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six-coinさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 210
性別 男性
ホームページ http://mixi.jp/show_friend.pl?id=8512182
年齢 49歳
自己紹介 映画は娯楽である。笑ったり泣いたり学んだり、空想という鑑賞時間を過ごす「芸術作品」である。実際に映画づくりを体験していない人間に、映画批評が出来るとは思えない。プロの批評家でもなく映画を作った経験も無いのだから、作品のシナリオや背景など、基本設定に理屈っぽくケチをつけるようなナンセンスな行為はなるべく止めにしたい。映画好きのハシクレとして、作家が作った作品を、素直に楽しみ、感動できる姿勢を何よりも大事にしたいと思う。

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61.  パフューム/ある人殺しの物語
延々と主人公の心情を読み上げるナレーションにはちょっと中だるみしなくもないが、全体としてはよくまとまり、上映時間の長さを感じさせない。主人公ジャン=バティスト演じるベン・ウィショーのギスギスとした演技はなかなかのものだったと思う。……映画にすることの出来る視覚でも聴覚でもなく、嗅覚をいかに表現しているかと期待したが、その部分に関してはちょっと期待はずれ。冒頭のグロい映像や花畑だけでなく、もう少し新しい表現をしているかと思ったのだが。全体としてはドキュメンタリータッチな物語だけで、個人的には「香り」というテーマには今一歩及んでいないように思う。……香りの追求と道徳の狭間で苦悩した主人公と、その結果の人殺しの選択、という筋書きを思い描いていたが、最初からいきなり人殺しに走り、我が目的の材料のためだけに躊躇なくエゴをむき出すバティストには、さっぱり共感できなかった。それでも映像のクオリティには見応えがあったし、まず満足。オリバー・ツイストにもあったけれど、昔のヨーロッパって、あんなに不潔で汚かったのかな。
[映画館(字幕)] 7点(2007-03-12 01:34:29)
62.  息子の部屋 《ネタバレ》 
エンディングの海辺のバスターミナル、息子の恋人だと思っていた彼女は訪ねてきたが、結局何も語られることはなく、ボーイフレンドと共に去っていく。彼女らは、主人公夫妻にとっては、死んでしまった息子の想い出の象徴となる筈だったろう。また、観ているこちらも、彼女の口から語られるであろう、「親も知らなかった息子の真の姿」的な展開を期待する。……しかし予想に反し、彼女にはボーイフレンドも存在し、おそらく息子にとっても特別な存在ではなく、ただ訪れ、ただ去っていく。走り去るバスと一緒に、愛する息子の死や想い出も、一気に「過去の出来事」になってしまう。見る側の予想を(良い意味でも悪い意味でも)見事に裏切るこの演出は面白い。………事前のアンモナイト化石等難事件の真相も父親は知らないまま。家庭崩壊の危機も夫婦のベッドでの台詞で初めて気がついたくらいでさほど感じられなかったし、途中途中の布石と思っていた全て出来事の結論が出ることはなく、ただ時が流れていくだけ。私も見事に騙されたクチでちょっと拍子抜けしなくもなかったが、そんな出来事を布石ではなく「ただ描くこと」で日常を描いたからこそ、ごく平凡な幸福な家庭にふりかかる突然の不幸がショッキングに思えたのかもしれない。………フランスの風景の美しいこと、映像に音楽も良くマッチしているし、端々に出てくる調度品のセンスの良さにはびっくり。   
[DVD(字幕)] 7点(2007-02-25 02:17:28)
63.  墨攻 《ネタバレ》 
儒教を説き専守防衛を旨とし、知略に長けた「墨家」という思想集団の存在を初めて知ったのは原作の漫画だった。血で血を洗う中国の戦国時代に、そんな集団が実在したのは驚きだ。……漫画はコンビニでちらりと立ち読みした程度だったが、一人砦へとやってきた革離が反感を持っていた民衆から信頼を得ていく過程が省かれていたのはちょっと物足りない気がした。しかしそれでも、大軍(10万もいるとは思えないけど)を迎え撃つ迫力のあるシーンの連続にグイグイ引き込まれてしまう。人海戦術にモノを言わせるのではなく、少人数のキャストでも丁寧に撮られているせいだろうか。……人道と現実の間で苦悩する主人公・革離に比べて一国の王様たる梁王の何とミミッチくて器の小さいこと。革離演じるアンディ・ラウの無骨な渋さは役柄にぴったりだったし、何より最後の最後まで飽きさせないスピーディーな展開。声が出せずに溺れてしまった可哀相な逸悦には助かってほしかったけど、コンパクトで充実した筋書きは面白かった。
[映画館(字幕)] 7点(2007-02-18 00:53:35)
64.  マリー・アントワネット(2006) 《ネタバレ》 
タイトルの通り、全編を通じて王女「マリー・アントワネット」の視点(見ているもの)でしか描かれていないのが印象的だ。最後の宮廷襲撃で彼女が押し寄せた群衆を見るまで、飢え死にする庶民や貧困に喘ぐ町の様子が描かれている訳でもない。美しく凄まじい浪費の映像の中、ウンザリするしきたりや殿上人の人間関係を甘んじて受ける彼女の姿がなおさら孤独に見えた。……煩わしい宮廷生活に身を任せれば、自分の意思とは無縁の賑わいの中。しかし自分が満たされる居場所に落ち着けば、たちまち宮廷の人間関係が彼女を孤独にする。たまらない孤独に耐えるため、寂しさを紛らわすように饗宴に身を任せるうちにいつしか本当に自分を見失ない、ひたすら浪費に走っていく。そして自分の拍手に誰も賛同しない劇場で、いつの間にか本当に自分が孤独になってしまったことに気づくのだ。押し寄せる群衆の響きに「子供たちを」と健気な姿を見せた彼女を支えていたものは、母として、妻としての強さだったろうか、王女としてのプライドだったろうか。……華やかな宮廷生活の末に断頭台の露と消えた史上最も名高い王女、「パンが無いならお菓子を食べればいいじゃない」の名台詞を本当に言ったかどうだか知らないが、この映画を見ると、きっと史実もそうであっただろう彼女に同情してしまう。王族に生まれ16歳で政略結婚、誰も頼りにするものがいない他国に渡った先があのベルサイユでは、浮世離れもしようというものである。「今日の日に乾杯」「その先の日々にも」浮世離れのままに孤独に耐えていた彼女にとっては、そんな栄華の日々が永遠に続くはずだっただろう。……そして国外脱出を果たせないまま捕らえられ、断頭台へと連れて行かれる彼女の姿もこの映画では描かれていない。全編を通じて描かれていたのは華やかで滑稽な宮廷生活の中どこまでも彼女につきまとう孤独、それだけに終始した面白い「栄華」だった。
[映画館(字幕)] 7点(2007-01-21 03:25:57)(良:2票)
65.  エリザベスタウン
昔、祖父が死んだ葬式のときを思い出した。子供の頃集まっていた面々も皆社会人になっていて、これから取り壊される家での葬式に、妙なノスタルジーが溢れていたっけ。「ビッグ・フィッシュ」を観たときにも思ったけど、成し遂げた物事や生き方によらず、大勢の人に惜しまれて終わる一生なら素晴らしい。そして帰る故郷のあるということは、とても有り難いものなんだなと思う。……帰るといつも待っていてくれる田舎町、「エリザベスタウン」の人々、まるで永遠に時間が止まっているようなノスタルジー。出てくる人々一人一人がイイ奴ばかりで、妙にコミカルな自殺方法を考えた主人公よりも、骨になってしまったお父さん「ミッチ」がとても羨ましかった。あのトンだ追悼集会の終わり方も、きっと後々何年も「ミッチ」を思い出す語り草になるのだろう。……その容姿で酷評されることの多いキルスティン・ダンストだが、底抜けにキュートなキャラクターが、この作品では彼女に大変マッチしていると思う(意味の捉え方によっては彼女に大変失礼だけれど)。高嶺のセレブリティな美女よりも、むしろ恋人として好きになる過程には共感できるし女性として大変魅力的に思えた。最後のハッピーエンドにも安心して万歳、車も持っていないのに、あんなドライブに出かけたくなってしまう。
[DVD(字幕)] 7点(2007-01-08 02:01:29)(良:1票)
66.  グエムル/漢江の怪物 《ネタバレ》 
印象に残ったのはふたつ。ひとつは、今までに無いパニックのオープニング。毒薬をタレ流したり、釣り人が怪物(の赤ちゃん時代?)を目撃したりとワザとらしい複線はあるが、ある日突然始まる怪物騒動のショッキングなところだ。何気ない日常の風景、見慣れないものを見て集まる呑気な市民達、そして(ジョーズの様にBGMなどで「恐怖の下準備」をさせる間もなく、)全く唐突に始まる怪物の襲来。こっちが心の準備をはじめる間もない勢いで続く襲来パニックには本当にドキドキした。……もうひとつは、物語の随所に見られるどこかコミカルなシーンの数々。エンドロールのテーマも、まるで蒲田行進曲のようだったし、怪物の犠牲者となった人々の合同葬の場でも、号泣している家族の姿に思わず噴出してしまう。朝鮮半島には昔の葬式の「泣き女」のように悲しみや怒りなどの感情を表に表現する文化があるけれど、このコミカルなシーンはきっと監督の意図するところなのだろう。……恐怖を演出するのに、「血」な映像を極力控えてあるところにも監督の手腕が見える。スプラッターに頼るのではなく、怪物の巣からの脱出を試みるシーンの様に心理戦を重要視しているので、安っぽい残虐CGよりもよっぽど心臓に悪い。モンスターパニック映画のお手本のような、きれいに仕上がった良い作品だったと思う。
[映画館(字幕)] 7点(2007-01-01 16:35:31)(良:1票)
67.  パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト 《ネタバレ》 
この映画の公開前に、とある映画を見に行った予告編で、「Captain Jack is back!」の文字がスクリーンに浮かんだ時、思わずガッツポーズをした。あのジャック・スパロウが帰ってくる!自由と浪漫の男、奴が帰ってくる!そんな期待に胸を躍らせるほど、あの1作目のキャラクターは強烈この上なかった。この2作目の冒頭、棺の蓋をピストルでぶち抜いて彼が姿を現したときも、やっぱりわくわくしてしまった。……自由を愛し、期待を裏切るお調子者だが、誇りを失わない、そんな愛すべきキャラクターの彼が、いくらタコの化け物に襲われたからって仲間を見捨てるのはどうかと思ったが、やっぱり今回も随分笑わせてもらったし、あからさまに「次回へ続く!」的な不完全燃焼も、ラストの「なんでお前が生きてんだ!」的な無理ヤリも、愛すべきスパロウ船長に免じて許すとしよう。今回も同じ音楽が使われているのはとても嬉しかったし、きっと3作目の予告をスクリーンで見ても、あのテーマ音楽と共に颯爽と戻ってくる「彼」に胸を高鳴らせることができるだろう。不完全燃焼に終わった本作の分まで、でっかり盛り上がりを期待している。だから、「頼みますよ!スパロウ船長!」。
[映画館(字幕)] 7点(2006-08-14 22:18:58)
68.  M:i:III 《ネタバレ》 
トシをまるで感じさせないトムの全力疾走、回数を重ねるごとにスパイ映画からアクション映画へと変化していくが、息もつかせぬクライマックスの連続は確かに面白い!難解なミッションを次々にクリアしていく見事なチームプレイ、そしてやっぱり魅力的なのは、作戦の過程に使われる、見る手の度肝を抜くマル秘ハイテクアイテムの数々。バチカン宮殿への侵入~脱出シーンは、思わず心で拍手を贈ってしまった。頭の中の爆弾はエゲツなく、悪役の彼はあまりにもアッサリ素人に撃ち殺されてしまったが返ってスッキリ。このシリーズもどうやらコレで終わりのようだ。
[映画館(字幕)] 7点(2006-08-14 21:54:23)
69.  ハムナプトラ/失われた砂漠の都
この映画やインディ・ジョーンズを見る度に、考古学者って、地道だけどなんてロマンのある仕事だろうと考えてしまう。好奇心から騒動を巻き起こすトラブルメーカーのレイチェル・ワイズの可愛らしいが、それで犠牲になった方々が大変お気の毒。どんなに撃たれても当たらない無頼漢のヒーローのタフネスにびっくり。スカラベに食われるあんな最後なんて絶対にゴメンである。この映画をビデオで観て、面白かったからこれなら、と2を映画館へ観にいって、CGに閉口しながらも大変楽しめた。1も2もお腹いっぱいのエンターテインメントだ。
[ビデオ(字幕)] 7点(2006-03-06 00:02:20)
70.  レジェンド・オブ・ゾロ
前作に比べるとややトーンダウンだが、それでも十分に楽しめたと思う。個人的には家庭問題に悩むスーパーヒーローなんて見たくなかったが、あちこちに小ネタが効いてるし、奥様が相変わらずの美貌のキャサリンならまあイイか。さすがに二人の子どもは大人をも凌ぐアクションヒーロー、ゾロ3代目の素質十分である。夫婦二人から子どもまで息が合ったところからの展開は、やっぱり観ていて面白い。
[映画館(字幕)] 7点(2006-01-23 12:41:00)(良:1票)
71.  バグズ・ライフ
いろんな登場人物がそれぞれの持ち味を活かすあたり、日本昔話の「さるかに合戦」を観ているような感覚。それぞれの昆虫ならではのネタが随所に見られて、大人が観るにも十分楽しい。しかしそれよりも好感が持てるのは、観ている人間の年代層を完全に子どもに設定し、その期待を裏切らないように細部にわたって心配りがされていること。「ぐるぐる」さんの言っているように、悪役サイドであったハズのバッタのボスの弟分が、最後にはサーカスの一員になっていたり、ラストのNG集などはその象徴だろう。悪役とはいえ、子どもにとってはバッタ君の最後はショッキングかもしれないが、あのNG集を観ると「なーんだ、お芝居の世界だったんだ」と、安心して心地よいエンディングを迎えられてしまう。
[地上波(吹替)] 7点(2006-01-19 20:09:55)(良:1票)
72.  サハラ 死の砂漠を脱出せよ 《ネタバレ》 
「爆薬は持ってきたんだろうな!?」「忘れた‥‥‥ウソだよ!」命に関わる大ピンチの連続なのに、妙に余裕のある二人の間で小気味よくやり取りされるジョークが痛快だ。収集したコインが洞窟にコッソリ収納されているラストや、車の購入と引き換えに支払った金貨、南北戦争の装甲船の大砲を使ったりする部分など、物語の随所で散りばめた仕掛けがキチンと功を奏してウィットが効いており、観ていて大変痛快である。組織のボスも面倒くさがらずにヒーローのピンチを助けて活躍をシッカリとフォロー、ラストにはちゃっかり政府から利益もせしめて万々歳。観る手を満足させる作品に仕上がっている。
[映画館(字幕)] 7点(2006-01-16 13:43:29)(良:2票)
73.  キング・コング(2005) 《ネタバレ》 
贅沢三昧な映画だ。長い上映時間に詰め込み放題、あらん限りの素材をごった煮にして作り上げたエンターテインメント。観ている方が「もう勘弁してくれ」と言いたくなる様な、次から次へと溢れるピンチまたピンチ。巨大コウモリにぶら下がっての巣穴脱出には思わず「おいおい、ありえんだろ!」と笑いながら突っ込んでしまった。贅沢な素材をひたすら詰め込みゃいいってモンじゃない、と言いたくなるが、この映画の場合はちゃんと素材の味がつぶし合うことなく、うまくまとまっている気がする。‥‥‥私は残念ながらオリジナル版をリアルタイムで観ていないが、この映画は半人半獣のキングコンゴの表情表現が、映像技術の進歩に伴ってなかなかに豊かであると思う。恐竜を倒してヒロインを救い、自分から逃げ出した彼女からちょっと背を向けてみせ「ピンチを助けたんだから、感謝してくれてもいいんでないかい?」とでも言いたげなスネたような仕草、巣穴で夕日を眼前にヒロインを横目で観ながら膨れっ面をする表情など、なんだか子どもの様なコングの感情がよく演出されている。そしてクライマックスの、あの髑髏島と同じ「Beautiful」な夕日の摩天楼から落下して行く時の彼の表情は胸を刺す。「僕はただ、キミに会いたくて、キミが好きだから、追っかけてきただけなんだよ」人間のエゴの前に、自分の好きな人を守る以外に、誰をも傷つけるつもりなんかなかった彼の、あまりに切ない感情が手に取れる。
[映画館(字幕)] 7点(2006-01-16 12:57:07)(良:2票)
74.  男たちの大和 YAMATO
まず私は右翼でも左翼でもない。その上で申し上げたい。愛する人、故郷日本を守るために身を挺した人々への哀悼と、その人々の累々たる屍の上に今の私たちの平和安穏な暮らしがある。右翼だって左翼だって、今の豊かな日本に生きる国民全てが否定することなどできない、この顕然たる事実。戦争犯罪というただの「言葉」の前に思考停止し、過去の歴史に学ぶ姿勢すら忘れてきたこの国のあり方に、映画というプロパガンダと思われかねない手段で、誤解を恐れず、実に思い切った一石を投じた。この点においてのみ、この映画は最大の評価を得るべきだ。戦争の悲惨さ、言葉だけの薄っぺらな平和主義だけの視点しか許されなかった世界で、先祖への感謝を根底にした切り口は、誰が何と言おうと斬新で、「本来のあるべき姿」としてのメッセージだ。この映画は、芸術作品としての映画とは、一線を画して語られるべきであり、評価されるべきだ。‥‥‥しかしだからこそ、不要なナレーションや字幕など、 ちょっとしたドキュメンタリーのような余分な演出が多かったのが誠に惜しい。 映像の撮り方も映画らしい凝り方が見あたらず、良く終戦記念日にTVであっている2時間ドラマのように感じられたのが大変残念だった。せっかく前代未聞の壮大なセットも作り上げたのだから、守るべき対象である故郷の人々への愛情や、悲しみや、覚悟などの背景、実際にはもっと凄惨を極めたであろう、沈没する大和の船上の悲惨をとことんリアルにドロ臭く描いて欲しかった。やはり、この映画を作り上げた人々の多くが、私同様実際の戦争を体験していないせいかも知れない。あまりにも画面が奇麗すぎ、画面から命の失われる悲惨さ、分かり易く言えば「血生臭さ」が伝わってこなかった。昔観たTVドラマ「戦艦武蔵の最後」は、こんなセットは無かったが、映像から伝わってくるものが、もっともっと悲惨で恐ろしかった。 今までに無い壮大なテーマに挑んだ結果、角川といえども力が今一歩及ばず、というところだろうか。‥‥‥映画というエンターテインメントの立場から、過去の人々への畏敬すらも忘れている時代の潮流に、恐れることなく強烈なメッセージを送った。芸術作品としての視点とは別に、その姿勢に拍手を送りたい。
[映画館(吹替)] 7点(2005-12-19 12:49:32)(良:2票)
75.  ヴェラ・ドレイク 《ネタバレ》 
ヴェラを演じるイメルダ・スタウントンによる、物語終始に渡って続く「目の演技」は素晴らしい。人を愛する微笑み、逮捕される際の戸惑い、家族を苦しませる時の哀しみ、しわくちゃのおばあさんなのに、なんて表情豊かに見えることだろう。‥‥‥人助けとはいえ、知っていながら法を犯した罪は罪。一番印象的だったのは彼女の逮捕シーンで彼女がつぶやいた「人助けをしました」という自白。罪を犯したと分かっていながら、家族を傷つけることを恐れて「罪をおかしました」という言葉を使わなかった彼女の切ない言い逃れは、人が良く気が優しい善人である筈の彼女の人格の全てを象徴しているように思えた。‥‥‥この映画を観た方に伺いたいが、望まない妊娠で死にかけてヴェラの告発へと繋がった入院の女性、冒頭の彼女の妊娠のきっかけとなった(暴行の)ベッドシーンで、相手の男がヴェラの息子に見えたのは私の勘違いだろうか?母親が堕胎と言う「人助けの罪」を犯した一方で、母親の罪を避難する息子が、それを知らず「罪の原因」だったという皮肉が描かれていたように思えてならない。
[映画館(字幕)] 7点(2005-12-05 00:51:22)
76.  Mr.&Mrs. スミス 《ネタバレ》 
銃弾やナイフをこれでもかとぶっ放し、ガラスや壁をブチ破り車も家もオシャカにする、何とまあ豪快な夫婦喧嘩。その夫婦喧嘩にまぎれて人を殺し過ぎなのがタマにキズで、コミカルアクションというにはちょっと残酷だが、まあ夫婦ともそれが仕事なんだからしょうがない。そのエゲツないアクションのバックに流れる音楽と口喧嘩が常にコミカルで面白い。ブラピとアンジェ二人のための映画であるのは一目瞭然、この二人だからこその体当たり演技にも脱帽。頭カラッポにして楽しむアクション映画としては、余計な要素が無く笑いもシンプルで、とても面白いと思う。
[映画館(字幕)] 7点(2005-12-04 02:34:22)
77.  シン・シティ 《ネタバレ》 
紙の上に描かれた2次元のマンガが3次元となった、「動く映像たるアメリカンコミック」の本物を、初めて観た思いがする。スパイダーマンやハルクなど、アメコミを「実写化」した映画は、ネタ切れに喘ぐハリウッドには数多いが、この作品はそれらの映画とは一線を画する。モノクロームの世界に異様に光るサイケデリックな原色は、まるで影ベタが多くハードボイルドなアメリカンコミックに、そのまま筆で彩色したかのようだ。いかにもタランティーノが一枚噛んだらしいバイオレンスを、この映像で撮った決断、アイデアは評価に値するのではないか。終始続くナレーションに導かれ、観客は動く映像を観ながら、アメリカンコミックを読んでいるに等しい。実写に加工を加えただけのものではなく、車のシーンなどのカメラワークも巧みだ。キル・ビルのように薄っぺらな血を見せびらかす(それが決して悪いことではない)のではなく、物語にそって要所をカラーで演出し、想像をかき立てることで効果を倍増している。もしカラーだったら途中で席を立ったかもしれないが、お陰で最後まで目を背けることなく観ることが出来た。
[映画館(字幕)] 7点(2005-10-04 00:52:06)(良:1票)
78.  シンデレラマン
恐慌が吹き荒れ、ロクに食べ物もない時代に、職にあぶれ家族も抱えながら、よくも戦ったものだと思う。ボクサーに形容されるハングリー精神とはちょっと違う、家族の人生を背負って戦う姿には素直に感動した。金の為に、家族の為に、あるいは貧民層の人々の為に、彼は最後まで自分の生き方を貫いた。迫力のボクシングシーンも充分で、いつか自分も観客となって声援を送っていた。‥‥‥現在も格闘技ブームであるが、自分より明らかに強い相手と戦わねばならない恐怖は想像を絶する。わずか10キロ違う相手の拳をかいくぐる時、私の様に身体も小さく才能も度胸も無い人間には、相手のグローブはまるで砲弾のように見える。叩き叩かれる痛みの経験がある人間として、ロッキーとはまた違った感想を抱く。自分が同じ状況に置かれ、歳をとり金もなく家族を守らねばならなくなった時、果たして我が身を呈してあのリングに上がることができるだろうか、と。夢で腹が一杯になったと、娘に自分のハムを与えることができるだろうか、と。父親でもなく、守るべきものもなくフラフラと好きに生きている自分が、なんだか恥ずかしくなってくる。この映画は家族の在り方を描いた映画だ。自分も人の父親になる時は、彼のように強い父親になりたい。
[映画館(字幕)] 7点(2005-09-26 00:09:41)
79.  シェルブールの雨傘 《ネタバレ》 
筋書きは予想通りで、ごくごくありふれたものなのだが、あの雪のラストシーンはグッと来るものがあった。「あなた、元気?」「ああ、元気さ」普通なら出会いがしらに言うような台詞を交わすあの別れ際が何とも言えない。互いに憎むことも責めることもなく、自分や相手の過去を肯定した大人の別れ。哀しいけれど、単純に見えるけれど、これこそ良い恋愛で、良い別れではないか。スクリーンを観ながら、思わず「イイねぇ!」と呟いてしまった。古典的な悲恋物語の常道だが、やっぱりこれが古い映画の醍醐味だ。‥‥‥個人的には、ミュージカルとは、「サウンド・オブ・ミュージック」や「マイ・フェア・レディ」のように、物語の筋書きを台詞で追い、その中で高まった感情を歌で表現するのが王道だと考えている。この映画のように全てを歌で表現したら物語の脈絡もつかなくなってしまいそうだが、不思議にこの映画はその違和感を感じない。同じく全ての台詞を歌で表現した「オペラ座の怪人」が受け付けられなかったのはなぜだろう?
[映画館(字幕)] 7点(2005-09-24 12:03:34)(良:1票)
80.  許されざる者(1992)
主人公の過去の経歴も決して許されるものではなく、殺された保安官の行為も治安を守るためとは言え許されるものではなく、クソしているところを3発も撃ち込んで殺した青年の行為も許されるものではない、「許されざる者」だらけの登場人物。しかし、それら全てが奇妙に存在を肯定されているのが分かる。ミスティック・リバーもそうだったが、イーストウッドの作品は道徳的な視点や評価を超越したところにある。シンプルな物語が続いた後に、一瞬で終わりを告げるクライマックスはまるで黒澤明監督の「用心棒」や西部劇の「シェーン」のようだ。人殺しを非道な行為と否定する主人公の台詞はわざとらしいほど説教臭く説得力もないのだが、主人公自身も自分を「許されざる者」であるところを自覚していて、全然嫌味に聞こえないところがいい。麦畑や夕日の小屋など、コントラストを活かした映像も美しかったし、雨降るラストシーン、微かな光差す暗闇の彼方へ去ってゆく主人公の後ろ姿が印象的だった。
[ビデオ(字幕)] 7点(2005-07-10 02:38:14)
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