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anemoneさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 646
性別 女性
自己紹介 2006年のレビュー本数4本ってあんまりですわね。
2005年には「姑獲鳥の夏」まで見ていたクセに。
ってこういう使い方やっぱ邪道ですよね。来年こそは。

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121.  紳士は金髪がお好き(1953)
「映画って楽しければいいのよ」という確信的な自信が感じられる作品でしたね。楽しさだけに特化していて、奥行きもへったくれもないんだけど、その方向に突き抜けているからヘンな不安はない。ステレオタイプに思いっきりおバカなブロンド美人を演じているマリリン・モンローは、確かにバカだと思われても仕方がないだろうし後で背景を知ってしまうと同情せざるを得ないんだけど、そういう役だしそういう映画なんだからあれこれ言っても仕方ないんじゃない?と割り切るしかないと思う。話は単純明快、あくまでも楽しくテンポ良く、飽きずに最後まで見ることができる。娯楽映画と切り捨ててしまえばそこまでだが、どんなに娯楽に特化しててもどこかでヒューマニズムとか正義を訴えたりしなければいけないような最近の傾向にははっきり辟易しているので、こういう一つのベクトルに突き抜けた作品の方がむしろ四の五の言わずに楽しめて良いような気がする。楽曲も楽しめるし、冒頭の「リトルロックから来た娘」でショウタイム!気分に素直に乗れたら楽しみ切れる作品だと思います。これはスクリーンで見たかったですね。
9点(2004-01-24 12:29:59)(良:1票)
122.  小間使の日記(1963)
後の傑作「哀しみのトリスターナ」につながって行く前哨戦とも言うべき作品だが、こちらは一見してわかりにくいジャンヌ・モローの個性が際立つ。モノクロの映像の中で淡々と繰り広げられるヨーロッパならではのテンポに、決して若くはないお手伝いさんの色香にメロメロになって行く老いた雇い主。ありがちな展開ではあるが、貴族としてのプライドを保ちながらも愛に翻弄されて行く男の弱さ、金も力も若さもないが厳然たるプライドで男の前に立ちはだかる女、この二人の力関係の中にブニュエルの率直な女性至上主義が見える女性の視点からは楽しい作品と言えるだろう。彼の作品の中で女性の足が象徴するものは、すなわち美であり、男性を踏みつけるたくましい力であり、男性がひれ伏すための存在である。かくも力強くたくましい存在である女性に対して、涙ながらに愛を乞い、ひれ伏して行く富も名誉も権力もある男性という図式に、ひたすら女性を抑えつけて来た前時代的な価値観こそ、実はギリギリのところでバランスを保つために人類が生み出した種族保存の一つの方法であったのではないかとさえ思わされる。それほどに、ブニュエルの女性に対する賞賛は素晴らしい。
9点(2004-01-24 12:10:56)
123.  ボーン・アイデンティティー
マット・デイモンがアクションヒーローだと聞いて完全に冗談だと思い込み、いきなりの大活躍にお腹を抱えて笑っていたはずが、馴れて来ると意外にカッコよく見えて来るのでやっぱり彼は大したヤツなのだと思う。この年齢でこの器用さはちょっと無視できないんではないだろうか。ついこの間、「リプリー」であのスゴいキミドリ色のパンツを履いて、内股で歩いてた彼とは別人のよう。話はシンプルで、展開は比較的ありがち。マット・デイモンの信じられない活躍ぶりで、ありふれたストーリーが思いがけなく楽しいものになった。私自身は「マイノリティ・リポート」と「スターリングラード」に期待したものをまとめて見せて戴いた気がしてお値ごろ感大でした。マリー役の女の子の微妙な可愛くなさがやけにリアルでカップルとしてのバランスも抜群でしたし。うっかり今日まで見逃していた愚かな私ですが、続編には思いっきり期待したいと思います。あと久しぶりにBGMの良い作品だと思いました。これはサントラも欲しいです。
9点(2004-01-22 23:25:17)(良:1票)
124.  エル・シド
この手の映画ってわりと長尺にもかかわらずちゃんと楽しく最後まで観られるように出来ていて当たり外れが少ないように思うのですが、中でも比較的宗教色が薄くスペクタクルに特化した作品として扱われ方は地味ですが私は「ベン・ハー」よりこちらの方が好きです。たぶん聖書にあまり詳しくなくても楽しめるせいだと思いますが、あまりにも宗教色が強いとどうしても途中で辛くなる部分があったりするけどこれは「おおーっ」とか言ってるだけで楽しめました。たぶん我々の孫の世代はシュワルツェネッガーの映画を観てこんな風に感じるんじゃないかな?と思います。私は世間一般の評価に比べて「グラディエイター」の印象が比較的薄いんですが、たぶん無意識のうちにこれと比べていたんじゃないのかな?という気もします。映像的に古いというのはもはやどうしようもないことですが、圧倒的なスケール感というかエキストラ1000人とか平気で連れて来ちゃう機動力がこの時代の大作にはありますので、そういう部分はCGで何万人見せられるよりやっぱり満足感があるような気もします。まあ当時の人たちに「グラディエイター」を見せたら、やっぱり何万人の方が凄いと言うでしょうけど。古い=有難い、とは私自身はあんまり思わない方ですが、この手のスペクタクルを作らせたらこの時代の作品はやっぱり賭けてるものが段違いでしょう。本気を感じるというか、そういう情熱って観ていて伝わって来るものだと思います。
9点(2004-01-20 22:41:57)
125.  ライト・スリーパー
「俺の運は尽きたのか?」自問自答を繰り返しながら、占い師にまで頼るようになった中年の麻薬密売人が、仲間と仕事と愛する女の全てを失おうとする数日間を淡々とシビアに描いたポール・シュレイダーの最高傑作。人生の大半を無為に過ごし、裏社会と手を切りたいと願いながらもそこにしか居場所を見つけられない男は、過去を愛することも打ち捨てることもできず、存在することへの意義を何ひとつ見出せずにいる。別れた妻の留守番電話のメッセージを、ラジカセを抱えて何度も何度も繰り返し聞き続けるデフォーの背中がいい。38歳、人生をやり直せるデッドラインを三歩踏み越えた男の嗚咽が、静かに、だが例えようのない迫力で美しい映像の下から漏れ伝わって来る。浮き沈みの激しいポール・シュレイダー組だが、この作品では全員があ・うんの呼吸でここでしか描き出せない空気を伝える。それぞれが完璧に居るべき場所を見つけている、ファミリーならではの結束の固さが独特の雰囲気を漂わせることに成功した。地味ながら珠玉の傑作と言って良い。何度観ても、珍しいくらい飽きの来ない作品でもある。
9点(2004-01-16 23:55:23)
126.  デッド・カーム/戦慄の航海
何がコワイって、サム・ニールをどこまで信用していいのか?ってところが最後まで読み切れないところがストーリーと無関係にコワかったです。そういう意味では、キャスティングで非常に成功しているレアな例だと思います。23歳のニコール・キッドマンはこの世のものとは思えないほど美しいですし、これじゃあオーストラリアにおさまり切れないのも無理ないなあ、と素直に驚嘆できます。海上を舞台とした密室劇ですが、やや狙いすぎの感はあるものの仕掛けもきっちり作ってあって悪くないですし、サスペンスとして秀作の域には余裕で達していると思います。個人的には非常に好きな作品です。ちなみに5.1CHのサラウンドスピーカーを入れた時にこれを観たら心臓バクバクするほど怖かったので試運転にはもって来いだと思います。音作りがけっこう凝ってました。
9点(2004-01-11 13:06:52)
127.  花嫁はエイリアン
隠れた傑作だと思っています。最初から最後まで飽きさせずにテンポよくつないで行くし、キム・ベイシンガーの宇宙人ぶりも見事。地球のことをな~んにも知らない美女というベタな設定でここまで見せてくれるというのは凄いことだと思います。ちゃんと笑えるし、ハラハラドキドキもできます。いかにもB級なタイトルのせいでちょっと引いてしまう人も多いかも知れませんが、たしかにビッグバジェットとは言えませんけどこれ決してB級じゃないですよ。ずっとブエナ・ビスタかと思っていたらコロムビア映画だったんですね。「潮風のいたずら」とか「ママのフィアンセ」とか、あのへんのディズニー映画が好きな人ならかなり楽しめると思います。
9点(2004-01-11 12:34:20)
128.  ビッグ
個人的には、この頃までのコメディ捨ててなかったトム・ハンクスは大好きでした。12歳の少年が大人の肉体を手に入れたらどうなる?という素朴かつシンプルなアイデアを、彼の体当たりの演技が上手く広げたと思います。ラストはしんみりと胸キュンできます。しかしまあ、周りの同年代のオトコたちを見ると、実はこの作品のトム・ハンクスなんじゃないのか?と思うヤツらが後を絶たない。
9点(2004-01-11 12:26:51)
129.  ペテン師とサギ師/だまされてリビエラ
安心して笑い続けられるコメディって意外と少ないのだが、この作品は珍しくきちんと最後まで笑い続けられるコメディ。マイケル・ケインという人は実に幅広く何でもやる人だが、コメディアンとしても全然イケてることを証明した。実はどらえもんに頼んでマイケル・ケインをあと20人ぐらい出してもらえば、同年代の男優は全員失業してもおかしくないほどの実力をこの人は持っていると思う。彼に比べればもう一つ当たりハズレの大きいスティーブ・マーティンもここでは水を得た魚状態で非常に活き活きとしています。それにしてもやっぱりマイケル・ケインって凄すぎる。
9点(2004-01-11 12:17:15)
130.  ハードロック・ハイジャック
すいません。この作品にココまで入れ込んじゃうのって私ぐらいかな?と思ったら意外と評価高いんですね!(人数は少ないですが^^;)とにかくキャスティングが凄いです。ブレンダン・フレイザーにブシェミにアダム・サンドラーじゃ、観るまでもなく素晴らしいに決まってます。個人的にはブレンダン・フレイザーってもう一つ二枚目なのかコメディアンなのかハッキリしないというか、ミイラ映画で主演張っちゃったところがイマイチ中途半端な印象なんですが、この映画では本気でバカやってて素晴らしい。相変わらずどこを切ってもアダム・サンドラーなアダム・サンドラーは言うに及ばず、実はさりげなくロックミュージシャン風ルックスだと踏んでいたブシェミはまさにビンゴでした。展開の情けなさ、「ローン・レンジャース」がそもそも文法的に破綻してるというネタ、ひたすら空回りし続けるマイケル・リチャーズ、何もかもが脱力系ギャグの条件を極めて高レベルで満たしておりアイロニカルなゴージャス感を煽り立てております。一度本気でコメディやってるブシェミが観たいぞ、という方にものすごくお勧めです。彼って本質的にはやっぱりコメディアンですよね。
9点(2004-01-08 00:11:20)
131.  フライド・グリーン・トマト
いわゆるハートフル系だけど題材としてさりげなく人種差別や女性解放を扱っていて押し付けないところに好感が持てました。男性が観てどこまで理解できるのかな?という不安はありますが、少なくとも女性にとっては一度は観ておいて無駄ではない映画だと思います。歴史の中で女性達が歩いて来た道のりを泥くさすぎず、悲しすぎずに描き切れたのは、人生に感謝する良い年の取り方をしたジェシカ・タンディの存在感あってこそでしたね。話も良く出来ているし、しんみりと心に残る佳作だと思います。
9点(2004-01-04 12:08:53)
132.  ロング・キス・グッドナイト
普通のお母ちゃんが突然ナイフ投げの名手だったりする意表の突き方が上手かった。ジーナ・デイビスの無理な変身ぶりもギリギリのところでなんとかなっていたし、監督の彼女に対する思い入れが伝わって来て泣けました。サミュエル・L・ジャクソンもこの頃はまだ無敵のタフガイではなくボケ役に徹してくれて良かったですね。アクションも派手だし、楽しめる仕掛けは一杯。あくまでも娯楽作品ですが、このぐらい楽しめれば合格と言えるのではないかと思います。私自身は目一杯楽しみました。
9点(2004-01-03 13:29:16)
133.  ジャングル・フィーバー
ヘヴィなテーマをトボけた調子で描いたあたりがいかにもスパイク・リー、という感じで私は好き。黒人同士でも「あんたは色が濃い」「薄い」とか、意外に部外者からはわからない軋轢みたいなものがあったり。タブーとされて封印されているレイシズムを敢えて真正面から捉えるというのは黒人監督にしか許されないみたいな部分が現実にある以上、こういう映画が出て来るというのは日本人からはちょっと想像しづらい衝撃だったと思う。スポーツや音楽で成功した黒人が絶対に語ろうとしないことを、スパイク・リーはきちんと語ろうとしている。成功した黒人としてウェズリー・スナイプスが封印しようとしている「過去」として登場するサミュエル・L・ジャクソン&ホール・ベリーが象徴するものは、黒人社会が抱える圧倒的な現実。アナベラ・シオラの女友達を通して監督が言わせる「黒人だけはやめたほうがいいわ」、表向きは撤廃された人種差別が現実には表面に出て来ない意識として定着している現実、そういうものを敢えてヒステリックな告発の形を取らずにコミカルにクールな視点で描いたこの映画が、アメリカ社会に向けて訴えていることの重みは大きい。ヒステリックに声高に訴えようとすればいくらでもできることを、シニカルにこういった作品で世に出して来るスパイク・リーにはかつてのウディ・アレンを思わせるものがある。アメリカ社会において今なお共存の道を模索し続ける黒人たちの声にならない声が聞こえて来る秀作。
9点(2004-01-03 13:14:11)
134.  マジェスティック(2001)
フランク・ダラボンなのでどうせ泣かせる仕掛けはしっかり出来ているんだろうとナナメに構えていたが、やっぱり巻き込まれてうっかり涙してしまうあたり、さすがはダラボンだなぁと妙に尊敬させられてしまった。「ショーシャンクの空に」や「グリーンマイル」ほど設定に無理なあざとさがないのも良い。ファンタジーとしてありがちなストーリーだとは思うのだが、主演にジム・キャリー、背景に戦争とハリウッドの赤狩りを持って来たところが物語に奥行きを加えることに成功した。平和ボケ日本人にはもう一つピンと来ないのかも知れないが、アメリカ人が常に政治に真剣であらざるを得ないことの背景には、自分の一票が自分自身や家族、友人の誰かが戦場に赴くことに直結しているという重さがある。赤狩り自体を省みるという観点以上に、全く戦闘シーンのない戦争映画として、あるいは国を動かしているのが一人一人の国民であるという基本原則に立ち返らせる呼びかけとして、偶然とは思うが9・11テロ直後のアメリカでこの映画が公開されたことは非常に興味深い。プロバガンダだ、大衆操作だと言われているが、9・11テロでアメリカが戦争に向けて浮き足立っているタイミングでこの映画を公開できるだけの自由がかの国にはある。それだけでも、素晴らしいことだと思う。
9点(2004-01-02 12:24:21)(良:3票)
135.  僕らはみんな生きている
日本映画の流れがやっと変わって来たな、と思えた作品。限られた中でもそれなりに予算が作れるようになって来た中で、費用対効果を正確に見つめられるようになった結果のこのスケール感だったと思います。真田広之という役者は本来スクリーンでこそ異様な輝きを見せる人で、この作品も劇場で観た人とTV画面で観た人とではかなり印象が変わって来るのではないでしょうか。シナリオも良く出来ており、テンポも良く、さりげなく打ち出される人生観も暑苦しくなく、娯楽作品としてかなりレベルの高い作品に仕上がりました。あくまでも劇場鑑賞を前提として、高い点をつけさせて戴きます。TV向きの作品ではないです。
9点(2004-01-01 12:21:31)
136.  デーヴ
いかにもハリウッド的な胸キュン系のコメディって感じ。普通にそこそこ楽しめるんだけど、アイヴァン・ライトマンの強烈な笑いみたいなものを期待するとちょっとコケるかも。お約束通りのストーリーで、お約束通りの展開なのにそれなりに飽きずに見せてくれるところは職人芸と言って良い。リプリーとはまるで違った一面を見せてくれるシガニー・ウィーバーも、ヘンに「もう私はリプリーじゃないのよ」オーラを発してなくて素直にハマッた感じ。ラストはちゃんと胸キュンできるし、子供を使わずに胸キュンさせられるっていうのはやっぱり上手いんだと思います。なかなか良い映画でした。
9点(2004-01-01 12:07:11)
137.  フル・フロンタル
敢えて体制側に与せずというスティーブン・ソダーバーグの心意気には敬意を表するが、映画を見馴れていない観客にはキツいだろう。非常に実験的な要素が強く、ジュリア・ロバーツやブラッド・ピットというビッグネームを出演させたことによって間違えてマスを動員してしまいかねないリスクは大きいと思う。BGMの少ないハンディカメラの映像、散文的な展開、劇中劇とそれを製作中の俳優たち、オンとオフの切り分けの難しい不親切な構成は単調で退屈だが、ちゃんとそれに続く展開の面白さを予感させている点は素晴らしい。あくまでも物語の先行きに興味が持てるかどうかにかかって来る運びだが、それなりにニヤリと笑える仕掛けも爆笑モノのネタもあり、通好みの作品としては評価できる。オスカーWノミネなど華やかな経歴が記憶に新しいスダーバーグが、敢えて巨匠になろうとせずに貧しい映画小僧だった頃の「やりたかったこと」を忘れずにいること自体は、未だかつて誰も実行できなかった偉業であると言えるが、残念ながらビッグネームに騙されて足を運んだ一部の観客に対しては完全に失望させてしまったとしか思えないため手放しで誉めちぎれない悲しさはある。劇場で観る以上、楽しさは他の観客と共有できた方が嬉しい。やっぱり大物スター不在のちょっと極端な実験映画として公開した方が、みんなが幸せになれたような気はする。
9点(2004-01-01 11:41:19)
138.  ファーゴ
ちょっと小金を手に入れようと企んだ小悪党が、不幸な偶然から泥沼にはまり込んで行くストーリーは比較的ありがちで語り尽くされて来たテーマと言えるが、天性の悪党顔でどこまでも情けなく突っ走り抜いたスティーブ・ブシェミのカール役はこれまでのダメ男達の中でも一見に値する存在と言えるのではないか。犯罪者の生い立ちや背景まで持ち出して役柄に奥行きを持たせる方向へ逃げず、あくまでも事件の中で見せる表情ひとつで人間性まで浮かび上がらせてしまったブシェミの力量には頭の下がるものがある。金持ちの舅と嫁、女房殺し(ここでは誘拐だが)で遺産を手にしようとする夫というこれまた描き尽くされたキャラクターを泣きの演技で引っ張り続けたウィリアム・H・メイシーの底力も見事。ここに登場するのが妊娠8ヶ月、ベタベタのサウス・ダコタ訛りで「ヤー、ヤー」を連発する中年の婦人警官フランシス・マクドーマンドで話が一挙に新しくなった。こういうドス黒くも高尚な笑いはコーエン兄弟の得意とするところだが、笑いのツボを観客の選択に委ねたところにこの映画の評価の高さが納得できる。名声に頼らない実力ある演技者たちの個性のせめぎ合いが、一歩間違えば実録犯罪シリーズ的なチープな内容を独特のテンションにまで押し上げている。日ごろ抑えた脇役に回ることの多い役者たちの技量が冴え渡る佳作。もちろんコーエン兄弟のこだわりの演出も忘れてはならないところだが。唯一マイク・ヤナギタの登場が余計に思えたので減点、これさえなければ完璧だったのに。
9点(2003-12-31 12:22:16)(良:2票)
139.  星に想いを
良く出来てます。良いシナリオです。キャストも全員輝いています。コミカルにテンポよく品良い笑いでまとめています。後味も良いです。かなり必見な作品だと思います。
9点(2003-12-30 15:42:48)
140.  パーフェクト・カップル
マイク・ニコルズの作品がどうしても苦手な私ですが、この映画では映像のあまりの美しさに思わずごめんなさいと謝ってしまいました。基本的に風景を美しく撮る監督だとは思いますが、特にドーナツ屋(でしたっけ?)のカウンターでたそがれるトラボルタをロングから寄せたところとか、素直にああ美しい映像だなあ、と感動しながら観ていました。誰が観てもそれとわかる某大統領夫妻をモデルにした作品ですが、テーマとしては学生運動へのノスタルジーを主に扱った友情モノとして捉えた方がストーリーにも肩入れできると思います。みんな若い頃にはいろんな夢を持っていたんだよね、でもそれは理想論でしかなかったし、世の中には変えられないことがいっぱいあるよね、というある種の人生観を見出すことが出来る世代には、ちょっと胸の詰まる部分もありました。大人のための大人の映画として、長く記憶に残る佳作だったと思います。
9点(2003-12-29 13:59:53)
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