601. ペイルライダー
いやあ、「なるせたろう」さんのコメントに感動しました。アナタこそ映画ファンの鑑です。とにかく、少女の祈りに応えるかのように山上から参上する(すいません、つまらないダ洒落です)イーストウッドの幽霊(?)ガンマンには、魂が震えました。あの『シェーン』が元ネタだなんて、ぜ~ったい間違ってる。だってこれは、むしろイーストウッド自身の『荒野のストレンジャー』のリメイクだもの。素晴らしい! 9点(2003-05-31 18:00:47) |
602. ペイバック
う~ん、自分を裏切った女や仲間への復讐じゃなく、わずか7万ドルぽっちでここまで命を張る主人公ってだけで、十分笑える。周囲のチンピラどもも、それぞれイイ味だしてるし、ブライアン・ヘルゲランド、初監督としちゃ上々じゃん。と、思っていたのに…。これまでヘルゲランドが脚本を書いてきた作品に接してきた者なら、このオフビート感は当然予想できたはず。彼ならではのヒネッたウィットが「不真面目」に映るとして、だからこそ面白いんじゃないか。それこそがヘルゲランドの持ち味じゃないか! あの、メル・ギブソンが付け足したのであろうラブ・ロマンス部分をのぞいて、そういった「不真面目さ」こそを楽しんでほしかった…なんて、言っても仕方ないか。皆さん、「真面目」なのですね…。 8点(2003-05-31 17:45:12) |
603. ブラザー・サン シスター・ムーン
皆さんえらく高評価だし、感動されているみたいで…コメントやめようかとも思ったんですけど…。これって、一種の”現実逃避”じゃないか、当時のフラワーチルドレンやヒッピームーブメントあたりの「汚い現実からさっさと逃げ出そう。どこかにある”魂のユートピア”を夢見て、眼を閉じていよう」っていう、どこかとても無責任な考え方を、そのままメッセージにしたような…。ぼくの知る聖フランチェスコは(と言うより、ロベルト・ロッセリーニの『神の道化師・フランチェスコ』を見たなら)、こんなニュ-ミュ-ジック風(!)「優しさ」だけの好青年じゃなく、もっとラディカルな存在だったはず。彼は、腐敗した宗教界と社会に対して、そのアンチテーゼだったわけでしょ。つまり、当時の世の中では「危険人物」だった…。『ペイネ愛の世界旅行』と一緒に見たなら、この映画が作られたあの年代の「傾向」が、よりハッキリと分かるでしょう。そしてぼくは、あの時代のそういう「無責任さ」が大嫌いなのです。 2点(2003-05-31 14:16:33)(良:1票) |
604. ブラインド・フューリー
今じゃ大作専門みたいになったフィリップ・ノイス監督にも、アメリカ映画撮るようになった初期にはこんなB級時代があったのね。もっとも、ムダのないテンポと小気味良いキャメラワークは、さすがこの監督ならでは。ルトガー・ハウアーの主人公像も好感が持てるし、拾い物と言って良いんじゃないかな。深夜放送にでもやっていたなら、ぜひご覧あれ。 7点(2003-05-31 13:46:47) |
605. FLIRT/フラート
日本編に出ている二階堂ミホさんって、ハル・ハートリーと結婚していたんだね…。『トパーズ』で心奪われていた小生、大ショック! 何か、この映画そのものがキライになっちゃいそう。まあ、『愛・アマチュア』じゃ、なかなかやるじゃんと思わせたハートリーだけど、こんないろんな意味で”青臭い(アホくさい?)”映画を撮ってるようじゃ、まだまだですな。ぷん! 5点(2003-05-31 13:39:42) |
606. フューネラル
映像のすべてに不吉な”死の影”がまとわりついているかのようで、見終わった後もドス黒い固まりを背負わされた感じ。…いやあ、アベル・フェラーラって、やっぱスゴイわ。決して単純に「面白い」とかいう映画じゃないけど、なにかにとりつかれた男たちの姿を、ここまで見せきったものもないんじゃあるまいか。役者たちも豪華だし、万人向けとはお世辞にも言えないけれど、ディープな傑作です。 9点(2003-05-31 13:26:14) |
607. ふたりのベロニカ
美しい、でもキェシロフスキ監督って、こんな「美しい」だけの映画を撮る人じゃなかったはずだ…。もう一度見る。やっぱり陶然とさせられるけれど、それだけだ。せめて、監督がイレーヌ・ジャコブに惚れて、彼女のために撮ったというんなら、すごく共感したんだけど。残念っす。 5点(2003-05-31 12:59:33) |
608. 不思議惑星キン・ザ・ザ
最初に主人公が、一瞬にして都会から別の星にイッてしまうところの思いがけなさが…すごいっ! カネかかってないようでいて、結構大掛かりなシーンもあったりと、単なるおバカSFコメディにとどまらない”マインド”を感じさせる。冗談の中にも、旧ソ連の体制に対する巧妙な(と同時にかなり露骨な)批判が込められていたりと、ちょっとスミにおけないシャシンじゃないでしょうか。『モンティ・パイソン』が好きな人なら、絶対気に入ることでしょう。 7点(2003-05-31 12:53:45) |
609. フォー・ザ・ボーイズ
ベット・ミドラー、本当に素晴らしいですよね。何で一度も日本でコンサートやってくれないんだろう…。ともかく、彼女が自分のプロダクションこさえて、『ローズ』で一緒だったマ-ク・ライデル監督を引っぱりだして(監督は監督で、気心の知れたジェームズ・カーンと自分の息子を呼び出して)、もう、やりたいようにやったという感じが、やや暑苦しくもあるけど、素直に拍手してあげたいっす。特に、あのベトナム慰問シーンは、何度見ても感動させられるし。《追記》2005.1.11ビデオで久しぶりに再見。映画の中で、「あの二人なら、ボブ・ホープ&ビング・クロスビーを超えられる」というセリフがある。ぼくもまた、このベット・ミドラーとジェームズ・カーンのコンビなら、あの偉大なホープ&クロスビーを超えられる! と、本気で思ったのだった。それほどまでに、本作のミドラーとカーンは素晴らしい。とりわけミドラーは、本当に本当に本当にファビュラスでマーヴェラス!! …確かに映画は、時代の上っ面をなぞっただけの通俗的なメロドラマであるに過ぎないのかもしれない。けれど、人の心を癒し、なぐさめることもまた「娯楽」の効能であるのなら、これは間違いなく最高の「娯楽映画」のひとつだろう。ミドラーとカーンに敬意を込めて、あらためて評価を「8」から「10」へとさせていただきます。 10点(2003-05-31 12:42:09)(良:2票) |
610. フォー・ルームス
何か、作り手たちが自分らだけで面白がってる内輪受け映画って感じで、その輪の中に入っていけると感じられる人にはよろしいんだろうけど、アタシャそういう映画は好かんです。得に4話目のタランティーノ監督作品の、自堕落ぶりは、このオタクの成り上がり監督の正体見たり! てな不愉快さの極致。2・3話目でかろうじて救われたって感じでしょうか。まあ、もう二度と見たくはないけど。 2点(2003-05-31 12:33:47) |
611. フォーエヴァー・ヤング/時を越えた告白
あの『13日の金曜日』シリーズや『ガバリン』なんかを撮ってた監督が、こんな心優しい映画を作ってどうする! と言いたいところだけど、本当に愛すべき作品だったので許すっ! 個人的には、イライジャ・ウッドの母親役ジェィミー・リー・カーチスが魅力的で、なんでメル・ギブソンは彼女とナニにならないんだろ…と、ちょっとヤキモキ(?)させられましたが。そいて、少年たちが作ったコックピットで、本当に空を飛んでいるかのようなあのシーンは、レイ・ブラッドベリの名作短編小説『宇宙船』を想わせて、忘れられないな。うん、とても好きな映画です。 8点(2003-05-31 12:25:17)(良:1票) |
612. フォー・ウェディング
モラルうんぬんというより、現代人の一面を皮肉と愛を込めてスケッチしたカリアチュアとして、出色の作品じゃないでしょうか。この映画に出てくる登場人物のきっと誰かに、「ああ、こういう奴っているいる!」と思いあたるフシがあるのでは。そういうぼくたちの”隣人”たる群像劇が、これまたちょっぴりの皮肉と愛を込めて描かれるあたり、イギリス映画の良さだなあ。4つのウエディング以上に、1つのフューネラルの方が心に残る構成も、実に巧いです。 9点(2003-05-31 12:00:50)(良:1票) |
613. 15ミニッツ
最近のデ・ニ-ロ出演作品じゃ、最も見ごたえのある1本。であることは認めるものの、あまりのあざとさがちょっと…。ジョン・ハ-ツフェルド監督は、ずっと注目していた人なんで、この映画のヒネリ具合などは「まあ、この監督なら…」とは思うんだけど、メディア批判という文脈を、だからって悪い奴や腐った社会にたいして、正義の制裁を加えて何が悪い! という論理にすりかえるのは、いかがなものか。ものすご~く、後味悪いよコレ。 6点(2003-05-31 11:46:44) |
614. フィアレス
ピーター・ウィアー監督って、何を撮っても「傑作に限りなく近い秀作」にしてしまう。たまには破綻だらけの壮烈な失敗作をこの人の映画で見てみたい気にさせられる、数少ない才人ですよね。で、この映画も、まさにそんなピーター・ウィアー作品のひとつ。とにかく、ジェフ・ブリッジスが素晴らしいです。他の方も書かれてましたが、どんな作品であろうと確実にクオリティを上げる、そのくせまったく「熱演」だとか「名演」に見せない彼の役者っぷりに、あらためてホレボレさせてくれます。 8点(2003-05-31 11:33:12) |
615. ファンハウス/惨劇の館
犯人(?)を障害者にしたことが、やっぱり、何と言うか、イカンでしょ…とは思うものの、陰惨さとエンターテインメントとしての”軽さ”とが、この頃のトビー・フーパーとしてはバランス良く配分されているので。『悪魔の沼』のあのヘタクソさ加減から、よくぞ成長してくれたもんだ。そんなほのぼの(??)した気分で見てあげましょう。 7点(2003-05-31 11:14:04) |
616. 氷壁の女
おぼこ娘風のベッツィ・ブラントリーが、ハダカを見せる一瞬のシーンがあまりに強烈すぎて、作品全体の印象トンじゃってます。すみません。それでもあえてコメントさせていただいたのは、フレッド・ジンネマンへの敬意を込めて。この遺作は、結果的にこれまでの彼の重厚かつ野心がギラギラした鬱陶しい「名作」にはない、軽やかな叙情と、諦観、そして”若さ”へのアンビヴァレントな感情が、見る者の心に染み通っていくようでした。最後に美しい映画を残してくれて、巨匠ありがとう! 8点(2003-05-30 18:48:10) |
617. ヒューマンネイチュア
チャーリー・カウフマンの脚本が持っていたウィットが、たんなるイヤミなドタバタになっちまってる…。『マルコヴィッチの穴』との差は、所詮カントクの才能の違いってワケかあ。残念! それに、パトリシア・アークェットが、何故か乳首を出し惜しみ(?)していることが、もっともっと残念!! 猿オンナの役のくせに、だったら引き受けるなっつーの。 3点(2003-05-30 18:34:39) |
618. ヴィデオドローム
クローネンバーグの最高傑作のひとつに、おいそれとした点数はつけられない。一応もっともらしい理屈は語られるものの、現実と妄想が一体となって世界が変調していくあたりのいい知れない恐怖は、確かに『ザ・フライ』以上。イッちゃってるよなあ。それ以上に、この現実に対するクローネンバーグの絶望と狂気の深さがひしひしと伝わってきます。最初に見たのが、輸入版(しかもダビングを重ねた劣悪なやつ)ビデオで、こっちの精神が変調するんじゃないかという戦慄を覚えたことを、鮮烈に記憶していることもあって… 10点(2003-05-30 18:25:24) |
619. ヒマラヤ杉に降る雪
う~ん、失敗作だと思います。でも、ぼくはこの映画がたぶんとっても好きなんだと思います。あのめくるめく回想シーンの美しさと、その中で描かれる日系人少女と白人少年の初恋の瑞々しさだけで、十分。だのに、あの裁判をめぐるメインストーリーが、すべてを台無しにしている…。監督の資質に、ああいう散文的な部分が本質的に合っていなかった。たぶんそういうことなんでしょう。でも、くり返すけれど、ぼくはこの映画を否定しきれない。鈴木杏もカワユイかったですしね… 4点(2003-05-30 18:11:35) |
620. ヒア・マイ・ソング
まるで期待せずに何となく見て、それが大当たりだったときの喜び。映画ファンの至福とは、こういう時をいうんじゃないかな。そして、この映画こそそういった至福の作品ではないでしょうか。クライマックスのスラプスティックな大騒ぎも大好きだけど、伝説の歌手を探してアイルランドの田舎を主人公が右往左往するあたりの、不思議な詩情ときたらもう絶品! ピ-タ-・チェルソム監督、これ一発で生涯付いていこうと心にきめました。本当は10点満点でもいいんだけど、他のレビューでも連発してるんで、ここはグッとこらえて… 《追記》相当昔に書いたコメントだけど、我ながらなんで点数出し惜しみしているのかワカラン(笑)。もう随分と再見していないけれど、あまりの多幸感にナミダが出てきたほどだったあの時の心もちは、今も鮮明に憶えている。ネッド・ビーティ生涯のハマリ役と、デイヴィッド・マッカラムの晩年の雄姿と、タラ・フィッツジェラルド嬢のキュートさ(と、惜しげもなく披露してくれたオッパイの記憶)ともども、あらためて満点献上です! [映画館(字幕)] 10点(2003-05-30 17:15:40) |