801. 蜘蛛巣城
《ネタバレ》 所謂、城というよりは野戦砦や館に過ぎないので、歴史を彷彿とさせるその殺伐とした雰囲気が出ていたのはよかった。もうちょっと山間部で撮影してもよかったような気もするが。ただし、主人公の心情変化の描き方は雑だし、奥さんや化け物に唆されてという流れと本人の野心が混在してしまって、下克上と忠誠・忠臣との葛藤がうまく伝わってこない。演技が仰々しくて派手なので小心者には見えないし、でも一応は悩んではいるようだし・・・。で、結果的に三船のひとり芝居だけの作品になってしまっている。ラストシーンは印象的ではあるが、あれだけやられると逆に顔にだけ矢が刺さらないのが不自然にも思えた。 [DVD(邦画)] 5点(2016-03-28 16:07:06) |
802. ローラーガールズ・ダイアリー
《ネタバレ》 所謂母娘問題がテーマであり、毒母とまではいかないがまあそれに近いものはある。で、焦点はこの母娘がどう和解していくかなのだが、アメフト好きの父親の介入によって何となくというか安直に収まったという印象でどうもスッキリしないというか、決着が付いてない感じがどうも納得できない。恋愛話の方はいろんな誤解ですれ違ったという事なのだろうが、こちらもスッキリしないものの、でも青春時代はこんなもんだろうなという気はする。主人公は魅力的だし、ガールズムービーとして見れば及第点ではあるのだろうが、家族の問題がゾンザイに扱われた事によりテーマがボヤケテしまい、結局何が言いたいのかわからない作品になってしまった。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2016-03-25 23:03:40)(良:2票) |
803. 椿三十郎(1962)
前作に比べると、心理戦にコメディー要素もあり、洗練されてるな。ちょっとフザケてるがいい塩梅ではある。と思ったが、ラストが不要というか、ラストで台無し。折角いいテイストで流れてきたのに、説教クサイ台詞でぶち壊した。最後までコメディーで貫いて欲しかった。 [DVD(邦画)] 4点(2016-03-24 16:03:12) |
804. 用心棒
《ネタバレ》 期待しすぎたかな。マンガ的で幼稚な復讐合戦で子供向けという印象。中年以降になって見るのは少々ツライ。娯楽作品としては悪くはないので、もっと若い頃に見たら楽しめたのかも。かと言って、学生時代は三船敏郎には興味がなかったので仕方ないか。映画は見るタイミングが大事だな。内容的には、あれだけ痛めつけらといて、ラストの復讐時にはスッカリ元気回復して暴れまわってるのが不可解。 [DVD(邦画)] 4点(2016-03-24 13:22:57) |
805. 眠れぬ夜の仕事図鑑
《ネタバレ》 労働は嫌いだし、美徳とも思わないので、働いてる人々の姿を延々と見続けていると、何でこの人はこの仕事を選んで、こうやって働いているんだろう?という純粋な疑問が沸き起こる。皆疲れていて、楽しそうに働いている人は殆ど居ないので、映像的には終始ドンヨリしている。そもそも本来労働とはツマラナイものだし。その点では日本で数多放映される「働く人を応援!労働って素晴らしい!」的に変に盛上げる番組とは違うテイストではある。映像的には「夜」を使ってはいるが、実際に紹介される仕事については昼夜はあまり関係ないという印象。火葬を流れ作業で機械的に次々と処理している光景には文化の違いを感じた。身元不明の遺体なのだろうか? [DVD(字幕)] 5点(2016-03-24 11:05:38) |
806. 顔(1999)
犯人に不安や怯えや葛藤といった罪と罰が感じられないので、逃亡劇としての緊迫感・緊張感がない。単に、解放されちゃってる。中年の引きこもりが街に出て、自分探しをする話としてみれば面白いのだが、その原因が殺人であり、逃亡中であるというベースがあるのでどうしても違和感がある。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2016-03-23 14:19:54)(良:1票) |
807. アルゼンチンババア
《ネタバレ》 プロットは悪くないし、テーマは家族の崩壊と再生なのだろうが、各々の心情の描き方が浅いので淡々を話が進んで終わってしまった。これだけのキャスト揃えといて勿体ない。肝心の父娘の確執→和解もあっさりしてるし、ババアと娘もいつのまにか仲良くなってるし。鈴木京香は当時40ぐらいなので、子供からみたら充分ババアじゃないですかね。また、奥さんの死に耐え切れず、他の女に走るのは別に悪くはないんですけど、ここは役所の意思・ババアの魅力というよりハチミツ(秘薬?)効果という事なのかなと。子供が生まれて、女は死んで、メデタシメデタシってのもどうも腑に落ちないですね。掘北がカワイイので最後までどうにか見れましたけど。「死ぬときは小さくキタナクなっている」という台詞は印象的でした。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2016-03-22 11:59:32) |
808. ハチ公物語(1987)
実話モノはどの程度脚色・創作されているのかを調べながら見てしまうクセがついてしまい、史実を追いかける方が主になり、映画進行は従になってしまうので、あまり作品に入り込めないという問題が起きる。有名な話であっても、細かいところは知らなかったりするので、映画をきっかけにいろいろ調べると勉強にはなるのだが。最期は渋谷川に架かる橋の上だったようですね。よく知ってる場所だったので、驚きました。また、感動話はアチコチでいいように改変され、利用される事にあらためて気づかされました。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2016-03-21 15:18:26) |
809. アメイジング・スパイダーマン
《ネタバレ》 スパイダーマンってのび太がドラエもんを手に入れるようなモノという印象だったのですが、これはデキスギ君がドラエもんを手に入れてしまったような感じなので、パワーアップしただけで変化のギャップが感じられない。だから寄り添う静香ちゃんの存在もイマイチで、結果、優等生カップル2人にあまり魅力が感じられない。悪役先生の怨念・悲哀の描き方も中途半端かな。映像的な仕掛けは豊富なので3Dで見れば、それなりに楽しめるのでしょうけど。 [地上波(吹替)] 5点(2016-03-18 10:05:18) |
810. マッハ!!!!!!!!
いろいろと頑張ってはいるのはわかるし、1作目は話題性でウケたのだろうが、その後のシリーズがパッとしなかったのは、トニー・ジャーが暗いのが原因だろうな。スター性が感じられない。スローやリプレイがしつこいのも気になる。ちょっと古臭いというか。小中時代に見てたら、もっと楽しめたのかもとは思った。人材不足もあるかもしれないが、今の子供達はこの手の映画なんて見ないのかな。 [地上波(吹替)] 5点(2016-03-17 12:02:29)(良:1票) |
811. リクルート
《ネタバレ》 前半の展開から、後半も「どうせテストなんだろ?」と思っていたら、最後にパチーノが射殺されちゃって「???」状態。結局、閑職に追い込まれた社員による犯罪行為って事なんでしょうけど、詳細は作品終了後の聞き取り調査でわかるのでしょう。よって観客には何の話だったのかがよくわからない。そもそも、「どうせテストなんだろ?」と思わせてしまう流れは、緊張感がないので、観客は冷めた状態で見る事になる。で、謎解きにもなってないし、中途半端で消化不良のスッキリしない作品。そもそもUSBでデーター流出なんて一般企業でも無理な話なのでCIAでそんな事できるわけがない。ここで、オイオイこの話はなんなんだ?となってしまった。テンポは悪くないので、最後まで飽きずに見られるんだけどね。 [地上波(吹替)] 4点(2016-03-17 11:18:49) |
812. 天と地と
《ネタバレ》 原作も大河も知らないので、比較はできないのだが、合戦シーンは雰囲気があって悪くはなかったかな。どうせならヘタな人間ドラマは無視して、攻防戦にフォーカスして作品化すればよかったのに。第4次川中島では双方で33000人が死ぬという壮絶な戦いなので、もっと激しく描いてもいいくらい。確かにエキストラはよく見ると動きがヘナチョコなんだけど、人間だし怖さがあれば当時も実際には逃げ腰の人もいたのかな?と思えば許せる範囲かな。それにしても女たちの描き方がヒドイ。特に謙信が撃ち殺すシーンには唖然。見世物のように女たちを登場させて無残に殺す意味があったのかと。 [DVD(邦画)] 4点(2016-03-15 11:29:01) |
813. 家族ゲーム
《ネタバレ》 松田優作目当てで子供の頃に見た記憶はあるのだが、当時はなんだかよくわからないという印象しかなかった。この度見直して気がついたんですが、これは「金属バット殺人事件」がモチーフなんですね。先日TVで昔の衝撃NEWSを取り上げるという番組があって、若い出演者達が、「金属バット殺人事件」の事を「そんなに衝撃的?」とコメントしていたのが印象的でした。要するにこれは序章であり、現代は35年前よりも家族は殺伐とし崩壊しているのかもしれません。 私も家庭教師を何人もしました。そして晩飯もよく食べさせてもらいました。大学生の時には気がつきませんでしたが、今思うと親子が会話できていない所が多かったように思います。本作は破壊者が集団の常識をヒックリ返して変質させるパターンの映画に分類されるのでしょうけど、確かに荒削りで雑な所も感じられます。が、ラストで文字通り映像的に破壊して、その後の家族そろっての後片付けするシーンは家族の再生のようにも見えます。家族には平穏が戻ったが、まわりは騒々しいという、将来への不安と共に、現代にも通じる問題提起をしたエポックメーキングな作品ではあると思います。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2016-03-14 10:09:35)(良:1票) |
814. 宗方姉妹
《ネタバレ》 これはオリジナル脚本ではないせいか、タダの昼ドラレベルの凡作。妹の方は新しい女性像を提示したかったのだろうが、姉妹の対比も極端というかここまで来ると姉妹とは思えず無理がある(実年齢は親子に近いし)。ラストは自死のようにこの世を去る堕落亭主の怨念が通じたのか、これも妻の性格をわかった上での行動でしょう。死後までも妻を縛り付けてコントロールしようとするDV・モラハラ堕落亭主には存在感はあり、興味深いキャラなのでもっと深堀して欲しかった。堕落亭主とは逆に、中身のない上原謙の空虚さはよい対比になっていた。 [DVD(邦画)] 4点(2016-03-12 16:28:04) |
815. 風の中の牝雞
現代でも貧困により体を売る主婦は大勢いるわけで、別に戦後に限った話ではなく、現代的テーマでもある夫婦生活のカネと性、そして罪と罰の問題に切り込んでいる意欲作だと思う。隠し事が嫌だからと全てを打ち明けてしまう妻はどうかと思うが、夫も方も許しはするだろうが忘れはしないだろう。無理に自分に言い聞かせているシーンが印象的だ。そして、このまま不幸な結婚生活が続いていくんだろう。終盤のシーンはそういう夫婦の将来への不安定さに満ち満ちている。嫌結婚の小津らしい救いがない作品だ。当時39歳の田中絹代が28歳という設定はちょっと無理があるかな。 [DVD(邦画)] 7点(2016-03-12 13:05:49) |
816. SADA 戯作・阿部定の生涯
《ネタバレ》 前半部分の娼婦時代までをコミカルに描いてしまったせいか、後半の愛人生活とのギャップが生まれてしまい、奇行に及んだ背景・経緯・心情がボヤけてしまったような。そもそも架空のハンセン病患者を登場させてしまったがの失敗ではあるのだが。黒木瞳は熱演していたとは思うが、もっと定の色情で精神不安定さを強調してもよかったような。大林なのでドキュメンタリー的には製作できなかったとしても、デフォルメの仕方によっては新たな阿部定を提示できたのでは?時代的な空気感みたいなものは大林なりに映像表現できていたので惜しい作品になってしまった。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2016-03-11 14:02:53) |
817. 犬神家の一族(1976)
カネと怨念は人間の普遍的テーマであるが、ここまでアカラサマでクドイと古臭さも感じる。戦後のゴタゴタという時代背景はあるのだろうけど、誰にも感情移入も共感もできない。役者の演技も総じて仰々しい。金田一の活躍もイマイチ。信州の風景・街並みはよかったかな。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2016-03-10 11:56:59) |
818. パニック・ルーム
密室劇ならではの緊迫感はそれなりにあるし、犯人サイドの仲間割れも王道系ではあるが、娯楽作品としては及第点。但し、終盤に向けてもうちょっと突き抜けて欲しかったという気がしないでもない。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2016-03-09 23:46:04) |
819. おいしい生活
成金の教養コンプレックスを茶化しているようで、実は反知性主義を主張しインテリ批判を展開しているのかな。が、深読みするとその反知性主義を自虐的に茶化しているようにも受け取れるし。と、面倒な事は考えずに、「似た者同士で仲良く暮らせよ」というシンプルなメッセージと思えばいいのかと。 [地上波(字幕)] 6点(2016-03-09 10:44:09) |
820. 時計じかけのオレンジ
《ネタバレ》 暴力とエロは文芸の古典的テーマなので殊更に論じるまでもないですが、テーマは罪と罰と赦しですかね。主人公には罪の意識がない。で、そのまま人格改造で更生させられる。よって反省も後悔もない。ただし罰としての苦しみだけはある。これは非常に奇妙で興味深い状態ではある。他方被害者はそういう加害者を赦さない。だって加害者は更生したとは言え、反省も後悔もないんだから。そこに強制的な更生(人格改造)は人権侵害であるとの攻撃が加わって、ちょっと話が複雑になったというか、人格改造に国家権力が介入する事の是非のようになってしまい展開がオカシクなって話がヨレたかな?という気はする。国家は個人の内面ではある思想信条をコントロールする事はデキナイという反権力的作品のようにも思えますが、そこには法と秩序が前提としてあるわけで、それを無視する主人公の存在はどうすりゃいいの?という問題提起だけが残ったような気はします。罰としての死刑制度は存在するが、犯罪者の手記は表現の自由としてベストセラーになり印税で儲けさせてしまうという世界的にみたら特殊な国である日本の加害者と犯罪被害者のあり方まで考えさせられました。 [DVD(字幕)] 7点(2016-03-09 08:31:16) |