101. ホワイトクリスマス 恋しくて、逢いたくて
《ネタバレ》 終わってみればごく単純で、どうということもない話なのだが、変に手を拡げずに丁寧にコンパクトにまとめようとしているところに好感が持てる。加えて、回想系とか同一シーンの多角視点系には弱いので、そこでも点が甘くなってしまうのです。導入部が省略しすぎでちょっと分かりにくいのと、この邦題が難点。クリスマスはほとんど関係ないでしょ。 [DVD(字幕)] 7点(2006-12-24 04:19:40) |
102. コンタクト
《ネタバレ》 最初に見たときは、やたら序盤がダラダラしているなあという印象だったのですが、改めて見直したらそうでもありませんでした。それよりも、いろいろな場面に力をこめて作っている制作者の気合を感じます。ジョディ・フォスターは、この主人公のようにちょっと考えすぎの感じがする人物を演じさせたら見事にはまりますね。マシュー・マコノヒーの宗教者というのも、意外に役に合っていますし、話に奥行を与える程良いアクセントになっています。 [DVD(字幕)] 7点(2006-11-23 01:33:49) |
103. ボクサー(1997)
投獄前の部分の説明がほとんどないので、前半はどういう人間関係なのかが分かりにくかったが、話が動き出した後半は一気に引き込まれた。デイ=ルイスを相手に回して一歩も引かない演技を見せたエミリー・ワトソンの功績が大きい。 [DVD(字幕)] 7点(2006-11-18 11:41:40) |
104. パルプ・フィクション
《ネタバレ》 2分で終わる会話を7分続けてそれを延々と積み重ねて適当に前後させただけという、非常に安易な作品なのだが、ダラダラしたところがかえって妙に印象に残ってしまうという困った作品。ただし、そんなジャンクフードみたいな作品の隅々まで演出を行き渡らせる制作者の執念みたいなものは溢れており、その辺のアンバランスさが面白い。●この作品は、時系列操作の代名詞みたいに言われる事もありますが、考えてみると、大きな操作は2つしかありません(ミスター・ウルフの清掃パートを前半から最後に持っていって、その中からパンプキンとハニー・バニーの強盗パートを最初に持っていっただけ)。しかし、それだけでも魔術のように全体を彩ることができる、ということを示した点には、大きな意義があります(その中で、ヴィンセントのあっけない最期というスパイスも強烈に効いています)。 [映画館(字幕)] 7点(2006-09-07 03:11:18) |
105. エディ&マーティンの逃走人生
《ネタバレ》 コメディタッチの「ショーシャンク」という趣だが、ひょっとしたら作品としてのレベルはこっちの方が上かもしれない。メイク、登場人物の成長、風習の変化、記録映像などで年月の経過を無理なく感じさせつつ、笑える部分やしんみりする部分を盛り込み、テンポよく最後まで見ることができる。内容的には悲しい話のはずであるのに、進むにつれてだんだん笑いがこみ上げてくるというのが見事。邦題は最低だと思うけど。 [DVD(字幕)] 7点(2006-05-29 01:15:03) |
106. ドグマ
こんな大馬鹿な内容の話を、ここまで真面目に真剣にやっている出演者と制作者に好感。出るキャラ出るキャラがみんなアホっぽくて非常によろしいのであるが、その中でも唯一の一般人の誘導役として登場したリンダ・フィオレンティーノの頑張りが大きいと思う。分かったような分からないような宗教会話も面白いが、「ホロコーストに対しては沈黙していた」とか、「同じ教義のはずなのに殺し合いを繰り返している」など、真面目な部分も見え隠れするのが興味深い。天使の翼が異常に安っぽかったり、さりげなくいろんな映画をボロカスにけなしていたりなど、お馬鹿な部分でもツボを突いてくるのがさらに楽しい。ただ、カメラワークのいい加減さは残念でした。 [DVD(字幕)] 7点(2006-04-02 04:04:34) |
107. あなたに降る夢
《ネタバレ》 実話ベースといいながら途中からはほとんど創作っぽいとか、登場人物の造形がステレオタイプだとかいうところが前は気に入らなかったのですが、これって50年くらい前の映画の作風を下敷きにしていたんですね。ただし、その単純な世界観の中で演出は変に現代風にしっかりしているので、ロージー・ペレスの役柄が凄くきつく見えてしまいます。しかし、すべてを帳消しにするのはブリジット・フォンダの清楚で可憐な魅力であり、ウェイトレスとして働くシーンもダンスのシーンもぞくぞくしてしまいます。さりげなくいろんなファッションが楽しめるのもポイント。 [DVD(字幕)] 7点(2006-03-21 02:12:42) |
108. ことの終わり
《ネタバレ》 全員が互いに未練持ちまくりのドロドロの不倫メロドラマなのだが、同じ場面を異なる視点から撮る各シーンにはどきっとさせられる(こういうのには弱いのです)。前半、時系列がやや不明確だったのが残念。ジュリアン・ムーアの、映画史上屈指の美しいバストに+1点。 [DVD(字幕)] 7点(2006-02-28 02:32:33) |
109. スモーク(1995)
《ネタバレ》 最初に見たときは、やたら緩いテンポとシークエンスごとの一様な長さに面食らったのですが、実はその緩さこそがこの作品のミソだったのですね。忙しいばかりのようなNYの一角にもこのような空間が確保されているという描写が新鮮です。ハーヴェイ・カイテルとウィリアム・ハートも、この作品世界にぴたり合っています。●再見して気づいた点。カメラがほとんど動かない。それはそのまま、都会の片隅で街角の人々を見続けてきた主人公の視点そのものでもある。親子対面の哀しくも妙に可笑しい一幕の後、全員で当たり前のようにしれっとピクニックに行っているのが、さらに可笑しい。全体のトーンとして、「わびさび」という言葉がこれほど似合う映画も珍しいと思う。 [映画館(字幕)] 7点(2005-12-31 14:01:30) |
110. 激しい季節(1998)
《ネタバレ》 交通事故の被害者が加害者の女性に惚れちゃったら、その女性には夫がいて、しかもその夫は・・・というお話。筋立てだけを見ればどうということはないのだが、手際の良い編集と節度を保った演技により、しっかりと引き込む内容になっている。登場人物はひねった行動も外した行動もとらず、むしろみんなが愚直なほど一直線。この誠実なつくりには好感が持てます。カメラがさりげなく頑張っているのも好印象(女性宅初訪問時の移動長回しとか、刑務所面会室での表情同時映しとか)。また、最近では珍しくなったかもしれない、優しさと喜びが溢れるベッドシーンもポイントが高い。 [DVD(邦画)] 7点(2005-12-27 03:27:52) |
111. ブラス!
優雅で力強いブラスの音色に反して、内容的にはかなり陰鬱で気が滅入る話なのだが、音楽演奏の場面は極力ポイントのみに絞り、あとはひたすらメンバーの生活面を追い続けた描写に、制作者の強い表現意思を感じる。窮地に追い込まれても、みんなどことなく飄々として冷静でいるのが印象的。 [DVD(字幕)] 7点(2005-12-19 00:59:53) |
112. マン・オブ・ノー・インポータンス
戯曲、演劇、乗合バス、同性愛、宗教といったアイテムを使って、人生の哀感と諦念を巧く表現した佳作。例えば、楽しく演劇をやっているシーンでも、どことなく滑稽味とわびしさが漂っているんですよ。こういった感覚はアイルランドならでは。ダブリンの街の風景がたっぷり観賞できるのもポイントが高い。 [地上波(字幕)] 7点(2005-11-20 02:56:14) |
113. 靴をなくした天使
《ネタバレ》 この種の「本当は違うんだよ」系の話は、見ていてイライラが溜まって印象が良くないことが多いのですが、本作で新鮮だったのは、偽ヒーローのガルシアを、よくあるペテン師とかではなく、実際にヒーローにふさわしい善行を行う人間として設定していること。これならば中盤までのストレスも低くてすみますし、あのラストでも納得します。それと、最後に「どういたしまして」でこの作品で唯一心底嬉しそうに笑うホフマンと、それを受けるジーナの微笑、あれで反則的なほど上手くまとまりましたね。こういう、人間の善意の価値を正面から(しかも嫌味なく)讃美する作品は、いつの世でも貴重だと思います。本題に入るまでが少し長すぎるのが難点。 [DVD(字幕)] 7点(2005-10-31 00:51:43) |
114. 遠い空の向こうに
理系版「ルディ」ですね。前半、単に打ち上げが成功してめでたしめでたしだったらどうしようと思っていたので、後半の展開には驚きながらも満足でした。実話ものはどうしてもすべてを再現しようとして冗長になりがちなのですが、この作品は(デフォルメしている部分もあるのでしょうが)上手く刈り込んで編集していますね。もっとも、最後は全部クリス・クーパーとローラ・ダーンが持って行ってしまったような気もしますけど。 [ビデオ(字幕)] 7点(2005-10-30 01:01:12) |
115. エーゲ海の天使
主役の8人のイタリア兵が、みんなどことなく間が抜けていて、ちょっとしたやりとりでも実に楽しい。進行に伴ってだんだん個性が出てくるのも良い。しかも、脳天気なだけではなくて、よく考えたら深刻だったり悲しかったりする場面もあるんですけど、みんな何ら意に介さず前向きに進んでいくところが良いのです。それと、全体を包むエーゲ海の美しい風景は絶品で、ここでも得をしています。 [ビデオ(字幕)] 7点(2005-09-05 01:13:47)(良:1票) |
116. プリティ・リーグ
スポーツものとしての突っ込みはやや甘いが、その分、グラウンド外の部分を丁寧に描いていて好感が持てる。ジーナ・デイビスは、プレイ姿も立ち居振る舞いも凜としていて最高に格好良く、まさに適役。逆に、トム・ハンクスは、いくら不良中年の演技をしても、どうみてもいい人そうに見えてしまって、ミスキャストだったと思う。脇役の人たちのキャラクター創造にも十分配慮されていて、監督の誠実な姿勢を感じる。 [DVD(字幕)] 7点(2005-07-15 02:05:14) |
117. Shall we ダンス?(1995)
《ネタバレ》 社交ダンスという目新しい素材を選んでいながら、実はそれは手段にすぎず、それを用いて、一般サラリーマンの日常からの脱出と再びの日常への帰還というテーマを一連の流れできちんと表現しているのが良い。だから、ダンスのシーンよりも、私が好きなのは、最初にスクールに入ろうとするときの逡巡のシーンであり、大会の後に再び家に戻ったシーンなのである。俳優陣では、竹中直人と渡辺えり子は少々やりすぎ、逆に原日出子は素晴らしかったと思う(彼女の的確な演技により、主人公がスクールに行くことの意味と位置づけが浮き彫りになっている)。草刈民代の棒読み台詞はかなり周囲に負担をかけていますが、この際目をつぶります。 [DVD(邦画)] 7点(2005-05-07 00:15:49)(良:1票) |
118. ルームメイト(1992)
《ネタバレ》 アリーの側に着目するとあまりのどんくささに苛々するのだが、へディの側から見ると、ある種の切なさが漂ってくる。ただ、前半は日常生活の枠内でいろいろ心理の綾が重なって面白かったのに、グラハムとサムを途中で退場させてしまったのが失敗で、最後の肉弾戦なんて「いつまでやるの?」と思ってしまった。J・J・リーの脱ぎっぷりの良さに+1点。●で、原作も読んだのですが、いろんな印象的なシーンが実は映画オリジナルであることが分かりました(原作はむしろ心理描写に重点があります)。というわけで、重層的に奥行き深く理解できた気がするので、さらに+1点。 [DVD(字幕)] 7点(2005-03-14 02:07:11) |
119. レッド・バイオリン
《ネタバレ》 冒頭、何気なく始まったオークションにいろんなつながりが交錯しているという語り方は大いに好みで、ここだけで許せてしまいます(相互の交錯はあまりあるわけではなく、構造は単純ですが)。一つ一つのエピソードはそのまんますぎないかというのが前は気になっていたのですが、よく見ると、撮影や美術関係にも相当手間暇をかけていますね。 [DVD(字幕)] 7点(2005-03-04 18:10:55) |
120. フォレスト・ガンプ/一期一会
《ネタバレ》 「アメリカ人って歴史の短さコンプレックスがあるから、こうやって『アメリカにも歴史はありますよ!』みたいにされると、ころっとやられちゃうんだよね」ととりあえずは言いたくなってしまう。また、しつこいナレーションも、本来なら、いい加減にしろと言いたくなるはずである。しかしそれでもこの作品にそこはかとない好感を持ってしまうのはなぜなのかと考えていたのだが、やはり、主人公フォレスト・ガンプの人物造形に尽きるのだろう。彼は、自分の話を聞いていない人にも、聞いてくれる人にも、とにかく語る、語る(何でそんなにテンションが高いの?という理由も、最後に分かる仕掛け)。どの人に対しても、誠実に、公平に、愚直に語る。その語り口は、迷いがなく、確信に満ちている(話の中に出てくる主人公の行動そのものと同じく)。だから、見る側の誰に対しても、一筋の希望の光を与える結果になっているのだろう。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-02-20 00:00:59) |