481. 最愛の子
子どもの行方不明事件が後を絶たない中国。子どもの人身売買が大きな社会問題になっている中国。一人っ子政策下の中国。 都市部が急速な経済発展を成し遂げるほどに広がっていく農村部との格差。 香港が中国に返還されて久しいですが、香港出身の名匠ピーター・チャンが 実際に起こったある誘拐事件を描きながら、その事件の背景から垣間見えてくる現代中国に内在する問題に言及する社会派の秀作です。 誘拐された子どもの両親、誘拐の実行犯の夫に先立たれるもその子どもに実の子の様に深い愛情を注ぐ誘拐犯の妻。 どちらの気持ちも痛いほどに伝わってくるのですが、ピーター・チャンはそのどちらにも寄り添う。 子どもが行方不明になった親たちが結成した被害者の会のメンバーのある夫婦。妻が妊娠するくだりも印象に残る。 一人っ子政策にある中国では、それは認められない。認められるには、無事を信じ必死で探している我が子の死亡届が必要という。 親にとってこんなに辛いことがあるだろうか。ここにもピーター・チャンが本作に込めた強い思いを感じます。 僕が知っているのはヴィッキー・チャオだけでしたが、主要キャストが皆、好演しています。 ざっくりとした作品の知識はあったので、ヴィッキーは最愛の我が子を探し続ける母親として登場するのかと思いきや意外なキャスティングでした。 かつてはその言動が問題視されることが多いお騒がせ女優だった彼女。しかし久々に見たそんな彼女の演技力に驚かされました。 ピーター・チャンの作品を見るのも久々。中国が抱える負の部分に踏み込む難しい作品をきっちり仕上げる、監督としての貫禄を感じる作品です。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2017-09-06 21:15:27) |
482. 素敵な人生のはじめ方
本作のモーガン・フリーマン、有名な俳優というだけで役名がありません。でも、それで全然OK。 作品の中で彼と会う人たちは、みんな彼のことを知っている。 現実のモーガン・フリーマンは相変わらず途切れることなく映画に出続けていますが、 演じる男は現実の自分自身とは異なり、久々に俳優にカムバックしようとしているかつての名優。 復帰作の役作りのためにスーパーを訪れる序盤は「もしもモーガン・フリーマンがふらっと町中のスーパーに現れたら」みたいな感じで、 飾り気のない彼の魅力がとてもうまく引き出されています。 演じる男は役作りのためにスーパーを訪れたりしていますが、本作のフリーマンはありのままのフリーマンという感じです。 パス・ベガ演じる、現状から脱却しようともがくスーパーのレジ係の女性。フリーマンとのたった1日の交流が彼女の心に安らぎを与える。 そんなモーガン・フリーマンを見ているだけで何とも言えない安心感のようなものがある作品です。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2017-09-02 17:43:05)(良:1票) |
483. 山羊座のもとに
1940年の「レベッカ」以降、アメリカに渡ったヒッチコックですが、49年の本作はイギリス映画となっています。 ヒッチコックのアメリカ映画、特に全盛期を迎える50年代以降の作品とは全く趣を異にする異色作。 1700年代のまだイギリスの流刑地だった頃のオーストラリアを舞台にした史劇的メロドラマ。 オーストラリアで財を成した大富豪のもとに嫁いできた、精神的な不安定さを見せる美しい妻、嫌な雰囲気を醸し出す家政婦。 そんな人物描写には「レベッカ」を思わせる部分もあり、18世紀イギリスの階級社会を感じさせる人間関係にはサスペンス的要素が内在しますが、 軸となるのはあくまでも2人の男とイングリッド・バーグマンを巡るメロドラマとなっています。 後にヒッチコックは本作を失敗作と評したそうですが、カラーで撮られた40年代のバーグマンを見ることができる作品。 特に中盤の舞踏会での彼女は、大勢が一堂に会する舞踏会シーンにあって際立つ美しさがありました。 [DVD(字幕)] 6点(2017-08-28 22:03:44) |
484. シノーラ
《ネタバレ》 この頃のイーストウッドは西部のガンマンを演じてもサンフランシスコのアウトロー刑事を演じても 何をやってもカッコよく、それだけでも一定の満足度が得られます。 尺が短いので仕方がないのですがメキシコとの国境の町における 白人の悪徳地主と、彼らに土地を追われたメキシコ人達とのドラマが不十分なので イーストウッドのカッコよさが際立っている反面、ロバート・デュバル演じる悪役の存在感が今一つ。 中盤までは地味な展開が続きますが、スタージェスらしくアクションの見せ場はしっかりと挿入されています。 機関車で豪快に町に乗り込み、決着の時を迎える終盤の展開にはスカッとさせられます。 デュバルに弁護をする暇も与えず一発で息の根を止める。裁判所での寡黙な最終決着もイーストウッドらしかった。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2017-08-26 17:06:03)(良:1票) |
485. ミリオンダラー・アーム
《ネタバレ》 メージャーリーグへの夢を追いかける実話をベースにしたディズニー映画。「オールド・ルーキー」が思い出される。 本作も同じく、MLBのスーパースターになり莫大な富を得たという訳ではないけど、野球に夢を見た男たちの実話。 本作の主人公は選手ではなく、エージェントであるJBバーンスタインという人物。スポーツイコールビジネスという男。 彼がインドで発掘した2人の金の卵との二人三脚の奮闘記と思いきや、うまくいかない。野球も、彼らとの人間関係も。 しかしいい実話モノには必ず、そんな彼らを支える素敵な人物の存在がある。 インドからやってきた純粋な2人の若者。彼らにとって母のような姉のような存在、ブレンダ。 2人の若者と一緒にインドからやって来たエージェント見習いの男のコミカルな存在も効いている。 そんな彼らの存在がJBの心を変えていく。 「私はビジネスを優先させすぎていた。野球はビジネスが全てじゃない。野球を楽しむんだ。」 2度目のトライアウトではこの言葉通り、2人と共に野球を楽しんでいるJBの姿があった。 野球というアメリカンドリームに挑む若者の物語であるとともに、いい出会いが人を変えていくドラマでもあると思う。 実話モノゆえにドラマチックな展開も無く、当然彼らがトントン拍子にメジャーのマウンドに上がれるということもなく、 (ピッツバーグ・パイレーツと契約したとあるが、マイナー契約であると思われる) 感動をあおるような演出も控え目にされていますが、本作もまたディズニーらしい良作です。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2017-08-26 17:02:54)(良:1票) |
486. 華麗なる殺人
近未来を舞台に、人間が持つ闘争本能が戦争や無差別殺人に向かわないよう、 ルールに則った上で殺人をゲームとしてシステム化してしまったというSFアクション・サスペンス。 「昔からこのシステムがあればヒトラーは出現しなかった」といった台詞もありましたが、 所詮このシステムも人と人が殺しあっていることに変わりはなく、人間の持つ野蛮な一面に対する皮肉り方が面白い。 しかし音楽や登場人物の衣装に室内装飾といった作品の世界観が妙にオシャレにポップにまとめられていて 殺人ゲームという殺伐とした空気がほとんど感じられない一風変わった作品。 60年代、まだまだ若いマストロヤンニがいつもとは違うクールな2枚目ぶりを披露する作品ですが、 当時としては結構奇抜な作品だったのかもしれません。 [DVD(字幕)] 6点(2017-08-18 15:17:48) |
487. ハーフ・ア・チャンス
ベルモンドとアラン・ドロン。フランスが世界に誇る同世代の2大スターの共演ですがこの2人、意外に共演作が少ない。 2人の共演は「ボルサリーノ」以来になるのかな? クールなドロンと陽気なベルモンド。「ボルサリーノ」で2人が演じたキャラもそのままに、 と言うよりは2人のキャリアを通して、多くの人が思い浮かべるであろう2人のイメージをそのままに、 90年代に入り初老に差し掛かった2人の楽しそうな共演の姿を見ているだけで微笑ましい気分になる。 ドロンのクールな眼差しと、ベルモンドの何とも言えない味のある笑顔。 年は取りましたが2人ともカッコいい。この2人の、僕が好きな魅力が全く変わっていないことも嬉しい共演です。 監督はパトリス・ルコント。この2人より少し若い彼にとってはその昔、 この2大スターの全盛期の映画を夢中で見ていたであろうことも想像できます。 この2人のW主演の映画を自身の作品の中で実現させたかったのでしょう。 予想外のルコントの遊び心と、余裕しゃくしゃくで実に楽しそうに作品の中での再会を楽しむ2人。 脚本、ストーリーはなんてことの無い作品ですが、本作はそれだけで十分な作品です。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2017-08-17 15:20:03) |
488. パニック・トレイン
2013年の作品ですが、もうちょっと前の映画に見えるし、低予算の香りが漂うイギリス製の暴走列車モノです。 この手の映画にしては登場人物が少なくキャストも地味で華や派手さはない作品ですが、なかなか健闘していると思います。 動機も正体も、風貌も不明。犯人の姿もほとんど見せない。列車を乗っ取り暴走させ、操縦する腕などを時折一瞬とらえるのみ。 スピルバーグの「激突!」のトレーラーのドライバーを思わせますが、 犯人の意思や思惑が明確ではないので「激突!」のような不気味さは感じません。 100分足らずの作品ながら、あれ?この列車、ちょっとおかしいぞ・・・。と気づく頃には30分以上が経過していた。 スロースタートではあるのですが、乗客が力を合わせ、知恵と勇気を振り絞り列車を止めようとする後半のアクションはなかなかの見ごたえ。 それだけに、暴走する列車に残された数少ない乗客は全員が助かってほしかったですけどね。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2017-08-07 16:28:56) |
489. バッドボーイズ(1995)
W主演のマーティン・ローレンス&ウィル・スミスの凸凹コンビのコントのような軽妙なやりとりに マーティン・ローレンスのしゃべくりはなかなかの面白さです。 それまでの作品の空気を一変させての終盤のアクションはかなりの気合が入っています。 この手のお気楽アクションコメディにしてはド派手かつスタイリッシュにまとめられています。 このあたりはさすがマイケル・ベイ&ブラッカイマー、しっかりやりたいことやってるという感じです。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2017-08-07 16:22:48) |
490. リピーテッド
夜、眠りにつき朝目覚めると記憶が無くなってしまう女と、自分は夫だと説明する男。 無表情で感情をあらわにすることも無い夫。何を考えているのか読めない。彼は本当に夫なのか?信用していいのか否か。 ミステリアスでサイコサスペンス的な序盤の展開。漂う雰囲気も悪くはないし 登場人物をかなり絞り、尺も短く無駄の少ない作品だとは思うのですが、 面白くなりそうだった作品が事情が明らかになるにつれ失速していきます。 こういうことになってしまった事情がもう少し何とかならなかったものか・・・。 作品に漂う雰囲気やコリン・ファース&ニコール・キッドマンは見応え十分なだけに勿体ない作品です。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2017-07-22 17:38:21) |
491. 結婚しない族
多くの素晴らしい映画を撮っているノーマン・ジュイソンですが、本作はそんな彼の数少ない失敗作だと思う。 ノーマン・ジュイソンは好きな監督だし、主演ゴールディ・ホーンも大好きなだけに残念な作品。 シリアスな要素を含んだ苦みのあるコメディを狙ったのだと思いますが、最後まで共感できず笑えず。 うまくいっていない時でも元気いっぱい、ゴールディだからこその魅力があるのだと思うのですが、 本作ではそんなゴールディの魅力も全く不発に終わってしまいました。 ただ、この頃(80年代前半)の作品なので、やはりゴールディは可愛かったですけどね。 [CS・衛星(吹替)] 3点(2017-07-20 22:10:50) |
492. ジャガー
ヴェベールの作品としては、特に後半のアマゾンに乗り込んでからはコメディ色が薄い作品にしてかなり微妙な味わいがある作品。 しかし前半、アマゾン先住民の霊媒師の男がとある事情でパリにやって来て、 ほとんど裸の恰好でパリの高級ホテルやパリ市内をさまようシュールすぎる姿と、 そこで出会った借金まみれのいい加減な(そしてちょっと優しい)男とのかみ合わない交流は結構笑わせてくれます。 ですが後半のアマゾン編のアクション・アドベンチャーはなかなかのグダグダ具合で落差があまりにも大きい。 失われつつあるアマゾンの熱帯雨林への問題提起が含まれているようでもありますが中途半端です。 ジャン・レノ演じる霊媒師の付き人と共に、この借金まみれのパリ男がアマゾンに乗り込む。 そしてアマゾンのならず者と闘う。この男に霊媒師の魂が乗り移るとあり得ないパワーアップを果たし ならず者たちを次々なぎ倒す様は、B級香港カンフー映画でも見ているような感じです。 このアマゾンのアクションアドベンチャーに合流する、ある事情を抱えたヒロインが可愛い。彼女が本作で一番良かったです。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2017-07-17 17:11:38) |
493. ガンシャイ(2000)
敏腕麻薬捜査官も、マフィアも、ストレスとストレスがもたらす体調不良を抱えていてそれなりにみんな大変なんです。 誰もがストレスを抱えながら生きている現代社会を皮肉って、というほどの作品でもないですが、 特に前半、ストレスでお腹の調子悪くて、セラピストのカウンセリングに通い、病院に通院して、と あのリーアム・ニーソンの、ストレス胃炎に悩むただのおっさんのような姿は結構笑えます。 しかし、せっかくのこの面白い設定があまり活かしきれていないのが勿体ないところ。 今このタイミングでお腹のトラブルが発症すれば面白いというところではこの設定が発動されず。 出番はそれ程多くは無いのですがサンドラ・ブロックが作品に華を添える。 ニーソンのキャラだけでなくマフィア側のキャラもそれなりに楽しいお気楽コメディ。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2017-07-17 17:08:08) |
494. ガンマン大連合
《ネタバレ》 オープニングの”ぶっ殺そうぜ~同志たちよ~♪”と歌う主題歌といい、この邦題といい、 どんなガンマン大連合の面々が登場するのかと思っていたら、思いの外登場人物は限られている作品です。 しかしマカロニウエスタンのスター、フランコ・ネロとトーマス・ミリアンのコンビがとにかくいいんです。 この2人の掛け合いが可笑しく、作品全体に漂うユーモアのある空気がたまらない。 そしてそこに絡むこれぞ悪役!ジャック・パランスの面構え、どこまでも執拗に絡んでくるそのしつこさに、 この2人と、非暴力を訴える革命の指導者の教授。それぞれが最終盤に見せる男気もいい。 ユーモアとアクションと、主要登場人物の男たちのドラマをきっちり盛り上げる巨匠モリコーネの主題歌がまたいい。 オープニングの歌詞と全く同じく、「ぶっ殺そうぜ!同志たちよ!」と叫ぶフランコ・ネロの姿。 ラストは何とも言えない清々しさがありました。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2017-07-13 22:21:19) |
495. ミルドレッド
《ネタバレ》 監督カサヴェテス、主演ジーナ・ローランズとくれば、まず頭に浮かぶのは「グロリア」。 しかし本作の監督はジョン・カサヴェテスではなくニック・カサヴェテス。そう、ジーナ・ローランズの息子にあたります。 これがニックにとっての長編デビュー作とのこと。 ソフィア・ローレンがやはり息子の長編デビュー作で主演した作品を思い出しました。 息子がデビュー作で母の主演作を撮る。息子だからこその魅力的な母の姿をとらえていると思います。 最初はどこか陰のある、まだ幼い少年と大人が出会う。こういう場合、映画では男同士が圧倒的に多いのですが、 本作はその大人が女性ならではの柔らかさ、あたたかみを感じる。 この少年の母はいつもくわえタバコに酒。しかしジーナ演じるミルドレッドと接するうちに次第に母親らしくなっていく。 一方のミルドレッドも、この母と息子と接するうちに人生について改めて考えるきっかけとなっていく。 まだ幼い息子との微笑ましい交流を交えながら、2人の女性が互いに人生を見つめなおす優しさのあるドラマ。 ミルドレッドとは対照的な、この少年の母親役のマリサ・トメイも、こういう役を非常にうまく演じる人です。 最後ははこの母と幼い息子、そしてミルドレッド自身の息子、娘とも別れ、彼女はどこへ向かうのだろう? 一抹のさみしさを感じつつも彼女が旅立っていく、毅然としていて力強さを感じさせるその姿が印象的なラストでした。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2017-07-10 21:38:12) |
496. ニール・サイモンのロンドン・スイート
新婚カップル、中年夫婦、熟年の元夫婦、母と娘。 ロンドンのとあるホテルに集う、それぞれに事情を抱えた4組それぞれの悲喜こもごもを見せる群像コメディ。 それなりに面白いカップル、味わいのあるカップル、ただドタバタだけのカップルと色々ですが、 それぞれが好き勝手やっていてかなり散漫で浅く広くになってしまっているのが残念。 やはりニール・サイモンは主役の男女の心の機微をユーモアを交えじっくり描くコメディで真価を発揮する人なんだと思います。 [DVD(字幕)] 4点(2017-07-10 21:35:07) |
497. ヴィンセントが教えてくれたこと
昔からずっと楽しい変わり者を演じ続けてきたビル・マーレイ。年をとっても全く変わることのない安定感です。 偏屈で孤独な老人と、隣に引っ越してきたシングルマザーとその息子の少年の心の交流。 いつしか偏屈じいさんと少年の間に芽生える友情。少年が一般的に見れば良くも悪くも影響を受けていく。 いじめっ子を撃退する喧嘩術を教える。そしてそのいじめっ子との間にも芽生える友情。 ひねったりすることも無く気軽に笑って楽しめる。気持ちよくこの手の映画の王道を行ってくれます。 原題のは"st vincent"。このこのじいさんのどこが"聖"なんだ?と思いながら見ていたら・・・。 そういうことでしたか。最後はまさか感動させてもらえるとは思いもしませんでした。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2017-07-03 21:39:56) |
498. ガントレット
《ネタバレ》 もうこの頃には「ダーティハリー」が何作も撮られています。 ふてぶてしい刑事ぶりから始まる冒頭はまさにハリー・キャラハンを思い起こさせます。 ガンを持たせたら誰よりも様になるイーストウッドですが、本作ではほとんど発砲すらしていない。 逆に中盤の家とクライマックスのバス。どれだけの銃弾を浴びせられたか分からないほどです。 そこからは「俺たちに明日はない」の壮絶なラストを思い出してしまいました。 また、2人が結婚後の幸せな生活を語り合う終盤のバスの中の会話からもニューシネマ的ラストを想像してしまいますが、 ラストは一瞬そう思わせておいて・・・。までで終わりました。 当時パートナーだったソンドラ・ロックとの絡みはどこかコメディタッチでほのぼのとしたものを感じさせます。 見る者の怒りの矛先を確実にあの悪徳上司に向けさせるためなんだろうけど、ジョセフィンは殺してほしくなかったなあ・・・。 ツッコミ所は多々ありますが、テンポの良さと勢いで一気に押し切ってしまったような感じですね。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2017-06-30 23:45:46) |
499. 刑事コロンボ/黄金のバックル<TVM>
このシリーズは作品ごとに監督や脚本家が異なることもあり、時には本作の様に他のシリーズ作とは全く異なった雰囲気を感じさせる作品があります。 トリックやオチは弱いし、警部vs犯人の仕掛けの応酬や息詰まる攻防戦も無い。 犯行以降はほとんど女たちのドラマがメインになっているという点でもシリーズの異色作です。 連行される際、「私の手を取ってくださる?」という犯人。 シリーズ中、女性が犯人の作品は幾つかありますが、ラストでは警部はいつも紳士ですね。 そんな作品の雰囲気にあってもやはり挿入される笑いドコロはなかなか面白かった。 花粉症に悩まされる警部のユーモラスな演技と、キレイに髪を整えているのに、それが全く似合っていない警部の姿は必見です。 [CS・衛星(吹替)] 5点(2017-06-26 19:19:08) |
500. 刑事コロンボ/殺しの序曲<TVM>
やはりこういう巧妙なトリックを仕掛ける知能犯と警部の対決は面白い。 犯人の高いプライドを巧みに操り墓穴を掘らせる。心理戦の達人コロンボらしい決着も鮮やか。 そして決着がついた後、警部のIQの高さを認め、警部をテストする犯人。 その犯人の期待通りに警部はいとも簡単に正解を導き出す。 実に穏やかなラスト。鑑賞後はこのシリーズらしい味わいのある余韻を残してくれる佳作です。 [CS・衛星(吹替)] 7点(2017-06-26 19:18:03) |