61. 機動警察パトレイバー2 the Movie
押井守という唯一無二の才能が遺憾なく発揮された傑作。 ただシリーズものの一環として製作しなければならなかったために、メインストーリーとは無関係な人物たちを前後にくっつけているという残念。故にマイナス1点。 また、あまりにも率直に啓蒙されて、安易に改憲すべきだなんていう人が出そうで怖い。 [ビデオ(邦画)] 9点(2007-03-20 05:50:51) |
62. セブン
難を言えば、犯人探しをメインとする話ではないのだけれど、図書館周りでちょこちょこしているだけで犯人に辿り着いてしまうのはやはり安易すぎるような。 しかし、穿った見方をすれば、それすらも犯人の策ということも・・・。 他愛無い犯人に見せ掛けることや、あの時ブラット・ピット演じる刑事を殺せるのに殺さなかったこと(これは副産物でしょうが)は、確実に最後の彼の行動を誘発させる一因になっているでしょうからね。 やっぱ傑作だわ。 [DVD(吹替)] 9点(2007-03-04 16:59:00) |
63. 運命じゃない人
携帯電話では相手がどこから掛けているのかわからない、というのがこの話の原点となる発想だったらしい。アイデアを最大限に活用した傑作ですね。 前作も面白かったですし、こういった才能ある人がうかばれないと悲しくて仕方ありません。くだらない商業映画に取り込まれて潰されてしまうパターンもよくあるので用心してもらいたいです。 [DVD(邦画)] 9点(2007-02-26 13:09:31)(良:1票) |
64. 天空の城ラピュタ
強いて言えば、もう少しパズーの行動動機をわかり易くて強いものにしていればより傑作になったと思う。 [地上波(吹替)] 9点(2007-01-09 13:11:23) |
65. アンナとロッテ
《ネタバレ》 敵対することとなる両国へ姉妹を分けたことで時代の激動はよく理解できましたし、その中でのすれ違いエピソードや要所要所に挟まれる現在の彼女たちの描写は興味を惹かせる意味で効果的。 ただ、作りたいシチュエーションに急ぎ過ぎて、彼女たちの感情についていけない箇所が多少ありましたけど。 それにアンナを殺す必要はなかったと思います。 それにしても、自分ならこんなにも信じていたものがコロコロと覆されては気が狂ってしまうでしょうね。 [DVD(吹替)] 8点(2008-01-26 20:26:09) |
66. ひつじのショーン
全40話からなる内容故に、各々の出来はピンきりですが、平均をとってもその水準は高い。 一話約7分、しかも台詞を排した内容でここまで楽しませてくれるなんて、さすがアードマンといった代物。 [DVD(字幕)] 8点(2008-01-14 06:45:06) |
67. 暗いところで待ち合わせ
あからさまに低予算なつくリ。 それを補うような演出や演技があれば救われるのですが、どちらもいまひとつ・・・。 優れているのは原作だけという出来なのが勿体ない。 原作は友人の勧めで買ってはあったのですが、読まず仕舞いでいた作品。 読み物としての方が圧倒的に楽しめる内容だと思います(どのシーンも読書体験の方が楽しめそうだなという想像が先に立ってしまって、損した気分になってしまった)。 [DVD(邦画)] 8点(2008-01-11 05:33:21) |
68. 海を飛ぶ夢
《ネタバレ》 彼を引き留めようとする人たちには愛情からの人と信念からの人という二通りがある。 そのふたつが彼を引き留めるに足る内容であるか検証するならば・・・ 信念からの人は自身の生きる指針を揺るがす恐怖故で、自分本位に過ぎない考えでしょうから却下。 愛情からの人は愛するが故に彼の苦痛もその決意も理解できる。しかし、同意するのは同時に彼との別れを選択することとなるジレンマを抱えている。別れを拒むのは寂しさの補完に過ぎない自分本位な考えでしょうから却下。 つまり、愛情を相互の関係によるものと捉え、ロジックに考えれば、彼への理解(愛)は彼の意志への同意となる。 「私のことを愛しているというのなら同意してくれるはずだ」という彼の言い分は正しいのではないだろうか。 ただ、この作品では自分の周囲では自殺幇助を頼める人物がいない。また、家族の精神的負担の軽減のためにと法による助けを望む内容を孕んでいるので別の意味も有している。 社会性を考え、法でいかに定めるのか。 やはり、彼の場合ではすんなり同意できても他に影響を及ぼす法のあり方を考えるのは複雑だ。 彼の場合なら納得できるという設定を組んで、それでも法は認めなかったという内容であるのは問題提起として有効であったと思う。 [DVD(吹替)] 8点(2008-01-04 21:28:27) |
69. スタンド・バイ・ミー
《ネタバレ》 未熟故に憧れたあれこれ、成長とともに捨てていったあれこれ。 「あの頃のような友人はもう出来ない」と成長した主人公は綴る。 安定を求め、波風を立てない術を身に付けてしまった空しさに襲われる・・・。 かなり漠然としていて明確なドラマは示されないですが、だからこそ名作となり得るのでしょうね。 [DVD(吹替)] 8点(2007-12-30 19:45:55) |
70. 計画性の無い犯罪
《ネタバレ》 痛快っ。 ただ、既に札付きのワルであろう彼らが首謀者が口をわるかもしれないということで保釈させるなんて成り行きは微妙。首謀者を助けてやろうと思い立つような関係性の設定でも組んでおいて欲しかった。 [地上波(字幕)] 8点(2007-12-30 05:49:34) |
71. 日の名残り
《ネタバレ》 結局失恋もすんなりと受け入れ、執事の職へと戻っていく顛末故に難解と捉えられてしまうのかもしれない。 劇的なドラマを期待しても現実では早々そんなものは起こらないし、自らそういう行動をとるのも難しい。 彼にとってはかつての同僚に声を掛けるのが精一杯。彼女の幸せを省みずにドラマを求めるなんて彼にとっては堪えられない愚行。 現実はどんな感情も後悔も飲み込みながら、続く。 [DVD(字幕)] 8点(2007-12-27 16:57:23)(良:1票) |
72. エイリアン2
《ネタバレ》 やっぱりジェームズ・キャルロンは巧いな~。 そして、やっぱり相手が知的生命体じゃないので、対決は大味なものでしか勝負できないのが残念。 構成は前作と一緒だけど、本作のほうが圧倒的にサービス精神旺盛。 でも、今日日の豪華美術セットやCG映像に見慣れちゃったから、どうにも張りぼて感が気になっちゃう。 [地上波(吹替)] 8点(2007-12-20 20:48:21) |
73. ニューヨーク東8番街の奇跡
ひとつの未知との遭遇で住民全て、終いにはチンピラのドラマさえも処理してしまう手腕は素晴らしい。 [DVD(吹替)] 8点(2007-12-16 19:58:00) |
74. 懲戒免職
《ネタバレ》 先生を非難した母親を思わず怒鳴ってしまったことではっきりと本心に気付くという構造なのでしょうが、そのシーンの前から彼女の描写が好意によるものに感じられてしまうので印象が弱くなる。 小説版では客観的で淡々とした一人称が、彼女の心象を伏せたままに読ませてくれたので、その場面に出くわした時には作者の意図に感心させられたのですが・・・やっぱり文芸の扱いってのは難しいですね。 役者の力量不足というのもありそうだし、肝となる母子の場面もどうにも安い。 でも、怒鳴ってしまう内容が直接的なことではなく、普段気になっていた母の若作りに向かうなんてのは「芸」を感じられて好印象(もうちょっと母の若作りという情報を事前にふっておいた方が良かったと思うけど)。 [DVD(邦画)] 8点(2007-12-04 05:15:28) |
75. 母の眠り
《ネタバレ》 親が子に果たすべき責任はあるにしても、子が親に果たすべき責任はないと思う。 老後、病身の世話や介護を期待して子を産んだりするのは無責任極まる。 社会が便宜上提供した「家族」という幸せの観念を鵜呑みにしていた典型的一家に降り掛かるその実態。本作では明らかに子に任せて逃げっぱなしの父親が元凶。家族を持つ覚悟を全くしてなかった人ですね。日本人の父親には山といそう。 結局父親は逃げ切っちゃった感じの扱いなので墓前で「愛してた」て言われてもね・・・。 まあ、こういうことがあると記憶という情念は意外なほど自分の骨身となっているのに気付くもんです。 [DVD(字幕)] 8点(2007-11-30 00:03:23) |
76. 美女缶
きっと相手の中に自分を見付けることが出来れば、誰だって愛せるのだろう。 切なさを助長させるオチもいいっ。 妻夫木版の方が断然心地よく観れますが(商品化されてないのかな?)。 そちらは20分ちょいでまとめられているし、そもそも短編的内容なのでその方がいいでしょう。 故に満点よりマイナス2点。 [DVD(邦画)] 8点(2007-11-28 23:41:24) |
77. 蒲田行進曲
《ネタバレ》 ノンストップでハイテンションなドラマ。 かなり独特でいいですね。 そして、もったいない。 カーテンコール的終焉は百歩譲って許せたとしても、「カット」の掛け声が入るということはメタフィクションになってしまう。 あれだけのドラマを描いておきながら、なかったことにしてしまうなんて・・・もったいない。 [DVD(邦画)] 8点(2007-11-21 11:57:18) |
78. 世界最速のインディアン
ひたすらに前向きな内容。いまだかつてこんな映画を観たことなかった。 ただただバートという人物の人柄と都合よく無償の善意で手助けしてくれる人達との交流を扱っているだけなので作劇という視点では全く芸は無い。普段なら迷わず0点評価を下してしまうところなのですが、こんなお伽話のような話が実話だなんて・・・。 同じ現実世界に生きる者として、とんでもない勇気をもらえました。 物語としての評価など度外視して異例の満点。 ただ、彼の齎した結果はおそらく膨大な知識と経験と努力によるものであって、その描写が希薄であるのには一抹の不安がよぎる。自分は既に下手な勘違いをするような年頃ではないので構いませんが、無闇に希望を与えてしまうようなことは受け手によって危険なことにもなり得ますからね・・・故にそこからマイナス2点。 [DVD(吹替)] 8点(2007-11-16 18:52:23) |
79. インファナル・アフェア
《ネタバレ》 よく出来ているし、単純に楽しめたのですが、同じく潜入していた第三者によって対決の決着がついてしまうのはちょっと拍子抜け。 あんまりマフィア側の奴に感情移入はしないと思うので、結果に唖然とするのみで終わるのも残念。もう一歩踏み込んだドラマ設定が施されていればよかったような・・・。 因に若き日のそれぞれを別の役者が演じていたので序盤はわかりづらかった。 [地上波(字幕)] 8点(2007-11-16 09:47:56) |
80. インサイダー
《ネタバレ》 構成はしっかりと施されており、その展開も面白い。 ただ、ワイガイドの扱いがどうにも釈然としない。 彼の動機がないままに進むからだ。 ワイガイドのにわかな正義感とバーグマンの巧みな誘導で事が進んだという線でみせていれば問題なかったと思う。 それに、そもそもこれはバーグマンの物語だ。 ワイガイドをラッセル・クロウなんてメジャーな役者に振るべきではないし、あそこまでクローズアップすべきではない。 あくまで巻き込まれた軽率な告発者としての存在でよかったのでは。 実話ものとしての配慮なのかな? [ビデオ(字幕)] 8点(2007-11-09 07:39:54) |