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six-coinさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 210
性別 男性
ホームページ http://mixi.jp/show_friend.pl?id=8512182
年齢 49歳
自己紹介 映画は娯楽である。笑ったり泣いたり学んだり、空想という鑑賞時間を過ごす「芸術作品」である。実際に映画づくりを体験していない人間に、映画批評が出来るとは思えない。プロの批評家でもなく映画を作った経験も無いのだから、作品のシナリオや背景など、基本設定に理屈っぽくケチをつけるようなナンセンスな行為はなるべく止めにしたい。映画好きのハシクレとして、作家が作った作品を、素直に楽しみ、感動できる姿勢を何よりも大事にしたいと思う。

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81.  宇宙戦争(2005) 《ネタバレ》 
「人類が宇宙で襲われる」のではなく、「エイリアンが地球に来襲する」ことをテーマにした作品の中では、ダントツに恐い演出だった。攻撃自体は比較的ジミだが、「インデペンデンス・デイ」の様に一撃で都市を破壊するのではなく、明らかに「人類の駆逐」を目的にしているのでエゲツない。息の詰まるような地下室のシーン、パニックになった人々のエゴ剥き出しの姿、逃げまどう人々を水の中まで執拗に追い掛けて来るポッド、疲れ果てた人々をさらに絶望へと誘う炎の列車‥‥‥「もう沢山だ」と言わんばかりの、絶望に次ぐ絶望、この「絶望の演出」が大変に凝っていてスリルがあった。そんな状況の中でダコタ・ファニングのヒステリックな演技が生々しく、特に素晴らしい。流石に当代随一の子役の名を馳せるだけの事はある。一方で、絶望の状況下での主人公の苦悩は良く演出されていたが、家族愛をテーマに見るにはちょっと難しい。出来の悪い父親だったのは分かるが、オープニングから彼の家族構成や背景の掘り下げが甘い。あと、原作どおりのエンディングになってしまったのは「やっぱりそうか」と思いながらもちょっと残念。戦えない故に「運良く助かった」と救われた気持ちにはなれるのだが、映画としては、絶望に打ちひしがれた人々の、希望へと繋がる一発逆転が欲しかった。 ‥‥‥以下、変更レビュー‥‥‥上の「うさぎ」さんのレビューに感服。今までの映画と何かが違うと思っていたが、この映画の恐さは「視点」がポイントだった。終始主人公の視点で描く、この手法がこれまでの「インデペンデンス」などの宇宙人来襲パニック映画と異なるところだ。映画を観ている方も主人公と共に情報を遮断され、世界がどんな状況になっているのかも分からず、主人公と共に逃げまどうしかないのだ。目ウロコで納得だ。
[映画館(字幕)] 7点(2005-07-01 12:24:13)
82.  バットマン ビギンズ 《ネタバレ》 
ハリウッドのアクションとしては、素直に質が高いと思える良い作品だ。なぜあんなにお金持ちなのか、肉親がいないのか、コウモリのコスプレなどする必要があるのか、秘密兵器をどうやって開発しているのかetc、それら謎の背景に恵まれている主人公だからこそ、その始まりを描く価値がある。案外、「007ビギンズ」なんて作ると面白いのかもしれない。特にバットマンシリーズを大好きでもない私でも、他の作品はこれよりも面白いのだろうか?と思わせるだけのクオリティがある。特にコウモリを幼年期のトラウマ、心の底に焼き付いた克服すべき恐怖のシンボルと描いてあるのは説得性がある。個人ではなく象徴となるもので悪に恐怖のイメージを与えるという話の流れも無理がなく、思わず膝をたたいて納得、なるほど!。唯一残念なのはゲイリー・オールドマン、やはり彼は冷徹な悪役でいて欲しかった。真面目な警官、と見せかけて実は悪の黒幕、という展開を期待していたのだが‥‥‥。
[映画館(字幕)] 7点(2005-06-20 23:57:41)(良:1票)
83.  Shall we Dance? シャル・ウィ・ダンス?(2004) 《ネタバレ》 
日本版にここまで忠実に作られているとは思わなかった。しかしそれでも代わり映えしないつまらなさは無くて、負けず劣らずユーモラスでハートフルなものに仕上っている。日本版の良さを改めて認識させられる。日本版に比べて浮気的要素がうまいぐあいに抑えられているように思えて、堅苦しいアタマで浮気ネタを本能的に受け付けない私には、日本版よりもむしろ好きかもしれない。‥‥‥自分の存在意義を見い出すとか、そんな難しい話ではなく、何よりも幸せだが平凡な人生をダンスを通じてより豊かなものにしていく人々の様子が観ていて気持ちがいい。エンドロール前に流れるエピローグシーンの演出は、微笑ましくて大好きだ(特に探偵の人が意を決したように入門しているところ)。私も仕事は好きだし、忙しいし充実してるけど、やっぱりそれだけの人生なんて物足りない。この映画のように仕事以外の人々とも何かを共有するような、豊かな人生を築いていきたいと思う。
[映画館(字幕)] 7点(2005-04-24 12:23:28)
84.  もののけ姫 《ネタバレ》 
公開前から予告展なんかも観に行って楽しみにしていた。自然が神であった古代の日本を舞台に、自然と人間との修羅場の中で、勇猛果敢な古の狩人の末裔と狼に育てられた可憐な少女が出会う。ボーイ・ミーツ・ガールにはこの上ないワクワクするような物語に、「ラピュタ」以来の感動を期待したのだ。この映画の公開当時、「健康的なエロスを期待していた」と述べていた某コラムニストが居たが、恥ずかしながら私もその部類であったのかも知れない。‥‥‥真っ先に観て、終わって、映画の意味を確かめようとそのまま映画館に残って2回観た。自然への畏敬を人間と自然の立場から描いたその世界観の素晴らしさは今さら述べるまでもない。しかしそこで得られた感動は当初期待していたものとは全く異質のものだった。「ハウル」では薄い物語の上にキスシーンを描くなど、急に色恋路線がクローズアップされていたが、大人向けの映画なら、こんな深い物語にこそ見る側が期待する部分に応えて欲しかったと思う。十二分に描き切った大きなテーマの上に、主人公となる二人の関係が今一つ中途半端で煮え切れない。モロが言ったように、アシタカはサンを救えたのだろうか。誰が悪い訳でもなく、誰が誰を救えるという訳でもなく、それら全てを肯定することにこの映画の意味があったのだと自分に結論付けた。共に生きることを確認しながらも別れる二人は、相容れない「自然」と「人間」の象徴なのだろう。‥‥‥宮崎作品が人が争う「血」をあからさまに描いたことも衝撃だったが、CGを効果的に使い従来とは違う完成度で、この作品を境に宮崎作品は過去の作品とは違う次元に進みはじめたと思う。お子さまにも分かる親しみを捨てても自分の世界を練りに練り、凝った芸術作品となったこの作品から、宮崎作品は「千と千尋」で完全な成熟期となった。そして今、彼等はどこに向かっているのだろうか。営利目的のために練りの少ない浅い作品を発表するくらいなら、分かりやすいと言わぬまでも「宮崎ブランド」を傷つけない凝った芸術作品の発表を期待したい。
[映画館(吹替)] 7点(2005-04-09 13:18:51)(良:1票)
85.  シュレック2 《ネタバレ》 
1を観た時は「結局人は見かけの美しさじゃないってこと??」と変に押し付けがましい不自然なハッピーエンドが釈然としなかった。2は真夜中の眠たい時間に観たのだが、1よりも断然良いと思う。たかが子供向きのでアニメあるかと思っていたが筋書きもシッカリしていて、見る側を笑わせるだけのパロディや仕掛けが詰め込み過ぎと思うくらいに随所にある。バー「毒リンゴ」や、都のシンデレラ邸など幼い頃に読んだ様々なお伽噺の登場人物達の「ありえない」大集合が凝って作られており実に面白い。クライマックスの盛り上がりもワクワクするし、観ていて安心して楽しめた。しかしアメリカと日本のアニメの美意識の違いなのか、ヒゲが濃くやたらアゴの角張ったアメコミ調のチャーミング王子や変身中のシュレックは、申し訳ないがどうしてもハンサムに見えない。どうせなら最後は王様も王女様のキスで人間に戻ってハッピーエンドにしてほしかった。
7点(2005-02-12 02:43:38)
86.  アレキサンダー
破竹の快進撃で大王になる過程ではなく、むしろ大王の破滅に重きをおいて描かれているのが大変印象的だった。孤独と寂しさに苦しみながら、ついに死ぬまで母親の手から逃れることができなかった世界の覇王。主役の顔はどうみたって英雄顔じゃないと思っていたが、眉が下がり気味のコリン・ファレルの表情で彼の弱々しい苦しみがよく表現できていたと思う。若干20歳で王となり、30にして数十万の大軍と共に世界の果てへ挑戦した偉大な夢想家の心境はいかばかりであったろうか。自分に納得のいく安住の地を目指し、気の遠くなるような年月と距離で未知の世界を行く遠征。不幸にも王に産まれついた男、逃れようにも自分の居場所は王座の他にあるはずもなく、一生強者を演じ続けねばならない。その唯一の居場所が脅かされると思えば、些細なことまで脅えなければならない生活、「故郷に帰ろう」傷を負い部下にそう言った彼だが、彼自身の故郷などどこにもなかったのだろう。歴史は一見、男による支配が大きいように思える。しかし、アレキサンダーの母オリンピアスのように、その男を産み出すのは女なのだ。歴史を支配しているのは常に子を産む力を持った女であり、その影響力には男は決して逆らいようがない。オリンピアスを演じたアンジェリーナの妖しい演技は評判ほど悪いとは思えなかった。あの切れ長のグレーの瞳、まだ若年の女優でありながら、狂気の母の貫禄をよく演じきっていたと思う。
7点(2005-02-06 04:41:33)(良:1票)
87.  ヴァージン・スーサイズ 《ネタバレ》 
ラックス演じるキルスティン・ダンストの美しさに驚いた。子供が大人になってゆく階段の途中、夢のように儚く消えた異性の思い出。想う気持ちは真剣でも興味本位でも、女の子は男の子よりもずっと早くその階段を上がっている。外の世界への夢と現実とのギャップで死を選んだラックスの心情は分からなくもないが、正直言って最初にセシリアが何故自殺の道を選んだのかは、男の私にははっきりと理解出来ない。この階段の段差にある「何か」、男には絶対に理解出来ない少女たちのエネルギーが、思春期の異性への想いという繊細なテーマの上で、淡く、美しく、残酷に表現されていると思う。エンディングのドライブ(少女達の夢)と惨い現実のギャップはあまりに唐突でショッキングな印象だった。最後に死んだラックスは、所詮かなわない夢への憧れを異性に示すことで、切ないほどの嫌味に自分の諦めを少年達の心に訴えた。その思い出を胸に少年達は社交界へと加わり、様々な異性と関わって大人になってゆく。それでも、あの「階段」の差は永遠に理解出来ないままなのだ。保守的な母親と少女達の間で困惑する父親の形見の狭そうな様子は観ていて可哀想だった。
7点(2005-01-16 23:40:01)
88.  千と千尋の神隠し
我欲を満たすため思うがままに飲み食い、限りなく増大する欲望を満たすごとにその姿は醜悪となり、自分以外の人間に嫉妬し巻き込もうとする。「カオナシ」は心の拠り所を失った(文字どおり「顔」がない)人間自身の暗い部分の姿のように感じた。大人はそんな伏線を思い、子供はまた美しい絵と幻想的な世界にどっぷりハマり、広くも深くも楽しめる。両親が豚に化けてしまうシーンは純粋な子供には本当にショッキングな場面のようで、泣き出してしまった子供もいたそうだ。日本固有のヤオヨロズの神々が訪れる銭湯という設定や、そこで働かされるという物語も斬新で凝っていて、分かりやすくも大変内容の濃い作品だったと思う。湯婆婆は当初完全なゴウツクバリの悪人かと思ったが、開放するという約束はキッチリ守り、良い仕事はそれなりに評価する点で、最後にはプロの「商売人」に見えてしまって可笑しかった。やはり宮崎氏の作品にはムスカを除いて完全な悪人は存在しない。「ハウル」をこの作品と比較してしまうと、個人的にはどうしてもこの作品に比べて薄っぺらなものに見えて仕方がない。
7点(2004-12-16 13:13:49)
89.  ジュラシック・パーク
遊ぶ金の無かった大学生の頃に公開され、当時映画館で観れなかったことを残念に思う。恐竜を再現すると言う人類の大きな夢に、遺伝子工学という視点から踏み込んでおり、極めて分かりやすくリアルな作品に仕上っていると思う。特に(物語の本筋ではないが)、冒頭のミュージアムで登場人物達が、蚊の化石に残された恐竜の遺伝子から恐竜を復活させる工程の説明は、小学校で流しても良いくらいに分かりやすく脱帽した。レックスからラプトルまで、当時は本物と見まがうばかりのCGが話題になったが、ラプトルの狩りの生態など裏付けとなるものがよく研究されているため映像のリアルさも倍増するのだろう。自分で研究して作っといておまけに死人まで出しといて、「やっぱりやめた」とさっさと逃げるあのお爺さんには釈然としなかったが、SFの中ではとても完成度が高い映画だと思う。
7点(2004-12-09 13:13:08)
90.  座頭市(2003) 《ネタバレ》 
勝新太郎とはまた違った、勧善懲悪だが冷徹非情な座頭市。北野氏監督または出演の作品には、物語の運びに奇妙な「間」がある。起承転結を過剰に演出せず、クライマックスになっても大袈裟なBGMなども使わず、俳優も台詞の言葉も、あっけないほど自然に淡々と筋書きが進んでゆく不思議な「間」だ。この座頭市も、何の為に登場したか判らなかったり、居なくても大して物語に影響が無かったような登場人物が存在する。この北野映画独特の「間」もやはり、表に出ずじまいで自害した武士の妻やサムライごっこの男のような登場人物があればこそなのだと思う。この「間」が個人的には大変好きだ。金髪も変に時代劇口調でない台詞も、話題になった下駄タップも、この映画の北野ワールドに自然に溶け込んでいて違和感がない。観る手の裏をかく悪役の正体、アッとおどろくドンデン返しなど、とても良いエンターテインメントに仕上がっていると思う。個人的には、最後の悪党の頭目達との対決の暗さ、凄みは、あの華やかな下駄タップをBGMに、シーンを交互に進めると良かったなどと思ったが、そんな「過剰演出」は、きっと北野監督の作品には必要ないのだろう。
7点(2004-11-29 00:35:00)(良:1票)
91.  血と骨
凶暴、強欲、そして精力絶倫、究極の「雄」を描いた映画。自分の気の趣くままに雌を力づくで自分のものとし、純粋に己の為だけに生きるその完璧なまでの傲慢さの前では、「人間として正しいか」などという薄っぺらな道徳観など有無を言わせず吹き飛んでしまう。そういった実在の男の存在感、恐怖がリアルに伝わってきた。この男が過去にどのような経緯でこんな人間になったか(きっと生まれながらにしてそうなのだ)、そして年を取ったその果てに惨めな目に遭って後悔したかなど、そんな些末な筋書きなど観ていて思い浮かばない。徹底した強さは孤独の寂しさなど凌駕し、金俊平は死ぬ時まで惨めな思いなど持たず、後悔など微塵も感じなかっただろう。彼はあれほどの傲慢不遜を極めながら、物語の中ではその生き方を肯定されている絶対的な存在であり決して「悪役」ではない。誰もがドロ臭く必死に生きていたかの時代、彼の生き方は現代の人間が失いつつある圧倒的な野性的な生命力に満ちており、動物としての視点で見れば誰よりも人間らしいのかもしれない。そんな主人公に共感できるかどうかはともかく、この映画は誰もが道徳観をたやすく無視した視点で観てしまうのではないか。倫理や道徳などという文明的なものよりももっと底深いところにある、彼の持つ人間として、動物としての根本的な生命力に惹かれてしまうのだろう。奇妙な棒読み口調と無表情さで、ぞっとする様な無気味さを感じさせる北野武の演技は圧巻。オダギリジョーを始め、脇を固める役者達の演技もド迫力である。なんとも重厚で、見応えのある映画だった。
7点(2004-11-09 00:08:20)
92.  トリコロールに燃えて 《ネタバレ》 
最初はヒロインがわがままな両刀使いの尻軽女、主人公が思い切りがないだけのヒモにしか見えず、さっぱり共感できなかった。人間の道徳的な視点からは、本当の孤独を感じるまでの彼女の生き方はお世辞にも褒められたものではなかっただろう。しかし最後の手紙に記してあったように、「今という現実のみをシビアに見つめ自分だけの損得を考え、自分にとって最良の道を選んで生きる」という考え方から見ると、当初の彼女の生き方も理解出来なくもない。しかし自分と今の為だけに生きるというのは、余りにも刹那的で悲しい生き方だ。二人が自分の元を去った時ヒロインが孤独を感じたのは、単に二人を愛していたからだけではなく、二人が彼女と相反する「公的な理想の為に目的を持って生きる」という道を選択したことに理由がある。それに気付き自らの生き方を変えても、あの尻切れとんぼな終わり方が彼女の余りに哀しい運命を象徴している。「失○園」や「イングリッシュ・○イシェント」のような三角関係や浮気系は本能的に受け付けないのだが、奔放な美女からみすぼらしい姿まで、ヒロインの生き方を納得させるシャーリーズ・セロンの演技が光っていた。
7点(2004-10-31 03:13:04)
93.  白い嵐 《ネタバレ》 
「希望を持ってすすめ」‥‥‥それぞれの家庭環境から脱し、様々な事情をかかえた少年達が次第にお互いを理解しあい、助け合い、成長を遂げてゆくその姿は見ていて清々しい。子供達への教育という視点から見ても、とても良くできたドラマではないか。だからこそ、あの悲劇はやるせない気持ちにさせる。しかしなぜだろうか、あの悲劇以後の物語はそれほど印象に残っていない。私にとってあの映画のクライマックスは、映画のタイトルである悲しい「白い嵐」のシーンではなく、そこに至るまでの心躍る物語なのだ。鮮烈に印象に残っているのは、無人島の尾根を元気一杯に駆ける少年達と、勉強を皆の協力で克服して及第点を取り、答案用紙を日暮れの海に丸めて放る少年達の姿。言わば物語の折り返し、楽しい旅の最高潮に達するシーンだ。しかしそれが過ぎた時、これから旅が終わりに向かってゆくという何とも言えない寂しさの予感がする。確か少年の一人が「この旅から帰りたくない」という言葉を口にしたと思うが、映画を観ながらきっと私も同じ気持ちだったのだと思う。私にとってのこの映画の印象的なクライマックスも感動も、この言葉で終わりを告げた。うまく言葉にできないが、だからこの映画のエンディングはそれほど印象に残っていないのだと思う。私は「旅の帰り道」が嫌だったのだ。リドリー・スコット監督らしくダイナミックな映像も大変美しい。大きな帆船で友と大洋を巡る‥‥‥私もたった一度でもいい、少年時代にあんな航海にでてみたかったなぁ。 あー、でも船酔いには滅法弱いからやっぱりムリかなぁ‥‥‥。
7点(2004-10-23 02:17:50)(良:1票)
94.  アイ,ロボット 《ネタバレ》 
CGだらけの安い作品かとあまり期待せずに観に行ったが期待以上。ロボットは所詮生命体ではない、しかしそれがプログラムから独自に進化した感情を持った時、人間とロボットの差は有機体と無機体の違いでしかない。サニーの様に自ら怒りを作り出すこともできれば、きっと芸術の創造も可能なのではないだろうかと思う。かつて主人公を助けたロボットは論理から少女を見殺しにしたが、サニーは見殺しにすることなくヒロインを助けた。人類全体に対するリスクの論理から考えればあの場合はヒロインを見殺しにしても当然。現代社会では何事も秩序だてた論理が正しいと思われがちだが、人間の感情から生まれた矛盾のある行動こそが、実は一番人間らしい部分であることを考えさせられる。単なる近未来への警告ではなく、人間の人間たる部分とは何かを示してくれている映画であると思う。 物語の冒頭はサニーをロボットとして気味悪く思っていたが、物語の進行につれ感情移入でき、最後はスミス演じる刑事と同じ人間に見えて来る。特にピンチから脱出するサニーの機転、ウインクはT2の親指を連想させて傑作だった。
7点(2004-09-12 02:48:47)(良:2票)
95.  LOVERS 《ネタバレ》 
女優チャン・ツィーの美貌に加えて、何と言っても映像が素晴らしく美しい。白樺の林や金色の草原、クライマックスの雪景色、中国ならではのロケーションを使ったシーンの数々は流石である。観てみれば「謀」と「LOVERS」のタイトルデザインも納得、ストーリーも騙し騙され、良い意味で見事に裏切られた。HEROの様に過度なワイヤーアクションも思ったほど多く目立たず、さほど違和感なく楽しめたので良し。中国ならではの人海戦術で、朝廷と反乱軍との大戦闘シーンがあるのではと期待したが、それが無いことでより哀しさが引き立ち、そして尾を引き余韻として残る。この場合は戦闘の結末が無くて正解だと思う(小屋を取り囲む朝廷軍が、反乱軍の全滅を予感させる)。予告編からして大嫌いな二股映画か不倫映画の類かと心配であったが、杞憂に終わった。片想いの中、命懸けの密偵となった男と、それを知らずに朝廷を裏切り、反乱軍の女を愛した男。哀しくも全ての事実を知った時、かつての友である二人は斬りあわねばならない。それでも男は愛した女の為に飛刀を投げず、また女も命を顧みず飛刀で愛する男を救おうとした。3人の想いと心の哀しいすれ違いが、実に見事に表現されている。故にこの映画には、尻軽な安っぽさが感じられない。ここが浮気や不倫を安直に美しいと表現しただけの薄っぺらい映画とは一線を画している部分だと思う。
7点(2004-09-05 03:19:05)
96.  タクシードライバー(1976)
観ていてベッソンの「レオン」を連想した。大人と少女という登場人物や、物語の運びなどの共通点だけではなく、物語全体に散りばめられた美しい危うさがよく似ている。大統領候補を狙った凶弾は結局事を成さず、それは一人の少女を救う為の正義(?)の弾丸となるが、主人公にとってはどちらも善でも悪でもどうでも良かったに違いない。たまたま結果はハッピーエンドとなったが、仮に大統領の殺害に成功していたとしても、彼自身にとっては同じことだったのだろう。「俺に必要なのはきっかけだ」と狂気の中で人生の転機を探し求めていた主人公だが、あの凄絶な撃ち合いを経た後、自分の人生に何かの転機を求めることができたのだろうか。同じようにタクシードライバーとして、今までとなんら変わらない生活を送っていく彼の胸の中に在ったものが、事件によって人生を変えることが出来たという達成感と満足だったのか、それとも今までと変わらない人生を送っていく達観的な諦めと満足だったのか。私には後者のように感じられた。夜の街のネオンサインと音楽、それに全く古さを感じさせないファッションも印象に残った。
7点(2004-06-27 02:56:52)
97.  21グラム 《ネタバレ》 
とても「重い」映画であったというのが正直な感想。映画の起承転結を楽しむ人は、なかなか好きになれないのではないか。起承転結の「結」で全てを理解させるのではなく、映画全体にその意味を散りばめた絵画のように感じた。デル・トロもショーンも、ナオミ・ワッツも役所はぴったりで見応えがあったが、最後にショーンが自ら命を断とうとした意味や、21グラムという数字の意味は、私個人は理解するのに時間がかかりそうである。いや、その明確な意味を言葉にすることも出来ないのかもしれない。下のレビューにもあるとおり、映画全体を通して、その意味を訴えることにこの映画の目的があるのかもしれない。このレビューに投稿する皆様の解釈を、是非参考にさせていただきたい。映画全体で特に引き立っていたのはカメラワークの良さ。斬新なオープニングのデザインや、シーンの切り替わりは、この映画ならではの美しさとカッコよさが感じられた。
7点(2004-06-13 03:58:11)
98.  素晴らしき哉、人生!(1946)
観て後悔した。毎週土曜の末、夜遅くに映画を観るのが習慣なのだが、眠い頭でなく、もっと眼も覚めているときに腰を据えて観るべきだった!!夢破れた主人公がそれでも父親の家業を守り、堅実に人々の為に生きる、その姿は共感できなくもない。しかし平凡な善人の人生、それだけじゃ退屈と思っていたら、まさかあんなラストが待っているとは!再び戻った自分の街を走り、「メリークリスマス」を叫びながら疾走する主人公。自分の一生が決して無駄ではなかった歓喜に溢れ、家族への愛を取り戻す彼の姿を観る時には、すっかり眼も覚めてしまっていた。わざとらしい偽善的なつくりも感じない、人間愛いっぱいのこんなドラマチックな映画を最近めっきり観ないなぁ・・・。
[映画館(字幕)] 7点(2004-02-01 02:59:34)
99.  エレファント・マン 《ネタバレ》 
トリーブスの家に行き、彼の妻とメリックが会話しているシーンで久しぶりに涙が出た。メリックを見せ物に仕立てた人々は言わずもがな、「私は偽善者だったのか?」と自問するトリーブスや、彼を含めて院長や部屋を訪れた女優も、私には多少「自分が良いことをしているナルシスト」のような偽善的な匂いがした。偽善の匂いを感じなかったのは、看護としてのプロに徹していた婦長だけに思える。しかし人々から好奇の視線にさらされ、それを糧として生きて行くしかない彼の宿命に、多少なりと違う結末を与えた点で、彼らの行為自体は善行と言える。その宿命の中で悲惨な結末を迎えるより、メリックは間違いなく幸せの中で、自分自身で結末を選ぶことが出来た。「いつか同じように、横になって眠りたいものですね」自分の死期を悟り最後の希望を選択した彼の心は、きっと今までになく満たされていただろう。エレファントマンの人生そのものよりも、それを取り巻く人間のエゴが濃厚に描かれた映画、トリーブスの行ったことは、エゴである人間でもそれを自覚すれば善行を成し得る姿を映し出している。
7点(2004-01-25 03:18:01)(良:1票)
100.  ファインディング・ニモ 《ネタバレ》 
洋画アニメはあまり観たことがなかったのだけれど、これは面白かった。もちろん映像も大変美しい!字幕版で観たが、物語の冒頭、襲ってきた猛魚にニモが奥さんに一言、「中に入れ・・」と避難を促すシーン。恐ろしさに一瞬硬直し、様々な思惑が頭を交錯する。「人間ではない」はずの登場人物たちのあまりに「人間らしい」豊かな表情には驚き。あとはエンドロールの最後。あれ、どこかで見たキャラだったな(笑)
7点(2003-12-10 01:41:22)
010.48%
120.95%
241.90%
362.86%
4209.52%
52511.90%
64822.86%
74923.33%
84420.95%
9104.76%
1010.48%

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