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あにやん‍🌈さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2517
性別
ホームページ http://coco.to/author/aniyan_otakoji
自己紹介 レビューを相当サボってしまってるの、単に面倒になっちゃってるからなんですよね。トシのせいか、色々とメンド臭くなっちゃって。
映画自体、コロナ禍以降そんなに見に行かなくなったのだけど、それでも年に70~80本は見てるワケで(でも今年は50本行かないかな?)、レビュー書けよ自分、って思ってる、でもなんか書かない、みたいな。
これからは今までよりも短文でレビューを上げてゆきたいな、と思う次第であります・・・微妙だけど。.

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781.  アーティスト
ハリウッドメジャーが100周年を迎える今、アカデミー賞がこの映画を作品賞に選び、『ヒューゴの不思議な発明』をノミネートした事には大きな意味、意義があると思います。これは『ヒューゴ』と対を成すような、まるで2つで1つの作品として成立するような映画。『ヒューゴ』がハードウェアとしての映画を最新のCGと3Dを駆使して描いたのに対して、こちらはほぼ同じテーマをクラシカルなスタンダードサイズのモノクロ画面にサイレントで描いています。技法は真逆ではあるけれど、どちらも装置としての映画を語るために明らかにその装置そのものを意識した作りになっているという点がポイント。本来、装置なんてモノは脇役、目立たなければ目立たない程いいのだとは思いますが、今の時代にスタンダードだったりモノクロだったりすると、これが逆に目立つ訳ですね。本編の中ではトーキーというテクノロジーの進化が鍵になって物語が展開するのですが、観客に「映画から音が出るという事」を思いっきり意識させます。その不自然っぷりは主人公の心情を際立たせ、変化の過程の中で時代に取り残されていった者へのリスペクトを描く事で、映画への愛、映画の悦びを具象化していると思います。っていうか、やっぱり映画っていいよね。だってそんなに理屈っぽくならなくても、この映画を見ている間、とても幸せだったものね。
[映画館(字幕)] 9点(2012-04-08 14:21:46)(良:1票)
782.  ヒューゴの不思議な発明
物語やエピソードは必ずしもちゃんとした流れが作られておらず、例えば公安官から逃げて窓の外にぶら下がるシーンではハロルド・ロイドへのオマージュ以外の、物語的に次に繋がる有機的な展開を与えるような事がなかったりして、話としての弱さを感じたりもするのですが、この映画全体こそが仕掛けられた装置なのでは、と思います。これは「ハードウェアとしての映画」についての映画。人の手によって動かされ、与えられた役割を果たすオモチャや人形のゼンマイ、時計の歯車、汽車の車輪、そしてカメラと映写機のクランク。回転する装置よって紡ぎ出されてゆく世界。あの人形に象徴されるように、物体が人の想いを得る事で心を持つ。映画がただ作品=ソフトウェアとしてのみで完結している視点からは決して生まれ得ない、ちょっとフェティッシュな作品であると思います。この映画がプロの人々が選ぶアカデミー賞で作品賞にノミネートされた理由が判る気がします。観客は与えられたソフトウェアとしての作品に触れているのですが、撮影現場ではハードウェアに生命を吹き込んで初めて映画が動き出すのですから。アタマだけ、感覚や理屈や理論だけで映画が撮れる訳じゃないですもんね。物理的作用の賜物。特殊音響装置であるセンサラウンドがきっかけで映画を好きになった私なので、3DやCGというメリエスの精神の延長線上に存在しているギミックを駆使し、見世物装置としての視点から映画を捉えたこの作品には、とても心躍り、動かされるものがありました。
[映画館(字幕)] 9点(2012-04-08 14:20:13)(良:1票)
783.  ハラがコレなんで 《ネタバレ》 
光子が粋なのかどうかを客観的に判断しようとすれば、そりゃとてもじゃないけれど粋とは言い難い訳ですよ。単に無理してるばかりで。どちらかと言えばみっともない。アメリカから逃げ帰ったような状態で、だけど両親にはまだアメリカに居るように思わせてたり、臨月になっても何らかのヴィジョンがある訳でもなく貧乏長屋に逃げる事になったり、自分の生活もロクに確立できてない状態で何が粋か、っていう。んでも、それでいいんじゃない?って思うんですよね。ボロボロになって明日をも知れない状態になっても光子なりの粋を通そうとする姿勢、自分の事はさて置いてでも、他人の事を気遣ってみせようとする姿勢、そういう光子をただのウザいキャラで片付けてしまうようであるならば、それはそれでなんか悲しいじゃん。光子自身はちっとも粋でなくたって、光子が示し続けるベクトルってのは粋なんですよ。ただでさえ人と人との隔たりが大きくなって、だけど助け合いが必要になっているような世の中で、物事を傍観して批判したり冷笑したりしてるよりは、多少無理だったり、おせっかいだったりしても人と関わってた方がよっぽどマシなんじゃないかっていう。仲里依紗が色気を無視した演技で突っ走る光子のその揺るぎのない真っ直ぐっぷりは、いっそ清々しさすら感じるのでした。
[映画館(邦画)] 9点(2012-04-02 14:46:51)
784.  ドライヴ(2011) 《ネタバレ》 
もうホント「話のつまらなさ」だけがこの映画の欠点で、だけどそれが自分としては酷い減点対象で。カメラとか照明とか色彩設計とか、とってもいいんですよね。ビルや街灯や車内の照明が作り出す夜の街の空気感。光と影、暖色と寒色のコントラストを作って、徹底的に光側と影側、暖色側と寒色側に被写体を分けるこだわり。寡黙な、静かな時が流れてゆく中で、じわりと染み出してくる生と死の匂い。主人公が返り血に染まったサソリのジャケットをもう脱ごうともしない時点で、主人公の意志がどこに向っているのかが判る、そこに漂う切なさ。そういう上手さを評価する事はいくらでもできる、よく撮れてる映画なんですけどもさー、話がありきたりなヤクザ映画。いや、ヤクザ絡み映画っていうか。『さらば映画の友よ インディアンサマー』とか『3-4X10月』とかみたいな。血みどろバイオレンスシーンは、そういう映画なんだからそうなんでしょうよ、って状態ですけれど、せっかくのテクニックが、その程度のハナシでいいのかねぇ?って感じがしてしまって仕方ないワケですよ。今時「せな(背中)で泣いてる唐獅子牡丹」やっちゃってるよ~、ってのが正直な感想。どうせそこまでカッコ付けるなら、もっともっと削ぎ落としたシャープな映画でも良かったんじゃないかなぁ。
[映画館(字幕)] 5点(2012-04-01 14:56:23)
785.  マリリン 7日間の恋 《ネタバレ》 
表面をサラリサラリとなぞるだけのもどかしい映画。ローレンス・オリビエを演じるケネス・ブラナーはなかなか人間クサい面白い存在感を見せておりますが、主人公となるコリンがいけません。終始ニヤけているばかり、ただ下半身で思考するバカって感じで、ラストに至り、成長した?どこが?みたいな(成長をわざわざセリフにしちゃうあたりが、なんつーかもう・・・)。この映画、結局は『カイロの紫のバラ』の実在版みたいなモンなのですが、決定的な弱点が、その主人公の品性と、そしてマリリン・モンローという存在の捉え方。ミシェル・ウィリアムズはマリリンを好演しております。スクリーンに映る彼女はマリリンに見えない事もないです。でも、ノーマ・ジーンではないです。ノーマ・ジーンとしての彼女を捉えなければならないであろう幾つものエピソードが、まるで生の存在感を見せようとはせずに逃げ続けているような感じ。人としての存在感は既知の表面的なエピソードばかりで回避され、カメラのフレームの外側の描写であっても、ただ持ち前の性格で男を手玉に取るだけのシンボライズされたマリリン・モンローでしかない状態。そここそをドラマとして描いて見せて欲しかったのですが。登場人物それぞれが、映画製作の背後に存在する虚と実のギャップに悩むハナシであるのに、この映画そのものが虚の部分ばかりで実に迫れていないって、どんな冗談なのよ?という感じではありました。つーか、ラストの酒宿のシーンでカタルシスを与えようってな了見であるならば、所詮マリリンを捉える視点ってその程度だったのかっていう、こりゃまた随分と安い、意識の低い映画ですなぁ。ノーマ・ジーンを描き分けられてこそ、マリリンである事の意味というのが浮き上がってくる訳ですからねぇ。
[映画館(字幕)] 4点(2012-03-29 23:26:55)(良:2票)
786.  ドラゴン・タトゥーの女 《ネタバレ》 
昔から変わらぬフィンチャー映画の、タイトル部分はカッコ良く(しかし撮ってるのは今回もフィンチャーとは別の存在だ)、本編はちょっとクドくて、テンポ良い編集なワリに展開は鈍重ってパターンを踏襲してはおります。もうちょっとシャープに切れないかね? 長いよ。冒頭からしばらくはシンドいシンドい。事件に関わる人の名前をだーっと羅列して、ミステリーなんだからここで人物関係を覚えましょう、って状態に辟易。しかも実は大してその人物関係が重要じゃないんだ、これが。別にここをちゃんと覚えておく必要はなかったりするんです。だけど映画が進むに従って、どんどん面白くなってゆくという。並行して描かれるミカエルとリスベットのエピソードが、一体どこでどういう形で交わっていくのか、まるで見当も付かない状態から、どんどんと相互が有機的に作用してゆくようになる状態にワクワク(一方でミステリーとしては別に何か新しいトリックがある訳でもなく、ちっとも面白くなかったりするのですが)。ゆえにラストでリスベットがそれまで殺していた人間的な側面を見せる切なさが迫ってきます。リスベットはしたたかに生き、レイプすらも予測して計画を練る訳ですが、じゃあ、あれに対してリスベットが痛みを抱いていなかった、作戦にまんまと引っかかった事への成功を喜べたのか、と言えば、決してそうじゃない事は、あの夜、リスベットが一人帰路につく後姿に悲しいくらいにこびりついている訳で。ただ、そういうリスベットの痛みにもう少しだけちゃんと寄れなかったかな、っていう感じはします。最後まで見て、事件の真相部分も含めて、やっぱり『男が作った映画』ってニオイが漂っている感じで。素材に対して大切に描いているつもりで無神経な扱いをしてしまっている感が無きにしもあらず。その部分をあまりにあからさまに扱ってしまっていて、さりとてセカンドレイプについて言及している映画って訳ではないですからねぇ。娯楽映画という名の様式が、その部分の問題を逆に浮き彫りにしてしまった感もあって、見終わって面白かったけれど、でもちょっと心にひっかかってしまう、って映画でした。
[映画館(字幕)] 7点(2012-03-26 21:15:34)(良:3票)
787.  長ぐつをはいたネコ(2011) 《ネタバレ》 
施設で兄弟のように育った二人。一人は正義の道に、一人は悪の道に・・・って最初に思い出したのは『ラッシュアワー3』ですが(そっくりなシーンまで登場して)、考えてみれば香港映画にはよくあるパターンで。『ヤングマスター/師弟出馬』もこんな話でしたっけ。元々、よくあるハナシを動物やモンスターに置き換えてみせるのがドリームワークス・アニメーションのパターンではあるのですが、こうもフツーに置き換えられてしまうと、もう少しキャラの個性でヒネってくれないかなぁ、と思ってしまいます。ちょっと『モンスターVSエイリアン』以前のドリームワークスに戻ったような感じ。『シュレック』からのスピンオフですから仕方ないですか。プスの得意技が炸裂するかと思いきや、アレは殆ど出してくれませんし、ネコである事を利用した個性ある作劇があまり見当たらないあたり、『アンツ』や『シャークテイル』あたりの悪癖再発?みたいに感じてしまって。ハンプティの個性がちょっと面白かったのですが、プスやヒロインはもっともっとネコであって良かったと思うのですよね。全編を貫くラテンノリにしても、じゃあ、ラテンがネコって個性にどれだけ有効に作用してるの?って考えると、うーん・・・。そのもふもふっぷりは見事なのですが。ちょっと前まで、CGでもふもふさせるのって、とても難しかったワケで(前世紀末の頃の映画にはキビシい毛並みの生き物が色々と登場したものです)。ビジュアルや3Dの見せ方はさすがのドリームワークス。余談ですが、何がなんでもフルプライス取るIMAXデジタルはやっぱり高いなぁ。前売り券を買った意味がないや。特典のねこじゃらしクリーナーを貰った分だけまだ良しとすべきですか。
[映画館(吹替)] 6点(2012-03-25 22:31:44)
788.  トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン Part 1 《ネタバレ》 
まず、最大の難点。あの狼族の刻印とかいうやつ、これまでのシリーズで語られてきました? この完結編前半の展開を安直に解決に導く、とても便利な存在として出てきてしまうワケですが。大体、刻印というのがどういう仕組み、どういう状況で成立するのか、映画で語られていないので、いきなりセリフで出されたところで「へ?」って感じで。それにしても完結編の前半だってのに、まーた延々と「うふふあはは」してて、そうそう、このシリーズってその「うふふあはは」が本体で、あとはオマケみたいなモンだよねぇ、って思い出したりして。で、エドワードの誤爆によるベラの生命の危機がメインという、ツッコミどころ満載な作品の後半部分、生命を削られてゆくベラのメイクやり過ぎ。あれじゃ『バタリアン』のオバンバか『スペースバンパイア』のミイラバンパイアだよ・・・。そういうのはリアルでなくていいのに。美しいままっていうウソでも許容できるモノなのに。せっかくの南国の島で「うふふあはは」な映画だったのにヒロインの存在がホラーになってどうすんの。最後の最後にやっとこさシリーズにとっての脅威が登場するものの、意味不明な会話のみで1シーンだけという、完結編に向けて全然引っ張れてないよ!っていうユルさも含めて「コレが『トワイライト・サーガ』なんだろうねぇ、せっかくここまで付き合ってきたんだから、まあ最後まで見ようかねぇ」と、ごくごく消極的ながらもなんとなく楽しめていない事もない私ではありました。一応、それぞれのキャラの行く末が気にならない事もないですし。それにしても、結婚式に出席した花婿の親戚一同全員具合が悪そうな顔色してるって誰かツッコまないのかねぇ?
[映画館(字幕)] 5点(2012-03-25 16:59:15)
789.  シャーロック・ホームズ/シャドウ ゲーム 《ネタバレ》 
前作からずっと「原作から離れた全く新しいイメージのホームズです」って状態だったのに、クライマックスで「滝の上にホームズとモリアーティを立たせるな!(笑)」と突如として原作シリーズを読んだ事のある人間を楽しませるような展開になって、むしろ映画だけじゃラストの展開が意味不明になってないかなぁ?なんて心配になったりして。この映画、ホームズファンをどうしたいんだ? まあ、それはともかく、肉弾戦型ヒーロー、とりあえずドカーン!とやらかさにゃ話は進まないってパターンは相変わらず、前作であんなに頑張って救ったヒロインを早々に退場させちゃったり、森での逃走以降がぷっつりテンション切れちゃって、そこから後が蛇足的にグダグダしちゃったりするあたりは不満ですが、二作目ともなると、このホームズとワトソン君にも愛着が湧いてきて。ホームズがボケてワトソンがツッコむってパターンを(ちょっといしいひさいち版みたいだ)存分に楽しませて貰えれば、それで十分なのかな。ロバート・ダウニーJr.にはどうか、アッチの社長との演じ分けを頑張って頂きたいところですが。ロンドンの風景も音楽もステキだし、冒険活劇ホームズもアリでしょう。あまりゲイっぽさは出さなくていいと思うケドね・・・。
[映画館(字幕)] 7点(2012-03-25 16:31:12)(良:1票)
790.  TIME/タイム 《ネタバレ》 
時間に支配されるという設定はとても面白いのですが、なんともユルユルな映画でして。映画の中で発揮される力のベクトルが曖昧で、色々とハンパな状態であると思うのですよね。アンチユートピアの基本設定がちゃんとSFとして昇華されていない、徹底的に細部のディティールまでを設定していないから、それおかしいだろ?って箇所だらけになっちゃう。時間を通貨として単純に置換し過ぎなんです。この『銀河鉄道999』的テーマを抱えた作品は、「限りある命の物語」のハズが資本主義経済に対する疑問のようになってしまい、反社会的分子の物語へと堕してしまっているようで。それとて、そちらに突っ走りきれてなく、SFにもファンタジーにもなれずにあちこち曖昧。限られた時間が生み出すギリギリのサスペンス、っていうのも時間の扱いが意外と雑なので、唐突に訪れる危機!の繰り返し。階層によって区切られた地域、あれが、じゃあ具体的にどのような地図を描いているのか、そこを追う者、追われる者がどのように移動する事になるのかも、もう全然把握させるように描かれてはいない訳で、追う側のベクトル→に対して、追われる側が同一方向→に銃撃してみせるというマヌケなミスショットにも象徴されるように、物語がどこを目指すのか、どこに向って突き進むのか、もうヘナヘナな状態。ロボット出しただけ、宇宙船出しただけでSFにはならないように、雰囲気だけでSFにはならないのよね。でも、アマンダはステキざんした。あの髪型はどーかと思うケド。
[映画館(字幕)] 4点(2012-03-25 15:49:49)(良:2票)
791.  マーガレット・サッチャー/鉄の女の涙 《ネタバレ》 
ちょっと肩すかしではありました。認知症を患った状態で回想されてゆくマーガレット・サッチャーの記憶という表現スタイルは、めぼしいところを見繕って抓むかのように断片化され、見応えのあるエピソードをずっしりと味わわせようとはしてくれません。少女が政治に目覚めてゆく過程も、一介の議員が首相にまで登り詰めてゆく過程も幾つかの短いエピソードに集約され、省略されてしまうので、全体的に物足らなさが残ります。彼女がオックスフォード大学に受かった事を喜ぶ父と、拒絶するかのような態度を取る母、彼女の家庭の状況、立場をあれだけで表現するのは上手いというよりは、もう少し突っ込んだドラマを見せてよ、って感じで。ですが、メリルの演技によって、イギリスの歴史に名を残す女性首相の存在感に関しては「もの凄い」レベルで伝わってきます。メリルの演技は『ジュリー&ジュリア』の時のように、ある意味、役を楽しんで作っているんじゃないか?って感じもありますが(あの発声っぷりはいかにも彼女の「芸」ですよね)、妻であり母であり首相であったマーガレット・サッチャーという人物の生が流れ込むように伝わってきて、見ている間、何度もメリルとサッチャーの両方の顔を思い出さないと頭の中で区別がつかなくなってくるような感じで。一人の女性と一国の主との狭間でいかに自分であり続けられるのか、その辛さ、重さ、痛み、それは映画の力というよりはメリルの力によって説得力を伴って描出されていた感じがしました。
[映画館(字幕)] 7点(2012-03-18 15:47:59)(良:2票)
792.  アンフェア the answer 《ネタバレ》 
それまで全く『アンフェア』って見た事がなかったのですが、冒頭にこれまでのあらすじがあるから大丈夫、ってフレコミだったので・・・って、なんにも判りゃしません。この映画だけ見た限りでは、一体何が面白いんだかよく判らないってゆー。『羊たちの沈黙』の安直なコピーみたいな部分がキモって訳ではないですよねぇ。騙し騙され、って部分が重要なのかな? でも、それはワリと早くから読めます。アレが裏で、だけど更にアレが、みたいなところまで。予告編の「お前は馬鹿か」が本編で延々と出てこない時点で予告は実はネタバレでした、って状態ですしねぇ。いちいちネタばらしの巻き戻しと言うか回想みたいなのが出てくるあたりがこの作品のキモなのかもしれませんが、脚本が雑で、果たしてソレはアリなのか?というエピソードが連続しているために、そこで膝を叩いて納得、ってワケにはいきません。このタイトル、ミステリーサスペンスとしてちゃんと筋を通せてない脚本自体がアンフェアです、って意味なんですかねぇ。せめて篠原涼子をもう少しキレイに撮ってあげるべきだと思いました。延々しかめっ面な上にいちいち汚れてたんじゃねぇ。余談ですが劇中とても気になったのが「USB」。登場人物全員がUSBメモリの事をUSBって言ってたのですが、見ていて規格というかコネクタの形状ばかり頭に浮かんで。アレ、フツーにUSBって言いますかねぇ?
[映画館(邦画)] 2点(2012-03-07 23:45:53)
793.  ALWAYS 三丁目の夕日‘64 《ネタバレ》 
記憶に残る、路面電車とトロリーバスの架線が作る東京の低い低い空を再現してみせたオープニング、そして3Dで手が届きそうな東京タワーで、今回もまたやってくれると思いました。だけど、今回はあまり時代と人とが共存してるって感じがしないんですよね。新幹線開業や東京オリンピックなど懐かしネタを散りばめてはいるものの、その時代の生活の空気がドラマに深く根ざしてはおらず、これまでのシリーズで確立されたキャラクターのイメージに頼っているような感じ。で、そうなってしまうと茶川のキャラはひたすらウザく、そして語られる多くのエピソードはあまりのベタっぷりが浮彫りになって。昭和30年代を舞台にした物語ですよ、というのが大前提にあって、たとえ嘘クサくても昭和ノスタルジーの匂いが漂っていればこそ、そのドラマに酔う事もできたのですが、このギリギリの時代設定(もう少しだけ経過すると高度成長から公害の時代へ突入して鉛色をした現実の痛みの方が大きな記憶になります)を、今一つ上手に利用できていなかったな、って感じました。鈴木オート、いくらなんでもカラーテレビ購入が早過ぎです(笑) あんな庶民生活してて、何故そういう高価なモノに手を出すかなぁ。そういう、周囲よりも時代の先へ進んじゃおうとする人を描く事で、昭和レトロな雰囲気がぶち壊れちゃうとは思いませんでしたかねぇ? 当時の「未来を信じて前を向いてゆくキモチ」っていうのは、その記憶があればこそ有効な訳で、作家として成功しちゃうとかいう状態も含めて、庶民レベルでない状況を描いてしまうと、それは受け手に違和感を与えかねないのではないかなぁ。つーか、吉岡さんの演技はなんで他の作品も含めて毎度いつも同じですかね? 3Dも最初の東京タワー以外、特に意味は無し。でもまあ、寅さん的な、待ってました!ってノリ(鈴木オートの怒り大爆発!みたいな、ね)はやっぱり楽しませて貰いましたし、淳之介の旅立ちには感慨深いものもあって、シリーズを通して見ていれば十分に楽しめる作品ではありました。
[映画館(邦画)] 6点(2012-03-05 15:37:03)
794.  戦火の馬 《ネタバレ》 
スピルバーグは一貫して喪失の映画を撮ってきていて(失われた何かを取り返そうとし、例え取り返せたとしてもその結果はせいぜいゼロに戻るくらいで大抵はマイナス)、この馬の視点で描かれた新作もまた、ひたすら喪失の物語でした。シネスコの横長画面をスピルバーグらしいクレーンショットと横移動主体で捉えたノスタルジックな映像は、延々と戦争がもたらす別れと死を綴ってゆきます。『プライベート・ライアン』のように、あるいは『宇宙戦争』のように直接的な死の匂い、血の匂いを前面に叩きつける事はありませんが、馬の瞳に映るそれは無常感に満ちた世界であると言えます。そんな中に仄かに光る人間という生物への希望、その甘いオプティミスティックさ加減に違和感が残らないとは言い切れないものの、これまで人の世の無常をこれでもかとぶちまけてきたスピルバーグの、これが精一杯の人間賛歌だと捉えたいと思います。まあ、最終的に人よりも馬の印象ばかりが残ってしまう映画ではあるのですが、それもまた一貫したスピルバーグらしさという事で。
[映画館(字幕)] 8点(2012-03-04 14:48:00)
795.  映画 けいおん! 《ネタバレ》 
【リピーターシート2枚を埋め、ポスカをコンプリートした私に、商法を批判する資格はないので書き直し】『けいおん!』は原作、テレビ1期2期と、ずっとこのままでいたいという思いと、時は移り人は変わるという現実感の間でせめぎあいを続ける作品でした。2期13話『残暑見舞い!』は、梓の見る夢が主となる、軽音部の先輩4人が、実は梓の見た夢の中にだけ存在するかのような不安感を煽る一編で、それは『けいおん!』を支配する『うる星やつら2 ビューティフルドリーマー』と同様の閉塞された理想郷に対する(それを否定するのではなく、作品世界全体が単なる幻ではないかという)不安感に繋がり、映画の惹句にもなった20話での唯の「私たちはいつまでも放課後です」という台詞に象徴されるようでもあって。一方で1年生で軽音部を築いた4人は2年で後輩を迎え3年で受験、卒業に向かい、作品内に時が流れているというルールが明示される事によって(永遠を過ごす『サザエさん』や一時代が無限増殖しパラレル化する『ちびまる子ちゃん』と違い)1つの終わりを迎えるのは必至である事が明白であって。そのせめぎあいに1つの結論をもたらすのがこの映画だったように思います。永遠の日常からの飛躍のようにロンドンへの卒業旅行があり、更に成り行きとはいえロンドンライブを行う事によって『けいおん!』は次への変容を見せるかのように思えます。しかし、そのライブによって唯達が辿り着いた結論がクラスメイトのための教室ライブであり、最後はたった一人の後輩のために歌われる歌であり。歌の最後の1フレーズは「ずっと永遠に一緒だよ」。ひとつの作品として閉塞されるのではなく、この先、時が移り人や時代が変容しようとも、『けいおん!』世界の大気は不変であると宣言してみせたのが映画版だったのではないかと思います。なので、某ラジオで指摘されていた、映画として『けいおん!』世界を終わらせる程の徹底的な終わりを求めるのは見当ハズレなんじゃないの?って気もします。普遍的なヌルさ、心地良さを否定しなければ生きてゆけない訳ではないですものね。映像的なミス、不自然な箇所が散見される作品ではあるものの、ジブリを過去のモノにもしかねない「無駄たっぷりの作画」(人の所作が常に重要で必要なものばかりな訳もなく)を細やかに駆使した京アニとメインを女性が占めるスタッフの今後に更なる期待が持てました。
[映画館(邦画)] 9点(2012-03-02 21:50:57)
796.  宇宙人ポール 《ネタバレ》 
『スーパー8』よりも更にスピルバーグの血が濃い映画で、だけどアチラは昔の子供時代のノスタルジー、こちらは昔をひきずったまま大人になってる現在のイタい人のハナシ。冒頭のほんの数カットで『バック・トゥ・ザ・フューチャー』から『ポルターガイスト』そして『未知との遭遇』!ってハマれる人間には間違いなくツボを押さえて来まくる映画です。この映画の情報を一切シャットアウトしていても、映画を見ていてポールがどこを目指しているのか(ワイオミングって言われたらねぇ)、黒幕の正体が誰なのか(この人しかいないでしょ?)はすぐに判ってしまって、その通りになる事に無上の喜びを得られるっていうのがとても幸せな事で。大量のレイア姫(しかもEP6のジャバに捉えられてる時の衣装!)や聖櫃が眠っている倉庫、クリンゴン語にオタク歓喜。だけど、それだけでいいんか?っていうのがこの映画でもあって。価値観が固まって停滞したところから先に進む事を示してみせるワケです。『けいおん!』に今更どハマリして、スタンプラリーで池袋から新宿そして渋谷に流れた末の映画館でこの映画を見てる自分の状態が、なんとも内容によくマッチしていて。まあ、だけどこの映画のメッセージは、それでいいから突き進め、って事だと理解するコトにしました。はい。
[映画館(字幕)] 9点(2011-12-18 23:37:51)
797.  ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル 《ネタバレ》 
『Mr.インクレディブル』の監督らしく、大変に明快、判り易い映画で、その分、実写作品としての厚みはまるっきりないペラペラさなんですけれど、これぞ娯楽映画!って感じでいいんじゃないでしょうか。沢山登場するガジェットの面白さにちょっと頼り過ぎな気はします(ロジャー・ムーア時代の007みたい)。敵役を殆ど描かず、主人公チームにひたすら寄り添う事に徹底した分、事態の重大さがあまり見えて来ない感じもありました。でも、トムの俺様っぷりが強調され過ぎず、チームものとしての面白さを見せていたのが良かったです。『スパイ大作戦』の映画化としては、4作目になる今回が最も近かったんじゃないでしょうか。これまでは物語をヒネり過ぎてたり、ひたすら前に出るのがイーサン・ハントのみ(つーかトムクルのみ)!って状態で、『スパイ大作戦』の面白さとは微妙に、あるいは大きくズレが生じてた感じが無きにしもあらずでしたからねぇ。やっぱり、現実はともかく映画ではスパイは潜入アクションで魅せてナンボ。ただ、女殺し屋のあっけなさは勿体なさ過ぎ。もっと引っ張って良かったのにねぇ。
[映画館(字幕)] 6点(2011-12-18 21:52:39)(良:2票)
798.  リアル・スティール 《ネタバレ》 
オヤジがあまりにダメなヤツで、それが延々とクライマックスあたりまで続くのでイライラ。借金踏み倒しまくりな上に逆ギレで暴行、子供を金で売り、バクチばかりなんて状態で、そんなオッサンにあんまり未来とか夢見て欲しくない感じがするワケですよ。そういう部分をSF的設定のディティール描写で補ってくれればいいのですが、これがまあひどく杜撰で。そもそも打ち捨てられていたあのスパーリングロボット、第2世代の旧式であるにも関わらず、金をかけた百戦錬磨の最新式バトルロボットに対抗し得る能力を有している理由っていうのが全く理解できません。いや、オヤジのボクシングの才能と子供のハード&ソフトウェアに対する才能、そして流用されたパーツとが有利に働きました、って設定が存在しているのは判るんですよ。でも、それがあのボロいロボットに徹底的にフィードバックされてるワケではないじゃないですか。既にベースとしてあのボロがとても優秀でした、みたいな状態で、そこから生まれるのは説得力ではなくて疑問ばかり。SFとしてのディティールが疎かになっていて、結局『ロッキー』のまんまコピーでカタを付けてる状態では、なんていうか、マンガだわなぁ、って感じで。弱者が強者に立ち向かってゆくエキサイティングな展開!って力技でねじ伏せようとしている、ちょっとあざとい感じがする映画でした。
[映画館(字幕)] 5点(2011-12-12 22:32:02)(良:1票)
799.  アーサー・クリスマスの大冒険 《ネタバレ》 
前半の、クリスマスプレゼントを世界中の子供達に届ける、そのクリスマスカラーに溢れたアクションとスペクタクルの世界はワクワクしてとても楽しめました。だけど、たった一人、プレゼントを渡し損なった子供のために、主人公アーサーとおじいさん、一人のエルフが制限時間内にプレゼントを届けるという冒険物語になってから、なんかどんどんテンションが下がってしまい。出発時の旧型のソリに乗ってのワクワクは、おじいさんの迷惑っぷりを原因とする物語の空回りの繰り返しによってどんどんと冷めてしまい、後半は退屈し始める始末。あれ、せめておじいさん原因は1つ2つに止めておいて、もっと他の新たな難関が、ってカタチにすれば良かったのにね。孤島に墜落して物語が落ち込んでからの逆転展開もあまり盛り上がりになってない感じ(あの、周回軌道を描くソリを捉まえるって部分に説得力のある流れがないような)。四散したトナカイの回収は本編中でしてくれないと気になっちゃって仕方なかったですし。結局、サンタクロース一家の、一家族の物語として閉じている、そこに今一つ魅力が足りない気がしました。主人公と父母、お爺さん、兄。この限られたドラマを語る人々にあんまり魅かれる事がありませんでした。もう少し面白味のあるキャラが居て良かったと思うんですけどね。あと一人、家族が居るだけで良かったんじゃないかな。つーか、ヒロイン不在映画なワケで、それだけでなんかね・・・
[映画館(吹替)] 6点(2011-12-04 20:17:21)
800.  タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密 《ネタバレ》 
私が映画オタクになった頃に一躍トップに躍り出たスピルバーグと、その世界を音楽で彩ったジョン・ウィリアムズ。そのコンビが今の時代に、まだこんなにも最前線で勝負できてるって事が何より嬉しい映画でした。今や世の中にCGが溢れかえり、どんなに実写に近づき、どんなに凄いCGを見せたところで「所詮はCG」と思わせてしまう状況の中にあって、スピルバーグはあくまで映像表現の道具としてのCGの見せ方を圧倒的なレベルで見せてきます。全編、CGでなければ表現できない、CGだからこその映像で溢れ、だけどそれは「所詮はCG」ではなくて、CGを使わせたら自分ならここまで見せる事ができるんだよ、っていうスピルバーグお得意の映像の快楽イベントお披露目の世界、最新ヴァージョン。ルーカスやキャメロン、バートンといった、最先端テクノロジーを嬉々として使う人々がCGという技術では数多のクリエイターとの差を見せつけるところまで行っていないのとは違って、ライブ主義、フィルム主義なスピルバーグがCGを道具として使った時にはここまで行けちゃうんだよ、っていう。これまでのサントラの幕の内弁当みたいなジョン・ウィリアムズの音(『ハリー・ポッター』で『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』で、そしてもちろん『インディ・ジョーンズ』で)と共に、この老境に差し掛かった、あるいは老成した人々が創造した映画は、他の追随を許さず凄まじいスピードで疾走し続ける快作でした。まあ、その疾走っぷりは脚本やキャラまですっ飛ばした感は否めませんが。
[試写会(字幕)] 9点(2011-12-04 19:57:36)
080.32%
1220.87%
2421.67%
31234.89%
431912.67%
548419.23%
654521.65%
745518.08%
829811.84%
91827.23%
10391.55%

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