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イニシャルKさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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1141.  ダイ・ハード 《ネタバレ》 
かなり久しぶりに見たけど、めちゃくちゃ面白かった。やはりまずなんといってもいかにもヒーローという感じではない普通の男である主人公ジョン・マクレーンが訪れた別居中の妻ホリーの勤務先であるナカトミビルでテロ事件に巻き込まれ、たった一人でテロリストに立ち向かうことになるという設定自体が面白いのに脚本も緻密で、マクレーンが口が悪かったり、弱音も吐きながら孤軍奮闘する人間臭い姿(妻との間に問題を抱えているという設定も利いている。)に思わず感情移入してしまうし、ハンスたちテロリストとの戦いも派手なアクションだけではなく、心理戦も見ごたえじゅうぶんでハラハラドキドキが最後まで持続するので大味な感じは全くなく、見ていて飽きない。ハンスやカールといったテロリスト側の登場人物さえも魅力的に描かれているのがよく、やはりアクション映画は悪役にこそ魅力がなければと改めて思った。(吹き替えで見たのでちょっとこういうことを言うのはあれかもしれないが、ハンスを演じているアラン・リックマンはなんとこれが映画デビュー作とのこと。とてもそうは思えない存在感がすごい。)人質の命の軽く見ているFBIの掃討作戦ヘリがビルの屋上の爆発に巻きこまれて炎上する因果がなんとも印象深い。子供を誤射したことによるトラウマで銃を撃てなくなったパウエルが最後にしぶとく生き残ったカールを射殺するシーンは思わず感動してしまった。やはり最初に書いたようにとても緻密な脚本で、登場人物一人一人を大切に描いているからこそただのアクション映画というだけではなく、きちんと人間ドラマとしての魅力もある作品になっていて、まさにこれぞこれからもずっと残っていく名作に違いないと思う。(2022年12月31日更新)
[DVD(吹替)] 9点(2006-04-22 16:46:45)
1142.  彼岸花 《ネタバレ》 
小津安二郎監督初のカラー映画。冒頭から映し出される東京駅の駅舎や、赤いやかんなど、映像的には小津監督が初めてのカラー映画を色にこだわって楽しんで撮っているのが感じられる。でも、それに酔うことなく小津監督らしい作品になっているのが良い。娘の結婚という小津作品ではお馴染みのテーマでつい父親役は笠智衆と思ってしまうが、この映画では長女(有馬稲子)の結婚に反対する頑固親父を佐分利信が演じていて、こういうキャラだと笠智衆よりも佐分利信のほうがしっくりくるし、実際、すごくハマっている。それに、この主人公・平山を見ているだけで面白く、それが本作全体の面白さにもつながっていて、つい最後まで引き込まれて見てしまった。友人(笠智衆)の娘(久我美子)に「結婚は自由であるべきだ。」と言っておきながらいざ自分の娘のこととなると「不賛成だね。」と言い出すこの父親の堂々とした姿はハタから見ると笑えるのだが、同時に素直になれないもどかしさもどこかにあるのではと思えて、そこらへんの心理描写も巧みで見事。「人生は矛盾だらけなんだ」と開き直る彼の姿からはそういった葛藤の跡も垣間見える。山本富士子と浪花千栄子の京都の親子コンビが強烈に印象に残るのだが、彼女たちの京言葉が美しい。部下の近藤(高橋貞二)が平山と一緒に酒を飲んだ翌日の夜、同じ店で一人で飲んでいるところに平山が現れるコントのようなおかしさも良かったが、やはり本作は平山の妻を演じる田中絹代に尽きるのではないだろうか。控えめでありながらも旅行先で戦時中に防空壕に家族一緒だった時が幸せだった話をするシーンや、夫の矛盾を指摘するシーンの力強さがすごく、存在感と説得力をものすごく感じることができた。クライマックスとなる長女の結婚式のシーンを描かないのも小津監督らしいが、ラスト、京都の親子の計らいで長女の嫁ぎ先である広島に向かうことになった平山の列車内の様子で終わるというのが、心地良い余韻を残していて、見終わった後、なんともいえない満足感に包まれた。昔に見た時はあまりピンとこなかった映画だったのだが、今見ると素直に名作だと思える。(2024年2月12日更新)
[DVD(邦画)] 8点(2006-04-21 01:26:08)
1143.  男はつらいよ 寅次郎恋歌
シリーズ第8作。博の父(志村喬)が寅さんにリンドウの話をするシーンもよかったけど、博の母の葬式のあとみんなで集まって故人について話をしているシーンで「母さんは不幸せだったんだ。」と言い出す博につい感情移入してしまった。そしてこれが最後の作品となった森川信のおいちゃんだが、作品を見るかぎりいつも通りに元気においちゃんを演じていてこのほんの数ヵ月後に鬼籍に入ってしまったことが信じられない。シリーズ歴代のおいちゃんの中ではこの「森川おいちゃん」がいちばん好きだ。それだけに早くに亡くなったことが残念で仕方ない。もっともっと彼の演じるおいちゃん、見たかったなあ。
[地上波(邦画)] 8点(2006-04-15 14:09:16)(良:1票)
1144.  古畑任三郎ファイナル ラスト・ダンス<TVM>
そんなにつまらなくはないが、展開にほとんど意外性もなくシリーズ完結編としては物足りない感じ。松嶋奈々子の出演作を見たのは「ホワイトアウト」以来で5年ぶりくらいだけど、なんかかなり老けて見えた。来年公開の「犬神家の一族」リメーク映画で珠世をやるらしいけど果たして大丈夫なんだろうか。
[地上波(邦画)] 5点(2006-04-14 01:27:40)
1145.  サイコ(1960) 《ネタバレ》 
見るのは16年ぶり2度目だったのだが、冒頭のクレジットタイトル部分からやっぱり引き込まれるし、序盤は4万ドルを持ち逃げしたマリオン(ジャネット・リー)の心理を巧みに描いていて、ここだけ見てもかなりの緊迫感があり、見ごたえもじゅうぶんで、このままマリオンの逃避行を描く映画なのだと思わせるのが実に見事で、そのうえで実はそうではないという構成がなかなか今見ても斬新に思えるし、モーテルの主人であるノーマン・ベイツ(アンソニー・パーキンス)と母親の関係の謎に迫る後半部に至ってもその緊迫感がずっと続くので最後まで目が離せなく、この緊迫感の持続こそが本作の見どころなのだと思う。ヒッチコックは既にこの頃カラー映画中心になってたと思うのだが、あえて白黒で撮影しているのが映画の雰囲気にとても合っているし、本作を見たことがない人でも知っている人が多いほどに有名なマリオンがシャワー中に惨殺されるシーン(今回見ていて本作が白黒なのはこのシーンにいちばんの理由があるのではと思った。)など白黒の特色がよく出たシーンも多く、もし、これがカラーだったら印象が違ってただろうと思う。(カラーでリメイクもされているんだけど、あんまり興味わかない。)マリオンとノーマンの食事中の会話も印象的で、その中でマリオンが自分の過ちに気づいて戻ることを決めるのがこの後の展開を知っているとすごくあわれでかわいそうと思えてくる。焦点がノーマンに移ってからはやや展開が早いように思うのだが、この部分もさっき書いたように緊迫感がずっと続くのでまったく気にならずに没頭することができたし、ラストの真相もさすがに初見時ほどではないもののやっぱり衝撃的。後半になってマリオンを捜しに来たサムとライラが金目的の犯行だと思っていて、見ている側はそうではないと分かっているあたりは倒叙もののような感じだが、考えてみれば本作はやや変化球の倒叙ものと言えるかもしれない。それにしても「サイコ」というタイトルが示すとおりの映画で、ここからサイコ映画というジャンルが確立されたと思って間違いないだろう。そう考えればまさに古典的名作だ。(2022年2月20日更新)
[DVD(吹替)] 9点(2006-04-13 14:16:52)(良:2票)
1146.  大誘拐 RAINBOW KIDS
初めて見た岡本喜八監督の映画で、今回、約12年ぶりに再見した。北林谷栄扮する飄々とした刀自をはじめとした登場人物たちがとても魅力的に描かれていて初見当時と同じくとても楽しく見た。しかしやはり喜八監督の全盛期の映画をたくさん見た状態で改めて見返すと、面白いんだけど、喜八監督の映画としてはちょっと普通すぎる気がして何か物足りなさも残る。そこがやはりちょっと残念といえば残念だが、最後に国に対してさらりと釘をさすところに喜八監督らしさは少しだけ感じられる。でも、喜八監督ならばもっと弾けてもよかったのではないかと思うのも事実で、誘拐犯3人のキャラクターなど昔の喜八監督ならばどのように描いていたかもちょっと興味あるところなのだが、喜八監督はこの映画を作るために相当苦労したようで、その熱意に映画監督としての情熱を感じる。これが喜八監督の映画の中で評価が高いのはちょっと疑問だけど、娯楽映画としてはなかなか面白く仕上がっていて楽しかった。でも、喜八監督の喜劇映画としては「ああ爆弾」とかもっと弾けた映画のほうが個人的には好きだな。(2010年12月26日更新)
[CS・衛星(邦画)] 7点(2006-04-12 02:40:28)(良:1票)
1147.  故郷(1972) 《ネタバレ》 
山田監督が「家族」とほぼ同様のテーマを「家族」とほぼ同じ俳優たちを起用して手がけた作品。「家族」のようなロードムービーではないのでややこじんまりとしている印象は否めないが、この「故郷」もよく出来た名作だと思う。「家族」と違って島に残される笠智衆が孫に「ここがお前の故郷だ。よく見ておくんじゃよ。」と語りかけるシーンがとても感動的。いつも「男はつらいよ」以外の山田作品ではカメオ出演的な役回りが多い渥美清がこの作品では本格的な脇役として出演しているのもちょっと珍しい。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2006-04-07 02:29:12)(良:1票) 《更新》
1148.  古畑任三郎ファイナル フェアな殺人者<TVM>
「ゴジラ×メカゴジラ」に本人役でカメオ出演していた松井秀喜とは違い、「古畑任三郎」の犯人役といえば、ほぼ主役級の重要な役柄なので果たして大丈夫なのかと思っていたが、イチローの演技はなかなか良かった。全体としてはまあまあ楽しめる出来。
[地上波(邦画)] 6点(2006-04-03 01:53:26)
1149.  切腹 《ネタバレ》 
十数年ぶりに見たが、まず冒頭からもう一気に見る者を引き込む橋本忍の脚本のうまさによってグイグイと物語に引き込まれるし、主人公 津雲半四郎(仲代達矢)の口から語られる身の上話が仲代の熱演により相当な説得力を持っていて、飽きさせず、緊張感が最初から最後までずっと持続するので全くだれることがなく見入ることができる。半四郎が武士の面目が上辺だけのものとなったと批判するのは今の世の中に当てはめてもじゅうぶんに通用する。クライマックスの大立ち回りにより出た死傷者に対する勘解由(三國連太郎)の対応はおそらく現代であれば批判の矢面に立たされるであろう。このシーンこそ小林正樹監督がこの映画で言いたかったメッセージがもっともストレートに出ていると感じる。実は初めて見た時はそれまで静かに進行していた物語がこのクライマックスの半四郎の大立ち回りによって分断されてしまったような印象があったが、このシーンを見せるためには必要な展開だと今回見て思った。後半の半四郎と彦九郎(丹波哲郎)との決闘も迫力があり、見ごたえじゅうぶん。(クライマックスの大立ち回りよりこの決闘のほうが印象に残る。)求女(石浜朗)の竹光による切腹シーンは初めて見たときも強烈に印象に残ったが、久しぶりに見てもそのリアルな痛々しさが見ているこちらにも伝わってくる。あまたの時代劇映画の中でも歴史に残る名シーンだ。こんなところも本作が評価される所以かもしれないが、もちろんそれだけではなく、権力組織の慢心や傲慢さを鋭くついている内容で、ドラマとしても完成度が高く、名作とされている理由がよく分かるし、個人的にもそう思う。無論、仲代達矢、三國連太郎、丹波哲郎といった出演俳優の熱演もこの映画の完成度を高めるのに貢献しているのは言うまでもない。(2013年1月10日更新)
[CS・衛星(邦画)] 9点(2006-04-01 14:28:58)
1150.  古畑任三郎ファイナル 今、甦る死<TVM>
久しぶりの新作。三谷が同時期に放送された「新撰組!」の続編の脚本とこのスペシャルの放送後に公開された「THE 有頂天ホテル」の監督・脚本をやっていたため、やっつけ仕事的内容の駄作を覚悟して見たのだが、なかなか楽しめたので満足。ゲストが石坂浩二だからか、珠代という人物が出てきたり、吉田日出子が手毬唄をうたっていたりと、ところどころに金田一耕助シリーズを意識した演出があるのがちょっと嬉しい。
[地上波(邦画)] 7点(2006-03-31 20:03:58)
1151.  男はつらいよ 寅次郎の青春
初めて見た「男はつらいよ」がこの「寅次郎の青春」。若い僕にはあまり興味はない映画と思ってそれまで見てなかったが、当時は渥美清が亡くなってしばらく後で、ちょっと前にはテレビで連日のように渥美清の訃報をとりあげていたことと、僕自身も山田監督の「幸福の黄色いハンカチ」で生まれて初めて映画を見てて感動したのでとりあえずという気持ちで見たのだが、シリーズ末期のこの回をシリーズ初体験に選んでしまったのが失敗だったのか、やっぱり大して面白いとは思えなかった。あれ以来見ていないので、シリーズをほぼ制覇した今、もう一度見たいと思っている回である。BSでやっている全48作放送で来年初頭に放送があるようなので、気長に待つとしよう。
[地上波(邦画)] 5点(2006-03-27 02:12:44)
1152.  笑の大学
思っていたよりは楽しめたけど、映画としては二人芝居で2時間もあるというのが非常に長く感じられ、途中にこれはコントなのかと思うシーンもあり、かなり間延びしているように思う。こういうのはやっぱり映画で見るより、原作の舞台をそのまま見たほうが楽しめるだろうな。
[ビデオ(邦画)] 5点(2006-03-21 03:43:42)
1153.  ルパン三世 ハリマオの財宝を追え!!<TVM> 《ネタバレ》 
ルパンの声がクリカンに変わって初のテレビスペシャル。今現在のテレビスペシャルと比べればまあ面白いし、レギュラーメンバーの声もまだ若さがある。ラーメンを啜る銭形やバイト扱いの五衛門など各キャラクターがユーモラスに描かれていて楽しめた。ただ、作りも軽く安心して見ていられるのだが、それゆえか何か物足りない部分も。クリカンはこの頃そうとう叩かれていたが、個人的には山田康雄のルパンにそれほどなじみがないせいかあまり気にならない。(山田康雄はイーストウッドの吹き替えのほうが印象強い。)敵のボスの声が田中真弓というのはちょっと意外に感じる。鈴置洋孝も懐かしかったな。(2010年12月7日更新)
[DVD(邦画)] 5点(2006-03-17 01:03:12)
1154.  がんばれ!ジャイアン!! 《ネタバレ》 
感動短編シリーズ第4作。ジャイアンとジャイ子の兄妹愛を描いているが、感動短編シリーズというよりはほぼジャイアンのスピンオフ作品といった感じで、彼の魅力は存分に出ていてジャイアンが好きならじゅうぶん楽しめる内容となっている。(実際、ジャイアン好きなのでそこそこ楽しめた。)しかし一方で、この話を感動短編シリーズでやるのはちょっと異色に感じるし、そういう目で見ると話的にも平凡で物足りない気がするのも事実ではある。でも、エンドロールまで見るとのび太と結婚するはずだったジャイ子は結局誰と結婚したのかが想像できるようになっていて、そこは良かった。(2023年3月19日更新)
[DVD(邦画)] 6点(2006-03-16 00:27:37)
1155.  天使にラブ・ソングを・・・ 《ネタバレ》 
ウーピー・ゴールドバーグと聞くと「ゴースト」とともに思い浮かべる映画。かなり久しぶりに見たが、デロリスを演じるウーピー・ゴールドバーグがものすごくハマっていて、それだけで見ていて単純に楽しいし、旧態依然とした厳粛な修道院に現れた彼女が聖歌隊に入ったあたりからとたんにシスターたちがイキイキとしてくるのが面白く、そこからは一気に楽しめたし、見ていて自然と元気が出てくるのがいい。シスターたちの個性もしっかりとしているが、やはりデロリスの影響で修道院の雰囲気が変わりはじめても、修道院は規律を重んじる厳粛な場所であるべきと考えている修道院長(マギー・スミス)。そんな彼女もやがてはデロリスを認めることになるのはわかりきっていることではあるんだけど、今見るとこの修道院長につい気持ちが行ってしまう部分があった。それから、昔吹き替えで見たときに印象に残ったシスターはロバート(ウェンディ・マッケナ)だったのだが、今になって字幕で見てもやっぱりロバートが印象に残った。映画的には普通のコメディーという印象が昔見たときと同じく強く、物足りない部分もなくはないが、だからこそ安心して見られる映画になっている。クライマックスはローマ法王を前にしたシスターたちの歌だが、これが終わった後、エピローグをやらずにスパッとエンドロールに入る構成で、この終わり方が実に後味良く、気持ちのいい映画だったなあと思わず笑顔で見終えることができた。(2020年12月11日更新)
[DVD(字幕)] 7点(2006-02-26 12:28:53)
1156.  ルパン三世 ヘミングウェイ・ペーパーの謎<TVM> 《ネタバレ》 
テレビスペシャル第2作。(この作品から「金曜ロードショー」で放送されるようになったとのこと。)本作は序盤にルパン、次元、五右衛門の三人が完全に別行動というのが新鮮だし、西部劇を意識した演出も利いていて、ハードボイルドタッチな雰囲気も良いし、出崎統監督らしい止め絵演出も効果的に使われていてスペシャル版の中ではかなり好印象な一篇。中でも次元が帽子を脱いでいるシーンが多いことにちょっと驚いたし、帽子を脱いで銃を外さず撃っているのを見て、セカンドシリーズの一篇である「次元と帽子と拳銃と」が印象にあっただけにやっぱり次元はどういう状態でも銃の名手でなければと感じた。(あの話も面白かったんだけどね。)話的にもテレビレギュラーシリーズの一篇でちょうどいい感じなのに冗長な感じはほとんど受けなかったのがまた良かった。ただ、銭形がほとんど活躍せず、むしろ空気のような存在になっていたのはちょっと残念だったかな。(2019年11月2日更新)
[DVD(邦画)] 6点(2006-02-22 00:04:57)
1157.  独立愚連隊西へ 《ネタバレ》 
「独立愚連隊」シリーズの2作目だが、舞台となっている戦線が同じなことを除いて前作とのつながりはない作品になっている。前作よりもコメディ色が強くなり、娯楽性も増していて前作よりも面白いだけでなく、岡本喜八監督らしさも今回のほうがより出ていて、喜八監督自ら作詞した主題歌「イキな大尉」のブラックユーモアあふれる歌詞をはじめ、日本軍への風刺もさらに利いているなど、前作よりも吹っ切れて手がけている感じがする。愚連隊である左文字隊が軍旗を取り戻しに行くという筋なのだが、左文字隊のメンバーがみなカッコよく、個性的に描かれていてとてもイキイキとしているのがよく、見ていて本当に楽しいし、痛快。これはマキノ雅弘監督の映画に近いものを感じるが、喜八監督はマキノ監督の東宝「次郎長三国志」シリーズに助監督として参加していたとのことで、マキノ監督の影響もあるのだろうと感じられる。そして、主役の左文字隊メンバーだけでなく、愚連隊と遭遇する敵役である中国軍の部隊もイキイキとしていて、とくにフランキー堺演じる隊長のキャラがすごく立っていて、彼と左文字隊とのやりとりも本当に敵同士なのかと思うほど清々しく、そして微笑ましい。(最初に遭遇したとき、いつの間にかマラソンを始めてしまうのに思わず爆笑。)このフランキー堺演じる隊長のセリフをすべて中国語で通しているのはなかなか立派。喜八監督の映画にフランキー堺は本作と「ダイナマイトどんどん」の2本しか出ていないが、本作を見るともっと喜八作品でのフランキー堺を見たかった気がして少しもったいなさを感じた。佐藤允と加山雄三のダブル主演ということになっているが、前作と続けて見ると、佐藤允の活躍はそれに比べると少なく、加山雄三のほうが主役としては目立っている感じなのだが、デビュー作に近い状態でこの役というのはこの頃から既に二世俳優として期待されていたことがうかがえる。ラストも後味が良く、この後、次の部隊に所属した左文字隊の活躍も見てみたかったと正直に思った。「イキな大尉」も好きなのだが、オープニングに流れる「独立愚連隊マーチ」がとても軽快で、本作の雰囲気に合っていて、思わず口ずさみたくなってしまう。(2024年9月8日更新)
[DVD(邦画)] 9点(2006-02-21 02:39:15)
1158.  THE 有頂天ホテル 《ネタバレ》 
以前にも劇場やDVDなどで計3回は見ている映画なのだが、年末というこの時期に改めて久しぶりに(10年以上ぶりくらいに)見た。劇場で初めて見た時はかなり面白かった映画だったのだが、その後にDVDで見返してみるとイマイチだったという記憶があるので、果たしてどう感じるだろうと思っていたが、群像劇としての面白さはそれなりにあるものの、全体的になにかとっちらかったオールスター映画のような印象で、それぞれの登場人物に見せ場を作ろうとして逆に薄みになるというこの手の大作映画特有の落とし穴にはまっている感じ。三谷幸喜監督は舞台出身のためか、映画でも舞台となる場所を一か所に限定していることが多いが、本作は主軸となるストーリーがはっきりせず、せめて宿泊客の中にでもほかの登場人物たちを客観的に見る狂言回しのような存在がいればとも思ってしまうが、そういう存在も見当たらないために、ただのドタバタに終始している印象があり、一応、登場人物たちそれぞれの人生というものをテーマとしているようだが、それも何か取ってつけたような感があるのも少し残念だった。とはいえ、何も考えなければじゅうぶんに楽しめる映画だと思うし、(少なくとも「ギャラクシー街道」のようながっかり感はない。)冒頭にも書いたように劇中の時期に合わせて見たせいか新年を迎えるラストシーンに高揚感というか、リアルタイム感というのか、そういうのはあったし、(実際の大晦日の夜10時前頃から見始めるとちょうどいいかも。)数多い出演者の中でも「新撰組!」の出演者が多いのは、やっぱり時期的なもの(最終回放送後1年ちょっと後の公開)もあるのだろう。そのつながりでオダギリジョーと麻生久美子も出演しているのだが、本作では絡みはないものの「時効警察」を見た後になって見るとやっぱり桐山と三日月のコンビをつい思い出してしまった。(2021年12月30日更新)
[DVD(邦画)] 6点(2006-02-18 22:29:58)
1159.  ろくでなし(1960) 《ネタバレ》 
大島渚監督や篠田正浩監督とともに「松竹ヌーベルバーグ」と言われていた吉田喜重監督のデビュー作。大島の「青春残酷物語」と同じく松竹らしい映画ではないが、これもけっこう面白かった。ラストは「青春残酷物語」のそれと比べると衝撃度は小さいように思うけど、そっくり同じような終わり方をするというゴダールの「勝手にしやがれ」(ゴダールに対する苦手意識の強さからまだ一度も見たことがない。)をちょっと見てみたくなった。役者陣ではクールなヒロインを演じる高千穂ひづるがとても魅力的。津川雅彦も若い。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2006-02-18 03:09:41)
1160.  美女と野獣(1991) 《ネタバレ》 
この映画もかなり久しぶりに見たが、ベルと野獣の距離がだんだんと縮まっていく過程はよく描かれているし、二人でダンスを踊るシーンはとても美しい。それに何といっても呪いをかけられ、食器や時計といった日用品に姿を変えられている野獣(王子)の側近たちが愛らしく、このキャラクターたちの愛らしさがあるからこそ、この映画がファミリー層に受け入れられやすいのだと思う。(この辺りはさすがディズニー。)しかし、ガストンたちが野獣を殺しにいくシーンはなにか狂気じみているし、ハッピーエンドなのは見る前から分かっているのだが、野獣から王子に戻るシーンが少々強引で、これだったら魔法は解けなかったが、真実の愛に目覚めた野獣はその姿を受け入れてくれたベルといつまでも幸せに暮らしましたという終わり方のほうが良かったのではと思えた。とはいえ、ディズニーらしい安心して見られる映画で、アカデミー賞の作品賞候補にもなった作品。少なくともこの年に作品賞を受賞した「羊たちの沈黙」よりは本作のほうが好きだし、他人にも喜んで薦められる一本だ。(2013年3月29日更新)
[地上波(吹替)] 6点(2006-02-15 00:50:16)
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