421. テルマ&ルイーズ
女が自分を主張して突っ走った先にあるものは結局はどんづまりだった、という描き方にはやっぱり間違ったフェミニズムを感じた。彼女達は自分達は解放されたのだと考えるのだろうけれど、「結局女はポジティブな形では開放されないんだよ」と言われているようで納得いかない。結局は男目線の女性映画。 5点(2004-01-19 15:03:23)(良:1票) |
422. ネクロマンティック【特別版】
けなされっぷりが見事であまりにも可哀想なので、私はこの作品とユルグ君の弁護をしたいと思います(笑)。彼は変態ガイキチ野郎と揶揄されますが、実は神経性の胃炎で薬が手放せないという位繊細な人です(本人が多分出てましたね。男の同僚役のブロンドののっぽは彼じゃないかな)。私は死の三部作は全部観たけれど、結果として彼の作品は全部好きです。先に「死の王」と「シュラム」を観たからこその考えかも知れないのですが、こいつは映像作家ですよ。この作品も前衛作品なんです。そういうと非難轟々だろうけれど。彼の作品には凄いこだわりを感じます。映像、演出、編集、音楽。私はみなさんのように「キモい汚いグロい気色悪い大嫌いだ最悪だモラルがない…」という風に激しい感情は全く湧かなかった。むしろひどく醒めた穏やかな気持ちでぼんやり観てました。そうして観ていて思ったのは、この監督は明確に撮りたいもの、やりたいものがあって、そのヴィジョンにのっとって行動し、全く妥協が出来ない職人気質の不器用な人なのだろうな…ということ。そしてそれが認められないという彼の悲哀を画面から感じるんです。ストーリーや屍姦の話なんて私にはどうでもいいんです(笑)。興味も湧かない。でもこの作品に関しては内容云々よりも、その姿勢に惹かれた。「少数派の決然とした主張」みたいな。そういえば「ピンク・フラミンゴ」にも同じことを感じたなあ、と。偏愛にせよ、愛があるんです。この監督は1つの作品に1年位かけて、出来ても毎回即座に裁判所命令で上映禁止処分を下されるんです(笑)。今は危険人物として当局に監視されています。どうやって食ってるんですかね。マイノリティーの悲哀を身を以って表現してくれる、自己犠牲精神溢れるクリエイターですよ(笑)。ちなみに屍姦云々というテーマが気になる方がいらっしゃったら、「キスト」という作品がありますよ。あっちは画的には全然汚くないですけどね。 7点(2004-01-19 00:18:52)(良:1票) |
423. ベイブ/都会へ行く
《ネタバレ》 ベイブは相変わらずやばい位かわゆい。いや、良かった。ほんと良かった。「ベイブ/都会で逝く」にならなくてほんと良かった。 7点(2004-01-18 14:35:32)(笑:2票) |
424. ベイブ
かわゆい。本当にかわゆい。ピンクのお肌が素敵。魅力的なベイブ。ちきしょう、私を魅惑しやがる…。ベイブ観てるだけでご飯が2杯食べられる。いや、ベイブが旨そうという意味ではなくて。子供や動物ものは卑怯です。丸みのある哺乳類愛好家の私にはたまらない。いや、たまらない。たまらないよ、こりゃこりゃ。 7点(2004-01-18 14:28:36) |
425. トイ・ストーリー
CGアニメ業界の革命的作品でしたね。当時は凄いことやってくれるなーと感動した。映像は綺麗だしキャラも可愛い。でも観ていて頭が痛くなってしまった。私だけでしょうか?こういうあまりにも人工的な映像はやっぱり目に悪いのかな…と思ってしまった。たまにはいいけれど、もしスタンダードになってしまったら私はちょっと嫌だな。 6点(2004-01-18 14:19:41) |
426. バトル・ロワイアル
まだ原作を周りの誰も知らない頃から、「これは100万部売れる!凄く面白いんだってば!」と布教していた私。みんな「え~」と興味も示さなかった。1年半後、映画化で日本全国でブームになった。「ほらね、私が正しかったじゃん」と1人悦に入っていた私は誘われて映画を観に行った。そして原作にとても思い入れがあった為か「…何だ、駄作だな。全然だ」と激しく失望した。そのまま失敗作品として焼き付いてしまっていた。でも最近、ひょんなことからもう1度観てしまい、その時は驚いた。「いや、結構響くわ」と。以前は感じなかったものをその時はびしびしと感じた。エンドロールの、もう今は死んでしまったクラスメートたちの生前の集合写真とドラゴン・アッシュの曲。もう戻らない、極限の喪失感。大人になることでちょっとずつ色々なものを喪失して来たと日々感じていた私には、とても痛かった。最初に観た時より、遥かにその喪失感が響いた。そういうことは結構あります。最初はつまらないと思った作品を数年後に見返すと、目からうろこが落ちることもあるものです。人の心は不思議。それを知る上で映画ってやっぱり貴重ですよ。 6点(2004-01-18 14:08:20) |
427. 極道恐怖大劇場 牛頭(ごず)<OV>
映画革命です。素晴らしいです。「リンチがヤクザ映画を撮ったような感じ」とよく言われているけれど、まさにそんな感じ。参りました。何というか、脱力系で戸惑い系でシュールで俗世を超越したある意味高尚な笑い。違う世界を垣間見れます。主人公と一体化して奇妙な世界に迷い込んでしまう。リンチ好きには是非観てほしい。これを逃す手はないです。ただ、リンチよりもある意味過激でエグいです(笑)。フランス人にも受けたという話ですが、どうしたって日本人程にはこの作品を笑えないでしょう。笑いのツボを挙げたらキリがないですが、私は名古屋の警察の、自分の出身地についての一言が笑えました。そして、吉野きみ佳の女優魂溢れる捨て身の怪演には賛辞を送りたいと思います(笑)。そして、三池監督は観客に最後まで油断を許さない。エンドロールの奇奇怪怪な歌詞のシャンソン曲には大爆笑。 10点(2004-01-18 13:34:59)(良:1票) |
428. ザ・ロイヤル・テネンバウムズ
冒頭から、上手い!と思いましたもん。そのセンスには脱帽。ラコステワンピ、毛皮、おかっぱヘア、極太アイライン、天然パーマネント、アディダスの赤ジャージ、アディダスの黒ジャージ、老いたビーグル。その小物使い全てが絶妙で大好きです。ルーク・ウィルソンとオーウェン・ウィルソンは実の兄弟であからさまにそっくりなのに、作中で何となく同性愛チックな雰囲気を出していたりとか、笑いました。そして彼らがシリアスな話をするシーンで、彼らは大真面目なのに後ろの壁に掛かっている絵はあまりにも珍妙だったり、通るタクシー通るタクシーみんなボロボロで名称が「ジプシータクシー」でしかも乗っているのはなぜかジプシーではなくターバンを巻いたインド人だったり。そういうセンスのあるゆるーい知的な笑いがことごとく私をノックアウトしました。この監督はこの作品の細部まで例えば小物の位置1つまで、1mmも妥協を許さなかったそうです。インテリアなどは本当に素敵。凄いセンスと手腕だと思います。私はこの作品はかなり好きです。 9点(2004-01-18 12:53:50) |
429. デリカテッセン
随分昔、何かで「美術系学生が選ぶ映画ベスト3」とあって、この作品が入っていた(ちなみにもう2つは「時計じかけのオレンジ」と「ブレードランナー」だった)。近未来でありながらあまりにもクラッシック。陰惨でひどく暗色な画面なのにどこか滑稽で和気藹々。シリアスなのかコメディなのかも不明。一癖も二癖もある奇妙奇天烈な世界観。この作品はジャンル分けを見事に拒否しつつも、その世界観をきちんと自己消化している。どうもこの監督は「おれは一筋縄ではいかないぞ」という食えない奴だな、とジャン・ピエール・ジュネのイメージが私の中で固まってしまった作品(だから、「アメリ」が大衆作になってしまったことが不思議でならない。あれもジュネ色たっぷりなのに)。ちなみに私の近所のレンタルビデオ店ではこの作品がなぜかホラーの棚に置いてある。何か間違っている。 9点(2004-01-18 12:36:22) |
430. シックス・センス
あれだけ伏線があったのに(てゆうか最初の主演のあいつの注意コメント自体今考えたら充分出落ちだろう)、なぜ気付かなかったんだろう。劇場を出てからしばらく友人と「あのオチぁ凄ぇや!やりおるわ!」と騒いだ覚えがある。今考えるとあほだなあ…と思うのだけれど、当時のリアルタイムの気持ちを大切にして、高評価したい。ちなみに2度目はTV放送で観たのだけれど、その時は別の意味で感心した。伏線やプロットが見事なまでに巧妙に計算されている。実に丁寧な作り。リピーターが続出する訳ですよ。ハーレイ君の演技も本当に素晴らしかった。ちょっと小柄さが心配だけれど。大きくなれたらいいね。 8点(2004-01-17 15:15:21) |
431. ドニー・ダーコ
ドニー少年は戦った。この物語は何らかの抗えない大きな力により前提された「彼を取り巻くもの全て」対「彼たった1人」の戦いだった。これは痛々しく壮絶な青春映画だった。ドニー少年のとてつもない孤独な青春。「世界がおかしいのか?自分がおかしいのか?」。彼たった1人の戦い。でもそんなものに答えはない。全ては反転し合い転がって行く。何が正常なのか?いや、何か正常なのか?ラスト、彼は全ての原理に気付いたのだろうと思う。彼の高笑いは全てを悟った彼の心情を如実に表しているのだろう。そして彼の本質的な孤独は、孤独だからこその一抹の清々しさを残して物語を終結させる。心に引っ掛かりを残す、でもそれを如何様にも読み解ける取っ掛かりも残す。そんな不思議な不思議な余韻を残す作品。監督25歳の才能。 9点(2004-01-17 14:59:03)(良:2票) |
432. [Focus]/フォーカス(1996)
まるでドキュメンタリーのようなあまりにもリアルな人物描写と展開に「これは本当に映画なの?現実じゃないの?」と錯覚を覚え、驚くほど自然な浅野忠信のブチ切れ演技に「マジでドキュメンタリーみたい…」と不安と戸惑いを覚える。その場に居合わせたような息詰まるような感覚。観終わると緊張の糸が切れ、ぐったりする。おそらくもう2度と観ることはないだろうけれど、恐ろしい程の臨場感とリアリティーに富んだ、新感覚な作品であることには間違いない。 5点(2004-01-17 14:02:15) |
433. ボーン・コレクター
「サイコホラー」としてはその精神性の部分が上手く描けていないし、「推理ミステリー」としてはプロットや人物描写に難がある。犯人に関してはほんとに「何であの人が?」という感じ。その「何で?」を観客が観終わった後も引きずってしまうという時点でその描写は失敗している。犯人があの人であることに対する説明不足、説得力不足。ストーリーに深みがもうちょっと欲しかった。キャストはとても豪華なんだしね。 5点(2004-01-17 13:39:22) |
434. 忘れられない人
たまにあります、こういう映画。もう使い古されたような手をあえて直球に使って来るようなやつ。「うあー、来たー、忘れた頃にヒットマン来たー」という感じです。ぶっちゃけおいらはクリスチャン・スレーターの母性本能くすぐりっぷりに殺られてしまいました。もう製作者の思うつぼです。しかもうちの母親も殺られました(笑)。彼女は「初恋のきた道」を観ても「お母さんの年代になるとこんなキレイごとの映画じゃ感動出来ない」みたいなこと言ってたくせに、結局こんなベタ映画に殺されました。びっくりです。いやはや、こんなベタを今更直球に投げて来るなんて凄いですよ。びっくりです。殺傷能力高過ぎます。 8点(2004-01-17 13:25:04)(笑:1票) |
435. 月の輝く夜に
ああ、粋だなあ。粋な大人のラブストーリー。キャストに拍手。シェールとニコラス・ケイジの組み合わせは最高に素敵だった。気の強い勝気な年上女に、殴られ上手の年下男。イタリア的感性炸裂の恋愛コメディ。私はかなり好き。周りのキャラもいい。傍から観ると二転三転の孫の恋愛劇に「訳分からん」と泣き出すおじいちゃん、最高! 8点(2004-01-17 13:01:36)(良:1票) |
436. 100万回のウィンク
やたらとドリュー主演のラブコメ映画が量産されていた時期で、これもその一環だったかな。ストーリーなんてどうでもいいし、脚本なんかズタボロなんだけれど、彼女も映画自体の雰囲気も可愛かったので良しとします。こういう馬鹿馬鹿しい可愛らしさ、結構好き。 6点(2004-01-17 12:51:35) |
437. RAIN/レイン
タイ映画と聞くとついついエキゾチシズム風味たっぷりのものを想像してしまうけれど、最近は「69」といいこれといい、むしろ洗練されたものが多いな、という印象。ストーリーや設定に難はあるけれど、映像や演出に新世代のものを作ろうとする意気込みがあり、それが伝わって来るので、その点はいいと思う。あと男優女優に美形が多いな、と思った。 6点(2004-01-17 12:36:05) |
438. マウス・オブ・マッドネス
カーペンター監督の作品の中ではかなり上質な作品。他の作品に比べて滅茶苦茶ぶり破綻ぶりがやけに控えめ(笑)。世界が狂い変容していく様をB級風味たっぷりに、でも結構真面目に描いていて、ちゃんと観れます(笑)。特にあの町の造形は素晴らしかった。明るく整然としたクリーンな町。でもそこに感じるあの不気味さと異質さ。いいですねえ。好きよ。 6点(2004-01-17 12:27:49) |
439. ミミ
ギャスパー・ノエ大好きっ子の私としては、彼の公私に渡るパートナーであるルシール・アザリロヴックの監督作は見逃せないので手を出した。やっぱりギャスパー色が強いな、という印象。あの人の作品を観ると、フランスはこんなに病的なの?といつも思う。都会の大人という狼に狙われた、赤頭巾ちゃんならぬ、黄頭巾ちゃんの物語。 7点(2004-01-16 16:07:58) |
440. 髪結いの亭主
今まで観て来たラブストーリーの中で唯一無二、恋人たち2人の両方とも心から好きだと思った作品だった。この2人程「ああ、いいなあ。この人たち大好きだ」と思った恋人たちはいなかった。なぜかは分からないけれど、きっと私の琴線にひどく触れたのでしょう。表面的には穏やかでも、内には激しい思いが渦巻いている、私はそんな映画が好き。この作品も「ベティー・ブルー」とかと本質は一緒なんです。根っこの部分はとても激しい。2人の愛はいつか必ず「恋愛」から「家族愛」へと変容するであろうこと、それを見越した妻。それに耐えられなかった彼女。彼女は自分が「女」であることを大切にしたかった。そしてついに「女」であるまま逃げた。妻はある意味勝ち逃げをし、夫は静かな喪失感と共に残される。あのあまりにも切ないラストは、いつまでもいつまでも心に残る。私はDVDを持っているのだけれど、買ってからはまだ1度も観ていない。こういう作品はなかなか気安く観れないのです。 9点(2004-01-16 15:54:40)(良:1票) |