1261. ロード・オブ・セイラム
《ネタバレ》 かつて忌まわしき魔女裁判が行われた街セイラムで、デスメタルやハードロックを専門に扱うラジオ番組のDJをしているハイジ。そんな彼女の元にある日、差出人不明の謎のレコードが届けられる。その中身は、雑音と大して変わらないとても楽曲とは言いがたい酷い代物だった。だが、興味本位でそのレコードを番組でかけてみたことから、恐ろしい魔女の呪いがハイジとセイラムの街を侵食してゆく――。一部でカルト的人気を誇る?、ロブ・ゾンビ監督が描いたエキセントリック・ホラー・ムービー。あのさぁ、あんまりこんなことは言いたくないんだけどさー、でもやっぱり言わせてください、「クソおもんなかったよ!!!この映画!!!」。それっぽいホラー映像を取り敢えずテキトーに撮って、それを超テキトーに編集して無理やり繋ぎ合わせたような、そこらへんの素人が撮った方がまだ面白いものが出来るんじゃないかというくらい、もはや映画と呼ぶのさえためらわれるほどの酷い代物でありました。こんな監督の独り善がりの自慰行為みたいなもん(何の因果でババアどものきったな~い裸を延々見せられなきゃいかんねん!)を人様に見せといて、かつお金を貰おうなんて、これはもう犯罪行為に等しいっちゅうねん!唯一、良かったと思えるのは、60年代の伝説のアングラバンド、ベルベットアンダーグラウンドの楽曲を久々に聴けたことぐらい。それ以外は、もう見るに堪えない映像と、聞くに堪えない音楽と、観るに堪えないストーリーと、三拍子そろった見事なまでの「ザ・時間の無駄ムービー」でありました。酷過ぎ!!! [DVD(字幕)] 1点(2014-10-07 19:50:07) |
1262. おとなのけんか
《ネタバレ》 とある平日の昼下がり――。平凡な日用雑貨品を扱うお店を営んでいるロングストリート夫妻のマンションに、日夜訴訟や裁判に追われているエリート弁護士カウアン夫妻が訪ねてくる。目的は、お互いの子供同士の些細な喧嘩によって怪我をさせてしまったロングストリート家の息子のことを話し合うため。だが、徹底的に価値観の違うこの夫婦の話し合いは見事なまでに噛み合わない。どころか、お互いの本音と建前が見え隠れする遣り取りは次第にヒートアップしてゆくのだった。さらにはお互い夫と妻への長年溜めに溜め込んだ鬱憤が露わになり、穏やかな話し合いで終わるはずだった会合はどんどんと修羅場へと化してしまう……。エゴとプライドが複雑に交錯するとある二組の夫婦の徐々にエスカレートしていく〝おとなのけんか〟を、実力派役者陣が軽妙に演じたシニカルなホームコメディ。昔から、ロマン・ポランスキーってあんまり好きな監督じゃないんだけど、これまでの彼の作風からがらりと変わったこの作品は、いい感じで肩の力を抜いて撮られたのか最後までけっこう面白く観ることが出来ました。いやー、大人ってほんと面倒臭いね(笑)。プライドだけはやたらと高い世間体第一な妻たちと、自分のことを常に正しいと信じて疑わない横柄な夫たちとのうんざりするような口喧嘩が延々と繰り広げる本作、ここで描かれるのはいい歳になった大人ならば誰しもが経験したことがある普遍的なもの。ここで酒でもかっ喰らって本音をぶちまければどんなにかスカッとするだろうって誰もが一度は願ったであろう願望を、彼らは見事に実行に移してくれます(ケイト・ウィンスレットにいたっては、実際にゲロっちゃうし!笑)。いかにも更年期真っただ中って感じのジョディ・フォスターなんかホント上手い!果たして、ここまでの修羅場を演じたこの4人、明日から無事に元の生活に戻ることが出来るのでしょうか?本音でぶつかり合った結果、案外結束が強まったりしてね。でも、最後にケータイが復活して再び鳴り始めたことでこの面倒臭~い諍いはやっぱりこれから先も続いていくだろうことを暗示して終わります。うん、最後まで徹底的にシニカルな笑いに満ちた作品でありました。ラストに映し出される、仲直りした子供たちや元気に跳ね回るハムスターには心底ホッとさせられたし。ただ、現在遺産相続などで親戚同士が徹底的に揉めに揉めているときなんかは観ないほうがいいかもです。ますます心が病むこと間違いなし(笑)。 [DVD(字幕)] 7点(2014-10-06 10:34:39) |
1263. 永遠の僕たち
《ネタバレ》 両親を事故で亡くしてしまったショックから精神的に不安定となり、学校も辞めて今や見ず知らずの人たちの葬式に勝手に参加することだけが生き甲斐の孤独な青年イーノック。重度の癌を患い余命数ヶ月であることをただ淡々と受け入れ、詩や渡り鳥の絵を描きながら残された日々を静かに過ごす少女アナベル。太平洋戦争中に遂行したカミカゼ特攻によって見事に玉砕し、いまやイーノックにだけ見える幽霊となってしまった日本人青年ヒロシ。社会のどこにも居場所を見つけられないそんな2人と1体の幽霊の、今にも壊れてしまいそうな危うげな日々をリリカルな映像と美しい音楽とで瑞々しく描き出す青春ラブストーリー。昔からこのガス・ヴァン・サントって監督、僕の中では毀誉褒貶がほんと激しくって、これまで駄作から秀作まで本当に色んな作品を撮ってくれる人。でも、この末期癌に苦しむ可憐な少女と鬱屈した日々を過ごす孤独な青年との刹那的な恋というともすれば極めて陳腐になりかねないテーマを、彼お得意のセンス溢れる美麗な映像や若者たちの心の闇に鋭く迫る深い視線等によって、観終わった後も切ない余韻がいつまでも心に残る青春ラブストーリーの逸品へと仕上がっておりました。いやー、けっこう良かったですよ、これ。もうこれでもかってくらいの美男美女が手を繋ぎ肩を組み肌を触れ合わせ何度も唇を重ね、そして誰も居ない夜の山小屋で…キャー!という観てるこっちが腹立ってくるくらいこっ恥ずかしい青春ドラマが延々と続くのだけど、もうここまで徹底的にやられたら反対に潔さすら感じて素直に良かった!俺もこんな青春送りたかったよ、こんにゃろー(笑)。そして、この作品の胆となるのは、やっぱりあの元特攻隊員の幽霊ヒロシの存在でしょうね。本作が、決して単なるベタなラブストーリーにとどまらない普遍性を得ているのは、やはり彼が「人間は死ねばそれで終わりなんかじゃないはず。きっと…」という誰もが願う想いを体現しているからだと思います。賛否両論あるだろうけど、そんな難しい役どころに日本の特攻隊員を持ってきたその発想が凄い!彼が本当に幽霊なのか、それともイーノックの妄想に過ぎないのかを最後までどちらとも取れるように描いたところも深みがあって良かったですね。うん、久し振りに「あぁ、良い映画観たな~、自分」と素直に思える映画に出合うことが出来ました。 [DVD(字幕)] 8点(2014-09-30 19:30:25) |
1264. ブランデッド
《ネタバレ》 資本主義社会がすっかり定着した現代のロシア。様々な情報が溢れ返るモスクワでCMプランナーとして華々しく活躍するミーシャは、ある日、社長の姪っ子である美しい女性アビーと出会う。「俺の姪っ子に絶対手を出すなよ」という社長の忠告も忘れ、彼はすぐ彼女と付き合うことに。仕事場やタクシーの中で、何度も身体や唇を重ね合わせる2人。だが、そのことが社長にばれると、ミーシャは圧倒的な力でもって業界を干されてしまうのだった――。6年後、何もかもを捨て地方で牛と共に質素な生活を送っていたミーシャ。ある日謎の牛の導きによって商品マーケティングの効果を自在に見通す能力を身につけた彼は満を持してモスクワへと帰ってくる。その謎に満ちた能力でもって社会を変え、復讐を果たすために……。世の中の安易な風潮に流されやすい現代人の心理を、グロテスクなCG描写でもって風刺的に描く一風変わったSF作品。なんだけど、いやー、久し振りにこんなにもクソつまらない映画を観ちゃいました。監督が、今までにないような映画を創ってやろうと意気込んでいるのはビシバシ伝わってくるのだけど、残念ながら完全に実力が追いついていません。シリアスなのかコメディタッチなのかどっちつかずの中途半端なストーリーは、基本的な部分がおろそかになっているせいで、最後までさっっっぱり頭に入ってきませんでした。大衆の肥大化した欲望が寄り集まり巨大な怪物となってモスクワの空を駆け巡る肝心のクライマックスも、ただ単に奇をてらっただけの凡庸なものでセンスなんて欠片も感じなかったし。うーん、なんだか監督の独り善がりの自慰行為を無理やり見せられたような、そんなモヤモヤとしたヤな感じの後味だけが残る不愉快な作品でありました。うん、最後にもう一度だけ言わせてください、「クソつまんなかったよ、この映画!」。 [DVD(字幕)] 2点(2014-09-29 12:11:12) |
1265. 4ヶ月、3週と2日
《ネタバレ》 1987年、独裁政権下のルーマニアでは、労働力確保を目的に一切の堕胎手術が法律により禁止されていた。そんな中、望まれない妊娠をした女学生ガピツァ。彼女はその日、仕方なく街のとある産科医に依頼し、非合法の堕胎手術を受けることを決意する。ルームメイトであるオティリアはそんな心身ともに追い詰められていたガピツァのために、「一日だけなら」と手を貸すことに。だが、依存心の強いガピツァの様々な不始末によりオティリアはことごとく振り回される羽目になる。彼氏との約束も反故にされ、ホテルの予約も取り直し、そして足りなかった堕胎費用のためにオティリアは自らの身体まで……。東西冷戦末期、長年の独裁体制の果てにあらゆる面で行き詰っていたルーマニアを舞台に、男たちの身勝手な性欲によって翻弄される若い女性たちのとある一日を冷徹に追ったカンヌ映画祭パルムドール受賞作。うーん、確かにこの監督の言いたいことや描きたいテーマは充分に分かるのだけど、この見れば見るほど気が滅入るような辛気臭いお話をひたすら見せ付けられて、正直僕は途中からもうゲンナリしちゃいました。自分の身体のことなのに終始他人事のようなガピツァもそんな彼女に何故か怒りもせずにひたすら尽くすオティリアも横柄で自己中心的な産科医も、もう出てくる登場人物どいつもこいつもこれっぽっちも魅力がなくてイライラするし、映像だって必ずしも綺麗じゃなく終始薄暗くて見辛かったし、挙句の果てに排泄された血まみれの胎児を画面いっぱいに映し出した日にゃ「もう、ええ加減にせい!」って感じでした。いやー、いかにもカンヌが好きそうな作品でしたね、これ。だからと言って、そんな胸糞悪い思いを観客に抱かせながらもやっぱり観て良かったと思えるほどの芸術的価値がこの作品にあったかと言えば、あくまで個人的意見だけど僕は「否」と言わざるをえなかったです。だって、このラストだと結局は男たちの身勝手さに泣き寝入りしただけのような気がしてならなかったんだもん。愚かな男たちの身勝手さに決然と立ち向かう女性の力強さ、みたいなものを僕は観たかった。5点! [DVD(字幕)] 5点(2014-09-26 20:17:34) |
1266. 横道世之介
《ネタバレ》 あのころ、ほんとおれたちってバカだったよなぁ。ただ若いってだけで、頭の中は女のことばっかり、将来のことなんかこれっぽっちも考えてなかったし。そんなおれたちが、いつの間にか大人になってるんだものな。人生って、どうなるか分からないもんだよ、まったく。そう言えば、あいつ元気にしてんのか――。大学進学のために、長崎から上京してきた横道世之介18歳。見るもの聞くもの何もかも新しい世界で、彼は様々な人たちと出会い、年上の格好良い女性と同い年の女の子の間で揺れ動き、色んな現実を目の当たりにして、本人も知らないうちに少しずつ大人になってゆく…。吉田修一の新たな代表作とも言える青春小説を、穏やかで優しい空気の中に描き出す青春物語。普段、こういういかにもテレビドラマの延長のような邦画ってほとんど観ないのだけど、昔から僕がずっと愛読してきた吉田修一の傑作を映画化したということで今回鑑賞してみました。うん、なかなか原作に忠実に作られ、その数々の美点が巧く映像化されていて素直に良かったと思います。世之介役の彼を初めとする、役者陣の抑えたナチュラルな演技も味わい深かったですね(お馬鹿紙一重の世間知らずのお嬢様・祥子という難しいキャラクターを嫌味たらしくならずにちゃんと演じられるのだろうかとちょっと不安でしたが、祥子役の彼女けっこう頑張ってましたね)。いやー、今は反抗期の娘に説教しているお父さんも、昔はみんなこんな感じでふわふわ生きていたんだよね~。この映画を観ると、そんなあのころの自分が懐かしく思い起こされます。そして、あのころのバカだった自分たちでは想像すらしなかった、現在の大人になった自分や友達たちの生活を思うとまた切なさが込み上げてくる。観終わった後、優しさと切なさが良い余韻となって残る優れた青春映画であったと思います。以下余談。今作の原作者である吉田修一氏が僕は昔から凄く好きで、その代表作はほとんど読んでいます(現代の日本の小説家の中では最高に文章が巧い!と勝手に認定してるぐらい笑)。そんな氏の知的でスタイリッシュな筆致が冴え渡っている原作には、映画では語られなかったエピソードの数々が丁寧に書き込まれているので(映画では登場しなかった倉持の成長した娘もちゃんと出てきて良い台詞を残してくれるんだ、これが)、まだ原作を読んでいない方は是非読んでみることをお薦めしときます。 [DVD(字幕)] 7点(2014-09-23 18:16:34)(良:2票) |
1267. バスケットボール・ダイアリーズ
《ネタバレ》 貧しい母子家庭に育ちながらも名門高校のバスケットボールチームの主力選手として華々しい生活を送る青年ジム。しかし、昔からの大の親友であるボビーが白血病で死んだとき、彼の中の何かが壊れてしまうのだった――。心の空白を埋めるため、ジムは些細なきっかけでヘロインへと手を出してしまう。だがその悪魔の薬は次第に彼とその仲間たちの生活を蝕み始める。プロバスケチームからのオファーもふいになり、高校も当然のように退学、さらには薬のために引ったくりや強盗にまで手を染めてゆく彼ら。それでもジムだけは、自分の心に残る純粋な部分を守ろうとするかのように、その思いの丈を日記に書き連ねてゆくのだった……。詩人でミュージシャンでもあるジム・キャロルの自伝的小説を、若き日のディカプリオ&マーク・ウォールバーグ主演で映画化した青春ドラッグムービー。いやー、取り敢えず2人とも若いっすね~。もうこのころからディカプリオは既に垢抜けてて超カッコいいのだけど、反対にウォールバーグがめっちゃイモっぽかったのが僕的にちょっとツボでした。あんた、どこの童貞中学生やねん(笑)。さて、肝心の内容ですが、「ジム・キャロルって誰だっけ?そう言えば昔、ブランキージェットシティの曲で何度か耳にしたことあるな~」程度の予備知識だけで観たのだけど、うーん、日記体で書かれた原作を映画にしたから仕方ないのかも知れませんが、なんだか最後までずーっと一本調子で進んでいくため、少々退屈という印象が否めない作品でしたね、これ。最後までひたすらディカプリオが出ずっぱりなので、「きゃー、レオ様~(もはや死語?笑)」という甘い声で追っかけてたミーハー女子の方にはウケたかも知れませんが、もうちょっと他の登場人物たちにも焦点を当ててみるとか、ジムの回想シーンを織り込んでみるとか、そんなもっとメリハリの利いた展開にしてくれないと純粋に映画として観るにはちと辛いっす。それに、この「いろいろあったけど最後は無事に立ち直ることが出来たのでした。パチパチ」という薄っぺらいラストにも拍子抜けでした。でもまあ、天才俳優としてその後の躍進を予感させる、若き日のディカプリオの熱演は充分堪能できましたけどね。ヘロイン欲しさに鼻水まみれになりながら母親に罵詈雑言浴びせかけるトコなんか凄くリアルだったし。 [DVD(字幕)] 5点(2014-09-19 21:10:10) |
1268. 風立ちぬ(2013)
《ネタバレ》 国民的〇〇という言葉がある。現代の日本において、たとえば国民的作家といえば村上春樹が挙げられるだろう。あるいは国民的バンドといえばサザンオールスターズ、あるいは国民的アイドルといえばAKB48、国民的プロ野球選手といえばイチロー…、もっとも村上春樹に限ればもちろん愛読者は多いのだけどそれと同じくらいアンチも多いので必ずしも“国民的”とは呼べないかもしれないが。そんななか、国民的アニメ監督といえば、まず間違いなく彼――そう、宮崎駿の名前を誰もがまず真っ先に挙げることだろう。日本という狭い国の枠を飛び越え、いまや世界の巨匠となってしまったそんな宮崎駿監督の事実上の引退作を、子供のころからずっとジブリ作品に慣れ親しんできた僕としては深い感慨と共にたったいま観終えました。うーん、しみじみと胸に来るものがありますね。バブル経済の熱狂とその崩壊、その後に訪れる長い景気低迷と社会の不安定化、911とイラク戦争、景気回復に伴う行き過ぎた拝金主義、そして今回の震災と原発事故…、そんな日本という国の激動の半世紀を共に生きてきた宮崎駿監督がアニメ映画という表現活動を通して最後に辿り着いたであろう「生きねば」というシンプルでありながら力強いメッセージは、彼の遺言として僕の心に深く響きました。ゼロ戦を設計した人も、爆弾を作った人も、体の毒でしかない煙草の原料をずっと育て続けた人も、そしていまや日本という国を内部から壊しかねない危険な原発を造った人たちも、その善し悪しは歴史の審判に委ねるしかないとしても、誰もが真剣に生き自分の仕事に打ち込みこの日本という国の歴史を築きあげてきたという事実を宮崎監督は最後まで優しく肯定的に描き出してゆきます。なのに、いまや日本を含む世界は理不尽で残酷な現実に満ち溢れていて、もしかしたら未来には希望なんてないのかも知れない(最後に二郎が見る夢の中で大量のゼロ戦が瓦礫と化しているのがそれを象徴しています)。巨大な歴史のうねりの中では、ともすれば悪人としてその名を刻まれることにもなるちっぽけな人間たち。それでも誰かを愛し愛されながら必死に生きる人々の姿は無条件に美しい。“国民的アニメ監督”の最後を飾るにふさわしい、慈愛に満ちた良作だと僕は思う。 [DVD(字幕)] 8点(2014-09-14 20:05:02) |
1269. キック・アス ジャスティス・フォーエバー
《ネタバレ》 当時、若干11歳のクロエ・グレース・モレッツちゃんが演じたヒットガールのポップでキュートな可愛さでもって僕のロリコン魂を完全に燃え上がらせてしまった前作から早や数年――。この度、期待に胸と何処かを高鳴らせながら、ようやく続編である今作を鑑賞してみました。いやー、クロエちゃん、すっかり〝女の子〟から〝女〟へと成長してしまいましたね~。仕方のないこととは言え、一抹の寂しさを感じざるをえない僕なのでありました。こういうのを日本的情緒でもって表現すると〝もののあはれ〟と言うのでしょうか(笑)。さて、そんなすっかり成長してしまったヒットガールちゃんなのですが、やっぱり前作でのその強烈な個性でもって観客に絶大なるインパクトを残したことを思えば、さすがに今回はいたって普通のどこにでもいるような正義のヒーローになっちゃいましたね、これ。前作で爆裂していた彼女の魅力って、社会のくだらない常識やモラルなんかを軽々と踏み越えて退屈な大人たちをぼこぼこにする幼き少女という、他を寄せ付けない爽快なまでにぶっ飛んだキャラクター性にあったと思うのだけど、この「女の子として普通におしゃれしたい!恋だってしたい!なのにヒーローにならなきゃいけないなんて…」というあまりにも凡庸な悩みに揺れ動く今回の彼女って、ちょっと常識的に過ぎて魅力が半減しちゃってますって。やっぱりヒットガールちゃんと言えば、危険な放送禁止用語を連発し常にナイフやマグナムを恋人に、ちっぽけな常識やモラルなんかとは無縁の孤高のロリキャラであってほしかった。と、ここまで書いてきて気付いたけれどこの映画の主役って確かキックアスでしたね(笑)。今回も主役であるはずの彼がいったい何をしていたのか、観終わってすぐだというのにほとんど記憶に残ってません。そんなわけで、「キックアス」ってヒットガールちゃんの魅力だけが最高に素晴らしかったのであって、そんな彼女の魅力が半減しちゃえばあとには5点程度の映画しか残らなかったんだなー、ということを再確認させてもらいました。でも、大きくなったとはいえクロエちゃんはこれはこれで可愛かったので+1点っす! [DVD(字幕)] 6点(2014-09-12 18:14:50)(笑:1票) (良:1票) |
1270. アウェイ・フロム・ハー 君を想う
《ネタバレ》 「私たち、もう結婚して44年にもなるのよ。これまで辛いことや苦しいことも一緒に乗り越えてきたんだもの。いまさら30日間くらい、会えなくなるのなんて何でもないわ」――。子供こそ居ないものの、ずっと仲睦ましく暮らしてきた老夫婦グラントとフィオーナ。だがある日、妻フィオーナにアルツハイマーの兆候が現れる。鍋を冷凍庫に保管したり、冷風吹き荒ぶ日に帰り道が分からなくなり路頭に迷ってしまったり……。「これ以上あなたに迷惑をかけたくないの」と施設への入居を希望する妻。その条件は、そこに慣れるための30日間の面会謝絶だった。お互い、結婚してから初めて独りの生活を過ごすことになる夫婦。だが、一ヵ月後、グラントが施設へと訪れるとそこにはすっかり自分のことを忘れてしまった妻の姿があった……。短編の名手と称される、カナダの国民的ノーベル賞作家アリス・マンローの短編小説を基に、女性の繊細な心理を瑞々しく描き出すことにかけては定評のあるサラ・ポーリーが映画化した作品。この全編を覆う上品で静謐な雰囲気と、この監督ならではの暖かな視線でもって照射される一組の老夫婦のリアルな愛と懊悩を決して暗くなりすぎずあくまで軽いタッチで描き出すこのセンスはとっても良かったです!人間っていくら歳を取っても、やっぱり〝男と女〟なんですよね。自分のことをすっかり忘れてしまい同居者の男性を恋人と思い込んでしまった妻に嫉妬心を募らせる夫、深く愛してはいるけれど過去の夫の浮気を今でも許したわけじゃない妻、この夫婦の微妙な心理のすれ違いに次第に諦念を深めてゆくグラントの孤独な姿が深く胸に刺さります。そして、最後に混濁した意識の中で妻が夫に囁く言葉は、甦った夫婦の愛情の発露と取るか、それとも無意識下の妻の夫への復讐と取るのか、いかようにも捉えることが出来る深いものだと思います。うん、女ってやっぱり怖い(笑)。総じて、幾つになっても、もしかしたら裏切られるかもしれないのに、それでも愛さずにはいられない男女の心の機微を繊細に描いた上質の恋愛ドラマであったと思います。うん、なかなかの良品でありました。 [DVD(字幕)] 8点(2014-09-10 09:29:37) |
1271. ペインレス
《ネタバレ》 「この子たちは〝痛み〟というものを感じない。これは未知の病であり、いまのところ治療法もない。周りにとっても自分自身にとっても彼らは極めて危険な存在だ。我々は仕方なく、この子たちを無期限に幽閉することをここに宣言する」――。1931年、スペイン、生まれつき痛みを知らないせいで自らの身体だけではなく、友達の身体にまで火を点けたりするようなそんな危険な子供たちを隔離する閉鎖病棟。母親から引き離された幼い少年ペニグノも病棟の暗い密室で絶望的な日々を過ごしていた。変わって現代のスペイン、医師として多忙な毎日を過ごしていたダビットはある日、自分が末期の白血病を患っていることを知る。唯一の生き残る道である肉親からの骨髄移植を受けるため、秘められた自らのルーツを探し始めた彼だったが、そこにはとある強制収容所で行われていた忌まわしい真実が待ち受けていたのだった……。内戦やファシズム、東西冷戦に翻弄されたスペイン近現代史を背景に、過去と現代を複雑に行き交いながらそんな痛みを感じない子供たちを巡る悲劇を描いたサスペンス・スリラー。冒頭、いきなり10歳くらいの少女がそんな子供たちによって火を点けられ火だるまになって焼死するというショッキングなシーンから始まります。その後、彼らがお互いの爪を笑いながら剥ぎ合ったり、自らの腕の肉を食べたりするというかなりグロいシーンが随処に散見されるので、観ていて決して気持ちの良い映画ではなかったですね(当たり前か!笑)。そういうグロ痛い描写を敢えて描きながらも、それでもやっぱり観て良かったと思えるほどの内容がこの作品にあったかと言えば、自分は残念ながら否と言わざるをえなかったです。過去と現代を行き来するこの複雑なストーリーはあまりにも淡々と進むうえ、なかなか真相も見えてこず、途中で眠気を堪えるのがほんと大変でした。それに〝痛みを感じない子供たち〟という魅力的な設定もいまいち巧く活かしきれていなかったような。挙句、ここまで大風呂敷を拡げたお話を、「え、これで終わり?」と思わず大声で文句を言いたくなるような、かなり無理やりなオチで終わられた日にゃ、もう苦笑するしかなかったです。最近、サスペンスやホラーの分野で秀作を多く生み出しているスペインの作品ということで、けっこう期待してただけに残念! [DVD(字幕)] 4点(2014-09-07 21:16:04) |
1272. アナと雪の女王
《ネタバレ》 映画館では記録的大ヒット、「ありの~ままで~♪」と歌うその主題歌はいたるところで流され、テレビや雑誌でも連日のように取り上げられるという、ほとんど社会現象と言っても過言でないほど話題となった本作。過去にも「タイタニック」や「千と千尋の神隠し」「アバター」といった同じように社会現象となった作品はありましたが、こういう普段積極的に映画を観ない人たちをも巻き込んで話題となるような作品が何年か振りに登場してくれたことは、一映画ファンとしては素直に嬉しい限りです。やっぱりこういう超話題作が何年かに一本出てきてくれないと寂しいですからね。それだけでも本作は充分評価に値すると思います。うん、グッジョブ、ディズニー!さて、同じくディズニーの「塔の上のラプンツェル」がけっこう好きだった自分としてはかなり期待して今回鑑賞。うーん、ちょっと期待が高すぎたのかなんだか普通の出来でしたね、これ。「もう、そうやっていっつも私を子供扱いしてガミガミガミガミ!私はもっと外の世界で色んなことを体験したいの。お母さんなんか大嫌い!」という娘の側の視線でもって製作されたラプンツェルと違い、今作の「今日会ったばかりのような、ほとんど知らない男の人に簡単に心を許してはいけません!もっと自分を大事になさい!あと、お姉ちゃんとも仲良くね!」というお母さん側の倫理観に貫かれた、妙に説教臭いこのストーリーはあまり好きにはなれませんでした。確かに、美麗な映像や楽曲のクオリティの高さは認めざるを得ないけれど(あの有名な曲を歌いながら、エルサが氷の城を創り上げてゆくシーンの息を呑むような美しさはやっぱり凄かった!)、個人的に僕は「塔の上のラプンツェル」の倫理観に捉われない自由奔放な主人公のほうが好きですね。まあそれはそれとして、こういうお祭り映画が何年かに一本でいいので登場し今回のように映画界全体を盛り上げてくれることを、一映画ファンとしてこれから先も期待して待っています。というわけで最後にもう一度。うん、グッジョブ、ディズニー! [DVD(字幕)] 6点(2014-09-06 08:42:59) |
1273. エンター・ザ・ボイド
《ネタバレ》 俺の名前はオスカー、大きな声じゃ言えないが東京でヤクの売人をしてる。狭っくるしいファッキンアパートで可愛い妹と同居中だ。言っとくが俺は決してジャンキーじゃないぜ。だが、今夜は運が悪かった。友達にLSDを渡そうと〝ボイド(無)〟って名のバーへと出向いたら、そこに日本の警察が踏み込んで来やがった。ファッキンジャップ!!急いでトイレへと逃げ込んだものの、奴ら、俺がちょっと凄んだだけでいきなり銃を撃ちやがった。俺は糞汚いトイレで糞まみれになって死んじまったのさ――。猥雑な熱気が濃厚に漂う夜の東京を舞台に、フランスの鬼才ギャスパー・ノエが新たに挑んだのは、そんなセックスとドラッグにまみれた一人の青年の精神世界を疾走感溢れるサイケデリックな映像と音楽とでエネルギッシュに描き切ったトリップムービーでした。確かに、最後まで延々と続く「これって、どうやって撮ったんだろー」って感じのひたすらカッコ良い映像の数々には素直に圧倒されました。POVよろしく、とある一人のジャンキーの主観目線で描かれたトリップ感満載の冒頭から、射殺されて幽体離脱し魂だけの存在になってしまった彼が彷徨うことになる東京の猥雑な夜の風景、そしてそこに走馬灯のように甦る決して幸せだったとは言えないこれまでの彼の人生……、モチーフとなるチベット仏教の輪廻転生思想と有機的に絡み合い、唯一無二の映像世界を構築しているところは確かに評価に値すると思います。ただね、この監督の作品って毎回そうなんだけど、良くも悪くも映像だけなんだよね~。観終わって、冷静に考えてみたらけっこう単純で浅~いストーリーだったなぁってすぐに実感しちゃうトコが玉に瑕(笑)。それに時間がちょっと長いかなってところも若干気になりました。90分くらいでサクッと纏めてくれた方がより切れ味鋭い作品になったような。とはいえ、昨今のぬる~いエンタメ映画ばかり製作しているハリウッドや日本映画界にガツンと喝を入れるような刺激に満ちた映像の数々は充分堪能させてもらいました。最後までテンションの衰えない、実際にLSDでトリップしたような気分にさせてくれるこの浮遊感、ほんとサイコーっす!だからって、ドラッグに手を出しちゃ駄目だぜ、みんな。 [DVD(字幕)] 6点(2014-09-04 07:56:52) |
1274. ラストタンゴ・イン・パリ
《ネタバレ》 ここでは名前は必要ない。君の名前なんか知りたくもない。どこに住み、どこから来るかも何ひとつ知りたくない。君も俺もここでは名なしだ。外の世界のことは全て忘れてこの部屋だけで肉体を重ね合おう――。長年の不倫の末に妻に自殺され、絶望の淵に沈み込んでいたポールは、ある日、とある無人のアパルトマンで可憐な若い女性ジャンヌを衝動的に犯してしまう。ところが何ごともなかったかのように別れる2人。数日後、またもやその部屋を訪れた2人は、お互いの身分を隠し、まるで生きている実感を得ようとでもするようにただひたすら性愛の海に溺れてゆくのだった…。若き日のベルトルッチがメガホンを取り、その大胆な性描写で内外にセンセーションを巻き起こした、ある一組の男女の刹那的な交流を濃密に描き出した文藝作品。ベルトルッチって昔からけっこう好きな監督の1人で、彼がその名を広く知られることになるきっかけとなった今作にも、確かにその気品に満ちた上品で美しい映像や音楽の数々、永遠に分かり合えない男女の心の機微に鋭く迫った深い視線等、後に開花する彼の才能の萌芽が随処に感じられて素直に良かったとは思うのですが、うーん、なんだろう、僕はそこまで心に響くものを感じませんでした。たぶん理由を考えてみると、それは主人公のこの男女にこれっぽっちも魅力を感じなかったからだろうと思う。主人公が街で見かけた若くて可愛い女の子をレイプしたら彼女が快感に目覚めちゃって婚約者が居るにもかかわらずその肉体とテクにオチちゃったって…。あんた、そんなエロ漫画じゃないんだから(笑)。ちょっと男の妄想が酷すぎますって、これ。それに、タイトルでもある最後のタンゴ大会に酔って無理やり乱入しちゃう2人のくだりも、いかにも傍迷惑な酔っ払いって感じで見ていてちょっぴり不愉快でした。とはいえ、この全編に漂う、いかにもベルトルッチらしい気品と情熱が絶妙なバランス感覚で同居しあう高尚な雰囲気は素直に良かったですけれど。要は、脚本がマズかったということなのでしょうね。あと、どうでもいいことなのですが、主演女優の方のアンダーヘアがアホみたいに濃かったのが鮮烈に印象に残ってしまいました。ウニが貼り付いているのかって思ったぞ(笑)。 [DVD(字幕)] 5点(2014-08-24 12:23:36)(笑:1票) |
1275. マリーゴールド・ホテルで会いましょう
《ネタバレ》 マリーゴールドホテルにようこそ。英国式の伝統建築で建てられたここでは、インドでの優雅で洗練されたバカンスを約束します――。亡くなった夫の借金を返すため家を売ったイヴリン、子供のころの親友に会って謝罪したいグレアム、長年の夫婦生活の末に酷い倦怠期を迎えているダグラスとジーン、足を骨折し手術を受けようとしている酷い人種差別主義者ミュリエル、生涯現役を自任しパートナー探しに余念がないノーマン、息子夫婦と上手くいかず家を飛び出してきたマッジ……。人生の終盤を迎えインドの郊外に建てられたという豪華ホテルへとやって来た彼ら。だが、そこはそんな魅力的な写真とは真逆の寂れたホテルだった。「広告と全然違う。こんなの、詐欺だわ!」当然のようにそう抗議するものの、支配人である若いインド人に強引に説得され仕方なくチェックインする彼ら。そんな薄汚れたホテルでいろいろと不満を覚えながらも、みんなで共同生活を送るうちに彼らは次第に第二の人生を謳歌していく……。初老の域に差し掛かり、自分のこれまでの人生を見つめ直すことになる様々な人々の生活を、洗練された美しい映像と音楽で瑞々しく描き出すハートウォーミングなコメディ作品。ここ最近、ハリウッドでは初老の人たちの第二の青春?ブームが続いてますね。「恋におちたシィクスピア」で有名なジョン・マッデン監督が新たに挑んだのも、そんな若いエネルギーに満ちたインド社会に触れ再び生きる活力を得ていく初老の男女を軽妙なタッチで描いたヒューマンドラマでした。個性豊かなキャラクターたちが繰り広げる終始ほのぼのとしたお話はなかなか楽しい。ただ、ちょっと軽すぎますかね、これ。あくまで個人的な好みなのだけど、こういう登場人物誰もがみんな最後はちゃんと幸せになって終わる薄味作品ってあまり好きではありません。確かに、映画としてよく出来ているとは思うのですが、「やっぱり人生って幾つになっても素晴らしい!」というこの作品のテーマはちょっと凡庸に過ぎる。理不尽で残酷な現実に翻弄され人間として壊れてしまった人(インドのスラム街にはそんな人がたくさん居るはずです)なんかを、その片鱗でもいいのでもう少し直視する視線があればより物語に深みが増したと思うのに。それにこの全編に漂う、いかにも英国風のお上品な雰囲気にもいまいち馴染めませんでした。これはもう好みの問題なので致し方ない。 [DVD(字幕)] 5点(2014-08-22 12:08:20) |
1276. 許されざる者(1992)
《ネタバレ》 現代ハリウッドの歴史と共に生きてきた、もはや生ける伝説クリント・イーストウッド監督。その代表作と呼ばれるものはだいたい観てきたし、その何作かは僕の感性に少なからざる影響を残してきたのだけど、この数々の賞に輝く彼の代表作だけはずっと未見のままでした。理由は単純、そもそも僕が西部劇が苦手だから……。でも、そんな個人的理由だけでもしかしたら大傑作を未鑑賞のまま一生を終えるかもしれない(大袈裟?笑)という懸念を払拭するため、この度鑑賞。いやー、さすがイーストウッド、シブいですね~。まだ俳優として脂の乗り切っていたころの彼が演じる主人公は、荒野に建てられた一軒の寂れた小屋で子供と共に平凡に暮らす初老の男ウィリアム・マニー。しかし、彼の元を一人の若い賞金稼ぎが訪ねてきたことから、マニーの隠された過去が明らかとなる。彼はかつて無法の限りを尽くした伝説のガンマンだったのだ。そんな今や落ちぶれてしまった老元ガンマンの過去を回想形式で描くのかと思いきや、そこには一切触れず、あくまで金のために再び銃を手に取り賞金の懸かった悪辣なカウボーイを殺すために荒野をゆく彼の姿を淡々と追った、シンプルでありながら深いストーリーは見応え充分でした。賞金首である女の顔を切り刻んだカウボーイよりも、強大な権力欲を糧に街を支配する極悪非道な保安官を最大の悪役に設定したところもお話に奥行きが拡がり良かったです。権力維持に関しては惜しみない情熱を注ぐ保安官、愛する妻の献身的な尽力により立ち直った老ガンマン、人を殺すことを単純に格好良いと思う血気盛んな若者、金のことしか頭にない娼館の経営者、そして男の暴力に怯え娼婦として生きざるをえない女たち……。それぞれに許されざる者がいて、誰もが単純に正義でも悪でもないという、そんな登場人物たちの深い人物造形はさすがイーストウッド。人は誰しも自分本位なエゴを抱え、その感情のぶつかり合いの果てに様々な悲劇が繰り返されるという、現代社会にも通じる今作のテーマは、それまでの勧善懲悪の娯楽西部劇への彼なりのある種の総括ともとれる。やっぱり僕の個人的に苦手なジャンルである西部劇ということで彼の数々の名作群の中では若干落ちるとはいえ、素直に観てよかったと思える良作と言っていい。 [DVD(字幕)] 8点(2014-08-20 10:38:38) |
1277. 17歳のエンディングノート
《ネタバレ》 末期の白血病を患う17歳の少女テッサ。懸命な治療の甲斐も空しく、彼女はとうとう主治医から余命数ヶ月であることを告げられるのだった。深い哀しみの底に沈む彼女だったが、それでもなんとか前向きに生きようと死ぬ前にしたいことのリストを作る。「無免許だけど車の運転」「いけないことだけど万引きしてみたい!」「なんとかして空を飛ぶ」「とことん酒を飲んで酔っ払う」「ドラッグだってやっちゃう!」「そして誰とでもいいからセックスをする」――。大の親友と共にそんな残された日々を刹那的に過ごすテッサだったが、ある日、障害のある母親と一緒と暮らす青年アダムと出逢う。純朴で心優しい彼に次第に惹かれてゆくテッサ。しかし無慈悲にも彼女の病はどんどんと悪化の一途を辿ってゆく……。過酷な運命に翻弄される17歳の少女の葛藤と青春、そして切ない恋心を瑞々しく描き出す青春ラブストーリー。最初こそ、そんな彼女のいかにも自己憐憫にまみれた卑屈っぷりにけっこうイライラさせられたりもしたのだけど(テッサが友達と笑いながら万引きするシーンはいくらなんでも不愉快千万!)、それでもアダムと出逢ってからのテッサが様々な葛藤を抱えながらも少しずつ心を開いてゆく繊細な心理を詩的で美しい映像と音楽で描く後半部分はけっこう良かったですね。もうすっかり成長してしまったダコタ・ファニングちゃんが、難病に苦しむ可憐な少女を頑張って演じていて、そこも素直に好感持てました。ただね~、さすがにちょっとベタ過ぎじゃないっすか、これ?実話を元にしたかどうか知りませんけど、このいかにも「不幸な自分に酔いたい若い女の子たちの願望に応えてあげました」って感じの超ベタベタなストーリーには、もうすっかりおじさんとなってしまった僕としては観ていてちょっぴり(いや、かなり?笑)気恥ずかしくなっちゃいました。もう少し大人目線なシーンがあっても良かったように思います。よくよく考えたらけっこう悲惨なお話なのにあくまでポップで明るい雰囲気を最後まで維持した、この監督のセンスはなかなか良かっただけに惜しい作品でありました。 [DVD(字幕)] 5点(2014-08-19 00:54:00) |
1278. コロニー5
《ネタバレ》 ここは雪と氷に閉ざされた絶望の世界。もはや太陽の暖かさすら忘れてしまった。俺たちは地下に建造したコロニーで、風邪をひくことにすら怯えながら暮らしているのさ――。地球温暖化を阻止するために建造した、地球規模の気象調節タワーの暴走によって、突如として氷河期を迎えてしまった未来の地球。地下コロニーでひたすら終焉を待つかのような生活を強いられているコロニー7の通信機に、突如SOS信号が舞い込んでくる。発進元はここからそう遠くない場所に建造されたコロニー5。原因を調査するために選抜された、青年サムを中心とする3人のメンバーは、強風吹き荒ぶ雪原へと繰り出してゆく。だが、その〝コロニー5〟には、恐ろしい者どもが闇に紛れ待ち構えていたのだった……。そんな、いかにもなB級設定に90分という適度な尺、そして終始寒そうな雪雪雪描写が続くだろうストーリーに、これは超蒸暑~い真夏の熱帯夜にビールと枝豆片手に観るには最適の映画なんじゃないかと思い、この度ツタヤでレンタルしてきました。なんですが、うーん、ちょっと展開がたる過ぎますね、これ。肝心のコロニー5に辿り着くまで30分以上かかったうえに、物語の最大の見せ場となるあの凶悪な敵の皆さんが登場するのにさらに20分経ってから(合計50分!)。普通のエンタメ映画なら短いカットをさくさく繋いで、恐らく15分程度でそこまで到達しただろうに、今作のこの間延び具合といったらかったる過ぎて終始睡魔が……。それに、主人公サムの幼き日のトラウマエピソードだとか風邪をひいたらそく死か追放というコロニーの変な規則だとか無駄としか思えないエピソードも多過ぎます!ここは潔く、人喰い野郎たちとサムたちとの決死の攻防を、もうやり過ぎってくらいの怒涛の展開で描いてくれたら、ビールによく合ういいおつまみ映画になったであろうに。残念! [DVD(字幕)] 4点(2014-08-16 00:37:53) |
1279. のび太の結婚前夜
《ネタバレ》 昔、当時付き合っていた彼女と一緒に観たのだけど、観終わってから僕が何気なく彼女に言ったセリフ→続編で『のび太の結婚初夜』って映画が作られたら面白くない?のび太がさ~、ベッドで「し、しずかちゃん……、ごめん、ちょっと待ってて。ドラえも~ん、どうしたらいいか分かんないよ~」って助けを求めてさ、そしたらドラえもんが「もう、仕方ないな~、のび太くん。そんな時は(ドラえもん、四次元ポケットに手を入れて)タンタラタン『〇〇〇〇〇〇!』」。うん、ドラえもん史上初、放送禁止コードに引っ掛かる本当の秘密道具が出てくるの。どう、観たくない?そんな『のび太の結婚初夜』……、当然のように彼女にはどつかれました(笑)。 [DVD(字幕)] 6点(2014-08-13 17:45:28) |
1280. ダーケストアワー 消滅
《ネタバレ》 ロシア企業と重要な商談をするために、モスクワへとやって来たアメリカ人ベンとショーン。ところが、同僚の汚い裏切りによってそんな大事なプレゼンの場がぶち壊しにされてしまう。夜になって、憂さ晴らしにクラブへと繰り出した彼らは、そこで出会った同じくアメリカから旅行中の可愛い女の子2人組と良い感じになるのだった。昼間の嫌な出来事も忘れすっかり浮かれる能天気なベンとショーン。だが、何の前触れもなく飛来してきた黄色い煙のような謎の地球外生命体によって、人類は突如として滅亡の危機に直面してしまうのだった。無慈悲にも破壊されるロシアの街並み、次々と〝消滅〟させられてゆく何の罪もない市民たち……。そんなピンチをなんとか生き延びたベンとショーンたち5人の男女と、一瞬にして人間を消滅させることが出来る恐ろしい宇宙人との緊迫の攻防を描いたSFアクション。うーん、なんでしょうね、この作品に漂う恐ろしいまでの「トホホ感」は…(笑)。人類滅亡の危機を地球規模で描く物凄くスケールの大きい設定なのに、お話自体は5人の大して魅力のない若者たちがひたすらクリオネみたいな変な宇宙人から逃げ続けるだけという超こじんまりしたものなのが終始失笑でした。それに突っ込みどころも多すぎ!すぐ側で大声で叫んでるのに、宇宙人全く気付かないって彼らに聴覚はないの?ないんなら(宇宙船造れる技術はあるんだし)超高性能補聴器くらい作ろうよ!対する主人公も、宇宙人がすぐそこまでやって来ているという絶体絶命の危機をパトカーの下に潜り込んでやり過ごしちゃうのも何だかな~。ラストも「僕たちの地球を取り戻す戦いはまだまだ始まったばかりだ…」というめっちゃ独り善がりなメッセージを残して中途半端に終わっちゃった(笑)。と、いう訳で、僕の記憶から速攻で〝消滅〟しそうなトホホ映画でありました。終わり。 [DVD(字幕)] 3点(2014-08-12 21:17:06) |