41. 水のないプール
《ネタバレ》 『十階のモスキート』『コミック雑誌なんかいらない!』に匹敵する、“ヤバイ”内田裕也の観られる貴重な邦画。 1980年代の邦画ならではのチープさがたまらない。 クロロホルムで眠らせて、連日レイプ。 これが本作の主題だが、それを延々と見せる後半は、むしろマンネリを感じた。 それより良かったのが前半部分。 内田裕也は、しがない駅員で、“カチカチカチ”と鋏を鳴らしながら毎日改札で切符を切る退屈な毎日。 家に帰れば、肥えた醜い嫁さんが待っている。 だけど、その鬱積したものが突如爆発し、暴言を吐いたりして、意外に暴れん坊な内田裕也。 この退廃した日常にやられ、狂気を孕み、危うい雰囲気をプンプンさせる目つきの悪い内田裕也が、コミカルでいてとてもカッコよい。 エロ目的で観るのが本来だろうけど、エロとは直接関係のない、この前半部分に、本作ならではの魅力、そして内田裕也ならではの魅力を感じた。 [ビデオ(邦画)] 7点(2010-02-01 00:25:48) |
42. キャバレー日記
日活ロマンポルノという枠組みを超えた快作! 新宿歌舞伎町のキャバレーを舞台に、その悲喜こもごもを描いた作品。 当時のキャバレーって、こんなにも無法地帯だったのだろうか。 そんな興味を抱きつつ、細部に渡ってリアルな描写に興奮し、楽しんだ。 キャバレーって、今でいうキャバクラ的なイメージがあったんだけど、本作で描かれているキャバレーのサービス内容は、キャバクラとお○わりパブと○サロのサービスを全て含み、実に過激。 規制が増えすぎ、歌舞伎町浄化作戦といういらぬお節介的な政策のせいで、歌舞伎町という街が、いかに骨抜きにされ、猥雑さと面白味が無くなってしまったか。 健全な社会といえば聞こえはいいけど、古き悪き時代というものはとっても貴重であり、又、時代という流れの中で、限られた期間にのみ存在したかけがえのない黒い光であったのだ。 そして、高度成長期を頑張り抜いた、サラリーマン達の陰のエネルギー源だったのではないだろうか。 こういう、時代を強く反映した映画を観ると、清く美しい現代の社会は、実に面白味に欠けるものだと感じずにはいられない。 こうして、“東洋一の歓楽街”と謳われた新宿歌舞伎町は死んでいくのだと・・・ [CS・衛星(邦画)] 7点(2009-12-23 03:06:31) |
43. 黒い瞳
監督のニキータ・ミハルコフは相変わらず巧い。 最後の余韻の残し方なんて半端なし。 観た後も、あのオチのことを考えてしまった。 マルチェロ・マストロヤンニが演じたいい加減な男が、ロシア人女性を裏切ったことによって、幸せになれた誠実な男。 これは何とも皮肉。 この事実を、この誠実な男が知ってしまったら、どうなるんだろう・・そう考えてしまった。 [ビデオ(字幕)] 7点(2009-12-16 00:07:45) |
44. ニッポン国 古屋敷村
前半の稲穂と田んぼに関する徹底検証。 これがまた物凄く手がこんでいて、やたらにリアルな模型や、丁寧な仕事で作り上げた図表などが次々と出てくる。 もう稲穂の話なんてどうでも良くて、その説明に使われる小道具に目がいってしまった。 ただ、この稲穂に関する検証は、同じく小川紳介監督の『1000年刻みの日時計 牧野村物語』で散々しつこく見せられた経験があるので、観ていて何ら新鮮さもなく、しかも延々と冒頭から1時間くらいかけて語られるものだから、苦痛以外の何物でもなかった。 ようやく苦痛の稲穂解説パートが終わると、村人たち個々人の生活や昔話の取材へと趣きが変わる。 ここからが面白い。 村人たちの話は、昔話ながら実に新鮮で、私が見聞きしたことのないような話を、昨日のことのように実感をこめてカメラに語りかけてくる。 辛かった炭焼きの仕事の苦労話や、蚕で生計を立てるまでの話、村が盛っていた頃に村をあげて行われた花火大会の話、戦争の体験談など、次々と出てくるエピソードは聞いていて実に重みのあるものだった。 200分を超える為、途中しんどくもなったが、観終えた後の気分たるや、映画を観て久しぶりに得られた満足感であった。 [映画館(邦画)] 7点(2009-11-23 23:01:27) |
45. レスリー・チャン 君の瞳に恋してる
《ネタバレ》 「友情」というものが、極めて美しく明るく描かれている。 コメディ要素たっぷりだが、根底にはかけがえのない友情、そして「死」にまつわる悲劇がしっかり描きこまれている。 今観るとダサさ全開で、パっと観、単なる二線級の香港映画なのだが、語られているテーマはしっかりしており、心奪われるものがあった。 レスリー・チャン主演だが、まだこの頃は渋さよりもやんちゃな勢いで売っている感じ。 だけど、後にアイドルというポジションが嫌になって一時、引退したことや、私生活ではゲイであったという事実からも分かるように、このような青春モノの元気溌剌な青年キャラを演じるのは、彼にとってかなり無理していただろうことは想像に難くない。 本作自体は、男が女を愛するという極めて普通のテーマを扱っていて、それが明るいところに良さを感じるわけだが、レスリー・チャンのこういったプライベートな背景を考えると、なんだか後味の悪さえ覚える。 レスリー・チャンの、こういったアイドルとしての役回りや、映画で演じるキャラとプライベートな彼とのギャップ、そして悲劇的な自殺という人生の幕切れが頭をよぎり、かえって本作の底抜けな明るさが複雑な影を落とす作品となっていて、なんとも皮肉である。 [DVD(字幕)] 7点(2009-11-13 23:26:37) |
46. さびしんぼう
---愛することはさびしいから、だから私はさびしんぼう--- 失恋が生む寂しさ、それを美しく言葉に現した素敵な言葉だ。 誰もが一度は経験する青春時代の失恋。 失恋の後に残るものは虚しさだけか? いや、違う。 寂しいというオーラに包まれたセピア色の想い出だ。 それは大人になっても、心の奥底に大切にしまわれているのだ。 失恋というものを、ただただ哀しいこととし、心の傷の様に思ってしまっている人には是非観てもらいたい作品だ。 もしかしたら、この作品を観たことがきっかけで、辛いというだけの想い出でしかなかった失恋が、ぐっと味のあるいいものに変わるかもしれない。 ねずみ色だった失恋の記憶が、セピア色に輝く失恋の記憶に。 タン、タン、タヌキの金玉は~♪ か~ぜもないのにブ~ラブラ♪ [ビデオ(邦画)] 7点(2009-04-10 00:05:37) |
47. 逆噴射家族
《ネタバレ》 ふぅ~、疲れた。 まずそれが第一。 少しずつ家族が崩壊していく静かな前半は楽しめたものの、崩壊しきった後半は飽き飽きモード。 少しやりすぎ。 工藤夕貴がキャーキャーうざい。 『家族ゲーム』と比較すると、“動”と“静”という感じ。 もちろん本作が“動”だが。 [DVD(邦画)] 7点(2009-03-22 21:07:54)(良:1票) |
48. 駅 STATION
《ネタバレ》 演歌を地で行く世界。 これを見ると演歌もいいものだなぁ、と感じる。 倍賞千恵子が営む居酒屋でのシーン。 高倉健と倍賞千恵子の俳優と女優とのぶつかり合い。 お互いの人間味が弾けんばかりに静かに対峙する。 尺の長さ、前半の無意味なシーン、倍賞千恵子の愛人が実は指名手配犯だったというオチ、テレビ役者が多すぎ、とマイナス点は見受けられるものの、全体としてはなかなか良い雰囲気になっていたのではないだろうか。 [ビデオ(邦画)] 7点(2008-12-23 23:00:38) |
49. 川の流れに草は青々
内容はベタだし、最後は都合良くまとめ過ぎだし、題名通り「青臭い」内容なんですが、これがまた心がとても和む作品です。 まるで『男はつらいよ』シリーズを観ている時の様な、落ち着いた良い気分になれます。 やはりホウ監督の作品は音楽が良いです。 台湾の田舎を舞台に爽やかな人々の日常風景が映し出され、そこに爽やかな音楽がタイミング良く流れます。 ホウ監督は後に作風を変えますが、ホウ監督初期のこういった作品群もまた別の意味で良いですね。 [ビデオ(字幕)] 7点(2008-04-10 17:26:22) |
50. 狂い咲きサンダーロード
リアリティ無視で爆走するストーリー展開に苦笑するも、勢いだけは物凄く、最後まで引っ張られた。 娯楽作品として素直に観れれば、十分楽しめる作品である。 古臭さがそこかしこに溢れているが、その古臭さを逆手にとり、逆に楽しむ。 これがリアルタイムではなく、21世紀において本作を楽しむ上では必須の条件だ。 山田辰夫のかすれた声が何しろかっこいい。 そして雰囲気も、どこか私の好きな成田三樹夫に似ていてかっこいい。 この作品でこれだけのインパクトを放つパワー溢れる演技をみせたのに、その後のブレイクがなかったのが残念だ。 暴走族はもはや時代遅れ。 しかしながら、それが逆に観る者の好奇心を否応なくかき立てるのだ。 [ビデオ(邦画)] 7点(2008-01-13 16:17:22) |
51. 童年往事/時の流れ
《ネタバレ》 冒頭から既にホウ・シャオシェン色が全開。 ホウ監督にしか出せない自然な雰囲気、そして台湾の暑苦しさがリアルに伝わってくる。 風景をただ撮っただけと思わせながらも、実はホウ監督にしか映し出すことのできない不思議な暖かみを映像から感じる。 つくづくホウ監督は天才なんだなぁと感じる。 さて、本作ははっきり言って怖いくらいに情け容赦なく暗い内容である。 まず主人公の父親が肺病で血を吐いて死に、次に母親が舌癌で死ぬ。 そして挙句の果てには、おばあさんが畳の上で1ヶ月間放置され老衰死する始末。 しかし、全編を通して心和む素敵な音楽が流れている。 そのせいか、そこで起きている人が死ぬという悲劇を「ごくごく自然なもの」として受け入れることができた。 ホウ監督の音楽センスは理屈抜きに好きだ。 特に本作の音楽は素晴らしい。 日常に横たわる“死”という恐怖や別離というものを、特別に悲劇として誇張することなく、自然の摂理として表現してみせた本作。 暖かい映像美と相まって、暗い内容とは裏腹に「爽やかさ」さえ残した。 その絶妙なさじ加減。 やはりホウ監督を天才監督と認めざるを得ない。 ホウ監督の作品は沢山見てきた。 そしてようやく、この監督の凄さと良さを感じることが出来た始めたように思う。 この監督は一筋縄では到底いかない。 それだけに、その凄さを一度でも感じてしまうと、また別の作品を見たくなってしまう。 そんな魅力が、この監督には確かにある。 [ビデオ(字幕)] 7点(2007-12-23 00:09:45)(良:1票) |
52. 黄昏(1981)
観ている間、なんか不思議と心が安穏としました。 安心して観ることのできる作品です。 実際にも不仲だったフォンダ父娘が、本作を通して和解したというエピソードがとても素敵です。 映画ってやっぱり素晴らしいですね! [DVD(字幕)] 7点(2007-12-06 23:32:44)(良:2票) |
53. アマデウス
モーツァルトの音楽とオペラを堪能できるが、少し長い。 [DVD(字幕)] 7点(2007-11-13 23:16:04) |
54. 祝辞
かなり前に二回も観ました。 かなりの傑作です。 かなり前に観たので7点にしておきますが、8点はついてもおかしくない、隠れた邦画の傑作だと思います。 [地上波(邦画)] 7点(2007-10-15 12:26:02) |
55. 魔女の宅急便(1989)
宮崎作品の中ではかなり好きな作品です。 女のコがかわいいですね。 [地上波(邦画)] 7点(2007-10-15 11:49:21) |
56. 南極物語(1983)
当時、映画館で観ました。 犬が大好きだったので、号泣したのをおぼえています。 高倉健や渡瀬恒彦の二枚看板が良かったですね。 岡田英次も出ていたんですね・・・ [映画館(邦画)] 7点(2007-10-14 17:30:39) |
57. 天空の城ラピュタ
低い点数をつけたいのにつけられない。 そんな力を持った傑作アニメです。 ただ、少年の時分に観ておきたかった・・・ [地上波(邦画)] 7点(2007-10-13 15:11:49)(良:1票) |
58. 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
ガンダムの外伝的な作品としては唯一気に入った作品。 シャア万歳! ちょっと切ない部分もなかなか良い。 [ビデオ(邦画)] 7点(2007-10-12 23:57:46) |
59. ラルジャン
ブレッソンの遺作。 カラーとブレッソンの不協和音が心地よい。 [ビデオ(字幕)] 7点(2007-10-12 00:24:16) |
60. ラストエンペラー/オリジナル全長版
長いだけの意味を感じる素晴らしい作品。 普通、長いと途中で苦痛になるが、それを上回る感動的なラスト。 音楽も作品に色を添えている。 [ビデオ(字幕)] 7点(2007-10-12 00:20:48) |