1361. セラフィーヌの庭
《ネタバレ》 2008年度フランス・セザール賞で最多7部門を受賞したというこの作品、本国フランスでは大人気で、日本でも静かなブームを呼んでいるという。正直この映画を見るまでは実在画家セラフィーヌ・ルイどころか、著名な画家である素朴派のアンリ・ルソーの存在さえ知らなかった。 セラフィーヌ・ルイの絵が知られるようになったのは、本当に偶然だ。ウーデという画商と出会わなかったら当然埋もれたままだったろう。映画は画家と画商の微妙な関係を実にうまく描いている。そして、草や木に語りかけ、神の御心のままに絵を描くセラフィーヌになりきったヨランド・モローは見事というほかない。 [DVD(字幕)] 7点(2012-04-11 03:01:00) |
1362. いつか晴れた日に
英国貴族のハッピーエンドなロマンス物語だが、いかにも品があって格調高い。原作小説が素晴らしいからだろうが、脚本も優れている。これが主役をつとめたエマ・トンプソンの脚色だというのはすごい。 映画は理性的な姉と感情を素直に表す妹との対比がよく出ていて、これが原作の“Sense and Sensibility”ということか。 [DVD(字幕)] 7点(2012-04-09 23:34:42)(良:1票) |
1363. 永遠の僕たち
「死」を扱った物語ということで、幻想的で心に響く映画かと思ったらそうではなかった。ゲーム感覚の気分だし軽すぎる。主人公らも健康そうに見え、やけに明るい。くよくよしないことは大切だが、真剣に考えているのかどうか疑問に思った。 また特攻隊、神風など日本的なものも出てくるが、真に理解されているか怪しい。評価ははいろいろあろうが、私向きではなかった。 [映画館(字幕)] 3点(2012-04-09 19:57:42) |
1364. 夕べの星
続編があったことを知らず、つい最近鑑賞。エマはすでに亡くなっていてデブラ・ウィンガーは写真だけだし、ジャック・ニコルソンもちょっとだけ出ただけ。前作に比べると物足りなくなるのは仕方がないし、当のオーロラもお騒がせお婆さんぽくなってあまり好きではない。それでも孫をちゃんと育てあげたということに敬意を表して・・・。 [DVD(字幕)] 6点(2012-04-08 21:53:49) |
1365. 愛と追憶の日々
シャーリー・マクレーンとデブラ・ウィンガーの母と娘、それを取り巻く男たち(子どもたちや親友パッツィも含めて)の人物描写がとても良い。ありふれたことを大げさにならず、さりげなく丁寧に描いていく。そしてその積み重ねが徐々に高まっていって最後に大きな感動になる、そういう映画に思える。 主役の二人は甲乙つけがたくそれでダブルノミネートとなったのだろう。ダブル受賞にならなかったのは大変惜しまれるが・・・。 この映画の音楽は控えめながら実によく雰囲気作りをしている。テーマ曲を聴きながら、ひとつひとつのシーン(静止映像)を見ていると、まさにアルバムをめくっているような気持ちになる。憎み合ったり、ののしり合ったことも、すべてがなつかしい思い出のように・・・。 [映画館(字幕)] 8点(2012-04-08 11:12:56) |
1366. OUT(2002)
《ネタバレ》 やっていることは大犯罪でありサスペンスには違いないのだけど、映画はどこからどう見てもコメディである。人間を切り刻むという犯罪を超楽天的な考え方で行ったり、犯罪の意識がなかったりする。その通常の良識から外れた非現実な所が、OUTの世界だろう。4人のうち少しまともだったのは倍賞美津子のヨシエさん、年寄りをおいては逃げられないと言ったし、最後はグループから脱落してしまう。 こういう逸脱した映画をおもしろく見たのは、私自身もOUTの人間なのかもしれない。それにしても間さんの半端でない演技にはびっくりした。怖すぎる。 [DVD(邦画)] 6点(2012-04-07 13:37:47) |
1367. 雨
一瞬、モームの小説とラストが違うのかと思ったが、そうではなかった。出発の前の晩とその当日の対比がすばらしい。短編らしく多くは語られていないが、何がどうなったのかを見事に表現していると思う。 雨の描写、主役の二人の演技、これが映画だ。淀川さんの名解説も心に残る。 [地上波(字幕)] 8点(2012-04-07 06:47:56) |
1368. ヴェラ・ドレイク
《ネタバレ》 1950年の英国では堕胎は非合法だった。人工妊娠中絶は、医師が判断した特別な場合に限られ、それも相当な高額費用を要していた。(映画の中でも親に内緒で100ポンド用意した女性が医師に泣きついていた)従って貧乏で医師の所へ行けない女性は、ヴェラのようなもぐりの堕胎に頼るほかなかったのだろう。 ヴェラは金儲けで堕胎をやっていたわけではない。年老いた母をいたわり、孤独な住人は訪問したり、家に招いて夕食を共にする。困った人をそっとしておけない善意の人でだった。だからと言って許されるはずはなく禁固刑になってしまう。 映画はこういう実態を暴いた社会派映画ともとれるが、私は人間愛に着目したい。彼女が行ったこと、彼女の行為を知った者の接し方などなど・・・。考えさせられる映画でもある。 [DVD(字幕)] 8点(2012-04-06 18:36:01)(良:1票) |
1369. クジラの島の少女
伝統を必死になって守ろうとする祖父と、運命に立ち向かう少女の強い思いが感動を与えてくれる良い映画だった。 [DVD(字幕)] 7点(2012-04-06 06:39:11) |
1370. 家族の庭
マイク・リー監督最新作、ジム・ブロードベントやレスリー・マンヴィルなど今までのリー監督作品に欠かせなかった男優女優陣が多数出演する。 今回の「家庭の庭」の原題は「Another Year」意味はもうひとつの1年だが、1年1年が昨年とはまた違う形で積み重ねられていく、人生そのものという意味だろうか。 何でもないようなできごとと会話の中に、人それぞれの思いが描かれる、至ってシンプルな映画だ。しかし、ラストはえっこれで終わり? 後はどうなるのだろうかと考えてしまう。 [映画館(字幕)] 6点(2012-04-05 18:09:07)(良:1票) |
1371. 原子力戦争 Lost Love
《ネタバレ》 この時代の映画は結構知っているつもりだったが、この映画は知らなかった。それだけ話題にもならず埋もれてしまっていたということなのだろうか。 多くの方が指摘されているように、この映画は今いちである。今現在作られればもっと話題になっただろうし、映画だって鋭く描かれていたに違いない。 この映画は犠牲者が出ているにも関わらず真相は闇に葬られたままに終わってしまった。特に山崎明日香は何? [CS・衛星(邦画)] 5点(2012-04-05 06:27:08) |
1372. いつか読書する日
ラジオで美奈子の葉書が読まれ、リクエスト曲がかかる。「雨の日と月曜日は」だ。一般にはカーペンターズの歌として有名だが、元はといえばポール・ウィリアムズの作った曲であり、彼自身の歌が聞こえてくる。それが美奈子さんの心境と重なってくるようでもあり大変懐かしい。 映画は主役の二人とその周辺の人たちの心遣いが感じられ雰囲気がとてもいい。坂の長崎、長崎の雨という雰囲気も・・・。 [DVD(邦画)] 7点(2012-04-04 19:41:44) |
1373. ミニヴァー夫人
《ネタバレ》 「お金は使うためにある」は浪費家の好きな言葉だろう。映画は夫婦の衝動買いから始まり、バラの品評会へと進む。第2次世界大戦というのに何と平和な風景なことか。 しかしそう思えるのは表面だけ、映画は戦争下の英国人の生活を見事に描いている。緊迫した情勢の中にユーモアと思いやり、そして戦争の悲しみがある。ただ映画が戦意高揚目的で作られたため、終盤からラストにかけては異論を覚える。 ところでミニヴァー夫人の息子とキャロルはお似合いの夫婦に思えるが、現実の世界では、キャロルを演じたテレサライトは別の男と結婚し、息子を演じたリチャード・ネイは何とミニヴァー夫人を演じたグリア・ガーソンと結婚したという。 [DVD(字幕)] 6点(2012-04-04 07:25:32) |
1374. ふるえて眠れ
《ネタバレ》 DVDを買い求めて何十年ぶりかに再鑑賞。昔よくわからなかった(見過ごしていた)箇所が解明できた。 映画はぞっとするほどの残酷な殺人と主題歌「Hush...Hush, Sweet Charlotte」の郷愁を呼ぶメロディーの対比が秀逸。デ・ハヴィランドは「風と共に去りぬ」のイメージが強かったので見事だまされてしまった。 ところで父親ビッグ・サム・ホリスを演じたヴィクター・ブオノだが、演じたときは20代の若さだったというのには驚き、堂々とした貫禄だ。なお映画の最初の方で少年が出てくるが、どこかで見た顔だと必死で思い出したら「アラバマ物語」だった。 [映画館(字幕)] 8点(2012-04-03 16:34:13) |
1375. あるスキャンダルの覚え書き
傍目は女教師と教え子のスキャンダル物語だが、主役はオールドミスの老教師。孤独な単調な生活から友情が築かれると思いきや、スキャンダル目撃に始まって二人の教師の隠された生活が明らかになって物語がどんどん発展していく。友情がいかに相手を支配するかのゲームとなり、インパクトあるスリリングな展開になる。 ジュディ・デンチの好演はもちろんだが、ケイト・ブランシェットがこうも馬鹿げた女性を演じたのは見事。 [DVD(字幕)] 7点(2012-04-03 06:13:41) |
1376. 何がジェーンに起ったか?
《ネタバレ》 子役で名をあげた妹と成人して認められた姉、本当は仲の良い姉妹でいたかったろうにと思うとつらい。ベティ・デイヴィスの演技はまさに怪演というべき。ラストが大昔のアイスクリームになるとは・・・。絶句 [映画館(字幕)] 8点(2012-04-02 17:04:55) |
1377. カリギュラ
《ネタバレ》 ハードコアの部分が極度に取り上げられ評判はすこぶる良くないが、歴史映画だということを忘れてはならない。昔のローマ皇帝の中には、これほどひどい皇帝がいたという事実なのだ。 私が少年時代に習ったのは暴君ネロだが、このカリギュラ帝はそれ以上で狂っているとしか言いようがない。最愛の姉ドルシラを亡くしてからそのとどまる所を知らず目を覆うばかりである。家臣によって暗殺され在位わずか3年の短命の皇帝だった。 ところでこの映画、私は結婚する前に妻と一緒に見た映画の1本である、と言ったら皆さん信じられるだろうか。私もこれほどまでとは思わず、感想を聞くのをはばかった映画だったが・・・。 [映画館(字幕)] 6点(2012-04-01 22:06:20) |
1378. 華麗なる賭け
主題歌はとても印象的で「華麗」と言っても良いのだけど、映画の方はどこが華麗なのかと思った。主観の相違かもしれないが・・・。 [映画館(字幕)] 4点(2012-03-31 21:27:32) |
1379. 真夏の夜の夢(1999)
メンデルスゾーンの有名な結婚行進曲は、元々このお芝居に付けられた音楽だ。だからこの映画の中に登場しても当然なのだが、それだけでなく他にも「椿姫」の乾杯の歌などのオペラ曲も使われ豪華である。また配役陣も主役級の男優女優が多く登場し、これまた豪華、贅沢な作りだ。 映画はお芝居の台詞をなぞり、筋書き通りに進んでわかりやすい。ただ問題なのはあまりにも現代風すぎて、シェークスピアらしさや物語の幻想的な雰囲気がなくなっているのが残念だ。その顕著な例が自転車、ムードぶちこわしもいいところ。 しかし劇中劇の「ピラマスとシスビー」はおもしろく良かった。 [DVD(字幕)] 5点(2012-03-31 16:09:29) |
1380. 真夏の夜の夢(1935)
オープニングから序曲「真夏の夜の夢」で始まり、スケルツォそしてあの有名な結婚行進曲まで、メンデルスゾーンのクラシック音楽を存分に聞かせてくれる。幻想的な雰囲気も出ていて、森の妖精たちが出てくるシーンが良い。 貴族の男女の恋物語と職人たちの素人芝居、妖精の国のオベロンやタイタニアなど、登場人物も多彩で絡み合う。シェークスピアの戯曲とモノクロの雰囲気がよくあっているように思う。 登場人物の中では、オリヴィア・デ・ハヴィランドの美しさが抜きんでているが、子役で名をあげたミッキー・ルーニーのパックの演技は見事というほかない。 たたラストの素人芝居は何がおもしろいのか、私にはわからなかった。 [DVD(字幕)] 6点(2012-03-31 13:36:30) |