661. オフィサー・アンド・スパイ
《ネタバレ》 敬愛するポランスキー監督作と言うことで駆けつけました。 ドレフュス事件は「ゾラの生涯」で知っていましたが、その作品では描かれていなかったピカール中佐が本作の主人公。 ドレフュスの濡れ衣を晴らそうと奔走するのですが、ユダヤ人への蔑視を持ち友愛も無く実務者として間違った事は認められない、長いものに巻かれないドライな姿でやるせないラストに薄ら寒さが。一方で、裁判での「ブラボー!」小躍りする場面を初めとした権力者の横暴さとユダヤ人への憎悪を剥き出しにする市民の洗脳煽動される姿は力をこめて描かれており、監督は何を表そうとしたのか。 もう一つのお目当てマチュー・アマルリックは出番少なく肩透かし。 中佐の不倫相手を演ずる監督夫人エマニュエル・セニエも何だかなぁといったところ。 ポランスキー印の重厚な映像に加えて、劇場鑑賞だったせいもあるのか、音、に迫力があって、ドアが閉まるという何気ない音にも惹かれるものがありました。御大の次回作も観たいですね。 [映画館(字幕)] 7点(2022-06-29 01:27:56) |
662. 幻の女(1944)
撮影の知識に疎い私ですが、モノクロ画面は見惚れてため息が出た美しさ。昨日観た風雲のチャイナはカラーだとさぞや綺麗だったでしょうが、本作はモノクロでなくてはいけないなと思うところです。中盤で犯人が分かるまではのめり込みましたが、以降はトーンダウンしていったのが残念。並の脚本でも映像と演出で秀作になった印象深い一品です。 [インターネット(字幕)] 7点(2022-06-27 16:48:06) |
663. 風雲のチャイナ
《ネタバレ》 1920年代、内戦に於ける中国が舞台。アメリカ人宣教師とフィアンセが上海で結婚式を挙げる当日はぐれてしまい、助けてくれた中国軍将軍との愛憎模様が描かれています。将軍の人物像が甘ちゃん以外はキャプラらしからぬユーモアも甘さも無い苦いお話な珍品で、アメリカ人宣教師の独り善がり、思い上がりを指摘しているのに100へぇです。バーバラ・スタンウィックはまずまずといったところ。将軍のメイクが11時5分のような眉毛と思いっきりつり上がった細い目に苦笑ですが、演じるニルス・アスターというスウェーデン人がとってもオトコマエなのに1000へぇで、お茶をあおる姿が甘いというか切ないというかリプレイタイムとなりました。 [インターネット(字幕)] 6点(2022-06-27 04:00:43) |
664. 偽りの花園
《ネタバレ》 金銭欲が隔てる悪人組と善人組が織りなす一族愛憎劇。ベティ・デイヴィス、ハーバート・マーシャルの終盤頂上決戦が圧巻。心臓を抉るような口撃で発作に追い込み薬瓶が割れる。片や「このまま死ねばいいわ、早く逝って」片や「ああ、もうダメかもしれない」鬼気迫る演技(リプレイタイム)に両手握り拳。悪人組の泣きっ面が見れなかった結末がちょっと悔しい(-1点)ながらも見応え満点の秀作です。 [インターネット(字幕)] 7点(2022-06-26 16:35:43) |
665. レッド・ライト
《ネタバレ》 大物超能力者のインチキを見破ろうとする科学者。デ・ニーロ VS シガニー・ウィーバーの頂上決戦の期待に胸膨らませたのが、一緒の画面すら無い「そんなアホな、アカンわ~、詐欺やん」キリアン・マーフィ熱演なれどガックリ度合いは薄まりません。デ・ニーロはデ・ニーロで悪魔の微笑み無く暴れるでも無くこれまたガックリ。オチもどんでん返しというより、何やねんこれは一体、無いわ~。折角のキャスティングが活かしきれていないもどかしい作品です。 [インターネット(字幕)] 4点(2022-06-26 00:59:01)(良:1票) |
666. ザ・ファブル 殺さない殺し屋
堤真一の怪演は目を惹きましたが、恨みが主となったスケール感の小さな争いに盛り上がれず。カーアクション及び団地での攻防は邦画とは思えない派手さ(+2点)ではありますが、現実離れにも程があり盛り上がれず。う~ん残念。脇役のキャスティングが重要な作品に思えました。 [インターネット(邦画)] 6点(2022-06-25 19:56:28) |
667. ザ・ファブル
原作漫画の存在を本サイトで知りました。筋肉美を見せつけるかのような数多のスッポンポン姿を見せる岡田クン。レスラーのような太い首も併せて魅せる体での魅せるアクションは役者魂を感じるところで好感。一方でお笑い部分の痛さ寒さは白けるもので、もうチョット勉強しはったほうがエエんとちゃいますか。脇を固める面々が素晴らしく、安田顕もさることながらエンドロールでの柳楽優弥、向井理に1万へぇ、拍手喝采。「大丈夫やワシがついてる」はそれはアカンわ何でそうなんのよ!切ないシーンに消沈。佐藤浩市演ずるボスの意図が分かり辛い部分でしたが目が離せない展開に満足出来た良作です。続編もあるそうで是非観なければ。 [インターネット(邦画)] 7点(2022-06-25 16:29:19) |
668. 性本能と原爆戦
原爆が投下されたのですがその描写は無く、家族4人の長であるレイ・ミランドの本性と生存本能が描かれています。このお父さんのサバイバル術はとても理路整然とした且つ銃にものを言わせてどんな事でもやってのける血圧が上がる姿でした。 キューバ危機最中の作品で、こういう浅ましい事は止めましょうというレイ・ミランド監督の警鐘なのでしょうか? 原爆の雑な扱われかたに白けた作品。 [DVD(字幕)] 5点(2022-06-24 02:07:17) |
669. あの愛をふたたび
《ネタバレ》 ロケ地アメリカの撮影現場で知り合った女優と作曲家のダブル不倫劇。意気投合しながらもそれぞれがパートナーに電話連絡を入れている割り切った間柄、だったのが、女優のほうが徐々に本気になってゆくものの最後に梯子をはずされる。 男女逆の立場であってもそうですが、その気にさせたほうが悪いのか、その気にさせられたほうが悪いのか。 アニー・ジラルド、ジャン=ポール・ベルモンドなので、カラリと明るい作りになっています。なので、ラストシーンでのアニー・ジラルドの自嘲と諦めと寂しさが入り混じった無言劇(リプレイタイム)がフランシス・レイの名曲も相まって深い余韻を残します。 [DVD(字幕)] 7点(2022-06-24 01:28:54) |
670. 殺人者(1946)
事件の真相に向けての展開に手に汗握ったのですが、終盤がワケワカメで余韻の無い結末が残念。若きバート・ランカスター&エヴァ・ガードナーは硬い演技だったものの、ハッとする美しさは後の大スターの片鱗がうかがえるものでした。クレジットは彼等に続いて3番目のエドモンド・オブライエンが実質主役。手堅い演技ながら華に欠ける姿に3番目も止む無しかといったところです。 [インターネット(字幕)] 7点(2022-06-21 09:39:39) |
671. 愛しのシバよ帰れ
「変えられるものを変える勇気を、変えられないものを受け入れる冷静さを、そして両者を識別する知恵を与えたまえ」(ラインホールド・ニーバー) 夫婦の生き様が描かれています。夫はアルコールに依存、妻は亡くした子をシバに重ね合わせ繰り言三昧自堕落な毎日、共に後ろ向きな日々。 間借り人となった太陽の如き明るい女学生マリーに二人の心が揺れ動く。 なかなか見応えある展開でしたが、画面映え皆無なシャーリー・ブース(この年のオスカーは余程の不作だったのか?)とスターのオーラに溢れるバート・ランカスターが親子に見えて興に乗れません。 オレ様具合が苦手なバート・ランカスターですが、本作の好演には拍手。 もどかしさ一杯の惜しい作品でした。 [インターネット(字幕)] 6点(2022-06-20 09:58:29) |
672. フロッグ
お目当てヘレン・ハントの老けっぷりに萎える。不安を煽る音楽の空回り感で興に乗れない。フロッキングというのに「気がつかんて?そんな阿呆な」白けるばかり。ひねりを効かせた結末(+1点)もとってつけたようで盛り上がれず。私的に脚本の次に重要と思っている演技が魅力ゼロ。残念な凡作です。 [DVD(字幕)] 5点(2022-06-19 04:16:20) |
673. おおかみこどもの雨と雪
お伽噺のようでした。厳しい環境で体を動かして尚且つ笑顔で子育てしている花に、自分の子育てを顧みて後悔の念が募るところです。「しっかり生きて」子供と孫に最後にかける言葉。秀作に釘付けでした。 [インターネット(邦画)] 8点(2022-06-18 06:33:33)(良:1票) |
674. ジンジャーとフレッド
イタリアに偏見を持ってしまいそうなゴチャゴチャで喧しい世界観にウンザリ。苦手な監督のワケワカメ度は何時もよりマシで何とか完走。泥沼に咲く蓮の花のようなジュリエッタ・マシーナ&マルチェロ・マストロヤンニに点数の全てを。ただ、動きは仕方ないにしてもアステアの頭のてっぺんからつま先まで一分の隙もない出で立ちには遠く及ばない姿が残念です。 [DVD(字幕)] 4点(2022-06-17 15:15:37) |
675. あらくれ(1957)
今作での森雅之さんには、この人は有島武郎の息子さんであるのを実感させられました。 高峰秀子演ずるお島は、浜屋の旦那も含めたどうしようもないダメ男達との関わりで「どうしてこんなに男運が悪いのか」メソメソする事が無い。言いたいことを言う、張られたら張り返し取っ組み合う、動いて働いて人生を創造する、荒ぶる姿が眩しかった。 「お辞儀はこうやってするんだよ!」に喝采! 見応えたっぷりな秀作。 [インターネット(邦画)] 8点(2022-06-17 10:59:40) |
676. ボーン・イエスタデイ(1950)
1993年版が本作を忠実にリメイクしていることが分かります。演者の比較になるのですが、軍配はリメイク版に。とりわけジュディ・ホリディがオスカー受賞というのに「これで? 何で?」が無限大。 [DVD(字幕)] 5点(2022-06-16 00:49:02) |
677. 待ち伏せ
4人いる脚本家が銘々書いたものを繋ぎ合わせたかのような思わせぶりなブツ切りエピソードで、豪華俳優をもってしても高揚しません。冒頭のカラスの密命に至っては終わってみれば回りくどさがアホくさく、ラストショットも白けたまま見送っておりました。 なかなかに目立っていたお雪ちゃん役は三船敏郎の愛人だったそうで、御大、やりたい放題の作品でした。 [DVD(邦画)] 4点(2022-06-14 16:08:02) |
678. 魔人ドラキュラ
ドラキュラ伯爵像を確立させたベラ・ルゴシ。能楽のような立ち居振る舞いで端正な顔立ちながら見開かれた目はまさに人外。唯一無二のキャラクターを得ながらトッド・ブラウニングらしからぬおとなしい演出が何とも惜しいところです。 [DVD(字幕)] 7点(2022-06-14 01:21:04) |
679. まごころを君に
お目当てクレア・ブルームは可も無く不可も無し。クリフ・ロバートソンの「凄い!」演技はオスカー受賞に相応しいものでした。ブランコを漕ぐ姿が幸せ一杯に見えるのが何とも切ないラストショットでありました。 [DVD(字幕)] 7点(2022-06-13 01:10:50) |
680. ダウン・バイ・ロー
《ネタバレ》 復讐するでも無し、そんなアホな!なご都合主義な展開に萎えるのですが。理不尽な目に遭って地べた這いずり回るような毎日を送ろうとも生きてるだけで丸儲け、と言うことを言いたいのでしょうか? 退屈な作品でした。 [DVD(字幕)] 5点(2022-06-13 00:54:40) |