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641.  レイジング・ケイン 《ネタバレ》 
脚本に穴がありすぎる。元凶は児童心理学者である父親だが、犯行の動機は研究材料集め。まず一人の多重人格者を作り上げ、幼児における人格形成過程を研究発表。次に大人になった彼を利用して別の赤ん坊を誘拐し、実験に使うつもりだった。その間彼は誘拐罪で捕まり、精神病院に送られ、偽装自殺している。その彼に実験を続ける理由があるだろうか?死んだ彼がどうやって研究を発表するのか。彼が児童心理に異常なまでの熱意を示す理由はなのか。何も提示されない。多重人格になったカーターがちゃんと教育を受け、医者になり、きちんと家庭を築いているのも無理がある。最後には女装した女性人格者が出てくるが、どのような人格形成過程を経て女性人格が出現するのか説明してほしいものだ。行き当たりばったりの印象が強い。◆行き当たりばったりと言えば妻の不倫もそうである。そもそも女医が瀕死の妻に付き添う患者と恋仲になるだろうか?そんな設定にした理由が分らない。もっと自然な設定で充分である。プレゼントを間違うのも、夜中にホテルに出向いてプレゼントを入れ替えるのも無理がある。夢や幻想を交えながら妻の心理を描写しているが、お門違いである。多重人格である夫(犯人)の複雑な心理をこそ描写すべきなのだ。ごく普通の妻と対比することで夫の異常さが強調されるのだ。妻の深層心理を描いても観客を混乱させるだけだ。◆観客への最大のトリックは溺死体だろう。沼で発見された女性死体は物語の流れから言えば妻である。しかしこれは最初の被害者だった。顔を見せられ恐怖の表情なので区別がつかないのだ。クロロフォルムで眠らされたことになっているが、その後妻と同じく車に入れられ沼に沈めらたのだろう。そして途中で蘇生したので、苦しんで爪に傷がついたと説明できる。それにしても妻はあの状況でどうやって助かったのか?脱出して病院や警察に行かなかったのは何故か。腑に落ちないのである。◆老嬢心理学者がカツラであるというのはうまく考えた設定だ。あれでカーターは変装して警察から脱出できた。でもどうして裸足なのか?そしていつの間に花やオレンジなどを買ったのか?◆カーターが二重人格者であることはすぐに察しが付く。半ばまで伏せておいた方がサスペンスが持続したと思う。◆階段とエレベーターを移動しながらの動く長回しや、雨の中子供が落ちるストップモーションなどは印象に残った。 
[DVD(字幕)] 5点(2011-02-12 03:53:19)
642.  ハワイ・マレー沖海戦 《ネタバレ》 
東宝が海軍から依頼され、海軍賛美・国威称揚・戦意高揚を目的として作られた生粋の国策映画。それにも関わらず、毒々しいプロタガンダはさほど見られないので現代でも安心して鑑賞できる。「スマートな海軍さん」と親しまれていた海軍のイメージを大切にしている。何と言っても円谷英二による日本初の特撮映画として有名。特撮の出来は大変良い。◆海軍飛行予科練習生、練習航空隊の訓練ぶりが詳細に描かれているのも興味深い。飛行機や軍艦の実物が登場し、記録映画としても大変貴重。◆海軍から依頼されたにも関わらず、実際の空母等の資料はほとんど提供されなかった。これに対して東宝側は憤慨したらしいが、当時空母赤城、加賀、飛龍、蒼龍はすでにミッドウェー海戦で撃沈されており、その事実は国民に隠されている状況だったことを考えると海軍の対応は無理もないと思われる。◆優秀な兵士を育てるコツは、死ぬことを怖がらせないこと。精神論、大和魂を強調する教育方針。「自分のことごとくは、かしこくも大元帥陛下のために捧げ奉ったものである。そう肚をくくれば、何も怖くは無くなった」当時多くの人がこの言葉を信じたことだろう。戦争は必然で、国や天皇のために命を捧げて発奮、戦争に勝利しさえすれば、家族は幸福になれると信じていた。単純な論法である。◆家族は淡々と描かれる。姉や妹は主人公のことを気にかけているが、母親は「海軍にやった以上もううちの子ではない」と気丈に軍国の母ぶりを発揮。少年の夢にも現れない。それ以上は検閲があるので描けない。
[DVD(邦画)] 5点(2011-01-25 04:10:55)
643.  ナイト&デイ 《ネタバレ》 
若くないも二人が出会って、どうなるのかと観ていたら、まさかの恋愛に発展。あの女優、実年齢いくつ?そりゃあ無いよな、と思っていたら、おバカ度は増々アップ。リアリティの無いハイパー・アクションの連続で全然楽しめない。コメディになりきれていないのが、失敗の原因と思う。「裸の銃を持つ男」のように徹底的なコメディにすればよかったのに。 911事件以降、ハリウッドのアクション映画はボーンシリーズに代表されるようにリアル志向へシフトしている。そこへ集客力の落ちている二人が共演して、恋愛+虚構アクション。二人は「バニラ・スカイ」でも共演しているし、いまさら恋愛でもないでしょ。スパイアクション恋愛ものの女優はフレッシュな人に限ります。 永久エネルギー機関のバッテリーを高卒のオタクが発明したという設定はギャグなのか。そもそも男が女を連れまわす理由が不明。出演者がみんなシリアスに演じるので笑えない。アクションだけおバカなのだ。最後は男と女の立場が逆転。女が男を救い出す。というか強引に連れ出す。無事にCIAに復帰できたところなのに。
[映画館(字幕)] 5点(2010-12-28 16:34:36)
644.  U.M.A レイク・プラシッド 《ネタバレ》 
◆ホラーもの、パニックものとしては成功していない。緊迫感が薄く、いつまで経っても怖くならず、あれれという間に終了。いい画が取れてるし、音楽も良質、俳優も有名人が出ているのにもったいない。一言で言うと真面目さが足らない。怪物の存在を知りながら、あんな小さなボートで行動しないでしょ。 ◆怪物そっちのけで、登場人物たちがケンカしたり、いがみあったり、恋愛したりで忙しい。土台コメディタッチの動物パニック映画って無理でしょう?それってヘリコプターでワニを捕まえるようなものだよね。或いはワニ用の罠で保安官を宙吊りにするようなものか。笑いかパニックかのどちらかに絞りましょう。 ◆怪物がワニと分った時点で興味が半減。生態がわかっているし、大型銃で退治できる。しかもおばあちゃんが餌付け?エサが牛だと?おじいちゃんは食われた?ついでに小ワニも餌付け?開いた口がふさがらないとなこのこと。おとぎ話じゃないんだから。 ◆それにしてもあの博物館の女学芸員は何のために居るのか。もうちょっと必然性を考えてくれ。生物学者ならともかく、化石を扱っている人だよね。上司にふられたっていいながら、もう恋に走っているし。 ◆「ワニは水中で襲わない」と説明があったが、最初の被害者は水中の襲われた。
[DVD(字幕)] 5点(2010-12-25 03:46:24)
645.  男はつらいよ 旅と女と寅次郎 《ネタバレ》 
【都はるみ】母子家庭で育つ。6歳頃から歌手になるべく、母親から浪曲と民謡を厳しく習わされる。本人は歌手になりたくなく、母を憎んでいたという。1964年16歳でデビュー、芸名は「京はるみ」が予定されていたが、同名歌手がいることが判明し、都はるみに変更。三曲目の「アンコ椿は恋の花」がヒット。独特のこぶしは弘田三枝子の歌い方にあこがれてあみだしたもの。1980年「大阪しぐれ」で初めて歌手になってよかったと思う。1984年に一時引退。 【感想】はるみは幼少の頃は母親の意向、芸能界入りしてからは、プロダクションの意向によって厳しく行動が制限され、自由のない生活を送ってきた。多忙さにより恋も自由にならず、好きな男とも別れる。その反動で家出を敢行。一方寅次郎の生き方は自由そのもの。風が吹く方へ旅から旅への渡り鳥。明日の計画は明日になって決まる。暇と時間はたっぷりあり、無いのは銭だけという気ままさ。 ◆男はつらいよシリーズの人気の一つは、観客が寅次郎の自由な生き方にあこがれるからだろう。誰でも人生の重しを捨てて、自由気ままに旅をして暮らしたいと思うときがある。寅次郎が代わりに旅をしてくれるのだ。そして「泣き」と「笑い」がある。誰もが安心して観れる。 ◆対照的な二人が出会って、友情のようなものが生まれる。はるみは寅次郎の優しさと人情に触れ、心を癒され歌手に復帰、良い想い出が残る。又恋人ともうまくゆく。寅次郎ははるみの前では、良いおじさんを演じているが、実は恋に落ちている。そしてお約束の恋わずらいのドタバタ劇の果ての失恋、そして再び旅へ。すべてが予定調和で了る。悪人は一人も出てこない。◆マドンナは常に「高嶺の花」だが、今回はスターなのでその感が一層強い。ただ顔が庶民的なのはご愛嬌。「京はるみ」と「都はるみ」がほぼ同一人物なのが異色。ストーリーはあって無きが如きもの。はるみの心の内面が深く描かれることはない。はるみは魅力的に撮られており、プロモーション映画としては成功。寅次郎は懲りずに恋をし、また振られる。故に観客は彼を愛し、応援する。◆監督が都はるみのファンで引退記念に映画を作りたかったのだろう。
[ビデオ(邦画)] 5点(2010-11-29 10:26:40)(良:1票)
646.  ゴジラの逆襲 《ネタバレ》 
◆ゴジラ上陸警戒警報中、灯火管制の敷かれた夜の町で、何故か囚人護送の車が無灯火で移動している。いかにいい加減な脚本かということが分かる場面だ。月明かりだけでの運転は危険。囚人護送を夜にする理由がない。案の定囚人達は脱走し、ある組は車で暴走し、石油コンビナートに突っ込み、爆発炎上する。これが沖のゴジラを呼び寄せた。別の組は怪獣対決の犠牲となる。アイデアは買うが詰めが甘い。◆小林機がゴジラの熱線にやられ、氷山に激突。これが雪崩を起こし、ゴジラを封じ込める方法の発見のきっかけに。が、小林機がゴジラにやられる必然性がないのだ。彼がゴジラに突っ込んでいった結果でしかない。何のために突っ込んだのか不明。無理に犠牲者を出して、映画を盛り上げようとする魂胆がみえみえだ。小林はのほほんとした風貌で、悲劇が合わない。◆怪獣対決シーンはコマ落としの技法で早送りになっている。一方で建物が壊れる場面などは従来の高速度撮影でスローとなっている。これをつなげるので不自然さが目立つ。島での対決があっさりしすぎているのは残念。怪獣に出会うまでのドラマがほしい。 ◆飛行機で魚群を発見し、それを無線で船に知らせる仕事があったことを知ったのは収穫。ただ飛行機どうしや飛行機から直接船に通信ができないのはどういう理由か知りたい。 ◆アンギラスに脳が2つあるというのは当時信じられていた学説。恐竜は巨大なため動きが鈍かったと信じられていた。しかし腰骨に神経の塊が入る空洞が見つかったため、第二の脳と考えられた。その後、糖類の貯蔵庫と訂正された。尚本来のアンキロサウルスは草食で大人しい。7千万年前から1億5千万年前生存と言うが、実際は7千4百年前から6千7百万年前。 ◆破壊シーンが少ない。怪獣対決した島に人家は無い。大阪では町に向かって熱線を吐かない。氷の島では歩くだけ。時折熱線で飛行機を落とすが地味。大阪でゴジラが海に帰ってゆくシーン、北海道で船を襲ったシーン、小林機が遭難して不時着する場面は音声説明のみ。完全に手抜きである。撮影期間が短かったせいだが、残念。飛行機が氷山を破壊するシーンを何度繰り返しても盛り上がるはずがない。危険な作戦だと強調していたが、危険には見えなかった。ゴジラの手に叩き落とされるほど近く飛ぶ必要はないだろう。 ◆乱杭歯のゴジラとセンス無い音楽にげんなり。大阪弁しゃべる人は一人だけ。大概にせんかい!
[ビデオ(邦画)] 5点(2010-10-21 21:58:59)(笑:1票)
647.  ゴジラVSデストロイア 《ネタバレ》 
◆ミキロオキシゲン(MO)=酸素を微小化したもの。生物の成長を促進する性質がある。一方分子の細かさから、物体を形作る原子の隙間に侵入し破壊する作用がある。低温で液化すれば無力化できる。 ◆オキシジェン・デストロイヤー(OD)=水中酸素破壊剤。特殊な物質を電磁的に反応させることにより水中の酸素を破壊、生物を一瞬のうちに死に至らしめ、完全に液化する。 ◆デストロイア(DR)=地球に酸素がなかった先カンブリア時代の甲殻類が、古代地層で眠っていたが、ODが無酸素状態を作ったために復活し、その後大気に触れて異常進化したもの。微小体→幼体→集合体→飛行体→完全体と変化。幼体ではMO、完全体ではODを放射。 ◆棲息していた島のウランが核反応で消滅した影響で、体内炉心の核分裂が暴走し、いつ核爆発を起こしても不思議ではない状態のゴジラ。冷却弾を受け、体内の核分裂が制御され、核爆発の危機を免れる。が、今度は体内温度が異常上昇。数日後にメルトダウン(炉心溶融)が確実と判明。 ◆この状況を打開するにはデストロイアのODでゴジラを溶かしてしまうしかない。そのためにはジュニアを囮に使用。ジュニアはDRに倒されるが、ゴジラはDRに勝利。というか最後は何故か自衛隊がトドメを刺す。遂にメルトダウンが始まり、ゴジラ消滅。地球規模の大惨事と誰もが諦めたとき、放射能レベルが減少。煙の奥にジュニアの姿が現れる。ジュニアはゴジラの核エネルギーを体内に取り込み、力強く甦ったのだった。 【感想】第一作のヒロイン河内桃子が出演しているのが好印象。観客動員数400万人、邦画収入第一位という輝かしい成績を誇る。ゴジラ映画最後の栄光だ。全て「ゴジラ死す」「これで最後」と大宣伝した成果である。ゴジラの体内炉心はずっと核融合と思っていたが、核分裂だったことが判明した映画。DRが人間の大きさくらいのときに、エイリアン2もどきの展開になる。で、全然恐くなく、失笑の連続である。監督のセンスの無さが判明する。伊集院博士に科学者としての葛藤を持たせないのはどうしてか。山根ゆかりを救った伊集院博士、三枝未希が好きな山根健吉などの人間関係も放りっぱなし。DRが微小から極大まで変化しすぎてついてゆけない。トンネル事故の様子が省略されている。理論が難しくて子供は理解するのが大変だと思う。怪獣の格闘シーンは迫力があった。
[ビデオ(邦画)] 5点(2010-10-17 03:31:07)
648.  ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS 《ネタバレ》 
◆モスラの小美人の主張。「人間がゴジラの骨から戦いの道具を作ったのは過ち」「死者の魂に,人間が手を触れてはいけない」「ゴジラの骨を海に返してくれれば,かわりにモスラがゴジラと戦う」「さもなければ,モスラは人間の敵にならなければならない,それはモスラの望んでいることではない」 ◆小美人の石の言葉「生命は定められた時の中にこそある」 ◆何故小美人はこのような主張をするのだろうか?モスラは自然と調和と平和のシンボルだ。小美人の友人である中条は言う。「ゴジラの骨を使って機龍を作ったことは,神の領分だ。人間は越えてはならない一線を越えてしまったのだ。すでに人類は,原水爆を生むという過ちを犯している」つまり科学技術の暴走で、生命を弄ぶようなことをしては神の罰を受けるという警鐘だ。伏線として前操縦者茜に「もしかすると機龍はもう戦いたくないのかもしれない。このまま修復されずにいる方が幸せなのかも」と語らせている。だが、そう言われても、ゴジラに対抗する手段が他になく、モスラへの信頼もないので、機龍を放棄することはできない。 ◆結果は、機龍のDNAが再びゴジラの咆哮に呼応して暴走、自らの意思で,ゴジラを抱え日本海溝の底に沈んでゆく。結局人間は反省をせず、ゴジラのDNAも廃棄しなかった。それでも総理は言う。「失ったものが大きい。しかし我々は,自らの過ちに気づき,その過ちを認める勇気を得た。その勇気こそが勝利だろう」むなしい言葉だ。 ◆最も英雄的な行為をしたのは機龍だ。「SAYONARA YOSHITO」のメッセージを残し、海中へ沈んでゆく。機龍は仲間のゴジラと闘いたくなかったし、人間と共鳴したことにより、ゴジラが町を破壊するのも見たくなかったのだろう。 ◆この重いテーマに脚本がついていっていない。言葉や観念だけでは感動は生まれない。何より機龍の孤独や葛藤を伝える場面がなさすぎる。誰からも望まれない生命として産まれ、殺され、骨となってからも戦闘マシンにさせられ仲間と闘わせられるという悲劇。もっと生命を感じさせるサイボーグとして描くべきだった。それがないので、最後になっても観客おいてきぼりである。ここが商業的に失敗した主因と思う。心に残るものがないのだ。冒頭のモスラ迎撃シーンだけはかっこよかった。
[ビデオ(邦画)] 5点(2010-10-15 02:53:57)
649.  ゴジラ×メカゴジラ 《ネタバレ》 
◆沙羅は妊娠中の母親を亡くしてから、命というものに人一倍敏感になった。眠り草を母親代わりに話かけている孤独な面がある。茜は天涯孤独の身。「自分は求められて生まれて来たわけではない、つねに戦って自分の居場所を勝ち取って来た」と思っている。沙羅は言う。「この子(機龍)もちゃんと生きているのよ。どうして仲間のゴジラと闘わなければならないのかって、きっと思ってる。水爆でゴジラを産んで、今度はゴジラのサイボーグ。一番悪いのは人間よ。大人は命の大切さをみんな言うけど、本当はそうじゃない。誰もこの子をことを可哀そうと思わないでしょ」茜が答える。「慥に機龍は生きているわ。あいつも私と同じ。求められない命。産まれてきたことさえ疎まれて、本当は生きてはいけない命だった」沙羅は「生きてちゃいけない命なんてあるわけないよ」と反論する。 ◆戦闘中、命がけで闘っている茜の姿を見て沙羅は願う。「あかねちゃん、死なないで」 ◆茜は機龍にシンパシーを感じる。「機龍、お前にはわかるよね。お前と私は仲間だってこと。さあ、そろそろ行こうか!」倒れた機龍の中で気絶しかかる茜を目覚めさせたのは,仲間の笑顔と茜との握手のぬくもりだった。孤独ではないと気づく茜。「機龍、私に力を!」茜の精神と機龍(初代ゴジラ)の精神が共鳴する。 ◆戦闘が終わって茜が沙羅に言う。「あなたに力をもらったわ。皆からも力をもらったわ。生きてちゃいけない命なんかない。あなたの言葉を信じてみるわ」沙羅ももはや眠り草を持っていなかった。命のダイナニズムを受け入れ、少し大人に成長したのだ。 【感想】命に関して深く考えさせられる内容を含んでいる。「生きてはいけない命」とはゴジラのことでもある。人間の科学の暴走が生みだしたゴジラ。そのゴジラを殺さねばならない人類の宿命。どんな命も大切と考える子供の純な心。仲間を死なせてしまったというトラウマを抱える女自衛官の執念。そしてゴジラとの戦いで多くの命が散ってゆく。良いテーマだと思うが、全体の構成として十分活かされていない。重いテーマに踏み込んでいないのだ。沙羅の父親が機龍の開発に無関心だったりするのを見れば分る。彼は「命」より、娘と一緒にいることや茜の気を引くことに終始関心が向く。惜しいと思う。父親をリンクさせれば感動作になっただろう。このシリーズの売り物である破壊シーンや戦闘シーンに特に見るべきものはない。
[ビデオ(邦画)] 5点(2010-10-14 23:58:36)
650.  ゴジラ×メガギラス G消滅作戦 《ネタバレ》 
◆現実と違う別の歴史を持つパラレルワールドの設定だが、全く活かされていない。重水素によるプラズマエネルギーをクリーンエネルギーなどといっているが、核融合のことで、破壊されたら大変な環境破壊になる。◆ゴジラが原発施設を狙う理由は何だろうか?憎しみ、それともエネルギー補充?いずれにせよ、どこかの島にエネルギー源を置いて、Gをおびき寄せれば済むのに。そして近くからディメンジョン・タイド発射。これでOK?ところで時空が歪むという欠点は修正したのだろうか。ところでDTの実験でメガヌロンを出現させた責任は誰が取るのか。それとも自分たちのせいだとは気付いていないのか。◆メガヌロンは人類を捕食して成長するのだが、それに対して人間が何の手だても講じないのはどうしたことか。あんなに大繁殖しているのに。渋谷が水没してしまうが、それがメガヌロンの幼虫の仕業によるものなのか、どうか不明のまま。それにトンボだから極楽とんぼ出すとかは、止めた方がいい。日本の誇る「ゴジラ」をリスペクトしてほしい。◆工藤はマイクロマシーンを作るのが得意だとして、ブラックホールとは畑違いだと思うが。それに何の役にも立たない女性博士はいらない。◆自衛官の上司をゴジラに殺された辻森桐子の執念が一貫して描かれる。だが、肝心の二人の関係が少ししか描かれていない上に、ミサイルの効かないゴジラに対してロケットランチャーで攻撃するという意味不明の作戦上での死であることが悲劇性を薄くしている。上官の死はもっと英雄的に描かれるべき。桐子はゴジラとの闘争、アマチュア科学者工藤との関わりなどで、最後には女性らしさを取り戻すという物語にすればドラマとしてまとまったものになっただろう。憎しみだけでは見ていて辛い。成長物語にしてほしい。◆肝心のゴジラ消滅作戦だが、根本的な問題がある。そもそもG消滅は観客の誰も望んでいないのだ。観客のほとんどはゴジラがビルを破壊するのを見ることでカタルシスを得る。日常のストレスの憂さ晴らしであり、生命の偉大さの実感なのだ。消滅方法も日常離れしすぎていて実感が薄い。だからG消滅作戦はきっと失敗するだろうと高を括って見るので、物語にはのめり込めないのだ。作り手もそれは分っていて、ゴジラは生きていることを示して終る。志の中途半端さが分る。
[ビデオ(邦画)] 5点(2010-10-14 20:30:42)
651.  ウォンテッド(2008) 《ネタバレ》 
◆一番凄いと思ったのは、ネズミを千匹も捕まえたことかな。実際やってみると大変だと思うよ。それに一匹、一匹に時限爆弾を仕掛けるのだから。 ◆一番不可解なのは、ウェズリーの父親クロスだ。息子を守るのなら、電話するとか、手紙出すとかしなさい。金銭的援助くらいしてやってよかったと思うよ。それに何故息子を轢き殺そうとしたり、実際に腕を撃ったりしたのか。呼び出したいのなら電話するか、弾丸を届ければよい。 ◆一番不思議なのは、貯金の残高が増えたり、減ったりするところ。 ◆一番驚いたのは、親爺の協力者(弾丸製作者)が、川に落ちたウェズリーを救出したところ。いったいどうやったらそんなことが出来たのか?病院に運ばれたのを連れ帰ったのか。 ◆一番がっかりしたのは、フォックス(アンジー)の360度回転同士撃ち+自殺弾。一人一人との対決が見どころになった筈なのに残念。 ◆一番知りたいのは、1000年も続く「運命の機織り機」の正体の謎。暗殺すべき人物の名前が暗号の二進法で織られて出てくるらしいが、同姓同名がいたらどうなるの?「Death Note」じゃないけど、名前を知られていなければセーフ? ◆一番疑問なのは、飛び杼を掴んだり、蝿の羽を撃ちぬいたり、弾丸を曲げることは訓練で可能としても、超ジャンプや超カー・アクションはどうやってできるようになったのかということ。 ◆一番ひっかかるのは、スローンはクロスを殺すのに息子を暗殺者に仕立てるという手の込んだやり方をし事た。普通に考えれば、息子を人質にとり、おびきよせればよかったのだ。 ◆一番バカバカしいと思ったのは、ウェズリー最初の暗殺方法。わざわざ走っている電車の屋根の上から会議室を狙うなんて。相手に近づいて撃てばいいじゃないか。 ◆一番欲しいと思ったのは、あのすぐに傷が回復する風呂。特許で食っていける。 ◆一番哀れなのは、ウェズリーに勘違いで射殺されたネズミ爆弾男。「流れ弾にやられた」なんてウェズリーを庇っている。
[DVD(字幕)] 5点(2010-10-13 05:53:22)
652.  ゴジラVSモスラ 《ネタバレ》 
◆人類出現以前に高度な文明社会を築いて、繁栄を誇っていたコスモス族。1万2千年前に気候変動装置を開発。地球生命体は怒り、黒いモスラ、バトラを出現させる。破壊本能だけで行動し、地球生命体を脅かすものを徹底的に破壊した。守り神モスラはバトラと闘い、氷の海に封印。気象装置は破壊され、大陸は海に沈んだ。◆隕石の墜落と森林伐採、気候変動のせいでモスラの卵が出現。バトラも覚醒するのではと心配する小美人。一方20世紀の最後の年、大隕石が地球に衝突するが、それを防ぐのがバトラの役目という。とすればモスラもバトラを倒すわけにはいかない。◆ゴジラの立場はどうか。単なる破壊王?人類の敵だが、地球の敵ではない。何故バトラはゴジラと闘うのか?バトラは人類を敵とみなしているので町を破壊する。ゴジラと闘う理由がない。単なる闘争本能か?モスラも小美人を助けるとしながら町を破壊。最後は環境破壊に関係のないゴジラだけが悪者に。【感想】モスラ幼虫、成虫は如何にも弱そう。これが最大の欠点です。随所に美的センスが光るシーンがあるのですが。◆冒頭の藤戸のインディージョーンズのパクリ行動には苦笑しかない。遺跡盗掘者で小美人を売ろうとするなど問題行動がある。副主題の離婚した夫婦が元の鞘に戻る話は影が薄い。藤戸のためには、何か汚名挽する活躍を挿入すべきだったろう。◆主題は人類の環境破壊への警告。それが悪玉の丸友会社社長に集約されるが、土地が破壊されただけの中途半端に終わり、フォローがない。彼は改心したのだろうか。彼が怪獣バトルの犠牲になれば話としてはすっきりしたのだが。まあ彼だけを罰してもどうしようもない話だが。一方地球生命体、地球の怒りはどうなったのか?地球の怒り=バトラであれば、「ゴジラ封印」で終わったことになる。大風呂敷を広げて、未消化に終わっている印象がある。◆「卵が出現→小美人が見世物にされそうになる→幼虫が上陸→羽化して蛾になる」旧作の物語をなぞっているだけで陳腐。【ツッコミ】①蛾の卵は成虫に較べて遥かに小さい筈。②バトラ幼虫が一瞬にして成虫に。手抜き?③小美人は空を飛べるのなら自力で逃げれたのでは?④自衛隊は繭のモスラを何故攻撃しない。⑤ゴジラはマントル内を通っても平気。⑥鱗粉はモスラ最後の武器といいながら、その後生き長らえる。⑦急にモスラが熱線を吐き出す。 ⑧小美人て何歳?
[DVD(邦画)] 5点(2010-10-12 16:52:09)
653.  偽牧師 《ネタバレ》 
◆チャップリンお得意の巻き込まれ型のドタバタ・コメディ。次から次へとハプニングが起こり、気の弱い主人公が事件に巻き込まれてゆきます。そこそこ笑えるので見て損はありません。 ◆一方で、後期の名作に到る過渡期の作品として観れば、尚興味深いものがあります。 ◆脚本にいくつかの難点があるように思います。 ①男はいくつかの罪を冒している。入獄に到った何らかの罪と脱獄の罪。そして牧師の服とお金を盗んだ罪。母娘のお金を悪人から取り戻したというだけで、これらの罪がチャラになるだろうか。 ②男がどういう罪で刑務所に入ったか不明。ジャン・バルジャンのように男に同情すべきようなシナリオを用意すべき。脱獄も同様。偶然脱獄のチャンスが訪れたとか、どうしても誰かに会わなければならないとか。それが無いので人間が描けていない。少なくとも悪い男ではないという点をもっと強調すべき。その前にあんなドジな男が脱獄などできるはずないと思うのだが。 ③男は教会ではお金に執着を見せるが、母娘の家ではお金に無頓着。それは娘に対する恋心に起因するものだろうが、このところが弱い。心変わりする決定的な契機が欲しい。 ④ラスト・シーン。男は保安官の親切心に助けられるのですが、これが弱い。これが当時のチャップリンの限界か。後のチャップリンなら男は収監され、その悲劇性と社会批判とで観客の心をつかんだはず。喜劇と悲劇の両立の域に達するまであと一歩の作品。笑いだけにこだわった作品。 ◆それにしてもカメラのズームもパンも無いが、当時は技術的に難しかったのでしょうか。ピントを合わすのに一苦労したものと推測します。それでも今でも笑えるのは、やはり凄いことです。
[ビデオ(字幕)] 5点(2010-10-11 02:16:23)
654.  エアポート’80 《ネタバレ》 
◆違法に兵器輸出している兵器残業の機密が漏れる話。兵器会社社長のケビンはジャーナリストのマギーと恋愛関係にある。不正を暴こうとする社員Aは、何故かマギーの元へ暴露書類を持ってゆく。すぐに始末屋が現れ射殺、マギーも殺されそうになる。マギーはケビンに相談。飛行機に乗る直前マギーの元へ殺されたA妻が現れ、書類を渡す。◆どうして警察に渡さないのだろうか?夫の事件捜査で事情を聞かれている筈だが。マギーも警察に事情を話すべきだろう。◆ケビンはマギーをコンコルドごと葬ってしまおうと考える。無人戦闘機と戦闘機ファントムの攻撃を二度もかわしたコンコルド!この奇想天外の展開は、一応褒めておこう。ここしか見せどころが無いのだから。◆マギーは事の真相を糺そうとケビンに会う。ここで拉致するなり、殺すなりすればいいのに、何もしないケビン。先ほどの殺意はどこへやら。ぬるい展開だ。◆攻撃され緊急着陸したコンコルドにまた同じ乗客が乗る。普通は別便が出るが。悪い整備士が荷物室のドアが自動で開くように仕掛ける。何故か体中に報酬の札束を巻いて高飛びしようとする。札束が落ちて怪しまれると、逃げ出し、何故かコンコルドの離陸するところに飛び込む。意味不明だ!報酬は銀行に預けなさい。◆荷物室のドアが開いて、第2のパニック。雪のアルプスに緊急着陸。全員脱出した後「爆発するぞ」で爆発。ケビンは自殺。◆モスクワ五輪、選手の国境を越えた恋愛、機長の復縁、機長らの友情、手術予定者、心臓移植、サックス黒人、トイレおばさんなど、多材料をちりばめていたが、うまく料理できていない。◆特撮技術がお粗末だが、それは重要ではない。それ以前に脚本の基本が分っていないのだ。パニック映画には悲劇性が重要。途中で犠牲者が出るからこそ、緊張感も持続する。本作は暴露社員が殺されただけ。後は社会通念から逸脱したような無茶な展開で、パニックも生ぬるく、乗客に死者は出ない。観客の期待はおいてきぼりだ。◆「同じ飛行機が2度も」という展開は無理で、1回にまとめるべき。死者も次々に出て、最後は機長の英雄的行為や機知で奇跡的に着地成功⇒喜ぶ観客⇒悪会社の不正が暴露。こういう普通の展開でいいのだ。あとは群像劇の心理描写や特撮スペクタクルでいくらでもふくらませる。反面教師として利用できる”失敗した映画”だ。脱がないシルヴィアも期待はずれ。
[ビデオ(吹替)] 5点(2010-09-30 21:26:52)
655.  おろち 《ネタバレ》 
◆一草、理沙は裕福な家に住む美少女姉妹。母は有名女優の門前葵。母の愛情は音楽的センスのある理沙に注がれ、一草の心は次第に歪んでゆく。何故演技力ではなく、音楽的センスなのかは疑問。母の愛を渇望した一草は母にあこがれ、母そっくりの女優になる。◆門前家は呪われた一族で、女性は29歳になると醜く変身してゆく宿命がある。一草はまもなく訪れるであろう恐ろしい運命におののいていた。理沙は死ぬ間際の母から「お前は養子」と教えられる。それを知った一草は理沙を虐待する。理沙は姉の心中を察し、虐待に耐える。◆理沙は佳子という身寄りの無い家政婦を連れてきた。佳子と一草の血を入れ替えれば、運命を変えられると考えたのだ。一草は佳子を殺害し、手術を試みるが、佳子が血液型を偽っていたため失敗。絶望した一草は自ら火焼け棒で顔を焼く。それを見た理沙は実は養子は一草の方であると告白。復讐のために嘘をついていたのだ。その後門前家には狂死した一草と得体の知れない醜い女の姿があった。【感想】「永遠に美しく」と同テーマ。冒頭の嵐の屋敷シーンで監督の技量が知れる。安っぽい仕上がりだ。ライティング、音楽、カメラワークに工夫を凝らさないと重厚さはでない。5人の女優に美しさを感じられなかったのは残念。恋人ももっと二枚目であるべき。美と醜を際立たせることで成立する物語だ。木村佳乃が母娘二役演じるのも疑問で、混乱を招くだけ。◆物語は他に、おろち百年に一度の眠り、佳子の意識がおろちに入れ替わる、姉妹で恋人の取り合いという要素もからむ。だがどれも空回り。必然性がない。◆手術前に血液適合テストくらいはやりましょう。最大の欠点。◆人間には美しいままで永遠に生き続けたいという欲望がある。それを体現しているのが「おろち」という謎の少女。その正体は不明のまま、狂言回し役に終始する。この部分が未消化。おろちという神の目線で人間の心の醜さを描くのが原作。この心の醜さも徹底していない。理沙が真実を隠しながら、一草の手術の成功を願うのは矛盾がある。そもそも手術の必要がないのだから。絶望感を味あわせるための仕掛けとすべきところだろう。◆忘れてならないのは佳子の悲劇。幸せになりたいが故に、ほんのちょっとした嘘をついたことで死ぬ運命に。不幸の果の死はむごい。この挿話があることで、作品に奥深さが出ている。
[DVD(邦画)] 5点(2010-09-24 18:55:34)
656.  女ざかり(1994) 《ネタバレ》 
女ざかり】弓子は新聞記者という仕事に生きがいを感じているが、不倫にも熱心だ。大学教授と10年間長距離恋愛を続けている。それが娘公認というのも珍しい。娘は大学生のようだが、中年男性と恋愛中。伯母は元有名女優で、政治家と禁じられた恋をしたが、別れさせられて引退。政治家は現在総理大事。弓子の倫理観がよくわからない。弓子の元夫は癌の宣告を受け、余命は短い。ラスト、弓子と娘は元夫の看護へと田舎へ向かう。女性は全て生き生きと描かれ、男はしょぼくれて描かれる。元女優と首相の描かれ方を見れば一目瞭然。女は艶があり、男は老醜をさらす。政治家の妻は痴呆症ながら健康そうに描かれている。男は初老になっても銀幕の女優にあこがれている。男の話題は糖尿病、ハゲ、小便の勢い、癌、嫉妬など女尊男卑があからさまである。男優の目尻の皺がいやらしいほど強調される。【政治圧力】弓子の社説が原因で会社に政治家からの圧力がかかる。票と結びつく水子信仰団体と元総理を非難した形になったからだ。そのことを暴力団の幹部から知らされた弓子。他部署へ異動させられそうになると圧力を撤回するように、愛人に頼み、娘の相手の大物書家に頼み、伯母に頼む。全ては他人任せである。【感想】結局は詰め込み過ぎ。不要な場面が多い。暴力団と亡犬の挿話はいらない。首相の妻との不思議な邂逅があるが、何を言いたいのか意味不明である。弓子は政治圧力を跳ね返して論説委員を続けたが、あっさり退社を決意。背伸びをしていたのを反省し、もう一度自分を見直すのだという。愛人との別れも示唆される。又新しい仕事、新しい恋を見つけるのだろう。その前に元夫の看病。娘を元夫に会わせる目的もある。彼女にはまた新たな“女ざかり”がやってくる予感がある。フェミニズムではなく、女性賛美の物語。◇優れた映画は、観客に映画を見ていることを忘れさせてくれるが、この映画は落ちつかない。画面の多切替など狙っている効果が見え見えで楽しめない。浦野(三國)と弓子が別れをかわす場面で、黄色の広告バルーンがしぼんで海に浮かんでいる。中年の恋のわびしさを表現しているのだが、わざとらしいのだ。おでん屋の後ろに電車が走り、会話が中断するのは、不安の演出。技巧が映画に馴染んで居らず、技巧で終わっている。弓子の食事時の口元アップとあくびアップは性愛の代替表現。これだけは成功している。監督の本音は美人賛美?
[レーザーディスク(邦画)] 5点(2010-07-04 00:13:34)
657.  みんなのいえ 《ネタバレ》 
西洋趣味の若手デザイナー柳沢と昔堅気の老棟梁長一郎の対決が見どころ。これに風水にこだわる母親が参戦。トイレが三つに、和室が6畳から20畳に変更されるなど初期段階から設計が支離滅裂な様相を呈し始める。これは楽しめると思ったが、どうしたことか急にトーンダウン。棟梁には味方が多く常に優勢にすすみ、柳沢は孤軍で妥協の連続。母親は早々に撤退状態。あれれと思っていたら中盤で和解の方向性が明示される。そのままだらだらとエンディングまで。これでは失望を禁じ得ない。コメディパートはもっとしっちゃかめっちゃにエスカレートさせて、子供じみたやり方で応酬を繰り返し、家の建設はますます混迷を深め、最後の最後で感動の和解というどんでん返しにすべきではなかったか。やりあっている両者が深刻な顔になってしまってはダメ。笑えないのだ。それに大工仲間がみんなまともなのが失敗の元。妙に正義感ぶった大工の息子などがその最たるもの。周囲の人物がおかしな連中ばかりなのだから、彼らも当然そうあるべきなのだ。それでこそ映画のトーンが出来あがり、安心して観れるというもの。本筋以外の小ネタは楽しめたので残念である。とことんバカを尽くしてこそ、最後の和解が感動になるのだ。チャップリンを見習ってほしい。【気になった点】家を建てる映画だが、職人が働いている場面が少ない。夫のだめっぷり、優柔不断ぷりは良かったが、二人の職人が仲良くなるのに嫉妬するのはよくわからない。ペンキをぶちまけた壁の色はどうなったのか?元のアイボリーでなくなっているように見えるが。柳沢の言い分が通ったのだろうか。柳沢のこだわった「竹割タイル」だが、それが使用された完成形が紹介されていない。
[DVD(邦画)] 5点(2010-06-30 22:34:41)
658.  CUTIE HONEY キューティーハニー 《ネタバレ》 
【ハニー】人間をコピーしたアンドロイド。オバカほんわかキャラ。変装能力あり。普段は派遣社員のOL。仕事は覚えないが、残業を引き受ける心優しい娘でもある。友達はお掃除おばさんだけ。憎しみで怪人を殺して憎しみの怖さを知る。女刑事に愛も同様に怖いと言われるが、愛を選ぶことを決意。女刑事と友達になりそうになるが拒絶され落ち込む。 【夏子刑事】自立心が強く、何事も自分の力だけで達成するのが信条。他人との協調性に欠ける。泣く女が嫌い。ハニーと関わることで心を開いてゆく。 ◆ハニーが自宅で入浴しながら叔父と電話していると叔父が誘拐される。変身!のはずが、お腹がすいて変身できず。おにぎりを買いにでるが、何故か服がないのでごみ袋着用。協賛のファミリーマートでおにぎりを大人買い。走りながら食べて変身、何故かバイクに乗ってGO!どこへ行く?不思議とアクアラインで警察が既に犯人を包囲中。それもパトカー数百台以上。怪人と対決して勝利、叔父を救出。以上が導入部。全体の縮図を見せ、映画を観るスタンスを教えてくれる。サービスカット満載のギャグアクション漫画の乗りということ。 ◆敵ボスは永遠の生命を求めているが、愛は知らない。ハニーは過去の記憶をほとんど持たないが、愛は知っている。敵ボスに同化されそうになるが、かすかな父の記憶を元に父の愛情を思い出す。敵ボスは愛は人間の心の弱さと思って切り捨てていたが、その心地よさ、暖かに触れ、愛を理解しようとする。ハニーは「誰かを愛せばいい」と助言。愛を理解した敵ボスは活動停止。女刑事もハニーと一緒に戦うことで友情の大切さに目覚める。ハニーも新しい友達ができる。というわけで本題と別に愛と友情を主題にした物語が成立しています。脚本の流れとしては破綻がなく、一本筋が通っていますね。 ◆カット割りなど監督の美意識が出ている。アクションはテンポがよく爽快。多角度、多カットによる流れるような戦闘シーンは見どころがある。怪人に魅力なし。どうせならもっと美少女を出せばよかったのにと思う。 シスタージルが何故男性なの?ギャグはそこそこ笑える。
[DVD(邦画)] 5点(2010-06-27 22:45:26)
659.  25年目のキス 《ネタバレ》 
◆ジョジーにとって高校生活は悲惨そのもの。みんなからブスと貶され、プロムではあこがれの人に騙され卵を投げつけられた。真面目一筋でキスもしたことない。大学を出て新聞社にコピーエディターとして就職するが、記者になる夢を持っていた。その夢を叶えるチャンスが来た。それが高校潜入取材。 ◆最初はドジばかり踏み、からかわれ放題。優等生の女生徒に親切にしてもらい仲間に入るのがやっと。記事は書けず、スッパヌキ記事を連発するライバル社からは水をあけられる一方。しかし同じく高校に偽装潜入した弟の活躍と引き立てで何とか「スターたち」の仲間入りを果す。弟は野球部に入りスカウトされるのが目的だった。一方で英語教師コールソンとも親密になってゆく。やがてかつての雪辱を晴らす機会が来た。クラス1のスターからプロムに誘われたのだ。◆目出度くクイーンに選ばれるが、優等生の女生徒がいたずらされそうになるのを見て我に返る。いたずらを阻止して、全てを暴露する。何もかもぶち壊しになる。取材は失敗、ボスと共に会社はクビ、先生との恋は終り、弟の野望も水の泡。ここで彼女は乾坤一擲、捨て身の記事を書く。自分の惨めだった高校時代のことを吐露。潜入取材の経緯を説明。先生に愛を告白する。そしてお決まりのハッピーエンド。夢を追い続けた女性が、自分らしさを取り戻した瞬間、何もかも手にするというサクセスストーリー。◆最後の一発逆転の王道展開は素晴らしい。主演女優の顔の表情がほんとうに豊か。ズッコケダンスはぶっとんでいた。ただ「知らずに麻薬を摂取して」という設定は遺憾。彼女が十代のときに麻薬がらみで何度か騒がれたことが頭によぎった。やはり女性が自分らしさを出すことによって、みんなから認められるようになる進展が良い。そういう意味で弟の存在が物語を台無しにしている。最後はコーチに収まったが、恋はどうなったのか。またジェジーの同僚が性教育するなど無理な展開も目立つ。◆恋のパートだが、先生には恋人がいたのだが、どうなったのか?ジェジーも先生もお互いに恋をしているようには見えなかったのが残念ところ。忍ぶ恋を演出してほしかった。女は顔じゃないけど、男はイケメンに限る?◆実際問題、記者が高校生に成り済ます行為は違法だろう。日本では絶対に無理である。 
[DVD(字幕)] 5点(2010-06-27 02:38:19)
660.  人狼 JIN-ROH 《ネタバレ》 
【伏】特機隊の諜報部隊「人狼」。ゲリラ「セクト」の武器の運び屋「赤頭巾」の少女を撃てなかった。少女が自爆し、負傷を負う。もう一人の少女圭は撃てた。そして狼になった。【圭】赤頭巾だったが、警察に捕まり、公安のスパイに。命令で伏を騙すつもりが騙される。【感想】◆底が浅い。少女達はどうして赤頭巾になったのか。そもそもゲリラの目的は?その辺りの消息が不明なのが欠点。殺される側の人間像を深めることで、より悲劇を演出できた筈。圭は伏と一緒に死んでもいいと思っていた。だがそれは映像からは伝わってこなかった。◆殺す側の伏は、少女を射殺するのに躊躇する人間性を持っていた。圭と出会い、心を通わせてゆく。無表情なのでわかりづらいが、心は許していた筈である。だが命令により圭を殺す。人間を脱ぎ捨て獣に成った。「そして狼は赤頭巾を食べた」その間何が彼に起こったのか?彼は罰として再訓練を受けていたが、圭拉致の命令を受け実行。ただそれだけ。心の成長や葛藤が見られない。だから感情移入しにくい。しかも騙されたのではなく、騙していた側。正義の味方でもなく、仁義を重んじるわけでもなく、人情に厚いわけでもなく、少女を愛することもできない。人の皮を被った狼になる必然性が感じられない。人間性を失ってまで得たものは何?観客を納得させるものがあるだろうか。◆登場人物に血汗が通っていない。観念で作り出した人物のように思える。少なくとも悲劇の少女は可愛いさがなくてはだめだろう。冷血なスパイではなく、転向させられた女なのだから。◆特機隊といっても強化服等や暗視カメラなどの装備が優れているだけ。個人としての凄さが感じられなかった。見せどころの銃撃戦も突っ立っているだけ。普通服なら殺されていた。つまり戦闘員としての魅力も薄い。「007」のようにスカッとしたアクションがほしい。◆諜報戦を描くのはいい。相手をスキャンダルの罠に嵌めようとして、逆に罠にはまったという展開は意外性があって面白い。だが、警察の内部闘争・内輪もめというのはいただけない。警察が多くの仲間を殺しておいてただで済むわけがない。そこには正義のためという観念がない。警察の犯罪や警察の殺し合いは後味が悪いだけ。その上拉致した少女を殺す。そんなこと警察がするわけないと皆思う。設定に無理があるのだ。冒頭世界観を説明していたが、活かしきれていないと感じた。
[ビデオ(邦画)] 5点(2010-06-25 04:37:16)
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