1261. 菊次郎の夏
《ネタバレ》 まず、母子が離れて暮らしている理由に疑問を覚えずサポートしようという行為が浅はかです。多かれ少なかれ訳アリなはず。次に、いくら金が無いといっても浅草から豊橋に行くことに苦労しすぎ。ヒッチハイクでもいいけど、必ず寂しいところで降ろされてるのが理解できなかった。その2点でロードムービーの必然に違和感を覚えるともうダメだった。加えて言うなら、一般人に「ばかやろう」って言いすぎ。周囲に理不尽な悪意を撒き散らす描写に気分が悪くなりました。自分の生い立ちを随行する子供に重ねてからはいきなり優しくなりますが、それも自分勝手です。大きな子供の夏休み。これが青春映画だったら主人公が成長するんでしょうが、この菊次郎は変わらないですよ。なんだか認めたくないものがたくさん詰まっている映画でした。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2010-06-03 10:20:46) |
1262. オーストラリア(2008)
《ネタバレ》 前半は美しい自然と子供との交流、愛情の醸成。後半は戦争。その構成は「サウンド・オブ・ミュージック」と同じだったりするんだけど、ビミョーな見応えの無さ。もちろん、こちらはミュージカルでは無いのだが…。オーストラリアの近代は、白豪主義と云われる差別政策を外して語ることは出来ない。それは描写されているけれど、突っ込みのユルさが映画全体のユルさに直結している印象ですね。一見、スケールが大きなお話と錯覚するが、時間的には太平洋戦争開戦前後のピンポイントの物語なので、時の流れに大河的な重みが無い。すると差別描写もピンポイントのイジメくらいにしか見えない。さらに、主演の二人が最初っから差別的な態度を取らない人道的な人物で、彼らと主義者を対比させるものだから、白豪主義自体が政策的差別と云うより個々人の性悪な個性のように映る。それは観易いけど、歴史的な見地を放棄していることも含めて、物分りが良すぎて深みが出て来ない。別に「ルーツ」のような悲壮な差別ものが観たいということじゃないけど、この映画のテーマを挙げるならやはり白豪主義と「盗まれた世代」な訳で、3時間近く付き合うのなら、もう少し深く響くものが欲しかった。もうひとつ。ハリウッドへ進出した監督とトップで活躍する男女優が故国名をタイトルに掲げた作品として、作る側にはそれなりの責任があるような気がするんだけど、この程度で良いのか? 誰かが「NIPPON」を作ってこんな出来映えだったら日本人の私は怒ります。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2010-06-02 20:33:45) |
1263. 續・姿三四郎
《ネタバレ》 なんだか、こじんまりとした映画でした。空手家兄弟との闘いに決着を付けたのは三四郎のお粥でした。あの兄弟、粗食が祟りました。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2010-06-02 15:59:07) |
1264. GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊
原作も一度読んだだけではお話に付いていけず、再読して世界観の拡がりとともに読み応えが何倍にも増した印象だった。それだけ奥深い。 この映画はさらにアニメらしいリアリティ演出で味付けされ、映像として多くの見どころを持った作品に昇華されている。 草薙素子の瞬きしない瞳に、GHOST=魂の居場所と在り方を模索しているテーマが浮き彫りにされていたと思う。 [ビデオ(邦画)] 8点(2010-05-31 21:25:46) |
1265. ドラゴン怒りの鉄拳
《ネタバレ》 小学年の時に、入替えなしの劇場で3回続けて見た。ものすごく久しぶりに見たけど、アクション自体は全く色褪せていない。昔は袴を前後逆に付けた日本人がとても気になったけど、ストーリーから目をそむけると気にならなかった。間抜けな表情で電話線に細工するブルース・リーは気に入ってる。 [映画館(字幕)] 6点(2010-05-31 21:22:48) |
1266. ジョーズ3
記念すべき初3D映画でした。アバターの30年近く前、技術的には可能だったことには驚く。ストーリーはほとんど覚えていないが、サメに食いちぎられた腕だか脚だかが海中に漂いながら目の前に浮かんでいたことは覚えている。遊園地のアトラクション的なキワモノ扱い。3Dメガネを付けたり外したりしながら、立体的に見えるカットの素のスクリーンはどんな絵になっているのかを確かめたりしていた。そんなことをしていたからか、乗物酔いのように気分が悪くなったことも良く覚えている。 [映画館(字幕)] 1点(2010-05-31 21:17:34) |
1267. ゼブラーマン
《ネタバレ》 内容はバカバカしいのですが、かなり真面目な作品に思えました。中年男が部屋に籠もってコソコソとコスプレ衣装を縫う風景は情けないんだけど、「あの自販機まで行ってみようかな」って台詞が情けなさもバカバカしさも帳消しにするくらい響きました。あれがこの映画の全てですね。考えてみれば、その後の展開も自販機まで辿り着く道程の延長上にあったように思える。人生に閉塞した中年の逆転劇と云うような大げさなものでは無く、成り行きのヒーローです。本作を観たからって物理法則に反することを信じようとは思いません。でも、コスプレでも何でも、自分の好きなことを大切にしている姿勢が心地良かったです。ゼブラナースの色香にはときめきましたね。出番が少なかったことにだけは正式に抗議します。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2010-05-31 18:46:48) |
1268. 石の微笑
《ネタバレ》 似たようなタイトルの映画がありましたな。そっちは、とびっきりと言っても良いイイ女に関わった男の転落話。こちらも女に関わって被る受難という意味では類似している。もちろん、邦題もそれを意識して付けている。決定的に違うところはその女である。ハッキリ言って美人じゃない。醜くは無いけど、ブ○という蔑称を使う男もいるくらいのレベルだろう。だけど、形容しがたい魅力がある。言ってることがエキセントリックで、狂気じみていて、変な地下室に住んでいて、いつも不機嫌な顔で、でも肉感だけはタップリとある。なんだか、気になる女という意味では、すごく説得力のあるフェロモンを発散しているのである。理屈では説明できない不可思議な女の魅力。この映画の狙いって、それを見せることだけじゃないかなぁ。でもそれには成功してますよ。人によっては、病み付きになる。ドリアンみたいなものでしょう。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2010-05-30 13:15:21) |
1269. ディープ・ブルー(2003)
おっ、と思う映像はたくさんありました。びっくり、と言った方がいいかも。でも、海中ってなんだか怖い世界だ。息が出来ないから? サメがいるから? 底が見えないから? あのクラゲも美しいというより怖かった。もし自分が海に落っこちてあんなにクラゲがいたら、それだけで心臓マヒ。 [DVD(字幕)] 4点(2010-05-29 10:09:58) |
1270. サンバーン
高校生だったかなぁ、民放の洋画番組で観ました。ストーリーはサスペンスものでしたが、ほとんど覚えてません。この映画はファラ・フォーセット主演の映画を作ることだけが目的で、ストーリーは何でもよいという作りでしたよ。ご多分に漏れず「チャーリーズ・エンジェル」の最初の3人組で一番人気があったファラ・フォーセットは大好きでした。【みんてん】さんと同じくシェリル・ラッドも良かったですね。その二人に較べると、最近作られた映画の「チャーリーズ・エンジェル」のキャストはかなり不満です。自分と同年代にはそんな人が多いんじゃないかな。そのファラ・フォーセットも映画では鳴かず飛ばずでした。TVで映えるキャラクターだったのでしょう。ちなみに、自分が観た民放の洋画番組の案内役を高島忠夫さんがやってました。彼のコメントをかなり明確に覚えています。「ファラ・フォーセット。いい女ですねぇ~。ちょっと“うけくち”なところがいいですねぇ~…」と、上あごより、下あごがやや前に出ている顔の骨格形状を褒めていました。少年だった私は「いい女はうけくち」と心に刻みました。【追記 09/07/07】先日、癌でお亡くなりになりました。マイケル・ジャクソンと同じ日だったので、その影に隠れたような印象でした。合掌。 [地上波(吹替)] 5点(2010-05-29 10:07:23) |
1271. スター・ウォーズ
公開時は中学生でした。その時の感想は、正直どうってことなかったです。米国での大ヒットをメディアが大々的に取り上げ、騒ぎ過ぎている印象でした。オープニングだけが凝っているキワモノ的なイメージもあった。ただ、ところどころに何?と云う引っ掛かりもあった。ベイダーとオビ・ワンの対決シーンでベイダーが「I've been waiting for you,obi-wan(この時を待っていたぞ、オビ・ワン)」などと30年後のエピソードⅢで初めて真意が分かるようなことを言ったり、ジャバとか皇帝って奴がいるらしいけど姿を現さなかったり、主人公にやられるのがセオリーと思えるベイダーが生き残ったり…。これらは、後のエピソードで繋がったときに初めて意味を成しました。そして、その繋がりこそが、この映画の楽しみ方のように後々は思うようなりました。なので、自分の中でこのシリーズがブレークしたのは「帝国の逆襲」からです。 ちなみに自分はこの作品をSFとは思いません。どこにも、サイエンスは無いですよ。これはファンタジーというジャンルの映画だと思います。 以下は余談の思い出話。大学時代に高名な写真家のO氏(故人)と映画の話をする機会があった。1980年代の前半のこと。「お好きな映画は何ですか?」「スター・ウォーズ」「(意外…)どこが良かったんですか?」「砂漠にいる奴のキャタピラーが付いたランドクルーザーの汚れ具合」「…細かいところを観てらっしゃるんですね」「写真家ですから」「!」。この会話は自分には結構衝撃的で「表現」について考える契機を与えてくれました。 [映画館(字幕)] 6点(2010-05-29 10:04:11)(良:1票) |
1272. 死刑台のエレベーター(1958)
初めて観たときは良く出来たサスペンスだと思った。その後JAZZを聴き込んだ時期があって、今回はマイルスの演奏への興味で観たんだけど、前回の観賞で抱いていたサスペンスとしての秀作ぶりはなりを潜めてしまったことにびっくり。この25年間にサスペンスのレベルが上がったのか、複雑などんでん返しを当たり前のように観すぎたのか、とても粗が目立ちましたね。でも、当初の目的だったマイルスのトランペットには聞き入ってしまった。か細いけど説得力のある音色がモノクロ画面の中の薄幸そうなジャンヌ・モローに絶妙にシンクロする。ラッシュを観ながらの即興演奏らしい。さすが帝王と呼ばれた人だと思います。 [試写会(字幕)] 5点(2010-05-29 09:50:48) |
1273. 戦場にかける橋
《ネタバレ》 第一ラウンドは士官が労役に就くかどうかで、これはニコルスンの圧勝だった。捕虜になりながらも、自分のプライドと信念を貫いた。 そこで止めておけば良かったのに、自分の勝利に酔って調子に乗り過ぎた。架橋に積極的に取り組むことで兵士の統制だとか自覚を促すだとか、色々とお題目を並べていたが、日本軍に対して自分たちの民族の優位性を誇示したがっている意図がありありだった。しかし、破壊工作に現れたシアーズと視線を合わせた数秒間に、自分がやったことの意味を一気に反芻する。まだ彼が幸せだったのは、近くに着弾した擲弾筒のおかげで自己嫌悪に至る前に意識を失くしたことだろう。ということで、第二ラウンドは斉藤の勝ちというよりは、ニコルスンの負けでしょう。 そして両司令官の意地の張り合いは、創造と破壊の意味を問いかけるテーマにも直結している。人はモノを創ることに喜びを見い出すように作られている。なのに戦時下では破壊行為が主目的として是認される。今作ではその矛盾が、ラストシーンで浮き彫りにされる。既存のモノが破壊されるのではなく、苦労して作ったモノが完成直後に製作者たちの目の前で破壊される。その虚しさは反戦という題目以上に、人の営みの意義を問いかけている。 [ビデオ(字幕)] 6点(2010-05-29 09:45:39)(良:1票) |
1274. エマニエル夫人
久しぶりに観て笑ってしまった。下半身の締りが悪い人が出ているのはモチロンだけど、オツムの締りも相当悪いですね。でも、当時の話題性だけで考えるとアカデミー作品賞を凌ぐ映画です。あの頃、始って日が浅い日活ロマンポルノなどの和製エッチ系映画とは見せ方やムードが違っていたのは確か。女性には観やすい映画だったようです。最初はテレビで観た記憶があるから、成人指定を受けていなかったってことですね。女性の性の開放とは何か、なんてことに全く関係のない男の子たちも喜ばせていたのでしょう。はい、私は喜んだ部類です。 [地上波(吹替)] 3点(2010-05-29 09:43:32) |
1275. 小さな恋のメロディ
《ネタバレ》 子供の頃に観て以来で、約30年ぶりの観賞。当時からトロッコで走り去るラストシーンに割り切れないものを感じていた。たぶん子供だけの逃亡行為に明るい未来を感じられなかったんだと思う。そんな意味の発言をしたら、周囲から変わり者という目で見られた記憶がある。 「なぜ結婚できないの?」という純粋さに溢れた問いには改めてドキッとさせられたけど、今回はその無邪気な恋心の障害となるパブリックスクールの教師たちがやたら目に付いた。公開当時は日本の学校でも教師が理由無く偉そうにしていた時代。なので、その権威主義的な言動がスルーされてピュアなラブストーリーとして定着した映画だけど、これって体制批判精神がかなり深く入ってると思います。純粋な精神の発現を阻害する権威、という図式。でもストーリー的にはそれをメインにせずに物分りの悪い大人たちという程度に抑えたおかげで、恋愛感情のストレート表現に免疫の無かった日本人に大うけしたんだと思います。 今回、原作&脚本がアラン・パーカーだったことを初めて知りました。 [映画館(字幕)] 6点(2010-05-29 09:42:49) |
1276. カンバセーション・・・盗聴・・・
《ネタバレ》 盗聴を仕事にしているくせに、プライバシーを覗くことにものすごくナーバスなジーン・ハックマン。過去に自分の盗聴が原因で人を傷つけた(死んだ?)ことに苦しんでました。そんなに嫌な仕事なら辞めればと思うんだけどね…。自分は録音するだけと、自らの行為を工程の一部に落として納得しようとしていたけど、最後は自分が盗聴される脅迫観念でおかしくなってしまいました。こんなにストレートにプライバシー概念を扱った映画はないと思う。他人の秘密を覗くことの罪悪感と、それを一人で抱える重みがひしひしと伝わってきました。精神が圧迫されるような閉塞感で、見応えはあったけど何度も観たいと思わない。もう、見事なほど不快な映画です。どうでも良いタレントのくだらないプライベート情報を撒き散らす現代のメディア関係者にじっくり観て欲しい。ハリソン・フォードはこの映画くらい一歩引いたところでワル役をやってるのが一番似合っているかも。ジーン・ハックマンとの録音テープの綱引きは子供のケンカっぽくって笑えます。 [地上波(吹替)] 6点(2010-05-29 09:38:40) |
1277. 007/ドクター・ノオ
記念すべき第一作。現在の007シリーズをはじめとしたスパイアクションものと較べると古いのは当たり前だけど、1962年という制作年代ほどではない。当時は相当先を進んでいたのだと思う。オープニングにボンドが出てこないこと以外は、この作品ですべてのスタイルが出来上がっていることにも感心。それと、あのテーマ音楽がふんだんに使われていて、ボンドがホテルで特に何もしていないときにも使われていて、なんだか嬉しかったぞ。この頃まだ人類は月に到達していない。ボンドの活躍のおかげでこの作品の7年後にアームストロングは月に第一歩を刻んだのである。う~ん、歴史を感じるね。 [地上波(吹替)] 5点(2010-05-29 09:37:51)(良:1票) |
1278. 007/ロシアより愛をこめて
《ネタバレ》 シリーズとしては、この作品が未だにナンバーワンである。久しぶりに観て、やっぱり良く出来ていると思った。ハラハラする緊張感と、コメディっぽい洒落っ気の見事なフュージョン。見応えのある007映画には、魅力的な敵役が不可欠で、マンガっぽかったドクターノオに較べ、肉体的にも精神的にもボンドを凌ぐほどに見えるロバート・ショウの功績は大きい。エンディングまで引っ張ってからボンドと雌雄を決しても良かったと思うけどね…。ダニエラ・ビアンキもメークの野暮ったさを差し引いても、説得力のある美人で画面が潤ってました。スパイ小道具の効果的な使い方も見事。今作以降、派手さを演出するためのご都合主義に犯されて行くこのシリーズの、原点的魅力を放つ傑作。タイトル(邦題含む)も一番カッコいいと思います。 [地上波(吹替)] 8点(2010-05-29 09:37:00)(良:1票) |
1279. 007/ゴールドフィンガー
《ネタバレ》 自分が初めて観た007映画はこれでした。あのアストン・マーチンが「マッハGoGoGo」みたいだ、と興奮したものです。製作年度はこの映画の方が先ですが…。最後はハロルド坂田さんを相手に頑張っていたけど、よくよく考えると、ほとんど捕まったままのボンドの逆転の秘訣は女をたらし込むことだった、と云うのが情けない。ゴールドフィンガーが大物ぶらずに殺す気があれば何度死んでたか分からない。改めて観ると、やたらとそのことが気になった。で、5点しか付けられないんだけど、この映画の主題歌とオープニングの金粉女体映像は素晴らしい。シリーズのオープニングの在り方を決定付けたということでは、意義深い作品でしょう。 [地上波(吹替)] 5点(2010-05-29 09:36:03) |
1280. 007/死ぬのは奴らだ
《ネタバレ》 ショーン・コネリーからロジャー・ムーアへバトンタッチした一作目。そういえば、自宅を見せたり、バーボンをオーダーしたり、リボルバーの拳銃を撃ったりと、違和感があったけど、あれは新味を出そうとしてたんでしょうね。モーターボートのチェイスは見応えありましたが、見どころはそこくらい。悪役が全員黒人というのも気になった。粗野な警察官の描写がイギリス人から見たアメリカ人って感じで、あちらの方々には笑いどころなのでしょう。 [地上波(吹替)] 4点(2010-05-29 09:35:29) |