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Cinecdockeさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 885
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自己紹介 ハリウッドのブロックバスター映画からヨーロッパのアート映画まで何でも見ています。
「完璧な映画は存在しない」と考えているので、10点はまずないと思いますが、思い入れの強い映画ほど10点付けるかも。
映画の完成度より自分の嗜好で高得点を付けるタイプです。
目指せ1000本!

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61.  サウンド・オブ・ミュージック 《ネタバレ》 
オーストリア旅行前に予習で見ておいたのだが、3時間があっという間だった。戦争に突き進む暗い時代に立ち向かうように、歌と音楽の持つ力がなお一層際立つ。ジュリー・アンドリュースもクリストファー・プラマーもたいへん魅力的であり、ところどころに挟み込まれるユーモアが絶妙(特にラスト直前の修道女の懺悔の下り!)。ロケ地全てに行けてはいないが、あの情景をリアルに見たときの感動は映画を見る前よりも違ったものになったのは感慨深かった。
[DVD(字幕)] 8点(2020-11-27 21:48:59)
62.  となりのトトロ
メッセージ性はなく、大した事件が起きるわけでもない。懐かしの原風景と巨大生物との交流だけで、30年経っても色褪せない世界を創造したことに宮崎駿の凄さを再確認できる逸品。おとぎ話に振りすぎず、あるがままの自然を受け入れるようなバランス感覚が絶妙。
[地上波(邦画)] 8点(2020-08-14 21:55:10)
63.  天使にラブ・ソングを・・・
30年近い前の映画なのに古臭さを全く感じないのが凄い。それはウーピー・ゴールドバーグの強烈なキャラクターに尽きる。俗世にまみれながらも陽気でたくましい。殺伐とした序盤でもコメディタッチで突き抜ける潔さ。そんな彼女が匿われ先の閉塞的な修道院を歌で変えていくわけだが、(たとえ安直でも)歌がどれだけ観客の心を動かすかを教えてくれる。だから、どれだけご都合主義で大団円だろうが許してしまうパワーがあった。細かい部分は気にせず、誰もが楽しめる大衆映画という意味では名作の域ではないか。
[地上波(字幕)] 8点(2020-05-17 12:17:56)
64.  失くした体 《ネタバレ》 
切断された右手の冒険と持ち主の青年の半生が陰鬱に綴られる。独創的でグロテスクで美しい、フランスらしい芸術性の高いアニメーション。設定と作風故に序盤は拒否反応はあったものの、徐々に切断されたあの時に向かって集束していく展開に見入ってしまう。彼の人生は恋とかいった希望を求めては全部裏目に出てしまう過去ばかりであった。ああいうことをしなければ良かったという後悔と共に。その彷徨う右手はどこか希望への執着(=持ち主との接合)、未練みたいなものを感じているように見えた。右手と共にあった人生から切り離されれば、普通は絶望してしまうだろう。生きるも死ぬもどうでもいいとヤケだったに違いない。だが、彼は生きるという賭けに勝った。右手という希望を捨てて、現実に向き合って生きていくことを選んだ。その先は厳しく辛いことばかりかもしれないが、「人生は達観するもの」という真理を突いていると言える。
[インターネット(字幕)] 8点(2020-01-13 23:40:10)
65.  ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド 《ネタバレ》 
直訳で"むかしむかしのハリウッドで・・・"と称されるような、タランティーノ流おとぎ話。界隈から消える恐怖に怯える元人気俳優役のディカプリオと、トレ―ラ―暮らしでも達観しているスタントマン役のブラッド・ピットの組み合わせは意外にも絶妙で自然体。20年前に人気の一位二位を争った二人が共演していたら大事件だったくらいに、双方の魅力を偏りなく惜しみなく注ぎ込む。一方、ストーリー自体は50年前のハリウッドの日常を業界ネタと併せて淡々と綴ったものでしかないが、一見無駄と思われるエピソードの積み重ねが例の事件に集約される脚本の巧みさで最後まで引っ張る。そう、往年の映画ファンならシャロン・テ―トとチャールズ・マンソンを知っていればその陰影がくっきり際立つ。映画牧場のマンソンファミリーの得体の知れない不気味さと、待ち受ける悲劇を知らない映画館のシャロンの笑顔に、『この世界の片隅で』を彷彿とする複雑な感情を抱かせる。そして運命の時が刻一刻と迫り、どんな結末を迎えるか固唾を飲むことになる。彼の過去作品を知っているものなら、結末は予想できるだろう。しかし、これが変化球で強引な筋書きになっていないのが良い。だからこそ現実で叶わなかった切なさでいっぱいになる。シャロン・テ―トが少しでも呪縛から解き放たれ、銀幕のスターとして永遠に生き続けること。タランティーノの切なる祈りだ。
[映画館(字幕)] 8点(2019-09-05 08:16:01)(良:1票)
66.  ひろしま(1953) 《ネタバレ》 
本編のドキュメンタリーが放送されていたため、視聴するには良い機会だった。原爆投下からわずか8年で大作を撮った、いや撮らなければならなかった関係者の強い憤りと訴えが、作品の粗に怯まず、執念としてフィルムに焼き付ける。原爆投下後から数年後に浮上した原爆の後遺症が、戦争孤児がその地盤を強固なものにする。現代のCG技術、メイク技術ならより凄惨な描写をカラーで再現できても、被曝して時が経っていないからこその生々しさには迫れないだろう。名も無き多くの人々が原爆によって死んだことを突き付ける、ラストの演出が強烈なインパクトを残す。語り部も少なくなり、核兵器禁止条約に触れないどころか、むしろ国を守るために憲法改正だ、核を持てという意見も散見し、この叫びが無力で虚しいものはない。劇映画の体裁を取った"記録映画"として貴重な作品。
[地上波(邦画)] 8点(2019-08-18 01:39:49)(良:1票)
67.  新聞記者 《ネタバレ》 
過去の遺産を食い潰す邦画業界の中で出色の出来だろう。真のジャーナリズムとは何か、本当の正義とは何か、それだけ見て見ぬふりの現状に危機感を持っていると言える。本作はフィクションであるがノンフィクションと地続きで、どこが真実かどこが嘘かを自分自身で見極めなければならない。思想に関係なく、無関心であること、思考停止になることは国家の奴隷と同じ。安直に「妄想乙」と決め付けるだけなら誰でもできる。一番重要なのは本やネットの情報を鵜呑みにせず、"自分で考えること"、"行動すること"なのだから。日米韓のアイデンティティを持つ女性記者役がシム・ウンギョン(熱演)というあたりに、下手したら権力に潰されるかもしれない、日本の排他主義的な病理が垣間見える。松坂桃李の絶望とシム・ウンギョンの焦燥で分断されるブラックアウト。バッドエンドか否かを決めるのは他でもない自分たち。「私たち、このままでいいんですか?」。好きでディストピアを選んでいる人などいない。
[映画館(邦画)] 8点(2019-07-16 20:09:11)(良:1票)
68.  紅の豚
宮崎駿最後の娯楽作品と言っても過言ではない。誰に向けて作ったわけでもなく、ほぼ自己満足に近いが、ドックファイトの躍動感と中年男のロマンがほとばしり、観客を楽しませることを忘れていなかった。一見幼稚でバカみたいなんだけども、「カッコいいとはこういうことさ」に感嘆させる説得力が本作品にはあった。品が、風情があった。『もののけ姫』以降、テーマ優先になりすぎて宮崎駿の暴走を補うかのようにジブリのメディア宣伝が過剰になり、"観客も満足させる"ことに視界が入らなくなったように思える。
[地上波(邦画)] 8点(2019-06-29 19:41:06)
69.  美女と野獣(2017)
元になったアニメ版は遠い昔、小学生なりたてで見たっきり。それでも記憶は飛び飛びでも大体のストーリーは覚えていた。たとえ超綺麗事で超大団円だとしても、それでも押し切ってしまう技量に圧倒してしまう。CG技術が追い付いてきたこともあるが、それに溺れることなく、アニメ版で説明不足なシーンの改善、LGBTを暗喩した多様性の強調を自然に挿入しているあたり、妄執に近いレベルで取り組んだことが伺える。言わば実写の成功作である。ちなみに黒人のキャスティングが目立っていたが、18世紀当時のフランスでは既に黒人差別を禁止しており、貴族として生活していた者もいたとのこと。たとえ違和感を持たれてもそういう設定もあながち間違いではない。
[地上波(字幕)] 8点(2019-06-14 22:38:15)
70.  万引き家族 《ネタバレ》 
ケン・ロ―チ監督の『わたしは、ダニエル・ブレイク』同様、見えない貧困を初めとする社会問題に対する無関心への静かな怒りを発した作品だと解釈した。劇中で声を張り上げたり、暴力をふるうことを一切せず、グレーゾーンでひっそり生きる"家族"が皮肉にも血が繋がった家族よりも家族らしくて、ひたひたと心に沁み入ってくる。万引きといった犯罪行為が許されるわけでもない、だが盗みによって救われた命があり、正論だけでは何も解決できない。それでも犯罪で作られた家族の幸せは末長く続かない、終わらせなければならない。多様な視点で善悪の垣根を揺り動かす。仮に超監視社会になって、劇的に犯罪が減っても、都合の悪いもの、汚いものを切り捨てるだけの"美しい日本"を炎上に加わった人たちはその未来を望んでいるのだろうか。自分を含めどこかしら誰かを見下して、他人事のように見ているのかもしれない。"息子"がバスから見たのは最後まで走り続ける"父親"なのか、エンドロール後に"娘"は助けられたのか、本作は世の中を変える力があるのか。"母親"の安藤サクラの涙が印象に残る。格差による断絶が進むだろう令和の時代において、虐待死のニュースを見ても当たり前すぎて何も感じない時代が到来する無情さを感じてしまう。面倒臭いから蓋をする。
[DVD(邦画)] 8点(2019-05-17 00:34:07)
71.  ベルヴィル・ランデブー
過度なまでのデフォルメ、頑なに最小限に抑えた台詞、シュールでブラックユーモアに富んだ展開と、フランス産アニメーションの意気込みが感じられる。日本にもアメリカにもない独創性で癖の強い作風ながら、老婆の大活劇が主体であるため難解なわけでもない。とにかくリズミカルな音楽が今でも耳に残るくらい素晴らしい。この世界観にもっと浸りたいと思ってしまうからこそ、夢から覚めたような寂しげなラストがより余韻を引く。
[DVD(字幕)] 8点(2019-04-28 00:43:24)
72.  スパイダーマン:スパイダーバース 《ネタバレ》 
サム・ライミ版とマーク・ウェブ版を少し見た程度で、 ピーター・パーカーがスパイダーマンになっていく過程もヒロインも違うのだが、 こんなに派生作品があるとは知らなかったし、 「誰もがスパイダーマンになれる」というテーマとして本作はうってつけと言える。  マイルス・モラレスが彼の遺志を継いで本物のスパイダーマンになっていく王道的な物語ながら、 ダメな方のピーター・パーカーを初めとする並行世界のスパイダーマンたちとの邂逅とチームプレイが本作の見どころ。 各々のバックグラウンドは簡潔な説明で済ませて見せ場が少ないながらもキャラが立っており、 物足りなさがある故、個人個人のスピンオフを作って欲しいくらい。 シリアスな物語の中に挟み込まれるユーモアも絶妙で、互いに家族を失った経験を持ち、 譲れないプライドをかけて挑むマイルスと悪党キングピンが激突する展開が熱い。 立体と平面を駆使したアニメーション表現が頭一つどころか頭二つも抜けており、色彩と映像の洪水に圧倒される。 アトラクション映画としてもスパイダーマン映画としても一つの到達点だろう。
[3D(吹替)] 8点(2019-04-23 00:28:13)
73.  Mr.インクレディブル
スーパーヒーローの本音と建前を描いた『ウォッチメン』の設定を意識しながらも、これより分かりやすく、かと言って深刻になりすぎないバランス感覚で、スピード感あふれるエンターテイメントに仕上がっていた。歴代のピクサ―作品では5本の指に入る出来。自分らしさと生き甲斐を見出せず、生きづらさを抱える"力のある者たち"が岐路に立たされながらも奮闘する過程が熱い。彼らだって一歩拗らせらばシンドロームみたいになっていたわけで、往年のヒーロー葛藤ものでは頭一つ抜けている。ピクサー(&ディズニー)でこれほど死が視覚化されているものは他にはなく、なかなか容赦ない作りなのが良い。
[DVD(吹替)] 8点(2019-01-22 23:09:06)
74.  手紙は憶えている 《ネタバレ》 
ストーリーは気になっていてはいたが、今まで見る機会を逃していた。復讐もののはずなのに、序盤から認知症のおじいさんと旅先の人々との交流を描いたロードムービーで呆気に取られる。こんな状態で本当に目的を達成できるのか。ところが次第に違和感が浮上していき、ユーモラスに紡がれるシーンが挟まれていたからこそ、血の凍りつく顛末が何倍にも際立った。当時の記録映像や回想に頼ることなく、小道具だけで虐殺の視点を反転させる演出は見事。"ユダヤ人"として戦後生きてきた男が、実際はナチ看守だった主人公に深い絶望を与えるやり方がえげつなくて、被害者はいつまでも"憶えている"。その業と執念が強烈に焼きつく。"手紙"という脚本通りに事が進むのかは目を瞑っておくとして、クリストファー・プラマーの貫録ある熱演のお陰で高品質のサスペンスに仕上がっている。あまり予備知識を持たずに見て正解の掘り出し物。
[インターネット(字幕)] 8点(2018-12-02 23:42:07)(良:1票)
75.  ファントム・スレッド 《ネタバレ》 
冒頭10分でオートクチュールの仕立屋レイノルズと彼を取り巻く上流階級を隔たりなくスムーズに描く手際の良さに、ポール・トーマス・アンダーソンとダニエル・デイ=ルイスの徹底した芸術家肌を見る。埃一つ落ちていない、一つ一つが芸術品のような仕事場、面倒の無い規則的な習慣こそが彼の世界で彼の全て。ところがアルマという"未完成"な女性を気に入ったことから、静かな不協和音が生じる。自分にとって都合の良い、理想の"マネキン"として仕立てていくはずが、逆にアルマが彼をコントロールしようとする展開からホラー風になる辺りが新鮮。恋愛も結婚もお互いに妥協しながら維持していくものであり、レイノルズみたいな完璧主義者を陥落させるにはどうするかという一つの答えだろう。物事が進まないことを私のせいにするならば、逆に私なしでは生きられないようにしてあげるという、ヤンデレ的なSMプレイ。共依存にも思えなくないが、あえてハッピーエンドで終わらせる潔さを買う。一作一作完全燃焼で全力投球するダニエル・デイ=ルイスの引退作になるのかと思うと寂しい。
[DVD(字幕)] 8点(2018-11-08 18:50:39)(良:1票)
76.  ブラディ・サンデー 《ネタバレ》 
最悪の結果を招いたのは対立だけでなく、北アイルランドのデモ隊とイギリス軍、各々の連携が取れてなかったのだろう。エネルギーの余った若者たちが暴徒化しなければ、本部の指揮と現場の意思疎通が取れていれば、その歯車の噛み合わなさによる悪い偶然が取り返しのつかない事件に発展していく。煽情的に盛り上げることを避け、極めて淡々と描いているが、最後まで飽きさせない構成力。ただの再現ドラマとして細部まで描くのではなく(というよりできない)、その日その日の即興的な演出がむしろ現場を目撃したような迫真さを生み出すことに成功している。世界が事件に関心を持ってもらう意味では、グリーングラス監督の意図は正しい。エンドロールの"Sunday Bloody Sunday"が痛切に響く。
[DVD(字幕)] 8点(2018-11-03 13:21:48)
77.  若おかみは小学生!
TVアニメの映画化には大きく分けて二種類ある。 一つはTVスペシャルの延長線上として、 もう一つは映画向けに再構成したものとして。 本作は明らかに後者。  タイトルに反してシビアな設定から視聴に消極的だったが、 子供も見るためか重くなりすぎずサラッと描き、 シリアスとコメディのバランスが丁度良く、テンポ良くて見やすい。 良くも悪くも王道の予想通りの展開に終始しながらも、 ギョッとする捻りを加えてくるのでズシンと心にくる。  既に指摘されている通り、90分弱で一年間を描くには駆け足気味で、 終盤のアクシデントでご都合主義が目立つ。 鳴り物入りの企画だったかもしれないが、2時間じっくり描いてくれれば、 終盤の展開が活きて納得できただろう。 描き切れなかったエピソードがあるなら、是非完全版も作って欲しい。  なお、TVアニメは見なくても十分楽しめるが、成り行きや作風が微妙に違っていて、 映画ではカットされた多数の人間関係に焦点を当てているあたり、 お互いの足りない部分を補完し合っているようで面白い。
[映画館(邦画)] 8点(2018-11-01 22:29:14)(良:1票)
78.  カメラを止めるな!
予告編或いはレビューを見たら本作の面白さは半減する。だからといって37分ワンカットとその後の展開に新鮮味があるわけでもない。なのに、もう一度見返したくなる。チープなようでいて、全てが計算された脚本の勝利と言える。ストップボタンの押せない映画館だからこその共有感で、テレビ放送なら絶対に感動できないだろう。今後、多くのオファーが舞い込む映画愛が迸る若き才能が、粗製乱造で買い叩きの邦画業界に潰されなければいいが・・・
[映画館(邦画)] 8点(2018-08-29 00:55:21)
79.  プラトーン 《ネタバレ》 
ベトナム戦争で行われた米軍の蛮行と狂気を描いた力作は他にもあるが、従軍経験のある監督の目線で描いているだけに貴重と言える。戦闘以外の細やかな日常描写にも隅々にリアリティが行き渡る。戦争の無い世界だったら理想の上司として愛されていたエリアスは、人間であり続けるために理想との狭間に苦しみ麻薬に逃げる。そう、常識も倫理も通用しない戦場ではバーンズのような冷酷な人間が生き残り、成果を上げているのが現実。生活のため、愛国のため、ただ人殺しするため・・・行き着く先は彼らを掌で踊らす国家に対する怒りと憂いである。内省はあれど同じことを延々と繰り返すアメリカ。それは、軍需なしでは維持できない、武器を放棄すれば無慈悲に潰される、虚勢で築かれた国家の病理そのもの。ジレンマに揺さぶられながらも、非人道的行為の真実を伝え、ダメなものはダメと言えない国に未来はない。
[DVD(字幕)] 8点(2018-07-31 22:01:24)
80.  別離(2011) 《ネタバレ》 
誰が悪く、誰に責任があるのか。言葉の応酬が繰り広げられ、家族を守るための嘘が双方の傷口を大きく広げていく。追い出した際に階段まで転げ落ちたのか、それ以前に自動車と接触していたのか、家政婦の流産の原因は明かされることはない。そう、真の主人公は、高度成長で一見普通に生活しているように見えて、イスラム教による厳しい戒律が根底にあるイランだということ。息苦しく閉鎖的で下手に身動きしたら状況を拗らせる複雑な社会構造が垣間見える、ありのままのイランの姿。国外脱出する母親と、イランに残る父親のどちらを娘は選ぶのか。断絶を象徴するラストカットに沈黙する。
[映画館(字幕)] 8点(2018-06-20 19:13:53)
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