681. アントマン&ワスプ
《ネタバレ》 おお、ステイ・ホーム。序盤は、最近ニュースで見た『おうちでディズニー』を思い出します。 さてさて、序盤から期待させてくれるアントマン。『アイアンマン』『スパイダーマン』そしてこの『アントマン』は、他のヒーローたちに比べるとユーモア指数が高いので妻もお気に入り。スコット・ラングのキャラもさることながら、ルイスのキャラが今作でも光っています。 ルイスのアテレコはもはやシリーズのお約束。今回のは特に面白かったです。プラス自白剤。これから拷問を受けるかもしれないってのに、自白剤に目をキラキラさせるルイス。裏社会の人間も、ルイスにかかるとただのコメディ要員になっちゃいます。 ヒーローものとしては、『強大な敵の不在』『アントマンのスーツの不具合』などの理由により、いまひとつな印象を受けます。ゴースト=エイヴァは倒すべき相手ではなく、救うべき相手ですしね。 それでも前作同様、大きくなったり小さくなったりのスピード感あるバトルは健在なので、概ね満足。ホープの母親も救い出し、エイヴァも助かる。スコットはホープとヨリを戻し、みんな仲良くハッピーエンド。めでたしめでたし。この後味の良さこそアントマン。かと思いきや、エンドロール中にとんでもないことが。ああ、だからアントマンはあの戦いに参加していなかったのね。身内のことで忙しかったから。なるほどー。って、あんなところに取り残されて、アントマンどーなんのー。早くエンドゲームを見なければ!え?その前にキャプテン・マーベルを見ないといけないって?まじかー。こーゆー段取りがこのシリーズの長所であり短所だよなー。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2020-06-08 04:07:51) |
682. ウルヴァリン:X-MEN ZERO
《ネタバレ》 X-MENシリーズはアポカリプス以降を除いて、ほぼ一通り観ています。ただ最後の作品を観たのが結構前なので、ビクターやストライカーが誰なのかはまったくわかりませんでしたね。ただその人たちのことを覚えていなくても鑑賞に差し支えはありませんでした。問題なく楽しめたので良かったです。 個人的には序盤、ウルヴァリンが唯一チーム行動をするシークエンスが凄い好き。結局チームを抜けることにはなりましたが、このチームのメンバーは戦闘力の高いキャラから電気、瞬間移動系と多彩で魅力的。このメンバーでの活躍で映画一本作っても面白そうです。正直言うと、ゼロやらウェイドやらフレッドやらは、単純に身体能力が優れたエージェントってだけで、ミュータントとは認識していなかったのですが、彼らも一応ミュータントになるんですか? ストーリー。親切にしてくれた老夫婦、殺されます。瞬間移動のナイスガイ、殺されます。恋人、最後に殺されます。主人公、記憶をなくします。死んだ恋人を見て、『いや、しらないやつだ』。と言います。超切ないです。 そんなわけで、とても爽快とは言えないのです。にも関わらず、暗い気持ちになりすぎず、最後まで見てしまえる面白さ。これはひとえに多彩なキャラクター達と、バリエーション豊かなミュータントバトルのおかげ。 スピン・オフ作品としては十二分に楽しい作品に仕上がっています。ダイヤモンド少女やトードみたない懐かしいキャラがチラッと出てくるのなんか、スピン・オフ作品ならでは。トードなんか覚えている奴いんのかっていうくらい個人的にはレアキャラ発見的楽しい瞬間でした。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2020-06-04 02:31:16) |
683. フィッシュストーリー
《ネタバレ》 1つ1つのエピソードはそんなたいしたことはないけれど、それがつながって世界を救うことになっちゃう爽快な結末。 1975年、1982年、1999年、2009年、2012年。 異なる時代で起きた出来事を1つにつなげる壮大な物語。 こんな大掛かりにも関わらず、すっきりまとまっていてわかりやすい。しかも2時間以内にきれいに収めてしまう。かといって、駆け足になっている感じは全くしません。1つ1つのエピソードを、じっくり丁寧に見せてくれます。そこに描かれる登場人物たちの心の機微までしっかり伝わってくるのです。 こーゆー仕掛けの作品って、奇をてらうものも多いですが、この作品は至極真っ当でストレート。そこが好感触でもあり、物足りなさでもあります。 森山未來を育てたのは濱田岳ってすぐわかっちゃうし、ミサイルの計算をしたのが多部未華子ってすぐわかっちゃいます。ですので、良くも悪くもこちらの予想を超えてくることはないでしょう。 また、どう考えても要らない人物とエピソードの存在が気になります。それが谷口と1999年。要る?私はそこだけ不協和音を感じてしまって、正直谷口も1999年も無くてよかったです。というか、無いほうが良かったです。ついでに言うなら、健太郎と悟が1999年に登場してくるのだって正直蛇足だと思っちゃうのです。 それなら、高橋真唯があのあとどうなったのか、そっちのほうを教えてほしいくらいです。 [DVD(邦画)] 7点(2020-06-02 00:37:07)(良:1票) |
684. ブライアン・シンガーの トリック・オア・トリート
《ネタバレ》 怪しい雰囲気満載のオムニバス系ホラー。オムニバスとはいえ、すべて同じ街、同じ時間帯に起きている出来事。 あるエピソードでは通りすがりであった子供達が、次のエピソードでは犠牲者に。女性を殺す殺人鬼が次のエピソードでは犠牲者になっていたり。絶妙に関連しあっている構成がすごく面白い。 なにしろ、かぼちゃ子供のおばけ、サイコパス親子、ウルフマンの一族に殺人鬼、子供のゾンビたちなどが一堂に会するわけです。ホラー好き、クリーチャー好きなら見て損はありません。 これだけエピソードを盛り込んでいるにも関わらず、上映時間は短め。手際よく犠牲者を量産していきます。 80年代~90年代のようなテイスト。懐かしささえ匂わすホラーの詰め合わせ。グロ描写が比較的少なめではあるので、ホラー初心者にもおすすめの良作です。 [DVD(字幕)] 7点(2020-05-26 14:52:49) |
685. ワナオトコ
《ネタバレ》 『ワナオトコ』って(笑)。と、小馬鹿にする気持ちで鑑賞。いやいや、思いっきりドキドキしました。ワナオトコも罠も、その不気味さったらないよ。なめてかかると痛い目見る映画です。 かなり『痛い系』ホラーですが、ぎりぎりの倫理感はあるようで。『子供は殺さない』『舌は切らない』『おなかに虫を入れようとしたら警察登場』。グロいの好きな私ですが、ここは思いとどまってくれて良かったです。 知らない間に罠が増えていくっていうアイデア、シチュエーション、面白いですね。ここまで罠に特化した殺人鬼は初めてでしょう。 ただこの作品ね、せっかくの罠がちょっと見えにくいんですよ。まず夜だから仕方がないのですが、電気もつけないのでとにかくずーっと暗い。更にはアップが多くてちょっと見づらい。目が疲れちゃいますよ、もう。アイデアだけで面白いんだから、トラップを断片的に見せるのはもったいないですよ。こーゆーのはもうはっきり見せちゃったほうが良いですって。 それにしてもこの家族、仕事を頼んだ人間がプロの泥棒とサイコパスって、どんだけ運が悪いんだ。 ちなみに私は『ワナオトコ』ってタイトルはかなり好きです。 普段タイトルなんかどーでもいいと思っている私ではありますが、この徹底的にダサいタイトルはかなり好きです。 [DVD(字幕)] 7点(2020-05-25 03:16:58)(良:1票) |
686. スパイダーマン:ホームカミング
《ネタバレ》 スパイダーマンのアクションはスピード感があって良いですね。 今までのスパイダーマンと違い、アベンジャーシリーズの1作としてのスパイダーマン。もはやスピンオフ的作品。もちろん期待はできないわけです。ですが、エンターテイメント作品としては抜群に面白い仕上がりでした。 ただ、サム・ライミ版と比べれば、どうしてもドラマ性は低くなります。 それもそのはず。彼は最初からスパイダーマン。ベンおじさんだっていない。メイおばさんはきゃぴきゃぴ。『ヒーローとは何か。正義とは何か』そんな深いことでは悩みません。彼の悩みは就職活動。『どうして僕をアベンジャーズに入れてくれないんだよ』、この一点。今までのシリーズでは恋愛が原動力になってましたが、本作ではヒロインの影は限りなく薄いのでした。よって、サム・ライミ版や、アメージング版のようなドラマを期待すると、物足りなさを感じます。 これ単体でも十分に楽しめますが、アイアンマンがちょいちょい顔を出すことからもわかるように、これはアベンジャーズファンのための作品と言えそうです。 本作の主人公を演じるトム・ホランドはピーター・パーカーのイメージにぴったりです。 更にはアントマン同様、コメディテイストの演出が多いのがとても楽しい。やたら『即死モード』を提案するAIが面白すぎます。 アクション面での見所は、何と言ってもエレベーター。スパイダーマンの真骨頂は『人助け』だと思っているので、このシークエンスはアツい。そこから先は終盤に向け面白さは尻すぼみになっていった印象です。 フェリーバトルはまだ良いのですが、最後の空中戦なんかつまらないです。 そういえば、『MJもグウェンもいないなぁ・・・』って思っていたら、MJ!お前いたのかよ! [ブルーレイ(字幕)] 7点(2020-05-24 02:35:12) |
687. 重力ピエロ
《ネタバレ》 『放火犯は春』。なぜかそのオチだけ知っている状態での鑑賞。そのオチをどこで知ってしまったのかは思い出せない。ですが、オチを知っていたとしても、なかなかどうして面白い。面白いと感じるのは、春が放火犯であろうが、そうでなかろうが、そこは重要ではなかったからかもしれません。 その春を演じた岡田将生。今までこの人の演技を良いと思ったことがなかったのですが、これは良かったです。役が岡田将生にぴったりです。 時系列バラバラ系の作品は得意ではありませんが、今作は過去と現在を同時進行で進めていくだけのすっきり展開。母の身に何が起ったのか。春はどのようにして生を授かったのか。それがわかる過去のシーンは重要でした。 過去では被害者。現在では加害者。レイプ、事故死(自殺?)、ガン、放火。奥野一家が背負った運命はあまりにも重く、悲しい。にも関わらず、この映画では奥野家がどれほど素晴らしい家族でどれほど幸せだったかを見せつけてきます。兄弟仲が悪い私にとって、その兄弟の絆、家族の絆は確かに輝いて見えたのです。 『楽しそうに生きていれば、地球の重力なんて消してしまえるんだ。』 幸せであろうとするから、何が起きても幸せなんでしょうね。 春がジンジャーエールを注文するのを絶望的な表情で見つめる兄。・・・だけど春にはもうひとつのクセが。春はウソをつくとき唇を触る。自分と同じクセを持つ春を、嬉しそうに見る正志。実の父の血が流れているという過酷な現実がある一方で、育ての親のクセがうつるという救いも描く。この何とも言えない絶妙なバランス感覚が好きです。 [DVD(字幕)] 7点(2020-05-24 01:23:00)(良:1票) |
688. テケテケ
《ネタバレ》 都市伝説。妖怪。こーゆーの大好きです。 まあ正直馬鹿にする気まんまんで見たのですが、冒頭からいきなりびびらされました。 いつも見る前は威勢がいいのですが、見始めるとしょぼいホラーでも結構びびるタイプ。そんな自分にぴったりの作品です。 テケテケさんの足音。いいです。恐怖心をくすぐられる不快な音です。テケテケさんが歩く姿はおろか、ジャンプする姿まで見せられた日にゃあもはやコメディ。・・・のはずなのに、なんでしょう、ちょっと怖い。なぜか絶妙に恐怖心を刺激されます。日本のホラーの音響や雰囲気作りってほんとうまいです。 おそらく低予算であろう作品。低予算がゆえに、過剰な演出は一切なし。それが逆に日常とリンクされて、ちょっとリアルな雰囲気を作っちゃってます。 ストーリーが実にシンプルなのもいーですね。 テケテケが来た。振り向いたら殺される。だから振り向かない。下から覗き込んでくるテケテケさん。まじで怖い。ん?行った?このまま振り向かずに帰ろう。呼びかける声。死んだはずの友達の声。思わず振り向く。だまされた。 ホラーはこれくらいわかりやすいのがいいですね。テケテケさん、技ありです。 [ビデオ(邦画)] 7点(2020-05-23 03:53:47)(良:2票) |
689. インド・オブ・ザ・デッド
《ネタバレ》 『ショーン・オブ・ザ・デッド』『ゾンビランド』『ロンドンゾンビ紀行』などと同じテイストのゾンビコメディ。 いまや本格的なゾンビ映画は、ゾンビがみんな走りますから。のろのろゾンビを見たい場合はゾンビコメディを見るしかなくなってきましたね。上記3作品が好きな方は、本作もそこそこ楽しめるのではないでしょうか。 『掛け算九九で感染確認』『コカインの副作用で動作停止』など、他のゾンビ映画では見られないネタが結構面白い。一見の価値はあるかもしれません。 注意点としては、こちらの作品はゾンビが出てくるまで結構時間を要します。気長に待ちましょう。 もうひとつ。上記3作品と違い、こちらは舞台が島。私はシティゾンビが好きなので、『島』っていうのは物足りなく感じます。文明や日常がゾンビによって崩れていくのが何より好きなのですが、この作品ではそーゆー終末感みたいなものは描かれません。 グロと笑いとサバイバル。それだけです。1980年代のゾンビものに近いかも。きっと低予算なんでしょう。 本当に低予算ムービーだとしたら、ゾンビのメイクは結構頑張っているほうです。ゾンビ役のみなさんも迫真の演技。ご苦労様です。 キャラも良かったと思います。 ボリスとニコラス。武闘派兼つっこみ。かっこいい二人です。 ハルディク、ラヴ、バニー。馬鹿兼ボケ。どーしようもない3人です。馬鹿っぷりが度を越えているときがあるため、イライラすることもあります。 ルナ。ヒロイン。なんかエロいです。 以上、インド発、佳作ゾンビムービーでした。 [DVD(字幕)] 7点(2020-05-18 04:05:33)(良:1票) |
690. マイティ・ソー/バトルロイヤル
《ネタバレ》 わかりやすくて面白い。 こーゆーシリーズで、やれ精神論とか、やれ幻覚とか持ち出されるのは好きじゃない。ソーも、ハルクも、ヘラも、バルキリーも、スルトでさえも、物理攻撃のみ。いいねいいね。 更には、冒頭でストレンジと絡んだり、ハルクが参戦したりと、シリーズものならではの楽しさがあります。せっかくなら、ストレンジがそのまま参戦してくれたらバトルの幅が広がってより面白かったかも。 さて、今作、仲間が次々死んじゃいます。ムジョルニアは破壊されちゃうし、目もアスガルドも髪の毛もなくなっちゃうし、決して楽しいストーリーではありません。そんな中、ストレンジやハルク、そしてロキとのやりとりによるコメディタッチな演出が、雰囲気を明るくします。ちょっとお馬鹿なノリつっこみの数々が、いちいち笑えます。これぞエンターテイメント作品です。 更にはアクション。『ヘラvsアスガルド』『覚醒ソーvs骸骨兵』など、無双シリーズのような爽快なアクションが楽しい。タイマンでいけば『ソーvsハルク』が良いですね。こいつは面白い。ですがちょっと寄り道に時間をかけすぎてしまったきらいがあります。そのせいか、せっかくインパクトある登場をしたヘラの存在感が後半にいくに連れてちょっと薄くなってしまったような・・・。 『とっても危険でやばいやつ』って感じで登場。満を持す感じ。いきなりソーのムジョルニアを破壊しちゃうし、こいつはスゲーぜって期待していたのに、結局剣をびゅんびゅん飛ばすだけの人で終わってしまった。それはそれでスピード感あるアクションで、嫌いではないですけどね。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2020-05-18 00:00:05)(良:2票) |
691. ワン チャンス
《ネタバレ》 事故に病気にイジメと、かなり紆余曲折なサクセスストーリー。更には前半の別の女の子とのエピソード。ちょっとくどい結婚のくだりなど、寄り道多め。うーん、実話を元にしているから仕方がないのかぁ。 いじめっ子にはだいぶイライラしました。終盤で父親がいじめっ子を高く評価しているのもむかつきました。これって感情移入しちゃってるってことですね。でも主人公のポールにも、そのふがいなさにさすがにイライラすることがありました。中盤くらいまでは応援していたはずなのに。夢に一途。女性に一途。良い人間だーと思ってました。 やっぱあれだね。奥さんが仕事で帰ってきたシーンで、家事もせずソファでごろごろ。ここで間違いなく1回は幻滅しています。しかも1年以上そんな生活っていうじゃありませんか。税金滞納、借金生活。奥さんかわいそう。結婚していないなら挫折してもいいけどね。結婚していたらだめでしょう。 これは、もう、ちょっとないなあ・・・・と思っていたところにゴッド・タレント。ゴッド・タレントはずるいわ。あれ、みんなが立ち上がって拍手するとき絶対感動するもん。あれは反則ですわ。 いじめっ子も、ポールの父から鉄拳制裁。すっきりします。 ゆるやかに蓄積された不快指数がまとめて払拭されるラスト、そして最後はセレブの仲間入り。若いときに頑張った貯金が、ちょっと時間はかかったけれど、こうやって報われる日がくるのだと思うと、うん、未来に希望が持てますね。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2020-05-14 06:26:17)(良:1票) |
692. ブラックパンサー
《ネタバレ》 ラストの『ブラックパンサーVSキルモンガー』は、なんか仮面ライダーみたい。 それはともかく、この作品に出てくる脇キャラ、良いです。ナキア、妹、女戦士が特に良い。ブラックパンサーそのものがアベンジャーズのなかではちょっと脇役っぽいのに、それを主人公にする物語なんて最高です。脇役好きの私にとっては嬉しい限りです。 みんな使っている武器が違うのも個性があってgood!多種多様な攻撃パターンが見られて楽しい。特に、ナキアと妹が、キルモンガーと闘うときに使っていた武器がかなりかっちょいい。 外見は発展途上国で農業国。しかしそれは世を忍ぶ仮の姿。先進国も真っ青の、超ハイテク技術国家なのでした。でも王位継承はタイマンで決めるっていう超アナログ。絶妙なアンバランス加減が嫌いではないなー。 とゆーことで、キャラ良し、ギミック良し、舞台設定良しと、なかなかポイント高い作品なんですが、如何せんストーリーがつまらない。ユリシーズ・クロウとバトっているときが一番楽しかったかなー。この人ってエンド・オブ・ゲームで腕チョンパされた人だったんですね。全然気付きませんでした。 うーん、内戦ものってのは、気分的に盛り上がらないものですね。勝っても負けても溝が残っちゃうだろうし。どうも『内輪もめ』と『エンターテイメント』は相性があまり良くないみたいです。もうちっとだけ、気楽にスカっとできるイケイケアクションムービーだったら良かったと思います。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2020-05-12 23:38:35)(良:1票) |
693. アバウト・タイム 愛おしい時間について
《ネタバレ》 優しさと可笑しさに包まれた映画。ただ優しすぎて、タイムトラベル設定がなければ、何も見所がないかもしれません。 当初の予想とは違い、思っていたより長い年月の作品。エピソードが多くて、ちょっと散漫になっちゃったかな。個人的にはラブコメ1本で見せてくれたほうが気分が乗れます。もちろん、この映画が面白い作品であることは間違いありません。 やたらとひねった設定にされがちなタイムトラベルもの。オチも悲恋だったり切ないものが多い気がします。そんななか、ある意味革命的なこの作品。ひねりなし。深い考証もなし。 ルール①『タイムトラベルは過去に戻れるだけ。未来には行けない。』 ルール②『過去に戻って過去を改変したのち、過去に戻る前の現在の時間のところには帰ってこれる。』 ルール③『子供が生まれてから過去に戻っちゃうと子供が別人になってしまう。』 ルール④『手をつなぐと自分以外の人を過去に連れて行くこともできる。』 わかりやすい。そしてこの超便利な能力でやることが、父親は読書で、息子は彼女ゲット、なんとも平和なお話。 ただねえ、その彼女がレイチェル・マクアダムスだからたまらないですね。この女優さん大好きです。 失敗したらタイムトラベル。小さな修正繰り返し、ちょっとだけ良い未来にしていって、最後はメアリーを見事ゲット。メアリー、あなた騙されてますよー、って教えてあげたい。でもこの恋愛パートは凄く面白くて見入っちゃいました。 後半は、もしかすると今までの幸せが全部なくなっちゃうような嫌などんでん返しにびびりながら鑑賞。妹のくだりや父親のガンは特にドキドキしましたが、主人公が家族のために自己犠牲も厭わないような高尚な人物ではなく、奥さんと子供を優先する凡人で本当に良かった。 ルール③で子供をとるか父親をとるかの2拓を迫られるシーンで、最後に父親に会いに行くシーンは感動。 ただ、過去に戻って父親と会った後、その父親と一緒に更に過去に戻るシーンはちょっとやりすぎな気も・・・。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2020-05-12 13:17:59)(良:1票) |
694. マラヴィータ
《ネタバレ》 『ただ者ではない一家』っていう設定が好き。父親はもちろん、母、娘、息子に至るまで普通じゃないのが面白い。こーゆー家族はクール。かっこいいとすら思っちゃう。全然タイプは違うかもしれませんが、なんとなく『アダムス・ファミリー』を思い出しちゃいます。一筋縄ではいかないっていう雰囲気が似ている。気がする。懐かしい。 娘と息子の学校での過激な活躍、良いですね。旦那にクギを刺しながら、スーパーを爆破しちゃう母親もかなり良い。前半~中盤にかけては文句なしの面白さ。 中盤くらいからかな、各エピソードや演出がちょっと間延びしたように感じ始めたのは。 ベルの恋愛、これがまずテンポを悪くしていてマイナス。父親の執筆活動、これもテンポを悪くしている一因だし、結局何の意味があったかよくわからないです。結果、2時間近い尺に。これが冗長に感じられてしまったことはマイナスでしょう。 で、決定的にまずかったのがラストの粛清バトル。これが盛り上がりに欠けてしまったこと。ここが最大の見せ場であるはずなのに、淡々と終わってしまった。 『ただ者ではないマフィア一家』と『マフィアの殺し屋たち』の全面対決。こちらは否が応にも期待値を上げられているわけです。その期待に対するシナリオがこれじゃあ物足りませんぜ。 第一、一般人にはめちゃくちゃやってた父と母。この2人が最終決戦でたいした活躍をしないってのが気に入らない。そこが本当に不満。 でも面白いシチュエーションの映画で、それなりに楽しませてはもらいました。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2020-05-10 23:00:06) |
695. 14才のハラワタ
《ネタバレ》 この作品は、『あるある的面白さ』と『さりげない優しさで包まれる心地よさ』を体感できる作品だと思います。 原田ワタルを演じた女の子、自然体で大変良かったです。この女の子や監督さんのように、まだまだ世に出ていない才能っていっぱいあるんだろうなと感じます。 ラブストーリーでもなければ、サスペンスでもない。14才の日常を描いただけの作品。でもそんな日常の中に、大なり小なり事件は起こっている。『成績1位と2位のクラスメートの関係』『小学生の心ない意地悪』『塾長とアルバイト学生のいざこざ』『両親の別居』。過剰な演出はほとんどなく、どれも実際にありそうな範囲で描かれます。 だから、逆になぜこの作品を面白いと感じるのか、実際のところ全然わからないのです。でも、見ていて飽きない。なんかずっと見てしまう。なんか、漠然とした心地よさみたいなもんを感じるのです。 心地よさを感じる理由の一つに、情景描写の上手さはあるかもしれないです。情景描写と人物の感情がきれいにリンクしていて、手にとるように人の気持ちがわかってしまう。 もうひとつ、面白かったのが学習塾。学校を取り上げる作品は数あれど、学習塾の様子をこんな細かく映す映画はあんまりない。しかも個別指導塾。『先生が次々変わる』『座席がかぶっている』『保護者が来たらお菓子を隠す』などなど、ディテールが超リアル。監督さんはもしかして個別指導塾で働いたことがあるんじゃ? ただその結果『私成績下から10番目くらいだった』『原田さんって塾通っているのになんで?』『なんでだろ~ね~』ってとこまでリアルに表現しちゃうと、個別指導塾にとってはなかなか痛い逆プロモーションビデオになっちゃってますね。 [DVD(邦画)] 7点(2020-05-10 01:47:14)(良:2票) |
696. ハプニング
《ネタバレ》 突然アメリカのある都市で起こる正体不明の集団自殺。別の作品に収録されていた予告にひかれて、見ちゃいました。 劇中で『植物は化学物質を作り出し、それを放出する』という論が出されます。そこから発展させたエリオットの『人数が多いと攻撃される』という論。ここで『犯人は植物説』が主流となり、回避方法として『少人数での行動』が提案されます。ところが、別行動をとっていた女の子の父親は6人くらいの少人数グループであったにも関わらず、自殺しちゃってます。つまり、エリオットの仮説は早い段階で疑わしいものだとわかります。また、終盤1人で自殺したおばあさん。それを目撃したエリオット。自説の間違いを感じ取ります。 最後まで原因はわからずじまい。物語は突然終わりを迎えます。 巷では『やはり植物犯人説』『負の感情説』『間引き説』などいろんな仮説が飛び交ったようです。 個人的には、この作品を見ると『鼠の集団自殺』を思いだします。現在は否定されていますが、鼠は数が増えすぎると、集団自殺をすることがあると考えられていました。これは食料がなくなり種が絶滅することを防ぐためだそうです。自然界ではえてして、『種の保存』のため『個』が犠牲になることが往々にしてあるみたいです。 私が中学生のころ、『地球の人口は52億』で覚えさせられたものですが、いまや70億を超えています。凄いペースです。 劇中、『微積分、微積分・・・』を繰り返しながら電話先で自殺しちゃう女の子。車中で数学教師が出した『1日目10セント、2日目20セント、3日目40セント、・・・さて、1ヶ月後はいくらくらいになるでしょう。答えは1億ドルを超えます。』という問題。これを人口にあてはめるとどうでしょう。 例えば『種の保存』のためのボーダーライン、人類は70億が限界とします。それを突破したとき、自動的に人類は5000万人の集団自殺により、『種の保存』を行います。このとき『個』は失われます。それは生命には自分の命を守る本能があるため、その本能を一時的にシャットダウンする必要があるためです。 まずは大都市からスタートし、大幅な人員削減を行います。その後、人口の少ない田舎で少しずつ数を減らします。目標数を超えたところで、この減少は終わります。もしかすると最後のおばあさんで、69億5000万人になったのかもしれませんね。 そう考えると劇中『大都市から田舎へと範囲を広げている・・・』のヒントには一応合致します。 また、エピローグの3ヶ月後。この間にも地球の人口は増え続け、再び70億人を突破します。アルマの妊娠。これは人口があれからも増え続けてきたことを示唆しているのでは。そして今度はフランスで目標5000万人の集団自殺がスタートします。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2020-05-05 05:33:57) |
697. 弁護人(2013)
《ネタバレ》 実話に基づいたドラマみたいですね。ソン・ウソクのモデルになっているのはノ・ムヒョン元大統領。自殺されてお亡くなりになっています。壮絶な人生だったみたいです。 さて、映画。前半はソン・ウソクの半生を綴ったもの。サクセスストーリー的面白さがあり、清々しい。事務所がぎゅうぎゅうになり、マンションへ引越し。そのマンションは自分が貧しかったときのアルバイト現場でもある。頑張ってきた人間とその家族が幸せになっていく様子は、見ているほうも幸せな気持ちになれます。 でもメインのストーリーはここからなんですよね。ここから先が、重い。実話とはいえ、辛い。 『アカ狩り』って、公安の名の下世界中で行われていたことを改めて実感。 お金儲けのために弁護士になったソン・ウソクが、お世話になったおばちゃんとその息子のために立ち上がる。こーゆー流れは嫌いではありません。ソン・ウソクが辣腕をふるい、迫力ある弁論を展開する法廷劇は見応えがあります。 しつこく、何度も見せられるジヌへの拷問シーン。このシーンが凄惨であるからこそ、裁判の劇的な勝利を予感させます。軍医ユン中尉の登場により勝利を確信。ところが、一筋縄ではいかないのが韓国映画。ここからまさかのどんでん返し。 事実を捻じ曲げられ続ける展開に辟易しながらも、我慢して見続けてきたところにつきつけられる、まさかの敗訴。冤罪で拷問を受けた無実の若き苦学生たちが投獄され、拷問を行った人間達にはなんの罰もくだらない。 ラストに少しだけ救いを見せますが、こんなんじゃ何の足しにもならない。 映画としては完成度が高いし、見応えもありますが、不快です。 [DVD(吹替)] 7点(2020-05-05 00:29:34)(良:1票) |
698. シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ
《ネタバレ》 今回は単純ながらも、ちょっと深い話でしたね。『ヒーローの存在意義』。『正義』。それはつきつめればベンサムが提唱したイギリスの功利主義『最大多数の最大幸福』の理念へと行きつくのでしょう。アメリカの基本思想。それに警鐘を鳴らす国連及びスターク。対立するのはキャプテン・アメリカ。どちらにしろ強大すぎる刃は諸刃の剣ということでしょう。ヒーローたちは『核』や『軍事力』にだって置き換えることができます。それを『世界で管理させろ』というのか、『わが国で管理させろ』というのかの違い。 まあそんなことはさておき、『ヒーローもだいぶ増えてきちゃったので、ここらで一回整理しましょうか。』っていう側面もありそうな気がする作品。最たるものが、中盤、本作のクライマックスと言ってもいい『6対6』の総力戦。なるほど、今これだけいるわけね。って感じでわかりやすい。そしてここのバトルがアツい。 正直テーマが割と暗くなりがちなので、アントマンとスパーダーマンをここで参戦させてくれたのはすごくありがたい。やっぱこーゆーお祭り騒ぎ的バトルがないと楽しくない。 スタークの主張も、キャプテン・アメリカの主張も、どちらもそれぞれの正義に基づいたものであり、私にはどちらの意見も正論に見えます。ただ、今作は『バッキーの誤認逮捕』ってのがちょっともやもやするわけです。最先端の科学力を有するアベンジャーズが、防犯カメラの映像一つでバッキーと決めつけ、それが原因で対立構造を作っちゃうってのはいささか乱暴すぎやしませんか。キャプテン・アメリカだってもうちょっと頑張って説明してほしい。 対立構造を作りたいのはわかるのですが、今回のテーマの根幹にあたる部分ですから、もう少し脚本を練ってほしいところですね。 ジモ大佐がソコヴィアで家族を失った一般人だった。演技が上手なので、最後の告白は胸に迫るものがあります。家族の留守録を何度も聴くシーンが泣ける伏線。アベンジャーズシリーズで唯一極悪人の出ない作品。いつものお気楽なお祭りムービーとは一線を画しています。 ただ、ラストのキャプテン・アメリカからの手紙に希望の光が・・・!次作に期待。 [インターネット(字幕)] 7点(2020-05-03 19:19:08)(良:2票) |
699. ブリングリング
《ネタバレ》 実話を元にした犯罪ドラマ。山場があるわけではない。目を見張るようなエピソードがあるわけでもない。どこにでもいそうな若者たちを、多少時系列をいじくりながら淡々と見せるだけ。なのに、なんだろう、不思議と目を離せない面白さがあります。 1人1人の背景は描写不足。レベッカとマークが中心に動いていたはずなのに、映画はニッキーの独白でしめくくられる不思議な構成。これも1人1人のステータスや人間関係を説明してくれていたら理解できたのかもしれないです。いや、説明不足だったからこそ、好奇心を刺激されたのか。 スクールカーストの底辺にいたであろうマーク。そんな冴えない男子学生が、転校先でチョイ悪だけどかわいい女の子たちと自然と仲良くなってしまう。自分の居場所を見つけてしまうわけですね。 犯罪が悪いこととはわかっていながら、そんなマークがこの心地よい『仲間』という空気に流されてしまう感情は、わからなくもないです。 セレブ宅に侵入していることを自慢げに話してしまう女の子たち。こーゆーノリの軽さが妙に生々しい。ストーリーはあってないようなものなのに、この一種異様とも言える生々しさが、どうにもクセになる。 役者はメインから脇に至るまで、とても自然な演技。とは言え、エマ・ワトソンの美しさはやはり際立っていて、彼女がいなければエンターテイメントとして成り立っていないかもしれません。 好き嫌いは別れると思いますが、個人的には隠れた良作だと思います。 [DVD(字幕)] 7点(2020-05-02 03:27:25)(良:1票) |
700. ウォンテッド(2008)
《ネタバレ》 とっても面白い。全然飽きない。マンガチックな設定も個人的に好み。なのに気に入らないところがいっぱいある。どう評価したら良いか大変悩みます。 途中までは良かったんです。『昨日まで普通の冴えない人生送っていたのに、実は凄い才能を秘めていた。それは一流の殺し屋の才能だった』こーゆー中学生男子が妄想しそうなイタイ内容を実現してくれて本当に嬉しい。急に今日から暗殺集団の一員に。なんか憧れちゃうんですよね。こーゆーの。 ところが、この暗殺組織、壊滅しちゃう。悲しい。しかも身内同士で闘うラスト。勝ったところでカタルシスなんか感じるはずもなく・・・。 最初から最後まで、アンチヒーロー誕生の物語で明るくいけば良いじゃん。『毒を以って毒を制す』のノリは好きだから、法をすりぬける極悪人をプロヒットマンたちが華麗に成敗みたいな。このストーリーでいくにしても、倒すのはスローンだけにしてほしかったです。そんでウェスリーとアンジェリーナ姐さんと生き残った組織の人間で新体制の組織運営をやっていくみたいな。 父ちゃんが実は・・・ってのは、残念ながら途中で気付いちゃいます。これはあまり演出が上手いとは言えないので、サプライズとしては失敗かもしれないです。しかもさんざんひっぱっておきながら、父ちゃんがあっさり死んじゃう。これも良くないです。 死ぬのは良いんです。あっさりが良くないのです。 なんかね、前半のお気楽なノリと後半の暗いオチの食べ合わせが妙に悪い作品です。 でも『プロの暗殺集団』ってのは、やっぱ良いですね。ただ『伝説の暗殺集団』らしいですが、この人たちが劇中でやっていることはもはや〝暗〟殺ではないな・・・。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2020-04-30 03:31:07)(良:1票) |