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ザ・チャンバラさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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701.  アドルフの画集
若きヒトラーとユダヤ人画廊の交流という着想は素晴らしいのですが、肝心の本編は至って平凡でした。斬新なヒトラー像が提示されることを期待していたのに、本作に登場するヒトラーは誰もが想像するヒトラーそのもの。神経質で、コンプレックスの塊で、自分を否定されると烈火の如く怒り出す。これでは面白くありません。どうせフィクションなのだから(マックス・ロスマンというユダヤ人画廊は実在しません)、純朴な愛国青年がダークサイドに堕ちるスターウォーズのような物語にでもすればよかったのです。。。 なお、ヒトラーの人となりについては「ヒトラー最期の12日間」が正しいようで、普段は穏やかな紳士だったようです。大声でまくしたてる姿はあくまで彼の演説術に過ぎないのですが、そんな演説の姿から個人としてのヒトラー像を作り上げた本作のアプローチは、やはり陳腐であったと言わざるをえません。
[DVD(吹替)] 4点(2012-05-30 01:15:27)
702.  CODE46 《ネタバレ》 
「THX-1138」や「ガタカ」を思わせる管理社会が舞台のSFですが、管理社会の正の面にもスポットをあて、”安全ではあるが息苦しい都市”と”自由とリスクが背中合わせの荒野”のどちらで生きるべきかをテーマとした点が、本作のあたらしいところ。管理社会の正の面とは、多少お節介ではあるが、テクノロジーを駆使して可能な限りの安全保障を住民に提供しているという点です。本作にはパペルという通行証が登場します。これがなければ住民たちは自由に移動することが出来ず、劇中では管理社会の象徴として登場するアイテムなのですが、物語の中盤においてこのパペルの存在意義が明らかにされたところから、本作は単純なディストピアSFではないことが判明します。。。 コウモリの研究をしたいものの、パペルが発行されないためにコウモリの生息地へ行くことができないという友人のために、主人公たちは偽造したパペルをその友人に贈ります。念願叶った友人は最高の笑顔を見せるものの、後に彼は風土病で死亡します。当局は個人の遺伝子から感染リスクを計算し、リスクの高い地域には足を踏み込ませないことで住民の命を守るという管理体制を敷いていたのですが、主人公たちがこれを破ったために友人は死んだのです。夢を諦めて平穏に長生きする人生と、結果的に死が待っているとしても、夢に向かっての第一歩は確実に踏み出せたという満足感は確かに味わえた人生、どちらが幸せだったのでしょうか? 主人公カップルにも過酷な運命が待ち受けています。ウィリアムは愛する人の記憶をすべて奪われた上で、妻と子供と何不自由のない生活が待つ都市へと連れ戻され、マリアは死ぬほど人を愛したという記憶だけを残して荒野へと追放されます。。。 以上の趣旨はむちゃくちゃに良いのですが、娯楽性ゼロで全然面白くないのが本作の欠点。とにかく単調だし、監督のナルシシズムが鼻につくので容易にオススメできない映画です。
[DVD(吹替)] 5点(2012-05-29 01:42:23)
703.  88ミニッツ
以前にロバート・デ・ニーロ主演の「15ミニッツ」という微妙なサスペンス映画がありましたが、本作もそれに負けず劣らずの微妙な仕上がりでした。とにかく脚本がボロボロ。気の利いたトリックを準備するのではなく、膨大な情報量で観客を翻弄して推理する暇を与えないという最低の方法をとっています。劇中には多くの容疑者が登場するものの、ラストに明かされる犯人は多くの観客が最初に疑った人物というのはあんまりです。真犯人の目的はあまりにバカバカしすぎるし、高名な犯罪心理学者という主人公の設定はまるで活かされていません。専門性を活かした高い交渉力や推理力を披露することは一切なく、抜け道だらけの犯罪計画にどっぷりハマってあたふたするだけ(素人考えの捜査などやめて、早く警察に駆け込めよと思ったのは私だけではないはず)。一般の中年より頭悪いです。。。 さらに問題なのは、アル・パチーノが役にまったくハマっていないこと。高級マンションに住んでスポーツカーを乗り回す独身貴族という役回りはリチャード・ギア辺りが演じるべきであり、アル・パチーノではシリアスすぎました。遊び人に見えて、実は心に深い傷を負っているというキャラ付けにしても、どう見ても過去に何かあったようにしか見えないアル・パチーノが演じたのではサプライズになっていません。
[DVD(吹替)] 4点(2012-05-29 01:04:41)(良:1票)
704.  サイコ(1998)
公開当時は散々な評価を受けた本作ですが、DVDに収録されているメイキングドキュメンタリーを観て納得がいきました。各文化には、シェイクスピアや忠臣蔵のように時代を越えて演じられ続ける”古典”というものが存在します。まだまだ歴史の浅い映画という文化においても将来的にはシェイクスピアに匹敵するような古典が登場し、それは同じ形を保ったまま何度も何度も演じられ続けることとなるに違いありません。本作の監督はその古典の第一号として「サイコ」を選び出し、他の文化では当然に繰り返されている”再演”という行為を映画にも持ち込んだのです。公開当時、本作は「完璧なものをなぜ作り直すのだ?」という批判に晒されましたが、その疑問は見当違い。完璧だからこそ「サイコ」を再映画化したのですから。。。 本作の製作にあたっての監督のこだわり方は異常で、脚本・装置プランどころか撮影スケジュールまでをオリジナルに合わせるという只事ではない執着を見せています。安易な改変を加えないことこそがオリジナルに対する最大の敬意であると考えたわけです。一方で必要性を感じる部分に対しては適度な修正が加えられています。例えば、オリジナルでは曖昧にされていたノーマンの性的倒錯が本作でははっきりと説明されていて、これによって話の通りが良くなっています。ノーマンのキャスティングに至っては大幅な修正が加えられていますが、これについてはリメイクならではの事情が反映されたようです。オリジナルのキャスティングは、好青年のイメージの強かったアンソニー・パーキンスにノーマンを演じさせることで後に明らかになるその正体の衝撃度を高めるというサプライズ的な意味合いが大きかったのですが、話のネタがとっくに割れているリメイク版ではそうした狙いは不要。そこで異常者っぽい風貌のヴィンス・ヴォーンにノーマンを演じさせることで、早い段階から彼の心の闇にフォーカスするという作りに変更したのです。この変更は”あり”だったと思います。。。 カラーになったことで画面は見やすくなったし、サラウンド化されたことでテーマ曲はシャープに蘇りました。こういった点でも再映画化のメリットは発揮されていて、今の中高生がサイコを見ると言い出したなら、私はオリジナルではなくリメイク版の観賞を薦めると思います。。。 とはいえ、本作のどこに6,000万ドルもの製作費が使われたのかは謎ですが。
[DVD(吹替)] 6点(2012-05-19 04:55:38)(良:1票)
705.  アルファ・ドッグ 破滅へのカウントダウン 《ネタバレ》 
TSUTAYAで何気なく手に取ったのですが、これが滅法面白くて驚きました。傑作の類ではありませんが、映画に通常要求される水準は軽く超えています。。。 不良同士の些細なトラブルがいくつかの偶然や勘違い、無知ゆえの思い込みによって凄惨な殺人事件へと発展していくという物語なのですが、ニック・カサヴェテスによる脚色が抜群に優れています。通常であれば殺人に手を染めた青年に的を絞るべき題材にあって、この人物をあえて本筋から外しているのです。ほのぼのとした友情物語に上映時間の大半を費やしておいて、ラストになって突如、殺気だった殺人者を送り込んでくる。このコントラストの付け方は非常に効果的でした。同時に、殺人者となる青年が殺人を犯すに至った心理的背景も手短ながらきっちりと描かれていて、相当に計算された脚本だと思います。。。 俳優の使い方もうまくて、ジェスティン・ティンバーレイク、エミール・ハーシュ、アントン・イェルチン、ベン・フォスター、オリヴィア・ワイルドら伸び盛りの若手を大挙して出演させ、その脇をブルース・ウィリスとシャロン・ストーンで固めるという抜かりのない布陣となっています。ティンバーレイクの気の良い不良ぶりは完璧なキャスティングだったし、神経質な母親を演じたシャロン・ストーンには「この人、こんなに演技力あったの?」と驚かされました。「フェイス/オフ」以来10年ぶりに見たドミニク・スウェインは相変わらず美人で、オスカー・ワイルドはおっぱいを出しています。まさに充実の映画ではありませんか。。。 問題に感じたのはこの映画の売られ方で、「実話を描いた衝撃のクライムサスペンス!」「史上最年少のFBI最重要指名手配犯!」という宣伝文句は作品の本質をまるで表していないどころか、観る者にあらぬ期待を抱かせて鑑賞後の満足度を引き下げる結果にもつながっています。良い映画なのだから、もう少し丁寧に扱ってほしいものです。
[DVD(吹替)] 8点(2012-05-13 18:16:13)
706.  テイカーズ
固い絆で結ばれた金持ち強盗団vs仕事一筋の鬼刑事という典型的な「ヒート」症候群の一作ですなのですが、マイケル・マンのようなディティールに対するこだわりはほとんど感じられません。ひたすらに見てくれのゴージャスさ、カッコよさを追求した画面はトニー・スコットを思わせ、さらにはキャラクター造形も雑なので男臭さも皆無に等しい状態です。ドラマパートはジェイソン・ステイサムが出るような作品群と大差のないレベルで、ロクな見せ場もない前半部分にはかなり退屈させられました。。。 しかし、物語が折り返し地点に差し掛かり、目玉である銀行輸送車襲撃がはじまると、映画は凄まじい勢いで疾走をはじめます。二転三転する怒涛の展開に、スピード感ある見せ場の連打。製作費3,200万ドルという中規模予算のアクション映画としては、恐ろしいぐらいにサービスしてくれます。これにはお腹いっぱいになりました。決して出来の良い作品ではありませんが、大きな期待をしなければ十分に楽しませてくれるアクション映画です。。。 なお、本作のDVDジャケットには「全米No.1大ヒット!」とデカデカと書かれていますが、本作が全米1位を獲れたことには理由があります。アメリカでカリスマ的な人気を誇るヒップホップアーティストT.I.とクリス・ブラウンが強盗役で出演しており、さらにポール・ウォーカーとヘイデン・クリステンセンという2人のイケメン俳優が彼らをサポート。若い人が好むキャスティングをしたことがヒットの要因であり、決して作品の質が評価されたわけではないという点にはご注意ください。
[DVD(吹替)] 7点(2012-05-13 17:15:52)(良:1票)
707.  アメリカン・サイコ 《ネタバレ》 
親の金で有名大学を卒業し、親の力でウォール街のエグゼクティブになった男の物語。趣味の音楽について長々と講釈を垂れるものの、彼が愛する音楽はヒューイ・ルイスにホイットニー・ヒューストン。日本で言えば、音楽通を名乗る人間がEXILEや西野カナについて真剣に語るようなものでしょうか。実際のところ、彼は音楽など好きではないのです。好きではないが、ファッションとして音楽好きであろうとしているだけ。こんな調子で趣味、仕事、友人、恋人、彼の周りにあるものはすべて上っ面のものばかりです。そんな上っ面ばかりの空虚な生活にはさすがに嫌気がさし、ここは自分がいるべき場所ではないと感じながらも、同時にこのコミュニティを離れては生きられないことも認識できている点がこの男の悲しいところ。自分には能力がないことをよくわかっているのです(ホームレスに長々と説教を垂れる場面、自分より教養のない人間の前でのみ小難しい話をしたがる点に、彼のコンプレックスがよく現れています)。顔面のお手入れや筋トレ、名刺作りに精を出したところでこの根深いコンプレックスを払拭することはできず、さらには妄想の世界にも逃げ場はなく、最終的に彼の人格は破綻してしまいます。。。 以上が本作の内容です。私は人生のある一時期、頭がよくて洗練された人々のコミュニティに間違って紛れ込んでしまって、非常に息苦しい思いをした経験があります。その時には”ホンモノの人たち”を見て完全に自信喪失するという感覚を痛いほど味わっただけに(ポール・アレンに出会った時の主人公と同じ感覚でしょうか)、本作の主人公には大変共感できました。もしあの感覚が一生続くとしたらまさに地獄。仮に貧乏であっても、ほんの些細なことで自信を持てる人生の方がきっと幸せです。。。 興味深いのは、本作が「ファイト・クラブ」や「マトリックス」と同時期に製作されたこと。ホワイトカラーが物質主義から脱却し、本当の自分を模索する物語が3本も続いたことは偶然ではないでしょう。
[DVD(吹替)] 7点(2012-05-12 02:30:07)(良:1票)
708.  戦場からの脱出
スタローンやチャック・ノリスが出てきそうな勇ましい邦題ですが、アクション映画でも戦争映画でもありません。生きることにひたすら執着する男の物語であり、戦争らしい戦争は皆無。主人公は途中で銃を捨ててしまうし。銃を捨てる理由にしてもそこに反戦的な意味合いはなく、ただ「銃はジャングルを生き抜くためのツールにはなりえない」という判断で捨てられます。このメッセージ性のなさこそが本作の味であり、思想というノイズに邪魔されないことで、シンプルな物語が一層際立って感じられます。そもそも男が生き延びようとする理由だってシンプルで、「とにかく死にたくない」という一心で男は修羅場を潜り抜けます。「祖国に残してきた婚約者の元に帰りたい」とか、「兵士としてのプライドをかけた戦い」みたいなありがちな図式は一切なし、主人公は途中から婚約者の「こ」の字も言わなくなります。生きるか死ぬかの局面で、愛だの恋だの言ってる余裕はないわけです。。。 極限状態に追い込まれた男たちを描くために、これを演じる俳優たちも極限下に置かれています。「マシニスト」で鶏ガラ人間になり、続く「バットマン・ビギンズ」では30kgの体重増加をし、その次の本作でまたしてもガリガリに痩せたクリスチャン・ベールは、生きたウジを食べたり、本物のヒルに血を吸わせたり、ヘビに噛り付いたりと、往年のダチョウ倶楽部をも超える体当たりに挑んでいます。もっと凄いのがジェレミー・デイビスで、痩せに痩せた彼はどう見ても死にかけです。彼らは狂気の世界に落ちるまいと踏ん張っているものの、人間としての尊厳を奪われた上に生きることすらままならないという過剰なストレスを受け続けたため、言動に多くの異常が見られます。狂気にどっぷり浸りきった描写よりも、”本人はまともであろうとするが、まったくまともではなくなっている”という描写の方が遥かに恐ろしく感じます。この絶妙な描写も本作の味なのです。。。 なお、本作は昨年公開された「エッセンシャル・キリング」とそっくりなのですが、面白さでは本作の方が断然上。完全にアートに走った「エッセンシャル~」が驚くほどつまらなかったのに対して、本作は一定以上の娯楽性は残しているというバランスの取れた作りとなっています。
[DVD(吹替)] 7点(2012-05-09 01:27:54)
709.  セントアンナの奇跡 《ネタバレ》 
郵便局の窓口係が、切手を買いに来た客を突然撃ち殺す。インパクトがあり、本編を見たくて仕方がなくなる素晴らしいイントロ、これは傑作に違いないと思いました。。。 そんな期待とは裏腹に、本編はかなりガッカリな内容でした。前半は山田洋二が撮りそうな人情喜劇で、「イタリア=のんびり」というアメリカ人のイメージをモロに反映したステレオタイプな描写が続きます。話の展開は非常にゆっくり、戦争映画を観るつもりで来た観客にとっては拷問に近いペースでチンタラと話が進んでいきます。 一転して後半はシリアスモードに突入するのですが、ここからはアメリカ人特有の思考に基づいたやりたい放題がはじまるので、観ていて腹立たしくなりました。本作の要となる「セントアンナの大虐殺」です。無抵抗の市民560人が犠牲になったセントアンナの悲劇は一応史実ということにはなっているのですが、いわゆる南京大虐殺という冤罪を背負わされている我々日本人としては、この手の虐殺ネタはどうも胡散臭く感じます。敗戦国を貶めるためのウソ・捏造・拡大解釈のいずれかではないかと。そんなデリケートな事件をスパイク・リーがどう料理するのかには関心があったのですが、これがあまりにベタベタな描写でガッカリしました。無抵抗の一般市民を機関銃で虐殺し、死体をガソリンで焼く。ご丁寧に赤ん坊を銃剣で突くという描写までがあるのですが、”第二次世界大戦当時の残虐行為”の絵面としてはあまりにもありきたりです。その結果、監督は史実をきちんと調べず「恐らくこんな感じだったはず」というイメージだけで撮っていることが丸出しとなっています。常に正義のアメリカ国民にはわからないかもしれませんが、こういう歴史映画で悪役にされると、その当事国の国民は傷つきます。だから、せめて歴史的事実くらいはきちんと調べてから映画を撮るということをいい加減覚えて欲しいものです。。。 そして映画は呆気にとられるラストへ。殺人犯となった主人公の裁判がはじまるのですが、金と権力と脅しによってこの殺人犯は保釈され、アメリカの司法の及ばない海外へと逃亡します。そこで、命を救ったかつての少年と再会してめでたしめでたし、、、って、これのどこが感動作なんですか。個人による処刑を認め、法を捻じ曲げることがハッピーエンドだなんて、私は受け入れられませんでした。性根が腐ってますよ、この映画は。
[DVD(吹替)] 3点(2012-05-08 01:44:59)
710.  カウボーイ&エイリアン
ダニエル・クレイグとハリソン・フォードはいつもながら男らしいし、VFXの扱いに慣れたジョン・ファブローによる見せ場作りも悪くありません。特にラストバトルはハリウッド大作らしいボリュームできっちり楽しませてくれるので、観たことを後悔する映画ではありません。。。 ただし、右往左往する脚本が本作の足を引っ張っており、”悪い映画ではないが、決して褒められた出来ではない”というレベルに落ち着いています。「カウボーイ&エイリアン」、、、男子中学生が考え付いたような適当なアイデアではありますが、西部劇とSFとを違和感なく組み合わせることは非常に困難な作業だったようです。97年の発案当初から数えると12名もの脚本家が本作の執筆に関わり、脚本家が変わる度にコミカルとシリアスのバランスは大きく変動。結局、複数人の脚本家が出してきたアイデアのうち、良いものをパッチワークするという形で決定稿が作られたために、なんだかとっ散らかった印象を受ける仕上がりとなったようです。致命的だったのが、クレイグ、フォード以外のキャラクター達の個性の薄さで、多くのキャラクターが入り乱れる物語だったはずなのに、観客に好かれる者は皆無という状態となっています。悪徳牧場主、牧場主に苦しめられる市井の人々、治安を乱す盗賊団、白人社会と敵対関係にあるインディアン、これらの人々がラストバトルを前に主人公の元に結集し、”オール西部”で侵略者に挑むという燃える展開を準備しながら、個々のキャラクターの完成度の低さゆえに不完全燃焼で終わっています。この決戦前夜がビシっと決まっていれば、映画全体が締まったはずなんですけどね。
[DVD(吹替)] 5点(2012-05-07 01:33:56)(良:1票)
711.  ウィンターズ・ボーン
これは典型的な”評論家からは支持されるが、一般客は対象となっていない映画”です。質の高い演技、自然を背景とした美しい撮影、独特の空気感、そして重々しいテーマと、高く評価される映画に必要な要素はすべて備えており、「これは何か賞をやらなければ」と思わせる完成度を誇っています。しかし、展開があまりに淡々としていて物語に山も谷もないので、正直言って面白くありません。ジョン・ホークス演じるティアドロップが出ているところだけは妙に映画っぽいのですが、それ以外は役者と監督の技見せに付き合わされたという印象です。私は楽しめませんでした。。。 あと、”おきて”の扱いにも疑問を持ちました。本作における”おきて”は、いわゆるマクガフィン的な扱いを受けており、その内容は最後まで明らかにされません(集落全員が似たような顔つきをしているので、ある程度の察しはつきますが)。しかし、「思いがけず村のおきてと戦うこととなった少女」という物語にあって、そのおきての正体が最後まで伏せられたままというのは、ちょっとズルいかなという気がしました。
[DVD(字幕)] 4点(2012-05-07 00:47:47)(良:1票)
712.  カリートの道
カリート・ブリガンテが麻薬帝国を築き上げるまでを描いた「カリートの道」と、服役後のカリートを描いた「それから」が本作の原作としてクレジットされていますが、映画で描かれるのは主に「それから」。”若き日のカリートを知りたければ「スカーフェイス」をご覧ください”という作りとなっています。やたら絡んでくる新興ギャングを邪険に扱うカリートに向かって、昔の友人が「なぜ奴を嫌う?昔のお前だからか?」と問う場面なんて、嬉しくて笑っちゃいましたよ。。。 安穏を求めるヤクザ者が、その意思とは裏腹に暴力の世界に引きずり込まれていくという物語はヤクザ映画でよく見るパターンであり、おまけに本作は特に捻りも加えていないためお話はあくまで紋切型です。紋切型ではあるのですが、デ・パルマの演出力とパチーノの演技力、そして背後に大傑作「スカーフェイス」を控えさせているという抜群の安定感により、この手の映画としては最高の仕上がりとなっています。ヤクザ映画に興味のない人であっても、本作は十分に楽しめるのではないでしょうか。。。 と、クォリティの高さは十分に評価するのですが、傑作にはなりきれていないという印象です。その理由は脚本にあって、個性的な演出や演技と比較すると脚本は月並みに感じられます。本作の脚本を担当したのはデビッド・コープという人物なのですが、この人は恐ろしくクセのない脚本家で、その仕事は常に可もなく不可もなく。個性や主張は極力抑え、オーダーされたものをオーダーされた通りに作るというもはや”業者”ともいえる脚本家であるため、脚本に力がないのです。例えば「スカーフェイス」にはオリバー・ストーン特有の訳のわからん勢いがパンパンに詰められていて、その爆発力が映画をグイグイと引っ張っていたのですが、本作にはそれがありません。このことが、本作を”よくできた佳作”の域に留めているように感じました。
[DVD(吹替)] 7点(2012-05-05 01:49:06)(笑:1票)
713.  ザ・ウォード/監禁病棟 《ネタバレ》 
10年も監督業をサボっていただけにカーペンターの演出力が落ちているかもという不安があったのですが、嬉しいことにB級映画の巨匠の腕前は健在でした。飛び上がりそうになるほど驚かされる場面がいくつかあるし、脱走シーンにはハラハラさせられます。舞台となるウォード(病棟)には適度なキナ臭さが漂っており、サスペンスホラーに必要な空気作りもばっちり。ここまで来ると職人芸であり、80年代にはホラー映画の先頭を走っていた御大の"技"を大いに堪能しました。 ただしこの映画、オチがバレバレだったのが苦しいところ。他作品のネタバレは禁止されているためはっきりとは言いませんが、お話は数年前のアノ映画とよく似ています。結末は10年前に公開されたサスペンス映画とまったく同じだったし、多少映画を観ている人ならば遠の昔に見飽きた題材です。復活作でなぜこの脚本を選んだのだろうかと、作品選びのセンスのなさにガッカリさせられました。
[DVD(吹替)] 5点(2012-05-05 00:32:31)
714.  4デイズ 《ネタバレ》 
ポール・ハギスの「スリー・デイズ」にレニー・ハーリンの「5デイズ」と紛らわしくて仕方がない”デイズもの”の一本ですが、これがなかなかよくできています。ワンシチュエーションもののサスペンスとしては年に一本出会えるかどうかというレベル。設定に無理はあれど90分ならば勢いで乗り切れる。これは思わぬ拾いものでした。 【注意!ここから壮絶にネタバレします】 とにかく凄いのが脚本で、観客の先読みを巧みに利用する形で物語をぐいぐいと進めていきます。「実は核爆弾などなかったことがラストで明かされ、拷問の無意味さを説いて映画は終わる」、私はこんな結末を予想しながら観ていました。私以外の多くの観客も同じようなことを考えたのではないでしょうか。しかしそんな浅はかな先読みなど脚本家は百も承知であり、この”狂言説”はまんまと中盤のトリックに利用されます。「どうせ”狂言でした”がオチだろう」と思っている観客の目の前で53人の市民を爆殺してみせ、この犯人はホンモノであることを強く印象付けるのです。こうして予想を裏切られた観客はその後の展開がまったく見えなくなるのですが、観客が真っ白になったところで「ここからが本番だ」とばかりに二転三転の怒涛の展開を叩き込んでくる周到さには舌を巻きました。。。 この結末が読めない物語の中では、観客は己の倫理観をも問われることとなります。容疑者を痛めつけることは悪いことだということは明らかです。一方で、本気で人を殺そうとしている犯人を相手にした時には、綺麗ごとだけでは解決しないこともまた事実。では、どこまでの強硬手段ならば許されるのか?現実の戦いを知っているサミュエルは徹底的にやろうとしますが、トリニティらオーディエンス達はいつまで経っても腹を決められません。ショッピングモールを爆破された直後には殺意を持って犯人に襲いかかるものの、怒りが喉元を過ぎると再び生温いヒューマニズムが頭をもたげる。最終的には、米国人の良識によって核爆発が引き起こされるという皮肉な結末を迎えます。エグイ拷問をやっているサミュエルと犯人は、実は冷静な計算の中で動いており、良識派ぶってその拷問を眺めているオーディエンスの方が感情に流されているという構図こそが本作のミソ。「世論は本当に戦いを理解しているのか?」ということを鋭く問いかけてきます。
[DVD(吹替)] 8点(2012-05-04 02:03:16)(良:1票)
715.  スカーフェイス
「名作に泥を塗る下品極まりないリメイク」これが公開直後の本作の評価でした。では、このリメイクは失敗だったのか?遡ると「暗黒街の顔役(「アビエーター」でおなじみハワード・ヒューズによる製作)」も公開当時には低俗だ、下品だと大いに罵られていたわけで、お上品な方々を激怒させるほどの過激さという点において、本作はオリジナルの精神を正しく受け継いでいます。主人公の設定をイタリアンマフィアからキューバ人ギャングに変更した点も単なる思いつきの改変ではなく、「新参者の移民がアメリカの裏社会でのし上がる」という物語の骨子を30年代から80年代に置き換えた時、アメリカ社会で独自の立ち位置を確保したイタリア系ではもはや主人公になりえないという背景があったわけで、これは必然的な変更であったと言えます。表面をなぞるだけの空虚なリメイクではなく、オリジナルの骨子を正確に理解した上で、表面を必要な形に加工していく。これは理想的なリメイクのあり方だと思います。3時間という上映時間(なんとオリジナルの倍)にも、良い意味での長さが感じられました。とにかく密度が濃く、パンパンに膨れ上がった映画を観たという満足感が味わえるのです。長くはあるが無駄は一切なく、最後までまったくダレない。脂が乗り切っていた当時のオリバー・ストーンのパワーは尋常ではありません。 そして、この脚本を引き受けたブライアン・デ・パルマの演出にも目を見張ります。この映画、クレジットを見なければ監督がデ・パルマであることに気付く人はいないでしょう。普段はテクニックを重視し、機械的な印象を与えるデ・パルマが、若きオリバー・ストーンによる脚本のテンションに合わせて非常に感情的な演出をしているのです。デ・パルマといえば似たようなサスペンスばかり撮ってる人というイメージでしたが、案外、演出の引き出しは多いようです。それでいて、電ノコシーンでは壁をすり抜けるカメラなどおなじみのテクニックをさりげなく入れてきているわけで、どこで自己主張すべきか、主張を抑えるべきかという客観的な判断力を持った優秀な監督であると言えます。と思ったら、ラジー賞監督賞ノミネート?本作の価値を見抜けなかった当時の人々は末代まで恥じてください。
[DVD(吹替)] 8点(2012-05-01 01:16:23)
716.  イーグル・アイ
冒頭から、まんま「ウォーゲーム」。ジョン・バダム作品を多くプロデュースし、監督としてもジョン・バダムをリスペクトしてやまないDJカルーソ監督作品は、超古臭い80年代SFアクションでした。「人類は頭悪いし、これからは俺が管理してやるよ」という伝統的なお節介AI大暴れムービーなのですが、なんの捻りも工夫もなく、80年代そのままの脚本で勝負するという大胆さには驚かされました。何から何まで予定調和、最後まで予想を裏切りません。役者は悪くないし、見せ場もよく作りこまれているだけに(前半と後半の両方にド派手な見せ場を仕込んでおく卒のなさには感心)、お話しの方がもう少し何とかならんかったかなという印象です。
[ブルーレイ(吹替)] 5点(2012-05-01 00:17:03)(良:2票)
717.  ザ・タウン
「ヒート」が好きで好きで仕方がないベン・アフレックが撮ったクライムアクションは、案の定「ヒート」そっくりでした。とにかくディティールにこだわるマイケル・マンの長所を本作も引き継いでおり、大胆でありながら頭の良い犯罪計画はなかなかの見応えがあります。床屋で街中の男の頭髪を集めてきて、犯行で使用した車にそれをばらまくことでDNAによる追跡を不可能にするというアイデアなんて、「その手があったか!」と犯罪者でもない私も大興奮なのでした。ひとつひとつのアクションもしっかりと作りこまれていて、こちらもマイケル・マン作品に匹敵する仕事ができていると思いました。 ただし、ドラマパートはもうひとつかなという印象です。「ヒート」には”静かな緊張感”というものがありましたが、本作はただ静かなだけ。中盤はかなり退屈します。最重要容疑者としてFBIに面が割れた後のFBI捜査官とのやりとりや、恋人に自分の正体をどう明かすのかといった点にドラマやサスペンスがあったと思うのですが、勿体ないことにそういったおいしい点に限って軽くスルーされています。パッと見は冴えない中年だが恐ろしく頭が切れるというFBI捜査官も、主人公との絡ませ方が巧くなかったために作り手が意図したほど面白いキャラクターになりえていませんでした。これらについては、作品全体の取捨選択に問題があったのだと思います。ウダウダ悩む主人公という観客がさして見たいわけでもない要素に目一杯フォーカスしてしまい、クライムアクションを見に来た観客がもっとも関心を持つ点(FBIとの攻防、ヤクザ者としての仁義etc…)を捨ててしまったために、中途半端な仕上がりとなってしまったようです。とはいえアフレック監督の手腕は本物なので、彼の次回作には大きく期待しています。次のイーストウッドになるのはアフレックですよ。
[DVD(吹替)] 6点(2012-04-30 00:49:48)
718.  アナザー プラネット 《ネタバレ》 
【注意!壮絶にネタバレしています】 これまた評価に困る映画です。「もしあの事件がなければ、自分の人生はどうなっていたのか?」誰もが漠然と考える話を「もうひとつの地球」というSF設定に落とし込んだアイデアと構成力には素直に感心しました。現実的なドラマを主軸にしながらも、空に浮かぶ地球というシュールなイメージによってちゃんとSFしているバランス感覚はお見事だし、低予算映画とは思えないほど演技もしっかりしています。ただし内容にはほとんどメリハリがなく、正直言って退屈します。アート系ぶってる作りは時に鼻につき、もうちょっと観客にサービスしても良かったのではないかと思います。鑑賞中は「良い点と悪い点を差し引いて5点くらいが妥当かな」なんて考えていました。。。 しかし、クライマックスで作品の評価は一転しました。これは紛れもない傑作ですよ。ラスト、主人公はもう一人の自分と遭遇します。つまり、「もうひとつの地球」でも主人公は同じ悲劇を経験していたのです。この映画は「人生に”もし”はないのだ。起こったことは常に自分で背負わなければならない」と訴えているのです。そして、「その延長にある赦しもまた、自分自身でしか与えられない」と主張します。主人公は被害者の父親と親しくなり、一時的には心を通わせました。しかし、彼女の罪が明らかになった途端に被害者は再び心を閉ざし、彼女に赦しは与えられませんでした。結局、彼女は「アナザープラネット」へ行く権利を父親に譲り、家族と再会する機会を彼に与えることで赦されようとしますが、この結末はその願いをも全否定します。そこいらの安っぽいドラマであればこれら一連の心の交流で彼女は赦されるところですが、本作は「"罪と決別する点"は自分で見つけるしかない」と突き放すのです。その点を見つけられなかった老人は自分自身を完全に壊してしまいましたが、主人公が同様の末路を辿らないためには自らの判断で罪と決別するしかありません。しかしこれは他人に赦しを請うよりも難しいこと。本作は非常に重い主張をしているのです。SFという変化球でこんな重いことを言われるとは思いもよりませんでした。本作の構成は神がかっていますよ。
[DVD(吹替)] 8点(2012-04-25 01:48:55)(良:2票)
719.  わらの犬(2011)
かなり以前に鑑賞したオリジナル版はさして印象に残らなかったのですが、一転してリメイク版の本作には満足できました。IMDBでは厳しい点数がつけられている本作ですが(なんと、セガール作品と同等の評価)、要はオリジナルへの思い入れの違いでしょう。オリジナルをリスペクトする方々には改変部分が不評だったようですが、そうした思い入れが少なければ本作は「あり」です。映画の質は悪くないのです。。。 舞台はイギリスの片田舎からアメリカ南部へと移されていますが、南部のジメジメとした空気感、常識や正論が通用しない「悪魔のいけにえ」チックな閉塞感は観る側のフラストレーションを大いに高めます。ホイト保安官を参考にしているとしか思えないジェームズ・ウッズの大暴れは一見の価値ありだし、総じて教養がなく下品な街のみなさんの不快度数もなかなかのものです。彼らに対するは「X-MEN」のサイクロプスですが、彼はまたしても見事なヘタレ具合を披露。いちいち癇に障る優等生ぶりも実に絶妙で、「わらの犬」の主演にサイクロプスを選んできた監督さんはなかなか良いセンスしています。。。 なお、本作を理解する上で必要なのがアメリカの高校生活に対する理解です。アメリカには高校入試がないため、日本のように偏差値別の棲み分けがなされていません。闇鍋状態の高校ではアメフト選手とチアリーダーがヒエラルキーの頂点に君臨し、一方ガリ勉君達は最下層でイジメを受けながら3年間を耐え忍びます。しかし、高校を卒業すると彼らの立場は逆転。学生時代はスターだったアメフト選手達は底辺の肉体労働者となり、虐げられてきたガリ勉君はエリート社会の仲間入りをします。本作のもうひとりの主人公であるサムもまた、かつては街のスターだったものの今では細々と大工を営む貧乏人です。街一番の美人でチアリーダーだった元カノをガリ勉のもやしっこに奪われたことは彼にとって耐えがたい屈辱であるはずだし、いちいち癇に障るそいつの振る舞いにもイライラが募ったはず。そんな中で、街で一番常識的だったサムのフラストレーションも爆発するのです。「俺の人生はこんなはずじゃなかったんだ!」。本作は虐げられた弱者が牙を剥く物語ですが、肉体的に弱いもやしっこが暴力に目覚める物語であると同時に、社会的弱者が人生の勝ち組に攻撃を仕掛ける物語でもあるという、なかなか興味深い構成となっています。
[DVD(吹替)] 8点(2012-04-25 01:19:08)(良:1票)
720.  5デイズ
「ドリブン」を大コケさせて以降は小規模なサスペンスアクションを細々と撮ってきたレニー・ハーリンですが、久々のアクション大作である本作では堂々たる演出力を披露しています。現役のヘリや戦車がバンバン登場するスケールの大きな見せ場のまとめ方は手慣れたものだし、アップと俯瞰の使い分け、援軍が到着するタイミングなど、アクション映画の基本となる演出力はまったく衰えていません。トニー・スコットやマイケル・ベイ同様、ある程度以上の予算規模の企画の中にあってこそ、この人は才能を発揮できるようです。アクション大作としてはとにかく満足の仕上がりでした。あくまでアクション大作としては。。。本作を鑑賞する上で頭に入れておかねばならないことが2点あります。それは、本作がグルジア軍の全面協力で撮影されていることと、レニー・ハーリンは歴史的にロシアからの被害を受け続けているフィンランド出身であること。本作は徹頭徹尾反ロシアの姿勢で作られており、国際問題を学ぶ社会派作品として鑑賞すると、大きな間違いを犯します。確かにロシアは傍若無人な国家ではあるのですが、本作の内容はあまりにグルジア寄りで、フェアな姿勢で作られてはいません。グルジアと南オセチアの関係にまったく言及していないし(グルジアは被害者であると同時に、加害者としての側面も有している)、南オセチア紛争の最初の一発はグルジアから放たれたことが国際的な認識であるにも関わらず、「ロシアの攻撃が先だった」というグルジア側の一方的な主張が採用されています。ロシア軍の残虐ぶりも低俗に誇張されており(南オセチア紛争で残虐行為を行ったのは南オセチア義勇軍なのですが、本作ではあたかもロシア軍が残虐行為を行ったと勘違いさせる描写がなされています)、80年代に香港で量産された反日映画と同じ類の作品として鑑賞するのが正しいと思います。
[DVD(吹替)] 7点(2012-04-23 11:58:46)(良:1票)
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