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すねこすりさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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41.  トンネル(2001)
あの無敵のテニスプレイヤーだったS・グラフが、壁崩壊後の大会で優勝したかなにかのスピーチの際、感極まって涙しながら東西ドイツの統一を喜んでいることを話していたのを見たとき、ドイツ人にとって、この「分断」がどれほどの傷だったのかをほんの少しだけ垣間見た気がして、「グラフでも泣くのか(=鬼の目にも涙だな)」という感慨とともに染み入るものがあった。統一後のベルリンに行った際、強く印象に残ったのは、壁の西側は落書きだらけで、東側はまっさらのグレーだった、ということ。映画でも当たり前だがやっぱりそうだった。ドイツの今は、統一後の「分断」の傷はいまもって癒えておらず、むしろ、埋められない溝となって人々の前に横たわっていると言う。旧東独を懐かしむ人々も少なくないとか。作品的には、長尺だけど退屈する間もなく、非常に分かりやすい作りであったけれど、この手の実話ものでエンディングで登場人物のその後を伝える手法は、ちょっと食傷気味。賛否あるだろうけど、映画=実話そのまんま、みたいな誤解を与えかねないこの手法、いい加減やめたら? と言いたい。記録映画じゃないんだからサ。
[DVD(字幕)] 7点(2010-01-13 16:33:49)
42.  いのちの食べかた
衝撃度でいえば、ナイルパーチを題材にした『ダーウィンの悪夢』の方が強かったなあ。こちらは、ほぼ知っている範疇を超える映像が出てこなかったので。もともと堵殺にまつわる諸々には興味があり、その手の書物など結構読んでいたし・・・。ピヨのベルトコンベアーは、不謹慎ながら笑ってしまった。農業も、やっぱり広い平地に恵まれた欧州ならではの規模に圧倒される。あと、機械化のスゴさも。本作を見ながら、ぼんやり「捕鯨問題」について考えていた。捕鯨に強烈に反対している人々の多くは牛肉を日常的に食しているわけだが、本作での解体シーンを見て、何て言うのかなあ、とか。食べるために育てている牛は堵殺してもよくて、天然の鯨を殺すのは非人道的、ってなんかその論理に整合性がとれてないんじゃないのかしらん、とか。そういう人々はもれなくベジタリアンなのかしらん、とか。私は、鯨肉は好きじゃないし、捕鯨について一家言ある人間でもないので、どうでもいいんだけど。「食べ物」って奥が深い。
[DVD(字幕)] 7点(2009-12-24 11:19:34)
43.  あるスキャンダルの覚え書き
ジュディ・デンチがっ! すげぇーー! こぇーー!! でございますっ。・・・でも、実際います、こういう人。もの凄く世界の狭い人、恐ろしく対人関係構築がヘタな人。彼女、かなりの高確率でバージンだろうな。いえ、別にバージンが悪いのでなく、彼女がそのことに絶望的なコンプレックスを抱いちゃっているからヤバイんです。ちょっとレズっぽい描写がありますが、彼女は違います、多分。男を知らな過ぎる反動です、きっと。これは男性には分かりにくいかも。女子同士が手をつないでトイレに行くのと、感覚としては同じでしょう。男児にはありませんもんね、そういうの。オンナ特有のものだと思います。バーバラの人生の道幅は狭く、モテない我が身を片方の「男」という側から遠ざけることでずっと自己防衛してきたんだけど、それが反対側の「女」(しかも彼女の歪みに気付かない女限定)に極端に接近(つーか激突してますな)する結果となっただけ。彼女だから孤独なのか、孤独だから彼女なのか、ニワトリと卵だわ~。なかなか面白い作品でした。
[DVD(字幕)] 7点(2009-12-02 16:37:53)
44.  フロスト×ニクソン 《ネタバレ》 
まあ、面白くなくはないんだけど、なんというか、緊迫感とスピード感に欠けており、見終わった後に感慨はない。インタビューの心理戦で、それまで完璧な狸親父を演じていたニクソンが、最終日にフロストに提示された証拠(これがイマイチ破壊力に欠ける気がするのだけれど)であっさり陥落する豹変ぶりが唐突過ぎて、政界復帰を棒に振るにふさわしい攻防としての説得力にやや欠けるのが痛い(まあ、実際のインタビューがそうだったのだろうけれど。であれば、やっぱりニクソンは脇が甘い、裏を返せばフツーにイイ人ってことかも知れないが)。見ていて「おっ、これは・・・!」と手に汗握るシーンだったとは言い難い。前半、政界にカムバックを目論み金に執着するニクソンと、一発当ててメジャーにのし上ろうとするフロストの、野心に囚われた人間臭さはすごく伝わっていただけに残念。
[DVD(字幕)] 7点(2009-09-14 14:47:37)
45.  コレラの時代の愛 《ネタバレ》 
『エレンディラ』にも通じるんだけれど、かなり悲惨な話なのに、どこかコミカルなのです。ちゃんと救いがあるところもそう。フロレンティーノの情事シーンはまさしく動物的で笑えます。自分が関係した女性をリスト化しているところもオカシイ。たった一人求め続けた女性とは結ばれないのに、何百という女性のリストを作り続ける。そこに悲壮感もあまり感じられないのです。70過ぎた爺さんと婆さんのベッドシーンはいささか辛いものが・・・。いやしかし、これこそが、このオハナシのミソなんですね。「私はあなたに純潔を捧げた」なんて、若い乙女の言葉かと思えば、シワだらけで禿げた白髪頭の爺さんが言うんです。満ち足りた顔をして・・・。女として嬉しいかなあ? 私なりに想像しましたが、ハッキリ言って「うへぇ~っ」って感じなんですけど。とはいえ、映画の中のお2人は幸せそうで。あ、別に高齢者の恋愛が「不潔」だといっているのではありませんよ、フェルミーナの娘のように。いくつになってもそれはOKなんです。ただ、あまりにもリアルに画で見せられると、キツイのです、これが。・・・オープニングのサイケなバックイラストが素敵です。若くて美しい女性の裸体がふんだんに出てきますので、それだけでも十分楽しめるかも知れません。映画としては、好きな部類です。これはある種、男性にとっての「おとぎ話」なんでしょうか? 男性の感想も是非お聞きしたいものです。
[DVD(字幕)] 7点(2009-07-27 13:54:16)
46.  その土曜日、7時58分 《ネタバレ》 
この映画のテーマは「親子」ですね。ハンソン家は、この強盗事件が起きる前からとっくに「崩壊」していたわけです。両親=夫婦間の愛情があったので表面化しなかっただけ。子ども(といってもいい歳のオヤジだけど)たちの心はとっても荒んでいたのね。父親という存在によって。だからこそ、2人とも問題抱えちゃっている。辛うじて家族の要となってくれいてた母親=妻が亡くなったことで、名実ともに「崩壊」しちゃう過程を実に緻密に描いています。子は親を選べない、生れ落ちた環境が全て。愛情不足や兄弟偏愛が人格形成に決定的な影を落としたという点では、親子の確執経験者としては、同情を禁じえないのだけれど、やっぱり「大人」になったら、自分の尻拭いは自分でできるようになりなさいよ、というのが私の信条。いつまでも「アンタのせいで」を燻らせて生きてんじゃねーよ、と。そんな親にいつまで囚われて生きてんだ、と。言わんこっちゃない、結局、燻り続けた思いを抱いていた父親に命まで奪われるアンディ。気の毒としか言いようがないが、彼はそれだけ甘チャンだったとも言える。・・・とは言え、一番憤りを感じるのは、やはりあの父親。ああいう人間が簡単に人の親になれちゃうんだから、世間って恐ろしい。とことん、自分の過ちと向き合わない、息子以上に甘チャン男。我が子を殺して満足ですか、あなた。後味最悪の映画ですが、嫌いじゃありません。
[DVD(字幕)] 7点(2009-07-09 10:50:09)(良:1票)
47.  ハード キャンディ(2005)
サイココメディー、ってジャンルがあるとすれば、これはそうかも。緊迫シーンなのに、笑えます。ジェフってホントにヤな男。感傷的な泣かせ文句でヘイリーを思いとどまらせようとして。開き直れとは言わないけど、まだ「すいませんでした! もうしません! だからお願いです、止めてください!」と哀願する方が、嘘だと分かっていても可哀相にと思ってあげるのに。まあ、よろしいんじゃないですか、こういうの。エロオヤジたちへの警鐘にすらならないだろうけど、これを見ている瞬間だけでも痛くて怖い思いしなさいよ、って言ってやりたい気分。もともと私は、性犯罪者には男性機能剥奪の罰を与えるべし、という思想の持ち主なので、過激でゴメンなさい。そうすれば、世の中から性犯罪って激減すると思うんだけど。死刑は抑止力にならなくても、こっちはなると思うのよね~。これ以上書くと暴走しそうなのでこれくらいでやめておきます。
[DVD(字幕)] 7点(2009-04-22 16:23:07)
48.  ゴーン・ベイビー・ゴーン 《ネタバレ》 
最初、登場人物の名前が頭の中で整理できず、やや混乱気味だったものの、次第に分かってくると、一気に引き込まれました。これは考えさせられますね。アマンダの幸せのために、ドイル警部たちは、あそこまでする必要があったのだろうか、というのがまず疑問。しかし、ここはこの作品の前提なわけで、その是非を云々言っても不毛なのでとりあえず置いておくとして、問題は、やはりラストのパトリックの出した結論です。正直なところ、私はアンジー派ですが、それでも、パトリックの思考回路も十分理解できるのです。この作品は、最後の最後に、パトリックの選択が誤りであったことを匂わせますが、ドイル警部夫妻に育てられればアマンダはより幸せだったかどうか、というのは、数年後の結果を見なければ誰にも分からないのです。ドイル警部夫妻の身の上にだって、今後何が突発的に起きるか分からないわけで・・・。やはり、理論的に正しいパトリックの選択をしておいた方が、長い目で見たときにアマンダにとっては「生きやすい」のかもしれない、とも思ったり。しかし、ケイシー・アフレックという俳優、なかなか良いですね。相変わらずエド・ハリスはイイ味出していました。
[DVD(字幕)] 7点(2009-02-02 15:46:04)(良:2票)
49.  クリント・イーストウッド アウト・オブ・シャドー
俳優イーストウッドを愛しているのだが、中でも、70年代の彼(若すぎず老けすぎず)が一番好きである。で、この作品の中では、彼の「俳優」としての側面に主に光を当ててくれていたのが良かった。もちろん、「監督」についても語られているが、私的には、監督イースドウッドはあまり共感できない部分が多いので。俳優としての彼を(勝手に)愛して20年以上だけれど、考えてみれば、彼の人生観が反映される監督作品は軒並みあまり好きではないし、ソンドラ・ロックとの泥沼破局なんかを見ても彼の女性観も多分、私には受け入れ難いものがあるんだろうから、恐らく人間イースドウッドとなると、私は彼のことがあまり好きじゃないんだと思う。でも、私が彼に触れるのはスクリーンを通してのみだし、詰まるところルックスと佇まい(と演技)だけで20年以上愛してきたわけだ。・・・という感慨(?)を、この作品を見ながらかみしめた。Ultimate Collector's Edition、購入して良かった!
[DVD(字幕)] 7点(2008-11-20 15:17:06)
50.  マグダレンの祈り 《ネタバレ》 
なんともはや憤懣やるかたない映画。アイルランドの恥部と言われているらしいこの収容所の話、映像化するだけでも意味があったと思う。先日見た『4ヶ月、3週と2日』もそうだが、性的問題において、性交渉の結果妊娠する側の女性は、本当に不条理な扱いを受ける。オトコは放出して終わり。そして、一緒になって糾弾する側にまわる。お気楽で羨ましい限りだ。常々、妊娠する確率が男女50/50だったらどんなに世の中真っ当になってたろう・・・、と思う。この映画は決して前時代の話じゃない。映画ではカトリックの修道院が舞台だけど、性的な被害に遭う女性に「お前に落ち度があった」と責める構造はゼ~ンゼン変わっていないもの、日本でも。宗教という媒体があろうがなかろうが同じこと。たまたまカトリック修道院というコンバーターを通してそれがデフォルメされた形で表出しただけ。不謹慎かもしれないけれど、妊娠させた男やレイプした男たちを収容し、「避妊の仕方」とか「性欲の抑え方」を不条理なやり方で徹底的に教育する、というパロディー映画作ったらいいのに、などと思った。
[DVD(字幕)] 7点(2008-10-29 15:07:36)
51.  機械じかけの小児病棟
それほど怖くはないのだが、ハラハラドキドキはします。ストーリー的にはよく出来ているし、映像も音楽もgood。イマイチなのは邦題。子どもの悲しいお話がベースのホラーは切ないです。
[DVD(字幕)] 7点(2008-10-24 16:16:38)
52.  隠された記憶 《ネタバレ》 
ビデオを送ってきたのは誰か、に囚われて見てしまうと、最後に怒りを覚える映画。でも、凡人は、やっぱりそこに囚われるよなー。でも、よく考えれば、これはハネケの映画であった。まあ、結局、明快な答えは提示されません、もちろん。そして、どういう結論を見た者が出したにしろ、後味はかなり悪いことに違いはない。場面がブツ切りなので、ヘタするとワケ分からんことになりそうだけれど、それをギリギリのところで収拾つけてるところが、やっぱりハネケだねー、と思う。しかし、いきなり首カットで血飛沫! は勘弁してよ。思わず「ギャッ!」って叫んじゃったじゃない。あと、ジュリエット・ビノシュ、見事なオバサン体型になってしまって・・・。若いころは独特の「男を惑わせるオンナ」のオーラを纏っていたのに、すごい脱皮の仕方に唖然。彼女が出てくるたびにそれが気になって、何度かプレビューするはめになったことも特筆事項だ(でもないか)。
[DVD(字幕)] 7点(2008-09-11 15:43:16)
53.  女はみんな生きている
なんか、笑っちゃう。あ、もちろん、良い意味でです。ここまで「男のおバカさ」と「女のタフさ」を戯画化して描いてくれちゃうと、笑うしかない、って感じです。一番面白いのは、エレーヌが怪しげな男を背後からでっかい木材でぶっ叩くところかな。なんというか、問答無用! という感じが爽快です。途中、ノエミの独白シーンは長過ぎるのがいただけない。ノエミの回復ぶりが非現実的ではあるけど、所詮、これは、「女はタフである」ことのカリカチュア。男は人格と下半身は別な生き物などとよく言うけれど、この映画に出てくるオトコどもは、みんな揃いも揃って、下半身に人格が支配されたオマヌケばかり。まあ、これもカリカチュアなんだよね、所詮。邦題も、まあまあ良いんではない? オンナの、オンナによる、オンナのための映画、ってとこでしょうか。
[DVD(字幕)] 7点(2008-09-08 15:20:48)
54.  ミス・ポター 《ネタバレ》 
とてもサラ~ッとした質感、でも、きちんとミス・ポターやその周囲の人間性が伝わってくる素敵な一品。婚約者が急逝するシーンは、もう号泣・・・。ところどころで絵の動物たちが可愛く動くのもナイス。こういう嫌味のない作品は、イイですね。衣装、美術も素敵で見ていて楽しいし。彼女のように、自分の腕一本で世を渡っていける人は、本当に魅力的。人生のどんな修羅場も、それを糧にして乗り越えて行けるもの。一握りの才能に恵まれた人々よ、と遠巻きに羨望の眼差しで見るだけでなく、自分も努力しなくては、と励まされた気分。
[DVD(字幕)] 7点(2008-07-04 10:55:02)
55.  理想の女 《ネタバレ》 
この映画は、何と言ってもヘレン・ハントに尽きる。色気たっぷりのオンナ全開から一転、娘に愛情を向ける母親へ。オンナ全開とはいえ決して下品でなく、母親と言っても愛情押し売りでなく。なんと魅力的な女性として演じてくれたことでしょう。おかげで、スカーレット・ヨハンソンは影が薄くなってしまいましたが。映像も美しい、美術も素敵、見所満載のお得な映画でした。再見必至。
[DVD(字幕)] 7点(2007-09-25 15:00:41)
56.  さよなら、クロ
犬好きとしては、終始とても賢そうなワンコの姿を拝めただけでも結構満足。冷静に内容を考えると物足りないとも思うが、これが実話をベースにしていることを考えると「映画みたいな実話」があったんだ・・・、という感慨で補える。自分の愛犬と名前が同じなのも大きいかも知れないけど、「さよなら」よりむしろ「ありがと、クロ」と言いたい気持ちになりました。
[映画館(邦画)] 7点(2007-09-05 12:01:13)
57.  ホワイト・オランダー 《ネタバレ》 
何度かところどころTVオンエアで見ているけれど、最初から最後までちゃんと見たのは初めて。娘の母親からの「自立」物語・・・そんな生易しいお話じゃないでしょう、これは。描写がキッチリしているけれど淡泊なので、そういう風に見えても仕方ないとは思いますが。これは、娘の、母親からの自由を勝ち取るための「壮絶な闘い」物語というべきでしょう。まあ、真っ当な母親に育てられた方には、アストリッドが自立できていないと見えて当然なのです。ですが、このミシェル・ファイファー演じるような毒を撒く母親に生み落されて知らない間に毒されて生きてきた娘は、自立というものを知らないのです。遅まきながら何となくその存在と意味を知った時には、自分の頭も体も重度の中毒状態。解毒にもの凄いエネルギーと時間が掛かるのですが、これが、周囲にはなかなか理解されづらいのですよね。それは、母親というものがそのような毒を撒く存在だと、考えも及ばないからです。特効解毒剤もない、ただただ自力で解毒することの困難さは、多分、こういう母親を持った人でないと理解できないと思います。そしてまた、理解できないことは純粋に「幸せなこと」だと改めて感じていただきたい。「分かるような気がするが、アストリッドに共感できない」というのは、分からないと同じであり、それは幸せなことであって、決して想像力が欠如しているわけではないのです。私はまだ、自分を解毒できただけ、幸せ者だと思えるし、アストリッドもそう。世の中には、重度の中毒状態にあえぎ脱出できずに苦闘している人々がきっとたくさんいると思うから。その方が楽だと思えてしまうのも痛いほど分かるし。でも、アストリッドのように闘えば、解毒することの本当の意味、解放感と真の自由を実感できます。親子の縁はそれでも一生切れはしませんが、毒から身を守る術を身に着け、母親を精神的に葬ることができる。それがささやかな解放なのです。今、中毒症状で苦しんでいる人々の一助になり得る作品ではありますが、ちょっとパワー不足は否めませんかね。でも、パワフルにしちゃうと、もうそれこそ見ていられない悲惨極まりないグロ映画になりかねないので、やはりこれくらいの薄味が正解なのかも知れません。
[DVD(字幕)] 6点(2013-11-11 22:03:55)
58.  プライドと偏見 《ネタバレ》 
原作未読。前に一度見ているはずなのに、恐ろしいほど何も覚えていなかった・・・。まあでも、正直、キライじゃない。映像は美しいし、音楽もなかなか。ハッピーエンドだし。イマイチ評判の悪いダーシー役のマシュー・マクファディンですが、私は悪くないと思いました。高慢というよりは、ちょっとダサい、暗い、ですかねー。でも、決して醜男じゃないし、品もありました。特筆するような内容はないけれど、ブレンダ・ブレッシンは、『秘密と嘘』でもそうだけど、こういう自己チューで頭がよろしくない女役が実に上手いですね。このベネット夫人が、我が母親の姿とダブり、ヒジョーに嫌な気持ちになりました。娘の結婚に血眼になる母親。作中の時代では、女にとっての結婚は人生レベルの切迫した問題だろうから、こういう母親はむしろフツーだったんでしょうが、現代(とゆーか20年前)の母親でこれって、やっぱりかなりクレイジーだったんだよなぁ。ま、我が母親は女の人生は結婚で決まると信じて疑っていない他力本願な人なんで、仕方ないと言えば仕方ないけれども。母親世代だと、本作同様、「結婚(だけ)が女の生きる道」に通じるものがあったのも否定はしませんが。逆にいえば、まあ、結婚しか女性の生きる道がない時代に生まれてこなくて、本当に、ホントーーに、良かったと、こういう作品を見ると骨身にしみて思いますね。・・・ちょっと、原作を読んでみるか、という気になりました。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2013-09-29 23:04:03)
59.  シャネル&ストラヴィンスキー
マッツ映画4連投。この映画は、「春の祭典」の初演シーンをかなり史実に忠実に再現しようと頑張った、その冒頭のシーンだけで存在価値のある作品でしょう。劇場の美術といい、もちろん舞台美術といい、開始直後に離席してしまうサン・サンーンスと思しき観客とか、伝えられる話はとりあえず盛り込まれているようです。ちょっと感動しました。正直なところ、3大バレエの中では、個人的には「ペトルーシュカ」が1番好きであり、「春の祭典」は3番目。だって、なんかつまんないんだもんね、聴いてても。曲想が目まぐるしく変わり飽きさせないけど・・・。でもまあ、ストラヴィンスキーの音楽は基本的には好きだし、オケで吹いた思い出深い曲もあるので、なんつーか、まあ、ちょっと贔屓目に見てしまいます。とはいえ、シャネル役の女優さんは美しいけれども、時々久本雅美に(原因は口元かなあ)見えてしまったり、ディアギレフがイマイチ迫力不足だったりはいただけない。『ニジンスキー』でアラン・ベイツのを見てしまっているから余計にね。ニジンスキーもこの後、坂を転げ落ちるように不幸になっていくわけで、そんなこんなで、この映画の背後にあるいろいろな人や物の動きに思いを馳せると、それはそれで感慨深いものがあります。そして、マッツ・ミケルセンですが。ピアノの演奏シーンがいくつかありまして、長いワンショットの中で彼は実際演奏しています(音は違うでしょうが)。その演奏シーンが素晴らしいのは、何より、彼のピアノの弾き方にあります。多分、演奏経験があるのでしょうね、少しは。手首がきちんと上がって固定されています。これは、ちょっとやそっとの練習で出来るものではありません。こういう映画では手首が下がってぶれた動作を見せられると思いっ切り興ざめなのであります。そこがきちんとクリアされている。これは結構些細なことの様で、大きいですね、私的には。彼はかなり器用な俳優さんだとお見受けしました。うーん、マッツ、恐るべし。
[DVD(字幕)] 6点(2013-08-11 22:37:57)(良:1票)
60.  しあわせな孤独
好きか嫌いかで言えば、嫌いだなぁ。でも、嫌悪感を抱く、とはちょっと違うというか。・・・主な人物4人の誰にも共感できるようなできないような居心地の悪さがあります。ヨアヒムが事故後、周囲に攻撃的になるのは、確かにひどい言動だけれど、これは仕方ない。だって、もう二度と自由に動けないんですよ? その絶望感たるや、想像を絶します。あの状況でそれなりの言動を求めるのは鬼でしょう。こういうのって、経験しないと分からないし、経験しても反応は百人百様ですから。そして、加害者のマリーですが、彼女の事故直後の言動(誕生会のシーン)はちょっと??だけど、ニルスがセシリと深い関係になったと知って動揺するのはトーゼンでしょう。わが夫なんだし、相手は被害者の恋人でしょう? 私が彼女でも激昂する可能性高し。被害者だからって、セシリに夫を奪う権利などあるはずもなく。セシリが彼女からもらって良いのは、賠償金だけです。そのセシリはというと、同じ女性としてはハッキリ言って嫌いなタイプですが、婚約者がああなっている状況で、優しく素敵なニルスのような男が目の前に現れれば、寄りかかっちゃうのも、まあ仕方ないか・・・、と思うし。そらそーでしょう、一人じゃ心細すぎるし、誰かのぬくもりが一番の特効薬なのです、こういう場合。でもって、ニルスですが、まー、男ってこういう生き物なんでしょうね、と思いました、激しく。男性方に失礼千万なのは承知の上で書いちゃうと、とっくに世の男性に対する期待など捨て切っておりますが、それでもこれは「男の馬鹿野郎ぶり」を改めて見せつけられて、ゲンナリしたというか、納得したというか。とはいえ、まあ、私が4人の中で一番共感できなかったのは、セシリですね。いくらイイ男でも、加害者の夫に癒しを求めて情を交わす・・・、これは私には生理的に受け付けない。第三者的に見れば仕方ないと思えても、わが身に置き換えると「気持ち悪い」わけです、何となく。世界一大切な人を傷付けた張本人の配偶者。どーなんでしょうかね、これは。ともあれ、『ロイヤル・アフェア』でセクシーだったマッツ・ミケルセンの出演作を見たいと借りた次第。彼は、ここでもやっぱりセクシーだった。彼のセクシーの所以は口元ですね、あのへの字の。ヤバいです、彼のこと、好きになっているかも! シリアスな映画にそぐわぬ能天気レビューですみません。
[DVD(字幕)] 6点(2013-07-16 22:52:06)
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