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delft-Qさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 122
性別 男性
自己紹介 自分の感性は、きわめて平凡だと自分でもわかっています。ただ、ほんとうはよくわかっていないのに、「わかった!」「よかった!」というのだけはしないつもりです。

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41.  007/カジノ・ロワイヤル(2006) 《ネタバレ》 
ダニエル・クレイグの新ボンドによる新シリーズの1作目。これまでの007シリーズよりシリアスなテイストで、アクションもハードボイルドな味付けが強くなっています。近年人気の「24」やジェイソンボーンを意識したつくりのように感じられます。スタントもこれまで以上に高度なものになっており、冒頭のクレーンでのシークエンスには手に汗を握ってしまいます。   21世紀にふさわしいつくり込みがなされていて、大いに楽しむことができました。ただ、一つ気になったのは、ダニエル・クレイグがジェームズ・ボンドにマッチしているのかどうか、ということ。一番肝心なポイントですが、私にはイマイチ受け入れ切れませんでした。   何が自分にはダメだったんだろうとつらつら考えてみたのですが、まず背が低い。女性と並んだとき、ヘタをすれば女性のほうが高いくらいなのは、ちょっと絵になりにくいです。それから、口を閉じているとき、何だか口をトンがらせているような表情がイヤ(笑)。顔のことは本人のせいではありませんが、やっぱり俳優という仕事は顔も売り物ですから。それからそれから、ちょっと小粒な印象も。マジメでひたむきな印象はあるのですが、一方、歴代ボンドのようにどんなときでもそこはかとないゆとりを感じさせるものはありませんでした。もっとも、「00」に昇格してすぐですから、これから、ということかもしれませんが。そして、知的な印象ももう少しほしかったように思います。   とはいえ、「クレイグボンドこそ、ボンドだ!」という人たちが出てきても不思議ではないですね。また、作品自体のつくり込みはしっかりなされていますから、ボンドにこだわらなければなかなかのアクションエンタテインメントに仕上がっていると思いました。
[DVD(字幕)] 8点(2008-06-08 00:09:44)(良:1票)
42.  007/ユア・アイズ・オンリー 《ネタバレ》 
007というスパイアクションもので、アクションやスタントシーンも満載だけれど、私には、それよりも何よりもロマンティックで幻想的な印象が強く残る作品。シーナ・イーストンの透明感あふれる「ユア・アイズ・オンリー」の歌声に、ギリシア神話のアフロディーテの如きキャロル・ブーケがギリシアを舞台に活躍、そして月夜に静かに青く染まる海中を二人で泳ぐラストシーンは、さわやかな大人のロマンスを感じさせ、血生臭い殺しの映画とは思われないファンタジーがある。シリーズでも異色のテイストである。   私が、そうした印象を強くするのは、個人的な思い出ともつながっているからのように思う。シーナ・イーストンは、もう何十年前になるだろうか、大阪のフェスティバルホールで開かれたコンサートへ行ったことのある歌手で、それが初めて女の子と出かけるコンサートという、私にとっての勝負イベントだった。なのに、3F席の端っこのほうしか座席が取れず、相手の子は「満足してくれているかなぁ」とずいぶんと気になった。けれども、レコードと変わらない素晴らしい彼女の歌声に二人とも大満足、座席の心配など吹き飛んだのだった! そんな、わが青春時代の記憶と重なっているせいで、余計、ロマンティックな映画に感じてしまうのだろう。   もっとも、そのときの女の子が、いまやイビキをかき、歯ぎしりまでする熟女と化した妻になろうとは、当時は想像もしていなかったが(笑)。思い出と美しきシーナ・イーストンの歌声にちょっとサービスして7点かな?
[DVD(字幕)] 7点(2008-06-07 23:40:11)
43.  ボーン・アルティメイタム 《ネタバレ》 
アイデンティティ、スプレマシーと、独特の世界で魅せてくれてきたボーンシリーズ。もしかしたら、これがラストとなるかもしれないとあって封切り早々に見たが、期待が高かっただけに、やや欲求不満が残ってしまった。    最大の問題点は、何より、ボーンがデブってしまってたこと。もっとも恐れていたことが起こってしまった。これは単純なことだが、非常に重要なことである。この一事をもってして、本シリーズで貫かれるはずの緊張感が欠け、一気にレベルダウンを招いてしまっている。ジェイソン・ボーンは、戦闘能力においては完璧でなければならない。もちろん、強敵相手には苦闘するときもあるが、それは相手も完璧に近いからで、そんな極限レベルにおける究極の闘いを、いかに頭脳と肉体を駆使して切り抜けていくかが本シリーズの醍醐味であり、中核のはずだ。    ところが、主人公がデブになっていては、もう、その時点で張り詰められるはずの緊張にダレが生じる。それは本作のような作品にとっては致命的で、ストーリーや演出をどんなに頑張っても挽回不可能の陥穽となってしまう。1や2で見られた、まだ幼ささえ残しているぜい肉のない、マシーンのようなボーンが消滅したことで、私のなかでは少なく見積もっても2点減点せざるを得なかった。    カメラもよくなかった。「スプレマシー」での手法に味をしめたか、ハンドカメラで狭い範囲を激しい動きのなかで撮る方法がエスカレートしており、もはや迫力と臨場感というより、アクションシーンはわけのわからない画面と化し、私には“やりすぎ”に感じられた。    もう一つ残念だったのは、今回はボーンの内面に「傷」がなかったことである。ボーンシリーズの魅力は、主人公が完璧な能力を持ち合わせていながら、癒しようのない心の「傷」も抱えているというアンバランス性にあった。人間になれない妖怪人間ベム、良心回路が不完全なキカイダーのように、完璧でありながら不完全という宿命的な立ち位置こそ、見る者をボーンに惹きつけてやまないものだったのだ。陳腐な正義感で闘うボーンなんか見たくない。    といったことで、必ずしも納得!とはいかないものの、あるレベルには十分達していると思われ、7点也です。
[映画館(字幕)] 7点(2008-06-05 11:37:16)(良:2票)
44.  女王陛下の007 《ネタバレ》 
レーゼンビーボンドというキャストと地味なイメージのため、これまで何となく後回しにしてきた本作だが、実際に見てみたら結構よかった。とくに、みなさんがおっしゃるように、007シリーズとは思えない泣かせるラストには強烈なインパクトを受けた(「カジノロワイヤル」(06)に影響を与えているか?)。あの、ものの数分のシーンの存在によって、この映画全体に対する印象と評価がガラッと変わった気がする。ジェームズ・ボンドにフツーの平穏なる幸福は許されないことを、観客もボンド本人も思い知らされる。   レーゼンビーのボンドは、決して悪くはないとは思うけれど、どなたかが指摘されているように、何かが欠けている。キャラが立ちそうで立っていないところだろうか。もう少し「クセ」があればよかったかもしれない。見終わって、恐る恐るこのレビューを覗いてみたら意外な高評価だったので、なぜか嬉しくなってしまった(笑)。   とにかく、本作の最大の特徴はラストのシークエンスに尽きるだろう。Qの言葉を借りれば「思ったより無責任ではなかったボンド」という人間らしい一面に触れ、そして、癒しようもない傷を負ったボンドの過去を知ったことで、いままでとちょっと違った見え方がするかもしれない。
[DVD(字幕)] 7点(2008-06-05 11:29:37)(良:1票)
45.  薔薇の名前 《ネタバレ》 
私はエーコの原作を読んでいないので、原作とのギャップはわからないが、映画だけでもけっこう楽しめた。あるいは、原作とのギャップを気にせず、映画にのめりこむことができたといったほうがいいかもしれない。   ふだんは本に書かれている“知識”でしかない「宗教論争」とか「修道院」「修道士」などが、“現実”の姿となって眼前に立ち現われると、歴史がリアルに感じ取られ、それだけでまことに興味深い。現代の私たちは蛍光灯のある暮らしだが、当時はたしかに暗い生活だったのだろうなぁ、などと末節の事柄にも思いをいたした。   ラストで弟子と女性の別れが描かれているシーンが蛇足ではないかという意見もあるようだが、私は逆に重要なシーンに思えた。というのは、あれは単に弟子が女性と別れを惜しむということだけではなく、「世俗」との訣別を改めて決意することを象徴した場面として解釈できるからだ。しかもその決意は、「世俗」の甘美な誘惑の味を知ったあとで為されているから、なおさら意味深い。よく見直せば、そのような含意のあるシーンがほかにもあるような気がする。   それにしても、やはりショーン・コネリーは存在感のある役者だなぁとも感心することしきり。原作からは、かなり娯楽化しているみたいだけれど、そもそも映画は娯楽性をたぶんに含んだ芸術なので、私は9点也をささげたい。
[DVD(字幕)] 9点(2008-04-18 19:29:01)
46.  デジャヴ(2006) 《ネタバレ》 
ダグは「一度は、犯行前に犯人を逮捕したい」とかカッコイイこといってましたが、もしクレアがブスだったら、絶対、過去には戻っておらず、「デジャヴ」が成立しない映画でした(笑)。そういう意味で、映画トータルの伏線は、検死のときにダグがつぶやいたひと言、「美人だな」にきわまります。   自由自在のアングルから、壁なども透視できるほどのハイテク機器なのに巻き戻しも早送りもできない(その理由はのちに明かされるが)、ちょっと不便なスーパーマシンとか、ゴーグルをかぶって、片目は現在を、もう片方の目では過去を見ながらのカーチェイスとか、荒唐無稽であっても斬新なシーンは魅力的でした。過去をサーチするシーンは「マイノリティリポート」を思い出させました。   途中から、いったい、どういう落とし前にするのかなと思い始めましたが、いちおう何とか辻褄を合わせたかたちで、まあまあ、これなら許せるかな、ぐらいのラストでした。真剣に考えたら、いろいろと突っ込みどころがありそうですが、あまり突っ込んで考えなかったら、楽しめる映画だったと思います。ただ、あとには残らない映画だろうなぁという気もするので、4日半後の自分のなかにどれだけ印象が残っているか知りたい(笑)。6点か迷いましたが、クレアに魅力にほだされて7点也です。
[DVD(字幕)] 7点(2007-09-10 22:46:22)(良:2票)
47.  ソウ3 《ネタバレ》 
このシリーズに対する自分の過去の評価を顧みると、1に7点、2にも7点付けていた。2に7点はちょっと甘かったか。というのは、これを5点にしたけれど、2よりはよくできていたとは思うから。   5点にとどめたのは、みなさんおっしゃるように、あまりにもグロすぎるから。正視に耐えない演出で、かえって作品性をスポイルしている。ソウの魅力はスプラッターではなく、知的サスペンスにあるはずだ。   よくわからなかったのは、アマンダがリンを殺そうとする動機。いったい、どうしてそこまで殺したがるのか私のアタマでは理解できなかった(どなたか説明してくれるとありがたいのですが)。アマンダのリン殺害は大きなゲームのピースなので、そこが腑に落ちないと、作品の完成度も物足りなく感じてしまう。また、ジェフが「許す」といいつつジグソウを殺したのも違和感が残った(そうしないとオチがつかないから?)。   今回のドンデンは、実は、アマンダへのゲームだったということだが、あまりドンデンになっていない気がした。ジェフとリンが夫婦だったというのは見抜けなかったけれど、それが明かされてもさほど驚きはしなかった。   今後4がつくられるとのことだが、一つのピースとして、ジグソウの回想シーンでオチのなかったもの、つまり、「愛している」とジグソウがつぶやいた相手の女性が絡んできそうな気がする。頼むから、グログロ、ドロドロ路線をこれ以上突っ走らないで、と祈りつつ5点也。
[DVD(字幕)] 5点(2007-09-10 01:37:00)(良:1票)
48.  マイ・フェア・レディ 《ネタバレ》 
久々に見直したが、やはり映画史上に残る名作だと再確認。もうちょっと若い時期のオードリーだったら、なおよかったけれど、それでも彼女の魅力は十分に発揮されていた。自分が年をとったせいか、最後のシーンは涙が止まらない。また、なぜか「I could have danced all night」のところでも泣けてしまう。お金でも宝石でもなく、ほんの少しのヒギンズのやさしさに、天にも昇るほどの喜びを爆発させるイライザの健気さに胸がいっぱいになるのだ。  エンタテインメントとしてもよくつくりこまれた作品だけれども、社会文化論的な視点から見ても興味深い。社会の底辺に属していた娘が、一転して王族にも見なされるシンデレラストーリーは、いわゆる「階級変換」がテーマとなっている。舞踏会のシーンにおいて、イライザは他の上流階級を圧倒する。イギリス階級社会の空洞性がさりげなく告発される。また、ここで描かれる社会は男性優位の社会でもある。つまり、ジェンダー的にも格差があるわけだ。しかし、ヒギンズはイライザや母の前では、その威厳は微妙である。ラスト近く、母の家でイライザと口論になり、イライザが出て行ったあと、「マザー!」と叫ぶほかないヒギンズのありさまは、「教授」という社会の最高位にある人間とは到底思えないもので、わがままがきわまってどうしようもなくなった駄々っ子の姿そのものである。貧富や性差、制度的階層の矛盾といった伝統的な社会問題が娯楽性を損なわない範囲で、しかし、しっかりと取り込まれているのは巧み。  これらを図式的に見直すと、すべて既存の秩序が一度崩壊したあとに、新しい価値観が見出され、それによって初めて幸福が得られるという筋道になっている。つまり、「崩壊」と「新生」の物語である。イライザにしても「花売り娘」としての彼女は消滅し、「レディ」として新生している。「崩壊」と「新生」というテーマで、なおかつ「階級変換」が絡んでくるとなると、(作者が意図したかどうかわからないが)これはもうニーチェの思想そのものである。となると、一見、コメディ的要素も持ちながら、その実、きわめて深い内容をも含んでいる恐るべき映画と解釈することもできるだろう。  ま、そんな見方はともかく、40年前にしてすでに一つの頂点に達している感さえある忘れえぬ一作だと思う。9点也です。
[DVD(字幕)] 9点(2007-09-09 02:01:26)(良:2票)
49.  モンスター(2003) 《ネタバレ》 
「モンスター」とは、いったい、誰のことだったのだろうと、しばし考え込んでしまった。
[DVD(字幕)] 6点(2006-12-15 10:17:54)
50.  機動戦士ZガンダムII 恋人たち 《ネタバレ》 
「星を継ぐ者」に引き続き、絵:ツギハギ、ストーリー:ワープしまくり、BGM:サイテーのレベルの低い代物だった。出だしの音楽など、いったいどうしたらこんな演出になるのかと驚くほど時代錯誤。人物たちの心の動きもまったく奇妙キテレツで、アイスクリームを買ってきて仲よく食べているかと思えば、いきなり理由もなく「立ち去れ!」と怒鳴り始めたり、さんざん気持ちよさそうに戦っておいて「大人ってヤツは」とつぶやいたり。で、「大人ってヤツは」に続いて何をいいたいのかはまったくもって不明。もっとも理解不能だったのが、カミーユとファがメット越しにキスしようとするシーン。けたたましいファの笑い声に、思わずバルカン砲をぶちこみたくなったとしても責められはしまい(汗)。    初期3部作で登場人物たちが背負っていた十字架はここにはなく、ただ表面的にニヒルなだけのセリフと無意味な闘いばかりが続き、見ている者に訴えてくるものがなにもない。戦闘シーンも、やたらとコマが粗く、迫力効果よりもつくりの雑さ加減しか伝わってこない。ツギハギだらけのわりには、無意味に思える部分も少なくなく、上記キスシーンはもとより、カツとサラのエピソードなども不要だったのでは、という気がする。    かつてのガンダム世界の表面だけをなぞった自己模倣の最悪パターンで、レビューの数がこの程度にとどまっていることが、すべてを物語っていると思う。ということで、前作と同じ点数にするしかなく、2点也です。カミーユの親にまつわるトラウマはどこへ行った?
[DVD(邦画)] 2点(2006-11-21 21:51:01)
51.  機動戦士Zガンダム 星を継ぐ者
ガンダムに関しては初代がTV放送された世代の人間です。必ずしもガンダムフリークというわけではないのですが、初代劇場3部作までは見ています。「Z」以降はTVは見ていません。さて、そういう人間が久々にガンダムの世界に浸ってみたいなと思いつき、DVDを借りて見た感想は、「訳がわからなかった」のひと言に尽きます。   みなさんが危惧されている通り、TVを見ていない人間には、まったくストーリーが理解できませんでした。話のすじみちがわからないぐらいですから、「空気感」とか「心理世界」といったレベルのものには到底触れることができません。終始、何となく登場人物たちが争っているだけで、まったく、作品世界に入ることも浸ることもできず、これが正統後継シリーズとして満を持して登場した映画なのかと呆然としてしまいました。それは、あながち私がオッサンになったからだけではないと思います(笑)。   21世紀のいま、このレベルのものを劇場公開するというのは、よほど大胆な人間か、よほどアホな人間かのどちらかとしか思えません。絵はヒドイし、物語もめちゃくちゃ。作中BGMセンスにいたっては、初代当時以前です。まさか、ガンダムシリーズにこの言葉を使うことになるとは思ってもみませんでした。そう、残念ながら本作は紛れもなく「糞映画」です。
[DVD(邦画)] 2点(2006-11-20 14:31:52)
52.  クラッシュ(2004) 《ネタバレ》 
よくできた映画だった。ステレオタイプではないストーリー展開で、とうてい一筋縄にはいかない人間社会の矛盾を追い、それでいながら、そこはかとない希望も見る者に残すという離れ業さえしていると思う。   しかしながら、本作がアカデミー作品賞というのは、しっくりこなかった。よく練られているとは感じたが、練りすぎてまとまりすぎている気がしたし、社会の錯綜する諸問題をテーマとしている反面、教科書的な印象もあった。あるいは、骨太さよりも繊細さのほうがより強く感じられたのは、本作の性格とは矛盾するものでもあった。 それは、一見、ややこしくこんがらがって、なかなか思うに任せない社会のもどかしさを描いているようでいながら、実は、立場こそ違え、登場人物はみな、ある意味で質的に均一だからだという気がする。ある部分善人で、ある部分悪党。善行を行ないもするが、ズルく立ち回ったり、アナーキーな激情に身を任せることもある。   そのような功罪や善悪あざなえる人間のありさまこそ、制作者の本意とするところだというのはわかるが、もし人間や社会の捉え切れなさを浮き彫りにするのであれば、人間のダイナミックレンジはもっと広く取る必要があったかと思う。おそらく、実際の人間のあり方は、もっともっと幅広く激しいこともあるのではないだろうか。ということで、7点也です。ドン・チードル、最近当たってますね。
[DVD(字幕)] 7点(2006-11-19 21:00:20)
53.  おばあちゃんの家 《ネタバレ》 
はじめから内容がわかっているといえばわかっているタイプの作品ですが、最後まで見せてくれる力がありました。主役(?)のおばあちゃんは、映画など見たことのない正真正銘の田舎のド素人だったそうですが、「俳優って何? プロって?」と思ってしまう名演でした。おばあちゃん、ただただやさしいだけではなく、孫に何かを求めるとき、「バシ、バシ!」と床や机をラフに叩いたりし、芯はたくましい人物であることを感じさせます。   とても心温まる秀作だったと思いますし、高く評価しますが、かといって10点をつける気にはなりませんでした。本作のよいところは他の方々が書かれていますので、私はあえて自分が10点つけられなかったのはなぜかについて、ちょっと考えておきたいと思います。一つには、やはり、いくら脚本が工夫されているとはいえ、「話がきれいまとめられている」という予定調和感は免れない点があるように思われます。予定調和は、この種の作品の宿命みたいなものですが、そのためにどうしても得られる感動が、「人工的」とでもいえばいいのでしょうか、計算されたものにとどまってしまいがちです。本作も、私の場合はその壁を越えられなかったように思います。   いま一つは、シチュエーションが極端なことかな? ふつうなら、まず起こりえない状況に舞台が設定されているにもかかわらず、作られ方は限りなくノンフィクション的なテイストが求められています。そこに微妙な印象の齟齬が残ったような気がします。とはいえ、大変よい作品だったことには賛意を表したいです。ということで、8点也です。ラストのまとめ方はすごくよかった!
[CS・衛星(字幕)] 8点(2006-10-24 20:07:27)
54.  スーパーマン リターンズ 《ネタバレ》 
みなさんの評価が分かれていたので、どうなんだろうと思いつつ見に行きましたが、私はよかったと感じました。とにもかくにも新スーパーマン役のブランドン・ラウス、いい俳優を掘り出したもんです。クリストファー・リーブのあとを継がせるのは、きわめて難しい課題でしたが、ほとんどベストに近い「解」を見出したのではないでしょうか。他方、おおむね好感をもって受け入れられているようですが、ロイス・レインが私には……。とりたてての問題ないとは思うのですが、いろんなシーンのちょっとしたところに微妙な「若さ」が見えた気がします。 ビジュアルエフェクトは十分楽しめました。極端とも思えるほどの飛び方は爽快このうえないし、まるで「カンフーハッスル」みたいな“ありえねー”活躍の連続ぶりにもカタルシスを覚えます。この“ありえねー”さをもって、突っ込みどころとして評するのは、本作の場合、間違っていると思います(笑)。ストーリー的には、中盤、スーパーマンがストーカーマンと化すあたりは、やや引いてしまいましたが、終盤のどんでん返しによって辻褄は合わせられました。また、「クラーク・ケント」がほとんど無視された存在となっていたのは不満の残る点でした。 次作以降についてですが、私は本シリーズが『スターウォーズ』化していくのではないかという危惧を覚えています。つまり、「ジェイソン」=「アナキン・スカイウォーカー」という図式で、SWとは善悪が逆転した父子対決なんてこともあるのか……とか。あんまり、そういう展開にはしてほしくないなぁ~と思いつつ、8点也です。
[映画館(字幕)] 8点(2006-09-02 14:18:02)(笑:2票) (良:1票)
55.  ティファニーで朝食を 《ネタバレ》 
「矛盾をはらんだ映画」――それが本作の宿命的性格だと思います。オードリーファンの私にとってはとりわけそう感じられます。女優としてピークを迎えたオードリーの魅力が存分にはじけている反面、作品としては凡作と言わねばならない矛盾(第1の矛盾)。音楽、オードリー(とネコちゃん)以外は見るべきものはなく、世評にあるほどの名作とは思えません。   第2の矛盾は、そもそもオードリーを主役に据えたことに起因している皮肉。いうまでもなく、オードリー・ヘプバーンは「純粋さ、清らかさ、素直さ」といったところが生来のキャラです。ところがホリー・ゴライトリーはコールガールで、お金のためなら身を売ることさえ平気な女性。いわばオードリーとは対極にある存在です。その面白さを狙ったキャスティングだったのでしょうが、実際には両者の強烈な衝突は如何ともしがたく、ホリーの「闇」の部分はきわめてあいまいに誤魔化され、オードリーのイメージを損なわない配慮が目立つ脚本&演出になっています。その結果、多くの方の感想にあるように、ホリーがいったい何者か、よくわからなくなっており、本作の印象を弱めてしまっているように思います。   第3の矛盾は、これがハリウッド映画だということからくる矛盾。原作とは正反対のハッピーエンドで、全体に流れるテイストもかなり違います。それは、商業映画として成り立たせるための方向転換だったのでしょうが、そのために原作の命とも思える“ネガな魅力”が、完全に消滅してしまいました。つまり、映画であるがゆえに生じた興醒めということで、これもまた本作の誕生時からつきまとった矛盾といわざるをえません。   といったことで、異端の物語を王道でつくろうとしたところに本作の悲劇があったように思います。オードリーの魅力とネコちゃんの名演技とティファニー店員の粋な計らいに5点也を捧げます。ジョージ・ペパードは大根すぎ!
[DVD(字幕)] 5点(2006-04-29 13:10:04)(良:2票)
56.  フォーガットン 《ネタバレ》 
まったくもって、みなさんがおっしゃっている通りだと激しく同意です。予告に釣られて見てしまいましたが、典型的な“腰くだけ映画”でした。娘をさらわれた男が記憶を取り戻すあたりまでは、けっこう面白かったんですよ。ところが、そのあとは……(以下省略)。こういうシナリオで商業ベースの映画をつくっちまうこと自体、ある意味、10点ものですわ。映画のクオリティに対する点数は、私の感覚では3点也ってところじゃないでしょうか。
[DVD(字幕)] 3点(2006-04-26 21:08:51)
57.  ローマの休日 《ネタバレ》 
私にとっての最高峰映画が、この『ローマの休日』です。映画作品には、もちろん、いろんな意見や印象があり、評価も人によってそれぞれですが、これだけは譲れません(笑)。   本作の最大の見どころは、何といっても輝かんばかりのオードリーの魅力! 彼女が演じるアン王女が笑い、怒り、はしゃぎ、憂うたびに、私たち観客(私?)も映画の世界にグイッと引き込まれ、ついつい一喜一憂してしまいます。封切られた当時、「日本中がオードリーに恋した」といわれたのもわかります。私もこの作品を見て、オードリーに恋しました。オードリーは、本作で本格デビュー後、幾多の映画に出演していますが、結局、この『ローマの休日』が最高傑作だったのではないかと思います。   中身については、いまさら私なんぞが振り返る必要ありませんね。たっぷりと笑ったり、泣いたりさせてくれ、夢見る世界にいざなってくれます。これぞ映画!ってもんで、観ているあいだはすっかり現実を忘れてしまいます。しかし、本作は単なる娯楽作品に終わらない深さもあります。ギリシア神話のダフニスとクロエの逸話以来、連綿と受け継がれてきた悲恋の物語。「切ない」という言葉だけでは語り切れない深い深い余韻が胸に残ります。   昨今よく、「願いは叶う」とか「愛は勝つ」とかいわれます。実に安易です。私は、そういう言い方に触れるたびに何がしかのうさんくささを感じます。ほんとうは、いくら願っても叶わないものがあるし、勝てない愛だってあります。本作は、ロマンチックなラブストーリーでありながらも、同時にそうしたリアルを冷静に示してもくれます。ラストの記者会見のシーンは、身を切られるような想いと涙なしでは見られない、ファンタジーとリアルがハイブリッドされた映画史上に残る名場面だと思います。   いまから半世紀も前につくられた作品ですが、時代を経ても変わることのない人間の生きる喜びと切なさを、オードリーの可憐な健気さが余すところなく見る者に伝え、深い感動を与えてくれる不朽の名作です。もちろん10点也です。10点しかつけられないのが惜しい! 
[DVD(字幕)] 10点(2006-04-25 02:08:17)(良:1票)
58.  ブロークバック・マウンテン 《ネタバレ》 
観終えての第一感想は、「期待したほどではなかった」でした。アカデミー賞を独占するのではとまで下馬評は高まっていましたが、そうはならなかったのは、テーマがどうとかより、単純に作品としてそれほどでもなかったという1点に尽きるのでは、と思います。   同性愛が描かれた作品ですが、私には同性愛はテーマというより、テーマをより浮き立たせるためのお膳立てぐらいにしか感じられませんでした。テーマ(らしきもの)は、「理想と現実」みたいなところではないかと。どなたかが書いておられますが、私も見ている最中、『青い珊瑚礁』を思い出していました。   2人だけのシャングリラを追い求めたいのに、現実はそれを許してくれない。その相克をどう生きるのか――そんな構図が終始提示されていたように思います。そうした悩みは、誰しも大なり小なり抱えていることでしょう。趣味で生きたいが趣味では食っていけない、ほんとうに愛する人がいるけれど家庭があるからままならない、などなど。にもかかわらず、さほど心を揺さぶられなかったのは、脚本の弱さに起因する気がします。   “初夜”を迎えるシーンは、お互い“初めて”なのに、“うまく”運びすぎて不自然とか(笑)、理想と現実の相克が描かれてはいるのだけれど、イマイチ身を切られるような思いまでは伝わってこないとか。そして私が脚本的にもっとも抵抗を覚えたのは、ジャックを殺した点。これは、禁じ手ではないでしょうか。ストーリーの紡ぎように困窮して、やってしまったという印象さえありました。ということで、話題になったわりには平凡な作品だったというのが率直な感想で、6点也です。
[映画館(字幕)] 6点(2006-04-02 20:56:36)
59.  ミリオンダラー・ベイビー 《ネタバレ》 
あちこちですすり泣きの声がする館内で、私は泣けませんでした。「初恋のきた道」では5回も泣いた私(笑)が、いったいどうして?と、見終わってから考えたのですが、一つには、よく計算された脚本&演技&演出の「計算」が(私には)透けて見えてしまったこと。いま一つは、ラストにいたる筋書きが想像を超えたものではなかったこと。そして決定的だったのは、私にはこの幕切れは受け入れられなかったこと、でした。    むしろ、ラストは「こういう結末にだけはしてくれるな」という想いを抱いたもの。たしかに、人間が生きることの意味を問うたとき、フランキーのとった行動は一つの選択肢ではあるでしょう。しかし、私にはあの道は「進んではならない道」に思えるのです。それは、現実に同じような境遇にあっても、なお懸命に生き抜こうとする人が少なからずおられるから。    たとえば、ほぼ全身不随でありながら、わずかに動く口だけで見事な水彩画を描く星野富弘氏は、その生きざまで逆に健常者に勇気を与えてさえおられます。彼とて一度は絶望の淵に突き落とされています。でも、そこから「再生」を選んでいます。その道は決して平坦ではないはずで、大変な勇気と努力を要したと思います。行きつ戻りつ、悩んだり悟ったり、また苦悩したり……そんな繰り返しを経て、ようやく今日にいたっていらっしゃるのです。私は、その過程こそが素晴らしいと思う。    また、前半のマギーのド根性ぶりを見せつけられたあとでは、本作におけるマギーの死への願いは不自然に感じるのです。マギーなら、車椅子の生活でもマギーらしい生き方をするはずだと思えてなりません。犬のアクセルにしても、決して自分から死んだのではない。殺されています。アクセルは、そのことに逆に無念の想いを抱いていたんじゃないでしょうか。    はっきりいって、「お涙頂戴」のためにあの結末を用意したことで、本作の意義と値打ちは制作者自らがブチ壊したと思っています。映画って、こんな結末を描くためにあるの? という疑問が残ります。人が生きることの強さや可能性を信じきらなかった本作は、だから、私には9点や10点はつけられない作品となりました。ということで、6点也です。あ~、また「ショーシャンク」みたいにマイノリティ……。
[映画館(字幕)] 6点(2006-04-02 10:59:18)(良:3票)
60.  ソウ2 《ネタバレ》 
面白かった。しかし、2つのディメンションで話が進行する舞台立てや、「ゲーム」のプレイヤーの人数の多さなど、要素が多い分、やや目先が誤魔化された感じがしないでもなく、謎解きとは別次元でちょっとストーリーがわかりにくかった。私としては前作のようなムダを省いた一種の純化されたシチュエーションがほしかった。   とはいえ、脚本はよく練られていたとは思う。「なるほど」というトリックもあって、脚本家の力の入れようを感じた。鑑賞中は筋を追っているのでゆっくり考えながら見るとはいかなかったが、それでも、ところどころ「ん?」と引っかかるところがいくつかあって(たとえば、マシューズにとってはこれがゲームとなるのか?とか、どうして「家」のほうのゲームが終了2時間前ちょうどにうまくスタートできたのか?など)、それがタネ明かしではやはり絡んできていたので、漠然とではあるけれど、つくり手が映画のなかに潜ませたヒントをつかめてはいたかと思う。   お決まりの突っ込みどころとしては、まずジグソウのアジトでの警察の捜査。ほぼ2時間、事実上何もしていないわけで、それにはちょっとムリがある。次に「家」のほうのゲームの一つで、ガスオーブンみたいな機械に入るものは「答え」がないんじゃないかと思った(なので、ゲームとはいえないのでは?)。それからラストのダニエルの大ドンデンだが、いくら「あれ」のなかにいたとはいえ、音や振動でわかるはずだという気がするのだが。   なお、突っ込みどころではないが、字幕ではただ「神経ガス」だったか「化学ガス」だったかしか訳されていなかったが、英語では「東京の地下鉄テロで使われたガス」といっていた。どうしてそのように訳さなかったのかな? でも、それだと即死するような気もする……。   2代目ジグソウの登場で「SAW3」も決定的なようだし、きっとまた続編もみることでソウ。ということで、7点也です。ちなみに私は、何となくでしたが、かなり早い時点で2代目がわかりましたよ。(^^)
[映画館(字幕)] 7点(2005-10-29 02:51:35)
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