1221. 幸せなひとりぼっち
《ネタバレ》 「自殺したいのに出来ない!」というのに「天国に行けないパパ」(傑作)がありますが、本作はその理由がもう少しシリアスです。しかし、切れたロープを手に店員に怒鳴り散らしたら「何に使ったのですか?」と返されてグウの音も出ないシーンを筆頭に数々の笑いどころがあって楽しいです。葬儀の際にお義理でなく参列してくれる者を望むなら、ぼっちで生きるのは幸せじゃないよねと思わされます。しっかりとした脚本にキャラが立っている人々。(猫も。オーヴェの胸に乗っかっている姿に涙が出ました)しみじみとした味わい深い秀作です。 [インターネット(字幕)] 8点(2020-06-28 18:20:19)(良:1票) |
1222. ゴンドラ
ゴンドラに乗って高層ビルの窓拭きをする青年と母親と小洒落たマンションに暮らす11歳の少女。文鳥を介して出会った二人の物語。共に孤独であり、とりわけ少女の孤独感に胸を衝かれます。青年の実家である下北半島に二人で訪れ、青年の両親の質素だけど暖かなもてなしに少女の憑物が1枚1枚剥がれてゆく姿に胸が熱くなりました。筋立てはありきたりなのかもしれませんが、台詞を最小限に抑えて滑らかなカメラワークに見惚れた映像で紡がれた画面に引きずり込まれてしまいました。監督は本作以降AV製作で活躍されたという事ですが、それが頷けるシーンがありました。 本サイトのおかげで出会えた作品は胸に沁み入る秀作でありました。 [インターネット(邦画)] 8点(2020-06-28 05:41:44)(良:1票) |
1223. 復讐無頼・狼たちの荒野
メキシコ革命の物語。盛り上がる事が無くコックリ・コックリで行きつ戻りつやっとの思いで完走。期待を寄せたオーソン・ウェルズは見た目悪代官・遠藤太津朗のようなインパクトがあるものの、浅いキャラクターで今一つ。残念な一品。 [DVD(字幕)] 4点(2020-06-26 04:35:12) |
1224. ローマ発、しあわせ行き
クラウディア・カルディナーレ目当ての鑑賞。絶世の美女だったCCの77歳のお姿は「・・・・」何とも言えないものがありますが、言葉少ない中に見せる貫禄は流石CC! 主役は彼女であり、サラ・ジェシカ・パーカーから受ける胸糞悪さを鎮めてくれました。他愛ない起承転結に文句を言う気力が起きないのはCCの力業に押さえ込まれたというところでしょう。 [DVD(字幕)] 6点(2020-06-26 04:16:30) |
1225. ヴィナスの接吻
「見知らぬ乗客」で強烈な印象を残したロバート・ウォーカー出演、相手役がエヴァ・ガードナーと言う事で鑑賞。思ったのとは180度異なるライトなロマンティックコメディ。二人のナチュラルな姿は魅力的で他の2組のカップルを圧倒しておりました。最初から最後まで微笑んで鑑賞できた良作です。余談ながら、妻ジェニファー・ジョーンズがデヴィッド・O・セルズニックとの不倫に走った事により身も心もズタズタになったロバート・ウォーカーが32歳で非業の最期を遂げたというのが非常に残念であり、裏切り者どもに怒りがつのるところです。 [DVD(字幕)] 7点(2020-06-25 01:27:01) |
1226. オンネリとアンネリとひみつのさくせん
シリーズ3作目。前2作の登場人物を上手く絡ませた脚本はなかなかのもので、敵役ミンナ・ピンナは憎たらしいけれどは陰湿さはなく退場のさせ方もシリーズならではのほっこり感があります。すっかり成長したオンネリとアンネリは純朴さよりも頼もしさが目立ちました。カラフルな色使いは1作目で受けた衝撃には及びませんが、収容所のような子供の家との対比に於いて美しさを感じるところです。シリーズ順番の鑑賞をお勧めします。 [DVD(字幕)] 7点(2020-06-24 00:27:35) |
1227. 眠狂四郎 無頼剣
子供時分だったか市川雷蔵の円月殺法に「綺麗、でも何で相手は黙って見てるのだろう」と不思議に思ったのが唯一の記憶。 市川雷蔵のジェームズ・メイソンと似通う艶のある声での台詞回しに惚れ惚れ。「わしはまともな人間ではない」と言いながらテロリスト愛染を糾弾する姿はいたって真っ当で何かしら虚無感に欠ける物足りなさがありました。もう一人のお目当て天知茂は何時もながらの目力で貫禄充分な姿に見惚れますが、どこか小悪党感が垣間見えてこちらも物足りなさを感じました。掟破りの二人しての円月殺法に雷蔵を始めとしてクレームが出なかったのでしょうか、見所であるシーンに苦笑してしまったのが何ともはや。 「まともな人間ではない」というのをこの目で確かめてみたくなった(本作が最高作というのに迷うところがありますが)良作です。 [DVD(邦画)] 7点(2020-06-15 12:14:53) |
1228. 続・夕陽のガンマン/地獄の決斗
前作からの落差の激しさにガックリ、ダラダラした展開での長すぎる上映時間にグッタリ。イーライ・ウォラック頑張っていたけれども魅力は感じず。リー・ヴァン・クリーフ素敵ではあったものの、私の血圧・脈拍は変化無し。嗚呼もどかしい。 [DVD(字幕)] 5点(2020-06-13 02:10:23) |
1229. 夕陽のガンマン
《ネタバレ》 音楽はマカロニ・ウエスタンの最高傑作且つ私的勝負曲でありこれまで度々お世話になりました。本作はクリント・イーストウッドのマカロニ・ウエスタンという何となくの理由でスルーしてきました。リー・ヴァン・クリーフ、クラウス・キンスキー、ジャン・マリア・ヴォロンテ出演というのを知りこの歳での初見。「男は黙ってリー・ヴァン・クリーフ」 胸熱激熱激痺れ。彼が主役です。クラウス・キンスキーとの二度の対峙はお宝映像。共に息をするのも憚られるもんの凄い緊張感。ジャン・マリア・ヴォロンテとのラストの対決も忘れ難い。過去の因縁に於ける死者を悼む二人の思いが一言も語られることなく溢れ出る鳥肌ものの演技。若きクリント・イーストウッドは二人の引き立て役としてなかなかの味わいでした。永遠の曲であると共に永遠のマカロニ・ウエスタンとの遅ればせながらの出会いに感激です。 [DVD(字幕)] 10点(2020-06-12 13:26:19)(良:1票) |
1230. 西部悪人伝
リー・ヴァン・クリーフのPVとしてならギリギリ観るに耐えるけれど、ハナシにならない安易なストーリーの中では何一つとして響いてこないばかりか、無敵ぶりが嫌みに感じてしまった残念至極な作品。 [DVD(字幕)] 3点(2020-06-11 15:57:20) |
1231. 天国と地獄
《ネタバレ》 学生時分に観ているものの内容を全て忘れています。会社権力争いものではなく営利目的未成年者略取ものだったとは。毛色が変わっているのが攫われたのが運転手の子だった点。葛藤の末に身代金3000万円(昭和38年時の!)を払い、無事だったしんいちに全速力で駆け寄り抱きしめる後姿は私も泣けてしまう。竹内にたどり着くまでの警察ワンチームの使命感溢れる理詰めな捜査模様は鑑賞歴中最上で頭が下がる思い。なので、監督の主張であったとしてもその後身柄確保に至るまでのやり口に無理筋を感じるところ。ラストの面会は圧巻。どん底に落ちても前を向く権藤と拗ねるだけの竹内のそもそも器の違いをまざまざと見せつける二人の名演が忘れ難い。 [DVD(邦画)] 7点(2020-06-11 01:52:40)(良:1票) |
1232. 大帝国行進曲
《ネタバレ》 1899年大晦日から1932年大晦日迄の英国上流階級マリヨット一家の歩み。ラストの老夫婦に、監督とリアルタイムで観た観客の平和への願いを感じ取る。1933年1月にヒトラーが首相になった事に歴史の無情を思います。無情と言うと長男最期の演出が忘れられないものとなるでしょう。オスカー作品賞も納得の良作です。 [DVD(字幕)] 7点(2020-06-08 15:23:01) |
1233. シンプル・シモン
《ネタバレ》 アスペルガー症候群で四角四面なシモンに極々ナチュラルに接するイェニファーに心洗われるものがありました。愛情に計算や完璧は無い事をおぼろげながら感じ取ってゆくラストシーンが微笑ましい。ステラン・スカルスガルドの4男だという(長男・次男・五男も俳優だそう、驚驚驚驚)ビル・スカルスガルドの好演が印象的。フィンランド同様にスウェーデンインテリアの色彩感覚も見惚れます。レンタル理由が思い出せない本作は大当たりの秀作。 [DVD(字幕)] 8点(2020-06-08 09:08:51) |
1234. メル・ブルックス/逆転人生
「金は必要だが重要ではない」がテーマの落語人情噺のような作品。血を流すショベルカーを筆頭に笑いどころ満載の中に現在アメリカのコロナ禍での格差模様が思い浮かぶシーンに、メル・ブルックスのマルチな才能が見てとれます。味わいある結末にも好感。生理的に汚い描写が度々出てきた点が惜しいところです(-2点) [DVD(字幕)] 7点(2020-06-07 01:26:30) |
1235. バルジ大作戦
初見。ヘンリー・フォンダは想定内としても、お目当てダナ・アンドリュース、ロバート・ライアンまでがモッサリして平板な人物像であるのにガッカリもいいところ。この戦闘史実に無知な私でも雪景色の直後のシーンに雪が残っていないのに???。昼と夜が突然入れ替わる某作品を思い出してしまう。ヘスラー大佐が居なかったらリタイア確実。この戦争マニアの軍人魂にもうメロメロ。私のアニメ界のヒーローの一人デスラー総統が重なる絶品ロバート・ショウに点数の全てを。 [DVD(字幕)] 8点(2020-06-05 02:07:49) |
1236. ファイティング・ダディ 怒りの除雪車
予備知識無し。除雪車が人間を襲うホラーものかと思いきや、嬉しい的外れ。冒頭のステラン・スカルスガルドに「ラッキー」幻想的な北欧の光景(+1点)に「あぁ、行ってみたい!」魅入ります。無骨なオヤジの復讐譚は伯爵とセルビア人グループボスとの三つ巴の闘いとなり画面に釘付け。血生臭い描写での死の後の十字架がクールで印象深く、描写省略での十字架もナイスな演出。セルビア人ボスの得も言われぬ重厚感に「この人誰なんだろう」ず~っと気になっていた答をエンディングで知り「ブルーノ・ガンツ! う~ん 確かに」(+1点)出演シーンから観直し。 リーアム・ニーソン版があるそうで、勿論観ません。 [DVD(字幕)] 9点(2020-06-04 02:53:00)(良:1票) |
1237. サマー・ストック
ジュディ・ガーランド、ジーン・ケリー共演。ストーリーがしっかりしていて展開に惹き込まれます。歌とダンスは「踊る海賊」より僅かに劣るものの、溌剌とした姿はやはり魅入ります。オープニングの彼女の激太りは具合が悪かったのでしょう。ティーンエイジャーの頃から撮影の為にと、興奮剤、睡眠薬、アンフェタミンと薬漬けにして素行不良をもって本作で彼女を使い捨てたMGMに怒りが。大事に育てて欲しかった。Get Happy のような絶品パフォーマンスがもっと沢山観れただろうに。 [DVD(字幕)] 7点(2020-06-04 02:13:36) |
1238. 砦の29人
アパッチ対騎兵隊ものの異色作。アパッチの妻を殺されたジェームズ・ガーナー、アパッチにさらわれ酋長の息子の子を産んだビビ・アンデショーンと彼女の夫デニス・ウィーバー、準主役扱いの元伍長シドニー・ポワチエ。奥が深そうでさにあらずといった脚本で、結局のところは何時もながらの描写での残忍なアパッチとの対決模様がメインの物足りない作品。大昔に観て殆ど覚えていない「ソルジャー・ブルー」を観たくなりました。 [DVD(字幕)] 6点(2020-05-31 18:39:46) |
1239. 14の夜
タカシ達の体操服姿に自身14の頃を思い返すと、アバに、ジャック・ニコルソンに、ブッチャー・シーク VS ザ・ファンクスに、山崎豊子小説に、卓球に夢中でしたね。社会の先生に憧れを抱いたものの性的な感覚は起きませんでした。息子が14の頃は反抗期の最中でまともな会話が出来ず、当時どういう思いだったのか聞いてみたいと思わされました。淡々~~とした佳作。 [DVD(邦画)] 5点(2020-05-31 11:30:18) |
1240. グレイティスト
《ネタバレ》 ベネットがローズの申し出を聞かずに路肩に寄せなかった事を母親が最後まで知らない事にモヤモヤが募る。息子が今際の際に自分ではなくローズを想っていた事を知り憑き物が落ちた母親。目を見開いたスーザン・サランドンの貫禄過多で暑苦しい演技に辟易していたのが、このシーンでのマイケル・シャノンとの対峙に流石オスカー女優と感心しきり。お目当てピアース・ブロスナンは抑えめの演技ながら、耐えに耐えた思いを吐き出す姿はホロリとさせられる名場面。予定調和な結末ながら過程に見入った良作。 [DVD(字幕)] 7点(2020-05-30 21:39:26) |