41. クレイマー、クレイマー
誰が悪いとかそういうことではなく、誰もが同じ結果を望んでも現実はなかなかそれを許さない。そういう人間関係の不条理さ、哀しさみたいなものを感じました。子供のピュアさが、痛い。テッドもジョアンナも本当は子供と同じものを望んでいるのに。ただ、僕にはその後、2人は復縁したんじゃないか、と思う部分があります。フレンチトーストに象徴される、見栄っ張りなテッドが変わっていく過程に心打たれました。親は完璧でなくてもいい、子供に弱みを見せてもいいんだ。僕はそう思います。 8点(2004-02-26 15:26:06)(良:2票) |
42. 愛と青春の旅だち
ベタだけど、憎めない。そういう映画の典型的なものではないでしょうか。結構あっさりしてる(メイヨの過去をあまり描かないとか、入隊直後の様子をカットしてるとことか)のがいいのか悪いのかよく分からないですが、感動はするし、ダークな面もきちんと描いているのでこの点数。 8点(2004-02-22 13:15:27) |
43. サウンド・オブ・ミュージック
サイコサスペンスを見ていたとき、ある人が”古き良き映画”みたいな話をし出した。その人曰く、昔の純粋で、素朴で、健康的(?)な映画が良かったと。その時話に出た映画がこれでした。血を出さなければ映画が売れない。そんな時代だからこそ、こういう映画に満点を付けたい。大好きです。 10点(2004-02-21 18:58:45) |
44. 情婦
個性的で魅力的なキャラクターと、テンポの良い展開が気持ち良い。シリアスとコミカルのバランスが絶妙で、互いの要素を高め合っている。 8点(2004-02-21 18:46:53) |
45. ロッキー・ホラー・ショー
自分の存在意義はどこにあるのかとか、そういったコムツカしい映画と一緒に見るのが乙。一方の映画がどうでも良く感じられるから(笑)。10点を付けたいが、人格疑われそうなので-1点で。つーか大学の図書館のDVDコーナーにこれがあったときはショックだった。。。芸術とは爆発なんですよ、きっと。ヌーベルバーグだってある意味ではそうだったわけで。 9点(2004-02-21 18:26:07) |
46. ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還
CG技術の進歩は、一方では表現の多様性を狭め、つまらなくしてきたと思うが、名作ファンタジー文学の世界を見事に映像化したこの3部作にはそうしたアンチ・ハリウッドみたいなものを蹴散らすぐらいの圧倒的なパワーがある。直球勝負、万歳。最後まで指輪の負の要素を描ききった点も評価したい(原作を改悪しなかったってことなんだろうけど)。3部作まとめて、満点。本当は1がダントツで好きで、後はちょっと残念な部分もあるんだけど。 10点(2004-02-21 18:18:11) |
47. めぐりあう時間たち
3人の女性を中心とした、宿命にも似た異なる時代の1日を描いた人間ドラマ。それぞれのストーリーを途切れなく、過不足無く、くどくなく描くその様は美しく、鮮やかで、また詩的だが、しかし残酷である。その映像美と残酷さのコントラストにまず、舌を巻いた。たとえ例えば同性愛が許容される時代であっても、人生は表層的な自己満足の連続に過ぎない。そのことを悟り、自分の為ではなく、生死を超えて本当に自分らしくあることを望むとき、過酷な選択が待ち受ける。ヴァージニアやローラやリチャードの選択を自己中心的であると責めるのはたやすい。しかし、この映画を見終わってカタルシスにも似た感覚を覚えるのは、彼らの選択に誰しもが心に秘める部分があるからではないか。ジュリアのようにローラを抱きしめてあげたいと思ったのは、僕だけではないはずだ。逆に言えば、静寂を覆い隠す為にパーティーを繰り返すダロウェイ夫人にも、誰もが自分自身を投影する部分があるだろう。そして、意識的であれ無意識的であれ、誰かを”殺している”のかもしれない。ストーリーや演技は言うまでもないだろうが、それを支える演出、音楽の完璧さ(確かに音楽はややでしゃばり感が否めないが、それによって醸し出されている統一感は特筆すべきだろう)。この映画の見事さには、溜め息が出た。文句なしの満点。 10点(2004-02-19 19:12:25)(良:2票) |
48. 直撃!地獄拳
B級にはB級の良さがあると、心から実感できる作品。徹底的に、バカ。それにしても、タランティーノはオマージュとパクリのギリギリのラインって感じ、しませんか? 8点(2004-01-20 12:55:06) |
49. Dolls ドールズ(2002)
狂おしいまでにピュアな、しかし報われない愛。いわば、究極の愛。映像は、ただ美しい。ただ、くどさは否めないし、ある映画雑誌にあったように文学的陶酔に過ぎる感は否めない。国内では評価されず、海外で評価された面があると思うが、これをオリエンタリズムというコンテキストで考えてみると面白い。 [映画館(字幕)] 7点(2004-01-15 18:13:44) |
50. コール
おすぎのおせじ(?)にそそのかされたわけではないのだが、かなり期待して見に行った。だが、正直後半は眠くて眠くて仕方が無かった。手持ちカメラを使ったり、映像はとてもいいと思う。特に、冒頭のシーン。だが、この映画にはクライムサスペンスとしては決定的な、緊張感が全く無い。子供が喘息持ちであったことだけであからさまにうろたえる犯人を見て、どこにサスペンスを感じれば良いのだろう。喘息の兆候を見て慌ててコーヒーを作ってあげるヒューマニズム溢れる犯人の、どこに気迫を見出せるのだろう。逆に、他のレビュアーの方も仰っているように、自分勝手な医者のどこに感情移入すれば良いのだろうか。後半明かされる真相も全く予想通りだったし、最後のアクションシーンには興ざめ。良い役者が揃っているだけに本当に残念。 5点(2004-01-15 17:54:49) |
51. 心中天網島
浄瑠璃劇と映画のミックスであるが、その両方の利点を活用している前衛性に富んだ意欲作。感情剥き出しの人物と、作られた”劇”であることを印象付ける要素との対比は、ユーモアとも取れるし、皮肉とも取れる。白黒の色彩美は、天才的である。 8点(2004-01-11 12:27:11) |
52. キル・ビル Vol.1(日本版)
オマージュで彩られたバカ映画。一言で言ってしまえばそれまでだが、それはジャンルを超え、様々なテクニックを駆使して繰り広げられるスタイリッシュな映像世界に裏打ちされている。本当は10点を付けたい。それぐらいの作品だと思うが、日本語が聞き取れない(これもオマージュと取れなくはないので、字幕を付けなかった日本の配給側の責任か)のと、凄惨なバイオレンスはその意義は分かるが生理的に受け付けない部分が無きにしもあらずだったので、残念ながらこの点数。 8点(2004-01-06 04:23:14) |
53. ジャッキー・ブラウン
一見特に見せ場の無い冗長なストーリーを、人物を中心に持ってきて2時間半、全く飽きさせない。相変わらず台詞回し、音楽も最高。ディテールの細やかさは絶品。繊細さと大胆さ、その両面を併せ持ったタランティーノは、やはりすごい。 9点(2004-01-06 04:07:15) |
54. パルプ・フィクション
《ネタバレ》 断片的でありながら随所に共通項を散りばめ、ラストに最初と最後をつなげるという革新的な展開は、10年近く時を経た今も全く色褪せない。小気味いい台詞回し、音楽にタランティーノの才能が見え隠れする。ラストのメッセージ性もくどくなく、いい。 8点(2004-01-06 03:32:50) |
55. ゴシカ
B級ゴシックホラーとして見れば、とても良く出来ていると思う。ただ、”怖い”というよりはむしろ”不思議”で、次は何が起こるんだろうかと、ワクワクしてしまった(笑)。ただ奇怪な現象が起きるだけではなく、謎解き的な要素もある。ここをもう少し充実させればかなりいい映画に仕上がったのではないかと思う。ハル・ベリー、ペネロペ・クルスはとても良い味を出している。特にペネロペ・クルスの謎に満ちた恍惚の表情は必見。ちなみに、今回”ポロリ”はありそうでありません(笑)。 7点(2004-01-06 03:20:11) |
56. ミスティック・リバー
《ネタバレ》 25年前の悲劇を今もそれぞれに引きずる3人。彼らにとって、この映画の結末はある意味では救済なのかもしれない。音楽や効果音など、個人的に好きでない面があるのだが、それでも、これ程までに深い余韻を残す映画が最近あっただろうか。哀しみに満ちた物語を演じる3人の演技は、一級品でありながら調和が取れていて、素晴らしいの一言である。 8点(2004-01-06 03:04:14)(良:1票) |
57. レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード
ギターに乗せて展開される熱い男のドラマにしびれた。特に最後のマリアッチのギター弾いてるシーンと言葉には、もう抱かれてもいいと思った(笑)。ただ、展開がいまいち掴みにくく(人物関係とその思惑がこんがらがってるし、回想シーンが多い)、いまいちのれない。特に注目すべき見せ場が無いのもがっかり。エンリケ・イグレシアスが出てるのは知らなかったのでびっくりだったが、特に印象なし、ってのが正直なところ。火炎放射器みたいの使ってたってことぐらい(笑)。 7点(2004-01-06 02:41:24) |
58. EUREKA ユリイカ
《ネタバレ》 裏に隠された強いメッセージ性とは対照的に、ひたすらに淡々と、セリフや音楽の少ないセピア色の長回しが続く。しかし、そこにムダは無い。むしろ、必要最低限の情報しか与えられないのだ。3時間半、全くあくびをせずに見た。安いヒューマニズムなど、この映画には一切無い。ここにあるのは、死を通して生を感じる少年や、深い傷を負った者同士がその傷を舐め合うしかない哀れな姿であり、最後にあるのは和解より決別であると僕は理解した。 8点(2003-12-29 03:51:14) |
59. 天空の城ラピュタ
現代への批判、風刺が多く、むしろ大人こそ見るべきアニメであると思う。アクションシーンは、実写以上に手に汗握る。最後もう少し膨らませても良かったのではないかという気もする。もちろん、その後あの2人が何をしに行ったのかは明らかなのだが。 8点(2003-12-29 03:32:39) |
60. イン・ザ・ベッドルーム
息子を殺された夫婦の、決して癒されることの無い深い喪失を描いている。感情を剥き出しにするシーンはそれ程多くなく、それ故にラスト近くでの夫婦の言い合いと結末は、揺れ動く心情を巧みに描写していて、重い。最後の父親の行動は意外でもなければ衝撃的でもなかったが。指のケガが象徴的である。 6点(2003-12-29 03:20:11) |