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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1244
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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601.  ケアニン ~あなたでよかった~ 《ネタバレ》 
水野久美さんがヒロイン役?の映画が上映されるというので見たが、FINAL WARSなどよりよほどいい出演作だった。この人を主人公が彼女扱い(今カノ)していたのは相手が誰でも同じではなく、やはりそもそもが美形の人だからこそそういう発想が出て来るのだと思われる。劇中では施設利用者の若い頃の写真を並べてその人の人生を思う場面があったが、水野さんの昔の写真を出せば皆さん恐れ入るのではないか。舞台挨拶の写真で見る限り、背筋も伸びてお元気そうで他人事ながら嬉しくなる。今後一層のご活躍を期待申し上げたい。  ところで自分としてはこの方面の仕事に関わったことがなく、この映画が実態をどの程度反映しているのかはわからないが、結果として現職の介護職員にエールを送り、またこの道を目指す若者を励まそうとする映画には見える。虐待はないのか、という友人からの問いを主人公が軽く受け流したのは若者らしい反応とも見えたが、あるいは他はどうでも自分は違う、というプライドを込めた対応とも取れる。 また自分には要介護の身内がおらず、こういう施設が理想なのかもわからないが、家庭的な対応の施設を見せることで家族に訴えかける部分もあったようである。ヒロイン?の息子のエピソードはかなり作為的に感じたが、この映画としてはぜひとも必要な登場人物だったのだろうし、終盤に至ればその息子も認知症との向き合い方を体得したということらしい。目の前にいるのが誰だかわからないだけで、人そのものの存在を忘れてしまったわけではないということである。 ほか全ての人にそれぞれの人生があり、最後まで人間として生きているのだといったことは、人間への敬意を忘れるなという意味で、介護の分野にとどまらない一般向けのメッセージにもなっているように思われる。  個別の場面では、個人的には序盤でオレンジの皮をむく場面に和まされたが、人物の動きを止めて観客の意識を集中させる場面も複数あり、軽薄に見えた登場人物の発言が重たく響くところもある。最後に用意されていた落ちも少々わざとらしいが悪くなく、この人らしいきれいな字で書いてあったのが泣けた。どうせ関係者が内輪で盛り上がるだけの映画だろうと思っていたらそういうことでもなく、役者のおかげもあって広く人々に訴える力のある映画になっている。自分としては水野久美さんに引かれて見た形だが、主演俳優の今後にも期待したい。
[映画館(邦画)] 8点(2018-03-17 18:49:25)
602.  ちはやふる 下の句 《ネタバレ》 
今回は序盤から福井関係のエピソードで盛り下がってしまう。肝心の主人公がよくわからない理由でさんざん勝手なことをしておいてから本番でも脱落してしまい、いよいよ対決と思えば今度はメンタルの問題かという感じで苛立たしい。さすがに後半は盛り返していたが、勝つときは髪を耳にかけるのであれば初めからすればいいだろうがとは思った。 ちなみに原宿限定タオルに対するクイーンの反応には全く笑えない(この顔では洒落になっていない)。  主人公にいいところがない一方、他のメンバーが各自最善を尽くしていたのは他人事ながら嬉しくなる。孤立主義だった男も、今ここにいる意味を他人に与えられるだけでなく、自ら自分の存在意義を見出すに至ったようで幸いだった。 またメンバーのつながりを得意札の共有で象徴させていたのは効果的である。皆が「ちは」の札を一斉に取る(1人だけ取れない)場面は前回もあったが、今回は飛んだ札がわざとらしくガラスにぶつかって、話に聞いていた かなちゃんと机くんが笑顔を交わすのが見えたというのが結構泣かせた。クライマックスでのハイタッチも少し感動的である。 ほか個別の場面として、この映画では主人公が本気になった時の目に強烈な印象があるわけだが、今回は子役の目にも少しドキッとさせられた。またかなちゃんはやはり手に優しさを込める人だということらしい。  ところで、いかにも作為的ながら観客にきっちりアピールする場面が多数用意されているのは映画として悪くない。原作を読んでいないのでわからないが、たとえ感動要素の多くを原作に拠っているのだとしても、それをちゃんと生かした映画ができているのだろうという気はした。また映像的には、特に主人公のイメージカラーらしい鮮やかな赤が印象的な映画になっている。 ここまでの間、主人公が本領発揮する場面は意外に少なく、それ以外の人々が存在感を高めていくのが中心だった気がするが、3月公開の「結び」はいよいよ主人公中心の物語になるのだろうと思っておく(過度の期待はしていないが)。
[ブルーレイ(邦画)] 6点(2018-03-17 00:17:42)(良:1票)
603.  ちはやふる 上の句 《ネタバレ》 
原作とアニメは見ていない。主演女優が好きで見たわけではない。 最初が部活の勧誘で始まるのでまたこれかという気になるが、続く序盤のマンガっぽさに呆れてしまい、これはそもそもマンガだからと自ら言い聞かせながら見ることになる。ただ「バカ」「カバ」とか「お母さん」とかは悪くない。 また本筋の展開では、最初は主人公を天才のように見せておきながら、その主人公を含めていきなりどん底まで落ち込んでしまい、その上に本番でも深刻なトラブルが発生していながら結局は優勝してしまうという流れが、ご都合主義とはいわないまでもあまり自然に感じられなかった。ちなみに主題歌はエンディングの雰囲気をぶち壊している。  一方ドラマ的には、若いのに運命の限界を感じていた男が、土壇場で一気に壁を突破したのが痛快で感動的だった。また孤立主義だった男が、今回とりあえず仲間の存在を認識できたというのも悪くない。やらないでも済むが頑張ってやればそれなりの成果が出て、結局やってよかったことになるといった経験則の表現にもなっている。 また何より大会の場面が圧巻で、特にチームの皆が一斉に手を振るのが流れの変化を象徴していたのは非常に印象的だった。ラストの対戦にも意外性があり、見る側としてもこれはやられた、という感がある。「瑞沢優勝」と言い切らないうちからの展開は感動的だった。 ほか歌の解釈ということに関しては、定説は定説として人それぞれの思いも別にあるということだったらしい。勝負では最初の何文字かしか問題にならないとしても、背景にある歌の全体像を認識することで文学的な世界が広がる様子も見せていた。  なお登場人物としては大江奏という人が、当初は奇矯な言動が多かったが、落ち着いて来ると優しい人柄が見えて来て、歌を詠む声もきれいで好きになった。意気消沈している男の肩をほかの男が次々に叩いてから、この人がそっと手を置いたところは少し泣ける。「“田子の浦”取りました」と言っている顔を見ると自分も嬉しくなった。 ちなみに男は誰が出ようが出まいが関心ないわけだが、ライバル役で出た清水尋也という役者は他のところで見たことのある清水尚弥の実弟だったらしく、雰囲気がかなり似ているので、序盤で兄が端役で出たのを見てから弟が出ると混乱した。
[ブルーレイ(邦画)] 7点(2018-03-17 00:17:39)
604.  嘘八百 《ネタバレ》 
森川葵さんが出る映画は無理にでも見なければと思って見た直後に熱愛報道が出たりするので多少がっくり来るわけだが、その辺は「ええ大人なんやし」と思って納得するしかない(劇中の父親の気分で)。 題名を見るとあまりに素朴で古風なネーミングのため一体これはどういう客層向けなのかと思っていたが、実際見に行くと年齢層がかなり高く、20人くらいいた観客のうち自分だけが若造のように思うほどだった。ちなみに現代の堺市が舞台という映画は珍しいのではないか(NHKの「黄金の日日」は見たが)。もう少しご当地感を出してもよかったのではと思うが控え目だったようである。  ストーリーとしては要は騙し合いで、最後まで予断を許さない展開だろうとは思うので逆にそれほどの意外感もなく、またラストが変にごたごたした感じですっきりしない。コメディとしてもバカ笑いするようなものではなく、個人的にはかろうじて「生き写しやがな」というのが可笑しい程度だった。しかし単純な娯楽として見る分には支障なく、金の行方はともかくとしても、悪徳業界人には一矢報いてそれなりに前向きな感じで終わったので、見た後の気分としてはそれほど悪くなかった。 昔話になるが1969年のTV番組で、古美術商に贋作を強いられる陶工の出るエピソード(「呪いの壺」)を見たことがあるが、時代を超えて似たような設定が使われるからには本当にこれが業界の実態なのかという気もして、そういう世界と無縁な人生でよかったと思わせるものがある。ただこの映画でも当然ながら、ものの価値は自分の目で見て決めろ、と言っていたのだろうから、自分もそのようにしていかなければと思うところがないではなかった(例えば映画を見るにしても)。  ところで前に「花戦さ」(2017)という映画があったが、この映画でも中井貴一(織田信長)、佐々木蔵之介(前田利家)といった役者が出て、その上に利休の茶碗まで出て来るので姉妹企画かと思うが関係ないらしい。森川葵さんも両方に出ているが、これはそういう年長の役者が揃った中でも遜色ない若手女優という意味に解しておく。劇中人物としては特に好きになれなかったが、この人の持ち味が出ていて見せ場もあって結構いい役だったとは思う。ほか女優としては大阪の役者で鴨鈴女(かも すずめ)という人が出ており、特筆するほどの役柄では全くないが顔を知っているのでどうしても目についてしまった。
[映画館(邦画)] 6点(2018-03-11 21:28:10)
605.  ゴジラVSビオランテ 《ネタバレ》 
これは以前にTV放送で見たが(成人後)、湖・植物・沢口靖子しか憶えていなかったので、当時としても印象の薄い映画だったようである。最近になって若い連中(といっても30前後)が名作だと言うので改めて見たが、これは一体どこに感動すればいいのかわからない、と感想を述べたところ、思い出補正があると本人も認めていた。  今回見たところでは、変に各種要素を詰め込んだようで騒々しく落ち着きのない映画になっている。エンターテインメントとしてはこれでいいのだろうが、ビオランテの最後がファンタジー調(沢口靖子再登場!)なのは好みでなく、エンディングのバラも悪趣味に思われる。 真面目な社会批評の部分でも特に心に訴えるものがなく、単なる形式論を述べただけで終わった印象がある。ただ劇中で前提にしていた相互確証破壊による核抑止とか、国際資本の市場支配といったものはこの頃らしい話題で懐かしい気がした。遺伝子資源の争奪というのも今日的な問題として捉えられていたものか。また昭和29年の第一作の時点ではまだ日本の原子力開発が始まっていなかったわけだが、この映画では原発とゴジラの関係付けができていた(前作から?)のも時代の差を感じる。若狭の原発銀座をゴジラが襲うという展開は「天空の蜂」(2015)どころの話でないだろうが、この映画ではそれほどの緊迫感もないままで終わった。放射能(放射線)への恐怖心に関する実感のない、呑気な時代の映画だったようである。  ところで登場人物のうちでは高橋幸治氏がいかにもという感じのはまり役で、劇中では○チガイ科学者のような扱いだったが、この役者との関係で見れば全く違和感がない。この人に「もう私たちの時代じゃないのかも知れない」と言われると少し寂しいものがあった。 ほかに無関係な芸能人を出すのはふざけた感じで歓迎できないが、デーモン閣下の登場には不覚にも笑ってしまった。また斉藤由貴が大阪城ホールで声だけ出演した場面では、そういえばこの人はこういう歌を歌っていたな、と思い出したので肯定的に捉えたい。「避難してくださーい!」というのがほのぼのしていい感じだった。 [2018-02-14追記] 上記の「遺伝子資源の争奪」に関して、その後に別用で生物多様性のことを見ていたところ、この映画は生物多様性条約(1992年5月採択、1993年12月発効)の「遺伝資源の利用から生ずる利益の公正で衡平な配分」を少し先取りした形で制作されていたことがわかった。だから何だということもないが少し不勉強だった気もして反省した。
[DVD(邦画)] 5点(2018-02-14 22:23:53)
606.  魔女の宅急便(2014) 《ネタバレ》 
[2018-01-19再視聴による改訂] 初見時は7点だったが、改めて見るととてもそんな点をつける気にならず、アニメ版との差が1点などということもありえない。劇場で見たことで若干印象がよくなったのと、公開中だったため遠慮があったのかと思われる。 とりあえず最初に書いたことのうちそれほど間違っていないと思うことを書くと、まず原作からわざわざアニメ版とは違うエピソードを選んで構成したようだが、空を飛ぶ場面や黒ネコの様子など、意外にアニメ版のイメージを踏襲しようとした感じもある。また主人公が元気で可愛らしく実写版なりの存在感を出していて、このキャスティングは大成功だったと思われる。 初見時に気になった点として、中盤でいかにも胡散臭い顔で登場した邪悪な人物は映画オリジナルではなく原作の2巻に由来しているが、この人物が主人公に深刻な心理的動揺をもたらしたにもかかわらず、最後は簡単に反省して終わりだったのがどうも拍子抜けだった。“ほんとはいい人”パターンが個人的に嫌いだからということもあるが、この人物が人間の心の悪を代表していたのなら、かえって街の人々の中に紛れた形にして再登場しなくともよかった気がした。ただしこの人物がエンディングの場面でわざわざまた黒い封筒を使っていたのは、どうやら当初段階に遡って呪いではなかったことを証明しようとしたらしく、このあたりは少し細かい作り込みのようである。  また今回再視聴時の感想としては、主人公が直面する悪意に関して観客が許容できるのは主人公と同年配までである。動物園で結構な年齢の男がガキのように駄々をこねていたのは非常に腹立たしく、“ほんとはいい人”パターンを適用するなどありえない馬鹿で不快な人物だった。その上こういう面相の役者がやるのでは洒落にならず、これは一体どういう思惑でこういうキャスティングになったのかと疑う。そのほかネコやカバの作り物感などにはいちいち突っ込まないとしても、物語的に最後の「この町に来てほんとに良かった」という台詞が素直に受け入れられる作りにはなっていない。 それでもこの映画を全否定できないのは結局、主人公/主演女優の存在のおかげということである。そういうわけで小芝風花さんの今後の活躍に期待します。
[映画館(邦画)] 5点(2018-01-19 19:27:50)
607.  ウルトラセブン 太陽の背信<OV> 《ネタバレ》 
1967~1968年に放映された特撮TV番組「ウルトラセブン」の続編のようなものとして、1994~2002年にTVやOVで断続的に16本が制作されたいわゆる「平成ウルトラセブン」の5作目で、1998年の「ウルトラセブン誕生30周年記念3部作」の最終回である。著名な過去作を都合よく使って次々続編を出す類の企画は嫌悪するしかないが、前2作を見てしまってレギュラーの面々にも多少愛着がわいて来たので見ないわけにもいかなかった。  この回も普通に事件が発生して解決した後は、3部作の最終回としてラストを一応締める形になっている。 まず前半ではドタバタ部分がかなりの減点要因である。また中盤で明かされる宇宙生命の意図も極めて荒唐無稽だが、そこでまともに頼みごとをされてしまった人類側が悩んでしまうのは面白い。最終的に上層部が下した決定では結局、人類の自決権の問題として捉えられていたようで、地球人類が自らの意志で(自己責任で)という点は前回含めて一貫していたらしい。 また今回はレギュラー隊員それぞれの個性の表現が見所になっているが、特にハヤカワ・サトミ隊員(演・鵜川薫)の見せ場が多く、良心的で真っすぐな姿勢が非常に好印象で、これでこの人がますます好きになった。この人だけでなく、登場人物の誰もが抱えていたはずの罪悪感が最後にうまく解消されたのは都合よすぎの展開だが、題名に「背信」とあるにもかかわらず、サトミ隊員の良心が踏みにじられることがなかったのは幸いだった。 ほか科学的なところでは、180光年先に見える恒星は180年前の姿だ、といったような知識を主にサトミ隊員が何気なく披露していた。外見は女の子風でも、さすが隊員は意識が高いということの表現になっている。  なお今回はダンとフルハシがまともに再会する場面がクライマックスだったが、ここでフルハシに孫ができたという話は何気に感動的だった。これに続くダンの台詞は、ウルトラセブンと人間の寿命の違いに関する見事な説明になっている。ラストでは、すでにウルトラセブンの姿になっているのにフルハシがダンと呼びかけていたのも旧作のポイントをちゃんと押さえており、基本的には続編など認められない立場だが、こういう場面が感動的と思うのは世代のせいもあるので仕方ない。
[DVD(邦画)] 5点(2018-01-14 14:30:06)
608.  ウルトラセブン 失われた記憶<OV> 《ネタバレ》 
1967~1968年に放映された特撮TV番組「ウルトラセブン」の続編のようなものとして、1994~2002年にTVやOVで断続的に16本が制作されたいわゆる「平成ウルトラセブン」の3つ目である。 しかしそもそもの話として、せっかくTVシリーズが切ない余韻を残して終わった(完全に終了した)のに続編を作るなどは製作側の都合でしかない。またこの回に関しては作りがかなり粗い感じで、前半から非常識な場面が連続し、後半はブツ切れで必然性不明の場面を無理につないだ印象もある。ほか旧作の著名BGMを気安い感じで使っているのがかなり苛立たしい。 加えてストーリーもすっきり整理がついていないようで非常にわかりづらくなっている。メッセージ性の面では、文化財や緑を壊す開発行為には反対だ、というような時代がかった素朴な問題意識が堂々と提示されていたようだが、本当のテーマはそのことよりも、題名にも出ている「記憶」の方であるらしい。この「記憶」は宇宙人の侵略ツールとしても使われていたが、話のスケールを大きくするためか“記憶の遺伝”などという荒唐無稽なアイデアを突拍子もなく持ち出してきたのはかなり呆れる。またそれとは別に、主人公に関わるドラマも「記憶」を軸に展開していたが、これも素直に納得できるものになっていない。 結局この「記憶」をテーマにしたのは製作側の思惑として、これ以降の続編製作を正当化するのが真の動機だったと見える。確かに旧作で名を成した制作会社にとっては、その記憶が「私たちの存在を証明する」ことにはなるだろうが、しかし「積み重ねられた記憶」を前提にしなければ「新たなる記憶」が作れないというのも困るわけで、いつまでも昔のヒット作をこねくり回すのも大概にしてもらいたいというのは「ウルトラセブン」に限ったことではない。  ちなみに自分としては、この回はとにかく主人公の境遇が羨ましすぎることだけが心に残るドラマだった。色っぽいアラフォー女子には頼りにされ、可愛らしいその娘にも慕われて、これならもう昔の記憶など捨ててしまってこの家のお父さん役で何が悪いのかとしか思われない。特に埋文調査の現場に届け物をしたところや、ラストの堤防上で3人揃った場面は心に残る。そのほか当時はハヤカワ・サトミ隊員(演・鵜川薫)という人が、性格はきついが顔は可愛いというタイプで好きだった。基本的には続編など認められないが、見るべきものが全くないわけでもない。
[DVD(邦画)] 4点(2018-01-14 14:27:44)
609.  ウルトラセブン 地球より永遠に<OV> 《ネタバレ》 
1967~1968年に放映された特撮TV番組「ウルトラセブン」の続編のようなものとして、1994~2002年にTVやOVで断続的に16本が制作されたいわゆる「平成ウルトラセブン」の4作目で、1998年の「ウルトラセブン誕生30周年記念3部作」の2作目である。すでに完成された作品の続編など作られても基本的に見る必要など感じないわけだが、同じ題名で製作されているからには参考として見ておかなければという義務感が当時はあった。  この回は、3部作の1作目だった「失われた記憶」の延長上で、同じ登場人物が出るものとして製作されており、事件が起こって警備隊とウルトラセブンが解決して終わる普通の回という印象になっている。 今回の物語は、一言でいえば“地球人類の運命は地球人類が自ら決する”という決意を示したもので、ヒーロー任せが当たり前の怪獣特撮にしては極めてまともで正直感心した。また中核的なアイデアである「マントルプリューム絶滅説」なるものも、完全に無根拠で荒唐無稽というわけではないようである。宇宙人の説く「火の世紀」に関しては、当時はともかく近年はニュージーランドの地震(2011年)に続いて「平成23年東北地方太平洋沖地震」が発生し、また2016年には熊本地震が起きるなど、今となっては洒落にならない印象がある。現時点であらためて見れば、来るべき災害への備えを万全にせよという警告の物語になっているとはいえる。 ほか当時の世相として、不況のせいで好条件だが怪しげな求人に若者が集まるとか、「エコブームで、地球にやさしく」という風潮への皮肉が語られていたりするのは面白い。ほとんどの場面が陰気な感じで推移するが、最後は開放的で明るい雰囲気になって次回へつなぐ形になっている。当然ながら全般的に安手の作りで残念なところも多いが、志は買いたい作品ではある。  なお今回の女性キャラクターとしては、捨てられた工業都市に住む捨てられた女が登場し(演・菅原晶子)、もう人生終わったかのような顔をしていたが若々しい色気も感じさせている。また前回からのレギュラーの中ではハヤカワ・サトミ隊員(演・鵜川薫)の魅力が前面に出て来て、このあたりからこの人のファンになってしまった記憶がある。基本的には続編など認められない立場だが、この人を見るために次回も見なければ、という気になったのは間違いない。
[DVD(邦画)] 5点(2018-01-14 14:25:30)
610.  高校デビュー 《ネタバレ》 
[2018-01-07 BD視聴による修正] 原作は読んでいない。世間では「のだめカンタービレ」のキャラクターを真似ていると指摘されていたようだが、自分としては「のだめ」のコミックは全巻読んだが映像化されたものは見たことがない(見る気がない)ので気にしないことにする。  この映画に関しては、初回は宴会後に帰宅してから見て序盤から大笑いしたが、酔っぱらっていたため13分くらいのところで寝てしまった。しかし次の日に改めて見たところ、素面の状態でも序盤から大笑いしたのでこれは本物だと確信した。とにかく最初から最後まで笑える泣けるの大感動作で、細かいネタが連続して飽きさせず、ある意味しっかり作り込んだ映画と感じさせる。終盤では次第に泣かせる場面に移行しているのにまだギャグネタを出してきて(黒ネコは好きだ)、笑い泣きしながら感動のフィナーレに突入するのは最高の幸福感を与えてくれる。 登場人物に関しても、ヒロインが超素朴で悪気がない(変な色気もない)ので純粋な好意を寄せることができる。相手の男もいい奴だったようで安心したが、そのほかヒロインのまわりが自然にいい人たちで固められていくのもいわば人徳のおかげだろう。一つだけ障害のように見えた元彼女にしても、ヒロインが善人のため対立関係にもならず、かえって元彼女の方がかわいそうになったが、しかしこれはヒロインのまっすぐさには誰も勝てないという教訓かと思われる。 ちなみに主演女優は映画初出演とのことだが、この場にふさわしい人物像が適切に表現されていて全く問題を感じない。視覚的にも彩度の高いポップでファンシーな映像によって映画の世界観が端的に提示されている。また音楽としては懐かしめの「愛のしるし」(1998年、PUFFY)が印象的に使われていたが、エンディングの主題歌も切ない感じの曲で好きになった(「フォーリン・ラブ」(2011年、7!!))。  以上により、意外に自分の人生を豊かにしてくれる映画を発見した、というのが初見時以来の実感である。少なくともこれまでの経験では、少女マンガ原作でこれほどしあわせな気分になれる映画は他に見たことがない(脚本が福田雄一というのと関係あるか)。当初段階で9点などという破格の点数を付けてしまったので、いずれ見直しが必要かと思っていたが、改めて見ても修正する気にはならなかった。
[ブルーレイ(邦画)] 9点(2018-01-07 14:21:09)
611.  オトシモノ 《ネタバレ》 
[2017-06-17改訂] 鉄道を舞台にしたホラーで、大まかにいえばトンネルを発生源にして線路伝いに怪異が伝播する設定だったらしい。序盤では、名字なしの個人名が「貞子」を連想させるとか白塗り少年が登場するとかで、あからさまに既存の邦画ホラーをなぞったようにも見えたが、しかし終盤になると意外な方向へ話が展開していくのが特徴で、最初はわざとありきたりに見せておいて後で不意打ちをくらわすつもりだったのかとも取れる。主人公が留学を考えていたのが ”Miskatonic University” だったことからすればラヴクラフト、あるいは諸星大二郎路線を目指していたということか。全てが終わってトンネルを出たら朝だった、という解放感は結構いい。 しかし結局、出来事の意味がよくわからないまま終わったようなのは困る。怪異の根本原因は不明でもいいから、ノベライズ本を読めば簡単にわかることくらいは映画でもわかりやすく作ってもらいたかった。  一方この映画が悪くないと思うのは最後がバッドエンドでないことである。いろいろあったが最低限この家族だけは助かって、犠牲になった者も祝福してくれていたというのは救われる。自分としてはホラー映画がどうあるべきかは知らない(知ったことではない)が、人の生死に関わる物語は一般に、いわば極限状況の中で人間の真実を露わにしてみせる力を持っている。この映画ではそれほど深い話にもなっていないが、女子高生2人が初めてわかり合えた場面で友情が生まれたことは素直に感じられるし(「…だね」の応酬がいい)、また表情豊かな子役を見ていると、この妹も母親も揃った元の家庭を取り戻したいという主人公の願いもわかる。 結果として、その辺によくある粗製乱造ホラーに比べれば一定の志が感じられる映画だった。個人的な相対評価としてはアイドルホラーの代表作?「クロユリ団地」(2013)よりは点数を高くしておきたい気がする。  ちなみに沢尻エリカ嬢は制服姿が清楚だが、私服になると露出が多かったりして見どころはある。「なんで知らないふりするの!」のあたりはこの人らしくて好きだ。また若槻千夏という人は全般的に可愛く見えないが、最後に制服姿でにっこり笑った場面はよかった。
[DVD(邦画)] 5点(2018-01-06 17:28:57)
612.  ちーちゃんは悠久の向こう 《ネタバレ》 
原作は全体的に変な話だが、映画ではこれを大規模に改変し、主要部分を普通に切ない青春物語のように仕立ててあるので、その流れで見ればラストも爽やかに感じられるかも知れない。しかし青春物語というのはあくまで表層だけのことで、実は無邪気な顔で邪魔者を容赦なく排除し、恋敵の身体を奪い取って心を抹殺する天然の残酷少女を描いたという見方もできる。映画ではそういう二重の解釈が可能なように作ったのかも知れないが、それにしてもこの映画では全体として純愛ストーリーの印象が非常に強いため、ラストの違和感だけが突出して見えたというのが実感だった。映画のちーちゃんは決して嫌いでないが、ラストがこれではドン引きである。 また、先輩が理不尽な仕打ちを受ける理由が「のっぺらぼう」だからというのはまずい言い訳にしか感じられない。この映画を見る限り、この人はこのままで充分に個性的な魅力があり、かえって台詞の説明の方に説得力がなくなっている。こんなに可愛く見せておいて原作通りのラストでは、先輩があまりに可哀想ではないか。 そういうことで不満の多い映画ではあるが、主演女優が嫌いでない(それが見た動機)のと、先輩役もかなりいい感じだと思った(何かすごく可愛い)ので、極端に低い点にはできない。子役の2人も微笑ましい。
[DVD(邦画)] 3点(2018-01-06 17:28:55)
613.  ネコヤドのハルとアキ 《ネタバレ》 
栃木県鹿沼市の映画である。「鹿沼に行きたくなるショートフィルム」というお題のもと、市の助成を受けて制作したものとのことで、映像ソフトとしては同じ監督(近藤勇一)の「ソラから来た転校生」のDVD特典として収録されているほか、監督の公式YouTubeチャンネルでも公開されている。主な出演者2人は「ソラから…」の2人と共通である。  まず題名のうち「ネコヤド」が意味不明だが、これは1999年に鹿沼市上材木町の裏通りのさらに狭い路地で開業した喫茶店の経営者が、現地の古い地名である「上材木町 字 根古屋」に因んで「根古屋路地」と命名したのがもとになっている。この人物が現地で2006年2月から月1回、フリーマーケットのように工芸品や食品などを持ち寄って販売する「ネコヤド大市」というイベントを始めて大人気になり、ここをチャレンジショップの場にして起業した人々が別の場所に出店したりして動きが拡大し、2012年3月にはより広域の「ネコヤド商店街」のイベントに発展したとのことで、地方都市活性化の成功事例として知られていたらしい。 この映画との関係でいえば、田植え体験の場面は2012年5月だろうが本編は早春のように見えるので、拡大版「ネコヤド商店街」の開催に合わせて撮影したものかと思われる。  内容としては、市の意図からすればあからさまに地元PR映画だったわけだが、引越しで地元を離れる少女が見納めに市内を回る、という理屈でわざとらしさがうまく低減されている。少女が使っていた8mmカメラ?は監督の昔の体験の再現と思われる。 物語は引越しで離ればなれになる親友それぞれの思いを描いており、残る少女の思いを代弁する“編みぐるみ”の声が切なく、また去る少女がどこに行っても親友との思い出ばかりだったというのが泣かせる。たまたま仲違いしていた2人を、最後の最後に「ネコヤド商店街」がつないでくれた形になっており、ラストの観覧車の中でのやりとりが微笑ましく嬉しい。 ほか劇中の“編みぐるみ”が動く視覚効果は面白い。自分の感覚では特に可愛いとも思わないが、うちの地元に住んでいる若手クリエーター(職業不詳)の作風を思わせるものがあって親近感はわく。どうも最近はこういうのが受けるらしい。
[DVD(邦画)] 6点(2018-01-05 20:26:36)
614.  ソラから来た転校生 《ネタバレ》 
監督の近藤勇一という人物は、劇場公開前提の映画としてはこれが初だそうだが各種映像製作には以前から携わってきたとのことで、過去には美少女タレントのPVドラマのようなものも撮っていたらしく、今回のこれもその延長と思えば納得する。ちなみに主な出演者2人は同じ監督のショートフィルム「ネコヤドのハルとアキ」(2012)と共通である。 この映画でも、とにかく劇中女子(高校生)をきれいに可愛らしく映しているのが最大の特徴と思われる。男子の出演は極限して女子ばかりが多数出ているが、これは芸能事務所(イトーカンパニー)の意向もあってのことか。自分としては特に劇中少女が天使の扮装をして、新体操のリボンで踊るところが美しいので非常に和んでしまった。これで上手いのかはわからないが、少なくとも溝口恵という人は実際に新体操の経験者とのことである。またガールズラブっぽい雰囲気も出していたが、物語的には人体の物的な存在感を確かめる行為ということになっていて、この辺はうまく意味づけをやっていると見えた。 周囲の人間関係も和やかで、敵対勢力がいないのでひたすら微笑ましい雰囲気になっている。なぜか校内に変な爺様が出没していたが、この人物もやはり元気のいい若手女子が見たくて来ていたのに違いない。女子高生側の反応もユーモラスで結構だった。  ドラマとしては青春ファンタジーのようなもので、争いから逃げて孤立するのでなく、人間同士の関係性の中にこそ生きる喜びが生まれることが表現されていたようである。劇中の天使が人間世界に受け入れられていく過程が微笑ましく、別れの寂しさとともに未来の希望も見えていて、青少年向けとは思うが少しキュンとするものを見た気がした。 ストーリーを進める原動力になっていたのは、父親を亡くして部活も怪我で断念したのに屈託なく笑う女子だったが、無理して健気にふるまうだけでなく、この人のいわば包容力が地上の天使の存在を表現していたようで、これは恐らく母親のおかげだったのだろうと後になってから思う。なお全体として展開が早すぎる気がするので、もう少し長く作ってもよかったのではと思った(60分くらいとか)。 ほか映像面では、何度も出る高空の飛行機雲が天使の飛行を表現していたらしいのが印象的だった。ロープウェーから糸電話というのには突っ込まないことにする。
[DVD(邦画)] 6点(2018-01-05 20:20:14)
615.  チア☆ダン〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜 《ネタバレ》 
[2018-01-05修正]この映画の2年前に放送されたTVドラマ「チア☆ドル」と明らかに名前が似ているが事情は不明である。説明調の副題がTVドラマ以上の軽薄感を出している。 まず登場人物が福井福井としつこく言うのでそんな場所は知らんと突き放したくなるが、それでも映像に出ているのが福井という場所なのだろうと何となく思い込んでいたところ、実際の撮影地はほとんど新潟だったとのことで少しショックだった。地元としても期待がなくはなかっただろうが、そこをあえて地元密着にはしないことで、日本のどこにもある地方からいきなり世界につながりうる時代を表現しようとしたということかも知れない。  内容的には最初が少女マンガ原作かと思うようなバカ高校生の状態から始まるので呆れるが、続く前半のコメディ部分は結構可笑しい。「わからんのやってあんたには」のところは笑ったが、ほかにも滑ったようでいて滑り切ってしまわずにかろうじて引っかかったところで失笑させる緩さがある。県大会で大失敗しているのに観客は楽しげに笑っていたのも面白かった。 その後もあらかじめ見えている終着点に向けて着実に盛り上げて行く構成になっているが、自分としては主人公が端の方にいてもなお重要な存在になるという話なら期待できると思って見ていた。しかし結局最後は人気女優をセンターに置かなければ済まなかったらしく、その後に指導教員の内幕を延々と説明していたのが言い訳じみていて気が抜けた。本番でも素直に気分が高揚するのを許さず、不快な実況アナウンサーや教頭など(校長も)を出すのはコメディ要素にもなっていない。終了後も、観客の歓声がまだ続いている最中に笑顔を消してステージから去るなどという行動は全く納得できない。 そのようなことで、要ははじめの方はまあよかったが、後になるほど気に障ることの多い映画だったということである。個人的印象としては前年の「ちはやふる」(本物の福井が出る)に残念ながら負けている感じだった。  なお今回は中条あやみという人が少し好きになった。また富田望生という人は外見的な適性に恵まれないのに加えて家庭的にも恵まれない役で、悪いところを一人に押し付けたような設定が安易に思われたが、本番では一応この人の見せ場もなくはなかったようである(細切れだが)。
[DVD(邦画)] 5点(2018-01-05 19:57:43)
616.  A.I. love you アイラヴユー 《ネタバレ》 
吉本興業とフジテレビが共同制作した映画で、フジテレビ所属の演出家が監督を担当し、吉本芸人も役者として出演している。全編スマホで撮影したとのことで、それが観客にとってどういう利点があるかはわからないが、映像的に人工知能の視野をスマホのディスプレイ形状(横向き)で表現する意味はあると思われる。 人工知能の恋といえば近年では2013年製作のアメリカ映画の例があるようだが、それより低予算なりにコンパクトでわかりやすいファンタジーができており、物語としてもそれほど無理なく目標達成する形でまとめてある。劇中の若手シェフは本来テイクオフまでの加速装置でしかないはずなので、主人公がパリに行くのが正しいわけでもなく、そこを引き留める役目までを果たした人工知能はさすがの出来である。ただラストは少し不満で、口調が似ているまではいいとして一緒に食べようなどという申し出は不要だった。  この映画の見所といえば、個人的には何といっても主人公の人物像である。最初から表情や行動がユーモラスで、主演女優のファンとしては森川さんかわいい!!!とか言いたくなる気持ちに可笑しみが作用して終始ニヤついた顔で見ていたが、そのニヤついた状態をベースにして、場面によってはさらに泣けるとか嬉しくなるとか複合的な感情になっていくのが心地いい。会話の中でかなりの間が空いたりするがそれ自体を楽しむ作りになっており、特に終盤では視点を固定したまま一人芝居のようなことを延々と1カットで(12分56秒とのこと)続けていたが、その間も見る側としては息を詰めるようにして主人公の表情に見入っている状態だった。主演女優はもともと普通の少女も壊れた少女もカワイイ系の性悪女子も変人少女も真面目少女も姫君でも京娘でも26歳居酒屋勤務でも何でもありの役者だが、この映画でのこういう役はこの人ならではという気がする。 また珍しく男キャラへの共感度が高い映画になっており、別に斎藤工になり切っていたわけでもないが、人工知能の視野を通じて観客も主人公と対面している気分になって嬉しくなる。人工知能ほど頭が切れるなら、こういう女子を全力でサポートしてから見返りもなく消えるという、そういう一生もいいかも知れないという気になった。正直この人工知能がうらやましい。最期のいわゆる走馬灯も切ない。
[DVD(邦画)] 7点(2017-12-31 19:26:04)
617.  her 世界でひとつの彼女 《ネタバレ》 
人が作ったプログラムからいったん本物の人間のように進化して、そこからさらに別の超越的存在になっていく、という段階を踏む発想は、ほかにあったか知らないが個人的にはユニークに思われる。ただしその本物の人間の段階では妙に性欲がらみのことが重視されていたようで、まるでエロがなければ人間の本質に迫れないとでも思っているようなのはあまり納得しない。人類の活動力の根源は性欲だとかいう前提なのかも知れないが、それならOSなどでなく普通に人工知能搭載のラブドールにしておけばいいだろうとしか思えない。 それでも前半はほのぼのした笑いもあって結構いい雰囲気だったが、後に行くほど醒めてしまって終わり方だけを気にする状態になっていく。全編を通じて何らかの人間ドラマが展開されていたようでいて、結局最後まで何が言いたいのかはわからなかった。人類が特定の個体に特別の関係を求めようとすること自体が間違っているという想定だったのなら、ほとんど破滅的な近未来像ということになる。 どうも自分としては乗れない感じの話だったが、しかし主人公が比較的親しみやすいキャラクターだったのは安心できた。また大学時代からの友人も感じのいい人物で、この二人の関係は(非常に微妙だが)これからも大切にした方がいい。  なお余談として、舞台は一応ロサンゼルスということになっていたが(街頭の路線図、元妻の台詞、小包の宛名)、なぜか特定のアジア系住民が目立つのが近未来の姿のようである。劇中ニュースによればインドは併合されるらしいので警戒が必要だ。そのほか素朴な疑問として、いわゆる膝かっくんというのは世界的に分布しているものだったのか??
[DVD(字幕)] 4点(2017-12-31 19:26:01)(良:1票)
618.  バカバカンス 《ネタバレ》 
同じ監督の「くらげとあの娘」(2014)というのを見たのでこれも見たが、けっこう共通点があるように見える。こういう作風ということなのか、あるいは後の映画の方でアイデアを流用したということか。 まず題名のとおり、主人公が本物のバカに見えるのは非常に苛立たしい。これが思春期の少年少女なら少し優しい気持ちで見てあげることもできなくはないが、一応の大人が主人公であるからにはこんな奴は勝手にしろと突き放して終わりである。これで以前は彼女と一緒に住んでいたということ自体がそもそも信じられないが、特に変だと思ったのは、男女関係をすっ飛ばしていきなり子どもに結びつこうとするところである。 個別要素を見れば共感または理解が可能なものも当然あり、また映画的表現の範囲として許容できるものもあるわけだが、全体として見れば自分としては拒否感を催すものになっている。要は一般向けにできておらず初めから間口が狭いのだと思われる。 ちなみに個別の場面としては、劇中男女が別々の場面で同じように耳の中を洗っていたのには嫌悪を覚えた。
[DVD(邦画)] 3点(2017-12-27 19:58:55)
619.  くらげとあの娘 《ネタバレ》 
生真面目な映画である。自分が見る限り微妙に可笑しいところが2箇所あるが、ほかに笑える場面は全くない。あまり起伏もなしに物語が進み、見る側としては何が起こっているのかわからないまま気が抜けずに疲れるが、しかし子役が出る場面だけは普通に心なごむものがある。 主人公の男もどうやら子ども好きではあったらしいが、しかしこの主人公のダメ男ぶりには本当に呆れた。自分としても思い当たることがないわけではないが、これほどバカで優柔不断では観客としても全く応援する気にならない。最低限、知能程度が疑われるような行動はなしにしてもらえなかったかと思う。  それはそれとして物語を真面目に見るとすれば、自分で求めなければ得られない、というような基本的事項はもちろん、相手のサインをどう受け取るかというような点でも、非リア充系男子の婚活に役立ちそうな映画に見える(婚活イベントで上映すればいいのではないか)。理屈をいえば婚姻率の向上や晩婚化の回避、ひいては少子高齢化の抑制にも役立つ有意義な映画といえなくもない。 しかしラストは何が起こったのか正直よくわからなかった。最後のわずかな希望だけは逃すまいと絶望的な努力をする、という表現だったら評価しなくもなかったが、監督の説明を聞けば非常に安直な結末だったようで、結局は好意的に捉えようとする気が薄れてしまった。娯楽面だけでなく意味的な面でも不足した感があるのは非常に残念である。  そのほか個別の苦情をいわせてもらうと、まず実在の公共施設内で不健全な行為に及ぶ人物を出すのはやめてもらいたい。業界人は何でこういうのを当たり前のように思うのか。また自分がラストの意味を取りかねた理由は「一年後」という表示をその直前の場面からと理解したからで、序盤の細かい出来事をきっちり思い出さない限り誤解しかねないというのは一般の観客にとっては厳しい。数字を出したためにかえって12カ月>十月十日という方に意識が向いてしまったこともあり、どうもこれはミスリーディングだったのではないかと思われる。 なお余談として、ヒロインがアシカの真似をして吠える場面は「非・バランス」(2001)で派谷恵美さんが演じた少女を思わせるものがあった。こういうのは意識してやっていたのか。
[映画館(邦画)] 5点(2017-12-27 19:58:53)
620.  パセリ 《ネタバレ》 
情けない男が成仏できない霊につきまとわれる話である。いかにも低予算でTVドラマのような印象だが、少し笑わせて少し泣かせるストーリーにはなっている。 劇中のゆうれいはすらりとした長身で清潔感があり、ぎょろっとした大きな目で覗き込まれると怖いかもしれないが、甘ったれたような声は愛らしい。日記の中で主人公への思いが募っていく様子は少し心を打つものがあり、また終盤では拗ねたように笑ったり泣いたりの表情が変転するのが愛おしく思われる。 形式上の主人公はともかくとして実際このゆうれいが最大の見どころだが、ほか終盤では主人公の恋人が後の方で何気に場を盛り上げていたのがいい感じで、また途中から入って来たミュージシャンの男も変なキャラクターだが面白くないこともない。映画としてどうかということはあるだろうが個人的には嫌いでないお話だった。 ちなみに、ゆうれいが部屋に上がるときはちゃんと靴を脱いでいたようで、また部屋が暗ければ電気をつけるというのも固定観念にとらわれない態度で好印象だった。
[DVD(邦画)] 5点(2017-12-27 19:58:50)
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