1161. ピクニック(1936)
何故?何てことの無いある家族のピクニックの風景に目が釘付けになり涙がこぼれてくるのだろう? 冒頭のブランコとシルヴィア・バタイユ。彼女のことが気になって仕方が無い地元の男2人が窓を開ける。2人の目に飛び込んでくるブランコの上のシルヴィア。2人の男も、通りかかった神父さんの一行も、地元の子ども達も、本作を見る全ての人も同じように目を奪われる美しさと躍動感。 そうか・・・。本作を紹介する資料に必ず使われるシルヴィアの屈託ない笑顔をとらえる1枚はこのシーンだったのか・・・。 やわらかな陽光、木漏れ日に、揺れる草木が作り出す影、シルヴィアの目に光る一筋の涙、移り変わる空模様と雨・・・。全てが感動的な美しさ。 こちらでルノワールの作品のコメントを書くのは3本目ですが、本作のような静かな風景も、同じく10点を付けた「フレンチ・カンカン」のラストのような賑やかなシーンも、ルノワールの手にかかればどれも感動的なまでに生きていることの素晴らしさを感じさせてくれます。 ジャン・ルノワールという人の人間の大きさ、大らかさを感じる。至福の40分。 [DVD(字幕)] 10点(2012-07-15 15:13:14)(良:1票) |
1162. 太陽は、ぼくの瞳
《ネタバレ》 あたたかな家族の描き方で子ども達が力強く躍動する「運動靴と赤い金魚」のマジディ監督作。 前半は良かったのですが・・・。力強く生きる盲目の少年と優しいおばあちゃんと姉、可愛い妹。イラン映画といえば乾いた風景のイメージが強いですが、緑豊かな森と花が咲きほこる草原、水量の豊かな川が流れている本作の一家が住む土地の風景が綺麗でした。 しかし後半は厳しい作品でしたね。少年が同じ境遇にある木工職人の元に預けられるのですが、ここで少年が厳しい境遇を乗り越え新たな生きる希望を見出す等の特筆すべき展開は無く、結末もどう解釈すべきでしょうか。こういう場合僕はいい方に解釈したいのですが、そうではないんですよね。 父も息子もそれぞれの神への思いが挿入されていますが、イスラムの世界では神は絶対的な存在というイメージがあっただけに、特に父が神に対し思いを爆発させるところは意外に感じられました。 [映画館(字幕)] 6点(2012-07-15 15:06:00) |
1163. ダーティ・ダンシング
作品からは60年代の空気はあまり感じなかったのですが、青春ダンスムービーの良作だと思います。また、80年代の青春映画の顔の一人だったパトリック・スウェイジの代表作はこれじゃないでしょうか。 ダンスに関してはかなりのこだわりを感じる作品。特にラストのダンスシーン。踊る2人の表情もダンスも、老若男女その場の全ての人が踊り出す全体像も素晴らしかった。 中盤に2人が湖でリフトの練習をするシーンがとても美しかったのですが、それがラストのダンスでビシッとリフトが決まるところにつながる。ここもとても美しかった。 やはり青春映画には夏が似合う。少年や少女を一回り成長させる季節。ヒロインのベイビーもまた、ひと夏の間にどんどん大人に、魅力的になっていった。演じるジェニファー・グレイもまたとても魅力的な作品です。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-07-13 21:39:51) |
1164. ブラッド・ダイヤモンド
紛争ダイヤモンドをはじめ、豊富な天然資源を持つアフリカ諸国にある現実を時には情け容赦ない描写を含みながら告発しつつも人間ドラマ、アクション映画としてのレベルも高い作品でした。 その実力を過小評価されているきらいがありますが、俳優レオナルド・ディカプリオの素晴らしさを改めて感じる作品でもあります。 アジアやアフリカ諸国の紛争と先進国の関係を描いた作品は少なくない。ディカプリオ演じるアーチャーは勿論白人。主役の人間が、変にその作品の中の先進国代表になっているようなケースも見られますが、本作のアーチャーは白人でありながらアフリカ人である点も考えられた展開になっています。 ジェニファー・コネリー演じるジャーナリスト。作中の控え目な立ち位置も良かったし、こうしたテーマの作品にとっては難しい役どころだと思いますが、ジェニファーの静かな熱演もまた素晴らしかった。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2012-07-10 22:15:54) |
1165. アメリカン・プレジデント
アメリカの大統領を主人公にしたハートウォーミングなコメディタッチの作品。「デーヴ」なんかを思い出す作品です。 どんな役を演じてもカッコよさのあるマイケル・ダグラス。本作ではアメリカ大統領としてのカリスマ、思春期の娘を持つ妻に先立たれた男、1人の女に恋した男を演じ分けた。どのダグラスもカッコよさを感じさせるのは流石です。 そして品があり可愛らしさを感じさせるアネット・ベニング。2人の魅力が存分に引き出された、ロブ・ライナーらしい手堅さのあるロマンティック・コメディです。 政治モノとしても、ダグラス演じる大統領と、大統領への非難を繰り返し、選挙の票稼ぎにしか興味が無いような(どこの国にも似たような政治家はいるということでしょうか…)対立候補の醜い姿を通して、本来政治家としてあるべき姿を軽いタッチでうまく示しています。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-07-08 22:20:39)(良:2票) |
1166. ザ・プラマー/恐怖の訪問者
《ネタバレ》 ピーター・ウィアー監督のオーストラリア時代のサイコサスペンス。製作は1980年ということですが、もっと古く見えるし、いかにもという低予算の香り漂う80分に満たない小品。 何の予告も無く突然現われた配管工。やたら奥さんに心理戦を仕掛けてくる。一向に進まない工事。それでいてヘラヘラしている気味の悪い男。 配管工はかなり怪しげな行動をとっている。さらにこの配管工はムショ帰りの男という事でしたが、もう少し醸し出す美気味な雰囲気が欲しかった。 一方見るからに神経質そうな奥さん。最後は奥さんの勝ちといったところでしょうが、奥さんが精神的に追い込まれていく描写ももうちょっとあってもよかったと感じました。この頃なら配管工デ・ニーロ、奥さんミア・ファローあたりで見たいと思えた作品です。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2012-07-06 16:23:57) |
1167. ソウル・サーファー
プロサーファーを目指す、片腕を失った女の子べサニーの感動の実話。 しかし彼女の強さ、彼女を支える親友や家族や周りの大人達の描き方など、感動をあおる味付けは控え目にされており、音楽も大袈裟で感動的なスコアではなく、海やサーフィンのシーンに似合う爽やかな挿入曲が多用されています。それでいていくつものべサニーと彼女の傍にいる人達の感動的な姿があります。嫌に感じる部分と言えば度々登場する、いかにもという彼女に群がるマスコミの姿くらいでしょうか。 長くなりすぎず、まだ津波の傷痕が残るプーケットのエピソードの挿入も良かったです。彼女の笑顔に導かれるように人々が海へ歩を進める様が感動的でした。 エンドロールで挿入される今のべサニーと家族のドキュメンタリーもまた感動的かつ効果的でした。作品に描かれている通りのべサニーの強さや家族の絆の深さが伝わってきました。 [映画館(字幕)] 8点(2012-07-04 21:15:12)(良:1票) |
1168. ピアノ・レッスン
多少説明不足でも独特な雰囲気がある映画は嫌いではない。作品の雰囲気に流されやすいタチでもあります。でも、本作に関してはエイダとピアノにまつわる過去など彼女の心の闇をもう少し感じたかった。ハーヴェイ・カイテルの「君のことがよく分からない」という台詞がありますが、それに関しては僕も全く同意見で・・・。 主人公の心の闇、雨、曇天、泥濘、鬱蒼とした森・・・暗い雰囲気が支配する作品の中で、本作のMVPは映画初出演のパキンちゃんでしょう。ハーヴェイ・カイテルもいいキャスティング。何をやっても味がある人ですが、よく分からない人物像やヘンな奴とがよく似合う俳優さんです。オールヌードになった時は「またか・・・」と思いましたけどね。 [映画館(字幕)] 6点(2012-07-04 21:05:28)(良:1票) |
1169. 刑事コロンボ/二枚のドガの絵<TVM>
本シリーズの見所は幾つもありますが、そのうちの1つ、お茶目でユーモラスな警部の姿を見せる笑いドコロは本作にはありません。 作品ごとに色んなタイプの犯人が登場しますが、本作のように卑劣な犯人が登場する作品では警部は犯人に対し対決姿勢を強くする。 本作は犯人に「私はあんたが犯人だと思っている」という台詞で宣戦布告することは無いですが、かなり早い段階で犯人に対して実質的に宣戦布告しています。 そこからの警部vs犯人の心理戦はもっと面白い作品があると思いますが、ラスト、幕切れの鮮やかさはシリーズ屈指の作品。 本作は今回初めて見ましたが、本作の見所の1つはキム・ハンターさん。お猿さんメイクじゃない彼女を見るのは久しぶり。 思わぬ大物からお久しぶりです!という方まで色々ですが、ゲストスターは毎回、僕にとっての本シリーズの楽しみの1つとなっています。 [DVD(吹替)] 6点(2012-07-02 20:22:31) |
1170. ホリデイ
《ネタバレ》 程よいベタさと温かみがある。時にはダサくもあるけど、それでいて洒落ている。ナンシー・マイヤーズらしい作品。イギリスパートもLAパートも好きです。 イギリスはサリー州の田舎の一軒家に突然夜中にジュード・ロウが訪ねてきちゃうのも映画らしくていいじゃないですか。キャメロンは相変わらず見ているだけで飽きないコミカルな可愛らしさがある。そこにジュードの子ども達が登場しますが、この辺もナンシー・マイヤーズらしいあたたかさを感じます。 LAは脚本家アーサーとの出会いの挿入もいいし、ジャック・ブラックも持ち味がよく出ていました。LAで出会った元脚本家と映画音楽を手掛ける男。それぞれが語る脚本と映画音楽談義も、チラッとダスティン・ホフマンが登場するユーモアも、ナンシー・マイヤーズの映画愛をあざとくなりすぎず、少~しずつ披露してくれているようでとても楽しかったです。特に終盤の元脚本家アーサーを囲む会は、ナンシーのハリウッドの歴史と先人達への敬意が感じられるようでした。 本作の2つのラブコメの4人が顔を揃えるラストも、クリスマス映画らしい幸せに満ちていました。こういう映画は細かい事は気にせず登場人物が幸せになる様子を気分よく楽しめるのがいいですね。 [DVD(吹替)] 8点(2012-07-01 15:21:59)(良:3票) |
1171. 劇場版TRICK トリック 霊能力者バトルロイヤル
このシリーズが好きな僕にとってはいつも通りに、それなりに楽しめる作品です。冷めてしまったぬる~いお茶のような、作品に漂う微妙な空気も細かい微妙な小ネタもいつも通り、それなりに楽しい。(上田の著書「IQ200」とか、仲間さんのチキンラーメンとか・・・) 山田と上田の小ネタを交えた掛け合いもいつも通りちょっとだけ笑わせてくれる独特の楽しさも健在。もう1人、矢部のキャラも好きなのですが、今回は矢部の使い方が雑というか、レギュラーなので取り合えず登場させた程度にしか感じられないのが残念でした。 こんないつも通りの変わらぬ作品の空気は好きですが、劇場版3作目、本作の舞台である「マンネリ村」という村の名前からして自虐ネタのような気が・・・。 そして次に含みを持たせるようなラスト。次回作、遂に2人が幸せになったりするのでしょうか・・・? [CS・衛星(邦画)] 5点(2012-06-30 17:11:51) |
1172. デンジャラスな妻たち
《ネタバレ》 それなりに面白く、それなりにドキドキもできる・・・と言いたいところですが、いずれ捕まるのは冒頭で分かる構成になっているんですよね。この構成が必要だったのかというも思いもありますが、まあそれなりに楽しめる作品です。 ダイアン・キートンって、女が3人揃えば・・・という映画ではいつも一番おいしくない役ドコロの様な気がしますね。姉妹の物語では長女になることが多い。大体弾けることが少ない、特にコメディというジャンルでは一番おいしくないポジション。 そして仲良し3人組ではどうでしょうか。「ファースト・ワイフ・クラブ」ではベット・ミドラーとゴールディ・ホーンというパワフルな2人を前にオロオロ・・・というこれまた一番地味な役ドコロ。 そして本作。弾け役はケイティ・ホームズが担当、いるだけでどっしりとした存在感全開のラティファ姐さんとのトリオ。キートンさん、主役のはずが少しずつラティファ姐さんの恋なども絡み始め、気がつけばやっぱり地味なポジションに・・・。 こんなポジションを任されることが多いキートンさんですが、共演者を立てつつ微妙なポジションを上手く立ち回るのがこの人の持ち味なんでしょうね。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2012-06-29 22:12:28) |
1173. タイムズ・スクエア
《ネタバレ》 ある施設で出会った政治家を父に持つ箱入り娘と不良少女の友情物語。と言ってしまえば青春映画としてありがちな設定かもしれません。 しかし序盤の台詞の中に出てくる「カッコーの巣の上で」。2人の少女が施設を脱走しNYの裏通りを彷徨う様は、少女版「真夜中のカーボーイ」のような感じのするシーンもある。このまま2人で家出を続けていける訳がなく、確実に別れの時がくることを予感させ、ニューシネマを思わせる雰囲気があります。 しかし本作はニューシネマじゃない。箱入り娘パミーが父に電話をかけるシーンに、台詞も表情のアップもないけど気持ちが伝わってくるラストの娘と父の姿もいい。2人を見守る大人達の描写も良かった。 2人の別れのシーンも涙ながらに抱き合うわけでもない短いシーンの中にニッキーとパミーの2人が巧く表現されていました。2人の少女も、ファッションも、あふれ出る感情を吐露する2人の姿に台詞も、音楽も素敵な青春ロック映画です。 [DVD(字幕)] 8点(2012-06-27 20:20:14) |
1174. クリスマス・キャロル ザ・ミュージカル〈TVM〉
90分に満たない小品でありTV用に作られた作品ながら、映画館で見たい!と思わされるほどのクオリティの高さをほこるミュージカル。 基本的に人間の善良さが描かれる事が多いクリスマス映画は好きなジャンルであり、ミュージカルとの相性もいいですね。 大通りの隅から隅まで、さらにその奥の路地に至るまで、クリスマスを控えた人々の高揚感が伝わってくる冒頭の町の描写から素晴らしい。 台詞が全て歌の「シェルブールの雨傘」ほどではないですが、台詞の実に多くが歌になっている本格的なミュージカル映画です。ダンスが絡むシーンも楽しく、ディズニー映画でお馴染みのアラン・メンケンの音楽も、スクルージを演じたケルシー・グラマーから子ども達(みんな表情がイイ!)に至るまでキャストも皆が素晴らしい仕事をしている。 悪人も、悪人ぶっている人間も、みんな生まれたときからそうだった訳じゃない。全ての人間が本来持ち得る善良さを表現する歌の数々も素晴らしいミュージカルです。 [DVD(字幕)] 9点(2012-06-25 20:50:23)(良:1票) |
1175. 花嫁のパパ2
《ネタバレ》 前作以上にとてもとても幸せなホームドラマです。 前作では目の中に入れても痛くないほど溺愛する娘が結婚する複雑な父親の心境をいつもより抑え気味ながらも、やっぱり楽しい演技で見せてくれたスティーブ・マーティン。 続編である本作はまず冒頭でその娘に子供が生まれる喜びの報告があります。嬉しいのですが、愛する娘がますます遠くに行ってしまいそうな複雑な心境で娘を見つめるスティーブの表情がやはりいいんです。初孫を抱きかかえる表情も。やはりこの人は顔の演技が巧みです。 孫ができ、人生の思い出が一杯詰まったマイホームにも方々にガタがくる頃。そんな人生の後半戦の姿を演じるスティーブと、幸せな人生を送る妻を楽しそうに演じるダイアン・キートンの肩の力が抜けた演技も、2人の持ち味がとてもよく出ています。 前作同様、息もピッタリのこの2人のイイ味によるところが大きい作品ですが、更なる幸せのサプライズや挿入される幸せのエピソードがもたらす、幸せの騒動が可笑しくも心が温まる、どこまでも平和で愛すべき予定調和の世界。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2012-06-23 13:31:15) |
1176. キリング・フィールド
《ネタバレ》 本作のように史実を映画化した作品は、冒頭で描く対象の置かれている状況や背景が字幕で説明されたり、主人公の語りで主人公が置かれている今を語ることで描く対象の置かれている状況を伝えようとする事も多いですが、本作にはそういった説明がありません。よって勉強不足の僕にとっては難しい映画でもありました。 しかしそういう状況で本作を見た人の多くが鑑賞後、カンボジア内戦とは、クメール・ルージュとは何かを調べようとするでしょう。それだけでも意義の大きな映画だと思います。 映画としては前半はシャンバーグ、後半はプランと視点が切り替わりますが、やはり後半の迫力が圧倒的でした。演じるハイン・S・ニョール。名演技とかそういう言葉では表現できないほどの人間の強さを感じさせてくれるその姿はまさに圧巻でした。 最後はカンボジアを立ち去ったシャンバーグがプランと再会し許しを乞う。感動的な中にも考えさせられることが多い素晴らしいラストシーンだった。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2012-06-22 22:36:23) |
1177. 素直な悪女
ロジェ・ヴァディムが、当時妻であったBBを主演に起用し、「さあ、僕の妻のエロカワぶりを存分にご堪能下さいませ!」といった作品でしょうか。とにかくBBが可愛く、綺麗な作品です。胸に脚に、彼女を魅せる衣装も素敵です。 しかしヴァディムさん、本作に関しては、キャスティングで致命的なミスを犯してしまいました。それは共演のトランティニャン。結果BBとトランティニャンは恋に落ち、本作から間もなく離婚しちゃったんですよね。 でも、ヴァディムさんも負けてはいません。その後ジェーン・フォンダ、カトリーヌ・ドヌーブ・・・といったビッグネームをものにされたのも有名な話ですね。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2012-06-19 19:21:06) |
1178. 幸せへのキセキ
《ネタバレ》 今年の上半期、楽しみにしていた映画のひとつ。期待通りのいい映画でした。 冒頭からごく短時間でマット・デイモン演じる主人公の男と家族の抱えている問題を簡潔に見せ、すぐに家族は動物園にやってくる。主人公の男が動物園の愛すべき仲間達と共に、動物園を再生していく過程と同時に、彼の人生と家族の再生をひねることなく実に分かりやすく見せてくれる作品です。クスッと笑わせてくれる、控え目な笑いドコロの挿入も良かったです。 やまない雨は無いという。動物園開園前夜まで降り続いていた雨も開園当日にはカラッと晴れ上がった。それは天気だけでなくこの家族と仲間達の人生の好転を予感させてくれます。そして開園以降ラストまで、実に気持ちよく生きることの素晴らしさを感じさせてくれました。 息子と娘をはじめ、子役が本当に素晴らしい作品でした。もう1人、そろそろ子役とは呼べなくなってきましたね。エル・ファニングは去年見た「SOMEWHERE」と比較すると驚くほど大人っぽくなって、とてもいい演技を見せてくれました。 ”20秒の勇気”が良かったなあ・・・。 [映画館(字幕)] 9点(2012-06-18 21:36:33)(良:2票) |
1179. ナイロビの蜂
小さな個の力で強大な何かに立ち向かう人間の姿を描いた実に見応えのある映画でした。その、小さな個にとって本作の強大な何かはあまりにも大きすぎた。 先進国、それらの国々が中心にある国際社会、あるいはそれらに保護されている巨大企業。その全体像がはっきり見えないことも、持ちつ持たれつの関係でつながる強大な何かの得体の知れない大きさが逆に伝わってきます。 また、多用される不安定な手持ちカメラの映像は、そのまま小さな個である主人公夫妻、あるいはアフリカの置かれた不安定な状況を表しているかのようでした。 前半、目の前にいる親子を救おうと言う妻を制し、援助を求めているのは彼らだけではないという夫。しかし終盤、その夫は目の前にいる少年を救おうとする。しかし例外は認められないと制される。妻の遺志を受け継ぐかのような夫の姿が印象に残った。そんな勇気ある人間のドラマとしても、夫婦愛のドラマとしても見応えのある作品でした。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2012-06-17 13:28:17)(良:1票) |
1180. カリブの白い薔薇
《ネタバレ》 キューバにはこんなビジネスで富をなしている人が実際にいるのでしょうか・・・。 アメリカへの密入国を斡旋、しかしその実際は人々をどこかもよく分からない孤島に置き去りにするだけで後は運任せ。そして若く美しい女性を集め、金持ちに売り飛ばす。 いつも通り主人公シモンと仲間達がアメリカを夢みる人々を孤島に置き去りにし、その帰りにアメリカの巡視船に見つかり、命からがらキューバに戻るというサスペンスフルな冒頭。 しかしそれは冒頭のみで、キューバに戻って以降は結末も含めどこかで見たことがあるような話で。エロくなりそうでそうでもなく。小ぢんまりとしたメロドラマでした。 淡々とした雰囲気は嫌いではないし、ヒロインの女優さんがとても綺麗な映画でした。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2012-06-16 16:35:36) |