581. 第5惑星
《ネタバレ》 原作だと、終戦後の主人公は人間の体臭を嗅ぐだけで吐きそうになるんだよね。反戦テーマとかの域を越えた何かを感じてたんだけど…内面を描くのがヘタなペーターゼンには、このあたりが精一杯の描写ってとこか。それに原作の見せ場は、長老達の前に立ってドラコ語で家系を詠唱するシーンだろ~! 何でナレと絵一枚で済ませるんだよ~! 原作のように舞台が孤島でなかったのも不満。グリーンランドの光景は素晴らしかったけどね。傑作になり得たSF小説を凡作(駄作とは言わないが)にしてしまった不満が、ちょっと点数を押し下げたかな。【ちょっと補足】製作会社は最初、テリー・ギリアムにこの監督話を持ちかけたんだそうな。それはそれでイヤだなあ。まあギリアムは即座に断ったらしいが。 5点(2004-02-23 02:35:06) |
582. ギャラクシー・クエスト
オイラは『サボテン・ブラザーズ』より『ミザリー』/『エルム街の悪夢/ザ・リアルナイトメア』を想像しました。だから、役柄通りの姿にはまって行く彼らを見て、チョイ怖かったっす。シガニー・ウィーバーがいつもの彼女に見えないのがビックリ。でもシナリオにケチつけてたし、彼女をキャスティングするのを想定して書いてたんだろうなあ。ま、オイラ的にはこんな点数です。 4点(2004-02-23 01:00:59) |
583. メトロポリス(1926)
いまだに、何度見ても、地下世界での仕事ぶりは「苛酷な労働」ってよりなんかの罰ゲームに見えて来るんですが…ただ一人現実的な思考をしてる工場長が好きです。 6点(2004-02-22 21:04:18)(笑:1票) |
584. バグダッドの盗賊(1924)
《ネタバレ》 サイレント時代のアクションスター、ダグラス・フェアバンクスの代表作。で、グリフィス御大がセットのコーディネートをしてる。お姫様に恋した盗賊(フェアバンクス)が、拉致する事も出来るところを敢えて「世界の秘法探し」というアラビアンナイト的正道を選ぶ。他方、ラムズフェルド国防長官似の中国皇帝は、バグダットを我が手中にせんと、求婚するフリして兵士の従者を都に入れ、王宮急襲を挙行する。自国の危機を知ったフェアバンクスは手にした秘法を使ってバグダットへ舞い戻り…なんかイラク戦争に壮絶にかぶるんですけど。しかもこれ、アメリカのサイレント時代を代表する娯楽大作なんですけど。イラク戦争を経た今となっては、三点引かざるを得ないですなあ…フェアバンクスがいま存命だったら何て言う事か。 アメリカさんよ、自分で作った夢を壊すなよ。 5点(2004-02-22 19:54:00) |
585. ロイドの要心無用
彼の代表作だと言うのは知ってるけど、ロイド作品の中では好きじゃない方。ハロルドお前、要領良すぎじゃないか…? 『ロイドの英雄(Grandmother's BOY)』の続編で、愛するミルドレッドを故郷に置いてきたばかりなのに、前作とあまりに人格変わってないか? あと、これは言ってはいけない事かもしれませんが…ビルダリングのシーンは一部、背景のビル群と陰の方向がズレてますぞ。真上からの俯瞰ショット以外はスクリーン背景のスタジオ撮りだと思うっす。 4点(2004-02-22 18:43:19) |
586. ロイドの牛乳屋
ロイド作品の中でもかなーり好きな方。派手なアクションは少なく、シチュエーションで笑わせるシーンが多い。ロイド作品は全般的に、他の喜劇俳優に比べてカメラワークが凝ってるんだけど、この作品でも地味ながらカメラの遊びが見られる(最高なのは『ロイドの人気者』のフットボールシーンだけど)。 7点(2004-02-22 18:35:11) |
587. 花嫁はエイリアン
オープニングの歌はプリンスの曲をトム・ジョーンズがカバーしたんですかね。初めて見た時、あのパワーとグルーヴィーな声に圧倒された記憶があります。内容的にはベタベタな話でしたけど、それ言うのは野暮ってモンですよね。テンポのいい科白が気持ちよかった。こういうのは字幕もいいけど吹き替えでも見たかったなあ…。 6点(2004-02-22 17:53:43)(良:1票) |
588. フィツカラルド
映画館に4回足を運びました。アギーレが「史実×ウソっぽい絵」のミスマッチの魅力だとしたら、こっちは「ウソっぽい話×ヤラセなしのド迫力映像」のアンバランスの魅力ですね。主人公を描くのに、ヘルツォークらしいスポ根直球勝負ではなしに、ウッディ・アレンの『カメレオン・マン』みたいな手法を使ってれば、山登りシーン以外も面白くなったと思うんですが。天は二物を与えずというか…でも好きですよ。 7点(2004-02-22 17:08:32) |
589. ノスフェラトゥ(1978)
告白します。途中数分ぐらい寝てました(見てる途中で寝たのはこれと『バロン』くらいかな)。映像の迫力は凄いんだけどストーリー性がイマイチ…でも確かに絵は凄かった。絶頂期のアジャーニの美貌と監督の右腕キンスキーの名演で3点上乗せします(2004/3/14 5点に変更)。 5点(2004-02-22 16:50:15) |
590. ゴキブリたちの黄昏
《ネタバレ》 「邦画で一番好きな作品は?」と聞かれて、迷わずこれを挙げ続けて15年。「驚愕のラスト」といううたい文句がありますが、この映画は本当に驚愕でした。なんたって、中盤までは群像モノの描き方なのに、主人公と人間キャラを除いて全員死にます。玉砕(顔に向かって飛んでいくゴキブリ!)もあれば虐殺(踏まれます)もあり、オトリになって死んでいく者あり、毒ガスあり(キンチョールだけど)圧殺あり(ハードカバーだけど)射殺あり(モデルガンだけど)ブービートラップあり(ゴキブリホイホイだけど)…それが全部、普通の家の中で展開してしまうのが恐ろしかった。ベルイマンの『第七の封印』の終わりを思い出せば近いかもしれないですが、画面の動きの激しさにアニメと演劇風映画の差が歴然と出ています。ラストのただ1枚のイラストが、全ての救いとなっています。一緒に見ていた友人たちはこの絵で「キャー」とか言ってましたが…何だかなあ。オイラはサイトウさん的に生きるよ。 10点(2004-02-22 15:16:39) |
591. ガンジー
封切りの時、朝一番の上映を見に行きました。でももう会場は満席で、立ち見でした。それでもあまりのスケールに圧倒され、そのまま3回見てしまいました。映画館を出たらもう夜でした。一日立ちっぱなしで足が痛かったはずなのに、そんな記憶は全く残ってません。いまだに、ただただ涙が溢れて止まらなかった事ばかりを思い出します。…オイラ的にはそういう想い出のあるすごい映画です。もうしばらく見てませんが、きっと、今でも。 10点(2004-02-22 01:13:00)(良:1票) |
592. ブラック・ムーン
超多彩監督ルイ・マルの中では最左翼に位置する作品(反対側には『地下鉄のザジ』が陣取ってますな)。冒頭のヤマアラシのシーン、何度見てもどうやって撮ったかわかりません…いったいどのタイミングで車へキューを出したんだろう。カメラの外ではスタッフ達が、ヤマアラシに向かって「ホラホラこっちだよー」と手を叩いてたんだろうか…見れば見るほど謎は深まります。タルコフスキーの『鏡』と共に、映像魔術の殿堂に捧げたい気分です。でもストーリー性に欠けてるので点数は低めで。 5点(2004-02-22 00:07:40)(良:1票) |
593. キューポラのある街
特にレビューするまでもなく推しも推されもしない名画なんだから、特別書くこともないんですがねえ。もう久しく見てなかったけど、DVDで見直してみました。吉永小百合の弟が、朝鮮に帰国する同級生に袋いっぱいのビーダマを渡して「北鮮は新国家建設中だからビーダマなんかねェだろう」って言うシーンは、時代を感じちゃってホロリと来ましたわ。この映画を作ってた当時は、誰一人こんな拉致問題の時代に突入するなんて想像しなかったんだろうなあ…個人的には担任の先生、通称「スーパーマン」の演技が好きです。東野英治郎の頑固オヤジぶりもイイすね。良くも悪しくも、お行儀のいい「よいこ映画」を脱する事ができないっていう欠点があるので、1点マイナス。気持ち的には10点ですが、殺伐とした昨今の世情にもまれながら見ると、「もう賞味期限が過ぎた映画なのかなあ」とか悲しく思えてきます。 9点(2004-02-21 23:30:57) |
594. 地下鉄のザジ
なんか昨日からロリ物のレビューまとめてやってる…まあいいか。何はともあれザジ。最高ですね。展開は飽きないし、フィルムは手が込んでるし、ザジは元気で可愛いし。でもしかし! ザジの叔母さんの清楚な美貌もイイのであります。いやドイツ娘もなかなか…なんて言ってると怪しい警官になってしまうのでありますが。見よ! 我がトレール・スケイヨンの力を~! …ごめん、ちと壊れてマス。 9点(2004-02-20 03:03:44) |
595. キャンディ(1968)
まず一言。オモロ過ぎます。今度発売になったDVDで見ましたが、元々テリイ・サザーンの原作のファンだったんで、内容の前知識はバッチリ。だから迷わず笑えました(これから見る人は、原作を読んでからの方がいいっすよ! 本とDVDじゃリスクの差が大きいから)。オープニングの宇宙のシーンで、どう逃げを打つかが大体読めるので、ひたすらシュールな展開をアングリ口開けて待ってれば良かったのが気楽でよろしかった。原作では孕ませ極悪男だったグル・グリンドル(マーロン・ブランド)に期待してたんだけどなあ…なんか凍ってるし(笑)。軍人のウォルター・マッソーは素晴らしすぎ(爆)。全編の笑いの3割は持ってった気がします。クランカイト先生役のジェームズ・コバーンはチョイやり過ぎかも…でも満足。 8点(2004-02-20 02:16:31)(良:1票) |
596. シベールの日曜日
『ロリータ』のレビューを書いた流れで(笑)。乾いた、フランス映画独特の絵造りが怖かったなあ…と思う反面、子供の視点に移ると一転してフランス映画独特の美しい絵に。ガラス越しに見る風景は、特にそう思いました。でも、母親を思わせる(ていうかあれ親だよなきっと)ジプシーの占い師に出会うシーンから状況は一転して、胸に突き刺さるような展開に。フランス人て、どうしてこうドライな感性を誇示したがるんだろう…でもまあ根は戦争がテーマだし…『ジョニーは戦場に行った』の流れだよなあ…というワケで、何となく子供との純愛をダシにした反戦映画のような気がしなくもなかったですね。評価は悩むところだけど、この客に媚びたような臭気が気になってしまうので、減点方式で3点引きました(2004/3/14 6点に変更)。 6点(2004-02-18 06:41:02) |
597. ロリータ(1962)
ロリータ=若くて未来のあるアメリカ/ハンバート=瓦解しつつあるヨーロッパ…原作の持っていたこの含蓄深い図式を、キューブリックはわかっていないような気がするので点数低め。でも、あのかったるいナボコフ作品を、軽いホームコメディノリにしちゃったのは頭いい~って感じがします。最後の別れのシーンなんか、思わず笑いを漏らしちゃう感じ。嫌味のない演出も徹底して(る点が逆に嫌味なんだけどね)、完成度は高い。やはり、キューブリックが好きな映画を好きなように撮れる立場になったのは本作品のおかげだと思います。 6点(2004-02-18 06:25:04) |
598. マックィーンの絶対の危機(ピンチ)
ブロブも好きだが原点も外せませんな。余談ですが私もマックィーンが出てたと言うのを映画見てから知ったクチです。このおばかストーリーを前に、大スターの力はいらないって事でしょう。わざわざ映画館を襲うシーンもバカだったけど、最終的な撃退方法もバカだったなあ。やはりモンスターにはひとつだけ弱点があるべき(しかも意外なやつ)で、昨今のパワーだけの殴り合いには風情がないと思いますナ。 5点(2004-02-18 05:54:00) |
599. 13F
《ネタバレ》 オイラは、おはようジングルさんの意見とは逆です。この役のかぶり方がこの作品のキモじゃないかと思ってます。過去・現在・未来、そして素の状態と憑依状態という、組み合わせによっては最多4役をこなさなきゃならない(それも、主要キャラ全員が!)。この演技の切り替えの面白さは、役者の巧さも手伝って「何が本物か」を見失わせる力がありました。派手な特撮を使わずにSF的な自己喪失感・不条理感を見せてくれた監督に脱帽します。 7点(2004-02-18 01:48:13) |
600. コンゴ
ああ、皆さんと怒りを共有できる作品をレビューできて大変嬉しく思います。つーか素材がショボいんだから、編集とかでもうちょっと何とかしろよー! ゴリラと溶岩を交互に見るたびに音楽まで変えるなよー! 学祭の映研の上映じゃないんだからさー。1点は哀れに改竄されたクライトンの原作に。 1点(2004-02-18 01:17:18) |