61. 七人の侍
《ネタバレ》 世の映画には3時間を超える大作がたくさんあるが、その中でもその長さをほとんど感じさせない作品。ストーリーは1分あれば話せるが、この濃さは観なけりゃわからない。作品から溢れ出る力強さは他では味わえないはず。そして、何より三船敏郎と志村喬の存在感。脇も頑張っていたが、この二人は別格。本当に世界に通じる俳優だっただろう。この映画は是非後世に残していきたい。 [DVD(邦画)] 10点(2008-03-22 00:19:05)(良:1票) |
62. 麦秋(1951)
《ネタバレ》 小津監督特有の映像的ゆとりが全体を覆い、伝統的結婚が影を潜める時代を見事に映し出している。結婚したくなければしなくても良い、そんなこんなで28歳。家族みんなが心配するのを他所に、本人はのんき。途中までは「晩春」にも似たような展開であったが、終盤は意外な展開。誰にも相談せずにあっさり別に結婚を決めてしまう紀子。個人として、子供としての独立が人間関係、家族関係の希薄を暗に意味するこのシーンは何とも切ない。母親が納得しきれないのはわからないでもない。結局は本人次第となってしまった個人の時代を見事に描写した素晴らしい作品。 [DVD(邦画)] 8点(2008-03-17 11:50:17) |
63. 東京物語
《ネタバレ》 ○午前十時の映画祭にて久しぶりに鑑賞。○60年以上も前なのに、そして戦後たった8年後の作品なのに今見ても胸打たれるのはテーマの持つ普遍性ゆえだろう。○血の繋がっていない紀子が一番親切にしてくれるという皮肉だが、この紀子が自分のことを全く良い人間だなんて思っていないところがまた良い。本当に思っていないんだろうな。だからこそ周吉から感謝を述べられ、嫁に行っても良いと言われても「私、ずるいんです」と言って涙する。○一方で周吉も周囲から見れば子供が立派に育っていると褒められるのに粗野に扱われる始末。旧友との飲み会で吐露した本音が印象的だった。その後酒を断つと言っていたのに泥酔し結果的に子供たちに迷惑をかけてしまうのが心苦しかった。○子供たちを演じた杉村春子や山村聰らは決して悪人ではない、でも少し冷たい感じが絶妙だった。○こんなテーマの多い監督だが、定期的に観たく成る作品群である。 [映画館(邦画)] 10点(2008-03-02 23:08:35)(良:2票) |
64. 捜索者
《ネタバレ》 ○久しぶりの鑑賞。○物語の中心にいたイーサンが実は家族もなく、最後にはドアが閉じられ締め出されるようにエンディングを迎える結末。○マーティンがコマンチ族の妻をもらうことになってしまう展開後にデビーがコマンチ族になっているという皮肉めいた展開も興味深い。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2008-02-26 13:06:31) |
65. 巴里のアメリカ人
《ネタバレ》 ○率直な感想としては、あまり面白くなかった。○ストーリーといえるストーリーも無く、ひたすら歌やダンスでは飽きてしまう。○後の「雨に唄えば」の方が遥かに面白い。 [DVD(字幕)] 3点(2008-02-25 16:54:39) |
66. 雨月物語
《ネタバレ》 ワンカットでうまく見せる技が一番印象的だった。戦後の金儲けへ走る日本に対し、舞台を戦国時代にして、欲張らずに小さな幸せに気付こうという内容で、うまく表現していたと思う。 [DVD(字幕)] 6点(2008-02-22 16:53:40) |
67. 道(1954)
《ネタバレ》 押し付けがましい感じが一切なく、淡々と描いている。前半は少々退屈したが、人ひとりがいないと困る人がいる、どんな人でも役に立てる、という「素晴らしき哉、人生!」とは一味も二味も違うアプローチはなかなか。がらがら声のザンパノに、変わり者のジェルソミーナは最高のキャスティング。心優しい音楽も印象的だった。 [DVD(字幕)] 7点(2008-02-21 15:33:08)(良:1票) |
68. 人間の條件 第一部 純愛篇
《ネタバレ》 人間の條件というタイトル以上に日本人による日本人批判が目を引く作品。何のためらいもなく捕虜を殴る日本人を堂々と描いている。こんなシーン他ではお目にかかれないと思うのでそれだけでも評価できる。そして、タイトルでは第一部純愛篇とあり、梶の奥さんはなんて素晴らしい女性なんだと思わせてくれたのだが、やはりこのタイトル以上のものが目立っており、純愛篇と一口に言えるものではないと思う。それでも、支配と暴力、正義に嘘など戦争という状況をうまく描き、これ一本だけでも非常に見応えのある作品だと思う。 [DVD(字幕)] 9点(2008-02-08 23:30:34)(良:1票) |
69. 突撃(1957)
《ネタバレ》 既出ですが、やはりフランス人、ドイツ人と特定する必要はなく、むしろ無国籍映画とした方が良かったと思う。そこを除けば、素晴らしい反戦映画。一兵士の弱さ、軍上層部だけが持つ強さ、非常な命令に裁判、そして処刑と、無駄のない展開で一映画としての完成度は高く、公開時20代だったとは思えぬキューブリックの才能が随所に見られる。 [DVD(字幕)] 8点(2008-01-20 09:23:42) |
70. 情婦
《ネタバレ》 このサイトでの評価が高いことと、この手の映画でのどんでん返しに慣れてしまったことが期待はずれにしてしまった。どんでん返しにつながる伏線が弱い。キャストは申し分ないが、この点数で。 [DVD(字幕)] 5点(2008-01-19 09:17:52) |
71. 羅生門(1950)
《ネタバレ》 結局、黒澤監督の言いたいことはラスト10分に凝縮されている気がする。そう見ると、その前フリが少し長いかなと感じる。特に武弘の証言は完全に浮いている。無くてもよかったのではないかと感じる。そして、黒澤監督の画へのこだわりもよくわかる。ただ、音の劣化で何を言っているかわからないのが多々あったのが残念。 [DVD(字幕)] 6点(2008-01-17 10:07:31) |
72. 雨に唄えば
これぞミュージカルの傑作。やはり、ジーン・ケリーが雨の中を踊り唄うシーンは名シーンだ。それに、3人の息の合ったダンスは見物。サイレントからトーキーへ移り変わる時代設定をうまく活かしたストーリーもなかなか面白い。 [DVD(字幕)] 8点(2007-10-12 23:05:25) |
73. エデンの東(1955)
《ネタバレ》 混乱の時代、善と悪の区別もつかない。ベタな話だとは思うが、キャストと演出の良さがこの作品を名作にしていると思うし、今観ても胸に響くものがある。ただ、キャルが悪人でないにせよ、ラストにアロンが救われるシーンは欲しかったな。 [DVD(字幕)] 8点(2007-08-19 23:13:37) |
74. 十二人の怒れる男(1957)
《ネタバレ》 ○最終的に事実がどうであったかが描かれないのが良い。この制度上、事実がどうであったではなく、陪審員がどう判断したかが肝心なわけで、それを映画としてしっかり結論付けている。○女性こそいないが様々な人間模様が描かれており、こういう議論をあまりしない日本からすれば羨ましくもある。○ラストカットが偏見持ちの人間がいない場面のカットであるというのも興味深い。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2007-08-04 23:37:05) |
75. グレン・ミラー物語
《ネタバレ》 ジェームズ・スチュワートという俳優の素晴らしさを改めて認識することの出来る作品。話自体も素晴らしいが、まさしく彼の映画となっている。その分、他の出演者の印象が若干弱い。音楽も耳に残り、感動的。 [DVD(字幕)] 7点(2006-09-01 11:10:01) |