珍しく、当然この女性は今回のキーになるわけだが、今回の犯人は自分の年齢も考えずこの女性を食事に誘ったり、ましてや家にまでのこのこやってきて今夜のニュースを見てくれと言ったりと行動が理解不能な部分が多く、目撃者の女性もそんな年齢の離れた将軍に惹かれていく理由がよく分からないし、将軍の凶器である拳銃の隠し場所が肝なのかと思って見ていると、自分のコレクションの展示会に堂々と展示してあるというギャグのようなお粗末さに呆れる。はっきり言って今回は脚本がおかしいとしか言いようのない出来で面白くないし、犯人にも魅力が感じられず、コロンボと犯人の対決らしい対決もなくラストが非常にあっさりとしているのもつまらない。ただこの作品はやはり犯行を目撃した第三者の人物が話に絡むという点は印象に残る。犯人の目撃者に対する接し方をもっとなんとかしていればひょっとしたら面白くなったかもしれない。
[CS・衛星(吹替)] 5点(2014-04-11 01:57:32)
432.  衝動殺人 息子よ 《ネタバレ》 
木下恵介監督が「香華」以来15年ぶりに松竹に凱旋して手がけた社会派映画。一人息子を通り魔に殺されたことをきっかけに犯罪被害者遺族に対する補償制度の実現に向けて動き出す父親を実話をもとに描いたストーリーで、見る前はちょっと硬すぎないかと思っていたが、いざ見てみるとすごく見ごたえのある骨太な力作映画になっていて最後まで見入ってしまった。今でこそ被害者遺族に対する補償制度は存在するのだが、この映画が製作された当時は無かったわけだから、木下監督はそこに疑問を持って本作を手がけたことが分かるし、実際に本作公開の二年後に補償制度が運用開始しているのは本作の影響もあるのではないかと思える。誰でもよかったという理不尽な殺人事件で家族を奪われた登場人物たちの悲しみがリアルにこちらに伝わってくるような心理描写はいかにも木下監督らしいし、きっと実際にこういう事件で家族や友人を亡くした人たちも同じ思いなのだろうと思わずにはいられなくなる。しかし、ドラマとしてはやや物足りない部分もあり、とくに主人公が自分と同じような境遇の人たちに会うために全国を渡り歩く部分が思ったよりもあっさりしていて、ここをもう少しじっくりと描いていればもっとストーリーに厚みが出たはずでそこが残念。本作で映画賞を総なめしたという主演の若山富三郎は東映ヤクザ映画での印象が強くなりかけていたが、本作ではそれをあまり感じさせることはなく、評判どおりの素晴らしい演技を見せていて間違いなく本作は「悪魔の手毬唄」と並ぶ若山富三郎の演技派としての代表作だと思う。そしてもう一人、そんな若山富三郎演じる夫を支える妻役の高峰秀子はこの頃はもう女優業は散発的になっていて、本作が最後の出演作とのことだが、衰えというものをまったく感じさせておらず、その存在感と演技はやはり別格だ。全国各地にいる被害者遺族を演じる出演者も豪華なのだが、大阪のシーンで登場する夫を殺された中年の女性を中村玉緒が演じているのは、同じシーンに若山富三郎がいるだけに「殺された夫=勝新」というリアルな想像をついしてしまい、この中村玉緒の登場シーンだけなんだか妙な気分になってしまった。
[DVD(邦画)] 7点(2014-04-10 18:25:42)
433.  眠狂四郎 殺法帖 《ネタバレ》 
雷蔵の代名詞的シリーズである「眠狂四郎」シリーズ第一作。シリーズものは一作目が最高傑作と言われることも多いのだが、本作はそれほどでもなく、このシリーズはそれほど見ていないのだが、本作の狂四郎はニヒルさやクールさが足らず饒舌でソフトなキャラに描かれている気がする。これはこれで悪くはないのだが、やはり狂四郎がキャラとして弱く感じてしまう。敵役となる若山富三郎演じる陳孫のキャラクターも中途半端な印象しかなく、クライマックスの円月殺法対少林寺拳法という対決もイマイチ盛り上がりに欠ける。(とはいえ一作目の今回早くも円月殺法が陳孫に真剣白刃取りされるのが印象的。一作目のクライマックスなのに。)そんな中でヒロイン役の中村玉緒は好演しており、悪女を演じた後年の「炎情剣」ほどではなかったが、それでも印象に残る演技を見せている。全体的に見てまだ試行錯誤という感じの一作目だったが、シリーズとして本格的な路線が出来上がるのは二作目である「勝負」以降なのだなと感じたし、もしかしたらシリーズ化されずにこれ一本で終わった可能性もあったかもしれないだろうから、そうならなくて本当によかったと思えた。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2014-04-10 00:08:17)
434.  座頭市牢破り 《ネタバレ》 
独立プロダクションを設立した勝新がその第一作として取り組んだ座頭市シリーズの一篇。これだけで勝新のこのシリーズに対する意気込みが伝わって来るし、監督を社会派の山本薩夫監督にしたのもこれまでのシリーズとは違う作品にしたいという勝新の意図があったのだろう。結果、いかにも社会派監督らしい映画に仕上がっていて「座頭市」シリーズとしては確かに異色作なのだが、考えさせられる内容で映画としてはなかなか見ごたえのある作品だったと思う。理屈で分からない者は斬るしかないという市に対してこの作品ではそれとは正反対の思考を持つ刀を持たぬ侍・大原(鈴木瑞穂)が登場する。この相反する二人であるが、市はこの大原という侍に惹かれていく。この二人の友情にも似た関係がうまく描かれているのがまずいいし、下の方も書かれておられるようにいつもと違い、単なる勧善懲悪ではないあたりや観客に判断を委ねるようなラストに深さがあるのも良かった。ただ、このシリーズらしいユーモラスなシーンもあるものの、やはりシリーズとしては話が重くなりすぎ、そこらへんが評価の分かれるところだとも思う。三國連太郎演じる朝五郎が前半と後半では全くキャラが違い、演じる三國連太郎の演技力の凄さを感じさせているが、この朝五郎の人物描写が不足気味で、もうちょっと前半に後半への伏線を敷いておいたほうが良かったような気がして、そこがちょっと惜しい。とはいえ、この作品、決して嫌いではない。
[DVD(邦画)] 7点(2014-04-05 14:43:20)
435.  あした来る人
川島雄三監督の映画、かなり久しぶりに見る気がする。あまり期待はしていなかったのだが、三橋達也、月丘夢路、新珠三千代、山村聡のドロドロとした複雑な人間関係がリアルに描かれていてなかなか見ごたえがあって面白かった。こういうドロドロとした話だと暗く重い雰囲気になりがちなのだが、「洲崎パラダイス 赤信号」がそうであったように見ていてそこまで暗い映画だなという印象がないのはやはり川島監督らしいし、「洲崎パラダイス 赤信号」の主演コンビである新珠三千代と三橋達也が本作でも共演してるのは嬉しい。三橋達也は本作でもダメ男役なのだが、やはりこの俳優は誠実な役柄よりもこういう煮え切らないだらしないダメ男のほうが圧倒的にはまっていると思うし、そういう男に妻(月丘夢路)がいることを分かっていながら不倫に走ってしまう女を演じる新珠三千代もまたはまり役で、やっぱり川島監督の映画でのこのコンビは最高だと思う。しかしやはり川島監督の映画としては「洲崎パラダイス 赤信号」のほうが出来としては上のように感じる。冒頭の回想シーンから現在に戻るときのつなぎ方が面白い。三國連太郎扮するカジカの研究に没頭する男はどちらかといえば傍観者的立場に描かれているが、彼がいることによってこのドロドロとした物語を比較的冷静に見られるという側面もあると思う。
[DVD(邦画)] 7点(2014-03-29 01:52:07)
436.  刑事コロンボ/溶ける糸<TVM> 《ネタバレ》 
今回の犯人はレナード・ニモイ扮する野心家で冷静沈着な心臓外科医で、犯行は意見が対立した心臓治療の新技術を共同研究している自らの患者でもある博士の手術中に細工を施し、それだけでなくそれに気づいた看護婦までも殺してしまうという残忍なもの。それで涼しい顔をしているのだから相当にいけ好かない犯人である。もちろん頭も切れ、コロンボになかなか証拠を掴まさせない。この犯人とコロンボの対決も見どころなのだが、今回は犯人と被害者である博士や看護婦のドラマがしっかりと描かれ、物語的にも面白いエピソードになっていたのが良かったし、この犯人が最後の最後までコロンボの追及をうまくかわしていく(コロンボが犯人に対して怒るのも珍しいが、敗北宣言をするのはもっと珍しい。)ので本当にこの事件は解決するのかというドキドキ感がエンド直前まであるのも○。しかし、このシリーズには邦題でネタバレしているものがいくつかあり、この「溶ける糸」もそれに当てはまっているのがちょっと残念。それにしても今回の犯人は劇中で合計三人も手にかけており、このシリーズの犯人の中ではやはり残忍さが際立っている。
[CS・衛星(吹替)] 7点(2014-03-25 14:08:39)
437.  刑事コロンボ/二つの顔<TVM> 《ネタバレ》 
冒頭に犯行シーンが描かれ、コロンボが容疑者と睨んだ男(マーティン・ランドー)に追及を始める。ここまではいつも通りの展開なのだが、このエピソードでは容疑者の双子の兄が登場することによってどちらが犯人なのか分からなくなるというミスリードがあり、倒叙ものでありながら視聴者もコロンボと一緒に犯人を推理していくという構成になっているのが面白い。しかし、結局はその双子の共犯というやや反則ぎみの結末だったのはせっかく犯人は双子のうちどちらかというミスリードで最後まで引っ張っていただけに非常に勿体ない気がした。仲の悪い双子という設定だったのでこのエピソードに影響を受けたであろう「古畑任三郎」の「ラストダンス」のような展開でも良かったような気がする。とはいえ今回は笑えるシーンが多く、飛び入りで料理番組に出演するコロンボのあたふたする姿もコミカルだが、やはり本作のいちばんの笑いどころはコロンボと家政婦のやり取り。コロンボがことあるごとに家政婦に怒られるシーンが最高に面白く、双子とのやり取りよりも印象に残り、ひょっとしたら今回のコロンボは双子の犯人よりもこの家政婦のほうが手強かったのではないかと思えるほどだ。既に書かれている方もおられるが、中でもようやく機嫌を直した家政婦の前でテレビを修理しようとして失敗し、それが原因でまた怒られるシーンはコントのようで楽しい。家政婦の吹き替えを演じる文野朋子(神山繁の奥さん)の声もヒステリーな家政婦のキャラにピッタリとはまっていた。
[CS・衛星(吹替)] 6点(2014-03-22 13:03:36)
438.  どぶ鼠作戦 《ネタバレ》 
「独立愚連隊西へ」に続き、岡本喜八監督が再び佐藤允と加山雄三を主役に起用した戦争映画で、タイトルからは分からないが「独立愚連隊」シリーズの3作目にあたる作品になる。今回は前2作に比べてやや複雑なきらいがあるのだが、それでも雰囲気的には完全に前2作を踏襲しているのが嬉しいし、喜八監督の演出もこの人らしいテンポのいい見せ方で見ていて飽きさせないし、やっぱり痛快さがあるのがなによりいい。ストーリーは敵の捕虜になった関大尉(夏木陽介)を佐藤允扮する百虎に集められた特務隊が救出に向かうというものなのだが、このメンバーが一癖もふたくせもあるような個性的な連中なのも面白く、中でも忍術を研究しているという砂塚秀夫演じる佐々木二等兵が脱出のためにパントマイムを使うシーンなどは傑作で思わず笑ってしまった。(この人は同じ喜八監督の「戦国野郎」でもコミカルな演技が印象に残っている。)喜八監督らしさは戦争そのものについてもよく出ていて、関大尉が自分の命令で銃殺になった捕虜の幻影に苦しめられるところはリアルだし、自らが捕虜になった後に主治医としてやってきた軍医がその銃殺された捕虜にうり二つというのも皮肉が利いていて印象に残る。それに日本軍についてもちくりと批判をやってみせるのも喜八監督らしいところである。関大尉や正宗大尉(藤田進)が独立愚連隊となった特務隊に加わり、日本軍に反旗を翻すラストシーンが爽快で好きなのだが、このシーンの正宗大尉のセリフが黒澤明監督の「隠し砦の三悪人」での藤田進の「裏切り御免」を意識したものになっているのが笑えるし、特務隊が結婚式に紛れてという展開も「隠し砦の三悪人」を思わせている。思えば、喜八監督が本作の翌年に手がけた時代劇「戦国野郎」も「隠し砦の三悪人」に似た雰囲気の映画になっていたので、やはり喜八監督は「隠し砦の三悪人」が好きなんだろうなあと思わずにはいられない。
[DVD(邦画)] 8点(2014-03-20 17:32:39)
439.  暗黒街の弾痕(1961)
岡本喜八監督の暗黒街シリーズ3作目。ヤクザ映画という印象が強かった前2作と違い、自動車業界を舞台に産業スパイを描いていて、主演も鶴田浩二や三船敏郎に代わって「独立愚連隊西へ」や「戦国野郎」などで息の合ったところを見せていた加山雄三と佐藤允のコンビが担当し、前2作とは毛色の違う作品になっている。同じく自動車業界の産業スパイものといえば増村保造監督の「黒の試走車」が思い浮かぶが、本作はサスペンスよりもアクション映画としての色合いが濃く、同じ題材でありながら受ける印象はまったく違う。しかしあくまで娯楽アクション映画に徹したことと主演ふたりの対照的なキャラクターが喜八監督の作風に見事にマッチし、喜八監督の持ち味がじゅうぶんに発揮されていて、演出も前2作と比べると明らかにイキイキとしているのが嬉しい。結果、喜八監督が手がけた暗黒街シリーズの中ではいちばんこの監督らしさが出ていて面白かった。それに加山雄三と佐藤允のコンビがやはり本作でも息の合ったところを見せていて、このコンビの良さもしっかりと出ている。喜八監督の暗黒街シリーズとしては最後の作品になるのかもしれないが、その中ではぼくも本作がいちばん好きだ。
[DVD(邦画)] 8点(2014-03-13 18:26:49)(良:1票)
440.  刑事コロンボ/毒のある花<TVM> 《ネタバレ》 
今回は新製品のしわ取りクリームをめぐる化粧品会社女社長による殺人事件が描かれているが、被害者(マーチン・シーン)と言い争っているうちに衝動的に撲殺するという展開はちょっといただけず、せめてもう少し犯行に計画性が欲しかったところだし、この犯人の行動も胆略的なところがあり、化粧品会社の女社長という立場の人間にしてはさして美人というわけでもなく、あまり設定に説得力が感じられない。吹き替えの声もはっきり言って微妙で違和感を感じるし、このシリーズの犯人としてもあまり魅力を感じることができず、コロンボと犯人の対決もたいして盛り上がらないまま終わってしまった感じ。冒頭のシーンがいかにも意味ありげに描かれていたが、そこは今回のストーリーにはほとんど関係がなく、そこに登場する博士(ビンセント・プライス)もあまり絡んではいないのでなんでこんな思わせぶりなオープニングにしたのかがよく分からない。全体的に構成が雑で旧作シリーズの中ではイマイチのエピソードだと思うのだが、事件のきっかけとなった新製品のクリームが事件の証拠だと思い込んだ犯人がそれを海に投げ捨てた直後に別の証拠によってコロンボに逮捕されるラストシーンだけは皮肉が利いていて印象に残る。
[CS・衛星(吹替)] 4点(2014-03-11 17:20:49)(良:1票)
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