1121. ファイナル・デッドサーキット 3D
相変わらずいろいろと見せ場を工夫して、相変わらず楽しませてはくれるんですけどね。 しかし、4作目ともなると、ちょっと息切れ? というよりは、ちょっと考え過ぎなのかな、という気が。 このあと惨劇につながるかも知れない、生活の中にひそむヒヤリハットをあれこれ見せつけて、我々をドキドキさせる。それはいんんだけど、だんだん「いかに予想を裏切るか」という意外性へと映画を作る側の意識が向かうようになり、いささかワザとらしいカマシのオンパレードになっちゃってます。 その挙句に、はい、グロテスクでしょ、と唐突に肉塊を見せられて、なーんだか妙に割り切ってるなあ、と。これはもはや、印象としては料理番組における「10分煮込んだものがこちらになります」ってのに近いです。 まあ、こういったことすべて、路線に忠実ということの表れなのかも知れませんが。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2018-12-16 11:41:11)(良:1票) |
1122. ならず者たち
南軍の部隊が逆恨みからすっかり愚連隊になってしまって、略奪殺人暴行なんでもござれ、悪辣の限りを尽くすやりたい放題。60年代の映画にしては(そりゃ近頃の映画とは比べ物ならんけど)それなりに刺激の強い映画になってます。ちょっとマカロニ風味が入ってる感じがありますね。 音楽もそうで、妙にノリがよかったり、妙に前衛っぽくなったり。 ならずもの部隊の長をつとめるジャック・パランスのエキセントリックな壊れっぷりなんかも、とても正統派西部劇の演技などではなくって、この作品、かなりマカロニを意識して作られたんじゃないか、と思えてきます。 粗削りで雑な映画の作りも、そう思える一因で、屋外シーンなんかも、撮影時に晴れていようが曇っていようがお構いなしのゴチャマゼ。 物語の軸には、部隊を率いる極悪オヤジと、それに反発して部隊を離れ真っ当な生活を送る息子との間の対立・葛藤ってのがあって、「どう見たって親子ほど歳が離れているように見えない」という難点はあれど、これが作品をユニークなものにしています。 ただ、クライマックスでは親子3代そろい踏み、という場面が待っているのだけど、ジャック・パランスがあまりにぶっ飛びすぎてるせいか、自分の前にいるのが自身の孫であることを、監督も脚本家もジャック・パランスもみんな忘れちゃってるんじゃないか、という気がしてきます。でなけりゃ、ここ、もう少し、エモーショナルなものになる場面ではないのか、と。 いや、そうでないのがやっぱり、ユニークなところなんでしょうかね。 町への放火シーンや、機関車脱線シーンなど、こんな映画にしては(失礼)、ダイナミックな見せ場もあります。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2018-12-16 10:52:24) |
1123. レディ・プレイヤー1
およそ何の自慢にもならんのだけど私もまあ、ドンピシャの世代なもんで、こういうハズかしいモノを映画の中にテンコ盛りして有難がってるというのも、正直ハズかしいというか、くすぐったいものがあるんですけどね。たださすがに、将来、自分の息子と一緒に映画を観て「バカルー・バンザイって誰?」などと訊かれる日が来るとは、当時は夢にも思わなんだ。 それはともかく。本作、あれやこれやと目を楽しませてはくれるんですけどね。ただ、そればかりに終始した感も。冴えないモヤモヤとした現実があって、その中にキラキラした仮想現実の世界があって、という劇中劇のような構成。仮想現実の部分は、あえてどこか現実っぽくない描写がなされてる。そしてその仮想現実の中に、アーカイブ化された「過去の現実」が挿入される、という入れ子の構成になってて。 それが、もうひとつ機能していない印象。まあ、これは作中に登場する「あるトリック」にも関係するところなので、機能させえなかった、という仕方ない部分もあるのかも知れないけれど。それにしても、これだけエキセントリックな設定のオハナシなのに、物語が硬直化してしまってる。 最後、ワラワラと人が集まってくるあたり、こういうのは何となくスピルバーグの好みかな、とも思えるのですが、集まる人数も知れていて、迫力がない。誇張がない。妙に、おとなしいんです。 どうも、「キャラ満載」にした時点で燃え尽きちゃった感じがして。いろいろ登場させてくれて、いろいろ見せてくれて、どうもありがとう、ではあるのですが(空中ダンスは見もの!)、それだけでは、ねえ。 ウチの小学生の息子は、デロリアンと金田君のバイクが一緒に走ってて、メカゴジラとガンダムが戦って、というだけで充分満足らしいけど・・・。 [ブルーレイ(吹替)] 6点(2018-12-13 20:53:18) |
1124. デイズ・オブ・サンダー
トニー・スコットとトム・クルーズのコンビが『トップガン』の次に選んだ題材が、カーレース。飛行機からクルマに変えただけであとは大差なし、おいおい、ジャンボーグAの次はジャンボーグ9かよ、と言いたくなった方も多数おられたかと思いますが(私も当時そう思った)。 しかも「今回もやっぱり、バイクにも乗っておきたいよね」ってんだから、やりたい放題。でも確かにバイク姿がサマになってるのよね。 と、まあ二番煎じっぽい、ってのが第一印象としては当然あるのですが、しかし、トム・クルーズ映画には、ポール・ニューマンやダスティン・ホフマンというお目付け役がつく流れがあって(ブライアン・ブラウンもそこに入れていいか?)、本作はその流れも汲んでます。今回はロバート・デュヴァル、なので、オイシイところを持っていかれる心配は無い(笑)。後年、アウトローで再共演したのもそういう、演じる側・観る側ともに感じられる安心感ゆえ、かしらん。 だけど、そういう年長者が横につく役柄だもんで、トム・クルーズはあくまで「若造」に徹していて、現在のムダにオーラを出しまくっている壮年スターの姿と比べると、ああ、そういやカリスマ・トム・クルーズだって、昔はこういう頼りないところがあったんだよな、なんて思ったり。実際、トム・クルーズのカリスマ性って、「こんなに歳食ったのにここまで若々しいフリを貫いて見せる、なんかブキミだなあ」って感じさせるようになってから、本格的なものになったような気もいたします。 それはともかく、若々しいだけじゃなくって本当に実年齢も若いトム・クルーズが、その当時なりのスター性を映画の中で輝かせてみせ、物語の方はというとレースばかりなのであまりまとまったオハナシにはならないけれど、主人公のライバルには気の毒な目にあってもらうことで、物語の上でも主人公をスターとして輝かせてみせる。 トニー・スコットのチャカチャカした落ち着きのない映像も、本作のレースシーンなどでは良い方向に働いていて、このあたりも作品の魅力になってます。このスピード感、そしてこのメカニックな描写さえあれば、もうストーリーなんてあっても無くってもどっちでもいいてしょ、と。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2018-12-08 04:47:19) |
1125. ネバダの決闘
冒頭のクレジットを見てるとうれしくなってきて、ジェームズ・コバーンの名前があったりするのもそうだけど(ちゃんとセリフもあるしちゃんとふてぶてしい存在感も示す役柄)、音楽が「ジェラルド・ゴールドスミス」だってんだから。御大のかなり初期の仕事ですね~。まあ、アリガチな音楽と言われれば確かにそうですが、ゴールドスミスの音楽と思って聞けば、そんな気もしてきます、ハイ。 で、本作ですが、これぞまさにB級西部劇の楽しみ。いいですね~。 どこぞからやってきた主人公が、保安官を手助けして敵の一味に立ち向かう、というオハナシですが、主人公が逃亡中の悪人であることがミソ。しかも逃亡の際に弟を失ったエピソードが、中心となる物語にリンクし、亡き弟の存在と保安官の姿が重なる、という趣向。物語が意外な纏まりを見せます。 これは拾い物。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2018-12-02 12:27:42) |
1126. ビッグ
《ネタバレ》 外見が大人でも中身が子供のままだから、オモチャ会社で鋭い意見を吐いて成功するんだとか、少年の心を持っているから女性のハートを射止めるんだとか、そういったコトを「だって当然の帰結でしょ」と頭ごなしに我々に納得を求めてくるこの映画。どうも好きになれないのです。そういったコトに説得力を持たせるために、何を描いて見せてくれるか、それが我々の期待するところ。なのにこの映画は「そういう設定だから、当然そういう展開になるに決まってるよね」といきなり同意を求めてきて、そこには我々を納得させこの世界に引きずり込む、何のエピソードもない。 ただそこにあるのは、トム・ハンクスの「中身は少年です」と必死でアピールする演技だけ。一応は、彼の人懐っこそうな風貌とマッチして、それなりの効果はあげているのだろうけど、しかしそれとて、「大人が眉をひそめるような非常識な仕草」頼みの演技が中心で、そんなに面白味のあるものでもなし。 「元に戻りたい」気持ちくらいはせめてもう少し丁寧に描きそうなところを、むしろ新しい生活を順風満帆、楽しんでいる様子の方が、印象が強く、これだったらいっそ、最後まで元に戻れませんでした、という悲劇で締めくくればよかったに、とかいう事まで思ってしまうのですが、ハイ、それはさすがに無理ですね。そんな後味の悪いコメディ映画、絶対に人気出ません。 あの、やはり子供の心を残しているらしき社長との交流、これはもっと掘り下げてもよかったのではないか、とも思います。恋愛方向に話を持っていくより、ドラマが広がり、説得力も出たのでは、とか。そう思うと、『釣りバカ日誌』ってのは、社長とコドモ大人との交流を描き、そこには馴れ合いだけではなく両者の間の緊張感までも盛り込んでいて、本作より余程よく出来ていたような気がしてました。そういえばどちらも同じ1988年の映画なのでした。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2018-12-02 12:07:42) |
1127. 三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船
邦題にヘンな副題がついているので、きっとデュマの小説とは関係ないんだろう、とか思ってるとさにあらず、ダルタニアンと三銃士との出会いから律儀に描いてたりして、意外にちゃんと「三銃士してる」なあ、と。ただ、もちろん、あの迷走気味の原作よりは、だいぶスッキリしてますが。 それにしてもコレ、面白い。活劇ってのはこうやって撮るんだよ、と自信満々に撮ってて、実際これだけワクワクさせてくれるんだから、もはやなんだか腹が立ってくる(笑)。実写アクションとCGとの使い分けが、実にお見事で、ありとあらゆる場所を舞台に、奇想天外なオハナシを奇想天外に楽しませてくれます。 続編を匂わせるラストは、勇み足でしたかね。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2018-11-25 21:20:59) |
1128. メイズ・ランナー
自分達はどこに連れてこられたのか、なぜこんなところに閉じ込められたのか。すべてがナゾめいてはいるのですが・・・。 そもそも我々の住んでるこの世間というところからしてナゾだらけなんであって、だから映画で描かれる世界というものも基本的にはナゾなのであって、しかし映画の作者はしばしば、その中に、世界を方向づけるある種のルールというか、力学みたいなものを仕込んでいて、それが作品を作品たらしめていたりする。んだろうけど、私のような万年未熟者は、そういった仕込みに対しいつも鈍感で、自分に失望するハメになる。 その点、本作のような作品はなんともわかりやすい。これがルールですよ、と説明し、これとこれとこれがナゾですよ、と提示してくれる。同定されたナゾなんて、およそ「謎めいていない」ナゾなのだから、わかりやすくはあるけれど、少々しらけてしまう。あるいは、この単純な世界観につきあわされるのか、という面倒臭さ、とでもいいますか。 とは言え、そうイジワルばかり言っててもしょうがないですわな。見どころもあります、この映画。「ランナー」というだけあって、若者たちが駆け回って見せてくれて、そこは活きがいい。迷路の中での音を駆使した演出も、雰囲気出てます。 ただ、いざ戦いになると画面が必ずゴチャゴチャしてくるし、敵が迫ってくる緊張感を何かと登場人物たちの心配そうな表情ばかりで表現しようとするのも感心しません。結局、映画が単調になっているように感じられます。 [DVD(字幕)] 5点(2018-11-25 20:20:32)(良:1票) |
1129. サスペリア(1977)
《ネタバレ》 素晴らしく内装の趣味が悪いバレエ学校を舞台に、素晴らしく意味不明の事件が次々に起こる。 いやホントにワケがわからないんですね。何で殺されるのか(単に犬のしつけが悪かっただけ??ってなケースも)、何であんなにウジ虫がいるのか、何であんなにハリガネが沢山あるのか。 と、ワケがわかんないうちは素晴らしかったのに、魔女がどうたら言い出したあたりからおかしくなる。ウド・キアが出てくるとおかしくなるような気がする(笑)。ムダに残酷だったから良かったものを、それを突然にオカルトに絡めてしまうのが、どうも言い訳がましく感じてしまって。 昼日中っから、そんな相談をする方もする方なら、真面目に答える先生の方もどうかと。せっかくいい感じにワケのわからなかった映画を、ここで唐突に結論づけてしまう。 クライマックスでいよいよ魔女が登場して、これもせっかく透明なのに、「よく見たら、見えてしまっていたので、ヤラレてしまいました」ってのがまたテキトーな感じがして。 正直、初めて深夜放送で見たときには、映画の感想よりも「ついにあの一人で見てはいけないという『サスペリア』を見ちゃったぜ」という達成感みたいなものが先に立ってしまったのですが、冷静になってみると、別に一人で見たって、どうということはなかったなあ、と。 今になってみると、懐かしいなあこの雰囲気、とか思いながら見るワケですが。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2018-11-23 04:57:15)(笑:1票) (良:2票) |
1130. ワーテルロー
フランス人の役ならフランス語でセリフをしゃべるべき、とは必ずしも思いませんけれども、本作の場合は、そういう言語でのコントラストを両軍につけてもよかったかなあ、と。あのボソボソとした冴えない独白がまったく効果を上げていなくって、だったらもう、せめて、ウェリントンが英語、ナポレオンがフランス語と、描き分けてくれたらもう少しサマになったのではないかと(もっとも、コルシカ島出身のナポレオンがフランス語で独り言を言うものやらどうなのやら、知りませんけどね)。 ま、そもそも、この作品に独白を導入したのは失敗だと思うし、ナポレオンという人物の描き方自体、あまりうまくいってるようには思われません。 しかし本作、何せ、売りは人海戦術。後半、これでもかと大量の人員を投入した、ウォータールーの戦いの描写が続きます。これもまあ、うまく撮れているかというと、むしろ「何を撮ってるのか自分でもわからなくなってるんじゃないの?」と思えてくるくらい、駆け巡る騎馬隊やら、戦場の空撮やらがあまり脈絡なく並べ立てられてます。この、制御しきれなくなって映画がカオスとなってしまっているのが、はからずも本作の独特の迫力に結びつき、魅力とすら結びついてしまっている、ってのが、これぞディノ・デ・ラウレンティス・マジックとでも言いますか。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2018-11-23 03:36:21) |
1131. 現代任侠史
冒頭、旅客機のドアから現れた健さんが、いきなり渡された日本刀を手にタラップを降りてくる。「んなアホな」と、ちょっとイカした映画を期待しちゃうのですが、残念ながらその後の展開は、普通というかマジメというか堅苦しいというか。 一方では組織同士の駆け引きや抗争があり、一方ではカタギになった健さんと梶芽衣子とのラブラブの物語があって、その両者がクライマックスで交錯するワケですが。正直、さもありなんという展開で、物語が広がることもなく、小さくまとめちゃった印象。ま、単純に「これじゃ健さん、暴れ足りないだろ」という言い方もできるかも知れませんが。 例によって脇を固める俳優陣はみんな、イイ顔(=ワルそうな顔)してるんですけどねー。 それにしても成田三樹夫。撃たれてもいないのに(?)勝手に倒れて勝手に死ぬんだもんなあ。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2018-11-17 08:51:07) |
1132. 東京流れ者
ギャング映画をどこまで解体したらギャング映画でなくなるのか、という限界に挑む本作。どうして突然こんなところでロケしているのか、どうしてこんなにスカスカのセットで撮影しているのか、もうワケがわからなくって、そもそもこの映画は「面白い」のだか何だかもわからなくなってくるのですが、そういう、作品を通じて貫かれている姿勢自体が、何かだかカッチョよいのです。 冒頭、渡哲也がリンチされてるシーンからして、まるでミュージカルのように舞踏っぽいところがあります。やたら男前な若き日の渡哲也が、映画でオモチャにされてて、こう言っては何ですが、カワユイのですよ。 森進一は許さなかった川内康範センセイですが、本作は、お気に召したのでしょうか。ちょっと心配。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2018-11-17 03:36:00) |
1133. グレートウォール(2016)
うわー、珍品ですねー。 謎の生物(何て名前だっけ?)がうじゃうじゃ登場し、映像的にはワールドウォーZなんですが、そこに「今さら、クィーンだってさ、あはは」というワケで、すっかりインデペンデンスデイリサージェンス化してしまっているのが珍品の珍品たる所以。ああ、これだったらいっそ、巨大蟻の帝国でもリメークしてみてはいかがでしょうか。一応、歓迎しますけど。 なーんてことを思っていると、ふと、昔の自分がこういう、変な生物(巨大化したネズミとかでいいんだけど)がうじゃうじゃ襲ってくる映画を期待し夢見ていたことを、思い出した。そう、こういう映画を、見たかったのよ、実はね。ホントはね。昔はね。 とは言え、本作の監督はバートIゴードンではなくチャン・イーモウ、例によって例のごとくやたら色彩的なのが、イヤでも目を引きます。様式化していて、決して下品にならないのが、本作の持ち味。いや、下品なのも歓迎しますけど。 結局、・人の死を含めいささか様式化しすぎの点、・某五輪の開会式を含めてチャン・イーモウとCGは相性がいいのかなと思わせつつもちょっと無節操にCG使いすぎの点、・そして「女性隊長が美人だったのでマット・デイモンがお手伝いしました」以外に何もない点、こういったことが本作を珍品たらしめているのですが、歴史大作のような舞台と道具立てでありながら100分少々のヘンタイ映画にまとめてみせたのは、悪くないと思います。 ところで昔どっかに「チャン・イーモウはいつかホラーに手をだすんじゃないか」と冗談で書いたけど、それは無いんじゃないか、という気がしてきました。コワさにはあまり関心ないんじゃなかろうか。本作も、コワくは、無いんです。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2018-11-17 03:10:14) |
1134. ニキータ
《ネタバレ》 アクション映画と言えばマッチョ系、という時代でしたから、女性を主人公にしたこの映画、とても新鮮でした。まだ「リュック・ベッソン? 誰それ?」ってな頃だったし。 主人公の成長物語と言えばそうなんだけど・・・最初の方では、不良グループの一員でラリってるだけのどうしようも無い存在、でも、まさか警官を撃たないだろうと思ってたら本当に撃っちゃったり、取り調べの最中に突然相手の手に鉛筆を突きさしたり(そういや『コロンビアーナ』にも少し似た場面があったっけ)、この頃の彼女は何をしでかすかわからない、規格外、自由奔放な存在。それが、訓練を通じ「ちゃんとした」女性となって、ついには外の世界にも出られるようになった彼女は、むしろ、がんじがらめで自由が束縛されてしまってて。 これって何だか、子供が大人に成長していく姿そのものみたいで。なんか切ないのよね。 で最後は、すべてを知ってしまって「いた」男と、ひたすら涙を流しながらひたすら抱き合う。ちょっとセンチ過ぎるかな、甘すぎるかな、と思わんでもないけど、ま、いいじゃないですか。マッチョ系では味わえない甘さ。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2018-11-15 21:01:05) |
1135. ハリー・ポッターと謎のプリンス
《ネタバレ》 登場人物たちもずいぶん成長してきて、もはや中年の貫録とでもいうようなものを感じさせ、加齢臭すらも漂ってくるかのような。まあヒトのことは言えませんが。 それにしても、何なんでしょうね、このスカスカでグダグダの学園ドラマは。「ファンなら、この程度の内容でも充分ヤキモキしてくれるでしょ」って、タカをくくってませんかね。まあ実際、心の広いファンなら多少はヤキモキできちゃうかも知れないけど。でもこの作品単体ではさすがにキツい。過去の資産の食いつぶし。 とりあえず驚いたのが、ハリー・ポッターが、いやがるダンブルドアにいかにもマズそうな液体を無理やり飲ませる虐待のくだり。そりゃま、ダンブルドア自身の指示に従ってはいるんですけどね、しかしそもそも、映画の中で行われる「約束」ってものは、「その後実行されないために」こそ、その約束がなされる訳じゃないですか。だからこそスクリームがいみじくもおっしゃるように、「すぐ戻ると言って出ていったヤツが帰ってきたためしが無い」のだし、ルーク・スカイウォーカーだって修行の途中でヨーダのもとを去るワケでしょう。 それを、この丸眼鏡は、「先生いけません約束ですから」とばかり、淡々と約束を実行する。単に実行しただけで、だからどうということもない。何じゃこりゃ。ところで、嫌いなモノを無理に飲み食いさせたら、暴行罪か何かにあたるんですかね~教えて弁護士さん。 というワケで、結局この作品、長々と引っ張った挙句、言いたかったのは「いやそれでもやっぱりスネイプって怪しいよね」ということ、だけだったんですかね。いやはや。 [DVD(吹替)] 4点(2018-11-10 04:28:43) |
1136. 去り行く男
《ネタバレ》 男女関係がモツレてゴチャゴチャしてきた場合は、登場人物が片っ端から死んでくれると、モツレが解けてめでたしめでたし、というシステムですね、これは。え、そんなんでいいの?と思うか思わないかのタイミングで早々に画面に現れる「THE END」の文字が、見事に我々を突き放します。 うん、これでいいんですよ、きっと。いや、よくないかな。 何だかヒトは良さそうだけど、確かに暑苦しくてうっとうしくて、それだけに気の毒さが光るのが、何という名前の俳優さんか知らないけれど、ボーグナイン似の男。と思ったら、あ、本人だ(←そればっかし)。のみならず、ヒゲこそ無いけど顔も声もキャラもこれはブロンソンだろ、と思ったら、やっぱりそれはブロンソン。ロッド・スタイガーもイイ顔で憎まれ役を演じ、しっかり存在感出してます。ジャック・イーラムはまだ後年ほどイイ顔ではないのであまり目立ちませんが。 という、出演者を見ると結構「当たり」な映画なんですけど、このモテモテの主人公役が、どうしてグレン・フォードなんだ? なぜモテるか、よくわからん。よくわからんけど、モテるせいで物語に波乱が起こり、さらには幌馬車の一行を巻き込む形で物語が膨らんでいく。その辺りが見どころですね~ラストは少々安直かもしれませんが。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2018-11-03 09:23:16) |
1137. ファイナル・デッドコースター
《ネタバレ》 また同じようなことやってるなあ、という作品なんですけど、まあ、また同じように楽しませてくれた、ということで。 殺人鬼が襲ってくるのとは違って、モノが襲ってくる、あるいはシチュエーションが襲ってくる、という、どういう形で死が訪れるかわからないスリル。なんですけど、事前にその予兆というか、死のキッカケになりそうなモノを我々にチラ見せして、スリルを煽るところ、あまりに断片的なチラ見せなもんで、観てても「え?今の何?」とか思っちゃって、もうひとつうまくスリルに繋がらない感じもして。もっとしっかり見せつけてくれてもいいのでは・・・とも思うんですけど、ま、このチラ見せが作品の特色、持ち味なのでありましょう。思わぬ死に繋がる意外性。 で、今回の新味はというと、写真に写された順番に、人々に謎の死が訪れる。しかも、その写真に一緒に写っているモノが、凶器となって・・・。 そんじゃあ、盗撮パンチラと一緒に写っちゃってたヒトがいましたけど、あのヒト、どういう死に方したらいいんですかね~。コワイですね~。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2018-10-22 23:48:38) |
1138. ゲームの規則
《ネタバレ》 冒頭のフィガロの結婚の引用からの連想かも知れないけれど、オペラ・ブッファを思わせるような作品です。その連想でいくなら、ジャン・ルノワールの役どころは、狂言回し的なバッソ・ブッフォといったところでしょうか。 場面場面ではちょっとした悲喜劇みたいなものがあって、登場人物たちがさまざまに「重唱」とも言うべきものを奏で、それが映画の見どころ(オペラなら聴きどころ)なんでしょうけれど、全体を通してみると、他愛が無いというか、あまりまとまった筋立てもない印象(間違ってもこれはヴェリズモ・オペラではありませんな)。 ところが、最後まで明るさを通さない、通せないのが、オペラというものと映画というものの違いなのか、それとも本作の本作らしいところと言うべきなのか。最後には悲劇が待っており、しかも何だかそれが、まるで最初から避け難かったものであったかのような感じがして。で、ここで、映画の内容との関係があまりよくわからなかった『ゲームの規則』というタイトルに、思いが至る。みな、自由気ままにふるまっているようで、実はそうではなかったのか。 実は、モーツァルトのオペラも同じようなもんで、「オペラはみんな、こうしたもの」ってなところなのかも知れませぬ。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2018-10-21 13:50:48)(良:1票) |
1139. コンゴ
《ネタバレ》 先日、BSで放送。あー、確かにこんな映画ありましたね、マイケル・クライトン原作という触れ込みの、着ぐるみ感満載映画。あまりの着ぐるみ感に、映画の存在自体、記憶から消えて(消して)ました。昨今の映画におけるCGの多用に「功」と「罪」があると思いますが、本作みたいな悲劇を繰り返さない、という点では「功」と言っていいんでしょうね。ちなみにコンゴ共和国の2文字略称は「CG」だそうです。コンゴ民主共和国はCDですが。 いや、この着ぐるみ、動かなければ、とてもよくできてる(動きについても瞼の動きなんかよくできてる)と思うのですが、動いちゃうと、ねえ(笑)。うーむ、ゴリラの動きをまねるのって、こんなに難しいのか、と。正確には「人間っぽい動きをするけれどやっぱりゴリラっぽくなってしまうゴリラの動き」、なんでしょうけれど、それがやっぱり人間っぽく、なっちゃうんですね。何を言ってるのか自分でもよくわかりませんが。 まあ、それが問題なのではなくって、フランク・マーシャルの監督としての力量不足が、すべてに悪影響を及ぼしている、ということになりましょうか。でもでも、それだけでもなさそう。この、荒唐無稽を超えていきあたりばったりとしか言いようのないストーリー。気合いの入らないアクションシーン(まあ、あんなレーザー銃持たされても、困るんでしょうけど)。誰かがなんとか事態を修正しようとするより、映画全体が何か別の価値観へと向かおうとしている感があって。 そうだ、このベクトルに突き進むと、最終的にはあの「東宝特撮モノ」の世界に繋がっていくんじゃ、なかろうか。いや東宝に限らなくていいけど。 ラストでどうして、噴火が起こってすべてが崩壊しなきゃならんのか、なども、訳がワカランのですが、これはもう「そういうもんだから」としか言いようがなくって、我々はこういうメチャクチャをやってくれたことに、感謝しなければいけないのかも。それにしても、ここまでやってなお、ラジー賞受賞に手が届かないとは。恐るべし。 [CS・衛星(吹替)] 6点(2018-10-21 12:21:13) |
1140. アラン・ドロンのゾロ
この映画の記憶というと、ヒロインの女優さん見て、なんてカワユイのだ、と思いオッタヴィア・ピッコロという名前もチェックしてた、ということなんですが・・・どうしてそんなこと思ったのか、今ではサッパリ(笑)。たいしてカワユくもない、というか、これだったらそれこそ、リンダ・ブレアとかとも大差ないんじゃないの←それは失礼でしょ(←誰に対して?)。 それはともかくとして、アラン・ドロンが怪傑ゾロを演っている、という、まあ、邦題を見りゃわかるんですけど、そんな作品でして。 アクションシーンでは基本的にマスクを被ることになるもんで、どこまで本人自身が演じているのかはわかりませんけど、こういう活劇モノでもしっかりサマになってる、さすがはアラン・ドロン。片や切れ者の義賊、片やドン臭そうな総督、という、一人二役的な役どころをコミカルに、楽しげに演じてます(これも、本当に楽しかったのかどうかはわかりませんが)。 ただ、物語はというと、まあ、あんまり物語らしいものもないんですね。上述のピッコロ嬢も必ずしも出番は多くなく、さほど存在感も無い。なんやかんやと、小競り合い的なドタバタが続いて、これで尺がほぼ2時間。むかし日曜洋画劇場でやってた時は、いい感じにだいぶ刈り込んでたんでしょうね、さすがにメリハリの乏しい2時間は、ちょっと長く感じます。 でも、全体が長い分、最後の一騎打ちの場面にもたーっぷりと時間をとっていて。場面を次々に変えながらどこまでもどこまでも続いていく闘い、このしつこさは、見どころと言ってよいでしょう。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2018-10-21 11:19:22) |