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エスねこさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 644
性別
ブログのURL https://www.jtnews.jp/blog/23593/
ホームページ http://kine.matrix.jp/
自己紹介 [2010年8月23日]
か…かわも…

(゚Д゚;)ノ

…映画界は今日終わった…。


[2017年7月16日]
猛暑の夜、amazonで映画ではなく『幼女戦記』を寝ないで通し鑑賞。
大局的な戦略から入って行くという、かつてない架空戦記アニメでありながら、その悪夢性を出し切った感がすごかった。
最終話はテーマ的にポエニ戦争から対テロ戦争まで、膨大な戦争のイメージを深く広く全面爆撃して吹っ切れる展開に。
スピルバーグの『宇宙戦争』はバクテリアに仮託してその地獄自体を救いと説いたわけだけど、このアニメはそんな所まで引いて俯瞰する気がサラサラないってのがスゴイです。

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101.  フラガール 《ネタバレ》 
【訂正懺悔編】 一日経って、3点から7点にUPしました。理由は末尾に。  薄いいいぃぃぃ〜〜〜ッ! 感想はもう、これに尽きる!  (詳細はブログにて)
[地上波(邦画)] 7点(2007-10-08 19:25:28)(良:1票)
102.  X-メン 《ネタバレ》 
アメコミには神話的な詩情がある。神話的な美学もある。他国に比べて圧倒的に若いアメリカ文化が必要とする、とてつもないものがいっぱいある。本作ではミュータント各人の引きずる記号が、そういう素晴らしさを雄弁 (詳細はブログにて)
[映画館(字幕)] 7点(2007-06-12 18:44:45)
103.  明日へのチケット
なんか、もっと各作品の人物が絡むのかと思ってたら、意外とアッサリ系な処理でしたな。 (詳細はブログにて)
[映画館(字幕)] 7点(2007-06-08 19:06:37)(良:1票)
104.  頭山
初めてのブログ連係レビューなんだからと『話の話』や『道成寺』をレビューしてみようと思ったんだけど、一言も書けない。格が高すぎました(笑)。ちょっと敷居を下げてこのあたりで…以下はネタバレ含みで。ここが (詳細はブログにて)
[DVD(邦画)] 7点(2007-06-07 23:43:49)
105.  あるいは裏切りという名の犬
相変わらずというかいつも通りというか、映画館であんまり画は観ない。代わりに音楽を聴く。 本作では冒頭の音楽のミスリードぶりにヤラレて、最初の1時間はほとんど音楽のみに集中してしまった(まあ主演二人の鼻は別として)。この映画の音は甘い。とてつもなく甘い。普通この手の作品でリズムを刻まない音楽を入れないわけがないのだ。なのに、こんな甘いメロディに耳を委ねる心地よさが、フランスらしいドライで残酷な物語を中和させ、観る者の心を最後まで引っ張って行ってくれる。本作はストーリーや宣伝のターゲットと違って、女性の観客にもオススメだろう。劇伴としてとてもいい仕事だと思う。  というワケで、宣言したい。 この作品は『東京ゾンビ』と志を同じくした音楽哲学で綴られている! …あっそこ石投げない!
[映画館(字幕)] 7点(2007-05-23 18:30:18)
106.  神童 《ネタバレ》 
原作知らない、って以前にもう、何がなんだかわからない意味不明世界に翻弄され、気がつけば終わっていた。心の中で評価がどう変化していったかというと、3点→0点→マイナス5点→0点→5点。とにかく、音楽映画としてはまるで「なってない」。本作をドイツとオーストリアへ持っていけば、間違いなく嘲笑・黙殺・非難・悪魔祓いの憂き目に会うだろう。予言する。 カメラが演奏中のピアノをナメる。白と黒の鍵盤の上を踊る指が画面の下側に、そして中央にはフタの裏側に刻印された「YAMAHA」の文字が映り込むよう、何度も、何度も…その時点で「もうダメだ」と思ったんだが、それを遥かに下回る知能の低さなのだ。凄いのだ。仮にもヤマハの名が出る以上はキープしているであろう音楽的な演出がゼロで、ピアノのBGMであるべきトコロが弦で、縦糸はあっても横糸は無く、頑張っても四重奏がせいぜいで、従ってテクスチュアなんぞあろうはずもなく、テーマが力強く現れる事もなく、最後の演奏会にもつれ込み、そこで、そこで椅子の高さのエピソードが出てきてやっと気がつくという始末。 彼女はグレン・グールドだったのだ。当然というかオイラはミカラ・ペトリやアンネ・ゾフィー・ムターを想像していた。だがそうでもあり、やっぱりそうじゃなかった。グールドだったのだ。 だったらそこはバッハでなければならない、と当然のようにオイラの中の音楽が囁く。だがそうではない。ここはモーツアルトが正しい。これは音楽の話ではなく、ピアニストの話ではなく、夭折したグールドの物語なんだ。音楽を切り取って外側から描いた、例えばそう、「エッシャーの絵」がそこにあるんだろう。 これは日本の演奏界の袋小路を描いているかもしれないし、単にノーセンスでヤマハを糞まみれにして葬る映画かもしれない。そんな事は、どうでもいい。音楽になっていない映像の中に、確かに音楽を聞いた。監督の意図なんてどうでもいい。屑の塊が音楽になっている。それを聴いた。幻聴と言うなら言え。  それにしても、ホント村治佳織に似てるわ…。
[映画館(邦画)] 7点(2007-05-14 20:31:46)
107.  麦の穂をゆらす風 《ネタバレ》 
イギリスのジョークで「英国人は座って考える。フランス人は立って、アメリカ人は歩きながら、アイルランド人は後から」というのがある。そういうアイルランドの国民性は随所にあったと思う。  んが、ほぼ終わりの方まで「こりゃ4点だね4点」と思いながら観てた。 歴史のお勉強に近いし、このあたりはとりあえず高校の授業でもやってる内容。むしろ第一次大戦に勝ったのに敗戦に近いダメージを被った英軍の兵士とか、そういう「敵」の顔が見えないのが嫌だったかな。 石壁を背に若者を立たせ、見せしめでその中の数人を殺しておく「間引き」なんかは小説にはよく出てくる光景。街区でのお隣さん同士の銃撃戦も、アイルランドのトレードマーク。これに黒ビールと長い議論が加わればほら! IRA歴史映画の出来上がりじゃん! …そんな感じがするんですよね。後の北アイルランド解放テロに結びついていく「頑固なアイリッシュ魂」は感じた。  ところが、終わり近くでダミアンを説得する兄の言葉から、それまでの思考の流れが見えてきて、ビデオを巻き戻すみたいにガーッと兄テディの主要シーンが蘇ってきた。弟がロンドンに行く時、一人止めなかったテディ。弟がレジスタンスに加わった時、一人黙って臍を噛み続けたテディ。拷問の痛みに耐え、それから言動が変化していくテディ。 痛みを知った者と、知らない者の差がこれほどまで大きいのは…当然かな。オイラは兄貴に感情移入せざるを得ない。嫌な奴だが、それが人間だ。 「兄弟の相克」という内容から、『ケス』のテーマの発展形だとも言える。そういう観方でも、充実した面白いものがあったと思う。歴史映画としては平凡だと思うけどね。  ●追記: ウィキペディアで調べて、テディの顔がマイケル・コリンズにソックリだったのを知る。なるほどね! 他のキャラもモデルがいるんだろうな…。
[映画館(字幕)] 7点(2007-05-10 22:11:01)(良:1票)
108.  京鹿子娘二人道成寺(2006)
ここの登録ルールに反するとは知りながら、敢えて登録申請させてもらいました。  実はこの作品は、本当にただ歌舞伎の舞台をビデオ撮影しただけなのです。そして、それこそが本作を端倪すべからざる理由でもあるのですな。ハイビジョン撮影のメリットを生かし、一切の照明なしで、固定したマルチカメラ数台で客席から舞台を撮影。カメラはレフ版やらスポットやらで甘やかされる事なく観客と同じ環境下で映像を記録し、舞台と同じサイズの巨大スクリーンへ投影できる画質を確保できる時代になったのを実感します。 特に、本作はいわゆる『娘道成寺』ですから、女形が着替えに着替え、着物の色・傘の色が乱舞する。この色が滲まず美しく出ていたのは、驚嘆。なんかスポーツ中継でファインプレーを目撃した瞬間みたいな、手に汗握るモノがあります。これはHDビデオの最先端技術のお披露目映画でもあるワケです。 冒頭、本作のそういう役割を自認したシーンがありまして、安珍の鐘を横に4人の僧侶が横並びでかけ合う場面を、アングルは固定、4人の爪先から頭頂までを余さずカメラに収めながら、かけ合う様をじっくりと見せる。歌舞伎座の観客の目の前にオペラグラスを置いたような、そんなアングルです。これで表情の微細な変化、僧侶のカツラの継目までがハッキリ見えてしまうんだから凄いですよ。 実は上映中2度ほど、あまりの臨場感で、本当に歌舞伎座に来たと錯覚して拍手しかけました。  それだけのパワーを持ったカメラで、画面いっぱい精細に詳細に微細に映し出される玉三郎・菊之介の顔のクローズアップ…猛烈に萌えねえ(泣)。 松竹の旦那、歌舞伎の客が見る以上のモノを映しちゃーいけやせんぜ!
[映画館(邦画)] 7点(2007-04-06 10:04:02)
109.  みえない雲
迫り来る放射能という「目に見えない殺し屋」を扱った作品としては、ウォード・ムーアの古典的なアメリカSF「ロト」を映画化したレイ・ミランドの『性本能と原爆戦』がある。被爆世界において勝ち残るために、主人公の親父がブラック魔王ばりの悪どさを発揮する。まるで放射能より人間の方が怖いような話。まあ原作はもっと中年男性の内観に重きを置いて、知的な感じなんだけどね(ていうか原作はオヤジ度爆発な続編「ロトの娘」と共に、SF史に残る傑作です)。 で、本作はというと。 同じネタでも、本作はドイツ映画。「他人を蹴落として幸福を掴む」のを良しとするアメリカ的人生観の対極に位置する映画だ。まず主人公たちは若い。世知に長けた中年じゃないのだ。生死のかかった局面であからさまに判断を間違えるし、自暴自棄のバカもやる。守るべき人を守り通す事の意味や大切さも、理解していない。アメリカ映画なら、最初の30分で脱落してるようなバカ者たち。彼らに焦点をあてた展開が、もう泣けるくらいに素晴らしい。この残酷なまでの無知、救いがたい過ち、人生の重さがわかっていない未熟さ、それらが正直に映像に展開され、とてつもなく愛しくなる。 前半の、誰もいなくなった草原で、必死に自転車のペダルを漕いで風下に逃げようとする主人公。これはまったく、十代のカリカチュアだ。とても痛い姿で噴き出しているが、まぎれもなく純度100%の青春、放射能青春映画だ。『性本能と原爆戦』が放射能ホームドラマだったのと同じくらいに。  『マーズ・アタック!』『宇宙戦争』と比べてみるのも面白いだろう。アメリカは生存競争テーマの宝庫だから、他にもいろいろありそうだ。例えばオイラは…。 この映画の冒頭で、主人公の肢体を披露するちょっとしたサービスシーンが入る。 思うにコレは『13日の金曜日』のクリスタルレイクのパクリで、案の定ニヤッとするような展開になるんだけど、このシーンは監督の宣言…「この映画の主人公はジェイソンに殺られる程度の、ごく普通の若者ですよ~ん」という意味に受け取った。 決してヒーローになれない者たちの、過酷な状況下で描かれる、バカで、必死の青春が、言葉にできないくらい美しい。 終わり方はいかにもドイツなんで好悪の別れるトコロだけど…。
[映画館(字幕)] 7点(2007-03-01 02:38:40)
110.  不都合な真実
ブログに長文の感想入れたんで、もういい、書くのしんどい(笑)。 ちょっとオイラが裏を取り切れてない部分もあるけど、昨今話題の捏造はありませんでしたよ。極めて科学的で、それがまた明快で、温暖化問題というよりアル・ゴアという一人の男の知的で熱い生きざままでドキュメンタリーにした感じ(でもなんかこの人、政治家には向かないような真摯さが…)。 補足するべき点として《一羽目のカナリア》で語られた事は、(超スケールアップしてるけど)『デイ・アフター・トゥモロー』で地球がああなっちゃったのと同じ現象です(一応アッチのあらすじ部で概略説明を書いといた)。つまり、あの映画の最初の15分くらいがもう現実に進行済み。このまま行けば、北京五輪の頃には竜巻大集合が、地上波デジタルが普及する頃にはオオカミ大襲撃が見れるはず(大嘘)!  この作品、あえてショッキングさを薄めて作られていると思います。シーンの繋ぎや論理展開やゴアのサワヤカ弁舌はけっこう癒し系。なので、肩肘張らずに観に行くのが正解かな。 今後十数億人が死ぬ事になるであろう事実を前に、不謹慎を覚悟で言えば「リラックスできる環境映像つきの癒しムービー」でした。
[映画館(字幕)] 7点(2007-02-14 03:01:43)
111.  サンキュー・スモーキング
こりゃ吹き替え版で観ないと正当な評価はできませんねえ。字幕がほとんど追いつけてないんだもん。DVDが出るまでは、とりあえずまあこの点数で。 途中、誘拐のくだりでの殺人方法はハウダニットとして久々にスマッシュヒットでした。 後半は編集の強引さが目立ちます(ナレーションに頼りすぎ!)。シナリオも2稿目くらいでOKが出た感じで、もう少し練り込めると思うな。ライターは意識してると思うけど、記者たちを前に自分をハメた敵へ反撃を宣告する辺りは主人公ドン底状態なんで、元通りにアガってくるのは公聴会の席での展開だと思う(既に隠し弾はあるワケですが)。このあたりのチューニングでもっともっと大傑作に持っていけるはず…まあここはテクニカルな部分なので、あまり減点対象にはしませんが。 あと、どうしても言っておきたいのはスモーカーである設定の主人公が、絶対タバコを吸わないコト。企画者の意地というか執念というか、「制約がどれだけあっても、絶対この作品はインディペンデントでは製作しないぜ」という心意気が見えて引きずり込まれます。出来はともかく、その姿勢は評価したいです。  ちょっとマジメに。 『スターシップ・トゥルーパーズ』の前半で、ジョニー・リコがラズチャック(マイケル・アイアンサイド)に向かって「先生、ボク卒業したら軍隊に入ろうと思っているんですが、親が反対してるんです」と相談すると、「私の考えではなく、自分で決めろ。自分の意思で選択するのが真の自由だ」と返される。 欧州人のバーホーベンは「自由」という言葉の持つ裏の意味を当然知り抜いていて、映画中ではネガティブな意味として使用してる(と、このシーンについてはパンフのインタビューで明確に答えていた)ワケですが、ハリウッドの文脈中では十分ポジティブに取れる(ように描かれている)。 このシーンを思いっきり引き伸ばし、90分で語りなおした本作は、目新しくはなくても、「自由選択」という教義に縛られたアメリカの裏側をしっかり抉っていた。このコンセプトが映画化できた事だけでも十分及第点を出せると思う。 本作の問題の半分以上は、その白と黒と灰色が入り乱れる華麗な弁論が字幕からは伝わってこない、この点にあると信じている。こいつに限っては、DVDに入るであろう吹き替え版こそが鑑賞の本命だ。
[映画館(字幕)] 7点(2007-01-22 00:56:39)(良:1票)
112.  こま撮りえいが こまねこ
罪多きアルバトロス配給作品にも、たまに本気の映画があったりするのは御承知の通り。『こまねこ』はそういう真顔モードのアルバトロス配給作品なのだが…何というかね、「これ、アホヲドリ配給だから」って脳裏に擦り込まれちゃって、必死にバカ映画なワライドコロを探す虚しい自分がおりました。  こまちゃんという子猫を主人公にした、全部で5話の短篇集です。が、全体的にノンビリ感が漂っていて短篇といえども詰め込んだような感じはありません。技術的にもチェコ水準。トルンカの霊が憑いてそうなくらい、人形が活きてます。まあライティングとかジオラマとかまでトータルに見ると、チト厳しいモノがありますけどね…。 でもね、子ども向け人形アニメに徹して、ここまで王道を進んでくれた作品は近年なかなか見ません。 映像作品の多くが技術の無駄使いに走る中、本作は「手作り」「アナログ」「愛情」という記号をふんだんに散りばめ、時代に流されずにふん張っている頑固な職人映画でもあるのですナ。CG&合成に頼っている部分ももちろんあるんですが、場面的には極小だし、非常に品のいい使われ方をしていました。 この年末年始に、ハリウッドで汚れちゃった自分の感性を洗濯するのにいい機会かもしれませんですよん。もちろん「アホヲドリ配給」というのは忘れた上でネ!
[映画館(邦画)] 7点(2006-11-29 00:00:56)(良:1票)
113.  レディ・イン・ザ・ウォーター 《ネタバレ》 
最初のアニメで既に泣いてました。で、序盤のポール・ギャリコ風のリリカルな状況設定も素晴らしい。後半のスティーブン・キングっぽい展開も悪くなかった…でもね。 ポール・ジアマッティ起用は絶対ずるい。減点理由はほぼソレに尽きる。 現実を喪失する不安感が全然ない。かといって一直線にお話にのめりこんで行く快感があるわけでもなく、演技派ジアマッティのバランスに長けた巧演で、最後までとてつもない安定感がある。もうね、例えて言えばガブリエル・バーン主演で『宇宙戦争』撮っちゃいましたみたいな、ストーリーがブチ壊れるほどの安定感に満ちてるんですよ、彼って。この話の主人公はさ、クリストファー・ウォーケンとか、ビリー・ボブ・ソーントンとか、ああいう危うげな人にしようよ~。 とは言え後半、13Bの映画評論家が殺されるくだりで、監督は「いいか、オレはこれからの展開について批評家のレビューなんて気にしてないぜ。みんなそのつもりで観ろよ」と言い放っちゃってるワケで、コレをしっかりと受け止めて観た以上、オチに文句は言わない。あんたの心意気はわかったぜ、シャマラン。  童話作家の佐藤さとるがエッセイ『ファンタジーの世界』で書いたところによると、世の中のファンタジーは「ハイ・ファンタジー」と「エブリデイ・マジック」に分類されるとのコト。指輪物語とドラえもんですな。 本作はエブリデイ・マジックの枠組みにありながら、キャラクター達がハイ・ファンタジーを目指すという展開で、スティーブン・キング出現以降徐々に増えてきた物語形式になっている。この物語形式は、必ず、あるお約束のスタイルを使う。ホラーとして描かれるか、サイコノベルになるか、だ。本作の枠組で、いきなりハイ・ファンタジー風の魑魅魍魎を跋扈させても観客は物語の中へ入って行けない。オイラの見立てではあのモンスターはナシでもやれた思う。もしくはもっと後半に登場させるか。 「予言者」である韓国人のオバチャンの人間像も薄くて雑だ。ここは考え抜かれてああいう人物像になったと思うんだが、裏の裏を読みすぎ。ま、コレは彼女に限らず全部のキャラクターに共通だろう。後半の展開を考慮して、わざと人間性を薄くしたんだろうけど…それは悲しすぎじゃないか。 シャマランは、作品で言ってるのとは逆説的に、めっちゃ評論家の言う事を気にしてるのかも。人物設定をヒネリ倒しすぎっすよ。
[映画館(字幕)] 7点(2006-10-10 01:14:11)(良:2票)
114.  ゆれる 《ネタバレ》 
眼力の映画と言っていいですね。 父・伊武雅刀。叔父・蟹江敬三。兄・香川照之。弟・オダギリジョー。もしこれに渡辺謙が加わったら日本最強の眼力一家だ。オイラなら、こんな一族が経営する店には絶対近づかないぜ(笑)。 とにかく目で語れる役者を集めたので、演技はほとんど目でやってる。例の「智恵ちゃんお酒飲むとしつこいでしょ」ってシーン、全然目が笑ってなかったので先読みし過ぎて「兄がカマかけたのを弟が気付いて動揺し…」と取ってしまいました。香川照之やりすぎです。 裁判所の最後のカットや、ラストシーンの一瞬の表情の変化なんかは、彼の眼力なしでは意味不明になってしまう…けど、やっぱり演技過剰だったかも(笑)。ロシア映画みたいに、もっと仏頂面で逃げても良かったような気もします。作中、最も鬼気迫る「てめェ殺すぞ!」っていう香川照之の表情が、留置所面会室のガラスに映り込んだ顔だったのも、彼の眼力をもってすればこその大胆な演出でした(DVDで映るかな、コレ…)。 オダギリジョーは主人公なんで、香川照之ほど思い切った演技はやれません。なんで観客と映画とを繋ぐために、ちょっとオーバーアクトになっている。実はこれも残念でした。どうせ全部を明らかにしない映画なんだから、もっと無表情で演っちゃってよかったんじゃないかナ、と。 そういう中で、伊武雅刀が流石の貫禄というか極めて硬派。蟹江敬三の腹黒さと合わせ、この二人でハードボイルドの世界を構築してました。  あとロケーションなんですが、吊り橋の下の三人のバックが、それぞれ違う。このシーンの間ずっと同じモノの前に立ってます。智恵子の背後には巨大な岩が、弟の背後には木々の緑、そして川で遊ぶ兄の背後にはポッカリと開いた黒い洞窟…この絵が怖すぎでした。3人の心理がおっかないくらい出ています。  さてこの映画の最大の考えどころは「兄がラストでバスに乗るかどうか」なんですが、非常に微妙です。それまでの香川照之の目の演技から《兄・早川稔》という人物像を考える限り、オイラとしては「彼はバスに乗った」と思います。もちろん確信はありません。
[映画館(邦画)] 7点(2006-10-09 01:45:02)
115.  アルティメット
こないだの札幌国際短編映画祭に『イージー・マネー』というフランス映画が来てました。たかが短編と言うなかれ、全編危険なアクション満載の、ローラースケート公道チェイスムービー。フランス人の、スタントへの身体の張り方を目の当たりにして、鱗が剥がれ落ちちゃいました。  で、気になったのがコイツなんですよね。 スタントなし、ワイヤーなし…とくればトニー・ジャーですが、同じ謳い文句のフランス映画があるという。その名も『アルティメット』! …うっわー投げてるタイトルだわ…いやスミマセン、観に行く前は情報もなくてホント眉唾だったんですよ。蓋を開ければ「ガタイのいい白人俳優がスタントなしで格闘する」というカッチョコいいアクション、加えてキレのいい演出、シナリオが醸し出すブラックで爽快な笑い…まさに直球のフランス大活劇でした。 欧州作品とは言え、リュック・ベッソン製作の映画。しかも展開はスピーディだし、とんでもないアクションやるし、ダレる暇がない。なんで公開が2年も遅れたんだろう…『ヤマカシ』がコケたんで、宣伝材料がなかったのかな…。  もう上映は終わったに等しい状態だけど、いずれDVDで見かけたら、以下の人種は一度は手に取って見るべきですぞ。   1)『マッハ!!!!!!!』ラブ!な人   2)『エスケープ・フロム・LA』を鼻で笑って許せる人   3)「白人のカラテは遅くて全然ダメだわ」と信じて疑わない人   4)ベッソン流の極悪な官僚組織を久々に見てみたい人 オイラは全部あてはまるのでおなかいっぱい、大満足でした。 このスタッフで次もなんかすっげー奴作って下さい。セッセと観に行きまっせ~。  ●注意:IMDb のトリビアによれば、「アクションの9割はワイヤーを使っていない」との事で、確かにワイヤーなしでは物理的に不可能なアクションも一部ありますです。
[映画館(字幕)] 7点(2006-09-19 02:55:43)
116.  佐賀のがばいばあちゃん
ばあちゃんなら、こんなオイラに「映画館なんか行かんでよか。何年か待ってればテレビでタダで見れるけん」とか言いそう。 実はネタ的な笑える映画を想像していたんだけど、猛烈な地元の愛情に支えられて作ったのが一目でわかるエンドクレジットでした。原作の知名度高いんでしょうね、地元は。でもシナリオは相当ひどい。カットし過ぎだし、エピソードをただ連ねてるだけだし…役者それぞれの人物の作りこみで救われてるけど、みんなの愛がなかったらばあちゃんでも拾わない映画になってるよ。省略しないで、TVシリーズとしてキチンと描くべき内容だと思いました。まあ、そうなる可能性は十分あるかな。  いつかTVでタダで見れるようにして、ばあちゃん喜ばせてやってください(ってあの家テレビも持ってなかったけど…)。 ●追記:衣装とセットもひどいんだよな。確かに古いけど、お屋敷だよあの家…服も布団も白くてピンとしてるしさ。仕方ないので脳内で置き換えて観ました。 ●追記2:違う、吉行和子のあの堂々とした演技は、没落旧家のソレだわ…。ええー? そういう話なの? そして町中の人たちが見せるばあちゃんへの隠れた気遣い…ばあちゃんのメンツへのこだわり…意外に隠れた深いドラマが設定されてる? やっぱ6時間以上のTVシリーズで観たいなあ…。
[映画館(邦画)] 7点(2006-09-15 21:24:39)
117.  幻遊伝
あれ? この作品の鑑賞環境って「映画館(邦画)」? 「映画館(字幕)」? 悩ましいモン作りやがったなあ…。  さて。この映画は子供向けだし、シナリオ破綻してるし、「時間旅行」ではなく「前世に送られた」という民俗学的設定なので、突っ込む気がなくなるほど大陸的で大味でした。オイラがこの映画を評価するのは「田中麗奈」。この一点のみ。 そもそも彼女が第一目的で観に行ったワケですから…でも冒頭はしっかり裏切られた気分になりました。ま~~ったく可愛くない。演技もかなり大味。対する父親の大杉漣もゆっくり喋るもんだから間が悪いのなんの。心中「絶対3点つけちゃる!」と拳を握り締めたのはまあいいとしまして…複数の主要人物がひとつ屋根の下に集合するまで、失望感でガックリ来ていたのは間違いありません。 でもそこからが違った。いや最初から日→日中バイリンガル→完全中国語…と少しづつ言語面の変化は訪れていたのですが、主人公・小蝶が当時の服装に着替えてから、ガラリと変わりました。 演技が、完全に中華活劇のアレなんです。カンフー映画のヒロイン。口を大きく開けてカツゼツはハッキリ、演技も大振りで、表情に至っては日本人と思えないほどクルクル変わる。そこでやっと冒頭のヘボい演技が「中華活劇の中で描かれる日本人」を演じていたんだ、というのが理解できた次第。  日本の演技メソッドと中華圏の演技メソッドを、一作の中でここまで自在に使い分けた女優は寡聞にして知りません。身振りや顔つきまで中国人になった田中麗奈は、日本的美を離れて、華人として美しい。しかも台湾生まれ台湾育ちの小蝶は「中華~日本の間にあるグレーゾーン」の住人であって、2民族の間に様々な中間点がある事を演技で示してくれている。これでシナリオが大人向けだったら、素晴らしい国際色を出していたと思います…残念ながらコレはキョンシー映画でしたがネ。 田中麗奈なら将来、今までにない劇的な解釈の李香蘭を演れる(断言)。そして彼女を三娘役に迎えれば『一輝まんだら』の実写化だって不可能じゃない(まあ脱ぐ気があれば、ですけど…)。 ふたつの文化に根ざした、ふたつの美学。それを「ふたつ」と見ずに、両極・中間を自由自在に飛び回る彼女の姿こそ、名前通りの小蝶でした。どこまでも自然体で、因習に澱まず、美しかった。次の大きな何かへの予告編でした。
[映画館(邦画)] 7点(2006-09-04 01:30:06)(良:1票)
118.  プラハ! 《ネタバレ》 
はい。も~~~んのすごく期待して観に行ってあさってへぶっ飛ばされました。 なんたって感動したシーンが唯一、最後に出てくる国境警備のポーランド兵のシーンでしたから。期待したモノがあまりに違いました。 もっと「プラハの春とその終焉」を描いた、前衛なのを期待してたんだよね…ミュージカル場面はなかなかチェックなセットで良かったですが…。  俳優については少し言いたい事がある。 チェック・アートの特徴である「コッテリとした甘さの中の苦さ」や「笑顔に包んだ刃」の感触が、主人公の親父さんや車掌さんの演技から滲み出ている。中年俳優の演技は総じて良かった。 が、他はどうしたんだ。ガンバレ若手! ヨーロッパ最古の演劇大国だぞ! 演技の余裕が無くてテンパってるのがありありだぞ! 結果、何だか田舎のフランス映画みたいな感じになっちゃってます。フランス語の美しさがチェコ語の歯切れの悪さ(チェコ語の言い回しは日本語以上に複雑怪奇らしい…時刻の表現は「もはや芸術的」とまで言われてる)に置き換わっている分、見栄えがせんですよ。  ●追記(2010/5/9): 『プラハ!』点数を見直してUPしました。 やはりこの映画は面白かった。 鈍いパンチだけど、確実に効いてくるというチェコ独特の攻め口です。 どうしてチェコ人はあんなに爽やかに自由の崩壊を描ける…? 今の日本の世情の対極なんじゃない…? いろいろ、今になって頷ける部分、泣ける部分がわかってきました。
[映画館(字幕)] 7点(2006-08-20 19:34:55)
119.  血と骨 《ネタバレ》 
なんだこのイヤな太陽族(笑)。 本作で特徴的なのは、戦後史特有の記号がほとんど排されている事。確かに軍歌も歌えばダッコちゃんも出てくるが、必要最小限以下に抑えられているため恐ろしいほど時代感覚に欠けている。逆に言うと超時代的な記号の比率が高い(昭和の長屋の原風景?)。さらには民族的な記号も抑えに抑えられ、たまに出てくる字幕で「あ、これ日本人の話じゃなかったんだっけ」と思い出す次第。つまりガルシア・マルケスの『百年の孤独』が大阪の裏路地に出現してしまったワケだ。この映画、古臭い話に見えながら実はポストモダンなのではと推測。 このマジックが、マルケスがやったのと同じように「極限の父性」を描き出すのも偶然じゃないだろう。崔洋一は明らかに同じ手法・同じ路線を狙っている。異なるのは「画」だけだ。 そう、画。時たま「ここを観てくれ~っ!」という監督の叫びが聞こえそうなシーンが出てくる(豚の解体場面や、俊平宅での行水や、首吊りのシーンなど)。確かに凄い。重い。こんな映像ばっか観たくねえ(笑)…と思ったかどうかは知らないが、思いっきり弱気のシーンもある。オダギリジョーは明らかに演技が立ち過ぎていて、笑えるくらい意味を成していない。 崔洋一、映画の集客力を気にして「《たけし映画》ってだけじゃ客を呼べないかも」と弱気だったのかもしれない。いや、監督は気にしなくてもプロデューサーは気にするだろう。その結果の駆け引きがオダギリジョーになり、ラストの北朝鮮(あれは語り手の想像外の領域だから、明らかに不要)での回想になり、違和感ありまくりの要素を紛れ込ませる結果になったんじゃないだろうか。全体に散らばる記号のアンバランスさは、そういう製作の裏側を想像させるくらい「不快感」と「受け狙い」の両極に散っている。 実はオイラは、その弱気さが何となく愛らしくて好きだ。崔洋一も金俊平には負けちゃったのだ。ぶち壊れた映画全体のフォルムの中から、金という男のとてつもなさが、そして監督の普通な人間らしさが浮かび上がってくる。スタイルが不格好なのは、ポストモダンでは「アリ」ですよ。  注:原作読んでません。いずれ読んでから書き直すかも。
[DVD(邦画)] 7点(2006-08-14 15:39:41)(良:2票)
120.  アンデッド
ちっくしょー面白ェじゃねーかよー! こんなに面白いゾンビ映画アリかよー! なんかねーB級映画ってよりもハンナ・バーバラの新作アニメ観てるみたいで肩がこらなかったっす。ある意味、テンポ良すぎでホラー映画の枠組みを脱してますな。 シェルターの中に入ってから、いきなり手持ちカメラの長回しになるのが無茶苦茶カッコいい。ロメロを研究して、彼の欠点をカバーしてます。他にも無駄にスタイリッシュなガンアクション、意表を突いたキャラの脱落順序、明快でテンポいい人物描写、史上初の魚ゾンビ攻撃…やりたい放題っすな~。 このスタッフで『スクービードゥ3』作ってもらえんでしょうか。切にお願い。
[インターネット(字幕)] 7点(2006-08-10 05:15:51)
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