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フィンセントさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 202
性別 女性
自己紹介 閲覧&良票を入れて頂いた皆様ありがとうございます(*^-^*)
良票を頂けると励みになります!作品に対する意外なヨミと、読んでいて楽しいレビューを心がけています。楽しんでいただければ幸いです☆

ジャンルを問わず鑑賞していますが、ホラーを観るときは手で目を覆って指の隙間から観ますw

★好きな俳優★
M.ファスベンダー、E.マクレガー、J.ロウ、D.クレイグ、O.ブルーム、ジョナサン・リース=マイヤーズ・・・・・はい、そうです。イギリス俳優好きですw
さらには、ドナルド・サザーランド、S.ブシェミ、M.フリーマン、フランコ・ネロ、B.ウィリス、H.ジャックマン、C.イーストウッド、女性では、ユマ・サーマン、M.ジョヴォビッチ、C.セロン、A.セイフライド・・・などが好きです。

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101.  17歳の肖像 《ネタバレ》 
中二病ヒロインと、ロリコンおやじの物語。  ヤク中のように怪しげに目がすわっているピーター・サースガードは、「フライトプラン」や「スケルトンキー」などタチの悪いペテン野郎役が多く、彼がヒロインと恋仲になった時点からこれを恋愛映画とは見ず、この映画のカナメは このオヤジがどれだけの大悪漢かを見せるところだろうと思いきや、若い女に手を出してばっかの懲りないおやじという、なんともいえない小物だったというまとめかたにガッカリでしたね。  彫刻家のロダンが42歳時に付き合いだした愛人カミーユはその時19歳で年齢差24だったが、10年愛人としてずるずるとつき合わされ破局した後は、彼女は精神を病み、彼女自身も彫刻家だったがその道も失い、一生結婚も恋愛もせず、家族とも疎遠になって一生を精神病院で終えた悲劇のヒロインで、ロリコンおやじの毒牙にかかった少女のストーリーとしては彼女のほうがよほど面白い。  まあ、冷静で学問を崇拝する校長にエマトンプソン、そして夫に何度浮気されようとヒョウヒョウとしている仙人のような妻にサリーホーキンスを配置するあたり、この映画は、中二病のヒロインの更生物語にしたかったんだろうなとも思うが、更生を描くところが10分足らずで、「そこはダイジェストかい」って思うほどあっけなかったのが雑な印象。  タイトルで「Education」って言ってるくらいなのだから、映画としてはミニマムな95分のせめて3分の1くらいは更生の過程をしっかり描いてくれないと。  これでアカデミー賞で作品賞を含めいくつかにノミネートされているというのもよく分からない。アカデミー賞って、作品賞のノミニーにちょくちょく10代の主人公の甘酸っぱ系の作品を選んできますけど、10代の青春物語ってだいたいたかがしれている(恋愛、学業、友達、家族という4大要素をねりこんで最後はハッピーエンド。)ので、10代モノはもともと苦手の領域ですね。  この映画は、大好きな英国が舞台だというから鼻をつまんで見ましたけど、想像以上に酷かったです。
[CS・衛星(字幕)] 2点(2018-03-21 07:02:37)
102.  マリアンヌ 《ネタバレ》 
期待はずれにして、オチは想定どおり。まことに退屈な作品である。  基本的な話しになるが、スパイ映画においては、敵が「おまえスパイだろ」と見抜く(あるいは見抜こうとする)場面での緊張感あふれる場面をいかに演出するかが、重大要素の一つだ。  で、この作品において「おまえスパイだろ」をやる役者が、アウグスト・ディールという脇役名人俳優。 実はこの俳優、「イングロリアスバスターズ」でも、ドイツ軍人役として登場していて、居酒屋で密談を交わすスパイたちを見抜いて「おまえスパイだろ」をやっている。 イングロリアスバスターズの、あの居酒屋でのシーンはスパイ映画の「おまえスパイだろ」の名場面の1つだと評価しているのだが、一方の「マリアンヌ」では同じ役者を使って、同じ行動(「おまえスパイだろ」)をやらせていて、どんだけ緊張感あふれる展開にさせるのかと期待させておいて、いまいち盛り上がらないままサラっと終了する。 これはもう、最高級のコーヒー豆と、お高いコーヒーカップを用意しておきながら、焙煎作業で失敗して最悪の味になっちゃったコーヒーみたいなものですよ。  そこですでにテンションは下がりまくりです。  そして、”美しき女スパイと、それを知らずに結婚する軍関係者。ふたりの未来の行方は?”っていう物語については、「マリアンヌ」と同じ2016年に公開されたレベッカ・ファーガソンの「愛の亡命」(日本劇場未公開)と同じ設定で、テンションが下がっている状態で「うん、でもまぁすったもんだやったところで結局、女スパイは彼と共に幸せに暮らしましたとさってならないんでしょ、選択肢は死しかないんでしょ」って思いつつ最後まで見たら、やっぱりそうなるんだから、もう、3点で精一杯です。  記憶に残っているものといえば、コティヤールが着てた衣装がどれもこれもテロテロのシルクだったなぁということだけ。 とにかく、ドレスやナイトガウンのテロテロしたシルクのツヤしか思い出せない。私の脳内では「マリアンヌ」=テロテロのシルクの映画、っていうイメージ。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2018-03-19 11:27:19)
103.  ラ・ラ・ランド 《ネタバレ》 
ミュージカルにしては、あまり盛り上がらないナンバー、おとなしいダンス。  でもミュージカルにしないと、魅せにくい ありがちなストーリー。  このジレンマのぬるま湯に上映時間の9割ほど浸かっていた。  最後の二人の再会のシーンで、ライアン君のピアノに乗せて「これまでの二人が、もしこうだったら・・・」という 妄想ワールドで観客をイッキに引き込む演出だけは秀逸だったもの、結ばれることのなかった二人が最後に微笑みを交わすエンドとか、うん、やっぱりありがちすぎて、結局ミュージカルでなんとか場を持たせてる作品でしかないと結論。  夢をもった二人。そして夢のために別れた二人。LAはそんなステキロマンスがそこかしこに満ち満ちています。ウェルカムトゥーハリウッド。ドリームズカムトゥルー!      うん、やっぱり浅い。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2018-03-09 13:29:46)
104.  グレイテスト・ショーマン 《ネタバレ》 
映画の主人公が、すべて善人とは限らない。バーナムとてしかりで、最初からバーナムを  ”見世物小屋をサーカスにしただけの、結局はフリークスを利用して金儲けをした男”  つまり、クズ野郎として鑑賞すれば  「よーし、クズ野郎の顛末を見てやろうじゃねえか!」  と、潔ぎよい気持ちで見ることができるだろう。  英国でバーナムが女王に謁見した際のパーティーに、一緒に参加したがっていたフリークスたちを追い出してドアをバタンと閉じて締め出した場面など  「おお!これぞまさにクズ男の真骨頂!」  と拍手すらしたくなるはずだ。  ところで、心に刺さる映画に必ずあるものの一つに主人公の”心の葛藤”があるが、主人公はそのクズっぷりにふさわしく、今作ではこの”心の葛藤”が見事なまでにズボっと抜け落ちている。  たとえば同じくフリークスを扱った映画「エレファント・マン」では、ジョン・メリックを見世物小屋から病院に引き取った医師は、彼のためを思って上流社会の人たちとの交流を彼に薦め、実際ジョンもつかの間の幸せの時を味わっていたが ある日医師は、暗い部屋で妻に「僕は、ジョンを利用していただけかもしれない。偽善なのか。僕は最低な男なんじゃないか」と、心の葛藤を打ち明ける。 この場面がもし「エレファントマン」になかったら?心に刺さる映画にはなりえなかっただろう。  もう一例挙げるなら「シンドラーのリスト」。この映画では、単に金儲けのために安いユダヤ人を雇っただけなのに、結果的にユダヤ人をホロコースト送りから救い出すことになった事に、主人公が気づかされるにつれ、心の葛藤を抱く描写画面が何度も出てくる。  どちらも「私がしていることは善か?偽善か?」と、心の葛藤で悩む姿があってこそ作品として心を揺さぶるのだ。  しかしバーナムは、フリークスを雇っている事についての心の葛藤は一切ない。  お悩みは  「上流階級に認められてぇえ~~!」  であり  「妻子を幸せにしてやれる世帯主になりてえぇえ~~!!」  だけなのである。  フリークスも、美人  オペラ歌手も、彼にとってはそうしたお悩み解決のためのツールでしかない。  サーカスのテントが火事で焼失した後、フリークス達が「ここが私達の家なんだ!再建してくれ!」とバーナムに懇願したが、その時点でもバーナムの頭の中心にあるのは  「妻子を幸せにするカッコいい世帯主になりてえぇ~~!!」  だ。  再建はフリークスのためではなく、フリークスに対する義理を果たして、さっさと家族関係を再建したいだけなのである。  テントを再建したら即フィリップに全部まる投げし、ゾウさんに乗ってド派手な演出で家族の元にゴー!とか、クズ男は、実に、最後の最後までクズなのである。なんとも痛快なクズ物語!  そして、そんなクズなストーリーを華やかに彩るのが、素晴らしい音楽とダンス!!  何を隠そう、ザック・エフロンが大好きな私である。 「ハイスクールミュージカル」シリーズや「ヘアスプレー」では、ピッチピチの彼の歌と踊りに心沸き立ち「将来このまま、もっとのびる!」と期待していたのに、その後のびるどころか全く話題作に恵まれず、すっかり落ち込んでいた矢先に、久々にミュージカル映画で登壇!  やはりザックは歌い踊ってこそ輝く俳優だと改めて思った。 バーでの「The Other Side」といい、ゼンデイヤとの「Rewrite The Stars」といい、期待以上の素晴らしさ。20代の頃より、声もずっと太く、ついでに顔と体も太くなっていたが、やはりオーラは健在だ。  そしてゼンデイヤといえば、娘が昔見ていたディズニーチャンネルのティーン向けドラマ「シェキラ!」に出ていたこともあり、彼女にも親近感も持ちながら楽しむこともできた。  ぶっちゃけ、ストーリーはクズいし、予告でサーカスシーンがてんこ盛りだからシルクドュソレイユみたいなエンタメが楽しめるかと期待したのに、迫力あるサーカス場面の割合はめちゃくちゃ少ない(予告編の場面がほぼすべてw)しで、評価できる部分が少なくて0点を付けたいところだけど、ザックの復活を祝して3点献上。  あと、アカデミー賞にノミネートされ舞台でのパフォーマンスの場まで作ってもらっていたのにオスカーを逃したキアラ・セトルの「This is Me」も、私にはそこまでグサっとは刺さらなかった。  たぶん、彼女が歌っている最中ずーっと心の中で  「そんなにヒゲがイヤなら、剃っちゃえばいいじゃん・・・」  って思って気が散っていたせい。
[映画館(字幕)] 3点(2018-03-08 11:01:38)(笑:1票) (良:2票)
105.  メッセージ 《ネタバレ》 
あの宇宙人たちは未来が分かり、3000年後に自分たちの星がえらい目に遭うから、地球人に助けてもらいたいので、 今のうちに地球人に”武器”を与える。  その武器とは抽象画みたいな墨文字。  それが読解できるようになると、未来が分かるというシステムらしい。    「さぁ人類の皆さん!ぜひ我々の言語をマスターして、その力で無事3000年後まで生き延びてくださいね♪」    かくしてあの言語の解読に成功したヒロインは、未来が見えるようになりましたとさ。 めでたしめでたし・・・ってなんじゃそらああああああッ!!!!!   つまらない。 いやほんとつまらない。ツッコミどころ満載。   特にあの宇宙人のタコ。ふざけてる。なめてる。  墨出して一緒にお話ししましょとか、もうコレってギャグの領域。   ヘプタポッドだと? 7本足で、ヘプタは7を意味するからヘプタポッドっていうのは、オクトが8を意味するから8本足のタコがオクトパスっていうのっぽくて面白いでしょみたいな、タコ偏愛主義者の自己満足なムードがイライラする。   そもそも未来が分かる言語を人類が理解できるようになったら、ヘプタポッド語の参考書とかドリルが出てバンバン売れちゃうだろうし、 カルチャーセンターで”ヘプタポッド語講座”で教えたりして世界中の人々が未来が見えるようになっちゃったら、占い師は全員廃業でしょう。    宇宙人どもは未来危機に陥る自分たちを助けて欲しいから地球人に未来予知能力を与えたけれど、 人類にとっちゃぁ、よそ者の宇宙人のことより 未来予測を使って金儲けに走るだけに決まってる、っていう未来を読めないのかこの宇宙人ども。  ヒロイン以外のジェレミーとウィティカにも、きっと何か後ですごい働きするって期待してたんですけど、特に何もなく。 存在感も薄い。  それこそジェレミーは「28週後・・・」での滅私的な活躍に涙しましたし、ウィティカは「パニックルーム」みたいな、優しい黒人を演じさせたら光るしで、この二人が軍人側として登場するなら、絶対、ヒロインを守って何かやってくれるぞ、と、タコに失望した自分は彼らに望みを託して期待をしていたのですが、最後まで特に、何もなく。   全体的に静かな雰囲気ですが、静かすぎて  「あなた、何を期待していたんですか?宇宙人とのファーストコンタクトの話しだと思ってたんですか?言語読解のプロセスで魅せる映画だと思ってたんですか?これは、もっと内省的な作品なんですよ・・・フッ」  って言われたようで、イライラする。  未来を知ったヒロインが、ジェレミーと結婚してもいずれ離婚することも、子供が生まれてもいずれ病死してしまうことも分かったうえで、あえてその未来を受け入れるという姿を見せ  「ヒロインのこの選択すごいでしょ、あなたにはできる?考えてみてよ。どうなの?え?」   っていうのが、この映画が言いたかったコトなわけですが、彼女の決断すごいでしょ、なかなかできるもんじゃないでしょ、というこれみよがしな主張も、それと価値観を同じにする人たちでなければ共感できない主張。     いや、私だったら、あえて別離ルートなど選択せず、 別のひとと結婚して、健康な子供を産んで孫まで抱きたいと思いますがね。   実際にもう生まれてきてしまった後ならば、誕生後に余命を知ってしまっても、生まれてきた以上は腕に抱く子に愛着が芽生え育っていくから、生んだことを後悔しないけれど まだ頭の中に見える未来図の映像としてでしか見えていない子供に愛着は生まれないだろう。  実際におなかに9ヶ月宿して苦しんで産み落として、この腕に抱き触れ合ったわけではないので、特に思い入れは生まれないはずだ。  そのあたりの女の思考回路を分かっていない、でも女の思考を分かってるつもりでいる、母性を神聖視しすぎちゃってる男の原作者が勝手にイメージし、提示する”母性”は、まったくリアルではなく、妄想と虚像でしかない。   淡々としたSF映画で思い出すのは「ガタカ」で、あちらは相当お気に入りだが「メッセージ」は思わせぶりなだけで説得力もなく、トリッキーなパズル構成とスノッブなところだけがハナにつく。  ヒロインの娘の名前がハナだけにね。
[CS・衛星(字幕)] 2点(2018-02-21 11:47:05)(良:4票)
106.  デジャヴ(2006) 《ネタバレ》 
「主人公が死んでも、スペアがありますので、ヒロインは孤独にはなりません。」的な変化球ハッピーエンドは、けっこう好きだ。  ネタバレになるのでタイトルは伏せるが、某有名ハリウッド俳優(T.C.)主演のSFでも、「主人公は死んだんですけど、クローンがあるので、ヒロインは大丈夫です」というオチだったが、こういう「どうせ主人公は死なないでしょ」という予想をくつがえしながら、後味は悪くないような構造。  とはいえ、ダグが美女を救うために過去に戻るのはいいけれど、彼女を小屋から救出したあと「さぁて、助けたここからがお楽しみ。どこからおさわりするかな」といわんばかりに動揺する彼女を早速ハグしたり、彼女の部屋で彼に向けられた銃をとるために普通に銃をとればいいものを、ゴルフのインストラクターが生徒の腰を指導と称してねちっこく触れるノリで、まずは彼女の手をゆっくりネトネトとこねまわすようにいじくったり、いやーキモイ!それ目的かこのエロおやじ!ってかんじです。  船の上でのキスも「それやっとかないと、タダでは死ねねぇ」的に見えて、いやー、もう、ヤレヤレですよ。   それはさておいても「メモを送りたいんだ」といえば、ちょうどメモがはさまるサイズの、前後からきれいに挟めるプレート装置があったり、「自分が過去にいきたいんだ」といえば、デンゼルサイズの人間を3方向から囲めるプレート装置があったり、なんかもうそういうの前提でトントンと進むのはイラっとするんだが、ブラッカイマーが製作だから、そうか、そういうことか、と、なんか納得。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2018-02-09 14:59:45)
107.  ブレア・ウィッチ・プロジェクト 《ネタバレ》 
「REC」「パラノーマルアクティビティ」「グレイブエンカウンターズ」「ディアトロフインシデント」など、POV、ファウンドフッテージと呼ばれる作品を散々見みまくったあと、満を期して、いよいよ元祖作品を鑑賞!!    ・・・・・・・   つまらん。  「ジョーシュ!」「マーイク!」「何の音!?」「これは何!?」「キャーーー!!!」  5種類のセリフをループさせるだけで成立する内容だろこれ。
[CS・衛星(字幕)] 1点(2018-02-07 12:21:04)
108.  サロゲート 《ネタバレ》 
設定が甘すぎる。  常識的に考えて、世界の中でサロゲートのようなハイテクを享受できるのは、一部の富裕層に限られるものだ。それが人口の98%が常用とか、ちょっとおかしい。  未来世界では貧富の格差は拡大しているのが常識で、ハイテクを享受できる一部の人間と、それ以外の大勢・・・という設定でないのは不自然きわまりない。  たとえば近未来SF映画の「タイム」にしても「エリジウム」にしても、何かすごく便利なアイテムを使える人たちは富裕層で、居住区は、富裕層と貧困層が住むエリアにきっちり分けられている。  「サロゲート」においては、”サロゲート使う人たち”と”人間として生きる人たち”で居住区が分かれているが、それはすなわち富裕層VS貧困層で分かれているのではないということに説得力がない。  (もし貧困でサロゲートが買えない人たちが住む居住区があるなら、それはサロゲートが買える富裕層の何十倍ものエリアと人口があってしかるべきだ。)  また、SVI社のたった1社だけが98%ものサロゲートを供給してぼろもうけと言うのも、経済社会としてありえない。 携帯電話のように、大勢の人たちが利用するようになっていくにつれ、サロゲートを売る会社も、A社、B社、C社・・・と増えて、それこそセキュリティの強固さや値段などで競合していくのが普通だろう。  複数の会社がサロゲートを提供していれば、SVI社が襲撃されてすべてのサロゲートが一斉停止なんてこともなくなるわけで、常識的に考えれば、そういう仕組みを未来の人間が作っていないのがおかしい。  外に出なければ安心みたいに言うが、日光に当たらなければ体内時計がリセットされなくって不眠症になったり、交感神経と副交換神経のスイッチの切り替わりが鈍くなって鬱状態みたいになったり、ずっと引きこもってるから筋肉も退化して代謝が悪くなって太るし、メタボになればいろんな病気になったり、ひどければガンのリスクも高まるわけで、まったくもって、安心できる世界じゃない。  それにサロゲートだけで、恋愛、結婚、そして出産はできるのか?  それを思えば、いずれは高齢化社会を向かえ、「子供の出生率0%!」なんて、今の日本どころじゃない大問題になるんじゃないのか?   また、部屋で殺害されたらその殺害者がキーボードをちょいちょいっとたたくだけで「オペレーター変更」って、あっけなくオペレーターの立場をのっとられサロゲートを動かせるセキュリティの甘さとかどう。  ウィルスごときで、サロゲートが一瞬で停止してもう動かせませんっていうバックアップのなさとかどう。   博士が別のサロゲートを使っていることを知った女刑事が「重罪ですよ!」って言ったけど、そうやって犯罪の形として成立しているなら、複数アカウントもっていろいろなキャラになりすましてネット上に生きている人みたいに、複アカならぬ複サロを平然とやってる人もけっこういる世界ってことになる。  ということは、冒頭で、犯罪もなく平和な社会になりました、なんて前説はまったくのデタラメということになってしまう。  そして一番突っ込みたいのは、サロゲートをいくら若くしたところで、本人が年をとっていれば、そこまで、若いひとが楽しむものを楽しみたいと思うだろうか?ということだ。  なんだかんだいったって、年をとれば、年相当のものが好きになるはず。  10代のサロゲートを使ったって、中身が60代のおばあちゃんなら、お笑いライブに行くならNON STYLEじゃなくて、きみまろ を選ぶだろう。 20代のサロゲートを使ったって、中身が60代のおじいちゃんなら、クラブで踊るより、庭で盆栽してるほうが楽しいじゃろう。   ゆえに、博士のサロゲートがクラブに向かったり、ブルースの妻のサロゲートがミニスカはいて家で薬物パーティー、もとい、電気ショック・パーティーを開催しているところも「なんか違う」感がいなめない。   どのキャラも、サロゲートを先に見せておいて、あとでその本人(みんな、ふけていて、疲れた顔)を見せるという苦笑な演出と、終盤のサロゲートが一斉にバタバタっとなるシュールな景色くらいしか、面白みのない映画。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2018-02-06 08:34:07)(良:1票)
109.  パディントン2 《ネタバレ》 
パディントンが飛び出す絵本を広げ、空想する場面。  絵本の中にルーシーおばさんと入り歩く場面は、ページをめくるたびにロンドンの名所と二人が現れ、途切れずに続く長回しで描かれており思わず息を呑む。  彼の刑務所での空想場面もだ。  ブラウン一家が面会時間を逃した時に、彼は「自分は忘れ去られた」と部屋で1人涙をこぼす。その涙が床に落ち、そこから双葉の芽が1本出てきたと思ったら、一気に草木が部屋を覆いジャングルになったかと思ったら彼方にルーシーおばさんが。彼は思わず抱きつき心の内をこぼす。  これもまた空想シーンの名場面である。  あまりに空想シーンのデキが良いので、同じマズい料理ばかり作るコックに辟易している囚人達の食堂の場面もそうだと思っていた。  パディントンが「皆の為に違うメニューを!」と提案した所からの、スイーツばかりの新メニューがずらりと並べられ(料理がなくスイーツだけという、さりげないボケ)どこかの小粋なレストランよろしくテーブルからイスまでリニューアルする食堂の場面も「空想か?」と思った、が、どうもこれがリアルにそうなっているようで、映画全体に満ちた(いい意味での)そういう壮大な熊ボケが  「あ、パディントンでは、そういう事になりますんでヨロシク」  みたいな、制作側の確固たる意志を感じさせ、もうこちらとしては  「はっ、わかりました。」となる。  最後には収容所の悪役ブキャナンが夢だったミュージカルを他の囚人達も参加してやっていて、こういった類のムチャな流れも普通の映画なら「登場人物の空想」として描かれ「だからアリです」となるが、パディントではそれがリアルに起こっている事象になっていて、そして制作側の「パディントンなので、アリです」という意志をヒシヒシと感じる。    ところで、ヒューグラントは”かつて人気があったが今は落ち目の俳優”役。  彼がインタビューで「監督に『この脚本は君をイメージして作ったから是非出てくれ』と言われてへこんだよ笑」と苦笑いしていて、実際90年代の大活躍以降パッタリと話題作に恵まれない彼にとって、この役を全力で演じきる事はプライドとの戦いだっただろう。  そう思うと、彼が随所で見せる全力の自虐ネタに、若い頃の彼が好きだった私は、いちいち激しく反応してしまった。(つまり、大笑いしてしまった)  多くの人の彼のイメージは”90年代に席巻したラブコメ俳優”では?  でも私にとっては中学時代、母に連行されて鑑賞した「モーリス」でホモ役を演じた男として、思春期の私にかなりのインパクトを残した俳優なのだ。  そんな私ゆえ、”過去の栄光”にすがるナルっぷりを表す、自宅のあちこちに飾られていた若い頃の写真の中に、「モーリス」でのスノッブなヒゲ顔写真が額装して壁にかかっていたのも見逃さなかった(笑)   しかしだ。 やはり見終わって感じるのは「正直に、親切に生きていれば、幸せになれる」という当たり前の教え。  正直で親切であっても、報われなかったり失敗する事もある。だから人は「ならしなくていい」となりがち。  ルーシーおばさんに絵本を贈り、ロンドンに来た気分にさせてあげたいという夢の為に、失敗しながらも、効率が悪くても、お金を貯めようとしたパディントンと、オファーがないなら自主上演をと夢見て、その資金にお宝を盗もうと画策するブキャナン。どちらが幸せになるかは分かりきったラストシーンにつながるが、当たり前の展開なのにやっぱり泣いてしまう。真理には敵わない。  この主題を「道徳心のおしつけ」と受け取るのは違うだろう。  昨今増加の虐待親。でもその遠因はその親を育てた親が養育過程で愛情不足にさせてきたから。 虐待親の親が自分中心で生き、子を二の次にした結果、その子は自分も他人も、そして自分の子も愛せない親になってしまう。  だからロンドン大好きでロンドンに行く気まんまんだったルーシーが、パディントンを拾ってすぐ「この子のために、ロンドン行きはナシ」と決断したエピソードは、それだけで  「そう、子育ては自己犠牲。でもそうやって自己犠牲をいとわず愛情を子に注げば、その子は必ずその愛に応えて倍返ししてくれる」  と納得させられる。 実際パディントンは良い子に育ち幸せな日々を送って、そしてルーシーは夢のロンドンに招待された。 ルーシーおばさんは自己犠牲だけで終わらず、お互いwin-winとなったのだ。  「パディントン2」は、映像美あり、笑いと涙あり、伏線回収もばっちりで子供も楽しめるが、大人たちも、自らの生き方をみつめるきっかけにもなる、素敵なエンターテイメント。
[映画館(吹替)] 10点(2018-01-25 10:10:47)(良:1票)
110.  モネ・ゲーム 《ネタバレ》 
イギリスが舞台、イギリス人俳優、格調高き絵画取引の世界、そして贋作をめぐる騒動・・・その情報だけみれば、私好みの要素だらけだった。  しかし、期待は大ハズレ。  セクシーとは程遠いアラフォー・ディアスの下着姿といい、ホテルの宿泊客のおばさんのオナラといい、アイアンの鉄柵にささるディーンの尻と、パンツ姿といい、バカっぽい日本語通訳師といい、何からなにまで、くだらない。1度も笑えない。  そんなネタを並べたてて客を笑わせることができると思ってるとしたら、コーエン兄弟は、いろんな意味で終わってる。
[CS・衛星(字幕)] 1点(2018-01-18 13:21:08)
111.  パーフェクト・プラン 《ネタバレ》 
ギャングのボスが持っている金は汚い。だから、やつに使わせるなら、別の人間が奪ってイタダイチャっても、それはそれでありだ。  というのが、この手の、作品の大義名分だ。たとえばウォシャウスキーの「バウンド」やサムメンデスの「ロードトゥパーディション」などなど・・・  でも「パーフェクトプラン」については、最後がスッキリしない。それはおそらく、バウンドやロードトゥパーディションなど、”ギャングのボスの金を奪う系”の映画として成功している例と違って  <イージーすぎる>  からだと思う。  夫婦のどちらも犠牲が出ていない。途中でちょっと巻き込まれちゃった、奥さんの姉妹と赤ちゃんも無傷。  一番盛り上がるはずの、屋敷でのハンドメイド殺傷トラップでのスッタモンダのところも、敵はギャングAもボス&部下、ギャングBもボス&部下という、たったの4人だけ始末すればよいことにしているので、あっけなさすぎて物足りない。  もっと中盤部分をスピード感ある編集にして、屋敷でのトラップ場面の尺を大きくし、敵の数を3倍くらい&トラップの数も3倍にすれば見ごたえもあっただろう。  あるいは、夫婦どちらも、かなりの重症を負って全治数ヶ月レベルになっていれば、最終的にギャングの金の一部を手にするための”ひきかえ”として相当だった。 ところが、夫婦はケロっと、お金を手にして、しかも「自然妊娠でできたわよ!フフゥ!」というオマケまでついて、車に乗って颯爽と新しい生活をスタートさせましたとさ、めでたしめでたし・・・なんて、虫が良すぎて、嫌悪感しか残らない。  さらに、中盤で銃で撃たれて倒れたのに死んでなかった警部。終盤では衝突事故で頭から血が出たまま動かなくなったのにまたしても死んでなかった。 この警部の、撃たれても衝突しても「ボクは死にましぇん」的スタンス。 鑑賞者を上手にドキドキさせる脚本が書けないがゆえ、こうやって主要人物を、完全に死んだようにみせかけて、実は生きてました~みたいな、そんなくだらない戦法しかとれないところもがっかりした。  「ミザリー」を保安官を見習えと言いたい。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2018-01-05 09:12:58)
112.  ものすごくうるさくて、ありえないほど近い 《ネタバレ》 
強い絆で結ばれていた父が9.11で亡くなり、その父との絆を強く求めて、父の遺品だと思われたカギで開けられる場所を必死で探す精神障害の少年。  そういうスタートを切ったのであれば、この物語は、少年がカギを開ける場所に到達し、その場所に、少年の心に光を照らす何かがあって、ハッピーエンドで終わるべきではないだろうか?  しかし。  必死にカギの場所とそこにある父の影を探し続けてきた少年の前につきつけられた答えは、   「その鍵は、見知らぬオッサンの父親の貸金庫を開ける鍵」  ということだった。  結局、この物語で”感動”をもたらすエンディングとして提示されたエピソードは  カギで父が遺したステキな何かを発見して少年の「あの時、父からの電話に出られなかった後悔をクリアしたい。お父さんとの失われた8分を取り戻したい」という思いが成就することではなかった。  精神障害の息子とイマイチ深く関われていなかった母親が、息子のカギ穴探しの旅がスムーズにいくように密かに根回し活動をし、 後日「エッ、オカンが裏で支えてくれてたん?」と知った息子が母と和解するということであり、それによって心がクリアになった息子が9.11のトラウマを乗り越え、父に誘導されても乗れなかったブランコに乗れましたとさ、めでたしめでたしということであった。  確かに、”謎のカギ”や”冒険”という、けっこう小説では使われがちなテーマは、一歩使いかたを間違えると、よくありがちなパターンになって「オチ読めたし、つまんねー」と、否定されやすい。  父親からの息子への手紙とか、生まれたばかりの息子を抱く父とか、そういうテッパンのアイテムが カギで開けた箱に入ってたら、それはそれで評価ダダ下がりだっただろう。  だからあえて、カギの先にあるものと父親をリンクさせるという真正面からの真っ向勝負に出なかったのでは?  しかしながら、カギの先を探している過程で意外にも祖父との距離が縮まりました、とか、カギの先を探すサポートをしてくれた母親と和解できました、という、サイドストーリーを持ちだして  「はい、実はこっちが感動エピソードなのでした。意外でしょ?えへ、なかなか面白いプロットでしょ?」  と、やってやったぞ感に満たされてストーリーを書いていたとしたら、非常にタチが悪い。  貸金庫の話も煮詰めないまま突然終わらせ、そのカギの持ち主が離婚したはずの妻となぜかヨリ戻してるワンシーンを意味もなく見せ、祖父の死んだ息子や孫への気持ちもよくわからないまま「はい終了」で、誰が感動できるというのだろう?   (この映画にガマンならないので、あの開いた貸金庫には100億ドルの金塊が遺されていて、それに目がくらんだ元妻が遺産狙いで「やっぱりまた夫婦に戻りましょう」と色目を使ってカギの持ち主の男とモトサヤに持ち込んだに違いないと、いぢわるな解釈してやる。)  相撲の勝ち方で批判を浴びていた白鵬にたとえるならば 「勝てばいい」とばかりに、まっこう勝負に出ず、立会いの変化によって、ふいをつかれた相手を倒すという勝ち方と同じではないか。  この映画は、「はっけよーいのこった!」の声で立ち上がり相手に向かって突進するそぶりを見せて、ひょいと身をかわし、相手を「おっとっと!」って土俵際まで勢いづいたまま行ってしまったその背後から背中をポンと押して「はい、勝ちました」と言っている様な映画ではないか。  どうりで、ゴールデングローブ賞、全米映画俳優組合賞でも かすりもせず、アカデミー賞では作品賞&”しゃべらないオジイチャン”が助演男優賞でノミネートされただけで、オスカーは渡っていない。  9.11、精神障害、謎のカギ、探検・・・なんて、ずうずうしく並べて、いかにも「みんな、感動してくれ!」って感じなところとか、かえって毛嫌いされたのに違いない。  しかも「オスカーをくれ!」といわんばかりに、主人公にオスカーとか名づけている時点で、もうアウト。(実際そのつもりで名づけたかどうかは知らないが)  とにもかくにも、9.11と精神障害の少年という、最強のヒューマン映画臭を漂わせながら、カギという誰もが興味を強く惹かれる思わせぶりなアイテムをチラつかせてきたくせに、カギでまっこう勝負をしてこない、本当に卑怯な物語である。
[DVD(字幕)] 1点(2017-12-15 13:22:30)(笑:1票) (良:3票)
113.  ひまわり(1970) 《ネタバレ》 
これほどヒロインのキャラが脳裏に焼きつく作品は、なかなかないのではないか。  よく笑い、よく怒り、よく泣く。 自由奔放のようでいて、意外と律儀。  それぞれのギャップのコントラストがあまりにも強く、こちらの感情を力技で揺り動かしてくるような性格だ。  その性格は、必ずしも人間として”善”とはいいがたいものもある。 戦闘員に関する情報を出す受付で「夫は生きてるはずよ!」といきまいて居座り、他の人達の順番がどんどん遅れるのもおかまいなし。 情報をくれたのに、彼を見殺しにしたと帰還兵に怒ったり、母親には「あんたの息子は裏切りものだ!」みたいな言い方でつっかかったり(たぶんその後あの母親とは絶縁したものと思われる)。 まるで子供ような自己中心的な性格だ。  だが、そんな子供のような自己中心的な性格だからこそ、重大な選択(アントニオと不倫駆け落ちを実行するか)で、お互いの子供のことを思って、自分の欲求を押し殺す選択をした、そのケナゲさが心にしみるのだといえないだろうか。  あれ買って~!これ買って~!あれヤダ~!これヤダ~!それがイイ~~!ギャーギャー!とわめく子供が「パパとママのために、僕、我慢するよ」なんてシンミリいうと、心がほだされるのと似ている。  ジョバンナを喜怒哀楽の激しい自己中心的で幼稚な性格にし、人間としてデキた人物設定にあえてしないことで、こうした”ギャップ効果”を見事に作り出している。まことに、知能犯な脚本である。  ジョバンナがダメ人間だから感情移入できないとシャットアウトしてしまうのは、あと一歩、ヨミが足りない。  タイトルにもなっている「ひまわり」は、その見た目の陽気さや快活さと、その花の下にいる大量の死体・・・というギャップをはらんでいることで、まるでひまわりがジョバンナの性格を表しているようだ。  徴兵から逃れるために精神病のふりをする作戦をとろうとする倫理観の欠如があって、義母が来訪すれば、部屋にあった掃除道具を窓の外にポンと放り出して片付けるテキトウさがあるのに、いざ二人で駆け落ちをという状況になると「あなたも私もバンビーニは犠牲にできない」というマットウな意見を言ったりするから、見ているこちらも「そうなの?どうしてもだめなの?だめ・・・か」とアントニオと同じように、ダラ~ンとうなだれてしまう。  気に入った男は結婚アレルギーだとしても徴兵を先延ばしするという口実を作ってでも強引に結婚させるとか、行方不明になっただけなら生きているはずと単身ソ連に乗り込むそんなイノシシのような猪突猛進の行動力があるのに、いざ二人で駆け落ちをという状況になると、グっと行動が抑制的になるとかもう、ジョバンナの手に持たれたお土産のタヌキの毛皮のように、ダラ~ンとうなだれてしまう。  さらに、そうやってアントニオに冷静に告げている彼女の耳には、かつて彼からもらったイヤリングをつけていると思うと、やっぱり切ない。 彼が部屋に来ることを知って、つけた思い出のイヤリング。 でも、髪の毛で隠れて見えないイヤリング。 彼に気づかれることもなく、でも確実に彼女の耳にある、彼の愛の証であるイヤリング。  彼女の中には確かにまだ彼への思いがあるけれど、それを、あからさまに彼に見せることはできず、心にそっと秘めている・・・ そんな彼女の思いを象徴するのが、あのイヤリングなのではないか。  タブーを抱えた二人が、お互いに思いを寄せ合ったまま、結ばれない道を選ぶ・・・という物語は、わたしは大好物で、たとえば名作「ローマの休日」や「旅情」にせよ、それに比べてわりと現代の作品である「マディソン郡の橋」にせよ、確実に心に残る。  どんなに時代が変わっても、タブーを抱えた二人は結ばれてはいけない。そこをねじまげて周囲に迷惑かけてでも愛を貫きますなんていう展開になると「昼顔」やら「失楽園」や「冬ソナ」のように陳腐で下世話なメロドラマになってしまうのだから。
[DVD(字幕)] 8点(2017-10-24 09:28:02)
114.  三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船
気に入っている。ひたすら気に入っている。もうDVDで何度観たことか。何度観ても何度でも観たくなる映画。  「バイオハザード」で見慣れたミラのアクションも、豪華ドレスと古典的なシチュエーションで行うと、また違うテイストで見惚れてしまう。  「ジャンヌダルク」の薄汚れたミラも良かったけど、今作のように華麗なファッションショーのごとくドレスをあれやこれやとお色直しを繰り返すミラもまた見惚れてしまう。  とぼけた表情でよく動く目玉を駆使したおちゃめな演技もミラのオハコ。魅力いっぱいのミレディに仕上がった。  そして枢機卿のクリストフ・ヴァルツは安定の悪役。  さらにはオーランド・ブルームもまた、オシャレと女と権力が大好きという最低男を見事に体現していたし、タイツ姿と左耳にプラプラさがるイヤリングもまたチャーミングだ。  三銃士はそこまで超メジャーな俳優を使わないことで、ミラvsヴァルツvsオーリーの3人の悪役の駆け引きのほうが引き立ち、そう、つまりこの映画は”三銃士”と題したものでありながら、ミレディらの”三悪党”の心理戦を楽しむ作品なのだ。  頭がトロくてウブだけど王妃とファッションは大好きなフランス国王と、当事の肖像画から抜け出てきたような古典的な顔の王妃のキャスティングも100%カッチリきまった。  ファッションに関する王とヴァルツやオーリーとの洒脱なセリフまわしといい、ミレディの想定外の動きといい、常に笑わせ、ドキドキさせてくれる、素晴らしい構成の映画だ。  重厚で理づめが過ぎては観るのが疲れる三銃士を主題にした作品でありながら、とことん見やすいライトな映画を撮るのを得意とする(裏を返せばアカデミー賞狙えるような重みのある作品は作れないとも言えるが)監督のポールの味付けで、ムダな背景説明などカっとばし、ひたすら面白くて見やすいポップなエンターテイメント作品に昇華されている。  ノートルダム寺院ファン(なんじゃそら)な私にとっては、空とぶ飛行帆船がノートルダムの一番高い塔のさきっちょにブスっと突き刺さって終わったときは、思わずフフフッっと笑ってしまった。  あの塔のさきっちょはディズニー映画「ノートルダムの鐘」で、カジモドがよじ登ってパリをグルっと見下ろした名場面でも使われた塔で、あの塔はきっと外国の映画製作者たちに「あの塔で何かおもしろい絵を作りたい!」と思わせる何かがあるに違いない。  そして、ミラが首飾りを奪うために進入するときに見せたムッチリした太もも露出は、夫であるポールの嫁自慢に違いない。
[DVD(字幕)] 10点(2017-10-20 11:03:50)(良:1票)
115.  ザ・ギフト 《ネタバレ》 
昔自分に酷い嫌がらせをして人生をぶち壊しにした同級生。大人になってその同級生が夫婦としても会社員としても順風満帆になったところを、復讐のごとく、ぶち壊しにかかるゴートという男の物語。  不審な贈り物が届くというは、けっこう映画としては多い手法だけど、この映画が頑張ったところは、その贈り物が、いじめっこだった男の妻ロビンの赤ちゃん(つまり夫がいない間に不法侵入&寝ている妻に強姦)という大胆設定だったところか。  ただ、恐怖感というのもあまりなく、赤ちゃんをプレゼントとかいっても、だって当事夫婦はせっせと子作りに励んでいたし、一度きりの強姦で、ゴートの子がビンゴでできるというのは、いまひとつピンとこない。  さらに、映画のオチを想像するのが苦手な私でさえ序盤でゴートが家の中を案内されて、ロビンが「子供できたけど産まれなかったの」とさびしげに言ったときに、あ~ゴートはそのうち彼女に子供をプレゼント(強姦)するなって読めてしまったのだから、この映画はあまりよくできた作品とは言えないと思う。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2017-08-30 11:03:36)
116.  ダイヤルM 《ネタバレ》 
主要人物3人が、結局全員悪いやつらっていう作品。ある意味とても新鮮でした。  妻を束縛して浮気されたからといって妻の不倫相手に妻殺しを依頼するスティーブンも悪人だし  夫が束縛するからといってほとんど罪悪感なしの様子で不倫三昧な金持ちのお調子者エイミーも悪人だし  エイミーの事は好きだし最終的には録音テープ送付して誤解は解いたけど結局カネが一番っていう恋愛詐欺常習犯のデイヴィッドも悪人だし。  こういう悪人たちが、お互いを疑いあって、三つ巴の戦いを繰り広げて、結局誰が勝っても素直に喜べない構図だけど、とりあえず最後に勝ったラッキーな悪人はエイミーでしたなんていう、5億円の宝くじを当てちゃったのが親のすねをかじって生活しているニートでしたという状況にも似た理不尽かつ不条理なオチも 、誰もが納得できるような後味のいいオチを当たり前のように期待して見た自分にとっては、新しいスタイルとして新鮮でした。  活躍しそうで結局活躍しなかった刑事も、結局、アクの強いワルモノ3人衆が「問題は3人の間でケリつけるからお前はひっこんどれ」と言う事で、おずおずと本編から退場しちゃうスタイルも新鮮でした。  おそらくオリジナルがあまりに偉大なので、まっこう勝負でリメイクしても勝てっこないから、3人のワルモノどもの不条理な死闘を描くという方向に転換したのかもしれません。 MダグラスにGパルトロウ、そしてヴィゴという組み合わせはとてもスタイリッシュで、特にボロ服まとってもセクシーなヴィゴにはフェロモン大賞を授与したいと思います。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-08-28 07:50:33)
117.  ブリッジ・オブ・スパイ
アメリカ映画といえば、アメリカによるアメリカのためのアメリカが正義として描かれるアメリカ映画が常である。しかしこの映画は、アメリカを完全な正義として描ききらないであることで成功しているのだ。  敵国のスパイなら情けも法律も関係ねぇ!という世論や裁判関係者も存在したことを描く。  太平洋戦争時の日本は「捕虜になる辱めを受けるなら自決せよ」という非情な教えを全国民にすりこませていたが、そんな<自国民の命より、こちらの情報が捕虜を通して敵国にもれないことのほうが優先>という当時の日本のポリシーと変わりのない、自決用の1ドルコインをスパイ飛行士に持たせていた事も、包み隠さず描く。  橋の上での捕虜交換時も、アベルが「引き渡されたあと、自国の関係者に片寄せ抱き合ってもらえるか、あるいは黙って後部座席に座らせられるか」という話をしていて、それはつまり肩を抱かれれば”信用”、黙って乗車させられたら”不信”ということだという意味なのだが、ソ連側関係者はアベルを黙ってクルマに乗せたのに対して、アメリカ関係者はパワーズを笑顔で抱き寄せて”信用”のフリをしながら、実際飛行機に乗せたあとは、パワーズを全員が完全シカトというアメリカ関係者の裏表の表情も、サラリと描く。  そんなふうにアメリカのダークな部分も包み隠さず描くことで、ドノヴァンという”アメリカの良心”をより際立たせているのが本作だ。  そして私は本作を「シンドラーのリスト」「リンカーン」と並び、スピルバーグの描く伝記映画としてとらえたい。「ブリッジオブスパイ」は、スパイの仲介者という意味であり、それはそのまま、ドノヴァンのことである。タイトルをあえて「ドノヴァン」にしなかったあたりは、彼がシンドラーやリンカーンほど世界でよく知られた歴史上の人物ではないからかもしれない。だがこの映画を通じて、ドノヴァンはアメリカの良心、アメリカの正義として世界に広く認知されることになった。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-08-26 22:41:31)
118.  ジャッキー・ブラウン 《ネタバレ》 
つまるところこの映画は、自分を悪用したサミュエルLジャクソンを抹殺しつつ、ヤツのお金もマックスおじさんのハートも奪った、したたかな女性の物語。この3大サクセスを、159分かけて段階的に成就させていくお話しです。  個人的には、オジサンのハートを奪っちゃったところが一番しびれましたた。それは、彼女がサミュエルLジャクソン抹殺やお金泥棒のように、完璧な計画を立ててやったことじゃないから。 マックスおじさんが彼女が同じ部屋にいたとき、彼女がデルフォニックスのLPをさりげなくかけ、その後日マックスがデルフォニックスのカセットをお店で買って車でかけている場面。人の恋心を表現する場面はいろいろな手法があるが、私はこういった”相手の好みに影響されている”という状況をもって、恋心を描くソフト表現のジワジワ感が大好きですよ。  最後の場面で、ジャッキーと一緒に行かないかと誘われていったん断ったマックスだが、きっとあの後黒人の相棒に話しをしてお店をどうするかの算段をしっかり着けてから、その黒人相棒にジャッキーの居場所をつきとめてもらい、ある日突然さりげなく彼女の家をたずねるんだろうな、と思う。  そんなジャッキー役の女優は、私が好きなジーナ・ガーションに似ていて、ニヤリとするときの唇のゆがみ具合がグっときました。 そしてブリジットフォンダという芸能一家の出である由緒正しき女優や脇役で光るクリスタッカーから大御所デニーロまで、ようしゃなくサラっと殺すタランティーノの心意気も素晴らしい。  確かにちょっとまどろっこしいところもあったけど、また数年後に時間があればまた見てみてもいいなと思える後味が爽やかな映画でした。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2017-08-25 09:00:25)
119.  バイオハザードV リトリビューション
1から5まで見てきてだんだん分かってきた。  バイオシリーズは、ミラジョボの夫でバイオハザード全作に監督なり脚本なり製作なりで必ず関わってきたポールが、  「もし愛しいわが妻をマトリックス風ヒロインにしたら?」(バイオ4)  「もし美しいわが妻をマッドマックス風ヒロインにしたら?」(バイオ2)  「ボクの赤ちゃんを産んでくれてママ業もがんばってるわが妻を、母性をテーマにしたエイリアン2風ヒロインにしたら?」(バイオ5)という、きわめてパーソナルな願望を莫大な費用とスタッフを投入して実現してきた、壮大な”夫によるミラジョボ映像集”なのである。  彼にとっては、妻の映像をとることが目的なのだから、ストーリーのつじつまなんぞどうでもいいのである。  妻がだんだん劣化していっても、夫にとっては「腐っても鯛」なのである。  彼の価値は、ミラジョボへの深い愛だけだ。 離婚を2回繰り返し、夫に恵まれなかったミラジョボが、はじめて”おしどり夫婦”となり2人の子供までもうけることができたのも、ポールのおかげだ。  そしてそんな夫婦愛から生まれた”夫婦の共同制作品”であるバイオシリーズは、彼らの子供であると言える。  我々は新作を届けられるたびに、内容どうこうではなく、  「そうか、また○人目のお子さんが生まれたんだね。おめでとう」  と、素直に受け止めるだけでいいのだ。   もう誰もミラ&ポールの<自己満足型ミラ映像集>の暴走を止めることはできない。  隠れファンの多いレインをつまんない死に方で終了させたり、バイオ3でタバコを一服して笑顔でドカンというせっかくカッコイイ死に方で終了させたカルロスをあえてクローンで復活させておいて即ゾンビに捕らわせて醜いゾンビにさせちゃうのも、ポールに悪気はない。ひとえに  「主役はボクの妻だから、他のキャラはどうでもいいし」  というポールの妻に対する盲目的で一途な愛のあらわれに他ならない。   序盤でウェスカーが「人類破滅の危機だ!!」と言っていたが、その直後に 「アンブレラ社は、NYでのバイオハザード映像をロシアに売り込み、東京のバイオハザード映像を中国に売り込むのダ♪」  とか言っている時点で、周囲のスタッフが  「ポールさん、人類滅亡が迫ってるのに、ゾンビ使って商売って…その設定きつすぎやしませんか?」  と、ポールの暴走を止められないことの方が、人類滅亡より危機レベルが高いことに間違いない。  バイオシリーズで一番危険なのは、ゾンビでもなくリッカーなどのクリーチャーでもなく、そう、ミラ&ポールだったのだ。    子供にいろんな色のお洋服を着せたがる親ばかのように、1では地下の企業内だけの話が、2では外に飛び出し暗い街中が舞台となり 、3では逆に太陽ギラギラの暑い砂漠にしてみたかと思えば、4ではマトリックス風な無機質な世界もおりまぜ、5では冷たい氷水の中…と、ミラにいろんなシチュエーションで演技してもらって、それを映像に残す。  ポールの妻ばかっぷり、嫌いじゃないな。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2017-08-18 08:08:52)
120.  バイオハザードIII 《ネタバレ》 
数年に一度開催されるミラジョボ祭り第三弾。  ほんとにもう、話を書いているポールさんはミラジョボを裸にさせたがります。1では冒頭のシャワーシーン、2では医務室での紙切れ2枚でサンドイッチ場面、そして3ではクローン製造機の場面。3の公開時にはポールはすでにミラを嫁にしていたので、映画で脱がされ私生活でも脱がされ、ミラジョボはとても忙しそうです。  それはそれとして、1と2がどちらかというとヒンヤリ感が漂っていたのに対し、3は真夏のジリジリ感がいっぱいです。1と2が全体として暗く怪しげな映像であったのに対し、3は明るくて怪しげさを排除しています。 元気におひさまの下をうろつきまわるゾンビたちはどこかキュートで、アンブレラ社仕込みの青いパジャマ姿のゾンビは、カメラや携帯にはしゃぎ、おもちゃがうまくいかないと赤ん坊のようにカンシャクを起こします。箱詰めされていたコンテナから飛び出してきた青パジャマのゾンビたちは今にも枕投げをしてしまいそうなほど快活で無邪気です。  ポールはシリーズが”みんな何だか似てる雰囲気”にならないよう、ミラジョボ祭り3回目ではガラっと雰囲気を変えてきました。3回目ではひたすら<カワいいゾンビ>を見せてくれます。  ところで私の中で、今回の作品で一番かっこよかったのはカルロス。自爆で仲間を助ける直前に一本のタバコを発見し一服、ゆったり煙をはきニヤリしてからのドッカーンは、「スラムドッグ$ミリオネア」で主人公の兄貴がお札風呂で逝った場面と1位2位を争そう”かっこいい最後”です。  ゲームを楽しんだことがある人にとっては邪道かもしれませんが、バイオシリーズはポール主催のミラジョボ祭りとしてとらえている私にとっては「今回はミラをそう料理してきたか」と、普通に楽しめました。  「ゲームと違う~イメージ違う~」となげいて損した気持ちになるより、ポールにとって数年に一度のバイオシリーズは、愛する妻の記念アルバムの1ページ1ページだと開き直ったもん勝ちです。 ミラの瞳がアンブレラ社のマークにカチっと切り替わったりするために、彼女の湖のように深く澄んだブルーアイズがドアップになる場面だって、ポールによる「オラの嫁の瞳は世界一美しいんじゃ」という嫁自慢にほかなりません。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2017-08-17 11:26:46)
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